JP3572923B2 - 車両のサスペンションメンバ取付け構造 - Google Patents

車両のサスペンションメンバ取付け構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サスペンションメンバを自動車等の車両の車体に取り付ける車両のサスペンションメンバ取付け構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図14,図15は、特開平9−66718号公報に記載されているものであって、従来構造の一例を示しており、図14は、分解斜視図であり、図15は、図14に示すものを組み立てた状態でのV−V線断面図である。
【0003】
このサスペンションメンバ取付け構造は、サスペンションメンバaと車体bとを連結する連結手段cを備え、この連結手段cが、車両前後方向Xへ延びる突部dを有しサスペンションメンバaに取り付けられる第1部材eと、前記突部dを嵌入させる穴fを有し車体bに取り付けられる第2部材gと、通常荷重では分離不可能でサスペンションメンバaに通常荷重より大きな荷重が車両前後方向Xへ加わると分離可能に第1部材eと第2部材gとを固定する固定具hとを備えている。
【0004】
このため、この従来の構造では、車両が衝突してサスペンションメンバaに通常荷重より大きな荷重が車両前後方向Xへ加わると、固定具hによる第1部材eと第2部材gとの固定が解除されて、サスペンションメンバaが車体bから分離し、車体bの一部が変形して、衝突エネルギを吸収すると共に、サスペンションメンバaの車室内への侵入を防止する。
【0005】
図16,図17は、特開平6−64421号公報に記載されているものであって、図16は、従来構造の他の一例を示す斜視図であり、図17は、従来構造で使用されている取付具を示す断面図である。図16に示すように、この従来構造は、リアサスペンションメンバAを車体に取付けるものである。
【0006】
そして、この従来構造では、図17に示すように、サスペンションメンバAと車体との間に介在する弾性体B1に斜め方向の指向性を持たせるため、サスペンションメンバAを車体に取付ける取付具Bは、弾性体B1を囲む外側の部材B2の内周面B3が傾斜している。
【0007】
この従来構造では、衝突時のように、通常荷重より大きな車両前後方向への荷重を車両が後側から受けた場合に、リアサスペンションメンバAは弾性体B1のバネ定数に抗して車両前方側へ向かって下降でき、従って、衝突時にリアサスペンションメンバAが車室内へ侵入するのをある程度抑制することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図14図示の従来構造では、連結手段cにおける第1部材eと第2部材gとの嵌合の嵌合軸線が車両前後方向Xへ沿って延びているので、固定具hによる第1部材eと第2部材gとの固定が解除されてサスペンションメンバaが車両衝突時に車体bから分離しても、サスペンションメンバaが分離前の位置から下方へ降下する効果が小さかった。
【0009】
また、ステアリングラックは通常サスペンションメンバaに固定されているため、車両衝突時にサスペンションメンバaの降下量が少ないと、ステアリングラックの降下量も少なく、ステアリングラックに連続する車室内のステアリングホイールの後退を抑制する効果が少なくなるため、車両衝突時にステアリングホイールの後退を抑制する対策が必要な場合があった。
【0010】
図16図示の従来構造では、車両衝突時にリアサスペンションメンバAが車室内へ侵入するのをある程度抑制することができるものの、取付具Bの下方に配設されているストッパーCによってサスペンションメンバAの下方への変位量が制限されるため、車両衝突時にサスペンションメンバAが車室内に侵入するのを抑制する対策が必要な場合があった。
【0011】
そこで、本発明では、車両衝突時にサスペンションメンバを衝突前の位置から下方へ降下させることにより、車両衝突時にステアリングホイールの後退を抑制できると共に、車両衝突時にサスペンションメンバの車室内への侵入を抑制することができる車両のサスペンションメンバ取付け構造を提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、請求項1の発明では、車輪を回転自在に支持する車輪支持部材を上下方向へ揺動可能に支持するサスペンションメンバの車幅方向両側及び車両前後方向両側をそれぞれ取付具を介して車体側に取り付ける車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記取付具のうちの少なくとも一つは、前記サスペンションメンバ又は車体側の一方に取り付けられた第1部材と、他方に取り付けられて該第1部材と嵌合する第2部材とを備え、前記第1部材と第2部材との嵌合は、前記サスペンションメンバに加わる所定以上の荷重で嵌合軸線に沿った相対変位を許容すると共に、前記嵌合軸線が車両側面視において車両の前後方向で車両中央側へ向かって下降傾斜し、前記第1部材と第2部材とは、弾性体を介して嵌合し、前記第1部材は、前記サスペンションメンバ又は車体側の一方に設けた取付軸部に嵌合固定された内筒と、該内筒を貫通させた外筒と、前記内筒と外筒との間に介装されたゴムである弾性体よりなり、前記第2部材は、前記外筒をスライド可能に嵌合固定する筒状部材を備えている、という構成を採用している。
【0013】
このため、請求項1の発明では、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わった場合には、第1部材と第2部材との間で嵌合軸線に沿った相対変位が生じ、その結果、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両の前後方向で車両中央側へ向かって降下させることができる。
【0015】
また、請求項1の発明では、サスペンションメンバを弾性体を介して車体に取り付けることができる。
【0017】
さらに、請求項1の発明では、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わった場合には、第1部材の外筒と第2部材の筒状部材との間で嵌合軸線に沿ったスライド変位が生じ、その結果、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両の前後方向中央側へ向かって降下させることができる。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記外筒は、前記筒状部材より長く形成され、前記内筒は、前記外筒より長く形成され、前記取付軸部の先端側に、前記外筒の一端側と間隔をもって対向するストッパーを設け、前記取付軸部の基部側に、前記外筒の他端側と間隔をもって対向する当接面を設けたことを特徴とするものである。
【0019】
このため、請求項2の発明では、通常は、取付軸部の基部側に設けた当接面とストッパーとの間で弾性体の弾性変位が可能であり、ゴムである弾性体の劣化等により第1部材の内筒と外筒との連結が破壊された場合には、第1部材の内筒が外筒から外れるのをストッパーによって防止することができる。
【0020】
また、請求項2の発明では、第1部材の外筒が第2部材の筒状部材より長く形成されているので、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わった場合には、請求項1の発明と同様、第1部材の外筒と第2部材の筒状部材との間で嵌合軸線に沿ったスライド変位が生じ、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両の前後方向中央側へ向かって降下させることもできる。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記外筒に、前記筒状部材の端面に当接する位置決めフランジを突設したことを特徴とするものである。
【0022】
このため、請求項3の発明では、第2部材の筒状部材内に第1部材の外筒をスライド可能に嵌合固定させる際、外筒の位置決めフランジに筒状部材の端面を当接させることによって、筒状部材内での外筒の嵌合固定を所定の位置で行うことができる。
【0025】
