JP3598231B2 - 衛星放送受信用コンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、衛星放送受信用アンテナに取り付けられ、1つまたは複数の放送衛星や通信衛星から送信される円偏波および直線偏波を受信する衛星放送受信用コンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、衛星放送受信用コンバータとしては、図8のブロック図に示すものがある。この衛星放送受信用コンバータは、衛星放送,衛星通信受信用アンテナに用いて、BS(Broadcasting Satellite)衛星およびCS(Communication Satellite)衛星を受信するもので、1台の衛星放送受信用コンバータでBS衛星の円偏波およびCS衛星の直線偏波(垂直偏波および水平偏波)を受信する。
【0003】
図8に示すように、垂直偏波を受信するための第1プローブ82Aと水平偏波を受信するための第2プローブ82Bを、円形導波管81の軸に垂直な同一平面上にそれぞれの軸が直交するように円形導波管81に設けている。そして、CS衛星の垂直偏波を受信する場合は、第1スイッチ85Aをオンする一方、第2スイッチ85Bをオフする。そうすると、上記第1プローブ82Aにより受信された垂直偏波信号は、ローノイズアンプリファイア(以下、ローノイズアンプという)83Aで増幅される。そして、上記第1ローノイズアンプ83Aで増幅された垂直偏波信号は、移相器84により90゜移相され、第1スイッチ85Aを通過して、さらにアンプリファイア(以下、アンプという)86で増幅された後、バンドパスフィルタ87を通過し、ミキサ88で中間周波数の信号に変換され、さらにIFアンプ89で増幅されて、直流阻止コンデンサC8を介して出力端子93からIF出力信号が出力される。
【0004】
また、CS衛星の水平偏波を受信する場合は、第2スイッチ85Bをオンする一方、第1スイッチ85Aをオフして、第2プローブ82Bにより受信された水平偏波信号は、第2ローノイズアンプ83Bで増幅され、第2スイッチ85Bを通過した後、垂直偏波受信時と同じ経路で信号を出力する。
【0005】
一方、BS衛星の円偏波を受信する場合は、第1,第2スイッチ85A,85Bを両方オンすると、互いに軸が直角に交差する第1,第2プローブ82A,82Bによって、円偏波の垂直偏波成分が第1プローブ82Aにより受信され、水平偏波成分が第2プローブ82Bにより受信されて、円偏波を直線の垂直偏波信号と水平偏波信号に分離する。この2つの偏波成分の信号は、第1,第2ローノイズアンプ83A,83Bで増幅された後、移相器84により、垂直偏波信号が水平偏波信号より位相が90゜遅れる。この90゜の位相差を持った垂直偏波信号と水平偏波信号は、合成されて元の円偏波信号に復元された後、上述の直線偏波受信時と同じ経路で円偏波信号が出力される。
【0006】
なお、BS衛星とCS衛星の受信の切り換えは、局部発振器90の周波数を切り換えることによって、2つの衛星の異なる周波数を、ほぼ同じ帯域の中間周波数として出力する。例えばCS衛星の送信周波数は12.2〜12.75GHzで、局部発振周波数は11.2GHzとしているため、中間周波数は1000〜1550MHzとなる。一方、BS衛星の送信周波数は11.7〜12.0GHzで、局部発振周波数は10.678GHzとしているため、中間周波数は1022〜1322MHzとなる。
【0007】
また、上記第1,第2スイッチ85A,85Bの切り換えは、ダイオードスイッチ(図示せず)によって行われ、ダイオードスイッチの切り換えと局部発振器90の周波数の切り換えは、受信モード制御回路91,周波数切換回路92によって行う。上記受信モード制御回路91はレシーバ側から高周波チョークコイルL8を介して入力された制御信号によって制御される。上記制御信号は、この衛星放送受信用コンバータにDC電源から供給される直流電圧と共に衛星放送受信用コンバータの出力信号ケーブルに重畳させて、外部のレシーバ側からこの衛星放送受信用コンバータに送られる。
【0008】
こうして、上記衛星放送受信用コンバータ1台で円偏波および垂直,水平の直線偏波を受信することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示す衛星放送受信用コンバータの2本の第1,第2プローブ82A,82Bを円形導波管81の軸に垂直な同一平面上に設けているため、お互いの第1,第2プローブ82A,82Bが電磁界的に影響を受けて、受信する直線偏波および円偏波の交差偏波特性が悪化するという問題がある。つまり、垂直偏波信号を受信すべき第1プローブ82Aが同時に多少の水平偏波信号成分も受信したり、あるいはその逆に、水平偏波信号を受信すべき第2プローブ82Bが同時に多少の垂直偏波信号成分も受信したりすると共に、右旋円偏波信号を受信すべきところが、同時に多少の左旋円偏波信号成分も受信するという問題がある。
