JP3593319B2 - 発泡成形体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡成形体の製造方法に関し、特に、古紙などの繊維質物質の再資源化に好適に用いられる発泡成形体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、広く使用されている発泡スチロールに代表されるプラスチック系緩衝材に代わり、環境に優しい緩衝材として、古紙を再資源化した紙系の緩衝材が注目されている。古紙の再資源化を目的として、弾力性能に優れた紙系の緩衝材を製造する方法が特許第3038158号公報に開示されており、また、前記緩衝材を製造するための、発泡体の製造方法およびその製造装置が特許第3017716号公報に開示されている。前記特許第3038158号公報および特許第3017716号公報に開示されている緩衝材は、古紙粉体、水、ゼラチンを50重量%以上含むバインダー、架橋反応促進剤および柔軟化剤を混合し、発泡させたのちに成形、乾燥させて製造することが記載されているが、いずれの公報においても、弾力性能に優れた紙系の緩衝材などの発泡成形体を経済的かつ連続的に多量生産するためには、バインダー性状が重要であることについては何らの記載もない。また、原料の古紙から製品の緩衝材を製造するまでの全工程における製造装置や製造工程は具体的に記載されていない。特許第3038158号公報に開示された緩衝材の製造方法は、柔軟化剤の調節や架橋反応促進剤の種類を記したものであり、また発泡後に乾燥させるとの記載はあるが、具体的な製造工程、方法については開示されていない。また、特許第3017716号公報では、使用する発泡機の構成と運転条件について工業生産できる装置が記載されているが、経済的かつ連続的に工業生産できる製造装置全体や製造工程全体については、何ら具体的に記載されていない。本発明者らは、製品発泡成形体の製造におけるバインダー性状の重要性に着眼して本発明をなしたものである。
【0003】
JIS K6503において、ゼラチンおよびニカワの品質の等級規格が定められており、ゼリー強度は1種が250ブルーム以上、5種が50ブルーム以上と規定され、ゼリー強度がゼラチンおよびニカワの品質決定に重要な要因であり、それらの性状に大きく影響するのであるが、前記特許公報には、ゼリー強度については何ら記載されていない。しかし、実際には、ゼラチンなどのバインダーのゼリー強度が、130ブルーム未満のものであると、以下の(1)〜(3)に示す欠点が生じる。
(1)バインダーが流動しやすく、解繊古紙などの繊維質物質との結合力が低下する。
(2)空気の分散性および保持力が低下し、成形時に破泡して、発泡成形体の表面にアバタ状の窪みが発生して、製品としての外観を損なう。
(3)発泡成形体の内部に空洞が発生しやすく、発泡成形体の強度が低下する。
【0004】
また、JIS K6503において、ゼラチンおよびニカワの品質の等級規格が定められており、油脂分は1種〜5種にかかわらず、ゼラチンでは、0.5重量%以下、ニカワでは1重量%以下と規定され、油脂分がゼラチンおよびニカワの品質決定に重要な要因であり、それらの性状に大きく影響するのであるが、前記特許公報には、油脂分については何ら記載されていない。しかし、実際には、油脂分が0.3重量%を超えて含有されていると、解繊古紙などの繊維質物質やゼラチンなどのバインダーを含む水溶液とをゆっくり攪拌する予備混練時に、混練物中に気泡を取り込みにくいため、製品の発泡成形体の比重をコントロールすることができず、コスト高を招く。
【0005】
また、前記特許公報には、起泡度についても何ら記載されていないが、実際には、水溶液を攪拌後に1分間が経過したときの起泡高さが2mmより低いと、混練物中の気泡が少なく、前記油脂含有量と同様に製品の発泡成形体の比重をコントロールすることができず、コスト高を招く。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、繊維質物質から発泡成形体を製造するにあたり、製品発泡成形体の表面へのアバタ状の窪みの発生を防止し、製品の歩留まりを高めることができ、また、製品の低比重化を図って、弾力性能に優れた緩衝材などとして用いることができる発泡成形体とその発泡成形体を経済的かつ連続的に多量生産できる製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ゼラチンおよび/またはニカワを主成分とし、ゼリー強度が130ブルーム以上且つ240ブルーム以下、油脂含有量が0.3重量%以下のバインダーであり、且つ前記バインダーを水に対し10重量 % 溶解して検液としたとき、その検液5mlを試験管にとり60℃で攪拌後に1分間静置したときの起泡高さが2mm以上となるバインダーが溶解されている水溶液と繊維質物質とを混練して発泡成形した発泡成形体と、その発泡成形体を製造する方法として、ゼラチンおよび/またはニカワを主成分とし、ゼリー強度が130ブルーム以上且つ240ブルーム以下、油脂含有量が0.3重量%以下であり、且つ前記バインダーを水に対し、10重量%溶解して検液としたとき、その検液5mlを試験管にとり60℃で攪拌後に1分間静置したときの起泡高さが2mm以上となるバインダーが溶解されている水溶液と繊維質物質とを混練して混練物を製造する混練工程と、該混練工程で混練された混練物を発泡させて発泡物を製造する発泡工程と、該発泡工程で発泡された発泡物を所定の形状に成形して成形体を製造する成形工程と、該成形工程で成形された成形体を乾燥する乾燥工程とを備えた発泡成形体の製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる前記繊維質物質としては、新聞紙、雑誌、ダンボールなどの古紙のほか、毛織物(羊毛くず)、パルプスラッジ、ガラス繊維などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、水溶液と混練する繊維質物質は、カッタやミルなどの乾式解繊機で細かく解繊したものを用いるのが好ましいが、あらかじめ水で泥状にしたものや水中で湿式解繊したものであってもよい。