請求項4の発明は、車輪を回転自在に支持する車輪支持部材を上下方向へ揺動可能に支持するサスペンションメンバの車幅方向両側及び車両前後方向両側をそれぞれ取付具を介して車体側に取り付ける車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記取付具のうちの少なくとも一つは、前記サスペンションメンバ又は車体側の一方に取り付けられた第1部材と、他方に取り付けられて該第1部材と嵌合する第2部材とを備え、前記第1部材と第2部材との嵌合は、前記サスペンションメンバに加わる所定以上の荷重で嵌合軸線に沿った相対変位を許容すると共に、前記嵌合軸線が車両側面視において車両の前後方向で車両中央側へ向かって下降傾斜し、前記第1部材及び第2部材が剛体であり、前記第1部材は、前記サスペンションメンバ又は車体側の一方に設けた取付軸部に嵌合固定された内筒部材であり、前記第2部材は、前記内筒部材をスライド可能に嵌合固定する筒状部材を備えていることを特徴とするものである。
【0026】
このため、請求項4の発明では、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わった場合には、第1部材の内筒部材と第2部材の筒状部材との間で嵌合軸線に沿ったスライド変位が生じ、その結果、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両の前後方向中央側へ向かって降下させることができる。
【0027】
請求項5の発明は、請求項4記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記内筒部材は、前記筒状部材より長く形成されていることを特徴とするものである。
【0028】
このため、請求項5の発明では、請求項4の発明と同様、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わった場合には、第1部材の内筒部材と第2部材の筒状部材との間で嵌合軸線に沿ったスライド変位が生じ、その結果、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両の前後方向中央側へ向かって降下させることができる。
【0029】
請求項6の発明は、請求項4又は5記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記内筒部材に、前記筒状部材の端面に当接する位置決めフランジを突設したことを特徴とするものである。
【0030】
このため、請求項6の発明では、第2部材の筒状部材内に第1部材の内筒部材をスライド可能に嵌合固定させる際、内筒部材の位置決めフランジに筒状部材の端面を当接させることによって、筒状部材内での内筒部材の嵌合固定を所定の位置で行うことができる。
【0031】
請求項7の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記弾性体は弾性変位の方向に異方性を有し、前記第1部材及び第2部材を備えた前記取付具は、前記サスペンションメンバの車両前後方向両側の少なくとも一方の側に配設され、前記弾性体の配設位置が、前記一方の側の弾性体の異方性を考慮して決定される仮想弾性中心を他方の側の取付具から車両前後方向へ遠ざける位置に設定されていることを特徴とするものである。
【0032】
この請求項7の発明では、弾性体が弾性変位の方向に異方性を有しているので、この弾性体には、剛性が低く変位し易い低剛性方向と、剛性が高く変位し難い高剛性方向とがあり、低剛性及び高剛性の両方向は、ほぼ直交あるいは完全に直交する。
【0033】
ここで、高剛性方向へ沿って延びる直線を弾性体の弾性軸と定義すると、弾性体の異方性を考慮して決定されるサスペンションメンバの車両前後方向両側の少なくとも一方の側の仮想弾性中心は、その少なくとも一方の側に配設された各弾性体の弾性軸の交点となる。
【0034】
請求項7の発明では、第1部材及び第2部材を備えた取付具は、その弾性体の配設位置が、前記一方の側の弾性体の異方性を考慮して決定される仮想弾性中心を他方の側の取付具から車両前後方向へ遠ざける位置に設定されているので、サスペンションメンバにおける車両前後方向両側の弾性中心間の距離を仮想弾性中心によって車両前後方向へ拡げることができ、等価的にサスペンションメンバのヨー剛性を大きくすることができる。
【0035】
請求項8の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記弾性体は弾性変位の方向に異方性を有し、前記第1部材及び第2部材を備えた前記取付具は、前記サスペンションメンバの車両前後方向両側に配設され、前記弾性体の配設位置が、サスペンションジオメトリから決定されるサスペンションロールセンタにかかる横力に対して、車両前後方向前方側の弾性体の異方性を考慮して決定される同前方側の仮想弾性中心と車両前後方向後方側の弾性体の異方性を考慮して決定される同後方側の仮想弾性中心とを通るサスペンションメンバの仮想ロール軸まわりにサスペンションメンバが回動した場合に、ステアリング特性がアンダーステア方向になる位置に設定されていることを特徴とするものである。
【0036】
この請求項8の発明では、弾性体が弾性変位の方向に異方性を有しているので、既に説明したように、弾性体の異方性を考慮して決定されるサスペンションメンバの車両前後方向前方側の仮想弾性中心は、その前方側に配設された各弾性体の弾性軸の交点となり、弾性体の異方性を考慮して決定されるサスペンションメンバの車両前後方向後方側の仮想弾性中心は、その後方側に配設された各弾性体の弾性軸の交点となる。
【0037】
このため、請求項8の発明では、サスペンションメンバは、サスペンションジオメトリから決定されるサスペンションロールセンタに横力が付与されると、車両前後方向両側の仮想弾性中心を通る仮想ロール軸まわりにモーメントが発生して回動する。
【0038】
そして、請求項8の発明では、第1部材及び第2部材を備えた取付具は、その弾性体の配設位置が、サスペンションジオメトリから決定されるサスペンションロールセンタにかかる横力に対して仮想ロール軸まわりにサスペンションメンバが回動した場合に、ステアリング特性がアンダーステア方向になる位置に設定されているので、車両旋回時に車輪にかかる横力のよるサスペンションメンバの回動に伴って発生する車輪のコンプライアンストー角変化は、車両旋回時における車両のステアリング特性をアンダーステア方向へ変化させる。
【0039】
請求項9の発明は、請求項7又は8記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記弾性体がゴムであり、前記弾性体の異方性は、前記嵌合軸線に沿った空洞部を弾性体に設けることによって形成されていることを特徴とするものである。
【0040】
この請求項9の発明では、嵌合軸線に沿った空洞部をゴムである弾性体に設けたので、弾性体は、嵌合軸線から空洞部へ向かう方向が、剛性が低く変位し易い低剛性方向となり、その低剛性方向とほぼ直交あるいは完全に直交する方向が、相対的に剛性が高く変位し難い高剛性方向となって、弾性変位の方向に異方性を有することとなる。
【0041】
請求項10の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記サスペンションメンバがフロントサスペンションメンバであり、前記第1部材及び第2部材を備えた前記取付具は、前記フロントサスペンションメンバの車両前後方向後方側にのみ配設され、前記弾性体は、前記嵌合軸線に沿った嵌合方向への弾性変位量が最も大きい弾性特性を有していることを特徴とするものである。
【0042】
ところで、車両走行中に前輪が小突部を乗り越える際、フロントサスペンションメンバには、車両前後方向後方へ向かう通常荷重が付与される。
【0043】
このため、請求項10の発明では、車両走行中に前輪が小突部を乗り越える際に、フロントサスペンションメンバの車両前後方向後方側に配設された取付具において、第1部材と第2部材との間で嵌合方向への弾性体の弾性変位による相対変位が生じ、フロントサスペンションメンバは、車両前後方向後方側が嵌合軸線に沿って僅かに下降し、車輪支持部材を上下方向へ揺動自在に支持するための揺動軸の車両前後方向後方側を降下させて、前輪のホイールセンタ軌跡を後傾化させる。
【0044】
