JP3602188B2 - 歯科治療用椅子 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、歯科治療及び診察時に患者の膝部が腰部より高い位置となるように座部シートの前方を上げる方向に傾斜させるチルト機構を備えており、このチルト機構を作動させて患者の膝部が腰部より高い位置となるように座部シート支え(座部シート)の前方を上げる方向に傾斜させると、患者の脛部を支えるための上揺動アーム(脛部シート)も自動的に座部シート支えに連なったまま水平又は水平と所定角度をなすように動作する構造をコンパクトに纏め得る設計上の自由度がある歯科治療用椅子及び更に上揺動アームに連なってステップ部が設けられておりこのステップ部も自動的に上揺動アームと共に一直線状又は平行になるように動作する歯科治療用椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
歯科医師等が患者を椅子に着座させて処置を施す場合には、先ず歯科治療用椅子を椅座位(屈曲位)の状態にして患者を導いて着座させた後、背板(バックレスト)等で患者の背中を支えるようにしながら椅子の機構を駆動させ、患者の全身が床面に対してほぼ水平となる仰臥位(伸展位)にしてから治療等の処置を行うのが一般的である。また近年では、患者の姿勢を安定させ且つ患者をリラックスさせるという意味で、座部シートの前方を上げる方向に傾斜させるチルト機構を持つ椅子が多くなっており、このチルト機構を持つ椅子としては、座部シートのみならず、椅座位から仰臥位にする際には座部シート前方を上げる方向に傾斜させながら前述の伸展動作を、また仰臥位から椅座位に戻す際には座部シート前方を下げる方向に動かしながら屈曲動作を同時にさせるものが一般的である。またこれらの椅子は、前述の動作に加えて患者を仰臥位にした後に、椅子全体を昇降させることで歯科医師等の術者の体形や患者の治療部位に応じて最適なポジションを得るための昇降装置を備えているのが普通である。
【0003】
このような歯科治療用椅子に用いられている従来のチルト機構について次に説明する。
具体的には特開昭62−179459号公報や特公平3−74108号公報に開示されているように、一個の駆動源(伸縮作動体)の動作により背板(バックレスト)の起倒に連動するように下肢受板と背板とが棒状のリンク部材で連結されていて、背板が倒れることでリンク部材が押圧されて下肢受板が押し上げられると共に座板もリンク部材で押し上げられるようにして座部シートのチルトを実現していた。
このような構造においてはいずれも丈夫な棒状のリンク部材を用いないと、座部シートが取り付けられる座板や下肢受板を押し上げることはできないので、椅子の下部機構は駆動源や丈夫で長尺のリンク部材を多数収容しなければならないことが設計上の大きな制約となっていたのである。
【0004】
また、従来の歯科治療用椅子においては、前述のチルト機構に加えて更に患者が椅座位の状態から仰臥位の状態へ移行する時にも安楽な状態でいられるように椅子の脚部の動作にも工夫がなされている。これを次に説明する。
歯科治療用椅子の座部シート支えの前端部には或る所定の間隔を設けて2本のアームがそれぞれその一端を軸を介して枢着されており、この2本のアームの他端には前記間隔と同じか又は小さな間隔とする四節リンク状の構成となるようにしてステップ部の後端部が軸を介して枢着されている。このような機構とすることにより、前記アームが揺動(伸展及び屈曲の動作)してもステップ部の上面を常に床に対し所望の一定角度(例えば平行など)を保ちながら移動させることや、仰臥位で脛部シート部とステップ部とを水平に連なるようにさせることが可能になるのである。そして、前記アームの表面側(患者側)には脛部シート部が配備され、患者が仰臥位になった時に患者の脛部を支えるようにされているのが一般的な構成である。
【0005】
