JP3582358B2 - Dc/dcコンバータの異常検出装置、異常検出方法、および、その異常検出機能を備えた車両駆動システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、DC/DCコンバータの異常検出装置及び方法に関する。この異常検出装置は、例えば、エンジンとアシストモータによって車両の推進力を発生する車両駆動システムに好適に適用される。
【0002】
【従来の技術】
従来より、低公害などの観点から電気自動車が注目されている。電気自動車の一種に、ホイールモータ付き車両がある。図14は、ホイールモータ付き車両の構成の一例を示している。エンジン100の出力によりフロントホイール102が駆動される。補機バッテリ104は、エンジン出力で駆動されるオルタネータにより充電され、エンジン点火系等に電力を供給するものである。その他に、補機バッテリ104の直流電圧はDC/DCコンバータ106にて昇圧され、昇圧側で電力がキャパシタ108に一時的に蓄えられる。そして、キャパシタ108からインバータを介して左右のホイールモータ110に電力が供給される。ホイールモータ110のステータは車体側に、ロータはホイール側に固定されており、ホイールモータ110の出力でリアホイール112が駆動される。
【0003】
図14のシステムでは、エンジン100が車両の主推進力を発生し、ホイールモータ110はアシスト推進力を発生する。例えば、雪道の上り坂など、路面の摩擦係数が低く、フロントホイール102がスリップしやすい状況においても、アシスト推進力を利用したリアホイール112の駆動により、車両が安定して走行する。また、車両の減速時には、ホイールモータ110の回生制動で得られた電力がキャパシタ108に蓄えられ、この電力を使ってホイールモータ110が駆動される。このようにして、車両の運動性能を向上し、また、エネルギ効率の向上を図ることができる。さらに、モータをホイールに直接に取り付けたことにより、(1)ドライブシャフト等の伝達系部品およびそのためのスペースを省略でき、伝達損失も少なくなる;(2)1つのモータの駆動力を左右輪に分配するのではなく、左右のホイールに独立して駆動力を与えられるので、従って、左右の駆動力を独立して制御することができ、これにより高い運動性能が得られる;といった利点が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図14のような車両駆動システムでは、DC/DCコンバータに異常が発生すると、システムの正常な動作も困難になる。そこで、DC/DCコンバータに何らかの異常が発生したことを検出し、異常発生に的確に対処する必要がある。コンバータ異常は、例えば内部の断線であり、また例えば、トランジスタやダイオードを内蔵している場合におけるそれらの要素の故障である。
【0005】
参考技術として、特開平9−284994号公報に記載の過電圧保護回路では、DC/DCコンバータの出力電圧の大きさを所定の基準電圧と比較することによってコンバータ異常を検出することが提案されている。
【0006】
上記公報では、DC/DCコンバータをコンピュータ等に備え、定常的に一定の出力電圧を得るために用いることが前提になっている。コンバータが正常であれば、一定電圧を出力し続けるはずである。従って、検出された出力電圧の大きさを監視するだけで、容易にコンバータ異常が発生したか否かを判断できる。
【0007】
しかしながら、図14のようなシステムでは、DC/DCコンバータが、キャパシタの充電に用いられる。充電は、運転の開始時や、キャパシタの電力をモータ駆動に消費した後に行われる。DC/DCコンバータの起動によって充電が開始され、出力電圧が立ち上がる。コンバータの出力電圧はキャパシタの両端電圧と同等であり、目標の出力電圧が得られるとコンバータが停止される。このような用途にコンバータを使う場合、コンバータの出力電圧は一定ではなく、変化していく。そのため、従来のように出力電圧の大きさだけを監視していてもコンバータの異常を検出することは困難である。そこで、このような場合にもコンバータ異常の発生を確実に検出可能にすることが望まれる。
【0008】
さらに、図14のようなシステムでは、キャパシタの電力をモータ駆動のために消費した後、次のモータ駆動に備えて急速にキャパシタを充電することが望ましい。そのためには、複数のDC/DCコンバータを並列接続し、全体で一つのDC/DCコンバータとして機能させることが効果的である。以下、このような構成における並列接続された各DC/DCコンバータを「DC/DCコンバータモジュール」という。しかしながら、並列接続された複数のコンバータモジュールの一部が故障した場合には、電力変換は可能であるものの電力変換能力が低下するという事態が生じる。従って、出力電圧の大きさだけを見ていても、コンバータ異常が発生したか否かが分からない。もちろん、一つ一つのコンバータモジュールに異常検出のためのセンサを取り付けることも考えられるが、構成の複雑化、コストの増大といった不利がある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成でコンバータの異常発生を確実に検出できる異常検出装置および異常検出方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、一つのDC/DCコンバータに複数のDC/DCコンバータモジュールが並列に設けられている場合でも、コンバータ異常を確実に検出できる異常検出装置および異常検出方法を提供することにある。
【0011】