請求項11の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、前記サスペンションメンバがリアサスペンションメンバであり、前記第1部材及び第2部材を備えた前記取付具は、前記リアサスペンションメンバの車両前後方向前方側にのみ配設され、前記弾性体は、前記嵌合軸線に沿った嵌合方向への弾性変位量が最も大きい弾性特性を有していることを特徴とするものである。
【0045】
ところで、車両走行中に後輪が小突部を乗り越える際、リアサスペンションメンバには、車両前後方向後方へ向かう通常荷重が付与される。
【0046】
このため、請求項11の発明では、車両走行中に後輪が小突部を乗り越える際に、リアサスペンションメンバの車両前後方向前方側に配設された取付具において、第1部材と第2部材との間で嵌合方向への弾性体の弾性変位による相対変位が生じ、リアサスペンションメンバは、車両前後方向前方側が嵌合軸線に沿って僅かに上昇し、車輪支持部材を上下方向へ揺動自在に支持するための揺動軸の車両前後方向前方側を上昇させて、後輪のホイールセンタ軌跡を後傾化させる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1の発明では、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わると、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両の前後方向で車両中央側へ向かって降下させることができるので、車両衝突時にサスペンションメンバの車室内への侵入を抑制することができる。
【0048】
また、請求項1の発明では、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わると、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両中心側へ向かって降下させることができるので、ステアリングラックがサスペンションメンバに固定されている場合には、車両衝突時に、サスペンションメンバと共にステアリングラックを降下させて、ステアリングホイールの後退を抑制することもできる。
【0049】
更に、請求項1の発明では、サスペンションメンバを弾性体を介して車体に取り付けることができるので、サスペンションメンバの振動を弾性体で吸収して、車両の乗り心地を良くすることができる。
【0050】
また、請求項1の発明では、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わると、第1部材の外筒と第2部材の筒状部材との間で嵌合軸線に沿ったスライド変位が生じ、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両の前後方向中央側へ向かって降下させることができるので、車両衝突時には、前記と同様にしてサスペンションメンバの車室内への侵入を抑制することができ、サスペンションメンバと共にステアリングラックを降下させてステアリングホイールの後退を抑制することができる。
【0051】
請求項2の発明では、通常は、取付軸部の基部側に設けた当接面とストッパーとの間でゴムである弾性体の弾性変位が可能であるので、サスペンションメンバの振動を弾性体で吸収して、車両の乗り心地を良くすることができる。
【0052】
また、請求項2の発明では、ゴムである弾性体の劣化等により第1部材の内筒と外筒との連結が破壊されても、第1部材の内筒が外筒から外れるのをストッパーによって防止することができるので、車体からのサスペンションメンバの脱落を防止することもできる。
【0053】
更に、請求項2の発明では、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わった場合に、第1部材の外筒と第2部材の筒状部材との間で嵌合軸線に沿ったスライド変位が生じ、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両の前後方向中央側へ向かって降下させることができるので、車両衝突時には、サスペンションメンバの車室内への侵入を抑制することができ、サスペンションメンバと共にステアリングラックを降下させてステアリングホイールの後退を抑制することもできる。
【0054】
請求項3の発明では、第2部材の筒状部材内に第1部材の外筒をスライド可能に嵌合固定させる際、外筒の位置決めフランジに筒状部材の端面を当接させることによって、筒状部材内での外筒の嵌合固定を所定の位置で行うことができるので、筒状部材内での外筒の嵌合固定を所定の位置で行う嵌合固定作業の作業性が向上する。
【0055】
請求項4の発明では、請求項1の発明と比べて、第1部材及び第2部材の構造が簡単で、第1部材及び第2部材の製造が容易であるので、第1部材及び第2部材を備えた取付具の製造コストを削減することができる。
【0056】
また、請求項4の発明では、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わると、第1部材の内筒部材と第2部材の筒状部材との間で嵌合軸線に沿ったスライド変位が生じ、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両の前後方向中央側へ向かって降下させることができるので、請求項1の発明と同様、車両衝突時には、サスペンションメンバの車室内への侵入を抑制することができ、サスペンションメンバと共にステアリングラックを降下させてステアリングホイールの後退を抑制することもできる。
【0057】
請求項5の発明では、車両が衝突して所定以上の荷重がサスペンションメンバに加わった場合に、第1部材の内筒部材と第2部材の筒状部材との間で嵌合軸線に沿ったスライド変位が生じ、サスペンションメンバを衝突前の位置から車両の前後方向中央側へ向かって降下させることができるので、車両衝突時には、サスペンションメンバの車室内への侵入を抑制することができ、サスペンションメンバと共にステアリングラックを降下させてステアリングホイールの後退を抑制することもできる。
【0058】
請求項6の発明では、第2部材の筒状部材内に第1部材の内筒部材をスライド可能に嵌合固定させる際、内筒部材の位置決めフランジに筒状部材の端面を当接させることによって、筒状部材内での内筒部材の嵌合固定を所定の位置で行うことができるので、筒状部材内での内筒部材の嵌合固定を所定の位置で行う嵌合固定作業の作業性が向上する。
【0059】
請求項7の発明では、サスペンションメンバにおける車両前後方向両側の弾性中心間の距離を仮想弾性中心によって車両前後方向へ拡げることができ、等価的にサスペンションメンバのヨー剛性を大きくすることができるので、直進走行時に轍等を通過する場合のように横方向の外乱が入力された場合の影響をサスペンションメンバが受け難くすることができ、従って、車両の直進安定性を向上させることができる。
【0060】
請求項8の発明では、車両旋回時に車輪にかかる横力のよるサスペンションメンバの回動に伴って発生する車輪のコンプライアンストー角変化は、車両旋回時における車両のステアリング特性をアンダーステア方向へ変化させるので、車両旋回時の操縦安定性が向上する。
【0061】
請求項9の発明では、ゴムである弾性体は、嵌合軸線から空洞部へ向かう方向が、剛性が低く変位し易い低剛性方向となり、その低剛性方向とほぼ直交あるいは完全に直交する方向が、相対的に剛性が高く変位し難い高剛性方向となって、弾性変位の方向に異方性を有することとなるので、空洞部の配置が所定の配置となるように弾性体の配設位置を調節することによって、弾性体の高剛性方向へ沿った弾性軸を所定の方向へ設定することができる。
【0062】
請求項10の発明では、車両走行中に前輪が小突部を乗り越える際に、フロントサスペンションメンバは、車両前後方向後方側が嵌合軸線に沿って僅かに下降し、車輪支持部材を上下方向へ揺動自在に支持するための揺動軸の車両前後方向後方側を降下させて、前輪のホイールセンタ軌跡を後傾化させるので、車両走行中に前輪が小突部を乗り越える際の車両の乗り心地が向上する。
【0063】