これら前記した機構では、ステップ部の床に対する角度が一定であったり、ステップ部の上部アーム(脛部シート部)が水平位になると同時にステップ部も水平になるように、リンク比を調節して四節リンクを形成させている。このため、椅座位から仰臥位に移動する脛部シート部及びステップ部が描く軌跡は前記四節リンクのリンク比なりの制限を受けることになるので、水平への変化が所定位置で急激に起こったり角度が変わらなかったりするため、足首へ無理な負担が掛かったりして座っている患者が受ける移動感覚は良好ではなかった。そこで、このような欠点を解消すべく様々な工夫がなされている。
【0006】
例えば、実公平5−46451号公報に開示されている椅子では、座部シート支えに対して直角方向に第1の間隔を開けて脛部シート部を構成するどちらか一方が駆動機構に連結される上部と下部との2本のアームのそれぞれの一端が軸支され、この2本のアームのうち1本の他端に軸支され且つもう1本のアームの他端に摺動可能にステップ部が第2の間隔を開けて支持されて取り付けられる構造となっている。
【0007】
このような構成において前述の第1の間隔を第2の間隔より大きくすることにより、椅子の駆動機構が動作して椅座位(上部アームが垂直又はそれに近い角度)から仰臥位(上部アームが水平又はそれに近い角度)に移行するときの中間位置で脛部シート部(上部アーム)とステップ部とをほぼ一直線状にすることができるのである。以上に述べた構成となすことで、椅子の動作時(膝関節と足首関節が伸展及び屈曲する時)に患者が感じ取る移動感覚を良好にしているのである。しかしながら、この機構では前記第1の間隔を第2の間隔より大きく構成しているため、椅子が椅座位から仰臥位に移行するに従い、前記2本のアームのなす間隔が徐々に広がり出すため、結果的には側方から椅子の機構部がまともに見えてしまうことになるのであり、このことは術者や患者に威圧感を与えてしまい好ましくない欠点となるのであった。
【0008】
このような欠点を改善するためには機構部を覆い隠すという措置が採れば良いが、2本のアームのなす間隔が変化するということが制約となり、仰臥位(上部アームが水平に近い位置に来た状態)時の最大間隔に合わせると覆いの厚みが著しく厚くなりデザイン性に劣るという欠点があった。
【0009】
また、歯科治療用椅子に備えてあるとより好ましい機構として、椅子の下に障害物が存在している場合に対する安全機構がある。この安全機構における具体例を示すと、例えば実開昭63−195836号公報に開示された椅子のステップ部の安全機構は、前述の実公平5−46451号公報に開示されている椅子の脛部シート部におけるアーム機構とは全く別個に設けられるものであって、脛部シート部を構成する2本のアームのどちらか一方のステップ部を取り付けるための軸受け孔を縦長溝にすることを特徴としている。この構造により、ステップ部は縦長溝の軸受け孔ではないもう一方の軸受け孔に枢着されている軸を中心として回転自在となるので、椅座位の状態で椅子を上下動させた時にステップ部と床との間に障害物が挟まっても、ステップ部の先端が上方向に回転自在となっているため怪我や破損を防止し得るのである。
【0010】
しかしながら、例えば前記実公平5−46451号公報に記載された椅子に、前述の実開昭63−195836号公報に記載された安全機構を組み込んで製作しようとすると、新たな問題が発生するのである。それは、脛部シート部を構成する前記2本のアームのどちらか一方に縦長溝を設けたとして、ステップ部と床との間に障害物が存在していた時に、ステップ部より先に床側のアーム又は軸が床又は障害物に接触してしまう恐れがあるばかりか、2本のアームが成す角度により回転動作の方向に制限を受けてしまうために椅子が椅座位(アームが最も垂直に近い位置に来た状態)又はこれに近い状態の時にしかこの安全機構は機能しないという問題点があることである。
【0011】