例えば、古紙を乾式解繊機で解繊する場合には、解繊機のスクリーンの目開きが1〜15mm、より好ましくは1〜5mm程度に解繊したものが採用できる。
また、前記水溶液に使用される水としては、工業用水、水道水、精製水などが適宜に使用できる。さらに、前記繊維質物質と混練される水溶液には、少なくともバインダーが含まれているのが好ましく、バインダーは、良好な発泡体を形成するために使用される。バインダーとしては、主成分としてゼラチンやニカワが含有されたものが使用され、これらは、1種単独で使用しても、2種を併用してもよく、その他のアルギン酸やポリビニルアルコールなどと併用してもよい。
【0009】
前記ゼラチンやニカワを主成分とするバインダーのゼリー強度は、130ブルーム以上且つ240ブルーム以下であり、130ブルームよりも低いと、発泡成形体の表面にアバタ状の窪みが発生しやすくなる。130ブルーム以上且つ240ブルーム以下とすることにより、解繊古紙との結合力が増大し、空気の分散性および保持力が高まり、成形時の破泡の発生が抑えられ、発泡成形体の表面にアバタ状の窪みが発生して、製品としての外観を損なう恐れがなく、しかも、発泡成形体の内部に空洞が発生しにくくなり、発泡成形体の強度も高くすることができる。なお、ゼラチンやニカワのゼリー強度を測定する方法は、JIS K6503の"5.4 ゼリー強度"の測定法に準拠して行う。ただし、本発明の発泡成形体では、ニカワにおいても、ゼリー強度を測定する検液濃度は6.67質量%とする。また、バインダーのゼリー強度は、粘度とおよそ比例関係にあり、粘度で規定することも可能である。この場合、検液濃度6.67質量%にて測定した粘度が、2.5 Pa ・s以上となるバインダーである必要がある。
【0010】
前記ゼラチンやニカワを主成分とするバインダーの油脂含有量は、少ないほど好ましいため、0.3重量%以下であり、0.3重量%よりも多くなると、発泡しにくくなる。
0.3重量%以下であると、解繊古紙などの繊維質物質やゼラチンなどのバインダーを含む水溶液とをゆっくり攪拌する予備混練時に、混練物中に気泡を取り込みやすいため、製品の発泡成形体の比重をコントロールすることができ、発泡成形体の低比重化が図れ、コストを低減することができる。
なお、ゼラチンやニカワの油脂含有量を測定する方法は、JIS K6503の“5.6 油脂分”の測定法に準拠して行う。
【0011】
また、イウチ(株)製パソリナ試験管ミキサーNS−80を用いて、水溶液を2,800rpmで1分間攪拌し、攪拌静止後に1分間が経過したときの起泡高さを2mm以上とすることにより、前記油脂含有量と同様に製品の発泡成形体の比重をコントロールすることができ、発泡成形体の低比重化が図れ、コストを低減することができる。
なお、ゼラチンやニカワの起泡高さを測定する方法は、以下の方法に準拠して行う。
検液温度60℃、検液濃度10重量%、液量5mlを試験管(内径13mmφ±1mm)に採取し、試験管ミキサーで2,800rpm、10mmストロークで偏心円運動させて1分間攪拌する。このようにして攪拌発泡させたのち、発泡層の下面と上面とに印を付け、試験管を60℃の温水に保持したビーカ中に浸漬し、静止1分後の発泡層高さを測定する。そのときの発泡層の高さを起泡高さ(以下 起泡度という)とし、本発明では、その起泡度が2mm以上の高さである。
【0012】
また、バインダーは、紙などの繊維質物質に対して、10〜60重量%混合するのが好ましく、10重量%よりも少ないと、製品発泡成形体の表面にアバタ状の窪みが発生しやすくなる。一方、60重量%を超えると、発泡物の粘性が著しく増加し、発泡機への供給が困難となる。
【0013】
また、前記混練工程に設けられる混練機としては、例えばパドル攪拌機またはスクリュー攪拌機を設けた混練機やスクリューニーダなどを採用することができる。
具体的には、例えば、容器と、容器に付設された攪拌機と、容器に連結して設けられたポンプと、このポンプから容器への循環手段とを有する混練機を使用することができる。すなわち、繊維質物質と水溶液とを攪拌機で攪拌混合しつつ、その混練物の一部をポンプで抜き出して容器に循環させることにより、均一な混練物を得ることができる。
【0014】
また、本発明の混練物に適宜に混合される薬剤としては、架橋促進剤、柔軟化剤などが挙げられる。
架橋促進剤は、必要に応じて、発泡した形状を安定化させるために用いられ、架橋促進剤としては、トランスグルタミナーゼに代表される架橋促進酵素、アルデヒド化合物であるホルマリン、アセトアルデヒド、グルタルアルデヒド、錯塩であるミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)などが挙げられる。なお、これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
