JP3597070B2 - 耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置およびその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂の原料と、多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分からなる被混合材料とを混合して良品質の耐衝撃性熱可塑性樹脂を製造する耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱可塑性の、またはその他の合成樹脂の耐衝撃性変性のためのエラストマー組成分としてグラフト接合され、またはグラフト接合されていない粒状化ゴム(グラフト化ゴム)がしばしば使用される。そして、熱可塑性樹脂の耐衝撃性改善のために熱可塑性樹脂原料にグラフト化ゴム粒子を混合することにより、耐衝撃性熱可塑性樹脂、例えばABS系樹脂を製造する方法が従来から開発されている。ここで、熱可塑性樹脂原料にグラフト化ゴム粒子を被混合材料として押出機により混合する方法がABSポリマー、耐衝撃性PMMAなど一般に利用されている。このようなグラフト化ゴム材料は通常、乳化重合等により製造される。この乳化重合により製造したグラフト化ゴムラテックスより、凝固、析出した粒子は水洗され、遠心脱水等で機械的に部分脱水される。
【0003】
さらに、部分脱水されたグラフト化ゴムは最大70%以下、通常30%前後の水分を含むが、フラッシュ乾燥、流動層乾燥等により数パーセント以下程度の水分率に脱水された後、熱可塑性樹脂と所定比率で押出機に供給される。そして、溶融、混練、脱気を行なった後、ペレット化し、耐衝撃性熱可塑性樹脂成形材料となる。この方法の省エネ、省工程化を図るため、上記部分脱水グラフト化ゴムから直接ペレット化する方法も一般に用いられている。
【0004】
この種の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置として例えば特公昭59−37021号公報には2軸押出機を使用する装置が示されている。ここでは、熱可塑性樹脂原料と、多量の水分を含有するゴム組成分とがそれぞれ2軸押出機のホッパー等の供給装置側に同時に投入されるようになっている。そして、2軸押出機では熱可塑性樹脂原料と、多量の水分を含有するゴム組成分との混合物である含水ゴム状重合体を前方に送る際に、この2軸押出機のスリットバレルと、順ネジ方向の順方向スクリューと、逆ネジ方向の逆方向スクリューとの組み合わせによる機械的部分脱水を行なった後、残水分をベントスタッファーによる大気圧ベント、真空ベントを行なって2軸押出機の外部に除去することにより、耐衝撃性熱可塑性樹脂が製造されるようになっている。
【0005】
また、特公平7−42392号公報には2軸押出機のホッパー等の供給装置側に多量の水分を含有するゴム組成分である含水ゴム状重合体の投入部を設けるとともに、この2軸押出機の途中に熱可塑性樹脂原料である溶融樹脂の供給部を設けた構成が示されている。ここでは、2軸押出機の上流側で含水ゴム状重合体を部分脱水した直後の部分からベントスタッファー迄の間で溶融樹脂を供給し、混合するようになっている。
【0006】
さらに、USP3,742,093には熱可塑性樹脂とゴム組成分とを混合する非噛み合い型2軸押出機が示されている。ここでは、2軸押出機内に熱可塑性樹脂とゴム組成分との混合体を加圧する加圧部を設け、熱可塑性樹脂とゴム組成分との混合体から多量の水分を蒸発分離させることなく、加圧下に液状で排出させる方法が示されている。
【0007】
また、特開平8−332631号公報、特開平9−1546号公報、特開平9−11230号公報、特開平9−11231号公報には2軸押出機の上流側に多量の水分を含有するゴム組成分である含水ゴム状重合体の投入部を設けるとともに、この2軸押出機の途中に熱可塑性樹脂原料である溶融樹脂の合流部を設けた構成が示されている。ここでは、2軸押出機中の含水ゴム状重合体の投入部と溶融樹脂の合流部との間に2段の含水ゴム脱水帯域が配設され、溶融樹脂の合流部の下流側に残留水分を除去する開放ベントが配設されている。そして、2段の含水ゴム脱水帯域を通過することで脱水率を高めたゴム組成分を下流の溶融樹脂の合流部で溶融樹脂と混合し、残留水分を開放ベントより除去するようになっている。
【0008】
また、EP0534235B1では主押出機の中間に副押出機を連結し、主押出機における副押出機との合流部の上流と下流部にそれぞれベントポートを配設した構成が示されている。ここでは、副押出機によりゴム組成分を機械的部分脱水したのち、この機械的部分脱水物を主押出機の中間部に供給して軟化点以上に加熱した熱可塑性樹脂中に混入し、主押出機に持ち込んだ残留水分は合流部の上流と下流部のベントポートから蒸気として分離されるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭59−37021号公報の装置では、2軸押出機による押出量が増加した場合にはベントスタッファーからの蒸気排出速度が大きくなるので、ベントスタッファーから排出される蒸発ガス中に半溶融の樹脂片が混入されやすい不都合を生じる。
【0010】
また、特公平7−42392号公報の装置では2軸押出機の上流側で含水ゴム状重合体を部分脱水した直後の部分からベントスタッファー迄の間で溶融樹脂を供給し、混合するようにしたので、ベントスタッファー帯域での樹脂溶融状態が良好になる。そのため、ベントスタッファーから排出される蒸発ガス中に半溶融の樹脂片が混入される樹脂片の飛び出し現象は改善されるが、2軸押出機の中で多量の水分を蒸発分離させるため、所要エネルギーの改善は十分でない。
【0011】
さらに、USP3,742,093の非噛み合い型2軸押出機ではゴム組成分と熱可塑性樹脂との均一な分散混合を行なう事は困難である。特に、製造原単位の節減上有利なゴム比率の高いゴム組成にした場合には、熱可塑性樹脂とゴム組成分との混合体を実質的に良好に分散混合することは不可能である。そのため、ABS樹脂の製品中にフィシュアイ、ブツ等の欠陥が発生し易く、欠陥の無い良好なABS樹脂を作る事は困難である。
【0012】
また、特開平8−332631号公報、特開平9−1546号公報、特開平9−11230号公報、特開平9−11231号公報等のようにゴム組成分を単独で高温度下において脱水した場合にはしばしば熱可塑性樹脂との混合により得られた耐衝撃性熱可塑性樹脂をシート成形したときに発生するフィッシュアイ等の欠陥を招きやすい。これは特に製造単位節減上も有利なゴム比率の高いゴム組成物を使用するうえの障害となる。
【0013】
さらに、上記方法ではゴム組成分の高脱水率を得る為、2段の堰き止め部を持ったスクリュー構成を使用している。このような高度の混練部を持ったスクリューは、特定のゴム組成分の脱水には有効であっても、異なるグレードのゴム組成分の処理に対しての寛容度が小さくなりやすい問題がある。
【0014】
また、EP0534235B1では異なるグレードのゴム組成分の処理に対しての寛容度は上がるが、主押出機中で、多量の水分を蒸発させる点は解決されていない。
【0015】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、熱可塑性樹脂原料と被混合材料である多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分とを押出機中で混合して耐衝撃性熱可塑性樹脂を製造する際に、運転操作の自由度の高いコンパクトな装置により、効率的に脱水し、エネルギー効率よく高品質な耐衝撃性熱可塑性樹脂を製造することができる耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置およびその方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は熱可塑性樹脂の原料供給部を備えた第1の押出機と、この第1の押出機の中途部に連結され、上記熱可塑性樹脂原料と混合される被混合材料である多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分の供給部を備えた第2の押出機と、この第2の押出機に配設され、上記被混合材料の含有水分を機械的に圧縮して脱水する脱水手段と、上記第1の押出機内における上記熱可塑性樹脂原料と上記被混合材料との混合部に配設され、この混合部を加圧して含有水分の蒸発分離を低減する加圧混合手段と、この加圧混合手段による加圧状態を保持しながら上記混合物から含有水分を外部に排水する加圧排水手段とを具備することを特徴とする耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置である。
【0017】
そして、本請求項1の発明では耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造時には第1の押出機の原料供給部に熱可塑性樹脂の原料が供給され、第2の押出機におけるグラフト化ゴム組成分の供給部に熱可塑性樹脂原料と混合される被混合材料である多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分が供給される。ここで、第2の押出機に供給された被混合材料はこの第2の押出機の脱水手段によって機械的に圧縮されてグラフト化ゴム組成分の含有水分が部分脱水された状態で第1の押出機の中途部に供給され、第1の押出機の上流側から送られる熱可塑性樹脂の原料と混合される。このとき、第1の押出機内における熱可塑性樹脂原料と被混合材料との混合部は加圧混合手段によって加圧されて混合物に含まれる揮発性成分の沸点が上昇されることにより、含有水分の蒸発分離が低減される。そして、加圧排水手段によって加圧混合手段による加圧状態を保持しながら混合物から含有水分を外部に排水するようにしたものである。
【0018】