これに加えて、歯科治療用椅子は患者の治療中に患者を仰臥位の状態で上下せしめることもあるため、前記昭63−195836号公報に開示されている安全機構を備えた椅子のように椅座位におけるステップ部と床との間にある障害物のみに対する対策だけでは不充分であるという新たな問題も存在しているのである。つまり仰臥位の状態で椅子を上下動させようとした時に、床側アームと床との間に障害物が存在している可能性に対する対策としての工夫も必要なのである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の歯科治療用椅子の諸欠点を解消し、椅子の下部機構がコンパクトに収まる設計上の自由度があるチルト機構を実現して、歯科治療及び診察時に患者の膝部が腰部より高い位置となるように座部シート支え(座部シート)の前方を上げる方向に座面(シート面)を傾斜させ得ると共に、このチルト機構を作動させて患者の膝部が腰部より高い位置となるように座部シート支えの前方を上げる方向に傾斜させると、患者の脛部を支えるための上揺動アーム(脛部シート)も自動的に座部シート支えに連なったまま水平又は水平と所定角度をなすように動作して椅子に座った患者が感じ取る椅座位〜仰臥位間の移動感覚を良好にする歯科治療用椅子を提供することを課題とする。
【0013】
更に、上揺動アームに連なってステップ部を設け、このステップ部に取り付けられているステップ部シートも自動的に脛部シートと共に一直線状又は平行になるように動作するばかりでなく、椅座位におけるステップ部と床との間や仰臥位における床側アーム及び/又はステップ部と床との間の障害物の挟み込み防止とそれらを実現するコンパクトな機構を追加した歯科治療用椅子を提供することも課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究の結果、歯科治療用椅子に、座部シート支えの下側後方端が昇降駆動部の上部後面側に配備されている座部シート軸支えに座部シート支え軸を介して枢着されており、該昇降駆動部の前面側に配備されている駆動源支えに駆動源取付軸を介して枢着されている駆動源の摺動アームの先端が前記座部シート支えの中間部所定位置に摺動アーム軸を介して枢着されており、座部シート支えの前方端上側に上アーム軸を介してその上方端が枢着されておりその前方に椅子を仰臥位にした際に患者の脛部を支えるための脛部シートが配備されている上揺動アームの裏面にはローラが当接されており、該ローラがローラ軸を介してその下方端に枢着されている第1下揺動アームの中間部所定位置において下アーム軸を介して該座部シート支えの前方端下側に枢着されており、且つ該第1下揺動アームの上方端に取り付けられている連結軸と前記昇降駆動部の駆動源支えに取り付けられているテンション部材装着軸とにそれぞれ非伸縮性素材より成るテンション部材の端部が装着されていれば、前記した前者の課題が解決できることを究明して本発明を完成したのである。
【0015】
そして、更に伸縮アーム外筒と伸縮アーム摺動棒とから成る伸縮自在な構造で下方端が下ステップ部取付軸を介してステップ部の後方端に枢着されている第2下揺動アームの上方端がローラ軸を介して第1下揺動アームの下方端に枢着されており、上揺動アームの下方端がステップ部の後方端であって前記下ステップ部取付軸より前方に位置する上ステップ部取付軸を介してステップ部に枢着されていれば、前記した後者の課題も解決できることを究明したのである。
【0016】
【実施例】
以下、図面に基づき本発明に係る歯科治療用椅子の実施例について詳細に説明する。
図1は本発明に係る歯科治療用椅子の1実施例の構造を示す斜視説明図、図2はステップ部が設けられている本発明に係る歯科治療用椅子の他の実施例の構造を示す斜視説明図、図3は図2に示した本発明に係る歯科治療用椅子の座部シート部と脛部とステップ部との関係を示したもので、実線は椅座位における位置を、一点鎖線は中間位置を、二点鎖線は仰臥位における位置をそれぞれ示したものである。また図4は椅子が椅座位の状態でステップ部の下に障害物が存在しステップ部が持ち上げられた状態を示す説明図、図5は椅子が仰臥位の状態のまま降下した時に脛部及びステップ部の下に障害物が存在し脛部及びステップ部が伸びた状態のまま持ち上げられた状態を示す説明図である。