さらに本発明の他の目的は、複数のDC/DCコンバータモジュールが並列に設けられている場合に、どのコンバータモジュールに異常が発生したのかを特定できる異常検出装置および異常検出方法を提供することにある。
【0012】
さらに本発明の他の目的は、上記の好適なコンバータ異常検出機能を備えた車両駆動システムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1)上記の目的を達成するため、本発明は、入力される直流電圧を異なる直流電圧に変換して出力するDC/DCコンバータの異常検出装置であって、前記DC/DCコンバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、前記出力電圧の検出値に基づいてコンバータ異常が発生したか否かを判定する異常判定手段と、を含み、前記異常判定手段は、前記出力電圧の検出値の変化の速さがコンバータ正常状態における出力電圧の変化の速さと異なるときに、コンバータ異常が発生したと判定することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、出力電圧の変化の速さを利用してコンバータ異常が検出される。コンバータが正常か異常かによって、出力電圧の変化の様子が異なり、電圧変化の速さが異なる。従って、コンバータが正常な状態と異なる速さで出力電圧が変化したか否かによって、コンバータ異常発生の有無を判定できる。
【0015】
このように、本発明によれば、例えばDC/DCコンバータをキャパシタの充電に使う場合のように、出力電圧の大きさだけではコンバータ異常が分からないときでも、出力電圧の変化の速さを利用することにより、コンバータ異常を確実に検出することが可能となる。
【0016】
なお、本発明は、DC/DCコンバータが複数のDC/DCコンバータモジュールを有する場合に好適に適用される。しかし、本発明はこのような構成には限定されず、DC/DCコンバータが単独で設けられている場合にも本発明を同様に適用できる。
【0017】
また、上記の本発明の異常検出手段は、出力電圧の変化の速さが適正であるか否かを判定するために、例えば下記の(2)〜(4)のいずれかの具体的構成を有することが好適である。
【0018】
(2)本発明の一態様では、前記異常判定手段は、時間軸に対する出力電圧検出値の傾きを算出する傾き算出手段と、出力電圧検出値に基づいてコンバータ正常状態に対応する基準の電圧傾きを求める基準傾き取得手段と、を含み、電圧傾き算出値と基準の電圧傾きを比較することによってコンバータ異常が発生したか否かを判定する。時間軸に対する電圧の傾きは、電圧変化速度に相当する。
【0019】
(3)また別の一態様では、前記異常判定手段は、所定の判定期間の前後の出力電圧検出値の変化量を求める電圧変化算出手段と、前記判定期間の開始時点の出力電圧に基づいてコンバータ正常状態に対応する判定期間前後の基準の出力電圧変化量を求める基準電圧変化取得手段と、を含み、前記出力電圧検出値の変化量を前記基準の出力電圧変化量と比較することによってコンバータ異常が発生したか否かを判定する。判定期間の前後の電圧変化量は、判定期間の平均の電圧変化速度(傾き)と対応するものである。
【0020】
(4)また別の一態様では、前記異常判定手段は、所定の判定期間の開始時点の出力電圧に基づいてコンバータ正常状態に対応する前記判定期間の終了時点の基準の出力電圧を求める基準電圧取得手段を含み、前記判定期間の終了時点の出力電圧の検出値を前記基準の出力電圧と比較することによってコンバータ異常が発生したか否かを判定する。この態様では、判定期間の終了時点の出力電圧そのものを異常判定に用いているが、判定の原理は上記の(3)と実質的に同様である。
【0021】
(5)本発明の好適な一態様において、前記DC/DCコンバータは、コンバータの入力端および出力端の間に並列に設けられた複数のDC/DCコンバータモジュールを含み、前記電圧検出手段が検出する前記DC/DCコンバータの出力電圧は、前記複数のDC/DCコンバータモジュールの総合出力電圧であり、前記異常判定手段は、すべてのDC/DCコンバータモジュールが正常な状態における速さと異なる速さで前記総合出力電圧が変化するときに、複数のDC/DCコンバータモジュールのいずれかに異常が発生したと判定する。
【0022】
この態様では、複数のDC/DCコンバータモジュールが並列接続されている。各DC/DCコンバータモジュールは、通常のDC/DCコンバータとして機能できるものである。電圧検出手段は、全部のコンバータモジュールが集まった後の総合出力電圧を検出する。全部のコンバータモジュールが正常な場合と、一部のコンバータモジュールが異常な場合とでは、総合出力電圧の変化の速さが異なる。従って、総合出力電圧の変化の速さを利用してコンバータ異常の発生を検知できる。従来のように出力電圧の大きさだけを監視する場合、一部のコンバータモジュールに異常が発生しても電力変換は行われるので、コンバータ異常を確実に検知することは困難だった。本発明によれば、上記のように、一部のコンバータモジュールに異常が発生したことも確実に検知できる。各コンバータモジュールに個別に電圧センサを設ける必要がないので、構造が簡単であり、コスト低減が図れる。
【0023】
(6)また、本発明の別の好適な一態様において、前記DC/DCコンバータは、コンバータの入力端および出力端の間に並列に設けられた複数のDC/DCコンバータモジュールを含み、前記電圧検出手段が検出する前記DC/DCコンバータの出力電圧は、前記複数のDC/DCコンバータモジュールの総合出力電圧であり、前記複数のDC/DCコンバータモジュールを時分割制御により順次個別に駆動する時分割駆動制御手段が設けられており、前記異常判定手段は、各DC/DCコンバータモジュールを駆動した際に、コンバータ正常状態における速さと異なる速さで前記総合出力電圧が変化した場合に、そのときに駆動されたDC/DCコンバータモジュールに異常が発生したと判定する。