【0010】
そこで、この発明の目的は、簡単な構造で直線偏波と円偏波を受信でき、直線偏波および円偏波の交差偏波特性が良好な衛星放送受信用コンバータを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の衛星放送受信用コンバータは、導波管と、上記導波管の軸方向に管内波長の1/4の奇数倍の距離をあけて、互いの軸が略直角に交差するように上記導波管に設けられた第1プローブと第2プローブと、上記第1,第2プローブにより受信された受信信号を夫々増幅する第1増幅器と第2増幅器と、上記第1,第2増幅器の出力信号を合成する信号合成器と、上記第1増幅器の出力信号を中間周波数信号に周波数変換する第1周波数変換器と、上記第2増幅器の出力信号を中間周波数信号に周波数変換する第2周波数変換器と、上記信号合成器の出力信号を中間周波数信号に周波数変換する第3周波数変換器と、上記第1,第2,第3周波数変換器からの中間周波数信号を夫々出力する第1,第2,第3出力端子とを備えたことを特徴としている。
【0012】
上記請求項1の衛星放送受信用コンバータによれば、上記第1,第2プローブを導波管内波長の1/4の奇数倍の間隔をあけて導波管に設けているので、第1,第2プローブが電磁界的に互いに干渉することなく、また、第1,第2プローブを互いの軸が略直角に交差するように導波管に設けているので、円偏波を受信する場合に垂直偏波成分と水平偏波成分の位相差を90°の奇数倍にして、直偏波成分と水平偏波成分を信号合成器で合成することによって容易に円偏波信号が復元される。したがって、直線偏波と円偏波を受信でき、直線偏波および円偏波の交差偏波特性が良好な衛星放送受信用コンバータを実現できる。さらに、上記第1プローブにより受信され、第1増幅器により増幅された垂直偏波信号と、上記第2プローブにより受信され、第2増幅器により増幅された水平偏波信号と、上記信号合成器により合成して得られた円偏波信号との3つの信号を、上記周波数変換器により3つの中間周波数に周波数変換し、各中間周波数を上記出力端子から夫々独立して同時に出力することができ、共聴(共同)受信システムなどのアンテナに最適である。
【0013】
また、請求項2の衛星放送受信用コンバータは、導波管と、上記導波管の軸方向に管内波長の1/4の奇数倍の距離をあけて、互いの軸が略直角に交差するように上記導波管に設けられた第1プローブと第2プローブと、上記第1,第2プローブにより受信された受信信号を夫々増幅する第1増幅器と第2増幅器と、上記第1,第2増幅器の出力信号を合成する第1信号合成器と、上記第1増幅器の出力信号を第1中間周波数信号に周波数変換する第1周波数変換器と、上記第2増幅器の出力信号を上記第1中間周波数信号と周波数が異なる第2中間周波数信号に周波数変換する第2周波数変換器と、上記第1信号合成器の出力信号を上記第1,第2中間周波数信号と周波数が異なる第3中間周波数信号に周波数変換する第3周波数変換器と、上記第1,第2,第3周波数変換器からの上記第1,第2,第3中間周波数信号を合成する第2信号合成器と、上記第2信号合成器からの出力信号を出力する1つの出力端子とを備えたことを特徴としている。
【0014】
上記請求項2の衛星放送受信用コンバータによれば、上記第1,第2プローブを導波管内波長の1/4の奇数倍の間隔をあけて導波管に設けているので、第1,第2プローブが電磁界的に互いに干渉することなく、また、第1,第2プローブを互いの軸が略直角に交差するように導波管に設けているので、円偏波を受信する場合に垂直偏波成分と水平偏波成分の位相差を90°の奇数倍にして、直偏波成分と水平偏波成分を信号合成器で合成することによって容易に円偏波信号が復元される。したがって、直線偏波と円偏波を受信でき、直線偏波および円偏波の交差偏波特性が良好な衛星放送受信用コンバータを実現できる。