【0017】
図面中、1は椅子に患者が座った時にその尻部及び大腿部を位置させ支えるための座部シート10を載置固定する座部シート支えであり、通常この座部シート10はその形状や弾性に様々な工夫が凝らされていて、患者の肉体的,精神的な負担を軽減すると共に椅子の駆動部などの機構を直接には見えないようにするための役割も担っている。
【0018】
2は座部シート支え1の前方端上側に上アーム軸2aを介してその上方端が枢着されている上揺動アームであり、そのもう一端である下方端にはその上面にステップ部シート12が取り付けられるステップ部8の後方端の所定位置が上ステップ部取付軸2bを介して枢着されている場合と、ステップ部8が装着されていない場合とがある。この上揺動アーム2の前方には、椅子を仰臥位にした際に患者の脛部を支えるため弾性部材から成る脛部シート11が配備されている。
【0019】
3は座部シート支え1の前方端下側(図示した実施例では上アーム軸2aの鉛直から40〜50度の角度をなす斜め下後方の位置)にその中間部所定位置が下アーム軸3aを介して枢着されている第1下揺動アームである。この第1下揺動アーム3の上方端に連結軸3bが取り付けられている。そして、この第1下揺動アーム3の全長は上揺動アーム2の半分程度の長さとし、その下方端にはローラ軸4aによりローラ4が上揺動アーム2の略中間位置の裏面に当接するように枢着されている。このローラ4を用いた構成とすることにより、上揺動アーム2が座部シート支え1の前方端での枢着位置である上アーム軸2aを中心とした円弧を描く滑らかな動きをするように第1下揺動アーム3の動きによる力の伝達が支障無く行われる。
【0020】
5は座部シート支え1の下側後方端を昇降駆動部9の上部後面側に配備されている座部シート軸支え9bに座部シート支え軸1aを介して枢着しておりこの座部シート支え軸1aを中心とした円弧を描く動きを座部シート支え1に行わせると共に、結果的に脛部シート11やステップ部8を椅座位や仰臥位の位置に移行させるための駆動源であり、この駆動源5は昇降駆動部9の前面側に配備されている駆動源支え9aに駆動源取付軸5cを介して枢着されていてその摺動アーム5aの先端が前記座部シート支え1の中間部所定位置に摺動アーム軸5bを介して枢着されている。この駆動源5としては、油圧シリンダーや電動モーターなどの摺動アーム5aを伸縮させ得る動作を行うものであれば、その目的機能の面から適宜採用可能であることは言うまでもない。
【0021】
6は前記第1下揺動アーム3を下アーム軸3aを中心として揺動させるために牽引する非伸縮性素材より成るテンション部材であり、このテンション部材6はその一方端を第1下揺動アーム3の上方端に取り付けられている連結軸3bに、また他方端を前記昇降駆動部9の駆動源支え9aの駆動源取付軸5cとは異なる位置に取り付けられているテンション部材装着軸6aにそれぞれ装着されている。即ち、その前方に脛部シート11が配備されている上揺動アーム2は座部シート支え1の前方端での枢着位置である上アーム軸2aを中心として回転自在であるが、その自重により図面において時計廻りのモーメントを受けているのでローラ4を介してその下方端を押圧されて同じく下アーム軸3aを中心として図面において時計廻りのモーメントを受けている第1下揺動アーム3の上方端に取り付けられている連結軸3bは下アーム軸3aを中心として前記テンション部材装着軸6aから離れる方向に回転しようとするから、テンション部材6はこの連結軸3bの回転を阻止して連結軸3bとテンション部材装着軸6aの軸間距離が一定となるように維持できればよいので、従来の椅子のリンク部材と異なりこのテンション部材6に加わる力は牽引力であるので、特に圧縮力や座屈に強い棒状のような素材を使用するという必要は無く、引張力に耐え得る非伸縮性素材であればワイヤーやベルトなどの可撓性を有するものも採用することができるので、設計の自由度が拡大されるのである。