【0024】
この態様では、複数のDC/DCコンバータモジュールが時分割制御により順次個別に駆動される。各DC/DCコンバータモジュールを駆動するときに、総合出力電圧の電圧変化に基づいてコンバータ異常が発生したか否かが判定される。異常発生と判定された場合、そのときに駆動したDC/DCコンバータモジュールに異常が発生している。従って、どのコンバータモジュールに異常が発生したのかを特定することが可能となる。これにより、コンバータ異常に対してより適切な対応措置をとることができ、また、コンバータの修理等の作業を迅速かつ容易に行うこともできる。
【0025】
(7)本発明の別の態様は、入力される直流電圧を異なる直流電圧に変換して出力するDC/DCコンバータの異常検出方法であって、前記DC/DCコンバータの出力電圧がコンバータ正常状態と異なる速さで変化したときにコンバータ異常が発生したと判定することを特徴とする。この態様によれば、上記の本発明の効果が異常検出方法というかたちで得られる。
【0026】
(8)本発明の別の態様は、車両の主推進力を発生するエンジンと、車両のアシスト推進力を発生するアシストモータと、補機蓄電手段からの供給電力を前記アシストモータで要求される電圧の電力へ昇圧変換するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータによって昇圧された電力を一時的に蓄え、蓄えた電力を前記アシストモータへ供給するモータ用蓄電手段と、を含む車両駆動システムにおいて、前記DC/DCコンバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、前記DC/DCコンバータを起動して前記モータ用蓄電手段を充電するときに、コンバータ正常状態における速さと異なる速さで出力電圧が変化した場合に、前記DC/DCコンバータに異常が発生したと判定する異常判定手段と、を含むことを特徴とする。
【0027】
この態様によれば、車両駆動システムが、コンバータ起動の際の早い時期に、モータ用蓄電手段を充電するためのDC/DCコンバータに異常が発生したことを確実に検知して、適切な対応措置をとることができる。例えば、アシストモータの使用が禁止される。また、DC/DCコンバータが複数の単位コンバータにより構成されている場合において、一部の単位コンバータが正常であれば、使用可能な単位コンバータを用いて、引き続きアシストモータを作動させることができる。
【0028】
なお、例えば、アシストモータは、ホイールに取り付けられるホイールモータであり、補機蓄電手段は補機バッテリであり、モータ用蓄電手段はキャパシタまたはコンデンサである。好ましくは、本発明の異常判定手段の各構成は、適宜、DC/DCコンバータを制御する制御装置に組み込まれる。
【0029】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)について、図面を参照し説明する。図1は、本実施形態の車両駆動システムの構成を示している。本発明の異常検出装置はこのシステムに設けられている。エンジン10は内燃機関であり、車体のフロント部に搭載されており、変速機12および車軸14を介してフロントホイール16に接続されている。エンジン10の出力によりフロントホイール16が駆動される。
【0030】
電圧12Vの補機バッテリ18は、エンジン10の出力で駆動されるオルタネータ19の発電電力によって充電される。補機バッテリ18は、エンジン点火系やその他の補機に電力を供給している。この補機バッテリ18からDC/DCコンバータアセンブリ20に直流電圧が入力され、コンバータで昇圧が行われる。DC/DCコンバータアセンブリ20は、並列接続された2つのDC/DCコンバータモジュール22a、22bを有する。ここで、本実施形態では、DC/DCコンバータアセンブリ20が本発明のDC/DCコンバータに相当する。各コンバータモジュールは、周知の構成を有するものでよい。以下、適宜、DC/DCコンバータアセンブリ20またはDC/DCコンバータモジュール22a,22bを単にコンバータという。
【0031】
コンバータアセンブリ20から出力された直流電圧はキャパシタ24に印可され、これによりキャパシタ24が充電される。キャパシタ24は、ホイールモータ28を駆動する電力を一時的に蓄えるために設けられている。キャパシタ24の代わりに電界コンデンサを設けることも好適である。キャパシタ24に蓄えられた電力は、左右のインバータ26を介して左右のホイールモータ28に供給される。インバータ26は、複数のスイッチング素子を有し、キャパシタ24から送られる直流電流を交流電流に変換する。ホイールモータ28は、例えば3相交流式のPM同期モータである。ホイールモータ28のステータは車両側に固定され、ロータはリアホイール30に固定されている。従って、ホイールモータ28の出力によりリアホイール30が駆動される。
【0032】
システムECU32は、ホイールモータ28による図1のパワーアシストシステムを制御している。システムECU32は、ホイールモータ28、補機バッテリ18およびエンジン10を含む各種の構成要素およびそれらの要素に設けられたセンサから入力される信号に基づいて動作する。システムECU32は、DC/DCコンバータアセンブリ20に制御信号を出力して、昇圧動作を行わせる。ここで、システムECU32は、コンバータアセンブリ20を構成する各コンバータモジュールに個別に制御信号を出力し、個別に動作させることが可能に構成されている。従って、一方のコンバータのみを起動し、電力変換を行わせることもできる。
