JP3603085B2 - 橋桁の構築方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、桁橋の橋桁構造の技術分野に属し、特に、鋼材、PC鋼線、コンクリートを合成して形成する橋桁の構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に桁橋は、橋台および橋脚上に橋桁を架設し、その上に床版を形成し、さらにその上にアスファルト等を敷設して橋床を形成して成る。従来の桁橋の橋桁構造には、鋼材(鋼板)のみで構築した鋼桁橋や型枠成形によるコンクリート桁橋がある。かかるコンクリート桁橋には、コンクリートの引張耐力不足を補完する意味で、鉄筋の配設に加えて、高張力鋼線(以下、「PC鋼線」と略称する。)の内包によるプレストレスの導入が一般的に行われている。
【0003】
鋼桁橋は、予め工場等で所定形の橋桁を製作し、現地に運搬して組み付け施行していくので、コンクリート桁橋と比較すると、現場での型枠組みと鉄筋の加工・組立やPC鋼線の配設等が省略でき、また高強度の鋼材を用いることから、また、比較的軽量に構築することが可能であることからも工期短縮が図れる。しかし一方、鋼桁橋は鋼材の材料費が嵩み製作コストが高価なものとなることに加え、大型工作物の移動と言う運搬上の問題があった。
【0004】
一方、コンクリート桁橋は、現場施行であるため運搬上の困難性は無く、コンクリート材を用いていることからも安価に構築することができるが、型枠組み、鉄筋の加工・配設やPC鋼線によるプレストレスの導入、さらには型枠の撤収等の作業が必要となるため、工期の長期化とそれによるコスト上昇が問題となっていた。加えて、コンクリート製の高重量性と引張強度確保の困難性から長いスパンの桁橋には対応し難いと言う課題もあった。
【0005】
【目的】
そこで、本願発明は上記課題の解決を目的として為されたものであり、軽量で運搬性に優れ、高強度でありながら現場での施工作業が簡易で工期短縮を図れ、かつ長いスパンの桁橋にも対応することができる構造を有する橋桁の構築方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明の橋桁の構築方法は、以下のように施工している。
【0007】
先ず、鋼材により閉断面形または上方開放断面形の箱桁(2)を形成し、該箱桁(2)の内部空間(23)に1または2以上のPC鋼線(3)を、両端部で支持してスパン中央付近に向かうに従って底板(20)に近接させるようにしてスパン方向へ張り渡たす。
次に、該箱桁(2)の内部空間(23)に対向配置した1対または2対以上の内部反力壁(41)間で支持したPC鋼線(3)により箱桁(2)へプレストレスを導入する。
最後に、箱桁(2)の内部空間(23)にコンクリート(4)を打設すると共に、該コンクリート(4)へPC鋼線(3)によりプレストレスを導入する。
【0008】
また、上記各構成におけるPC鋼線(3)の張り渡しにおいて、箱桁(2)の内部空間(23)にシース(25)を所望の設定で配置し、その内部にPC鋼線(3)を挿通するようにしてもよい。
【0009】
なお、上記の特許請求の範囲及び課題を解決するための手段の欄で記載した括弧付き符号は、発明の構成の理解を容易にするため参考として図面符号を付記したもので、この図面上の形態に限定するものでないことはもちろんである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本願発明に係る橋桁の構築方法の具体的な実施形態例について、図面に基づき詳細に説明する。
【0011】
【実施形態例】
図1は本実施形態例の橋桁で構築する桁橋を示す概観図であり、図2は本実施形態例の橋桁の構造を示す斜視図及び一部拡大図であり、図3は本実施形態例の橋桁の構造を示す縦断面図(A)及び一部拡大図(B)であり、図4は図3のAA線、BB線、CC線の端面図であり、図5は本実施形態例の橋桁の構造における箱桁の一部を示す縦断面図(A)及びAA線端面図(B)であり、図6は本実施形態の橋桁の構造へ対する作用図(A)と横断面の応力図(B)である。