さらに、上記第1プローブにより受信され、第1増幅器により増幅された垂直偏波信号と、上記第2プローブにより受信され、第2増幅器により増幅された水平偏波信号と、上記第1信号合成器により合成して得られた円偏波信号との3つの信号を、第1,第2,第3周波数変換器により夫々異なる周波数の第1,第2,第3中間周波数信号に変換し、第1,第2,第3中間周波数信号を第2信号合成部により合成して、その第2信号合成部からの合成信号を1つの出力端子から1本のケーブルによって、上記3つの信号を出力することができ、共聴(共同)受信システムなどのアンテナに最適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の衛星放送受信用コンバータを図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態の衛星放送受信用コンバータのブロック図であり、1は有底の円形導波管、2A,2Bは上記円形導波管1に軸方向にλg/4(λgは円形導波管1内の波長)の距離をあけて、互いの軸が略直角に交差するように取り付けられた垂直偏波受信用の第1プローブと水平偏波受信用の第2プローブ、3は上記円形導波管1内に第1プローブ2Aと平行になるように設けられた反射手段としてのショート棒である。上記ショート棒3の位置は、第1プローブ2Aの後方約λg/4の距離に設けている。つまり、上記ショート棒3とプローブ2Bは、ほぼ同じ位置に設けている。上記第1プローブ2Aに対する反射はショート棒3で行われる一方、第2プローブ2Bに対する反射は、第2プローブ2Bの後方約λg/4の距離にある導波管閉塞部である底部1aで行われる。
【0017】
また、上記衛星放送受信用コンバータは、上記第1プローブ2Aからの垂直偏波信号を増幅する第1増幅器としての第1ローノイズアンプ4Aと、上記第2プローブ2Bからの水平偏波信号を増幅する第2増幅器としての第2ローノイズアンプ4Bと、上記第1ローノイズアンプ4Aからの増幅された垂直偏波信号をオンオフする第1スイッチ5Aと、上記第2ローノイズアンプ4Bからの増幅された水平偏波信号をオンオフする第2スイッチ5Bと、上記第1,第2スイッチ5A,5Bの出力が入力される信号合成器6と、上記信号合成器6からの出力信号のうちの特定の周波数帯の信号を通すバンドパスフィルタ7と、上記バンドパスフィルタ7からの出力信号を後述する局部発振周波数に基づいて中間周波数信号に変換する周波数変換器としてのミキサ8と、上記ミキサ8からの中間周波数信号を増幅するIFアンプ9と、上記ミキサ8に局部発振周波数信号を出力する局部発振器10と、上記第1,第2スイッチ5A,5Bに出力制御信号を出力すると共に、上記局部発振器10の局部発振周波数を制御する周波数切換回路12に周波数制御信号を出力する制御部としての受信モード制御回路11とを備えている。また、上記IFアンプ9の出力と出力端子13との間に直流阻止コンデンサC1を接続すると共に、出力端子13と受信モード制御回路11の入力との間に高周波チョークコイルL1を接続している。
【0018】
上記構成の衛星放送受信用コンバータにおいて、CS(Communication Satellite)衛星の垂直偏波を受信する場合、第1スイッチ5Aをオンする一方、第2スイッチ5Bをオフにする。そうすると、上記第1プローブ2Aにより受信された垂直偏波信号は、第1ローノイズアンプ4Aで増幅され、第1スイッチ5Aを通過して信号合成器6およびフィルタ7を通過した後、ミキサ8で中間周波数の信号に変換され、IFアンプ9で増幅され、IF出力信号が出力される。
【0019】
また、CS衛星の水平偏波を受信する場合、第2スイッチ5Bをオンする一方、第1スイッチ5Aをオフする。そうすると、上記円形導波管1内に入ってきた水平偏波信号は、偏波の向きが異なるため、第1プローブ2Aおよびショート棒3には何ら影響を受けることなく、第2プローブ2Bにより受信される。そして、第2プローブ2Bにより受信された水平偏波信号は、第2ローノイズアンプ4Bで増幅され、第2スイッチ5Bを通過した後、上記垂直偏波受信時と同じ経路でIF出力信号が出力される。
【0020】
一方、BS(Broadcasting Satellite)衛星の円偏波を受信する場合、第1,第2スイッチ5A,5Bを両方オンする。そうすると、上記第1,第2プローブ2A,2Bにより受信された90゜の位相差を有する垂直偏波信号と水平偏波信号とを信号合成器6により合成し、元の円偏波信号が復元された後、上記CS衛星の直線偏波受信時と同じ経路でIF出力信号が出力される。なお、この第1実施形態では、局部発振器10の周波数を切り換えることによって、BS衛星とCS衛星という異なる周波数の衛星の受信信号をほぼ同じ帯域の中間周波数として出力する。
【0021】