【0033】
また、システムECU32は、インバータ26のスイッチング動作を制御する信号を生成し、出力する。ホイールモータ28に所望のトルクを発生させる交流電流を生成するためのスイッチング信号が生成される。また、車両の減速時には、ホイールモータ28に回生制動を行わせるスイッチング信号が生成される。回生制動により発電された電力は、キャパシタ24に充電される。また、エンジン10は、図示しないエンジンECUにより制御されているが、このエンジンECUもシステムECU32に一体化されてもよい。
【0034】
さらに、システムECU32は、本発明の異常判定手段として機能する。DC/DCコンバータアセンブリ20の出力側には、電圧センサ34が設けられている。この電圧センサ34の検出信号がシステムECU32に入力され、ECU32にてコンバータアセンブリ20の出力電圧CO_VDETが求められる。システムECU32は、後述するように、この出力電圧を利用してコンバータ異常を検出する。上記の出力電圧は、2つのコンバータモジュール22a、22bが集まった後の部分での電圧(総合出力電圧)である。また、上記出力電圧は、キャパシタ24の両端の電圧でもある。
【0035】
図2は、本実施形態の車両駆動システムの全体的な制御を示している。イグニッションスイッチ(図示せず)がオンになると(S100)、システムECU32が立ち上げられ(S101)、エンジン始動制御が行われる(S102)。エンジンが始動すると、アシストシステム、すなわち、ホイールモータ28に関連するシステムが立ち上げられ(S103)、走行制御が行われる(S104)。走行制御中は、エンジン10が車両の主推進力を発生し、ホイールモータ28はアシスト推進力を発生する。路面がすべりやすい状況などでは、リアホイール30の駆動力を利用することにより、車両の運動性能が高められる。そして、イグニッションスイッチがオフになったか否かが判断される(S105)。イグニッションがオフでなければ走行制御が継続され、イグニッションがオフであれば、全体処理は終了する。
【0036】
図2の処理において、DC/DCコンバータは、まずS103のアシストシステム立上げステップで駆動される。ホイールモータ28を駆動するのに十分な電気エネルギをキャパシタ24に蓄える必要がある。そこで、コンバータ出力電圧CO_VDET(=キャパシタ両端電圧)が予め定めた目標値に達するまで充電が行われる。前述のように、コンバータ出力電圧は電圧センサ34により検出される。また、走行制御中、キャパシタ24の電力をモータ駆動のために消費した後、次にホイールモータ26を駆動するときに備えてキャパシタ24を充電しておく必要がある。このときもDC/DCコンバータが駆動される。ここでも、コンバータ出力電圧CO_VDETが目標に達するまでコンバータ駆動が行われる。なお、本実施形態で2つのコンバータモジュール22a,22bを設けているのは、短時間でキャパシタ24を充電するためである。
【0037】
次に、本実施形態のコンバータ異常検出について説明する。本実施形態では、DC/DCコンバータがキャパシタ24の充電に使われているので、コンバータの起動後、時間の経過とともに出力電圧が大きくなる。図3には、2個のコンバータモジュールを駆動した場合と、1個のコンバータモジュールのみを駆動した場合の電圧上昇カーブが示されている。図3から明らかなように、2つのコンバータモジュール22a,22bの一方が故障した場合でも、出力電圧は時間の経過とともに上昇する。従って、出力電圧の大きさのみを監視していても、コンバータ異常が発生したか否かが分からない。
【0038】
しかしながら、図3に示されるように、正常なコンバータモジュールの数によって、出力電圧が上昇する速さは異なっている。従って、出力電圧の上昇の速さを利用してコンバータ異常を検出することができる。すなわち、検出された出力電圧変化をコンバータ正常状態における基準の電圧変化と比較することによって、コンバータ異常が発生したか否かを判定できる。本実施形態では、具体的には下記の異常判定処理1〜3のいずれかによってコンバータ異常を検出する。
【0039】
[異常検出処理1]
ここでは、出力電圧の変化の速さを表すパラメータとして、時間軸に対する出力電圧の傾き(電圧変化速度)を利用する。図3から明らかなように、時間の経過に伴って、出力電圧が大きくなるとともに電圧傾きが小さくなる。出力電圧と電圧傾きは一対一で対応する。そして、出力電圧の大きさが同じでも、正常なコンバータモジュールの数に応じて電圧傾きが異なる。そこで、2つのコンバータモジュールが正常な場合における出力電圧と電圧傾きとの関係を表す電圧傾きマップ(テーブルなどでもよい、以下同じ)を作成しておく。このマップには、電圧傾きの許容範囲が示される。図4は電圧傾きマップの一例を示しており、このマップはシステムECU32に記憶されている。システムECU32は、検出された出力電圧CO_VDETから電圧傾きを求め、この傾きが図4に点線で示される許容範囲から外れると、コンバータ異常が発生したと判断する。
【0040】
図5は、電圧傾きを利用した異常検出処理を示すフローチャートである。システムECU32は、コンバータの起動を行うとき(S200)、電圧計測回数をN回にセットする(S201)。そして、電圧センサ34からコンバータ出力電圧CO_VDETを入力し(S202)、計測回数Nから1を引く(S203)。そして、タイマ処理を行って所定のタイマ時間が経過するのを待ち(S204)、計測回数Nが0回になったか否かを判定する(S205)。N=0でなければ、S202に戻る。このようにして、タイマ時間おきにN個の電圧検出値が得られる。