請求項11の発明では、車両走行中に後輪が小突部を乗り越える際に、リアサスペンションメンバは、車両前後方向前方側が嵌合軸線に沿って僅かに上昇し、車輪支持部材を上下方向へ揺動自在に支持するための揺動軸の車両前後方向前方側を上昇させて、後輪のホイールセンタ軌跡を後傾化させるので、車両走行中に後輪が小突部を乗り越える際の車両の乗り心地が向上する。
【0064】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態) 図1は、請求項1〜3及び7〜9記載の各発明を併せて実施した実施の形態の一例である第1実施形態を示す斜視図である。図2は、第1実施形態の作用を示す説明図であって、(a)は通常状態を示し、(b)は車両衝突時の状態を示している。図3は、第1実施形態の取付具を示す断面図であって、(a)は通常状態を示し、(b)は車両衝突時の状態を示している。
【0065】
図1に示すように、フロントサスペンションメンバ10の車幅方向Yの一端は、車両前後方向X前方側が取付具20を介して車体30のサイドメンバ31に取り付けられ、同後方側が取付具20を介して車体30のサイドメンバエクステンション32に取り付けられている。
【0066】
なお、図示は省略したが、フロントサスペンションメンバ10の車幅方向Yの他端も、一端と同様、車両前後方向X両側が取付具20を介して車体30側に取り付けられている。従って、フロントサスペンションメンバ10は、その四隅が取付具20によって車体30側に取り付けられている。
【0067】
このフロントサスペンションメンバ10には、車輪を回転自在に支持するサスペンションアームである車輪支持部材40が、ブラケット41を介して取り付けられ、揺動軸42を揺動中心として上下方向Zへ揺動自在に支持されており、フロントサスペンションメンバ10上には、車室内のステアリングホイールから連続するステアリングラック2が固定されている。
【0068】
フロントサスペンションメンバ10を車体30側に取り付ける計4個の取付具20は、何れも、図3(a)に図示されているように、フロントサスペンションメンバ10に取り付けられた第1部材21と、車体30側に取り付けられた第2部材22とを備えている。そして、フロントサスペンションメンバ10には、第1部材21取付用の取付軸部11が車両後方側へ向かって突設され、その取付軸部11の先端部には、雄ねじ12が形成されている。
【0069】
第1部材21は、フロントサスペンションメンバ10の取付軸部11に嵌合され取付軸部11の雄ねじ12に螺合したナット13によって固定された円形断面の内筒23と、その内筒23を貫通させた円形断面の外筒24と、内筒23と外筒24との間に介装されたゴムである弾性体25よりなり、この弾性体25には、「すぐり」と呼ばれる空洞部26が取付軸部11の軸心に沿って形成されている。
【0070】
第2部材22は、第1部材21の外筒24をスライド可能に嵌合固定する円形断面の筒状部材27を備え、その筒状部材27が、その上端に形成されたブラケット28を介して車体30側に溶接等の手段で固着され垂設されている。
【0071】
第1部材21の外筒24は、内筒23より短く、第2部材22の筒状部材27より長く形成され、車両後方側の先端に位置決めフランジ29が突設され、その位置決めフランジ29に筒状部材27の車両後方側の端面が当接している。
【0072】
フロントサスペンションメンバ10には、その取付軸部11の先端側に、第1部材21の外筒24の一端側と間隔をもって対向するストッパー14が第1部材21の内筒23の端面とナット13に挟まれて固定され、取付軸部11の基部側に、外筒24の他端側と間隔をもって対向する当接面15が形成されている。
【0073】
そして、第1部材21の外筒24と第2部材22の筒状部材27との嵌合は、フロントサスペンションメンバ10に加わる通常荷重では第1部材21の外筒24のスライド変位を許容せず前記通常荷重より大きな所定以上の荷重では第1部材21の外筒24のスライド変位を許容する嵌合とされ、図2に示すように、取付軸部11の軸心に一致する嵌合軸線Kが、車両側面視において車両の前後方向Xで車両中央側に位置する車室8側へ向かって下降傾斜している。
【0074】
ところで、車体30のサイドメンバ31の前端部31aには、通常、車両が前面衝突したときの衝突エネルギEを吸収するためビード等の易変形部が設けられている。しかし、衝突エネルギEが非常に大きな場合は、サイドメンバ31の前端部31aだけでは衝突エネルギEを吸収しきれず、残った衝突エネルギE′がエンジン4やトランスミッション6を車室8側へ侵入させる押進力F(図3(b)参照)として作用する。
【0075】
エンジン4やトランスミッション6の後方には、特にFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車においては一般的に、サイドメンバ31に固定されたフロントサスペンションメンバ10が配置されている。そして、フロントサスペンションメンバ10は、エンジン4の荷重やジャッキアップ荷重を受け止める強度を有し、また操縦安定性を確保するため一般的に剛性を有しており、塑性変形して衝突エネルギE′を吸収する機能は期待し難い。
【0076】
このため、車両衝突時にエンジン4やトランスミッション6が車室8側へ押しやられると、フロントサスペンションメンバ10は、エンジン4やトランスミッション6と共に車室8側へ押しやられて車室8内に侵入しようとする。このとき、図4に示すように、フロントサスペンションメンバ10がサイドメンバ31に対し動かないように連結されていると、フロントサスペンションメンバ10が突っ張る形となって、サイドメンバ31の後端部31bが折れてしまう場合もある。
【0077】
これに対し、第1実施形態では、車両が前面衝突してフロントサスペンションメンバ10に押進力Fが作用すると、取付具20は、図3(b)に示すように、先ず、フロントサスペンションメンバ10の取付軸部11に固定された第1部材21の内筒23がフロントサスペンションメンバ10と共に車室側へ移動して、外筒24の車両前方側の端面がフロントサスペンションメンバ10の当接面15に当接する。
【0078】
このため、第1部材21の外筒24にはフロントサスペンションメンバ10を介して押進力が作用することなり、第1部材21の外筒24は、車体30側に取り付けられた第2部材22の筒状部材27に対してスライドし、筒状部材27との嵌合軸線Kに沿ってフロントサスペンションメンバ10と共に車室8側へ下降する。
【0079】
従って、第1実施形態では、車両が前面衝突すると、図2(b)に示すように、フロントサスペンションメンバ10が取付具20の第1部材21と第2部材22との嵌合軸線Kに沿って車室8側へ下降し、サイドメンバ31に対して突っ張ることがないので、サイドメンバ31の後端部31bを圧壊させて、サイドメンバ31の前端部31aと後端部31bとで衝突エネルギEを吸収することができる。
【0080】
また、第1実施形態では、車両衝突時にフロントサスペンションメンバ10が車室8側へ向かって下降するので、車両衝突時には、サスペンションメンバ10の車室8内への侵入を抑制することもできる。
【0081】
更に、第1実施形態では、車両衝突時に、フロントサスペンションメンバ10に固定されたステアリングラック2がフロントサスペンションメンバ10と共に下降するので、車両衝突時には、ステアリングラック2に連続する車室8内のステアリングホイールの後退を制限することもできる。
【0082】
以上、車両が前面衝突した場合の第1実施形態の作用効果について説明したが、以下には、通常走行時の第1実施形態の作用効果について説明する。図5は、第1実施形態の車両旋回時の作用説明図であって、(a)は平面図、(b)は車両前方側の取付具の弾性中心を説明する正面図、(c)は車両後方側の取付具の弾性中心を説明する背面図である。図6は、図5に示すものを車両側面からみた説明図である。
【0083】
ここでは、4個の取付具20の符号を、図5(a)に示すように、車両平面視において車両前方右側を20a、車両前方左側を20b、車両後方右側を20c、車両後方左側を20dと区別する。
【0084】
図5(b),(c)に示すように、第1実施形態では、各取付具20a,20b,20c,20dの弾性体25に、互いに対向する一対の空洞部26が嵌合軸線Kに沿って形成されている。このため、各弾性体25には、剛性が低く変位し易い低剛性方向G1と、剛性が高く変位し難い高剛性方向G2とが生じ、各弾性体25は、弾性変位の方向に異方性を有することとなる。なお、低剛性及び高剛性の両方向G1,G2は、ほぼ直交あるいは完全に直交する。