また、上記第1,第2スイッチ5A,5Bは、図示しないダイオードスイッチ等によって構成され、そのダイオードスイッチ等の切り換えおよび局部発振周波数の切り換えを、レシーバ側からの受信モード指令信号を受けた受信モード制御回路11によって制御する。上記受信モード指令信号は、出力端子13に接続された出力信号ケーブルにDC電源(図示せず)から供給される直流電圧と共に重畳されて、レシーバ側からこの衛星放送受信用コンバータに送られる。
【0022】
したがって、直線偏波と円偏波を受信でき、直線偏波および円偏波の交差偏波特性が良好な衛星放送受信用コンバータを実現することができる。
【0023】
また、複数の衛星から受信する受信信号の周波数が異なる場合、上記局部発振器10の局部発振周波数を受信モード制御回路11からの周波数制御信号により制御することによって、中間周波数信号をほぼ同じ帯域の中間周波数の信号に揃えることができ、レシーバ側の入力部の構成を簡単化できる。
【0024】
また、上記ショート棒3を第2プローブ2Bとほぼ同じ位置すなわち第1プローブ2Aとの間隔を略λg/4あけて、第1プローブ2Aと平行になるように設けることによって、第2プローブ2Bの受信性能に影響を与えることなく、円形導波管1と垂直偏波信号を受信する第1プローブ2Aとの整合が得られる。一方、上記第2プローブ2Bと円形導波管1の底部1aとの間隔を略λg/4あけることによって、円形導波管1と水平偏波信号を受信する第2プローブ2Bとの整合が得られる。
【0025】
(第2実施形態)
図2はこの発明の第2実施形態の衛星放送受信用コンバータのブロック図である。この衛星放送受信用コンバータは、第1実施形態の衛星放送受信用コンバータの構成から周波数切換回路を除いた構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略する。
【0026】
上記構成の衛星放送受信用コンバータでは、円偏波,垂直偏波および水平偏波の切り換えは、第1,第2スイッチ5A,5Bのみで行い、この切り換えのための受信モード指令信号は、第1実施形態と同様、コンバータの出力端子13に接続された信号ケープルにDC電源(図示せず)から供給される直流電圧と共に重畳されて、レシーバ側からこの衛星放送受信用コンバータに送られる。
【0027】
例えば、ヨーロッパでは、1つの衛星から円偏波と直線偏波を送信しているものがあり、その衛星の送信信号の周波数と偏波の関係を図3に示している。また、このIF出力信号の周波数と偏波の関係は、図4に示すように、衛星の送信信号の周波数と偏波の関係と同じ配列となる。
【0028】
したがって、この衛星放送受信用コンバータは、局部発振周波数の制御を行わない以外、第1実施形態の衛星放送受信用コンバータと同様の作用、効果を有する。
【0029】
(第3実施形態)
図5はこの発明の第3実施形態の衛星放送受信用コンバータのブロック図である。この衛星放送受信用コンバータは、第1実施形態の衛星放送受信用コンバータの構成のうち、導波管,第1プローブ,第2プローブおよびショート棒は同じ構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略する。
【0030】
上記衛星放送受信用コンバータは、上記第1プローブ2Aからの垂直偏波信号を増幅する第1増幅器としての第1ローノイズアンプ24Aと、上記第2プローブ2Bからの水平偏波信号を増幅する第2増幅器としての第2ローノイズアンプ24Bと、上記第1ローノイズアンプ24A,24Bのバイアスを制御するバイアス切換回路25と、上記第1,第2ローノイズアンプ24A,24Bからの各出力を合成する信号合成器26と、上記信号合成器26からの出力信号のうちの特定の周波数帯の信号を通すバンドパスフィルタ27と、上記バンドパスフィルタ27からの出力信号を後述する局部発振周波数に基づいて中間周波数信号に変換する周波数変換器としてのミキサ28と、上記ミキサ28からの中間周波数信号を増幅するIFアンプ29と、上記ミキサ28に局部発振周波数信号を出力する局部発振器30と、上記バイアス切換回路25に出力制御信号を出力する制御部としての受信モード制御回路31とを備えている。また、上記IFアンプ29の出力と出力端子23との間に直流阻止コンデンサC3を接続すると共に、出力端子23と受信モード制御回路31の入力との間に高周波チョークコイルL3を接続している。
【0031】
上記構成の衛星放送受信用コンバータは、円偏波,垂直偏波および水平偏波の切り換えは、第1,第2ローノイズアンプ24A,24Bのバイアスをオンオフすることによって行う。
【0032】