【0041】
次に、システムECU32は、N個の電圧検出値から電圧傾きCO_ΔVを算出する(S206)。ここでは、1回目と2回目に得られた電圧検出値の差をタイマ時間で割ることによって、一の電圧傾きが算出される。同様に、2回目と3回目、3回目と4回目のデータからも電圧傾きが算出される。このようにしてN−1個の傾き算出値が得られると、これらの傾きの平均が算出される。この平均値が最終的な電圧傾きCO_ΔVである。
【0042】
また、システムECU32は、基準電圧傾きCO_ΔVBASEを算出する(S207)。まず、上記のN個の電圧検出値CO_VDETの平均が算出される。そして、図4の電圧傾きマップが参照され、平均電圧値に対応する電圧傾きCO_ΔVBASEが求められる。
【0043】
次に、電圧傾きCO_ΔVと基準電圧傾きCO_ΔVBASEとの差ΔCOが算出される(S208)。そして、この傾き偏差ΔCOが許容範囲の外であるか否かが判定される(S209)。許容範囲は図4に点線で示されている。傾き偏差ΔCOが許容範囲内であれば、2つのコンバータモジュール22a,22bが正常に作動していると考えられるので、異常検出処理を終了する。傾き偏差ΔCOが許容範囲外であれば、2つのコンバータモジュール22a,22bの少なくとも一方に異常が発生していると考えられるので、「異常処理」を行う(S210)。コンバータ異常は、例えば内部の断線であり、また例えば、トランジスタやダイオードを内蔵している場合におけるそれらの要素の故障である。「異常処理」では、ホイールモータ28の出力が制限される。これにより、現状のコンバータ能力低下状態において可能な範囲内で、ホイールモータ28によるパワーアシストシステムを継続して作動させることができる。また、運転席のインジケータが表示され、これにより運転者に異常発生が伝えられる。
【0044】
なお、上記の異常検出は、アシストシステムの立上げ(図2、S103)の際のコンバータ起動時にのみ行われてもよい。また、走行制御中のコンバータ起動の度に行われてもよい。
【0045】
以上の処理により、コンバータ異常の発生を確実に検出できる。特に、本実施形態のように2つ以上のコンバータが並列に設けられている場合にも、コンバータ異常の検出ができる。
【0046】
さらに、上記の処理では、電圧傾きを利用することにより、コンバータ起動時の初期電圧がどのような状態にあっても、コンバータ異常が発生したか否かを判定できるという利点がある。
【0047】
なお、上記の処理では、予め作成され記憶されている電圧傾きマップを用いて基準電圧傾きが取得された。これに対し、システムECU32は、適当な関数を用いた演算により基準電圧傾きを求めてもよい。この点は、下記の他の検出処理においても同様である。
【0048】
[異常検出処理2]
上記の異常検出処理1では、電圧傾きを用いてコンバータ異常が検出された。異常検出処理2では、所定の判定期間の前後の出力電圧の差(電圧変化量)を用いてコンバータ異常を検出する。この電圧変化量は、判定期間における電圧変化の速さの平均と対応するものである。従って、検出処理2も、電圧変化の速さに基づいて異常検出を行うという点では、上記の検出処理1と同等である。
【0049】
図6および図7を参照して異常検出処理2の原理を説明する。図6および図7は、コンバータが正常なときの出力電圧CO_VDETの上昇カーブを示している。コンバータが時点T0で起動した後、出力電圧が立ち上がる。ここでは、コンバータ起動時点T0を判定開始時点とする。
【0050】
図6の例では、コンバータ起動時点T0の初期電圧V0は0である。コンバータが正常であれば、予め定められた判定期間Pの経過後(T1)には、出力電圧はV2に達し、そして、判定期間の前後の出力電圧差はV2−V0になるはずである。この電圧差V2−V0を基準電圧差ΔVBASEとする。時点T0と時点T1で実際に検出された出力電圧CO_VDETの差分ΔVを求める。検出値の差分ΔVを上記の基準電圧差ΔVBASEと比較して、両者が大きく異なっていれば、コンバータ異常が発生していると判定する。
【0051】
図7の例では、コンバータ起動時にキャパシタ24に電力が残っており、初期電圧が0ではない。このような場合も、図6の例と同様にしてコンバータ異常を検出できる。ただし、基準電圧差ΔVBASEを図6の例とは異なった値にする必要がある。
【0052】
このように、初期電圧V0に応じて、判定期間Pの前後の電圧変化量が異なるので、基準電圧差ΔVBASEも異なる。そこで、初期電圧V0と基準電圧差ΔVBASEを関連づける基準電圧差マップを作成しておき、このマップをシステムECU32に記憶しておく。システムECU32は、基準電圧差マップを参照して、初期電圧V0から基準電圧差ΔVBASEを求める。そして、基準電圧差ΔVBASEと電圧検出値を用いてコンバータ異常発生の有無を判定する。
【0053】
図8には、異常検出処理2の処理が示されている。システムECU32は、コンバータの起動を行うとき(S300)、電圧センサ34からコンバータ出力電圧を入力する(S301)。ここで入力される電圧検出値CO_VDET_1は、上記の初期電圧V0に相当する。次に、システムECU32は、タイマ処理を行って所定の判定期間Pが経過するのを待ち(S302)、コンバータ出力電圧CO_VDET_2を入力する(S303)。
【0054】