【0085】
ここで、高剛性方向G2へ沿って延びる直線を各弾性体25の弾性軸Dと定義すると、弾性体25の異方性を考慮して決定されるフロントサスペンションメンバ10の車両前方側の仮想弾性中心P′は、車両前方両側に配設された両取付具20a,20bの弾性体25の弾性軸Dの交点となり、車両後方側の仮想弾性中心Q′は、車両後方両側に配設された両取付具20c,20dの弾性体25の弾性軸Dの交点となる。そして、車両前後方向X両側の仮想弾性中心P′,Q′を通る直線がフロントサスペンションメンバ10の仮想ロール軸n(図6参照)となる。
【0086】
なお、図5,図6において、符号Pは、フロントサスペンションメンバ10の車両前方側に配設された両取付具20a,20bの弾性体25間の中点であって、弾性体25に異方性が無い場合の車両前方側の弾性中心を示し、符号Qは、フロントサスペンションメンバ10の車両後方側に配設された両取付具20c,20dの弾性体25間の中点であって、弾性体25に異方性が無い場合の車両後方側の弾性中心を示している。
【0087】
そして、第1実施形態では、車両前方側の両弾性体25の空洞部26の配置を調節して、仮想弾性中心P′が弾性中心Pの下方に来るように車両前方側の両弾性体25の配設位置を決定し、車両後方側の両弾性体25の空洞部26の配置を調節して、仮想弾性中心Q′が弾性中心Qの上方に来るように車両後方側の両弾性体25の配設位置を決定している。
【0088】
このため、第1実施形態では、図6に示すように、フロントサスペンションメンバ10の仮想ロール軸nが車両側面視で後傾している。なお、各取付具20a,20b,20c,20dの弾性体25に異方性が無い場合のフロントサスペンションメンバ10のロール軸mは、車両側面視で前傾している。
【0089】
ここで、サスペンションジオメトリから決定されるサスペンションロールセンタRに対してフロントサスペンションメンバ10の仮想ロール軸n及びロール軸mが上方に位置する場合を例として説明する。この場合には、車両が右旋回すると、サスペンションロールセンタRに対し横力J(図5参照)が作用して、フロントサスペンションメンバ10は、その仮想ロール軸n周りに回転モーメントMが発生する。
【0090】
第1実施形態では、フロントサスペンションメンバ10の仮想ロール軸nが車両側面視で後傾しているので、回転モーメントMがフロントサスペンションメンバ10に作用すると、フロントサスペンションメンバ10は、車幅方向Y左側の両取付具20b,20dの弾性体25が車両の前後方向X後方側へ向かって下方へ変位し、車幅方向Y右側の両取付具20a,20cの弾性体25が車両の前後方向X前方側へ向かって上方へ変位する。
【0091】
その結果、フロントサスペンションメンバ10は、車両平面視において半時計回り、すなわち、横力トーアウト方向へ変位することになり、車両のステアリング特性はアンダーステア方向となって、車両旋回時の操縦安定性が向上する。
【0092】
これに対し、弾性体25に異方性が無い場合には、フロントサスペンションメンバ10は、そのロール軸m周りに回転モーメントMが発生するので、横力トーイン方向へ変位することになり、車両のステアリング特性はオーバーステア方向となって、操縦安定性上好ましくない。
【0093】
以上説明したように、第1実施形態では、サスペンションジオメトリから決定されるサスペンションロールセンタRにかかる横力Jに対して、車両前方側の両取付具20a,20bの弾性体25の異方性を考慮して決定される仮想弾性中心P′と、車両後方側の両取付具20c,20dの弾性体25の異方性を考慮して決定される仮想弾性中心Q′とを通る仮想ロール軸nまわりにフロントサスペンションメンバ10が回動した場合に、ステアリング特性がアンダーステア方向になる位置に各取付具20a,20b,20c,20dの弾性体25の配設位置を設定したので、車両旋回時の操縦安定性を向上させることができる。
【0094】
また、第1実施形態では、各取付具20a,20b,20c,20dの弾性体25の弾性軸Dを傾斜させることにより、両仮想弾性中心P′,Q′間の距離S′を、弾性体25に異方性が無い場合の弾性中心P,Q間の距離Sより車両前後X方向へ拡げたので、等価的にフロントサスペンションメンバ10のヨー剛性を大きくすることができ、その結果、直進走行時に轍等を通過する場合のようにフロントサスペンションメンバ10が横方向の外乱入力を受ける場合に該外乱入力の影響を受け難くすることができ、車両の直進安定性を向上させることもできる。
【0095】
なお、図17に図示した取付具Bのように弾性体B1の外側あるいは内側の部材を傾斜させることによって仮想的に弾性中心を設けることはできるが、この場合には、サスペンションメンバのヨー剛性を大きくすることはできないため、車両の直進安定性を向上させることもできない。
【0096】
また、第1実施形態では、図3に示すように、フロントサスペンションメンバ10の取付軸部11の先端側に、取付具20の外筒24の一端側と間隔をもって対向するストッパー14を設け、取付軸部11の基部側に、外筒24の他端側と間隔をもって対向する当接面15を設けたので、通常は、フロントサスペンションメンバ10の当接面15とストッパー14との間で弾性体25の弾性変位が可能であり、フロントサスペンションメンバ10の振動を弾性体で吸収して、車両の乗り心地を良くすることもできる。
【0097】
また、第1実施形態では、弾性体25の劣化等により第1部材21の内筒23と外筒24との連結が外れても、第1部材21の内筒23が外筒24から外れるのをストッパー14によって防止することができるので、車体30からのフロントサスペンションメンバ10の脱落を防止することもできる。
【0098】
更に、第1実施形態では、取付具20の第2部材22の筒状部材27内に第1部材21の外筒24をスライド可能に嵌合固定させる際、外筒24の位置決めフランジ29に筒状部材27の端面を当接させることによって、筒状部材27内での外筒24の嵌合固定を所定の位置で行うことができるので、筒状部材27内での外筒24の嵌合固定を所定の位置で行う嵌合固定作業の作業性が向上する。
【0099】
なお、第1実施形態では、フロントサスペンションメンバ10の車両前後方向X両側で仮想弾性中心P′,Q′を車両前後方向Xへ拡げることにより、等価的にフロントサスペンションメンバ10のヨー剛性を大きくした。しかし、フロントサスペンションメンバ10のヨー剛性を大きくするには、フロントサスペンションメンバ10の車両前後方向X両側の少なくとも一方の側において、弾性体25の仮想弾性中心P′,Q′を車両前後方向Xへ拡げれば良い。
【0100】
(第2実施形態)
図7は、請求項1〜3及び10記載の各発明を併せて実施した実施の形態の一例である第2実施形態を示す説明図であり、図8は、第2実施形態の作用を示す説明図であって、(a)は通常走行時の状態を示し、(b)は小突部乗越時の状態を示している。なお、以下に行う第2実施形態の説明では、第1実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付し、第1実施形態の説明と重複する説明は省略する。
【0101】
第1実施形態と第2実施形態とは、第1実施形態では計4個の取付具20の嵌合軸線Kが全て車両の前後方向Xで車両中央側へ向かって下降傾斜していたのに対し、第2実施形態ではフロントサスペンションメンバ10の車両後方側に位置する2個の取付具20′の嵌合軸線Kのみが車両の前後方向Xで車両中央側へ向かって下降傾斜しており、車両前方側の2個の取付具20′の嵌合軸線Kは車両前後方向Xへ沿っている点で異なっている。
【0102】
なお、第2実施形態の取付具20′の弾性体25は、取付具20′の嵌合軸線Kに沿った嵌合方向H(図8参照)が、ゴムである弾性体25の剪断方向となるため、その嵌合方向Hへの弾性変位が最も大きい弾性特性を有している。
【0103】
以上説明した第2実施形態では、車両が前面衝突すると、フロントサスペンションメンバ10が、車両の前後方向Xで車両中央側に位置する車室8側へ向かって移動し、サイドメンバ31に対して突っ張ることが無いので、第1実施形態と同様、サイドメンバ31の後端部31bを圧壊させて衝突エネルギEを吸収させることができる。