すなわち、垂直偏波を受信する場合、第1ローノイズアンプ24Aのバイアスをオンすると共に、第2ローノイズアンプ24Bのバイアスをオフする。そうすると、上記第1プローブ2Aにより受信された垂直偏波信号は、第1ローノイズアンプ24Aで増幅され、信号合成器26およびフィルタ27を通過した後、ミキサ28で中間周波数の信号に変換され、IFアンプ29で増幅され、IF出力信号が出力される。一方、第2ローノイズアンプ24Bのバイアスがオフになっているために動作せず、水平偏波信号は阻止される。
【0033】
また、水平偏波を受信する場合、第1ローノイズアンプ24Aのバイアスをオフすると共に、第2ローノイズアンプ24Bのバイアスをオンする。そうすると、上記第1プローブ2Bにより受信された水平偏波信号は、第2ローノイズアンプ24Bで増幅され、信号合成器26およびフィルタ27を通過した後、ミキサ28で中間周波数の信号に変換され、IFアンプ29で増幅され、IF出力信号が出力される。一方、第1ローノイズアンプ24Aのバイアスがオフになっているために動作せず、垂直偏波信号は阻止される。
【0034】
一方、円偏波を受信する場合は、第1,第2ローノイズアンプ24A,24Bを両方ともバイアスをオンする。そうすると、互いに90°の位相差を有する垂直偏波信号と水平偏波信号とが信号合成器26により合成されて、元の円偏波信号が復元された後、直線偏波受信時と同じ経路でIF出力信号が出力される。
【0035】
この第1,第2ローノイズアンプ24A,24Bのバイアス切換回路25を制御するための受信モード指令信号は、出力端子23に接続された出力信号ケーブルにDC電源(図示せず)から供給される直流電圧と共に重畳されて、レシーバ側からこの衛星放送受信用コンバータに送られる。
【0036】
このように、スイッチを別に設けることなく、垂直偏波と水平偏波および円偏波を受信でき、直線偏波および円偏波の交差偏波特性が良好な衛星放送受信用コンバータを実現することができる。
【0037】
(第4実施形態)
図6はこの発明の第4実施形態の衛星放送受信用コンバータのブロック図である。この衛星放送受信用コンバータは、第1実施形態の衛星放送受信用コンバータの構成のうち、導波管,第1プローブ,第2プローブおよびショート棒は同じ構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略する。
【0038】
上記衛星放送受信用コンバータは、上記第1プローブ2Aからの垂直偏波信号を増幅する第1増幅器としての第1ローノイズアンプ44Aと、上記第2プローブ2Bからの水平偏波信号を増幅する第2増幅器としての第2ローノイズアンプ44Bと、上記第1,第2ローノイズアンプ44A,44Bの出力が入力される信号合成器46と、上記第1ローノイズアンプ44Aの出力信号のうちの特定の周波数帯の信号を通す第1バンドパスフィルタ47Aと、上記第2ローノイズアンプ44Bの出力信号のうちの特定の周波数帯の信号を通す第2バンドパスフィルタ47Bと、上記信号合成器46の出力信号のうちの特定の周波数帯の信号を通す第3バンドパスフィルタ47Cと、上記第1,第2,第3バンドパスフィルタ47A,47B,47Cからの各出力信号を後述する局部発振周波数に基づいて中間周波数信号に夫々変換する第1,第2,第3周波数変換器としての第1,第2,第3ミキサ48A,48B,48Cと、上記第1,第2,第3ミキサ48A,48B,48Cからの各中間周波数信号を夫々増幅する第1,第2,第3IFアンプ49A,49B,49Cと、上記第1,第2ミキサ48A,48Bに局部発振周波数信号を出力する第1局部発振器50Aと、第3ミキサ48Cに局部発振周波数信号を出力する第2局部発振器50Bとを備えている。また、上記第1,第2,第3IFアンプ49A,49B,49Cの各出力信号を第1,第2,第3出力端子53A,53B,53Cから夫々出力する。
【0039】
上記構成の衛星放送受信用コンバータにおいて、上記第1プローブ2Aにより受信された垂直偏波信号は、第1ローノイズアンプ44Aで増幅され、第1フィルタ47Aを通過した後、第1ミキサ48Aで中間周波数の信号に変換され、第1IFアンプ49Aで増幅され、IF出力信号が第1出力端子43Aから出力される。また、第2プローブ2Bにより受信された水平偏波信号は、第2ローノイズアンプ44Bで増幅され、第2フィルタ47Bを通過した後、第2ミキサ48Bで中間周波数の信号に変換され、第2IFアンプ49Bで増幅され、IF出力信号が第2出力端子43Bに出力される。
【0040】
また、円偏波信号は、上記第1,第2プローブ2A,2Bにより受信された90゜の位相差を有する垂直偏波信号と水平偏波信号が第1,第2ローノイズアンプ44A,44Bで夫々増幅され、信号合成器46により合成され、元の円偏波信号が復元された後、第3フィルタ47Cを通過した後、第3ミキサ48Cで中間周波数の信号に変換され、第3IFアンプ49Cで増幅され、IF出力信号が第3出力端子43Cに出力される。