次に、システムECU32は、上記の2つの電圧検出値の差ΔV=(CO_VDET_2)−(CO_VDET_1)を算出する(S304)。電圧差分ΔVを基準電圧差ΔVBASEと比較し、ΔVが許容範囲内であるか否かを判定する(S305)。ΔVBASEは上述のように基準電圧差マップから読みとられる。許容範囲は図6および図7に点線で示されている。電圧差ΔVが、(V3−V0)と(V1−V0)の間に無ければ、2つのコンバータモジュール22a,22bの少なくとも一方に異常が発生していると考えられるので、「異常処理」を行う(S306)。「異常処理」は、実施形態1と同様であり、モータ出力制限やインジケータ点灯である。
【0055】
以上に異常検出処理2を説明した。なお、上記の処理では、判定開始時点、すなわち判定期間Pの開始時点は、コンバータ起動時点であった。しかし、判定開始時点は、コンバータ起動時より後の適当な時点であってもよい(検出処理3でも同様)。
【0056】
[異常検出処理3]
上記の異常検出処理2では、所定期間の前後の出力電圧差を用いてコンバータ異常を検出している。これに対し、検出処理3では、所定期間の経過後の出力電圧検出値そのものを基準の出力電圧と比較する。処理の具体的内容は相違するが、異常検出の原理は検出処理2と同様である。すなわち、図6および図7において、初期電圧V0を基に、コンバータが正常であると仮定した場合の判定期間P経過後の出力電圧を求め、基準の出力電圧とする。この基準の出力電圧を実際の出力電圧検出値と比較することによって、コンバータ異常が発生したか否かを判定する。この検出処理を行うために、初期電圧と基準の出力電圧とを対応づける基準電圧マップを作成し、システムECU32に記憶しておく。
【0057】
図9には、異常検出処理3の処理が示されている。システムECU32は、コンバータの起動を行うとき(S400)、電圧センサ34からコンバータ出力電圧を入力する(S401)。このときの電圧検出値をCO_VDET_1とする。次に、システムECU32は、タイマ処理を行って所定の判定期間Pが経過するのを待ち(S402)、再びコンバータ出力電圧を入力する(S403)。このときの電圧検出値をCO_VDET_2とする。
【0058】
次に、システムECU32は、メモリ内に記憶している基準電圧マップを参照して、初期電圧CO_VDET_1に対応する基準電圧CO_VBASEを求める(S404)。さらに、検出された電圧CO_VDET_2と基準電圧CO_VBASEの差ΔVEが求められる(S405)。電圧誤差ΔVEが許容範囲内にあるか否かが判定され(S406)、許容範囲外であればコンバータ異常が発生していると判定される。ΔVEの許容範囲は、図6および図7に点線で示されている((V3−V1)/2)。コンバータ異常が発生している場合、異常判定処理1、2と同様に「異常処理」が行われる(S407)。異常が発生していなければ処理を終了する。
【0059】
上記の検出処理3では、判定期間経過後の電圧検出値そのものを基準値と比較しているので、処理が簡単であるという利点がある。この検出処理3は、図2のS103のシステム立上げの際と、S104の走行制御中のコンバータ起動の際とに行われる。特に、走行制御中は、システムECU32にはシステム全体を制御するための処理負担がかかっている。そのため、コンバータ異常検出処理を簡単にし、処理時間を極力短縮することが望まれる。この点で、検出処理3は、処理内容が簡単であり、処理時間が短くすむので有利である。
【0060】
[実施形態2]
以下、本発明の好適な第2の実施形態を説明する。実施形態2では、時分割で複数のコンバータモジュールを順次個別に駆動することにより、どのコンバータモジュールに異常が発生しているのかをも特定する。
【0061】
図10は、実施形態2の車両駆動システムを示している。図10において、図1と共通の構成要素には、図1と同一の符号が付されている。図10のシステムでは、図1のシステムとの相違点として、DC/DCコンバータアセンブリ20が、3つのDC/DCコンバータモジュール22a,22b,22cから構成されている。これらのDC/DCコンバータモジュール22a,22b,22cは並列に接続されている。その他の構成については、実施形態1と同様であり、説明を省略する。
【0062】
図11は、実施形態2の異常検出の原理を示している。DC/DCコンバータアセンブリ20を起動する際、まず、コンバータモジュール1(22a)のみが時点T0から時点T1まで駆動される。時点T0から時点T1までの期間は、実施形態1における[異常検出処理2]の判定期間Pに相当する。時点T0および時点T1の出力電圧CO_VDETの検出値を用いて、[異常検出処理2]の原理に基づいて、コンバータモジュール1が異常であるか否かが判定される。
【0063】
ここでは、1個のコンバータモジュールに関して、判定開始時点の出力電圧と基準の電圧差とを対応づける基準電圧差マップを作成しておく。このマップを参照し、コンバータモジュール起動時点T0の出力電圧から基準の電圧差が求められる。そして、時点T1と時点T0の電圧検出値の差が、基準の電圧差と比較される。
【0064】
次に、時点T2から時点T3まで、コンバータモジュール2(22b)のみを駆動する。そして、時点T2と時点T3の電圧検出値を基に、やはり[異常検出処理2]が実行される。ここでは、時点T2の出力電圧V10に基づいて基準電圧差が求められる。同様にして、時点T4から時点T5までコンバータモジュール3(22c)のみを駆動して、コンバータモジュール3が異常であるか否かを判定する。
【0065】
なお、実施形態1で説明したように、システムECU32は、コンバータアセンブリ20を構成する各コンバータモジュールに個別に制御信号を出力し、個別に動作させることが可能に構成されている。この機能を利用して、システムECU32は、本発明の時分割駆動制御手段として機能し、上記のようにコンバータの駆動を時系列で分割する。
【0066】