請求項2の発明は上記第2の押出機は、上記第1の押出機のスクリュー・バレルに任意の角度で接続して配置されるスクリューを有し、上記脱水手段は、上記第2の押出機における上記第1の押出機との連結部に配設され、上記第2の押出機のスクリューの先端部に形成され、先端に向かうにしたがって直径が漸次減少する略円錐形のスクリュー頭部と、それに略対応した略円錐形のバレル壁とが組み合わされた先端に向かうにしたがって直径が漸次減少する機械的な圧縮部を備え、上記圧縮部は、上記第2の押出機のスクリュー軸と上記バレル壁との軸方向の相対的移動により、上記スクリュー頭部とバレル壁との間の隙間が調整可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置である。
【0019】
そして、本請求項2の発明では第2の押出機のスクリューは、第1の押出機のスクリュー・バレルに任意の角度で接続して配置される。ここで、脱水手段の機械的な圧縮部では、グラフト化ゴム組成分の被混合材料の種類に応じて第2の押出機のスクリュー軸とバレル壁とを軸方向に相対的に移動させ、略円錐形のスクリュー頭部と略円錐形バレル壁との間の隙間を調整することにより圧縮能力の調整をできるようにしたものである。
【0020】
請求項3の発明は上記第1の押出機のスクリューの外径寸法をD1、谷径寸法をd1、上記第2の押出機のスクリューの外径寸法をD2、谷径寸法をd2としたとき
D1≧D2の場合はD2/d2≧D1/d1 および/または
D1/d1>D2/d2の場合はD2>D1
に設定したことを特徴とする請求項2に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置である。
【0021】
そして、本請求項3の発明では第2の押出機のスクリューの先端部を略円錐形のスクリュー頭部とすることでD1<D2とすることが可能になる。すなわち、第2の押出機に、第1の押出機より大きいスクリュー径の押出機を使用することができるようになる。さらに、第2の押出機で行う圧縮脱水においては、一定押出量の場合、スクリュー回転数が低速になるほど圧縮脱水率が良好になる。しかし、極端に低速過ぎた場合は、やはり圧縮脱水率が悪化する。すなわち、適切な運転条件(押出量Qとスクリュー回転数Nsの関係)が存在する。ここで、本発明が対象とする含水材料は、一般的に粉体形状であるためカサ密度が小さく、高処理能力を実現するときは高スクリュー回転数にならざるを得ない。その場合、圧縮脱水率は低下する。これに対して、同処理能力を大型機で処理すれば、スクリュー回転数はより低速となり、圧縮脱水率は改善される。
【0022】
したがって、本請求項3の発明のように、スクリューの先端部が略円錐形のスクリュー頭部である第2の押出機を使用すれば、第2の押出機のスクリュー径を第1の押出機のスクリュー径より大きくすることが可能となり、より広い処理能力範囲、すなわち装置の高能力化を可能とするようにしたものである。
【0023】
請求項4の発明は上記加圧混合手段は、上記第1の押出機のスクリューにおける上記混合部の上流部分に配置され、上記混合部内の圧力を保持する圧力保持用のスクリューエレメントと、上記第1の押出機のスクリューにおける上記連結部の部分に配置され、上記熱可塑性樹脂原料と上記被混合材料との分配混合機能を持つ分配混合用のスクリューエレメントとを具備することを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置である。
【0024】
そして、本請求項4の発明では第1の押出機のスクリューにおける混合部の上流部分に配置された圧力保持用のスクリューエレメントによって混合部内の圧力を保持させた状態で、第1の押出機のスクリューにおける連結部の部分に配置された分配混合用のスクリューエレメントによって熱可塑性樹脂原料と被混合材料とを分配混合させることにより混合部を加圧して含有水分の蒸発分離を低減し、ここで混合物の温度低下を防止するようにしたものである。
【0025】
請求項5の発明は上記圧力保持用のスクリューエレメントは、シールリング、逆ネジ等の圧力発生用スクリューエレメントで構成され、上記分配混合用のスクリューエレメントは、切欠スクリュー、パイナップルスクリュー等の分配混合用スクリューエレメントで構成されることを特徴とする請求項4に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置である。
そして、本請求項5の発明ではシールリング、逆ネジ等の圧力発生用スクリューエレメントで構成される圧力保持用のスクリューエレメントによって混合部内の圧力を保持させた状態で、切欠スクリュー、パイナップルスクリュー等のスクリューエレメントで構成される分配混合用のスクリューエレメントによって熱可塑性樹脂原料と被混合材料とを分配混合させるようにしたものである。
【0026】
請求項6の発明は上記加圧排水手段は、上記第1の押出機のスクリュー軸における上記分配混合用のスクリューエレメントの下流側に配置されたバレル壁に装着され、上記分配混合用スクリューエレメントの下流側に押出された上記混合物から分離した含有水分を加圧下で外部に排水するメカニカルフィルターと、上記スクリュー軸における上記メカニカルフィルターの下流側に配置された絞り脱水用の非噛み合いリングと、上記スクリュー軸における上記非噛み合いリングの下流側にそれに接して配置された逆ねじれスクリューエレメント、またはシールリング、逆ねじれニーディングディスク等のシール手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置である。
【0027】
そして、本請求項6の発明では第1の押出機のスクリュー軸における分配混合用のスクリューエレメントの下流側に配置されたバレル壁のメカニカルフィルターによって押出された混合物から分離した含有水分を加圧下で外部に排水するとともに、スクリュー軸におけるメカニカルフィルターの下流側に配置された絞り脱水用の非噛み合いリングと、この非噛み合いリングの下流側にそれに接して配置された逆ねじれスクリューエレメント、またはシールリング、逆ねじれニーディングディスク等のシール手段によって加圧混合手段による加圧状態を保持しながら混合物から含有水分を外部に排水するようにしたものである。
【0028】
請求項7の発明は上記第1の押出機は、上記メカニカルフィルターの排水口に冷却水を供給する冷却水供給用の第1のポンプと、この第1のポンプから供給される冷却水と上記メカニカルフィルターによって分離された加圧水、残留モノマー等を混合して排出する第2のポンプであるモーノポンプと、上記メカニカルフィルターが装着されたバレル内の圧力を一定の設定圧力で保持するように上記第2のポンプを制御する制御手段とを備えた圧力保持機構をさらに具備することを特徴とする請求項6に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置である。
【0029】
そして、本請求項7の発明では第1の押出機の圧力保持機構における冷却水供給用の第1のポンプによってメカニカルフィルターの排水口に冷却水を供給するとともに、第2のポンプであるモーノポンプによって第1のポンプから供給される冷却水とメカニカルフィルターによって分離された加圧水、残留モノマー等を混合して排出し、さらに制御手段によってメカニカルフィルターが装着されたバレル内の圧力を一定の設定圧力で保持するように第2のポンプを制御するようにしたものである。
【0030】
請求項8の発明は上記圧力保持機構は、上記メカニカルフィルターが装着されたバレル内の圧力を少なくともゲージ圧が0.1MPa以上の設定圧力で保持するものであることを特徴とする請求項7に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置である。
【0031】
そして、本請求項8の発明では圧力保持機構によってメカニカルフィルターが装着されたバレル内の圧力を少なくともゲージ圧が0.1MPa以上の設定圧力で保持するようにしたものである。
【0032】
請求項9の発明は上記第1の押出機は、同方向回転噛み合い型2軸押出機であることを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置である。
【0033】
そして、本請求項9の発明では耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造時には同方向回転噛み合い型2軸押出機からなる第1の押出機を使用するようにしたものである。
【0034】
請求項10の発明は第1の押出機に熱可塑性樹脂原料を供給する熱可塑性樹脂原料の供給工程と、上記第1の押出機によって押出される熱可塑性樹脂原料の押出通路の中途部に、上記熱可塑性樹脂原料と混合される被混合材料である多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分を第2の押出機によって供給する被混合材料の供給工程と、この第2の押出機から上記第1の押出機に供給される上記被混合材料の含有水分を機械的に圧縮して脱水する脱水工程と、上記第1の押出機内における上記熱可塑性樹脂原料と上記被混合材料との混合部を加圧して含有水分の蒸発分離を低減しながら上記熱可塑性樹脂原料と上記被混合材料とを混合する加圧混合工程と、この加圧混合工程による加圧状態を保持しながら上記混合物から含有水分を外部に排水する加圧排水工程とを具備することを特徴とする耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造方法である。
【0035】
そして、本請求項10の発明では耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造時には第1の押出機に熱可塑性樹脂原料を供給する(熱可塑性樹脂原料の供給工程)とともに、第1の押出機によって押出される熱可塑性樹脂原料の押出通路の中途部に、熱可塑性樹脂原料と混合される被混合材料である多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分を第2の押出機によって供給する(被混合材料の供給工程)。このとき、第2の押出機から第1の押出機に供給される被混合材料の含有水分を機械的に圧縮して脱水し(脱水工程)、第1の押出機内における熱可塑性樹脂原料と被混合材料との混合部を加圧して含有水分の蒸発分離を低減しながら熱可塑性樹脂原料と被混合材料とを混合する(加圧混合工程)。さらに、加圧排水工程によって加圧混合工程の加圧状態を保持しながら混合物から含有水分を外部に排水するようにしたものである。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置全体の概略構成を示すものである。本実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置には主押出機である第1の押出機1と、この第1の押出機1の中途部に連結された側押出機である第2の押出機2とが設けられている。
