JP3585176B2

JP3585176B2 - 工業用防カビ組成物

Info

Publication number: JP3585176B2
Application number: JP21726992A
Authority: JP
Inventors: 圭一郎乾
Original assignee: シントーファイン株式会社
Priority date: 1992-07-22
Filing date: 1992-07-22
Publication date: 2004-11-04
Anticipated expiration: 2019-11-04
Also published as: JPH0640819A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は工業用材料が微生物汚染を受けることを防止するための殺菌組成物に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、工業用防カビ剤として多くの化合物が使用されている。これらのうち、効果の優れている化合物の一つとしてＩＰＢＣがあげられる。ＩＰＢＣは、バクテリア、酵母、カビ等の微生物、特にカビ、酵母に対して優れた効力を有している。このためＩＰＢＣは、接着剤、塗料、紙、繊維および木竹製品等のカビ汚染を防止するために添加されることが多い。
ＩＰＢＣは水にはほとんど溶解しないため灯油、キシロール、石油系有機溶剤に溶解させて製剤されることが多く、製剤された製品は溶剤臭が強く、また引火性を持っているため消防法上、危険物に該当する。また、ＩＰＢＣを界面活性剤と共に水に分散させて製剤することも可能であるが、分散の破壊により経時的な分離を起こす恐れがある。
特開昭６３−４１４０５号、特開昭６３−４４５０４号には、上記ＩＰＢＣを白灯油に溶解させる製剤例が提案されているが、引火性があり溶剤臭も強いため取扱い量が制限されたり取扱いに注意が必要で、また作業性も悪くなるので実用的ではない。また特開平２−１６４８０３号には、上記ＩＰＢＣを水和剤、粒剤、および粉剤に製剤した例のみが記載されているが、これらの製剤は液剤と比較して作業性が悪く実用的ではない。
【０００３】
【発明が解決しようとする問題点】
ＩＰＢＣを製剤するには灯油、キシロール等の非極性溶剤に溶解させ、油剤または乳剤とする方法があるが、溶剤臭が強く引火性があるため危険物に該当するため作業性に問題がある。
またＩＰＢＣを界面活性剤を用いて水に分散させフロアブル製剤とする場合には、安定な分散組成物を得ることが困難であり、また経時的な分散の破壊により分離を起こす恐れがあり、実用上問題となる。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記欠点を改良すべく鋭意研究の結果、ＩＰＢＣをエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール等のグリコール系水溶性溶剤に溶解し、特定量範囲の水および界面活性剤を添加することによって溶剤臭がない水溶性の可溶化剤とし、且つ非危険物製剤とし、上記の危険物となる欠点を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
本発明は、ＩＰＢＣをエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール等のグリコール系溶剤に溶解し、水を組成物に対し１０％以上５０％以下で添加し、さらにアニオンまたは／および非イオン界面活性剤を添加することによって得られる、非危険物であることを特徴とする工業用防カビ組成物に関する。
以下本発明について詳細に説明する。
【０００５】
本発明の防カビ組成物におけるＩＰＢＣは、グリコール系溶剤への溶解度の点から、防カビ組成物中０．１〜２０重量％となるように含有させるのが良く、好ましくは０．５〜１５重量％とするのが良い。また本発明の防カビ組成物には、製剤に影響を及ぼさない、ＩＰＢＣ以外の防カビ成分、防腐成分、殺虫成分、安定剤、防錆剤等を添加して使用することも可能である。他の防カビ成分または防腐成分の例としては、２−メチル−４−クロロイソチアゾリン−３−オン、Ｎ−ニトロソ−Ｎ−シクロヘキシルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、２−オクチルイソチアゾリン−３−オン、２−オクチル−４，５−ジクロロイソチアゾリン−３−オン、２−ブロモ−２−ニトロプロパンジオール、パラオキシ安息香酸アルキルエステル等が挙げられる。
本発明で使用するグリコール系溶剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールが挙げられるが、溶解度の点からプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびポリエチレングリコール（平均分子量２００）が適している。またグリコール系溶剤はそれら単独で用いても二種以上を併用しても良い。
本発明で使用する界面活性剤は非イオン系またはアニオン系界面活性剤が用いられ、各々を単独で使用しても混合して使用しても差し支えない。非イオン界面活性剤にはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン系界面活性剤にはアルキルベンゼンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ジアルキルスルホサクシネート等が挙げられる。界面活性剤の配合率は１〜３０重量％で、好ましくは５〜２０重量％が望ましい。水の配合率は１０〜５０重量％が望ましく、５０重量％を超えると防カビ組成物が濁りを生じ、１０重量％未満では非危険物にならない場合がある。
【０００６】
【実施例】
次に本発明の実施例および比較例をあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に示した配合比率はすべて重量％である。各実施例の防カビ組成物は各実施例に示す各成分をそれぞれ示す割合で常温において通常の撹拌によって調製した。
【０００７】
実施例１〜８を表１、比較例１〜３を表２に示す。これらの防カビ剤組成物についての経時安定性試験、引火点測定試験を行なった。
【０００８】
【表１】

ＩＰＢＣ：３−ヨード−２−プロピニルブチルカーバメート
ＰＧ：プロピレングリコール
ＤＥＧ：ジエチレングリコール
ＴＥＧ：トリエチレングリコール
ＰＥＧ−２００：ポリエチレングリコール（平均分子量２００）
ＰＰＧ−４００：ポリプロピレングリコール（平均分子量４００）
ノニポール８０：ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル（三洋化成工業株式会社製）
イオネットＳ−２０：ソルビタン脂肪酸エステル（三洋化成工業株式会社製）
カラボンＤＡ−７２：ジオクチルスルホサクシネート（三洋化成工業株式会社製）
【０００９】
【表２】

ＩＰＢＣ：３−ヨード−２−プロピニルブチルカーバメート
ノニポール１２０：ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル（三洋化成工業株式会社製）
カラボンＤＡ−７２：ジオクチルスルホサクシネート（三洋化成工業株式会社製）
【００１０】
（１）経時変化試験
防カビ組成物を４５℃の恒温器中に放置し、一定期間毎に外観の観察とＩＰＢＣの分析を行なった。結果を表３に示す。表３から明らかなように、本発明の防カビ組成物は臭いもなく、外観の変化が認められず、非常に安定化されていることがわかる。
【００１１】
【表３】
製剤安定性試験結果

○：変化なし
数字はＩＰＢＣの残存率（％）
【００１２】
（２）引火点測定試験
クリーブランド開放式によって引火点を測定した。結果を表４に示す。表４から明らかなように本発明の防カビ組成物は引火性を認めず、消防法上作業性が良いと考えられる。
【００１３】
【表４】
引火点測定結果

【００１４】
【発明の効果】
本発明の工業用防カビ剤組成物は、溶剤臭がないため作業性に優れ、また水および界面活性剤を添加しているため非危険物製剤である。しかも分離を起こさず製剤安定性に優れているため、確実な防カビ効果が得ることができる。

Claims

３−ヨード−２−プロピニルブチルカーバメート（以下ＩＰＢＣと示す）をグリコール系溶剤に溶解し、水を組成物に対し１０％以上５０％以下で添加し、さらにアニオンまたは／および非イオン界面活性剤を添加することによって得られる、非危険物であることを特徴とする工業用防カビ組成物。
グリコール系溶剤がエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールである請求項１記載の工業用防カビ組成物。