上記の異常検出処理は、図12に示すように、コンバータ起動の前にキャパシタ24に電気エネルギが残っている状況でも同様に実行できる。各コンバータモジュールの起動時の電圧に基づいて基準の電圧差を求めればよい。
【0067】
図13は、実施形態2の異常検出処理を示している。システムECU32は、まず、コンバータモジュール1を起動し(S500)、電圧センサ34からコンバータ出力電圧を入力する(S501)。このときの電圧検出値をCO_VDET1_1とする。次に、システムECU32は、タイマ処理を行って所定の判定期間Pが経過するのを待ち(S502)、再びコンバータ出力電圧を入力する(S503)。このときの電圧検出値をCO_VDET1_2とする。システムECU32は、コンバータモジュール1を停止し(S504)、判定期間の前後の電圧検出値の差ΔV1=(CO_VDET1_2)−(CO_VDET1_1)を算出する(S505)。検出された電圧差ΔV1を基準電圧差ΔVBASE1と比較し、ΔVが許容範囲内であるか否かを判定する(S506)。ΔVBASE1は、上述のように基準電圧差マップを参照して求められる。すなわち、図8、S301で求められたCO_VDET1_1に対応する基準電圧差がマップから読みとられる。
【0068】
ΔV1が許容範囲内になければ「異常処理」を行う(S507)。ここでは、他のコンバータの異常判定結果を待ってから具体的な対処を行うため、システムECU32のメモリに異常発生が記録される。
【0069】
S507の異常処理の後、あるいは、S506で異常なしと判定された場合、S508へ進み、システムECU32は、コンバータモジュール2を起動する。上記のS504からS508の期間は、図10および図11の時点T1〜時点T2の期間に相当し、この期間は出力電圧が上昇しない。
【0070】
S508でコンバータモジュール2を起動した後は、モジュール1に対して行ったS501〜S507と同様の処理が行われる。すなわち、コンバータ起動時の出力電圧が入力される。モジュール1の停止時の出力電圧をモジュール2の起動時の出力電圧として使ってもよい。さらに判定期間の経過後に出力電圧検出値が入力される。2つの出力電圧検出値の差が基準の電圧差と比較され、コンバータ異常の有無が判定される。異常があれば、その旨がシステムECU32に記録される。次に、コンバータモジュール3が起動され、同様の処理により、異常の有無が判定される。コンバータモジュール2、3についての処理は、モジュール1の処理と同様であるので、図13では省略されている。
【0071】
なお、コンバータモジュール3についての処理では、判定期間Pが経過して図11の時点T5になっても、コンバータを停止する必要はない。3つのコンバータモジュールが正常であれば、システムECU32は、他のコンバータモジュール1,2を起動する。これにより、さらなるキャパシタ24の充電が行われる。充電は、出力電圧CO_VDET(すなわちキャパシタ24の電圧)が目標値に達するまで継続される。
【0072】
3つのコンバータモジュールの少なくとも1つに異常が発生したことが検出された場合、システムECU32は、図13の処理の後に、最終的な「異常処理」を行う。ここでは、異常なコンバータモジュールの使用が禁止される。システムECU32は、正常なコンバータモジュールのみを駆動して、キャパシタ24の充電を行う。コンバータ全体の能力が低下するのに対応して、ホイールモータ28の出力を制限する。これにより、現状のコンバータ能力の許容できる範囲内で、パワーアシストシステムを継続して動作させることができる。なお、すべてのコンバータモジュールに異常が発生している場合には、DC/DCコンバータアセンブリ20の使用が禁止され、ホイールモータ28は使用せずに、エンジン10のみを用いて車両が駆動される。
【0073】
また、システムECU32は、「異常処理」の一環として、運転席のインジケータを点灯して「異常発生」を運転者に伝える。運転者が車両を整備工場等に運び込むと、作業員は、システムECU32にアクセスして、コンバータに異常が発生したことと、どのコンバータモジュールに異常が発生したのかを知ることができる。この作業は、システムECU32との通信が可能な適当なコンピュータ端末を用いて行うことが可能である。また、作業者が車内の機器に対して所定の操作を行ったときに、異常についての情報が車内のディスプレイに表示されるように構成してもよい。作業者は、異常なコンバータモジュールを容易に特定できるので、モジュール交換、修理等を的確かつ迅速に行うことができる。
【0074】
以上、実施形態2の異常検出処理について説明した。本実施形態では、各コンバータモジュールを駆動したときに[異常検出処理2]が行われた。これに対し、実施形態1の[異常検出処理1]または[異常検出処理2]を使っても同様にコンバータ異常を検出できる。前者の場合には、コンバータ駆動中の適当なタイミングで出力電圧の傾きが求められ、基準の電圧傾きと比較される。また、後者の場合には、各コンバータモジュールの駆動終了時点の出力電圧検出値が基準の出力電圧と比較される。
【0075】
また、実施形態2の異常検出処理は、ある程度の時間を要するので、図2、S103のシステム立上げ処理の一部として行うことが好適である。走行制御中にコンバータを起動するときは、実施形態1の処理によりコンバータ異常を検出する。このような検出処理の使い分けにより、処理時間はかかるが異常コンバータを特定できる判定処理はシステム立上げの際に行っておき、走行中は短時間に終わる簡単な判定処理を行うことができる。従って、走行制御には影響を与えることなく、異常コンバータを特定する実施形態2の検出機能を駆動システムに組み込むことができる。
【0076】