また、柔軟化剤は、成形体に弾力性を与えるために使用される。具体的には、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコールなど、もしくはこれらのいずれかにショ糖を加えたものが挙げられる。
なお、これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
さらに、前記以外の混練物に適宜に混合される薬剤としては、離型剤、界面活性剤、抗菌剤、PH調整剤、PH緩衝剤、発泡剤、防カビ剤、着色剤、漂白剤、酸化防止剤、耐候(光)剤、難燃剤、充填剤などが挙げられる。
【0015】
これらの薬剤のうち、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである第一工業製薬(株)製のハイテノールが好ましい。界面活性剤、特にハイテノールを添加することにより、混練物や発泡成形体の発泡度合いを高めるという効果が得られる。この場合、界面活性剤の添加量は、バインダーや繊維質物質に対して定めるが、混練物中の繊維質物質に対しては、通常0.1〜2.5重量%、好ましくは0.3〜1.5重量%程度である。
【0016】
界面活性剤は、油脂分を分散させる作用をも持つため、130ブルーム以上且つ240ブルーム以下のゼリー強度を有するバインダーにおいて、油脂分が0.3重量%以上含むかあるいは起泡度が2mm以下の場合においても、界面活性剤の添加量増量調節により、起泡度を2mm以上とすることが可能であり、起泡度が限界値に近い特性のバインダーや、さらには油脂分の多いバインダーを用いた場合にも製品発泡成形体の比重を比較的小さくし、またクッション性、弾力性を持たせることができる。また、起泡度を2mm以上の所望の高さとなるように、界面活性剤の添加量を定めることで、混練物、発泡物、製品の比重やクッション性、弾力性をある一定の範囲に制御することが可能となり、バインダーの油脂分などの性状に影響を受けずに、品質の安定化を図れる。
【0017】
混練に用いる繊維質物質には、油脂分を含む例が多くある。例えば、雑誌、印刷紙などの古紙を粉砕した紙には、油性インクが付着している。また、紙の原料のセルロースは、毛細管状かつ多孔質で吸収性に富み、インクにじみや繊維間の接着が弱いと毛羽立ちや紙剥けを生じるため、これらを防ぐ目的で、サイジングが施されている。サイジング剤には、遊離ロジン(松脂)が用いられ、繊維上に定着しており、これらと混練したバインダー液に、油脂分が抽出され、従ってバインダーの起泡性を阻害したり泡の消泡を加速したりする場合がある。このため、油脂含有などの履歴の不明な古紙を混練に用いる場合にも、その粉砕した古紙の抽出水溶液を用いて、バインダー検液を作成し、起泡度を2mm以上とするように、界面活性剤の添加調合比率を定めることで、製品発泡成形体の比重、クッション性などの品質を安定して制御できる。さらに、起泡度を2mm以上の所望の高さになるように、界面活性剤の添加量を定めることで、混練に使用するバインダーの油脂性状バラツキや繊維質物質の油脂含有量などの経歴バラツキの影響を受けずに、品質の安定化を図ることが可能となる。バインダー検液の起泡度測定に用いる古紙の抽出水溶液は、実際に混練する古紙重量と水分量の所定の重量比率にて抽出したものを用い、温度も混練工程の温度に合わせて抽出する事が望ましい。
【0018】
バインダー水溶液の起泡性や泡持ち性を向上させる界面活性剤は、その添加量を増すことで、上記効果を持つが、成形体のアバタ状の窪みが発生し易くなるなどのバインダー結合性の点から、制限を持つ。バインダーに対しては、界面活性剤の添加量は0.2〜10重量%が望ましい。
界面活性剤には、液状、ペースト状、顆粒状の物があり、顆粒状の界面活性剤を予め所定の比率で顆粒状のバインダーと混合しておき、バインダーの水溶液溶解で同時に液状にする方法も採れる。
【0019】
また、前記抗菌剤としては、特にソルビン酸カリウムが好ましい。ソルビン酸カリウムなどの抗菌剤を添加すると、得られる発泡成形体に抗菌性を付与することができる。ソルビン酸カリウムなどの抗菌剤の添加量は、バインダーに対し、通常、0.7〜3重量%、好ましくは1〜2重量%程度である。0.7重量%未満では、得られる発泡成形体を環境最悪下の湿式状態において、かびが発生しやすく、一方、3重量%を超えても、効果が頭打ちになるばかりか、経済的ではない。
【0020】
前記の各種薬剤を製品の用途にあわせて、薬液を選定および添加量を適宜に設定して添加することにより、最適な製品を製造することができるが、通常、架橋促進剤の添加量は、バインダーに対する比率で、1〜20重量%、好ましくは4〜10重量%であり、1重量%よりも少ないと発泡後の消泡が早くなり、製品発泡成形体の収縮率が大きくなる。一方、20重量%よりも多いと、架橋反応が促進され過ぎて、粘性が著しく増加あるいは凝固するため、成形が困難となる。
【0021】