【0104】
また、第2実施形態では、車両衝突時にフロントサスペンションメンバ10の後方側が車室8側へ向かって下降するので、車両衝突時には、第1実施形態と同様、サスペンションメンバ10の車室8内への侵入を抑制することもできる。
【0105】
更に、第2実施形態では、車両衝突時に、フロントサスペンションメンバ10に固定されたステアリングラック2がフロントサスペンションメンバ10と共に下降するので、車両衝突時には、第1実施形態と同様、ステアリングラック2に連続する車室8内のステアリングホイールの後退を制限することもできる。
【0106】
以上、車両が前面衝突した場合の第2実施形態の作用効果について説明したが、以下には、通常走行時の第2実施形態の作用効果について説明する。図8に示すように、車両走行中に前輪50が小突部tを乗り越える際に、フロントサスペンションメンバ10には車両後方へ向かう力Tが付与される。
【0107】
このとき、フロントサスペンションメンバ10の取付具20′では、第1部材21と第2部材22との間で嵌合方向Hへの弾性体25の弾性変位による相対変位が生じて、フロントサスペンションメンバ10は、その前方側が後方へ僅かに水平移動し、後方側が僅かに後方へ下降する。その結果、フロントサスペンションメンバ10に支持された車輪支持部材40の揺動軸42は、その後方側が降下して、路面となす角度θが小さくなり、前輪50のホイールセンタ51の軌跡を後傾化させる。
【0108】
従って、第2実施形態では、車両走行中に前輪50が小突部tを乗り越える際に前輪50のホイールセンタ51軌跡が後傾化し、前輪50が小突部tを乗り越える際の乗り心地が向上する。
【0109】
図9は、サスペンションメンバがリアサスペンションメンバ60である場合の作用を示す説明図である。図9に示すように、リアサスペンションメンバ60の場合には、リアサスペンションメンバ60の前方側の取付具20′のみ、その第嵌合軸線Kが車両の前後方向Xで車両中央側へ向かって下降傾斜するように配設すれば良い。
【0110】
そうすると、車両走行中に後輪70が小突部tを乗り越える際リアサスペンションメンバ60に付与される車両後方へ向かう力Tにより、リアサスペンションメンバ60の取付具20′では、第1部材21と第2部材22との間で嵌合軸線Kの沿った嵌合方向Hへの弾性体25の弾性変位による相対変位が生じて、リアサスペンションメンバ60は、その前方側が後方へ僅かに上昇し、その後方側が後方へ僅かに水平移動する。
【0111】
その結果、リアサスペンションメンバ60に支持された車輪支持部材40の揺動軸42は、その前方側が上昇して、路面となす角度θが小さくなり、後輪70のホイールセンタ71軌跡を後傾化させる。
【0112】
従って、リアサスペンションメンバ60の場合には、リアサスペンションメンバ60の前方側の取付具20′のみ、その第1部材21と第2部材22との嵌合軸線Kが車両の前後方向Xで車両中央側へ向かって下降傾斜するように配設することにより、車両走行中に後輪70が小突部tを乗り越える際に、後輪70のホイールセンタ71軌跡を後傾化させて車両の乗り心地を向上させることができる。
【0113】
(第3実施形態)
図10は、請求項1〜3記載の各発明を併せて実施した実施の形態の一例である第3実施形態を示す説明図であって、(a)は通常状態を示し、(b)は車両衝突時の状態を示している。図11は、第3実施形態の取付具を示す断面図であって、(a)は通常状態を示し、(b)は車両衝突時の状態を示している。なお、以下に行う第3実施形態の説明では、第1実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付し、第1実施形態の説明と重複する説明は省略する。
【0114】
図10(a)に示すように、第3実施形態は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)車のリアサスペンションメンバ60を車体30のリア側のサイドメンバ33に取り付けるサスペンションメンバ取付け構造であり、リアサスペンションメンバ60は、その前方側の車幅方向Y両端が取付具120を介してサイドメンバ33のエクステンション34に取り付けられ、後方側の車幅方向Y両端が取付具120を介してサイドメンバ33に取り付けられて、四隅が取付具120を介して車体30側に取り付けられている。
【0115】
このリアサスペンションメンバ60は、ディファレンシャル3と図示を省略した後輪支持部材とを支持しており、ディファレンシャル3の後方には、スペアタイヤ5を収納するスペアタイヤパン7が配設されている。
【0116】
リアサスペンションメンバ60を車体30側に取り付ける計4個の取付具120は、何れも、図11(a)に図示されているように、車体30側にブラケット80を介して取り付けられた第1部材121と、リアサスペンションメンバ60に取り付けられた第2部材122とを備えている。
【0117】
ブラケット80は、車体30側に溶接等の手段で固着垂設され、その下端部に、第1部材121取付用の取付軸部81が車両前方へ向かって突設され、その取付軸部81の先端側に雄ねじ82が形成されている。
【0118】
第1部材121は、ブラケット80の取付軸部81に嵌合され取付軸部81の雄ねじ82に螺合したナット83によって固定された円形断面の内筒123と、その内筒123を貫通させた円形断面の外筒124と、内筒123と外筒124との間に介装されたゴムである弾性体125よりなっている。
【0119】
第2部材122は、第1部材121の外筒124をスライド可能に嵌合固定する円形断面の筒状部材127を備え、その筒状部材127がリアサスペンションメンバ60に溶接等の手段で固着されている。
【0120】
第1部材121の外筒124は、内筒123より短く第2部材122の筒状部材127より長く形成され、取付軸部81の基部側に位置する後端に位置決めフランジ129が突設され、その位置決めフランジ129に筒状部材127の後端面が当接している。
【0121】
車体30側に固着されたブラケット80は、その取付軸部81の先端側に、第1部材121の外筒124の一端側と間隔をもって対向するストッパー84が設けられ、取付軸部81の基部側に、外筒124の他端側と間隔をもって対向する当接面85が形成されている。
【0122】
そして、第1部材121の外筒124と第2部材122の筒状部材127との嵌合は、リアサスペンションメンバ60に加わる通常荷重では第2部材122の筒状部材127のスライド変位を許容せず前記通常荷重より大きな所定以上の荷重では第2部材122の筒状部材127のスライド変位を許容する嵌合とされ、図10に示すように、取付軸部81の軸心に一致する嵌合軸線Kが、車両側面視において車両の前後方向Xで車両中央側に位置する車室8へ向かって下降傾斜している。
【0123】
ところで、車体30のサイドメンバ33の後端部33aには、通常、車両が後方から衝突された場合の衝突エネルギEを吸収するためビード等の易変形部が設けられている。しかし、衝突エネルギEが非常に大きな場合は、サイドメンバ33の後端部33aだけでは衝突エネルギEを吸収しきれず、残った衝突エネルギE′がスペアタイヤ5を車室8側へ押し込む力として作用する。
【0124】
ところが、スペアタイヤ5の前方にはディファレンシャル3が搭載されており、このディファレンシャル3はリアサスペンションメンバ60に固定されているため、車両後方からの衝突エネルギE′は、リアサスペンションメンバ60を車室8側へ侵入させる押進力として作用することになる。
【0125】
このとき、第3実施形態では、図11(b)に示すように、取付具120は、リアサスペンションメンバ60に作用する車室側への押進力Fによって、先ず、リアサスペンションメンバ60に固着された第2部材122の筒状部材127が第1部材121の外筒124と共に車室8側へ移動し、外筒124の前端面が車体30側に設けられたストッパー84に当接する。
【0126】
このため、第1部材121の外筒124は車室8側への移動が阻止され、第2部材122の筒状部材127は、第1部材121の外筒124に対してスライドし、外筒124との嵌合軸線Kに沿ってリアサスペンションメンバ60と共に車室8側へ下降する。
【0127】