【0041】
ここで、例えば送信周波数が12.2〜12.75GHzのCS衛星の場合、垂直偏波信号と水平偏波信号を受信する回路の第1,第2ミキサ48A,48Bに局部発振周波数信号を出力する第1局部発振器50Aの周波数を11.2GHzとすると、中間周波数は1000〜1550MHzとなる。一方、送信周波数が11.7〜12.0GHzのBS衛星の場合は、第3ミキサ48Cに局部発振周波数信号を出力する第2局部発振器50Bの周波数を10.678GHzとすると、中間周波数は1022〜1322MHzとなる。
【0042】
このように、上記衛星放送受信用コンバータは、直線偏波と円偏波を受信でき、直線偏波および円偏波の交差偏波特性が良好な衛星放送受信用コンバータを実現することができる。さらに、BS衛星とCS衛星という異なる周波数で、かつ、異なる偏波の衛星の受信信号をほぼ同じ帯域の中間周波数として3つの出力端子43A,43B,43Cから夫々出力することが可能で、しかも、直線偏波および円偏波の交差偏波特性が良好な衛星放送受信用コンバータを実現することができる。
【0043】
(第5実施形態)
図7はこの発明の第5実施形態の衛星放送受信用コンバータのブロック図である。この衛星放送受信用コンバータは、第1実施形態の衛星放送受信用コンバータの構成のうち、導波管,第1プローブ,第2プローブおよびショート棒は同じ構成をしており、同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略する。
【0044】
上記衛星放送受信用コンバータは、上記第1プローブ2Aからの垂直偏波信号を増幅する第1増幅器としての第1ローノイズアンプ64Aと、上記第2プローブ2Bからの水平偏波信号を増幅する第2増幅器としての第2ローノイズアンプ64Bと、上記第1,第2ローノイズアンプ64A,64Bの出力が入力される第1信号合成器66と、上記第1ローノイズアンプ64Aの出力信号のうちの特定の周波数帯の信号を通す第1バンドパスフィルタ67Aと、上記第2ローノイズアンプ64Bの出力信号のうちの特定の周波数帯の信号を通す第2バンドパスフィルタ67Bと、上記第1信号合成器66の出力信号のうちの特定の周波数帯の信号を通す第3バンドパスフィルタ67Cと、上記第1,第2,第3バンドパスフィルタ67A,67B,67Cからの各出力信号を後述する局部発振周波数に基づいて中間周波数信号に夫々変換する第1,第2,第3周波数変換器としての第1,第2,第3ミキサ68A,68B,68Cと、上記第1,第2,第3ミキサ68A,68B,68Cからの各中間周波数信号を夫々増幅する第1,第2,第3IFアンプ69A,69B,69Cと、上記第1ミキサ68Aに局部発振周波数信号を出力する第1局部発振器70Aと、第2,第3ミキサ68B,68Cに局部発振周波数信号を出力する第2局部発振器70Bとを備えている。また、上記衛星放送受信用コンバータは、第1,第2,第3IFアンプ69A,69B,69Cの各出力が入力された第4IFアンプ69Dを備え、第4IFアンプ69Dの出力信号を出力端子73から出力する。上記第1〜第4IFアンプ69A〜69Dで第2信号合成器を構成している。
【0045】
上記構成の衛星放送受信用コンバータにおいて、第1プローブ2Aにより受信された垂直偏波信号は、第1ローノイズアンプ64Aで増幅され、第1フィルタ67Aを通過した後、第1ミキサ68Aで中間周波数の信号に変換される。また、第2プローブ2Bにより受信された水平偏波信号は、第2ローノイズアンプ64Bで増幅され、第2フィルタ67Bを通過した後、第2ミキサ68Bで中間周波数の信号に変換される。
【0046】
また、円偏波信号は、上記第1,第2プローブ2A,2Bにより受信された90゜の位相差を有する垂直偏波信号と水平偏波信号が第1,第2ローノイズアンプ64A,64Bで夫々増幅され、第1信号合成器66により合成され、元の円偏波信号が復元された後、第3フィルタ67Cを通過した後、第3ミキサ68Cで中間周波数の信号に変換される。
【0047】
ここで、例えば送信周波数が12.2〜12.75GHzのCS衛星の場合、垂直偏波信号を受信する回路の第1ミキサ68Aに局部発振周波数信号を出力する第1局部発振器70Aの周波数を10.125GHzとすると、中間周波数は2075〜2625MHzとなる。また、第2ミキサ68B(水平偏波信号を受信する回路)および第3ミキサ68C(送信周波数が11.7〜12.0GHzのBS衛星の円偏波信号を受信する回路)に局部発振周波数信号を出力する第2局部発振器70Bの周波数を10.75GHzとすると、CS衛星の水平偏波信号の中間周波数は1450〜2000MHzとなり、BS衛星の中間周波数は950〜1250MHzとなる。