バインダーの主成分に用いるゼラチン、ニカワの水溶液は、架橋反応促進剤の添加により、架橋反応にて分子間結合し、粘度が増す。これにより、粉砕された繊維質物質を接着結合する作用を強くするが、繊維質物質と必要に応じて他の添加剤を添加し混練したバインダー水溶液の粘度は、バインダーの特性からPHが5付近で大きくなる特徴がある。バインダー水溶液のPHは、混練する繊維質物質、バインダーやその他添加剤により変化するが、製造上はPHをある範囲に制御することで、品質の安定化や原料コストの低減が図られる。バインダー水溶液の混練物のPHと製品発泡成形体のPHはおよそ大きな変化はないが、バインダー水溶液のPHを4.5〜6.5に調整すると、混練スラリーの粘性が高い領域となり、泡立ち性が良くなる。またバインダーの結合力が増し、成形体の乾燥あるいは放置による収縮が少なくなるという効果を持ち、従って原料コストの低減につながる。PH4.5以下では粘性が低下して、バインダーの結合力が低下するばかりでなく、発泡成形体を製品として使う際の鉄錆攻撃性が強くなる。また、PH6.5以上では、粘性が低下してバインダー結合力が低下し、従って成形体の乾燥あるいは放置による収縮が大きく原料費の増加を招く。
一般に繊維質物質のPHは処理履歴の違いで大きく変わりロット毎でのバラツキも大きく、PHを一定範囲に抑えた繊維質物質を入手することは可能ではあるがコストが高い。従って混練物のPHを一定の範囲に抑えたり、あるいはPH4.5〜6.5に制御するために、他の添加剤に加えてPH調整剤、PH緩衝剤をさらに添加することが可能である。
PH調整剤としては、酸性方向には塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸などがあり、アルカリ性方向には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなど、またPH緩衝剤としては、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、フタル酸水素カリウムなどがある。発泡剤としては、重曹、アジ化ナトリウムなどがある。
【0022】
さらに、柔軟化剤の添加量は、繊維質物質に対する比率で、5〜100重量%、好ましくは、15〜80重量%であり、5重量%よりも少ないと製品発泡成形体が硬く、クッション性や緩衝性が少なくなり、また乾燥時に製品が反ったり、脆くなったりする。一方、100重量%よりも多いと、製品発泡成形体の柔軟性、クッション性は増すが、製品の比重が増加しコスト高を招き、また湿り気感のある製品となる。
【0023】
前記繊維質物質と水溶液との混練方法は、一度に繊維質物質の全量を水溶液と混合して混練しても、繊維質物質の一部を水溶液と混合したのち、残りの繊維質物質を混合して混練してもよいが、混練機内に少なくともバインダーを含有する水溶液を充填し、この水溶液中に繊維質物質を攪拌しながら、徐々に添加して混練するのが、少ない水量や少ないバインダーの使用量で均一かつ容易に混練できるため好ましい。また、バインダーが含有されていない水に繊維質物質を混合した場合には、混練物の含水量が高くなり、乾燥時間が長くなる。例えば、古紙を水のみで混練した時の混練物の含水量は90重量%以上であり、バインダーが含有した水溶液では、混練物の含水量は約70重量%程度となる。
なお、得られる混練物を混練機から発泡機に供給する時間は、混練物の発泡状態が保たれるようにするために1時間以内が好ましい。1時間を超えると、混練物が消泡しやすくなる。
【0024】
また、混練物総量に対する固形物濃度は、通常、10〜40重量%、好ましくは、15〜30重量%程度である。この範囲に水分量を調整して混練すれば、成形体の乾燥による収縮率を少なく、また乾燥時間を短く抑えることが可能となる。混練物の固形物濃度が、10重量%よりも低いと、水分含有量が多くなり乾燥に時間がかかり、エネルギーコストも嵩み、一方、40重量%よりも高いと、固形物濃度が高くなり過ぎて流動性がなくなり、ポンプなどでの移送が困難となる。
【0025】
なお、紙のセルロースは毛細管状であり、水を吸水して抱きかかえる作用を持ち、バインダー水溶液中のバインダー濃度が、混練の配合比率から単純計算した値よりも、実際に混練した状態では高くなる。紙の種類にも依存するが、吸水重量は紙自身の重量の2〜3倍に達する場合もあり、また紙の履歴にも依存して変わり、ロット毎にバインダー水溶液の実際の濃度が変化し、このため、製品の発泡成形体の比重やクッション性のロット間バラツキを招く原因の一つともなる。従って、予め混練に使う繊維質物質の吸水率を測定し、繊維質物質の重量に対する吸水の固有水分量を算出し、一方でバインダーや他の添加剤と混合する所望の水溶液濃度から算出する水分量とから成るように、混練に用いる水分量を定めることで、ロット毎のバインダー水溶液の実際の濃度を一定の範囲に管理できる。これにより、発泡成形体の比重やクッション性のロット間バラツキを抑えることが可能となる。
湿式の繊維質物質を混練する場合も同様であり、予め湿潤吸水攪拌している繊維質物質の吸水率を測定しておくことで、上記と同様にバインダー水溶液の実際の濃度を一定の範囲に制御することが可能となる。
【0026】
前記発泡機としては、例えば混練物のみで発泡させる発泡機、空気を混合しながら発泡させる空気混合発泡機、発泡剤を混合物に添加して発泡させる発泡剤混合発泡機などを適宜に採用することができる。