【0022】
7は上揺動アーム2の下方端にステップ部8が装備される場合に配備される第2下揺動アームであり、伸縮アーム外筒7aとその伸縮アーム外筒7a内に沿って摺動自在な伸縮アーム摺動棒7bとから成る伸縮自在な構造で下方端が下ステップ部取付軸7cを介してステップ部8の後方端に枢着されている第2下揺動アーム7の上方端が前記ローラ4の軸であるローラ軸4aを介して第1下揺動アーム3の下方端に枢着されており、上揺動アーム2の下方端はステップ部8の後方端であって前記下ステップ部取付軸7cより前方に位置する上ステップ部取付軸2bを介してステップ部8に枢着されている。この第2下揺動アーム7としては、図2及び3に示した実施例のように伸縮アーム摺動棒7bの上方端がローラ軸4aを介して第1下揺動アーム3に枢着されており、伸縮アーム外筒7aの下方端がステップ部8に下ステップ部取付軸7cを介して枢着されている態様であっても、また図示しないが伸縮アーム外筒7aの上方端がローラ軸4aを介して第1下揺動アーム3に枢着されており、伸縮アーム摺動棒7bの下方端がステップ部8に下ステップ部取付軸7cを介して枢着されている態様、即ち第1下揺動アーム3の下方端のローラ軸4aとステップ部8の下ステップ部取付軸7cとの間に伸縮アーム摺動棒7bと伸縮アーム外筒7aとが図3及び図4に示した実施例と互いに反対側に位置するようにして枢着されている態様であっても良い。
【0023】
このような構成とすることにより、椅座位の状態ではステップ部8は上ステップ部取付軸2bを中心として回転自在な状態となっているので、患者がステップ部8に足を載せなくてもステップ部8の自重により第2下揺動アーム7には上方への押圧力が加わることになり、第2下揺動アーム7は最短の長さを維持することになるのである。
【0024】
【作用】
次に本発明に係る歯科治療用椅子の各構成要素の動きについて説明する。図3の実線で示した椅座位の状態において、駆動源5が作動せしめられて摺動アーム5aが伸びるに従い、座部シート支え1の前部は座部シート支え軸1aを中心にして上方に持ち上がる(回転する)動きを行う。このとき、第1下揺動アーム3はその中間部所定位置が下アーム軸3aを介して座部シート支え1の前方端下側に枢着されているため、同時に動き出すことになる。
【0025】
即ち、前述したように、その前方に脛部シート11が配備されている上揺動アーム2はその自重により図面において上アーム軸2aを中心として時計廻りの回転をする力をローラ4を介して第1下揺動アーム3に作用しているので、第1下揺動アーム3も図面において下アーム軸3aを中心として時計廻りに回転しようとする(第1下揺動アーム3の上方端に取り付けられている連結軸3bが下アーム軸3aを中心としてテンション部材装着軸6aから離れる方向に回転しようとする)のであるが、テンション部材装着軸6aと連結軸3bとにはその軸間距離を一定に保つテンション部材6の両端が装着されているため、連結軸3bは下アーム軸3aを中心として図面において反時計方向に回転することになり、下アーム軸3aを挟んで連結軸3bとは反対側の第1下揺動アーム3は上に持ち上がることになるのである。
【0026】
その結果、第1下揺動アーム3の下端部にローラ軸4aを介して装着されているローラ4は上揺動アーム2の裏面を押圧することになるから、上揺動アーム2も下揺動アーム3の動きに追従することになるので、歯科治療及び診察時に椅子のチルト機構としての機能である患者の膝部が腰部より高い位置となるように座部シート支え1(座部シート10)の前方を上げる方向に座面(シート)を傾斜させると、上揺動アーム2(脛部シート11)も自動的に座部シート支え1に連なったまま水平又は水平に対して所定角度をなすように動作させることが可能となるのである。
【0027】