【0037】
さらに、第1の押出機1には熱可塑性樹脂の原料供給部3、第2の押出機2には熱可塑性樹脂原料と混合される被混合材料である多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分の供給部4がそれぞれ設けられている。なお、本実施の形態では特に、グラフト化ゴム組成分である含水ゴム組成分としてポリブタジエン、SBR等のジエン系ゴム状重合体にスチレン/アクリルニトリル共重合体(SAN)等をグラフトした重合体、熱可塑性樹脂としてSANであるABSポリマー、及び耐熱ABSポリマーをそれぞれ対象とする。
【0038】
また、本実施の形態の第1の押出機1は同方向回転噛み合い型2軸押出機である例えば、東芝機械(株)社製TEM58BSを9ブロックのバレル構成とし、第2の押出機2は同方向回転噛み合い型2軸押出機である例えば、東芝機械(株)社製TEM50Bを5ブロックのバレル構成として組立てられている。そして、図1に示すように第1の押出機1の9ブロックのバレルM1〜M9は押出材料(熱可塑性樹脂の原料)の流れ方向に沿って順次並設され、第2の押出機2の5ブロックのバレルS1〜S5も同様に押出材料(グラフト化ゴム組成分)の流れ方向に沿って順次並設されている。
【0039】
また、本実施の形態の第2の押出機2の基本構成は次の通りである。すなわち、第2の押出機2には図2(B)に示すように5ブロックのバレルS1〜S5と、これらのバレルS1〜S5内に配設された同方向回転噛み合い型の2軸(図4参照)のスクリュー軸10とが設けられている。
【0040】
さらに、図2(B)中で左端部(第1の押出機1との連結端部とは反対側の端部)に配置されたバレルS1はグラフト化ゴム組成分を供給する供給バレル11によって形成されている。そして、この供給バレル11にはグラフト化ゴム組成分を計量して定量供給する供給部4である含水ゴム組成物の定量供給口が配設されている。
【0041】
また、バレルS2は脱水スリット付きバレル12によって形成されている。この脱水スリット付きバレル12にはバレル周壁面に脱水用のスリット13が形成されている。さらに、バレルS3およびバレルS4は周壁面に開口部が形成されていない閉バレル14、15によってそれぞれ形成されている。
【0042】
また、バレルS5は第1の押出機1に連結される連結バレル(連結部)16によって形成されている。ここで、この連結バレル16には被混合材料の含有水分を機械的に圧縮して脱水する脱水手段17が設けられている。
【0043】
また、第2の押出機2の同方向回転噛み合い型の2軸のスクリュー軸10は、第1の押出機1のスクリュー・バレルに任意の角度、例えば直交状態で接続して配置されている。各スクリュー軸10には図3および図4に示すように連続する略螺旋状のフライト部18が突設されたスクリューエレメント19が設けられている。そして、この同方向回転噛み合い型の2軸のスクリュー軸10の駆動により、水分を多量に含有する含水ゴム組成分を供給バレル11、脱水スリット付きバレル12、閉バレル14、15および連結バレル16で構成される同方向回転噛合2軸型の第2の押出機2に計量供給し、この第2の押出機2から第1の押出機1側に定量的に強制供給するようになっている。
【0044】
さらに、各スクリュー軸10の先端部(第1の押出機1との連結部側の端部)には略円錐形のスクリュー頭部20が設けられている。このスクリュー頭部20には図3および図4に示すようにスクリュー軸10の軸部と略同径な大径円筒部20aと、スクリュー頭部20の最先端位置に配置された小径円筒部20bと、これらの大径円筒部20aと小径円筒部20bとの間に配置された先細状の略円錐部20cとがそれぞれ設けられている。ここで、小径円筒部20bはスクリュー軸10の軸部よりも小径に形成されている。
【0045】
また、連結バレル16にはスクリュー軸10のスクリュー頭部20の形状に対応した同心のバレル壁21が形成されている。このバレル壁21には図3に示すようにスクリュー軸10のフライト部18との間に所定の隙間が形成される大径孔部21aと、スクリュー頭部20の大径円筒部20aよりも小径で、小径円筒部20bよりも大径な小径孔部21bと、これらの大径孔部21aと小径孔部21bとの間に配置された先細状の円錐形でその一部がへこんだ孔部21cとがそれぞれ設けられている。
【0046】
そして、第2の押出機2のスクリュー軸10と連結バレル16のバレル壁21との軸方向の相対的移動により、スクリュー頭部20の略円錐部20cとバレル壁21の孔部21cとの間の隙間Lが図5(A)〜(C)に示すように調整可能となっている。なお、図5(A)はスクリュー頭部20の略円錐部20cとバレル壁21の孔部21cとの間の隙間Lが0の状態、図5(B)はスクリュー頭部20の略円錐部20cとバレル壁21の孔部21cとの間の隙間Lが小さい状態、図5(C)はスクリュー頭部20の略円錐部20cとバレル壁21の孔部21cとの間の隙間Lが大きい状態をそれぞれ示す。
【0047】
これにより、2軸のスクリュー軸10の駆動により、供給バレル11、脱水スリット付きバレル12、閉バレル14、15を順次介して連結バレル16側に定量的に強制供給された水分を多量に含有する含水ゴム組成分はスクリュー頭部20の略円錐部20cとバレル壁21の孔部21cとの間の隙間Lを通過する際に絞られる状態で機械的に圧縮されて含有水分の一部が脱水されるようになっている。したがって、第2の押出機2のスクリュー軸10の略円錐形スクリュー頭部20と、連結バレル16のバレル壁21とが組み合わされて被混合材料の含有水分を機械的に圧縮して脱水する機械的な圧縮部22が形成され、この機械的な圧縮部22によって第2の押出機2の脱水手段17が構成されている。
【0048】
そして、含有水分の一部が脱水された高粘度の含水ゴム組成分は第2の押出機2から第1の押出機1側に供給されるようになっている。このとき、機械的な圧縮部22で脱水された水分は脱水スリット付きバレル12のスリット13から外部に排水されるようになっている。
【0049】
なお、脱水手段17の機械的な圧縮部22では、グラフト化ゴム組成分の被混合材料の種類に応じて第2の押出機2のスクリュー軸10と連結バレル16のバレル壁21とを軸方向に相対的に移動させ、スクリュー頭部20の略円錐部20cとバレル壁21の孔部21cとの間の隙間Lを調整できるようになっている。このスクリュー軸10の軸方向の移動に応じた隙間Lの調整により、第2の押出機2内の圧力制御を可能とし、異なるグレードの含水ゴム組成分への脱水条件設定の自由度を高めるようになっている。
【0050】
なお、本実施の形態ではバレル壁21に先細状の円錐形でその一部がへこんだ孔部21cを設けているが、その一部が膨らんだ孔部21cとしてもよい。また、この凸凹をスクリュー頭部20の先細状の円錐形でその一部を凸凹とした略円錐部20cとしてもよい。このようにスクリュー頭部20の略円錐部20cおよび/または孔部21cを適宜凸凹や球面状に設けることにより、略円錐部と同等の機械的な圧縮部22を構成することができる。
【0051】
また、本実施の形態の第1の押出機1の基本構成は次の通りである。すなわち、第1の押出機1には図2(A)に示すように9ブロックのバレルM1〜M9と、これらのバレルM1〜M9内に配設された同方向回転噛み合い型の2軸のスクリュー軸30とが設けられている。
【0052】
また、図2(A)中で右端部に配置された最上流位置のバレルM1は溶融熱可塑性樹脂の原料を供給する供給バレル31によって形成されている。この供給バレル31には溶融熱可塑性樹脂の原料を溶融状態、或いはペレット状で計量供給する原料供給部3である計量供給口が配設されている。さらに、バレルM2は第1の加熱バレル32によって形成されている。
【0053】
また、スクリュー軸30には供給バレル31および第1の加熱バレル32と対応する部分に順ねじ(右ねじ)方向の第1の送りスクリューエレメント33が配設されている。そして、供給バレル31から供給される溶融熱可塑性樹脂の原料はスクリュー軸30の回転にともない第1の送りスクリューエレメント33によって下流側に圧送されるようになっており、供給バレル31および第1の加熱バレル32内には溶融熱可塑性樹脂の圧送領域区間34が形成されている。
【0054】
また、バレルM3は第2の押出機2との合流バレル35によって形成されている。この合流バレル35には第2の押出機2の連結バレル16が連結される連結部36が形成されている。
【0055】
なお、第2の押出機2の部分脱水ゴム組成分排出口は第1の押出機1の合流バレル35の外壁面に任意の角度で結合されている。ここで、第2の押出機2と第1の押出機1との連結部では第2の押出機2のスクリュー軸10の頭部20の先端が第1の押出機1のスクリュー軸30に接触することなく、かつ停滞空間を作らないように配置されている。
【0056】
また、スクリュー軸30には合流バレル35と対応する部分に熱可塑性樹脂原料と被混合材料との分配混合機能を持つ分配混合用のスクリューエレメント37が配置されている。この分配混合用のスクリューエレメント37は図6(A),(B)に示すようにスクリュー軸30の外周面に複数の突起部38が突設され、かつこれらの複数の突起部38が略スパイラル状に並べて配置されたパイナップルスクリュー39等の分配混合用スクリューエレメントによって構成されている。なお、分配混合用のスクリューエレメント37としてはパイナップルスクリュー39に代えて例えば、ねじ軸状の送りスクリューエレメントのフライトの一部を切欠させた切欠スクリューを使用しても良い。