なお、発泡機、空気混合発泡機における圧力は、通常、0.1〜0.5MPaであり、好ましくは、0.2〜0.4MPaである。圧力が0.1MPaよりも低いと、空気の混合が十分行われないため、発泡が不十分となり、成形体の比重が重くなると共に表面にアバタ状の窪みが発生しやすく外観不良率が高くなる。一方、0.5MPaよりも高くなると、圧力変化が大きく急膨張をきたすため、前記と同様に、製品の発泡成形体の表面にアバタ状の窪みが発生しやすく外観不良率が高くなる。また、空気混合発泡機での空気の混合割合は、通常、混練物1kg/分に対し、0.1〜2NL/分であり、好ましくは、0.6〜1NL/分である。空気の混合割合が0.1NL/分よりも少ないと、空気量が少な過ぎて発泡が不十分となり、成形体の比重が重くなり、一方、2NL/分よりも多くなると、微細な気泡の抱き込みができなくなり、発泡成形体の表面にアバタ状の窪みが発生しやすく外観不良率が高くなる。
【0027】
具体的な混練物の発泡方法は、混練物に所定の圧力(例えば、0.2MPa以上)を加えて、ゼラチンなどのバインダーが固化せず、劣化しない温度(例えば、50〜70℃)で、所定の周速度(例えば、4 m/s 以上)のミキサで連続的に攪拌混合しながら、気体供給装置により(例えば、空気)を強制的に送り込んで発泡させる。
なお、発泡機における混合物の発泡比重は、0.15〜0.45g/cmが好ましい(図4参照)。発泡比重が、0.15g/cmよりも低いと、乾燥後の成形体の強度が弱くなり過ぎ、一方、0.45g/cmよりも高いと、成形体の比重が重くなると共に緩衝材として使用される場合には、緩衝効果が低くなる。乾燥後の成形体の比重は低いほど好ましいが、前記の発泡比重に設定することにより、絶乾比重(温度80℃、相対湿度7〜8%の条件における恒温時比重)が0.06〜0.16g/cm程度の強度が比較的高い良好な成形体を得ることができる。
【0028】
なお、前記混練工程および前記発泡工程を連続的に行うために、混練機を2台設けて、それぞれの混練機から交互に混練物を発泡機に供給するように構成してもよく、また、混練物をいったん貯留する中間スラリータンクを設けてもよく、この中間スラリータンクには混練物の発泡状態が保たれるようにするための攪拌機を付設するのが好ましい。さらに、発泡工程に設けられる発泡機を複数台直列に接続して設け、初段の発泡機に前記各種の原料を連続的に供給して、できるだけ空気が混入しないようにゆっくりした混練運転を行いながら、連続的に後段の発泡機に供給し、最終段の発泡機で発泡運転を行うようにしてもよい。
【0029】
前記成形工程の設けられる成形機としては、例えば、得られた混練物をダイスからスクリュウーで押し出し、これを冷却固化させる汎用の各種の押し出し成形機、混練物をシリンダによりノズルを通して金型中に射出し、この金型内で冷却固化させる射出成形機などを採用することができる。
【0030】
前記乾燥工程に設けられる乾燥機としては、例えば、成形品を棚の上に載置して自然乾燥させる棚載置自然乾燥機、成形品をヒータの熱によって加熱乾燥させる加熱乾燥機、温風によって加熱乾燥させる温風乾燥機、乾燥室内を負圧状態として乾燥させる減圧乾燥機、フリーズドライ方式の凍結乾燥機などを採用することができる。そのほか、マイクロ波照射乾燥機、除湿乾燥機などであってもよい。
【0031】
なお、前記加熱乾燥における乾燥温度は、従来の製造方法では、バインダーとして混合されるゼラチンが溶け出すため、40℃以下で行われていたが、本発明では、製造方法が相違し、空気の混合量が多く、均一に発泡させることができ、バインダーとして混合されるゼラチンなどが溶け出すことがないため、通常、60〜150℃であり、好ましくは、70〜100℃である。乾燥温度が60℃よりも低いと、乾燥に時間がかかり過ぎると共に成形体の収縮率が大きくなり、一方、150℃よりも高くなると、成形体に含有された各種の成分における組成変化が起こり、柔軟性が低くなる。また、乾燥機としては温風乾燥機が好ましく、該温風乾燥機を使用する場合には、温風乾燥温度を100℃±20℃で全乾燥時間の50〜80%の時間乾燥する前段乾燥(定率乾燥)工程と、80℃±20℃で全乾燥時間の20〜50%の時間乾燥する後段乾燥(減率乾燥)工程とし、少なくとも前段乾燥工程よりも後段乾燥工程の温風乾燥温度を低い温度に設定するのが好ましい。前段乾燥を前記範囲以外の低温で行うと、乾燥に時間がかかり、成形体の収縮率も大きくなり、高温で行うと、成形体に含有された各種の成分の組成変化が起こり柔軟性が低くなる。また、後段乾燥を前記範囲以外の低温で行うと、乾燥に時間がかかり、高温で行うと、成形体に含有された各種の成分の組成変化が起こり柔軟性が低くなる。さらに、前段乾燥工程よりも後段乾燥工程の温風乾燥温度を高い温度に設定すると、単に品温が少し上昇した定率乾燥状態になるだけで、乾燥効率が悪くなる。前記では乾燥温度は高いが、空気の混合量が多く、均一に発泡しているため、バインダーとして混合されるゼラチンなどが溶け出すことがない。
【0032】
以下、図面に基づいて本発明の発泡成形体の製造装置および製造方法を具体的に説明する。図1は、本発明の一実施の形態の発泡成形体の製造装置の全体構成図、図2は起泡度およびゼリー強度の製品発泡成形体の外観に与える影響を測定したグラフ、図3は起泡度およびゼリー強度の製品発泡成形体の絶乾比重に与える影響を測定したグラフである。