そして図3に示すように第1下揺動アーム3の下端部にローラ軸4aを介して第2下揺動アーム7の上端部が枢着されている場合には、ローラ4が上揺動アーム2の裏面を転がりながら上アーム軸2a側に移動し始めると、ローラ軸4aを介して第1下揺動アーム3に連結されている第2下揺動アーム7も上方に引っ張られることになる。この第2下揺動アーム7の下端部の下ステップ部取付軸7cには、この下ステップ部取付軸7cより前方に位置する上ステップ部取付軸2bを中心としてステップ部8の自重によるモーメントと、更には患者の足がステップ部8上に置かれている場合にはその荷重によるモーメントと常に作用しているので、ステップ部8の後端(下ステップ部取付軸7c)は上ステップ部取付軸2bを中心とした図面において時計廻りの回転運動を下揺動アーム3の動きに対応して行うことになる。このようにして、歯科治療及び診察時に椅子のチルト機構としての機能である患者の膝部が腰部より高い位置となるように座部シート支え1(座部シート10)の前方を上げる方向に座面(シート)を傾斜させると、上揺動アーム2(脛部シート11)も自動的に座部シート支え1に連なったまま水平又は水平に対して所定角度をなすように動作させ、更にはステップ部8も自動的に上揺動アーム2に連なって一直線状又は平行にして動作させることが可能となるのである。
【0028】
即ち、摺動アーム5aが伸びて中間位置(図3において一点鎖線で示し、符号には添字「i」を付して示した)に達すると、ステップ部8の上面と上揺動アーム2の上面とは一直線状又は平行になると共に、上揺動アーム2の裏面とステップ部8の後端上面とが接触してステップ部8の更なる回転運動が阻止される。そして見掛け上は上揺動アーム2とステップ部8とが一体となりながら,上アーム軸2aを中心とした回転運動を行うのである。
【0029】
このようにして駆動源5の摺動アーム5aの伸長の動きが停止する仰臥位置(図3において二点鎖線で示し、符号には添字「ii」を付して示した)に達するのであるが、ステップ部8は前記中間位置からその回転運動が停止しているので第1下揺動アーム3の動きに対応した動きは第2下揺動アーム7が担当することになる。つまり、第2下揺動アーム7とステップ部8とは下ステップ部取付軸7cにより連結されていて相対的な位置を変えないので、伸縮アーム外筒7aから伸縮アーム摺動棒7bが引っ張り出されて行ってステップ部8がローラ軸4aから離れる方向に引き出されて行くことになり、上揺動アーム2とステップ部8の上面とは見掛け上では一直線状又は平行を維持する。しかして仰臥位置に達してローラ4の移動が停止した位置では、駆動源5の摺動アーム5aの長さは予め設定されている最大長さとなっている。
【0030】
ところで、第1下揺動アーム3の形状としては、図1及び2に示したようなローラ4が1組使われる直棒状のものの他、Y字状又はT字状としてローラ4を2組使うようなものとしても良く、更に直棒状の第1下揺動アーム3を2本使用してH字状のものとしても良いことは目的とする機能上から明らかである。
【0031】
次に図4と5とを用いて本発明に係る椅子に備えておくと好ましい安全機構である床14上に障害物13が存在した時の挟み込み防止機構について説明する。図4は椅座位の状態のままで椅子の昇降駆動部9を動作させて下降させた例を示しており、ステップ部8は図中の一点鎖線の位置から平行移動する形で下降するので、本来二点鎖線で示した位置に来る筈である。しかしながら、床14上に障害物13があるので、ステップ部8は通常はその障害物13を破壊してしまうのであり、障害物13が人の足等である場合には重大な傷を負わせてしまうことになる。ところが、ステップ部8を備えた構造の本発明に係る歯科治療用椅子ではステップ部8の下に障害物13があった場合、ステップ部8は上ステップ部取付軸2bを中心とした回転を行うことができるので、ステップ部8の前端が上に持ち上がる(図中の実線)。そうするとステップ部8の後端が更に下がる必要があるが、ステップ部8の後端には伸縮自在な第2下揺動アーム7が連結されているので、ローラ4や第1下揺動アーム3に影響を及ぼすことなくこの動きが吸収されるのである。