【0057】
さらに、スクリュー軸30にはパイナップルスクリュー39の上流部分に合流バレル35内の混合部を加圧状態で保持する圧力保持用のスクリューエレメント(加圧混合手段)40が配置されている。この圧力保持用のスクリューエレメント40は、シールリング、逆ネジ(左ネジ)等の圧力発生用スクリューエレメントで構成されている。
【0058】
そして、合流バレル35内には第1の押出機1の上流側から圧送される溶融熱可塑性樹脂と、第2の押出機2から供給される脱水ゴム組成分とが合流され、分散混合される合流、分散混合区間(混合部)42が形成されている。さらに、圧力保持用のスクリューエレメント40によって合流、分散混合区間42を加圧して含有水分の蒸発分離を低減することで混合物の温度低下を防止するようになっている。
【0059】
なお、パイナップルスクリュー39の下流部分に合流バレル35内の混合部を加圧状態で保持する圧力保持用のスクリューエレメント41を配置することにより、スクリューエレメント40と協働して加圧してさらに含有水分の蒸発分離を低減することで混合物の温度低下を防止するようになっている。
【0060】
また、第1の押出機1のバレルM4は第2の加熱バレル43によって形成されている。ここで、スクリュー軸30にはこの第2の加熱バレル43と対応する部分に順ねじ方向の第2の送りスクリューエレメント44が配設されている。
【0061】
さらに、第2の加熱バレル43にはこの区間で分離された水、蒸気を外部に一定圧力下に排出するための開口部45と、この開口部45に連結された図7(A),(B)に示すメカニカルフィルター(MF)46とが設けられている。このメカニカルフィルター46は加熱バレル43内の混合物から分離された分離水(加圧水)を主として液状でバレル43より排出(脱水)するものである。このメカニカルフィルター46にはメカニカルフィルターバレル47と、このメカニカルフィルターバレル47内に配設された異方向回転噛合型2軸スクリューによって形成されているメカニカルフィルタースクリュー48とが設けられている。
【0062】
また、メカニカルフィルタースクリュー48の駆動モータ49の駆動軸50は歯車箱51内の歯車機構52およびカップリング53を介してメカニカルフィルタースクリュー48のスクリュー軸54に連結されている。なお、メカニカルフィルターバレル47の一端部はメカニカルフィルターダイ55を介して第2の加熱バレル43に取付けられている。さらに、メカニカルフィルターバレル47の他端部は軸シール箱56に取付けられている。この軸シール箱56には軸シール57が装着されている。そして、メカニカルフィルタースクリュー48のスクリュー軸54はこの軸シール57によってシールされている。
【0063】
これにより、第2の加熱バレル43の内部にはこの加熱バレル43内の第2の送りスクリューエレメント44によって下流側に押出される混合物から分離された分離水(加圧水)を主として液状で排出する加圧脱水帯域58が形成されている。
【0064】
また、本実施の形態の第1の押出機1には加圧脱水帯域58内の圧力を保持する図8に示す圧力保持機構59が設けられている。この圧力保持機構59にはメカニカルフィルター46のメカニカルフィルターバレル47に形成された排水口60側に連結された2つのポンプ61,62が設けられている。ここで、メカニカルフィルターバレル47の排水口60にはジャケット付配管63の一端部が連結されている。このジャケット付配管63の他端部には2つのポンプ61,62の合流点64が設けられている。
【0065】
また、合流点64に連結された一方の第1のポンプ61は冷却水を供給する冷却水供給用のモーノポンプによって形成されている。さらに、合流点64に連結された他方の第2のポンプ62は第1のポンプ61から供給される冷却水とメカニカルフィルター46によって分離された加圧水、残留モノマー等を混合して排出するモーノポンプによって形成されている。ここで、第2のポンプ62のモーノポンプはメカニカルフィルター46からの排出液体中に原料粉、あるいは破片などが含まれていても、圧力保持機能が損なわれる事なくこれら原料粉、あるいは破片と共に脱水液を大気圧の排水系に排出することが可能である。なお、第1のポンプ61は必ずしもモーノポンプで構成する必要はなく、冷却水を圧送することができるホンプであればどのような構成のポンプでもよい。
【0066】
また、圧力保持機構59には合流点64内の圧力、または加圧脱水帯域58内の圧力を計測する圧力計65と、第2のポンプ62を制御する制御装置(制御手段)66とが設けられている。さらに、制御装置66には比較器67が接続されている。この比較器67には予め設定された合流点64内、または加圧脱水帯域58内の圧力の制御用の設定値と、圧力計65からの検出データとが入力されるようになっている。そして、制御装置66では圧力計65からの検出データが設定値と等しくなるように第2のポンプ62の速度を調整し、第2の加熱バレル43内の圧力を一定の設定圧力で保持するように制御するようになっている。
【0067】
また、第1の押出機1のバレルM5は閉バレル69によって形成されている。ここで、スクリュー軸30にはこの閉バレル69と対応する部分に必要によりニーディングディスク70が配設されている。このニーディングディスク70の下流側には絞り脱水用の非噛み合いリング71が配置され、さらに、この非噛み合いリング71の下流側にはそれに接してシールリング72が配置されている。
【0068】
また、図9(A),(B)は非噛み合いリング71の構造を示すものである。この非噛み合いリング71には図9(B)に示すように2軸のスクリュー軸30にそれぞれ固定された円形のリング本体73が設けられている。ここで、2軸の各スクリュー軸30のリング本体73間には適宜の間隔が形成されている。
【0069】
また、図10(A),(B)はシールリング72の構造を示すものである。このシールリング72には図10(B)に示すように2軸のスクリュー軸30にそれぞれ固定された小径筒体74と、この小径筒体74の外周面に突設された大径筒体75とが設けられている。ここで、2軸の各スクリュー軸30の大径筒体75は図10(A)に示すように各スクリュー軸30の軸方向にずらして互いに干渉しない位置に配置されている。なお、上記構成のシールリング72に代えて逆ねじれスクリューエレメント、または逆ねじれニーディングディスク等のシール手段を使用しても良い。
【0070】
そして、第1の押出機1の下流側から押出される溶融混合物は閉バレル69内のニーディングディスク70、非噛み合いリング71およびシールリング72によって堰き止められて溶融混合物から含有水分が絞り出されるようになっている。さらに、このとき溶融混合物から分離された含有水分は第2の加熱バレル43のメカニカルフィルター46を介して外部に排水されるようになっている。これにより、合流バレル35内のスクリューエレメント40による加圧状態を閉バレル69内のニーディングディスク70、非噛み合いリング71およびシールリング72によって保持しながら第2の加熱バレル43のメカニカルフィルター46を介して外部に排水するニーディングディスク70、非噛み合いリング71よりなる機械的水分離区間(加圧排水手段)76が形成されている。
【0071】
また、第1の押出機1における加圧排水手段76の下流部分には、残留する水分、揮発成分を更に除去するための必要な段数のベント帯域が設置され、残留水分が多い時等、必要な場合にはベントスタッファーも使用される。
【0072】
例えば、本実施の形態の第1の押出機1のバレルM6は水蒸気を排出するベントスタッファー(VST)77付きの第1のベントバレル78によって形成されている。ここで、スクリュー軸30にはこの第1のベントバレル78と対応する部分に順ねじ方向の第3の送りスクリューエレメント79が配設されている。そして、第1のベントバレル78内には必要により減圧下である大気圧ベント帯域80が形成されている。これにより、上流の閉バレル69内の堰き止め部を通過して、絞り切れなかった残りの水分、揮発成分はこの区間でベントスタッファー77から通常のベント方法により蒸発分離されるようになっている。なお、ここでは残留水分量は数パーセントから10パーセント程度になるので、通常使用されているベントスタッファー77が使用される。
【0073】
また、第1の押出機1のバレルM7は閉バレル81によって形成されている。さらに、スクリュー軸30にはこの閉バレル81と対応する部分にニーディングディスク82が配設されている。そして、この閉バレル81内ではニーディングディスク82の回転によって混合物の下流への移送が行われるようになっている。なお、この閉バレル81内では、必要により昇温、下流ベント部(バレルM8)との間のガスシール等の堰部が設けられるようになっている。
【0074】
さらに、第1の押出機1のバレルM8は水蒸気を排出する第2のベントバレル83によって形成されている。この第2のベントバレル83には水蒸気を排出する通常の減圧〜大気圧ベント部84が設けられている。なお、必要によりベント部84の段数は増減するようになっている。
【0075】
また、第1の押出機1のバレルM9は吐出バレル85によって形成されている。この吐出バレル85には吐出口86が形成されている。さらに、スクリュー軸30には第2のベントバレル83および吐出バレル85と対応する部分に順ねじ方向の第4の送りスクリューエレメント87が配設されている。そして、スクリュー軸30の回転にともない第4の送りスクリューエレメント87によって下流側に押出される押出材料(混合物)は吐出バレル85の吐出口86から吐出され、第1の押出機1の下流側に配設された図示しない濾過スクリーン、ストランドダイ側に導かれるようになっている。ここで押し出されれたストランドは図示しない冷却水槽で冷却固化された後、図示しないカッターにて切断されてペレット化されるようになっている。
【0076】
また、本実施の形態では第1の押出機1のスクリュー軸30の外径寸法をD1、谷径寸法をd1、第2の押出機2のスクリュー軸10の外径寸法をD2、谷径寸法をd2としたとき