図1において、10は繊維質物質の古紙から発泡成形体である発泡シートを製造する製造装置であり、この製造装置10は、繊維質物質を解繊する古紙解繊機11と、解繊された古紙を一次貯蔵する解繊古紙貯蔵ホッパ12と、解繊古紙と各種の添加薬剤を混練する混練機13と、各種の添加薬剤を貯蔵して混練機13に供給する薬剤供給設備14と、得られた混練物を一時的に貯蔵する中間タンク15と、混練物を発泡させる発泡機16と、得られた発泡物からシート状の成形体に成形する成形機17と、成形体を搬出する成形体コンベア18と、搬出された成形体をラック積みするラック積み機19と、成形体を乾燥させて製品発泡シートとする乾燥機20と、ラック積みされた製品発泡シートを1枚づつ押し出す発泡シート押し出し機21とを備えている。なお、中間タンク15を設けず、混練機13を2台配置してもよい。
【0033】
古紙解繊機11は、新聞紙、雑誌、ダンボールなどの古紙をカッターなどで解繊し、1〜15mmの目開きのスクリーンを通過させて解繊古紙とする装置である。
解繊古紙貯蔵ホッパ12の下部には、解繊古紙を混練機13へ供給する切り出し装置12aが設けられている。
混練機13は、解繊古紙貯蔵ホッパ12からの解繊古紙と、水と、薬剤供給設備14からの各種の薬剤とを混練して、混練物を製造する装置であり、具体的には、容器13aと、各種の薬剤をに付設された攪拌機13bと、容器13aに連結し容器下部に設けられて、混練物を移送するポンプ13cと、このポンプ13cから容器13aへの循環ラインが配設されており、解繊古紙と薬剤を含有する水溶液とを攪拌機13bで攪拌混合しつつ、それらの混練物の一部をポンプ13cで抜き出して容器13aに循環させ、均一な混練物を製造する。ポンプ13cとしては、高粘度混合物に一般的に使用される容量式ポンプが採用されている。
【0034】
薬剤供給設備14は、バインダーを貯蔵する第1のホッパ14aと、柔軟化材を貯蔵するする第2のホッパ14bと、離型剤を貯蔵する第3のホッパ14cと、架橋反応促進剤を貯蔵する第4のホッパ14dと、防腐剤を貯蔵する第5のホッパ14hを有している。
これらのホッパ14a〜14hと混練機13との間には、計量タンク14eが配設されており、計量タンク14eで混練機13に供給される各種の薬剤の注入量を計量する。
なお、得られた成形体および乾燥製品の端材などは、リパルプタンク14fに一端貯蔵し、解繊古紙の一部として、ポンプ14gにより混練機13に投入してもよい。
【0035】
前記中間タンク15は、発泡機16を連続的に運転させるために、一時的に混練された混練物を貯蔵するためのタンクであり、攪拌機15aによって攪拌し、混練物を循環用ポンプ15bで強制循環させる。その後、混練物は、発泡機16への供給ポンプ16aによって発泡機16へ送られる。なお、中間タンクを設けず、前記の構成と略同じ構成の混練機13を2台配置した装置においては、発泡の工程よりも時間のかかる混練物の製造が、交互に行われ、交互に発泡機に供給されるため、より確実に発泡機を連続的に運転させることができる。
前記発泡機16は、図示しない空気供給装置により空気を強制的に混練物に吹き込んで混合し、発泡物を製造する空気混合機である。ここで、吹き込んで発泡させるガスは、常温常圧下で気体であればよく、空気以外に、例えば窒素、二酸化炭素またはそれらの混合物であってもよい。
前記成形機17は、発泡物をシート状に押し出し成形する押し出し成形機であり、成形体コンベア18は、得られた成形体を搬出する装置である。ラック積み機19は、成形体コンベア18から搬出された成形体をラック上に積み上げる装置である。
【0036】
前記乾燥機20は、温風乾燥機である。具体的には、主に乾燥室20aと、熱交換器である熱風発生器20bとを有している。熱風発生器20bでは、ファン20cにより吹き込まれた空気を、別の経路で供給された蒸気で加熱し、得られた熱風を乾燥室20aに吹き込む。これにより、乾燥室20aに収納されたラック積みの成形体が乾燥される。
乾燥室20aには、熱風の循環ファン20dと、排気用のファン20eが配設されている。
前記発泡シート押し出し機21は、乾燥機20から搬出されたラック積みの成形体発泡シートを、押し出しシリンダ21aにより1枚ずつ外部へ押し出して製品として搬出する。
【0037】
次に、この発泡成形体の製造装置10による発泡成形体(製品発泡シート)の製造方法を説明する。
まず、古紙解繊機11で、新聞紙、雑誌、ダンボールなどの古紙を解繊し、解繊機11のスクリーンの目開きが1〜15mmを通過した解繊古紙を解繊古紙貯蔵ホッパ12に供給して貯蔵する。
解繊古紙を、解繊古紙貯蔵ホッパ12から切り出し装置12aにより混練機13の容器13a内に事前に充填されている少なくともバインダーを含有する水溶液中に供給し、解繊古紙と、水溶液と、必要により供給される各種の薬剤とを攪拌機13bで攪拌・混合しつつ、それらの混合物の一部をポンプ13cで抜き出して容器13aに循環させ、混練物を製造する。
【0038】
ここで、解繊古紙10kgを原料とした混練方法の具体例を示す。
まず、容器13aに、第1のホッパ14aからバインダーとしてゼラチン(ゼリー強度:150ブルーム、油脂含有量:0.1重量%、起泡度:10mm)3.7kgを含有する水溶液69.7kg、第2のホッパ14bから柔軟化材としてグリセリン7.5kg、第3のホッパ14cから離型剤0.03kgをそれぞれ供給し、さらに、第5のホッパ14hから防腐剤としてソルビン酸カリウム37gを添加して混合する。そのときの温度は、60℃である。