なお、本発明は、上記の実施形態のシステムには限定されず、他のシステムにも同様に本発明が適用される。また、車両駆動システム以外のシステムに設けられたDC/DCコンバータの異常検出にも、同様に本発明を適用できる。
【0077】
また、本実施形態に好適に適用可能なDC/DCコンバータは、例えば、以下のようなものである。ただし、本発明は、下記に例示するDC/DCコンバータを適用したシステムには限定されない。
【0078】
また、本実施形態のDC/DCコンバータには、周知のフライバックコンバータやフォワードコンバータ、その他の適当なコンバータを適用すればよい。そのようなコンバータを使って、周期の方法に従って、補機バッテリ側からキャパシタ側への昇圧駆動が行われる。
【0079】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、出力電圧の変化の速さを利用することにより、DC/DCコンバータに異常が発生したことを確実に検出できる。本発明によれば、複数のDC/DCコンバータモジュールが並列に接続されている場合でも、コンバータ異常を確実に検出できる。さらに、複数のDC/DCコンバータモジュールを時系列で分割して駆動することにより、どのコンバータモジュールに異常が発生したのかをも特定でき、的確な異常対応処理をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のホイールモータ付き車両駆動システムを示す図である。
【図2】図1のシステムの全体処理を示すフローチャートである。
【図3】図1のシステムのDC/DCコンバータの起動時の出力電圧の上昇カーブとともに、コンバータ異常検出処理の原理を示す図である。
【図4】図1のシステムのDC/DCコンバータの起動時の出力電圧の上昇カーブとともに、コンバータ異常検出処理の原理を示す図である。
【図5】DC/DCコンバータの異常検出処理1を示すフローチャートである。
【図6】DC/DCコンバータの異常検出処理2の原理を示す図である。
【図7】DC/DCコンバータの異常検出処理2の原理を示す図である。
【図8】DC/DCコンバータの異常検出処理2を示すフローチャートである。
【図9】DC/DCコンバータの異常検出処理3を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態のホイールモータ付き車両駆動システムを示す図である。
【図11】図10のシステムのDC/DCコンバータの異常検出処理の原理を示す図である。
【図12】図10のシステムのDC/DCコンバータの異常検出処理の原理を示す図である。
【図13】図10のシステムのDC/DCコンバータの異常検出処理を示すフローチャートである。
【図14】従来のホイールモータ付き車両駆動システムの構成例を示す図である。
【符号の説明】
10 エンジン、16 フロントホイール、18 補機バッテリ、19 オルタネータ、20 DC/DCコンバータアセンブリ、22a,22b,22c DC/DCコンバータモジュール、24 キャパシタ、26 インバータ、28ホイールモータ、30 リアホイール、32 システムECU、34 電圧センサ。
Claims (2)
- 入力される直流電圧を異なる直流電圧に変換して出力するDC/DCコンバータの異常検出装置であって、
前記DC/DCコンバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、
前記出力電圧の検出値に基づいてコンバータ異常が発生したか否かを判定する異常判定手段と、
を含み、前記異常判定手段は、前記出力電圧の検出値の変化の速さがコンバータ正常状態における出力電圧の変化の速さと異なるときに、コンバータ異常が発生したと判定し、
前記DC/DCコンバータは、コンバータの入力端および出力端の間に並列に設けられた複数のDC/DCコンバータモジュールを含み、
前記電圧検出手段が検出する前記DC/DCコンバータの出力電圧は、前記複数のDC/DCコンバータモジュールの総合出力電圧であり、
前記異常判定手段は、すべてのDC/DCコンバータモジュールが正常な状態における速さと異なる速さで前記総合出力電圧が変化するときに、複数のDC/DCコンバータモジュールのいずれかに異常が発生したと判定することを特徴とするDC/DCコンバータの異常検出装置。 - 入力される直流電圧を異なる直流電圧に変換して出力するDC/DCコンバータの異常検出装置であって、
前記DC/DCコンバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、
前記出力電圧の検出値に基づいてコンバータ異常が発生したか否かを判定する異常判定手段と、
を含み、前記異常判定手段は、前記出力電圧の検出値の変化の速さがコンバータ正常状態における出力電圧の変化の速さと異なるときに、コンバータ異常が発生したと判定し、
前記DC/DCコンバータは、コンバータの入力端および出力端の間に並列に設けられた複数のDC/DCコンバータモジュールを含み、
前記電圧検出手段が検出する前記DC/DCコンバータの出力電圧は、前記複数のDC/DCコンバータモジュールの総合出力電圧であり、
前記複数のDC/DCコンバータモジュールを時分割制御により順次個別に駆動する時分割駆動制御手段が設けられており、
前記異常判定手段は、各DC/DCコンバータモジュールを駆動した際に、コンバータ正常状態における速さと異なる速さで前記総合出力電圧が変化した場合に、そのときに駆動されたDC/DCコンバータモジュールに異常が発生したと判定することを特徴とするDC/DCコンバータの異常検出装置。
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