D1≧D2の場合はD2/d2≧D1/d1 および/または
D1/d1>D2/d2の場合はD2>D1
に設定されている。
【0077】
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置では耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造時には第1の押出機1の原料供給部3に熱可塑性樹脂の原料が溶融状態、或いはペレット状で計量供給され、第2の押出機2におけるグラフト化ゴム組成分の供給部4に熱可塑性樹脂原料と混合される被混合材料である多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分が計量供給される。
【0078】
ここで、第2の押出機2に供給されるグラフト化ゴム組成分である含水ゴム組成分(被混合材料)としては例えば、ジエン系ゴム重合体にスチレン/アクリルニトリルを乳化グラフト重合したクラフト重合体ラテックスから凝固、洗浄、遠心脱水機による機械的部分脱水を行なって得た含水量32%(ウェットベース)の粉体が使用される。さらに、第1の押出機1に供給される熱可塑性樹脂の原料である溶融熱可塑性樹脂としては例えば、スチレン/アクリルニトリル共重合体が使用される。そして、第2の押出機2に供給される被混合材料と、第1の押出機1に供給される熱可塑性樹脂の原料との乾燥重量比は28:72に設定されている。
【0079】
また、第2の押出機2の駆動時には同方向回転噛み合い型の2軸のスクリュー軸10の駆動により、含水ゴム組成分が供給バレル11、脱水スリット付きバレル12、閉バレル14、15を順次介して連結バレル16側に定量的に強制供給される。このとき、連結バレル16側に供給された含水ゴム組成分はスクリュー頭部20の略円錐部20cとバレル壁21の孔部21cとの間の隙間Lを通過する際に絞られる状態で機械的に圧縮されて含有水分の一部が脱水される。
【0080】
そして、含有水分の一部が脱水された高粘度の含水ゴム組成分は第2の押出機2から連続したパイプ状または棒状となって第1の押出機1側に定量的に強制供給される。このとき、連結バレル16の機械的な圧縮部22で脱水された水分は第2の押出機2の上流側に逆流し、脱水スリット付きバレル12のスリット13から外部に排水される。
【0081】
また、第1の押出機1の駆動時には同方向回転噛み合い型の2軸のスクリュー軸30が回転駆動される。このとき、図示しない溶融SAN定量供給用ギアポンプにより溶融状態、或いはペレット状で第1の押出機1の原料供給部3に計量供給された熱可塑性樹脂の原料はスクリュー軸30の回転にともない供給バレル31から第1の加熱バレル32を経由して合流バレル35内の合流、分散混合区間42に圧送される。
【0082】
さらに、合流バレル35内の合流、分散混合区間42には第2の押出機2から定量的に強制供給される部分脱水ゴム組成分がスクリュー頭部20よりデッドスペースを極力避けるように第1の押出機1の合流バレル35内のスクリュー軸30の側部に向けて流入される。そして、この合流バレル35の合流、分散混合区間42内では第1の押出機1の上流側から圧送される溶融熱可塑性樹脂と、第2の押出機2から供給される部分脱水ゴム組成分とが合流され、分散混合される。
【0083】
このとき、合流、分散混合区間42内では第1の押出機1のパイナップルスクリュー39が回転駆動されているので、第2の押出機2より連続したパイプ状、または棒状となって第1の押出機1の合流バレル35の合流、分散混合区間42内に供給された部分脱水ゴム組成分はこのパイナップルスクリュー39によって細分化され、溶融熱可塑性樹脂との均一分散混合が促進される。
【0084】
また、第1の押出機1の運転中、合流バレル35の合流、分散混合区間42内はスクリュー軸30のパイナップルスクリュー39の上流部分に配置されたシールリング、逆ネジ(左ネジ)等の圧力保持用のスクリューエレメント40によって加圧状態で保持される。そのため、合流バレル35の合流、分散混合区間42内の圧力によって熱可塑性樹脂原料と被混合材料との混合物の沸点が上昇されることにより、含有水分の蒸発分離が低減される。
【0085】
このとき、合流バレル35の合流、分散混合区間42で加熱された含水ゴム成分より分離した高温水が供給バレル31側に逆流することがパイナップルスクリュー39の上流部分のスクリューエレメント40によっても防止されている。
【0086】
また、合流バレル35の合流、分散混合区間42で合流され、分散混合された熱可塑性樹脂原料と被混合材料との混合物は続いて第2の加熱バレル43内に圧送される。
【0087】
なお、合流バレル35と第2の加熱バレル43との間は同一圧力下として、両者の間にシール機構を設けなくてもよいが、合流バレル35の合流区間と第2の加熱バレル43の加圧脱水帯域58との間に必要により本実施の形態のようにせん断作用のあるニーディングディスク、シールリング等のスクリューエレメント41を挿入して合流バレル35の合流区間と第2の加熱バレル43の加圧脱水帯域58とで圧力を夫々独立させる事ができる。この場合には合流バレル35の合流区間と第2の加熱バレル43の加圧脱水帯域58との間に挿入したシーリングにより加圧脱水帯域58に供給される混合物はより均一化、一体化されるので、ゴムの分散不良物の砕片が分離水とともに流出することを一層効果的に防止する事が出来る。
【0088】
また、第2の加熱バレル43内に圧送された熱可塑性樹脂原料と被混合材料との混合物はこの加熱バレル43内でも合流バレル35内の加圧状態が保持された状態でこの加熱バレル43内の第2の送りスクリューエレメント44によって下流側に押出される。このとき、第2の加熱バレル43内の混合物からは含有水分がの一部が蒸発分離されるが、その比率は混合物温度と加圧脱水帯域58の圧力により変化する。いずれにしても、この第2の加熱バレル43内の加圧脱水帯域58の区間で分離された水、蒸気は一定圧力下に開口部45からメカニカルフィルター46を通して主として液状の状態で外部に排出される。
【0089】
また、メカニカルフィルター46ではメカニカルフィルタースクリュー48の駆動によって第2の加熱バレル43内の加圧脱水帯域58の区間で分離された水、蒸気がメカニカルフィルター46の排水口60側に圧送される。このとき排水口60側に圧送された排気物はジャケット付配管63を通して2つのポンプ61,62の合流点64に導かれる。
【0090】
また、この合流点64には冷却水供給用の第1のポンプ61から冷却水が供給される。そして、この合流点64では第1のポンプ61から供給される冷却水とメカニカルフィルター46によって分離された加圧水、残留モノマー等が混合され、第2のポンプ62のモーノポンプによって排出される。このとき、排出水は好ましくは大気圧条件下においても激しい蒸発が発生しない温度になるように冷却される。
【0091】
さらに、メカニカルフィルター46の動作中は圧力保持機構59の制御装置66によって圧力計65からの検出データが設定値と等しくなるように第2のポンプ62の速度が調整され、第2の加熱バレル43内の圧力が一定の設定圧力で保持される。このとき、圧力保持機構59は、メカニカルフィルター46が装着された第2の加熱バレル43内の圧力を少なくともゲージ圧が0.1MPa以上の設定圧力で保持するように設定されている。
【0092】
また、第2の加熱バレル43内の加圧脱水帯域58の下流部では閉バレル69内のニーディングディスク70、非噛み合いリング71、それに隣接して下流側に配置されたシールリング72等の圧力発生エレメントによって溶融混合物が堰き止められて混合物から分離した液体が絞り出される。
【0093】
ここで、第2の加熱バレル43内に圧送される溶融混合体は加熱バレル43内の第2の送りスクリューエレメント44によるせん断作用および第2の加熱バレル43からの伝熱により100℃以上、通常120℃ないし200℃程度で、部分脱水された部分脱水ゴム組成分に含まれる水を含んでいるが、この第2の加熱バレル43内の区間に導入されると、一部の水は蒸発して蒸発潜熱により含水溶融混合物の温度を低下させる。この温度低下により飽和蒸気圧がこの第2の加熱バレル43内の区間の圧力とバランスした状態ではゴム組成分から脱水された液体と水蒸気とが共存している。この液は第2の加熱バレル43内の区間下流の堰では溶融混合体と比較して低粘度のため閉バレル69側に絞り出される。そして、この第2の加熱バレル43の区間内の余剰となった液水はメカニカルフィルター46から蒸気とともに外部に排出される。
【0094】
この際、第2の加熱バレル43内の区間圧力により決まる溶融混合体の温度が低くなるとその粘度が増加してスクリュー軸30のせん断作用による発熱量が増大するので、スクリュー軸30の動力が過大となるばかりでなく、溶融混合体が十分軟化していない低温度では、含水物の蒸発による発泡や、スクリュー軸30のせん断による砕片が出来やすく、多量の発生蒸気に伴ってメカニカルフィルター46から外部に飛び出す欠陥となる。そこで、汎用のABS樹脂では、熱可塑性変形温度は100℃前後で、上記の問題を避けるには少なくとも大気圧以上に加圧する事が必要となる。
【0095】
なお、閉バレル69内の圧力発生エレメントは第2の加熱バレル43内の下流側に設置してもよい。さらに、圧力発生エレメントは左ネジスクリューエレメント、左ねじれニーディングディスクであってもよい。
【0096】
また、第2の加熱バレル43内でさらに脱水された溶融混合体は下流側の閉バレル69に圧送される。この閉バレル69内ではニーディングディスク70によって溶融混合物の熱可塑性樹脂原料と被混合材料との分散混合が進められる。
【0097】
さらに、閉バレル69内で分散混合が進められた混合物は閉バレル69内の圧力発生エレメントを経て第1のベントバレル78に圧送される。そして、閉バレル69内の圧力発生エレメントの堰き止め部を通過して、絞り切れなかった混合物の残りの含有水分、揮発成分はこの第1のベントバレル78内の区間でベントスタッファー77から通常のベント方法により蒸発分離される。
【0098】