なお、前記ゼラチンのゼリー強度の測定は、JIS K6503に規定されるゼラチンのレオメータ測定法により行い、油脂含有量の測定は、JIS K6503に規定される酸分解法で行った。また、起泡度の測定は、検液温度60℃、検液濃度10重量%、液量5mlを試験管(内径13mmφ±1mm)に採取し、試験管ミキサーで2,800rpm、10mmストロークで偏心円運動させて攪拌する。このようにして発泡させたのち、発泡層の下面と上面とに印を付け、試験管を60℃の温水に保持したビーカ中に浸漬し、静止1分後の発泡層高さを測定し、その高さを起泡高さとして測定した。
【0039】
その後、解繊古紙貯蔵ホッパ12から解繊古紙10kgを容器13a内の水溶液中に投入し、攪拌機13bを約10分間、45rpmでゆっくりと攪拌し、解繊古紙に各種の薬剤を染み込ませると共に、容器13a内で解繊古紙が山形状に成長するのを防止する。
このようにして、各種材料の供給が完了したのち、攪拌機13bの攪拌速度を90rpmまで上昇させ、解繊古紙に各種の薬剤を馴染ませる。この攪拌時間は、約3分間である。
【0040】
次に、攪拌機13bの攪拌速度を120rpmまで上昇させ、解繊古紙および各種の薬剤との混合を開始する。
約1分後に、容器13aの下方にあるポンプ13cを作動させる。これにより、混練物の循環を開始し均一な混合の補助をする。なお、混練物の循環量は10L/分である。
この状態で約10分間攪拌混合したのち、第4のホッパ14dから架橋反応促進剤0.35kgを供給する。さらに、約10分間攪拌混合して混練工程を終了する。
この際、解繊古紙と水溶液などの供給順序を、前記とは逆に、解繊古紙を投入した後に水溶液を供給して混練した場合には、解繊古紙が容器13aの内壁面に張り付いて流動させることが困難となる。その結果、均一な混練物を製造することができない。
【0041】
得られた均一な混練物は、発泡機16の連続的な運転を行うため、一時的に中間タンク15に貯蔵される。ここでも、混練物は、攪拌機15aによって15rpmの回転数で攪拌されながら、循環用ポンプ15bによって強制循環させられる。
【0042】
その後、中間タンク15の混練物は、供給ポンプ16aによって発泡機16へ供給される。
発泡機16では、図示しない空気供給装置により混練物の中に空気を強制的に吹き込んで混合する。これにより、発泡物が得られる。
発泡工程では、空気を送り込み均一で微細な気泡を形成しているが、発泡機16での空気吹き込み量を増やし過ぎると、微細な気泡の抱き込みができなくなり、製品の発泡成形体の表面がアバタ状になり外観不良となる。このため、混練工程で空気の巻き込みを行い、発泡機16での空気の吹込み量を制限することで、良好な気泡を抱き込んだ製品の発泡シートを製造することができる。したがって、ここでは、空気の吹込み量を混練物1kg/分に対して0.8NL/分にし、混合物の発泡比重は、0.3g/cmとしている。
【0043】
得られた発泡物は、成形機17へ送られ、押し出し成形によってシート状の成形体となる。
その後、得られた成形体は、所定寸法にカットされ、成形体コンベア18により搬出される。成形体コンベア18の搬出口では、ラック積み機19によりラック上に多数枚の成形体が積み上げられる。カット時に発生した製品端材は、リパルプタンク14fに一端貯蔵され、再び解繊古紙の一部として、ポンプ14gにより混練機13に投入される。
ラック積みされた成形体は、箱型の乾燥機20に入れられる。ここで、80℃の定温で温風乾燥が行われる。乾燥時間は、製品発泡シートの厚さが5mmのものは約3〜5時間、10mmのものは約5〜7時間である。
【0044】
この乾燥工程における乾燥温度に関しては、通常、60〜150℃であり、好ましくは、70〜100℃である。乾燥温度が60℃よりも低いと、乾燥に時間がかかり過ぎると共に成形体の収縮率が大きくなり、一方、150℃よりも高くなると、成形体に含有された各種の成分における組成変化が起こり、柔軟性が低くなる。前記の温風乾燥機の場合には、温風乾燥温度を100℃±20℃で全乾燥時間の50〜80%の時間乾燥する前段乾燥(定率乾燥)と、80℃±20℃で全乾燥時間の20〜50%の時間乾燥する後段乾燥(減率乾燥)との2段階で乾燥するのが好ましい。前段乾燥を前記範囲以外の低温で行うと、乾燥に時間がかかり、成形体の収縮率も大きくなり、高温で行うと、成形体に含有された各種の成分の組成変化が起こり柔軟性が低くなる。また、後段乾燥を前記範囲以外の低温で行うと、乾燥に時間がかかり、高温で行うと、成形体に含有された各種の成分の組成変化が起こり柔軟性が低くなる。さらに、前段乾燥工程よりも後段乾燥工程の温風乾燥温度を高い温度に設定すると、単に品温が少し上昇した定率乾燥状態になるだけで、乾燥効率が悪くなる。前記では乾燥温度は高いが、空気の混合量が多く、均一に発泡しているため、バインダーとして混合されるゼラチンなどが溶け出すことがない。
【0045】
製造された製品の発泡成形体は、絶乾比重が0.10g/cmの強度が比較的に高く、緩衝性の良好な成形体を得ることができた。
また、図2の起泡度およびゼリー強度の製品発泡成形体の外観に与える影響を測定したグラフ、ならびに図3の起泡度およびゼリー強度の製品発泡成形体の絶乾比重に与える影響を測定したグラフから、ゼリー強度を130ブルーム未満では、発泡成形体の表面にアバタ状の窪みが発生して、製品としての外観を損なうと共に、絶乾比重が高くなる。従って、製品の不良率が高く歩留まりが悪い問題があり、また、起泡度が2mm未満であると、前記ゼリー強度と同様な問題があることが、明確である。
【0046】