【0032】
そして、この第2下揺動アーム7を構成する伸縮アーム外筒7aと伸縮アーム摺動棒7bとに充分な長さのラップ量を確保しておけば、伸縮アーム外筒7aから伸縮アーム摺動棒7bが外れてしまうことに対処することができる。また、図4で実線で示すような状態になったら、ステップ部8の先端を持ち上げて障害物13を取り除けば、通常の椅座位の状態に簡単に復元させ得るのである。
【0033】
また、図5は仰臥位の状態のままで椅子の昇降駆動部9を動作させて下降させた例を示しており、上揺動アーム2及びステップ部8は図中の一点鎖線で示す位置から平行移動する形で下降するので、本来二点鎖線で示した位置に来る筈である。しかしながら、上揺動アーム2の真下の床14上に障害物13があるので、上揺動アーム2は通常はその障害物13を破壊してしまうことになる。ところが、ステップ部8を備えた構造の本発明に係る歯科治療用椅子では上揺動アーム2の真下に障害物13があった場合、上揺動アーム2及びステップ部8は上アーム軸2aを中心として回転を行うことができるので、上揺動アーム2及びステップ部8は上に持ち上がる(図中の実線)。
【0034】
この場合も前述の例と同様に第2下揺動アーム7がこの動きを吸収し、他へ影響を及ぼさないのである。前例と同様に、この第2下揺動アーム7を構成する伸縮アーム外筒7aと伸縮アーム摺動棒7bとに充分な長さのラップ量を確保しておけば、伸縮アーム外筒7aから伸縮アーム摺動棒7bが外れてしまうことに対処することができる。また、図5で実線で示すような状態になったら、ステップ部8の先端を持ち上げて障害物13を取り除けば、通常の仰臥位の状態に簡単に復元させることができるのである。また、この仰臥位の状態においてステップ部8の真下だけに障害物13がある場合には、図4と同様な動作で障害物13の挟み込みが防止されることは明らかである。
【0035】
尚、上揺動アーム2とステップ部8とがその間に落差がある平行の状態のときには、各々の上面に取り付けられるシート11,12の厚みで調整して落差を無くしたり縮めたりすることや、椅子に座る患者が安楽な気持でいることができるように各々のシート11,12の上面を湾曲した状態に加工することなどは当業者にとって容易になし得ることである。
【0036】
【発明の効果】
以上に詳述した如く本発明に係る歯科治療用椅子によれば、歯科治療及び診察時に患者の膝部が腰部より高い位置となるように座部シートの前方を上げる方向に座面(シート面)を傾斜させる椅子のチルト機構を備えており、このチルト機構を作動させて患者の膝部が腰部より高い位置となるように座部シート支え(座部シート)の前方を上げる方向に傾斜させると患者の脛部を支えるための上揺動アーム(脛部シート)も自動的に座部シート支えに連なったまま水平又は水平と所定角度をなすように動作させる構造をコンパクトに纏め得る設計の自由度をもたらしたばかりでなく、上揺動アームに更にステップ部を取り付けた構造とした場合には椅子を椅座位の状態から仰臥位の状態に移行する際に中間位置で上揺動アームとステップ部との上面がほぼ一直線状又は平行になるので患者の移動感覚は良好になる。しかも、第2下揺動アームの伸長次第で脛部側部材(脛部シート及び上揺動アームとステップ部)の上面が水平となす角度を自由に調節することができるのである。このような機構から得られる利点として、患者が治療中にチアノーゼに陥った時に脛部側を水平より更に持ち上げることで患者の回復を早めたり、脛部側を水平より若干下げて治療中の患者の精神の安定が得られ易いような姿勢となすことも可能である。そして、ステップ部が存在する場合でも存在しない場合でも上揺動アームと第1下揺動アームとから成る脚部構造を従来になく薄くコンパクトに構成できるため、特に術者や患者の目に付き易い中間位置から仰臥位の状態になるまで移動する間に椅子の機構部が見えてしまうことにより術者や患者に威圧感を与えることが無いばかりか、デザイン的にもその自由度が増し、スマートに構成できるという利点がある。