また、第1のベントバレル78内を通過した混合物は続いて閉バレル81内に圧送される。そして、この閉バレル81内ではニーディングディスク82の回転によって混合物の下流への移送が行われる。
【0099】
その後、閉バレル81内の混合物は第2のベントバレル83内に圧送される。そして、この第2のベントバレル83のベント部84から水蒸気が排出された後、含有水分が分離された混合物(耐衝撃性熱可塑性樹脂の製品)は吐出バレル85の吐出口86から吐出される。
【0100】
さらに、吐出口86から吐出された混合物(耐衝撃性熱可塑性樹脂の製品)は第1の押出機1の下流側に配設された図示しない濾過スクリーン、ストランドダイ側に導かれる。ここで押し出されれたストランドは図示しない冷却水槽で冷却固化された後、図示しないカッターにて切断されてペレット化される。
【0101】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造時には水分を多量に含有する含水ゴム組成分を供給バレル11、スリットバレル12、閉バレル14、15および連結バレル16で構成される同方向回転噛合2軸型の第2の押出機2に計量供給し、この第2の押出機2から同方向回転噛合2軸型の第1の押出機1の中間バレルである合流バレル35に部分脱水ゴム組成分を定量的に強制供給するようにしている。このとき、第2の押出機2の連結バレル16側に定量的に強制供給させた含水ゴム組成分をスクリュー頭部20の略円錐部20cとバレル壁21の孔部21cとの間の隙間Lを通過する際に絞られる状態で機械的に圧縮させて含有水分の一部を脱水させるようにしたので、含有水分の一部が脱水された高粘度の含水ゴム組成分を第2の押出機2から第1の押出機1側に供給することができる。
【0102】
さらに、第2の押出機2の機械的な圧縮部22では、グラフト化ゴム組成分の被混合材料の種類に応じて第2の押出機2のスクリュー軸10と連結バレル16のバレル壁21とを軸方向に相対的に移動させ、スクリュー頭部20の略円錐部20cとバレル壁21の孔部21cとの間の隙間Lを調整できるようにしたので、このスクリュー軸10の軸方向の移動に応じた隙間Lの調整により、第2の押出機2内の圧力制御を可能とし、異なるグレードの含水ゴム組成分への脱水条件設定の自由度を高めることができる。
【0103】
また、本実施の形態では第2の押出機2のスクリュー軸10のスクリュー頭部20に略円錐部20cを設け、スクリュー軸10の先端形状を略円錐形状としたので、第1の押出機1のスクリュー軸30の外径寸法をD1、谷径寸法をd1、第2の押出機2のスクリュー軸10の外径寸法をD2、谷径寸法をd2としたとき
D1≧D2の場合はD2/d2≧D1/d1 および/または
D1/d1>D2/d2の場合はD2>D1
に設定することが可能になる。すなわち、第2の押出機2に、第1の押出機1より大きいスクリュー径の押出機を使用することができる。
【0104】
なお、一般的には、それぞれのスクリュー径の関係は、連結部36における滞留部を作らないようにするためにD1>D2,D1/d1≧D2/d2である。しかしながら、本実施の形態のように、第2の押出機2で行う含水ゴム組成分の圧縮脱水においては、一定押出量の場合、スクリュー回転数が低速になるほど圧縮脱水率が良好になる。しかし、極端に低速過ぎた場合は、やはり圧縮脱水率が悪化する。すなわち、第2の押出機2の押出量Qと、スクリュー回転数Nsとの関係には適切な運転条件が存在する。
【0105】
そして、本発明が対象とする第2の押出機2の含水材料は、一般的に粉体形状であるためカサ密度が小さく、高処理能力を実現するときは高スクリュー回転数にならざるを得ないので、圧縮脱水率は低下する。これに対して、本実施の形態のように、同処理能力を大型機で処理することにより、スクリュー回転数はより低速となり、圧縮脱水率を改善することができる。
【0106】
したがって、本実施の形態のように、第2の押出機2のスクリュー軸10の先端形状が略円錐形状である第2の押出機2を使用すれば、第2の押出機2のスクリュー軸10のスクリュー径を第1の押出機1のスクリュー径より大きくすることが可能となり、より広い処理能力範囲、すなわち装置の高能力化が可能となる。
【0107】
また、第1の押出機1のスクリュー軸30における合流バレル35と対応する部分に図6(A),(B)に示すようにスクリュー軸30の外周面に複数の突起部38が突設され、かつこれらの複数の突起部38が略スパイラル状に並べて配置されたパイナップルスクリュー39等の分配混合用スクリューエレメントを配置したので、合流バレル35内に連続した塊として流入する第2の押出機2の高粘度の部分脱水ゴムを過大なせん断力をかけることなく細分化し、第1の押出機1の上流から供給される溶融した熱可塑性樹脂との分配混合を促進すると共に両者の温度均一化を進めることができる。
【0108】
さらに、本実施の形態ではスクリュー軸30にはパイナップルスクリュー39の上流部分に合流バレル35内の混合部を加圧状態で保持する圧力保持用のスクリューエレメント40を配置したので、この圧力保持用のスクリューエレメント40によって合流、分散混合区間42を加圧して含有水分の蒸発分離を低減することができる。
【0109】
また、第1の押出機1のスクリュー軸30におけるパイナップルスクリュー39の下流側の加圧脱水帯域58との間に図10(A),(B)に示すようなシールリング72を挿入し、合流バレル35内の混合部と加圧脱水帯域58との各内部圧力間の絶縁を行なうとともに、合流バレル35内の混合部でマクロには均一化された混合物を強制的にシールリング72の狭い隙間を通過させて、強いせん断作用による粒子の分散混合を行なう構成にしても良い。この場合には第1の押出機1の上流側から圧送される溶融熱可塑性樹脂と、第2の押出機2から供給される部分脱水ゴム組成分とはゴム粒子のレベルで均一に分散した溶融体として加圧脱水帯域に流入させることができる。
【0110】
さらに、加圧脱水帯域58では、第1の押出機1の上流側より流入した含水溶融体の温度から決まる持ち込み水分の飽和蒸気圧に対応したバレル内圧力を保持する事により、持ち込み水分の蒸発を防ぎ、蒸発潜熱による溶融体温度の低下を避ける事が出来る。
【0111】
このような条件下では、溶融体と分離した余剰の水はこの加圧脱水帯域58の下流側の閉バレル69と対応する部分に配置されている図9(A),(B)に示すような絞り脱水用の非噛み合いリング71や、図10(A),(B)に示すようなシールリング72、または逆ネジ等の昇圧エレメントの組み合わせにより、上流方向に分離され、高粘度の溶融体が圧力勾配に反して下流に押し出される。このとき、余剰の水は図7(A),(B)に示すメカニカルフィルター46を経由して系内(第2の加熱バレル43内の加圧脱水帯域58)の圧力を保持しながら系外(外部)に排出される。
【0112】
しかしながら、上記第2の加熱バレル43の加圧脱水帯域58内の作用において、流入溶融体の温度が高く、加圧脱水帯域58内での含水溶融体の含有水分の蒸発をゼロにする為の圧力が過大となる場合には一部の含有水分の蒸発を許容する事により、このときの蒸発潜熱により溶融体温度を低下させることができる。そのため、適当な加圧下で、気液混在状態で上記の機械的水分離が行なわれる。
【0113】
また、加圧脱水帯域58内で加圧下において脱水を行なう利点は、次の通りである。すなわち、大気圧下では大量の水分の蒸発潜熱により溶融体温度が溶融体材料の軟化点近辺、或いはそれ以下に低下する一方で、固い、或いは高粘度の材料がスクリュー軸30からの機械的エネルギー供給による再加熱が行われることにより、プロセス上、不必要な動力消費を避けられる事にある。
【0114】
更に、大量な蒸気の発生と、その時におきる溶融体の発泡、特にその時の低温度に起因する発泡体の破片が大量の蒸気流出に伴って系外に飛び出す不都合を解消できる。なお、発泡体の破片が大量の蒸気流出に伴って系外に飛び出すことを防止するために一般的にはベントスタッファーが利用されるが、このベントスタッファーを利用した場合でも生産量の増大による障害を解決するには難点がある。そのため、加圧脱水帯域58内で加圧下において脱水を行なう場合にはベントスタッファーを利用する場合に比べて発泡体の破片が系外に飛び出すことを効果的に防止することができる。
【0115】
更に、ゴム組成分と熱可塑性樹脂との混練を行なう場合、ゴム組成分の粘度と熱可塑性樹脂の粘度とは出来るだけ近い事が好ましい。一般に、ゴムは高粘度、かつ温度変化に対する粘度変化は小である一方、これと比較すると熱可塑性樹脂は低粘度で、温度変化に対する粘度変化も大きい。そのため、ゴム組成分と熱可塑性樹脂との分散混合を良好な状態で実行するためには軟化点以上で親和性の保てる温度範囲で、出来る限り低温度の条件が好ましい。
【0116】
そして、本実施の形態の上記加圧脱水帯域58内における気液混在条件下での混練では、この加圧脱水帯域58内を適当な圧力に保持する事により、分散混合適温下での混練が可能となるので、良好なゴム分散、使用ゴム組成分、熱可塑性樹脂選択の自由度を確保できる利点もある。
【0117】
また、加圧脱水帯域58内の加圧力の適性範囲は少なくとも0.1MPa以上であるが、基本的には原料樹脂の融点、或いは軟化点に応じて決定される。本発明が対象とするようなゴム組成分を含む材料に対しては、0.3〜0.7MPa程度が最適値である。ここで、加圧脱水帯域58内の加圧力の範囲が0.3MPa以下では加圧脱水帯域58内の加圧力による沸点上昇が十分でなくなる可能性が有り、0.7MPa以上では加圧脱水帯域58の両端に設けられるシール用スクリューによる圧力シールが不十分となる可能性が有る。
【0118】
また、本実施の形態では加圧脱水帯域58内の圧力保持機構59として、図8に示すように2つのポンプ61,62とメカニカルフィルター46とを組合わせたシステムが使用される。ここで、圧力保持機構59の第2のポンプ62としてモーノポンプを使用したので、メカニカルフィルター46からの排出液体中に原料粉、あるいは破片などが含まれていても、圧力保持機能が損なわれる事なくこれら原料粉、あるいは破片と共に脱水液を大気圧の排水系に排出することが可能となる。そのため、圧力保持機構59の第2のポンプ62としてモーノポンプ以外の一般的な圧力制御されたポンプを使用する場合のように不適当な操作条件により粉、破片等が排出された際に圧力保持機能が損なわれる場合に比べて本実施の形態のように圧力保持機構59の第2のポンプ62としてモーノポンプを使用する場合には粉等の排出操作が優れている。したがって、耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置の安定性および柔軟性という面で本実施の形態の方法の方が優れている。