【0012】
本実施形態例の対象となる桁橋Bは、一般に、図1に示すように、橋台Aや橋脚Pに単一または複数個の橋桁1を並設または横桁Cで連結状に架設し、その上部に床版Dを形成した後、その上面にアスファルト等を敷設して橋床を構築している。
【0013】
本実施形態例の主要な構成要素である箱桁2は、鋼板等の鋼材から殻体状に形成され、スパン方向に延びる長尺矩形状の底板20と、その両側に対向させて立設形成したウェブ21とで上方開放断面形である略コ字状の長尺箱体状を成すものである。上記の両ウェブ21の内側面(対向面)には、剛性向上のために上下方向と水平スパン方向に延びた板状のリブ21aを適宜間隔で配置し、かつ打設したコンクリートと箱桁2との滑りを防止するために突起状のズレ止21bを適宜の位置に配設している。両ウェブ21のそれぞれ上端からは床版Dを支えるための長尺帯状のフランジ22を外側水平方向かつスパン方向へ連続して形成している。
【0014】
該箱桁2の内部空間23には、スパン方向に延びる5本の被覆管(「シース」)25を配設しており、各シース25はウェブ21の内側面に適宜の間隔で配設したフラットバー状のラック24により支持している。なお、シース25の材質は主に、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネイト樹脂等の樹脂製品から選択される。これらシース群25、25、・・・の配設仕様は、両端支持梁に分布する断面力を考慮して設定されるものであり、図4(A)、(B)、(C)で示すように、その両端部は箱桁2の端部側23aでは内部空間の中央上下一列状に配列して支持し、スパン中央付近に向かうに従って底板20に近接しかつ収束し、スパン中央部を挟んで対向配設した屈曲部23bを介して底板20付近で水平状態となるように配置している。このように配置した各々のシース25、25内には、高張力鋼線材(通称「PC鋼線」)3を挿通させて配設し、両端部側23aにおいてこれを支持している。
【0015】
次に、該シース25にPC鋼線3を挿入した後において、図5に示すように、コンクリートにより箱桁2の両端部に端部反力壁40、40を、およびスパン中程の底板20上に所定間隔をもって対向させた一対の内部反力壁41、41をそれぞれ形成する。該内部反力壁41は、屈曲部23bを兼ねると共に最下端列に配置したシース25のみを取り込み支持する構成である。
【0016】
このように構成した箱桁2をクレーン等で橋台A又は橋脚Pに架設固定した後、内部空間23内へのコンクリート打設前に、内部反力壁41間で支持したPC鋼線3を張引し、その反力で箱桁2自体にプレストレスを導入する。このプレストレスは、箱桁2の底板20の断面方向へ予め圧縮力を導入しておくものであり、この後のコンクリート打設時のコンクリート自重による底板20の延び(下凸状の撓み)に対抗させるためのものである。
【0017】
なお、箱桁2へのプレストレスの導入は施工時に現場において行ってもよく、また工場等での箱桁2製造時に併せて行ってもよく、いずれでもよい。さらに、内部反力壁41は1対に限らず、2対以上としてもよい。
【0018】
次に、上記のように予めPC鋼線3を配設した箱桁2の内部空間23に、コンクリート4を所定高さまで打設し硬化させる。硬化後には前記のシース25内を挿通させた鋼線3を、その両端で張引して張力を付加し、その反力により打設し硬化したコンクリート4へプレストレス(圧縮力)を導入している。このPC鋼線3によるプレストレスの導入により、図6に示すように、断面力は直線状に変化し、底板20には許容圧縮応力σ1が、コンクリート4の上面には最大引張応力σ2が作用する。このため、この最大引張応力σ2がコンクリート4の許容引張応力σ内に収まるように、コンクリート4の打設高さ、及びプレストレスの付加力を最適に設定している。さらに、スパン中程の所定間隔において、PC鋼線3の配置を底板20に近接して水平配置することにより、PC鋼線3の引張力が側面視で橋桁1を上に凸湾曲させる力を生じさせ(矢印a)、橋桁1への荷重付加時の対向力として作用する。