従って、第3実施形態では、車両が後方から衝突されると、図10(b)に示すように、リアサスペンションメンバ60は、取付具120の第1部材121と第2部材122との嵌合軸線Kに沿って車室8側へ向かって下降し、サイドメンバ33に対して突っ張ることがなく、その結果として、車両衝突時にサイドメンバ33の前端部33bを圧壊させ、サイドメンバ33の後端部33aだけでなく後端部33bにも衝突エネルギEを吸収させて、サイドメンバ33による衝突エネルギEの吸収量を増大させることができる。
【0128】
加えて、第3実施形態では、車両衝突時にリアサスペンションメンバ60が車室8側へ向かって下降するので、車両衝突時には、リアサスペンションメンバ60の車室8内への侵入を抑制することもできる。
【0129】
ところで、第3実施形態では、取付具120の弾性体125に「すぐり」と呼ばれる空洞部を形成してはいない。しかし、第3実施形態でも、第1実施形態と同様、空洞部を弾性体125に形成することにより、車両のステアリング特性をアンダーステア方向にさせて、車両旋回時の操縦安定性を向上させることができ、リアサスペンションメンバ60のヨー剛性を大きくして、車両の直進安定性を向上させることもできるのは勿論のことである。
【0130】
なお、以上説明した各実施形態は本発明の実施の形態の一例であるので、本発明の具体的な構成が各実施形態の構成に限定されないのは勿論のことである。
【0131】
例えば、第2実施形態では、サスペンションメンバ10,60の車両前後方向X両側の少なくとも一方の側が車両衝突時に車両の中央側へ向かって降下する構成となっている。しかし、サスペンションメンバ10,60の少なくとも一箇所が車両衝突時に車両の中央側へ向かって降下すれば、車両衝突時にサスペンションメンバ10,60の車室8内への侵入を抑制することができるので、サスペンションメンバ10,60の少なくとも一箇所が車両衝突時に車両の中央側へ向かって降下する構成であれば良い。
【0132】
また、各実施形態では、取付具20,120が弾性体25,125を備えている。しかし、車両衝突時にサスペンションメンバ10,60の車室8内への侵入を抑制するには、取付具20,120が弾性体25,125を備えている必要は無い。図12は、第1及び第2の両部材が剛体である取付具の一例を示しており、(a)は通常状態を、(b)は車両衝突時の状態を示している。
【0133】
図12(a)に示すように、この取付具220は、フロントサスペンションメンバ10に取り付けられた第1部材221と、車体30側に取り付けられた第2部材222とを備えている。そして、フロントサスペンションメンバ10には、第1部材221取付用の取付軸部11が突設され、その取付軸部11の先端側には、雄ねじ12が形成されている。
【0134】
第1部材221は、フロントサスペンションメンバ10の取付軸部11に嵌合され取付軸部11の雄ねじ12に螺合したナット13によって固定された円形断面の内筒部材223であり、第2部材222は、内筒部材223をスライド可能に嵌合固定する筒状部材224を備え、その筒状部材224がブラケット225を介して車体30側に溶接等の手段で固着垂設されている。
【0135】
内筒部材223は、第2部材222の筒状部材224より長く形成され、車両後方側の先端に位置決めフランジ226が突設され、その位置決めフランジ226に第2部材222の筒状部材224の車両後方側の端面が当接している。
【0136】
そして、内筒部材223と筒状部材224との嵌合は、フロントサスペンションメンバ10に加わる通常荷重では内筒部材223のスライド変位を許容せず前記通常荷重より大きな所定以上の荷重では内筒部材223のスライド変位を許容する嵌合とされ、取付軸部11の軸心に一致する嵌合軸線が、車両側面視において車両の前後方向中央側へ向かって下降傾斜している。
【0137】
このため、車両が前面衝突すると、図12(b)に示すように、取付具220は、フロントサスペンションメンバ10を介して作用する車室側への押進力Fによって内筒部材223が、車体30側に取り付けられた筒状部材224に対してスライドし、筒状部材224との嵌合軸線に沿ってフロントサスペンションメンバ10と共に車両の前後方向中央側へ向かって下降する。
【0138】
従って、取付具220の第1及び第2の両部材221,222が剛体であっても、車両の前面衝突時には、取付具220の第1部材221と第2部材222との嵌合軸線に沿ってフロントサスペンションメンバ10を車両の前後方向中央側へ下降させることができ、サイドメンバに対するフロントサスペンションメンバ10の突っ張りを解除して、サイドメンバの後端部を圧壊させ、サイドメンバの前端部と後端部とで衝突エネルギを吸収させることができる。
【0139】
また、車両衝突時にフロントサスペンションメンバ10を車両の前後方向中央側へ下降させることができるので、車両衝突時には、サスペンションメンバ10の車室内への侵入を抑制することもでき、フロントサスペンションメンバ10に固定されたステアリングラックをフロントサスペンションメンバ10と共に下降させて、ステアリングラックに連続するステアリングホイールの車室内での後退を制限することもできる。
【0140】
しかも、この取付具220は、図3に図示されている第1実施形態の取付具22と比べて、構造が簡単であり製造コストの削減が可能である。
【0141】
また、この取付具220は、内筒部材223が位置決めフランジ226を有しているので、筒状部材224内に内筒部材223をスライド可能に嵌合固定させる際には、内筒部材223の位置決めフランジ226に筒状部材224の端面を当接させることによって、筒状部材224内での内筒部材223の嵌合固定を所定の位置で行うことができ、筒状部材224内での内筒部材223の嵌合固定を所定の位置で行う嵌合固定作業の作業性が向上する。
【0142】
図13は、第1及び第2の両部材が剛体である取付具の他の一例を示しており、(a)は通常状態を、(b)は車両衝突時の状態を示している。図13図示の取付具320と図12図示の取付具220とは、図12図示の取付具220では第2部材222のブラケット225が車体30側に溶接等の手段で固着されているのに対し、図13図示の取付具320では第2部材322のブラケット325が車体30側にボルト固定されている点で異なっている。
【0143】
すなわち、図13は、取付具20,120,220,320の車体30側への取り付けは固定でも固着でも良いことを示している。そして、取付具20,120,220,320のサスペンションメンバ10への取り付けも固定でも固着でも良いことは勿論のことである。なお、図13図示の取付具320の車両衝突時の作用効果は、図12図示の取付具220の車両衝突時の作用効果と同一であるので、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の作用を示す説明図であって、(a)は通常状態を示し、(b)は車両衝突時の状態を示している。
【図3】第1実施形態の取付具を示す断面図であって、(a)は通常状態を示し、(b)は車両衝突時の状態を示している。
【図4】従来構造での車両衝突時の作用を示す説明図である。
【図5】車両旋回時の第1実施形態の作用を示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は前方側取付具の正面図、(c)は後方側取付具の背面図である。
【図6】図5に示すものを車両側面からみた説明図である。
【図7】第2実施形態を示す説明図である。
【図8】第2実施形態の作用を示す説明図であって、(a)は通常走行時の状態を示し、(b)は小突部乗越時の状態を示している。
【図9】図8に示すものと同様の説明図であって、(a)は通常走行時の状態を示し、(b)は小突部乗越時の状態を示している。
【図10】第3実施形態を示す説明図であって、(a)は通常状態を示し、(b)は車両衝突時の状態を示している。
【図11】第3実施形態の取付具を示す断面図であって、(a)は通常状態を示し、(b)は車両衝突時の状態を示している。
【図12】第1及び第2の両部材が剛体である取付具の一例を示す断面図であって、(a)は通常状態を、(b)は車両衝突時の状態を示している。
【図13】第1及び第2の両部材が剛体である取付具の他の一例を示す断面図であって、(a)は通常状態を、(b)は車両衝突時の状態を示している。
【図14】従来構造の一例を示す分解斜視図である。