【0119】
また、本実施の形態ではメカニカルフィルター46によって分離された加圧水、残留モノマー等の排出液体を圧力保持機構59の冷却水供給用の第1のポンプ61から供給される冷却水と混合した状態で合流点64から第2のポンプ62のモーノポンプによって排出するようになっている。ここで、第2のポンプ62のモーノポンプは前述のように液体中に固体を含有するスラリーの排出・移送に適しているが、ロータ、あるいはステータ材質にゴム系の材質を使用するため、耐熱性に問題が有る。すなわち、メカニカルフィルター46側から排出される100℃以上の加圧水を直接に第2のポンプ62のモーノポンプに供給した場合は、長時間運転において第2のポンプ62のモーノポンプのゴム材質部分が劣化し、圧力のシール性が低下するおそれがある。そのため、本実施の形態のようにメカニカルフィルター46によって分離された加圧水、残留モノマー等の高温状態の排出液体を圧力保持機構59の冷却水供給用の第1のポンプ61から供給される冷却水と混合して冷却した状態で合流点64から第2のポンプ62のモーノポンプによって排出することにより、第2のポンプ62のモーノポンプのゴム材質部分の劣化を防止して、圧力のシール性の低下を防止することができる。
【0120】
[実施例]
第1の押出機1として東芝機械(株)社製TEM58BS、第2の押出機2として東芝機械(株)社製TEM58Bを図1に示すバレル構成として使用した。ここで、第1の押出機1および第2の押出機2のスクリュー直径D=58mm、各バレルブロックの長さ=3Dである。
【0121】
さらに、各バレルの温度は次の通りである。
【0122】
バレルM1,M2,M3,M4,M5,M6:200℃
バレルM7,M8:230℃
バレルM9:200℃
バレルS1,S2:常温
バレルS3:100℃
バレルS4,S5:130℃
また、バレルM1よりのSAN供給温度=230℃、供給量=287kg/h、
部分脱水した含水率32%の常温グラフト重合体(ジエン系ゴム比率=60%)のバレルS1からの供給量=166kg/h、
バレルM4の帯域のMF排水系圧力=0.5MPaゲージ圧、
バレルM6のベントスタッファー圧力=大気圧開放、
バレルM8のベント部真空圧力=5KPa、
スクリュー速度=350rpmの条件で運転した時に、ダイより押し出された一般射出グレードである中衝撃ABS樹脂(ジエン系ゴム率約17%)押出量=400kg=h、ダイからの押出樹脂温度=250℃、押出量当たりのモーター動力:Esp=0.110kWH/kgで良好なペレットを安定して製造する事が出来た。
【0123】
この時、バレルS2の脱水スリット13からは16kg/hの微量の微粉を含んだ分離水が排出された。さらに、バレルM4のメカニカルフィルター46から排出した高温水は下流に接続した冷却器で100℃以下に冷却後、減圧弁経由大気圧の受け容器に排出した。ここで、排出液は残留未反応モノマーと推定される油分を若干含んでいるが、微粉末を含まない透明性のある液であった。
【0124】
また、本実施例のスクリュー回転数、バレル設定温度等の運転条件範囲は、製品ゴム含有率が10%〜25%程度のABS樹脂の成形に使用される一般的な条件が適用された。さらに、本実施例に使用された口径の押出機では、スクリュー回転数として300〜1000rpm程度が適用された。
【0125】
[比較例]
上記実施例において、バレルM4帯域のMF排水系圧力を大気圧に開放した以外は同一条件にて運転した。上記に説明のごとく、この帯域の混合物温度低下により押出量当たりのモータ動力=Espは0.119に増加した。同時にMFより排出される排液中に微粉が混ざり、長時間の安定運転に不安を感じさせた。
【0126】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記方法の部分的応用例として、特公昭59−37021号公報の第1図において、夫々y,zで示されるニーディングディスク、逆ネジスクリューに付いて、特に脱水スリットバレルに接した下流にあるニーディングディスクyを長さ/直径比>0.5とした図9における絞り用非噛み合いリング71に相当する円筒部y´とする。或いは、x+y+zの形にする事により、この絞り部分での脱水率を高める事が出来る。
【0127】
また、逆ネジスクリューzについては圧力発生機能があれば必ずしも逆ネジに限定されるものではなく、シールリング等も利用できる。ここで、円筒部y´を挿入する事により脱水率が向上する理由は明確ではないが、含水材料はスクリューバレル間でせん断、しごきを受けて外壁面に水が絞り出されるが、その際スクリューフライト、ニーディングディスクの持つ混合作用、特に噛み合い部での強力な混合機能によりいったん分離された水が再混合されるため上流側への脱水が妨げられるものと考えられる。そして、噛み合い部を持たない円筒形スクリューエレメントは上記理由により脱水率の向上に貢献していると考えられる。
【0128】
これは、本実施の形態の図2(B)のバレルS5のコニカル隙間(図4参照)についても同様であり、更に同心円錐からなる隙間ではより強力な水分離が期待できる。
【0129】
さらに、特公昭59−37021号公報の第1図において、スリットバレルに後続する最初のベントバレルは、本発明の方式の加圧脱水帯域58に置き換える事により、本発明と同様の効果が得られる。即ち、蒸発潜熱によらない脱水量の増加によるエネルギー効率の向上、高押出量時の、ベントスタッファーからの溶融体の砕片飛び出しによる不都合を改善出来る。
【0130】
さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
【0131】
【発明の効果】
請求項1、9、10の発明によれば第2の押出機に供給された被混合材料はこの第2の押出機の脱水手段によって機械的に圧縮されてグラフト化ゴム組成分の含有水分が脱水された状態で第1の押出機の中途部に供給され、第1の押出機の上流側から送られる熱可塑性樹脂の原料と混合されるようにしたので、含有水分の一部が脱水された高粘度の含水ゴム組成分を第2の押出機から第1の押出機側に供給することができる。さらに、第1の押出機内における熱可塑性樹脂原料と被混合材料との混合部は加圧混合手段によって加圧されて混合物の沸点が上昇されることにより、含有水分の蒸発分離が低減されるとともに、加圧排水手段によって加圧混合手段による加圧状態を保持しながら混合物から含有水分を外部に排水するようにしたので、熱可塑性樹脂原料と被混合材料である多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分とを押出機中で混合して耐衝撃性熱可塑性樹脂を製造する際に、運転操作の自由度の高いコンパクトな装置により、効率的に脱水し、エネルギー効率よく高品質な耐衝撃性熱可塑性樹脂を製造することができる。
【0132】
請求項2の発明によれば第2の押出機のスクリューは、第1の押出機のスクリュー・バレルに任意の角度で接続して配置され、脱水手段の機械的な圧縮部では、グラフト化ゴム組成分の被混合材料の種類に応じて第2の押出機のスクリュー軸とバレル壁とを軸方向に相対的に移動させ、スクリュー頭部とバレル壁との間の隙間を調整できるようにしたので、異なるグレードの含水ゴム組成分への脱水条件設定の自由度を高めることができる。
【0133】
請求項3の発明によれば第2の押出機のスクリューの先端部を略円錐形のスクリュー頭部とすることで第2の押出機に、第1の押出機より大きいスクリュー径の押出機を使用することができるので、スクリュー回転数はより低速となり、より広い処理能力範囲、すなわち装置の高能力化を可能とし、含水ゴム組成分の圧縮脱水率を改善することができる。
【0134】
請求項4の発明によれば第1の押出機のスクリューにおける混合部の上流部分に配置された圧力保持用のスクリューエレメントによって混合部内の圧力を保持させた状態で、第1の押出機のスクリューにおける連結部の部分に配置された分配混合用のスクリューエレメントによって熱可塑性樹脂原料と被混合材料とを分配混合させるようにしたので、混合部を加圧して含有水分の蒸発分離を低減することができる。
【0135】
請求項5の発明によればシールリング、逆ネジ等の圧力発生用スクリューエレメントで構成される圧力保持用のスクリューエレメントによって混合部内の圧力を保持させた状態で、切欠スクリュー、パイナップルスクリュー等のスクリューエレメントで構成される分配混合用のスクリューエレメントによって熱可塑性樹脂原料と被混合材料とを分配混合させるようにしたので、混合部を加圧して含有水分の蒸発分離を低減することができ、かつ切欠スクリュー、パイナップルスクリュー等のスクリューエレメントによって熱可塑性樹脂原料と被混合材料とを良好な状態に分配混合させることができる。
【0136】
請求項6の発明によればスクリュー軸におけるメカニカルフィルターの下流側に配置された絞り脱水用の非噛み合いリングと、この非噛み合いリングの下流側にそれに接して配置された逆ねじれスクリューエレメント、またはシールリング、逆ねじれニーディングディスク等のシール手段によって加圧混合手段による加圧状態を保持しながらシールリングの下流側に押出された混合物から分離した含有水分を第1の押出機のスクリュー軸における分配混合用のスクリューエレメントの下流側のシールリングの下流側に配置されたバレルのメカニカルフィルターによって加圧下で外部に排水するようにしたので、効率的に脱水し、混合物から分離した含有水分をエネルギー効率よく外部に排水することができる。
【0137】