【0019】
本実施例形態例の橋桁の構築方法は、上述したように、箱桁2にプレストレスを導入した後に、内部空間23にコンクリート4を所定の高さまで打設し、PC鋼線3によりコンクリートにプレストレスを導入している。この構築方法により、内部空間23へのコンクリート4の打設前における、箱桁2の撓みを解消し、橋桁1の構築への施行精度を向上させている。
【0020】
本実施形態例で示した方法により構築した橋桁は、特に、ロングスパン、例えば50mを超えるスパンの橋桁に採用することが望ましいものである。
【0021】
なお、上記の打設したコンクリート4へのプレストレスの導入は、コンクリート4の硬化前にPC鋼線3に張力を与えて行うプレテンション方式、およびコンクリート4の硬化後に行うポストテンション方式のいずれでもよい。
【0022】
【効果】
本願発明にかかる橋桁は以上のような構築方法を採っているため、次の効果を奏する。
すなわち、橋桁を鋼板材からなる箱桁とこれに充填したコンクリートとで構成しているため、鋼桁橋の有する高強度性とコンクリート桁橋が有する経済性を享有し、かつコンクリート桁橋の現場作業の煩雑性を解消すると共に、ロングスパンへの適用を高めることができる。
【0023】
また、本願構成要素の箱桁は、簡易構造であるためユニット組立式とすることも可能であり、かつ鋼桁橋用の骨材より比較的軽量であるため運搬性に優れ、作業性の向上および工期短縮につながる。また、コンクリート打設は橋桁の一部となる箱桁の内部に充填するため、従来のように型枠組み付け、および型枠解体の煩雑な作業を必要とせず、これによっても工期の短縮を図ることができる。
【0024】
さらに、内部空間に内部反力壁を設置して箱桁自体にも予めプレストレスを導入するようにしているため、コンクリート打設時の箱桁の撓みを解消することができ、従来のコンクリート桁橋以上のロングスパンの橋桁にも対応させることができる効果を有する。
【0025】
上記したように本願発明は、従来の鋼桁橋とコンクリート桁橋との欠点を解消して、利点のみを残した顕著な効果を備えたものであり、当該技術分野への貢献度は大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態例の橋桁で構築する桁橋を示す概観図である。
【図2】本実施形態例の橋桁の構造を示す斜視図及び一部拡大図である。
【図3】本実施形態例の橋桁の構造を示す縦断面図(A)、及び一部拡大図(B)である。
【図4】図3のAA線、BB線、CC線の端面図である。
【図5】本実施形態例の橋桁の構造における箱桁の一部を示す縦断面図(A)及びAA線端面図(B)である。
【図6】本実施形態の橋桁の構造へ対する作用図(A)と横断面の応力図(B)である。
【符号の説明】
1 橋桁
2 箱桁
20 底板
21 ウェブ
21a リブ
21b ズレ止
22 フランジ
23 内部空間
23a 端部側
23b 屈曲部
24 ラック
25 シース
3 PC鋼線
4 コンクリート
40 端部反力壁
41 内部反力壁
A 橋台
B 桁橋
C 横桁
D 床版
P 橋脚

Claims (2)

  1. 鋼材により閉断面形または上方開放断面形の箱桁(2)を形成し、
    箱桁(2)の内部空間(23)に1または2以上のPC鋼線(3)を、両端部で支持してスパン中央付近に向かうに従って底板(20)に近接させるようにしてスパン方向へ張り渡し、
    箱桁(2)の内部空間(23)に対向配置した1対または2対以上の内部反力壁(41)間で支持したPC鋼線(3)により箱桁(2)へプレストレスを導入した後に、
    箱桁(2)の内部空間(23)にコンクリート(4)を打設すると共に、該コンクリート(4)へPC鋼線(3)によるプレストレスを導入したことを特徴とした橋桁の構築方法。
  2. PC鋼線(3)の張り渡しを、箱桁(2)の内部空間(23)に配設したシース(25)内への挿通により行うことを特徴とした請求項1記載の橋桁の構築方法。
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