前記で製造された発泡成形体は、各種の梱包用緩衝材、自動車の座席シート、断熱材、吸音材などに使用される。
本発明の発泡成形体は、紙などとバインダとの混合した多孔質体であるゆえ、断熱材や吸音材の用途で、従来の化学樹脂発泡材と変わらない機能を有するが、さらに、悪臭ガスの臭いを吸着する機能も併せ持ち、吸臭材の用途もある。
また、古紙などの繊維質物質を原料とした製品は、天然物からなるため、自然界で容易に生分解や生崩壊され、また、焼却しても有害物質が発生しないため、環境保護の観点からも優れている。
【0047】
【発明の効果】
本発明により、発泡成形体の表面にアバタ状の窪みが発生して、製品としての外観を損なう恐れがなく、しかも、内部に空洞が発生しにくく、また、強度も高い発泡成形体であり、さらに、製品の発泡成形体の比重をコントロールすることができ、発泡成形体の低比重化が図れるなどにより、歩留まりを向上できるため、弾力性能に優れた緩衝材などを経済的かつ連続的に多量生産することができ、特に、天然物である古紙などの繊維質物質を原料にして生分解性や生崩壊性を有する環境に優しい発泡成形体とその発泡成形体を製造することができる製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の発泡成形体の製造装置の全体構成図である。
【図2】起泡度およびゼリー強度の製品発泡成形体の外観に与える影響を測定したグラフである。
【図3】起泡度およびゼリー強度の製品発泡成形体の絶乾比重に与える影響を測定したグラフである。
【図4】混練物の発泡比重と絶乾比重の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10:発泡成形体の製造装置
13:混練機
16:発泡機
17:成形機
20:乾燥機

Claims (9)

  1. ゼラチンおよび/またはニカワを主成分とし、ゼリー強度が130ブルーム以上且つ240ブルーム以下、油脂含有量が0.3重量%以下のバインダーであり、かつ前記バインダーを水に対し10重量%溶解して検液としたとき、その検液5mlを試験管にとり60℃で攪拌後に1 分間静置した時の起泡高さが2mm以上となるバインダーが溶解されている水溶液と繊維質物質とを混練して発泡成形した発泡成形体。
  2. その絶乾比重(温度80℃、相対湿度7〜8%の条件における恒温時比重)が0.06〜0.16g/cm3である請求項1に記載の発泡成形体。
  3. ゼラチンおよび/またはニカワを主成分とし、ゼリー強度が130ブルーム以上且つ240ブルーム以下であるバインダーが溶解され、かつ実際に混練する際の繊維質物質重量と水分量の重量比率にて繊維質物質から抽出した水溶液に対し、10重量%の前記バインダーおよび界面活性剤を溶解して検液としたとき、その検液5ml試験管にとり60℃で攪拌後に1分間静置したときの起泡高さが2mm以上となる添加調合比率の界面活性剤を溶解した水溶液と繊維質物質とを混練して発泡成形した発泡成形体。
  4. 界面活性剤の添加量が、バインダーに対して0.2〜10重量%である請求項3記載の発泡成形体。
  5. 前記水溶液には、バインダーのほかに、さらに架橋促進剤、柔軟化剤、離型剤、抗菌剤、PH調整剤、PH緩衝剤、発泡剤、防カビ剤、着色剤、漂白剤、酸化防止剤、耐候(光)剤、難燃剤および充填剤の群から選ばれた少なくとも1種が添加された請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発泡成形体。
  6. 抗菌剤がソルビン酸カリウムあり、その添加量がバインダーに対して0.7〜3重量%である請求項5記載の発泡成形体。
  7. バインダー水溶液のPHが4.5〜6.5の範囲である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発泡成形体。
  8. ゼラチンおよび/またはニカワを主成分とし、ゼリー強度が130ブルーム以上且つ240ブルーム以下、油脂含有量が0.3重量%以下であり、かつ、前記バインダーを水に対し10重量%溶解して検液としたとき、その検液5mlを試験管にとり60℃で攪拌後に1分間静置したときの起泡高さが2mm以上となるバインダーが溶解されている水溶液と繊維質物質とを混練して混練物を製造する混練工程と、該混練工程で混練された混練物を発泡させて発泡物を製造する発泡工程と、該発泡工程で発泡された発泡物を所定の形状に成形して成形体を製造する成形工程と、該成形工程で成形された成形体を乾燥する乾燥工程とを備えた発泡成形体の製造方法。
  9. ゼラチンおよび/またはニカワを主成分とし、ゼリー強度が130ブルーム以上且つ240ブルーム以下であるバインダーが溶解され、かつ実際に混練する際の繊維質物質重量と水分量の重量比率にて繊維質物質から抽出した水溶液に対し、10重量%の前記バインダーおよび界面活性剤を溶解して検液としたとき、その検液5mlを試験管にとり60℃で攪拌後に1分間静置したときの起泡高さが2mm以上となる添加調合比率の界面活性剤を溶解した水溶液と繊維質物質とを混練して混練物を製造する混練工程と、該混練工程で混練された混練物を発泡させて発泡物を製造する発泡工程と、該発泡工程で発泡された発泡物を所定の形状に成形して成形体を製造する成形工程と、該成形工程で成形された成形体を乾燥する乾燥工程とを備えた発泡成形体の製造方法。
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