請求項7の発明によれば第1の押出機の圧力保持機構における冷却水供給用の第1のポンプによってメカニカルフィルターの排水口に冷却水を供給するとともに、第2のポンプであるモーノポンプによって第1のポンプから供給される冷却水とメカニカルフィルターによって分離された加圧水、残留モノマー等を混合して排出し、さらに制御手段によってメカニカルフィルターが装着されたバレル内の圧力を一定の設定圧力で保持するように第2のポンプを制御するようにしたので、メカニカルフィルターからの排出液体中に原料粉、あるいは破片などが含まれていても、圧力保持機構の第2のポンプであるモーノポンプによって圧力保持機能が損なわれる事なくこれら原料粉、あるいは破片と共に脱水液を大気圧の排水系に排出することが可能となる。そのため、耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置の安定性および柔軟性の向上が図れる。
【0138】
請求項8の発明によれば圧力保持機構によってメカニカルフィルターが装着されたバレル内の圧力を少なくともゲージ圧が0.1MPa以上の設定圧力で保持するようにしたので、加圧脱水帯域内の加圧力による適正な沸点上昇や、加圧脱水帯域の両端に設けられるシール用スクリューによる圧力シールの効果を適正な状態で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置全体の概略構成図。
【図2】(A)は第1の実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置における第1の押出機の要部の概略構成図、(B)は第1の実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置における第2の押出機の要部の概略構成図。
【図3】第1の実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置における第1の押出機と第2の押出機との連結部を示す要部の縦断面図。
【図4】第1の実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置における第2の押出機のスクリュー頭部の斜視図。
【図5】第1の実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置における第2の押出機のスクリュー頭部と円錐形バレル壁との間の隙間調整動作を説明するもので、(A)はスクリュー頭部と円錐形バレル壁との間の隙間Lが0の状態を示す要部の縦断面図、(B)はスクリュー頭部と円錐形バレル壁との間の隙間Lが2.008の状態を示す要部の縦断面図、(C)はスクリュー頭部と円錐形バレル壁との間の隙間Lが2.900の状態を示す要部の縦断面図。
【図6】(A)は第1の実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置における第1の押出機の分配混合用のパイナップルスクリューを示す正面図、(B)は同側面図。
【図7】第1の実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置におけるメカニカルフィルタを示すもので、(A)は平面図、(B)は側面図。
【図8】第1の実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置における加圧脱水域内の圧力保持機構の概略構成図。
【図9】第1の実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置における非噛み合いリングを示すもので、(A)は側面図、(B)は(A)の9B−9B線断面図。
【図10】第1の実施の形態の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置におけるシールリングを示すもので、(A)は側面図、(B)は(A)の10B−10B線断面図。
【符号の説明】
1 第1の押出機
2 第2の押出機
3 熱可塑性樹脂の原料供給部
4 グラフト化ゴム組成分の供給部
17 脱水手段
16 連結バレル(連結部)
40 圧力保持用のスクリューエレメント(加圧混合手段)
42 合流、分散混合区間(混合部)
76 機械的水分離区間(加圧排水手段)
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂の原料供給部を備えた第1の押出機と、
この第1の押出機の中途部に連結され、上記熱可塑性樹脂原料と混合される被混合材料である多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分の供給部を備えた第2の押出機と、
この第2の押出機に配設され、上記被混合材料の含有水分を機械的に圧縮して脱水する脱水手段と、
上記第1の押出機内における上記熱可塑性樹脂原料と上記被混合材料との混合部に配設され、この混合部を加圧して含有水分の蒸発分離を低減する加圧混合手段と、
この加圧混合手段による加圧状態を保持しながら上記混合物から含有水分を外部に排水する加圧排水手段と
を具備することを特徴とする耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置。 - 上記第2の押出機は、上記第1の押出機のスクリュー・バレルに任意の角度で接続して配置されるスクリューを有し、
上記脱水手段は、上記第2の押出機における上記第1の押出機との連結部に配設され、上記第2の押出機のスクリューの先端部に形成され、先端に向かうにしたがって直径が漸次減少する略円錐形のスクリュー頭部と、それに略対応した略円錐形のバレル壁とが組み合わされた先端に向かうにしたがって直径が漸次減少する機械的な圧縮部を備え、
上記圧縮部は、上記第2の押出機のスクリュー軸と上記バレル壁との軸方向の相対的移動により、上記スクリュー頭部とバレル壁との間の隙間が調整可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置。 - 上記第1の押出機のスクリューの外径寸法をD1、谷径寸法をd1、上記第2の押出機のスクリューの外径寸法をD2、谷径寸法をd2としたとき
D1≧D2の場合はD2/d2≧D1/d1 および/または
D1/d1>D2/d2の場合はD2>D1
に設定したことを特徴とする請求項2に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置。 - 上記加圧混合手段は、上記第1の押出機のスクリューにおける上記混合部の上流部分に配置され、上記混合部内の圧力を保持する圧力保持用のスクリューエレメントと、
上記第1の押出機のスクリューにおける上記連結部の部分に配置され、上記熱可塑性樹脂原料と上記被混合材料との分配混合機能を持つ分配混合用のスクリューエレメントと
を具備することを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置。 - 上記圧力保持用のスクリューエレメントは、シールリング、逆ネジ等の圧力発生用スクリューエレメントで構成され、
上記分配混合用のスクリューエレメントは、切欠スクリュー、パイナップルスクリュー等の分配混合用スクリューエレメントで構成されることを特徴とする請求項4に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置。 - 上記加圧排水手段は、上記第1の押出機のスクリュー軸における上記分配混合用のスクリューエレメントの下流側に配置されたバレル壁に装着され、上記分配混合用スクリューエレメントの下流側に押出された上記混合物から分離した含有水分を加圧下で外部に排水するメカニカルフィルターと、
上記スクリュー軸における上記メカニカルフィルターの下流側に配置された絞り脱水用の非噛み合いリングと、
上記スクリュー軸における上記非噛み合いリングの下流側にそれに接して配置された逆ねじれスクリューエレメント、またはシールリング、逆ねじれニーディングディスク等のシール手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置。 - 上記第1の押出機は、上記メカニカルフィルターの排水口に冷却水を供給する冷却水供給用の第1のポンプと、
この第1のポンプから供給される冷却水と上記メカニカルフィルターによって分離された加圧水、残留モノマー等を混合して排出する第2のポンプであるモーノポンプと、
上記メカニカルフィルターが装着されたバレル内の圧力を一定の設定圧力で保持するように上記第2のポンプを制御する制御手段と
を備えた圧力保持機構をさらに具備することを特徴とする請求項6に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置。 - 上記圧力保持機構は、上記メカニカルフィルターが装着されたバレル内の圧力を少なくともゲージ圧が0.1MPa以上の設定圧力で保持するものであることを特徴とする請求項7に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置。
- 上記第1の押出機は、同方向回転噛み合い型2軸押出機であることを特徴とする請求項1に記載の耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造装置。
- 第1の押出機に熱可塑性樹脂原料を供給する熱可塑性樹脂原料の供給工程と、
上記第1の押出機によって押出される熱可塑性樹脂原料の押出通路の中途部に、上記熱可塑性樹脂原料と混合される被混合材料である多量の水分を含有するグラフト化ゴム組成分を第2の押出機によって供給する被混合材料の供給工程と、この第2の押出機から上記第1の押出機に供給される上記被混合材料の含有水分を機械的に圧縮して脱水する脱水工程と、
上記第1の押出機内における上記熱可塑性樹脂原料と上記被混合材料との混合部を加圧して含有水分の蒸発分離を低減しながら上記熱可塑性樹脂原料と上記被混合材料とを混合する加圧混合工程と、
この加圧混合工程による加圧状態を保持しながら上記混合物から含有水分を外部に排水する加圧排水工程と
を具備することを特徴とする耐衝撃性熱可塑性樹脂の製造方法。
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