【0048】
このように、上記衛星放送受信用コンバータは、直線偏波と円偏波を受信でき、直線偏波および円偏波の交差偏波特性が良好な衛星放送受信用コンバータを実現することができる。さらに、BS衛星とCS衛星という異なる周波数で、かつ異なる偏波の衛星の受信信号を、1つの出力端子から異なる周波数帯域の中間周波数として出力することが可能で、しかも、直線偏波および円偏波の交差偏波特性が良好な衛星放送受信用コンバータを実現することができる。
【0049】
上記第1〜第5実施形態では、垂直偏波と水平偏波の位相差を90゜としたが、垂直偏波と水平偏波の位相差を270゜または450°でも同時に受信可能で、第1,第2プローブ2A,2Bの距離が導波管内波長λgの1/4の奇数倍であればよい。また、上記第1〜第5実施形態では、導波管1の断面形状を円形としたが、矩形等の他の断面形状の導波管でもよい。
【0050】
また、上記第1〜第5実施形態の信号合成器6,26,46,66は、増幅器を用いたものでもよいし、増幅機能を有しない加算回路でもよい。上記信号合成器に単なる加算回路を用いることによって、回路構成を簡略化でき、チップ面積を縮小して、小型化,低コスト化が図れる。
【0051】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の衛星放送受信用コンバータは、導波管の軸方向に管内波長の1/4の奇数倍の距離をあけて、互いの軸が略直角に交差するように上記導波管に設けられた第1プローブと第2プローブにより受信された受信信号を第1増幅器と第2増幅器により夫々増幅し、上記第1,第2増幅器の出力信号を信号合成器により合成すると共に、上記第1増幅器の出力信号を第1周波数変換器により中間周波数信号に周波数変換し、上記第2増幅器の出力信号を第2周波数変換器により中間周波数信号に周波数変換し、上記信号合成器の出力信号を第3周波数変換器により中間周波数信号に周波数変換して、上記第1,第2,第3周波数変換器からの中間周波数信号を第1,第2,第3出力端子から夫々出力するものである。
【0052】
したがって、請求項1の発明の衛星放送受信用コンバータによれば、CS衛星からの垂直偏波や水平偏波およびBS衛星からの円偏波を受信することができ、上記第1 , 第2プローブを導波管内波長の1/4の奇数倍の間隔をあけて導波管に設けているので、第1 , 第2プローブが電磁界的に互いに干渉することなく、また、第1 , 第2プローブを互いの軸が略直角に交差するように導波管に設けているので、円偏波を受信する場合に垂直偏波成分と水平偏波成分の位相差を90゜の奇数倍にして、垂直偏波成分と水平偏波成分を信号合成器で合成することによって、容易に円偏波信号を復元することができる。このように、導波管内の垂直偏波用のプローブと水平偏波用のプローブの位置が離されるため、お互いのプローブの電磁界的な干渉が無くなり、交差偏波特性の悪化を招くことがなく、1台の衛星放送受信用コンバータで円偏波および垂直 , 水平の直線偏波を受信することができる。さらに、3つの中間周波数信号を夫々独立した出力端子から出力することができるため、共聴(共同)受信システムなどのアンテナに最適である。
【0053】
また、請求項2の発明の衛星放送受信用コンバータは、導波管の軸方向に管内波長の1/4の奇数倍の距離をあけて、互いの軸が略直角に交差するように上記導波管に設けられた第1プローブと第2プローブにより受信された受信信号を第1増幅器と第2増幅器により夫々増幅し、上記第1,第2増幅器の出力信号を第1信号合成器により合成すると共に、上記第1増幅器の出力信号を第1中間周波数信号に第1周波数変換器より周波数変換し、上記第2増幅器の出力信号を上記第1中間周波数信号と周波数が異なる第2中間周波数信号に第2周波数変換器により周波数変換し、上記第1信号合成器の出力信号を上記第1,第2中間周波数信号と周波数が異なる第3中間周波数信号に第3周波数変換器により周波数変換し、上記第1,第2,第3周波数変換器からの第1,第2,第3中間周波数信号を第2信号合成器により合成して、上記第2信号合成器からの出力信号を1つの出力端子から出力するものである
【0054】