【0037】
しかも、ステップ部が存在する本発明に係る歯科治療用椅子は、前述の効果に加え仰臥位でも椅座位でもそれぞれ脛部やステップ部の下方の床上に障害物が存在していた場合にその挟み込みを防止する安全機構を備えていることになり、安全性の面でも信頼性の高いものとなるのである。
このような種々の効果を奏する本発明の歯科分野に貢献する価値は非常に大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯科治療用椅子の1実施例の構造を示す斜視説明図である。
【図2】ステップ部が設けられている本発明に係る歯科治療用椅子の他の実施例の構造を示す斜視説明図である。
【図3】図2に示した本発明に係る歯科治療用椅子の座部シート部と脛部とステップ部との関係を示したもので、実線は椅座位における位置を、一点鎖線は中間位置を、二点鎖線は仰臥位における位置をそれぞれ示したものである。
【図4】椅子が椅座位の状態でステップ部の下に障害物が存在しステップ部が持ち上げられた状態を示す説明図である。
【図5】椅子が仰臥位の状態のまま降下した時に脛部及びステップ部の下に障害物が存在し脛部及びステップ部が伸びた状態のまま持ち上げられた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 座部シート支え
1a 座部シート支え軸
2 上揺動アーム
2a 上アーム軸
2b 上ステップ部取付軸
3 第1下揺動アーム
3a 下アーム軸
3b 連結軸
4 ローラ
4a ローラ軸
5 駆動源
5a 摺動アーム
5b 摺動アーム軸
5c 駆動源取付軸
6 テンション部材
6a テンション部材装着軸
7 第2下揺動アーム
7a 伸縮アーム外筒
7b 伸縮アーム摺動棒
7c 下ステップ部取付軸
8 ステップ部
9 昇降駆動部
9a 駆動源支え
9b 座部シート軸支え
10 座部シート
11 脛部シート
12 ステップ部シート
13 障害物
14 床

Claims (2)

  1. 座部シート支え(1)の下側後方端が昇降駆動部(9)の上部後面側に配備されている座部シート軸支え(9b)に座部シート支え軸(1a)を介して枢着されており、該昇降駆動部(9)の前面側に配備されている駆動源支え(9a)に駆動源取付軸(5c)を介して枢着されている駆動源(5)の摺動アーム(5)の先端が前記座部シート支え(1)の中間部所定位置に摺動アーム軸(5)を介して枢着されており、座部シート支え(1)の前方端上側に上アーム軸(2a)を介してその上方端が枢着されておりその前方に椅子を仰臥位にした際に患者の脛部を支えるための脛部シート(11)が配備されている上揺動アーム(2)の裏面にはローラ(4)が当接されており、該ローラ(4)がローラ軸(4a)を介してその下方端に枢着されている第1下揺動アーム(3)の中間部所定位置において下アーム軸(3a)を介して該座部シート支え(1)の前方端下側に枢着されており、且つ該第1下揺動アーム(3)の上方端に取り付けられている連結軸(3b)と前記昇降駆動部(9)の駆動源支え(9a)に取り付けられているテンション部材装着軸(6a)とにそれぞれ非伸縮性素材より成るテンション部材(6)の端部が装着されていることを特徴とする歯科治療用椅子。
  2. 伸縮アーム外筒(7a)と伸縮アーム摺動棒(7b)とから成る伸縮自在な構造で下方端が下ステップ部取付軸(7c)を介してステップ部(8)の後方端に枢着されている第2下揺動アーム(7)の上方端がローラ軸(4a)を介して第1下揺動アーム(3)の下方端に枢着されており、上揺動アーム(2)の下方端がステップ部(8)の後方端であって前記下ステップ部取付軸(7c)より前方に位置する上ステップ部取付軸(2b)を介してステップ部(8)に枢着されている請求項1に記載の歯科治療用椅子。
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