【図15】図14に示すものを組み立てたもののV−V線断面図である。
【図16】従来構造の他の一例を示す斜視図である。
【図17】従来構造で使用されている取付具を示す断面図である。
【符号の説明】
10 フロントサスペンションメンバ
11,81 取付軸部
14,84 ストッパー
15,85 当接面
20,20′,120,220,320 取付具
21,121,221,321 第1部材
22,122,222,322 第2部材
23,123 内筒
24,124 外筒
25,125 弾性体
26 空洞部
27,127,224 筒状部材
30 車体
40 車輪支持部材
50 前輪(車輪)
60 リアサスペンションメンバ
70 後輪(車輪)
29,129,226 位置決めフランジ
223 内筒部材
P′,Q′仮想弾性中心
R サスペンションロールセンタ
J 横力
n 仮想ロール軸
Y 車幅方向
X 車両前後方向
H 嵌合方向
K 嵌合軸線

Claims (11)

  1. 車輪を回転自在に支持する車輪支持部材を上下方向へ揺動可能に支持するサスペンションメンバの車幅方向両側及び車両前後方向両側をそれぞれ取付具を介して車体側に取り付ける車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、
    前記取付具のうちの少なくとも一つは、前記サスペンションメンバ又は車体側の一方に取り付けられた第1部材と、他方に取り付けられて該第1部材と嵌合する第2部材とを備え、
    前記第1部材と第2部材との嵌合は、前記サスペンションメンバに加わる所定以上の荷重で嵌合軸線に沿った相対変位を許容すると共に、前記嵌合軸線が車両側面視において車両の前後方向で車両中央側へ向かって下降傾斜し
    前記第1部材と第2部材とは、弾性体を介して嵌合し、
    前記第1部材は、前記サスペンションメンバ又は車体側の一方に設けた取付軸部に嵌合固定された内筒と、該内筒を貫通させた外筒と、前記内筒と外筒との間に介装されたゴムである弾性体よりなり、前記第2部材は、前記外筒をスライド可能に嵌合固定する筒状部材を備えていることを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
  2. 請求項1記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、
    前記外筒は、前記筒状部材より長く形成され、前記内筒は、前記外筒より長く形成され、前記取付軸部の先端側に、前記外筒の一端側と間隔をもって対向するストッパーを設け、前記取付軸部の基部側に、前記外筒の他端側と間隔をもって対向する当接面を設けたことを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
  3. 請求項1又は2記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、
    前記外筒に、前記筒状部材の端面に当接する位置決めフランジを突設したことを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
  4. 車輪を回転自在に支持する車輪支持部材を上下方向へ揺動可能に支持するサスペンションメンバの車幅方向両側及び車両前後方向両側をそれぞれ取付具を介して車体側に取り付ける車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、
    前記取付具のうちの少なくとも一つは、前記サスペンションメンバ又は車体側の一方に取り付けられた第1部材と、他方に取り付けられて該第1部材と嵌合する第2部材とを備え、
    前記第1部材と第2部材との嵌合は、前記サスペンションメンバに加わる所定以上の荷重で嵌合軸線に沿った相対変位を許容すると共に、前記嵌合軸線が車両側面視において車両の前後方向で車両中央側へ向かって下降傾斜し、
    前記第1部材及び第2部材が剛体であり、
    前記第1部材は、前記サスペンションメンバ又は車体側の一方に設けた取付軸部に嵌合固定された内筒部材であり、前記第2部材は、前記内筒部材をスライド可能に嵌合固定する筒状部材を備えていることを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
  5. 請求項4記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、
    前記内筒部材は、前記筒状部材より長く形成されていることを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
  6. 請求項4又は5記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、
    前記内筒部材に、前記筒状部材の端面に当接する位置決めフランジを突設したことを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
  7. 請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、
    前記弾性体は弾性変位の方向に異方性を有し、前記第1部材及び第2部材を備えた前記取付具は、前記サスペンションメンバの車両前後方向両側の少なくとも一方の側に配設され、前記弾性体の配設位置が、前記一方の側の弾性体の異方性を考慮して決定される仮想弾性中心を他方の側の取付具から車両前後方向へ遠ざける位置に設定されていることを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
  8. 請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、
    前記弾性体は弾性変位の方向に異方性を有し、前記第1部材及び第2部材を備えた前記取付具は、前記サスペンションメンバの車両前後方向両側に配設され、前記弾性体の配設位置が、サスペンションジオメトリから決定されるサスペンションロールセンタにかかる横力に対して、車両前後方向前方側の弾性体の異方性を考慮して決定される同前方側の仮想弾性中心と車両前後方向後方側の弾性体の異方性を考慮して決定される同後方側の仮想弾性中心とを通るサスペンションメンバの仮想ロール軸まわりにサスペンションメンバが回動した場合に、ステアリング特性がアンダーステア方向になる位置に設定されていることを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
  9. 請求項7又は8記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、
    前記弾性体がゴムであり、前記弾性体の異方性は、前記嵌合軸線に沿った空洞部を弾性体に設けることによって形成されていることを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
  10. 請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のサスペンションメンバ取け構造であって、
    前記サスペンションメンバがフロントサスペンションメンバであり、前記第1部材及び第2部材を備えた前記取付具は、前記フロントサスペンションメンバの車両前後方向後方側にのみ配設され、前記弾性体は、前記嵌合軸線に沿った嵌合方向への弾性変位量が最も大きい弾性特性を有していることを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
  11. 請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のサスペンションメンバ取付け構造であって、
    前記サスペンションメンバがリアサスペンションメンバであり、前記第1部材及び第2部材を備えた前記取付具は、前記リアサスペンションメンバの車両前後方向前方側にのみ配設され、前記弾性体は、前記嵌合軸線に沿った嵌合方向への弾性変位量が最も大きい弾性特性を有していることを特徴とする車両のサスペンションメンバ取付け構造。
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