したがって、請求項2の発明の衛星放送受信用コンバータによれば、CS衛星からの垂直偏波や水平偏波およびBS衛星からの円偏波を受信することができ、上記第1 , 第2プ ローブを導波管内波長の1/4の奇数倍の間隔をあけて導波管に設けているので、第1 , 第2プローブが電磁界的に互いに干渉することなく、また、第1 , 第2プローブを互いの軸が略直角に交差するように導波管に設けているので、円偏波を受信する場合に垂直偏波成分と水平偏波成分の位相差を90゜の奇数倍にして、垂直偏波成分と水平偏波成分を信号合成器で合成することによって、容易に円偏波信号を復元することができる。このように、導波管内の垂直偏波用のプローブと水平偏波用のプローブの位置が離されるため、お互いのプローブの電磁界的な干渉が無くなり、交差偏波特性の悪化を招くことがなく、1台の衛星放送受信用コンバータで円偏波および垂直 , 水平の直線偏波を受信することができる。さらに、3つの中間周波数信号の周波数が夫々重ならないように周波数変換を行って、3つの中間周波数信号が合成された信号を、1つの出力端子から1本のケーブルによって3種類の信号を出力することができるため、共聴(共同)受信システムなどのアンテナに最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の衛星放送受信用コンバータのブロック図である。
【図2】図2はこの発明の第2実施形態の衛星放送受信用コンバータのブロック図である。
【図3】図3は上記衛星放送受信用コンバータが受信する衛星の送信信号周波数と偏波の関係を示す図である。
【図4】図4は図上記衛星放送受信用コンバータのIF出力信号周波数と偏波の関係を示す図である。
【図5】図5はこの発明の第3実施形態の衛星放送受信用コンバータのブロック図である。
【図6】図6はこの発明の第4実施形態の衛星放送受信用コンバータのブロック図である。
【図7】図7はこの発明の第5実施形態の衛星放送受信用コンバータのブロック図である。
【図8】図8は従来の衛星放送受信用コンバータのブロック図である。
【符号の説明】
1…円形導波管、
2A,2B…プローブ、
3…ショート棒、
4A,4B,24A,24B,44A,44B,64A,64B…ローノイズアンプ、
5A,5B…スイッチ、
6,26,46,66…信号合成器、
7,27,47A〜47C,67〜67C…バンドパスフィルタ、
8,28,48A〜48C,68A〜68C…ミキサ、
9,29,49A〜49C,69A〜69D…IFアンプ、
10,30,50A,50B,70A,70B…局部発振器、
11,31…受信モード制御回路、
12…周波数切換回路、
13,23,53A〜53C,73…出力端子、
25…バイアス切換回路。
Claims (2)
- 導波管と、
上記導波管の軸方向に管内波長の1/4の奇数倍の距離をあけて、互いの軸が略直角に交差するように上記導波管に設けられた第1プローブと第2プローブと、
上記第1,第2プローブにより受信された受信信号を夫々増幅する第1増幅器と第2増幅器と、
上記第1,第2増幅器の出力信号を合成する信号合成器と、
上記第1増幅器の出力信号を中間周波数信号に周波数変換する第1周波数変換器と、
上記第2増幅器の出力信号を中間周波数信号に周波数変換する第2周波数変換器と、
上記信号合成器の出力信号を中間周波数信号に周波数変換する第3周波数変換器と、
上記第1,第2,第3周波数変換器からの中間周波数信号を夫々出力する第1,第2,第3出力端子とを備えたことを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。 - 導波管と、
上記導波管の軸方向に管内波長の1/4の奇数倍の距離をあけて、互いの軸が略直角に交差するように上記導波管に設けられた第1プローブと第2プローブと、
上記第1,第2プローブにより受信された受信信号を夫々増幅する第1増幅器と第2増幅器と、
上記第1,第2増幅器の出力信号を合成する第1信号合成器と、
上記第1増幅器の出力信号を第1中間周波数信号に周波数変換する第1周波数変換器と、
上記第2増幅器の出力信号を上記第1中間周波数信号と周波数が異なる第2中間周波数信号に周波数変換する第2周波数変換器と、
上記第1信号合成器の出力信号を上記第1,第2中間周波数信号と周波数が異なる第3中間周波数信号に周波数変換する第3周波数変換器と、
上記第1,第2,第3周波数変換器からの上記第1,第2,第3中間周波数信号を合成する第2信号合成器と、
上記第2信号合成器からの出力信号を出力する1つの出力端子とを備えたことを特徴とする衛星放送受信用コンバータ。
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