JP3572029B2 - 釣針外し部材及びそれを装着した釣針外し具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、針がかりした魚の釣針を片手で容易に外すことができる釣針外し部材及びそれを装着した釣針外し具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、釣針外し具としては、図6(イ)に示すような棒1Aの先端に円孔2A,3Aが設けられたタイプの釣針外し具が提案されている。
このタイプの釣針外し具は、一方の手で魚を掴んで口を開き、他方の手で棒1Aの先端の円孔2Aまたは3Aに糸を通した後、その円孔2Aまたは3Aを糸に摺動させて釣針の軸まで誘導し、棒1Aをこじるようにして釣針を外すものである。
また、魚の口に針がかりしている場合の釣針外し具としては、図6(ロ)に示すような棒1Bの先端に半円形状の線材2Bが挿設されたタイプの釣針外し具が提案されている。
このタイプの釣針外し具は、棒1Bを一方の手で持ち、他方の手で魚を懸吊した状態で線材2Bの小湾曲部3Bに魚の口に針がかりしている釣針を掛止することにより、魚の自重と魚の暴れる動きを利用して釣針を外すものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の釣針外し具のうち前者においては、魚に釣針を飲み込まれた場合には使用できるが、魚の口に針がかりした場合には使い難く、手で外さなければならなかった。さらに、魚を手で掴むと特有の臭いやヌメリが手に付着するため、その都度手を洗わなければならず、良く釣れている時にはその作業が煩わしいという問題点があった。
【0004】
一方、後者においては、魚を懸吊した状態で釣針を線材の小湾曲部に掛止する構造上、魚の臭いやヌメリが手に付着するという問題は生じないが、釣針が外れるまでの間、一方の手で棒を持ち、他方の手で魚を懸吊した状態で保持し続けなければならない上、魚が暴れて釣針が外れた場合には、怪我をする恐れがあるという問題点があった。
さらに、上記従来の釣針り外し具は片手で作業が行えない上、釣糸が魚の鰓や釣針外し具自体に絡みやすいという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記従来の釣針外し具に内在する課題を解決して、魚の口に針がかりした釣針を魚に触れることなく片手で安全に素早く外すことができる釣針外し部材及びそれを装着した釣針外し具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の釣針外し部材は、板状部材を切欠して形成された導入溝と、この導入溝の基端と近接した開口部と、前記導入溝の基端と開口部との間に挟まれ、導入溝に針がかりした魚の釣糸を通して釣針を掛止可能な掛止部とを備え、前記開口部は釣針を掛止部に掛止した状態で釣針のちもと部側を開口部に押し込み可能な大きさとした。
【0007】
請求項2記載の釣針外し具では、枠体と、前記枠体の内側に付設された天板と、前記天板に設けられた釣針外し部材と、を備えた釣針外し具であって、前記釣針外し部材は板状に形成され、先端を拡開した導入溝と、この導入溝の基端と近接した開口部と、前記導入溝の基端と開口部との間に挟まれた掛止部とを有することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の釣針外し具では、線材を用いて円形状に形成された枠体と、この枠体を担持すると共に、収納時に枠体の内側に可倒可能な脚部と、前記枠体の内側に付設され、かつ、枠体の内側に鋭角の切欠部を有する天板と、前記切欠部に沿って貼設された釣針外し部材と、を備えた釣針外し具であって、前記釣針外し部材は板状に形成され、先端を前記天板の切欠部に沿って拡開した導入溝と、前記導入溝の基端と近接した円孔の開口部と、前記導入溝の基端と開口部との間に挟まれた掛止部とを有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1の釣針外し具の斜視図、図2は本実施の形態の釣針外し具の平面図、図3は本実施の形態の釣針外し具の正面図である。なお、図中左右上下において対称のものについては同一の符号を付す。
【0010】
図1〜3に示すように、本実施の形態の釣針外し具Aは、枠体1と、脚部2と、天板3と、釣針外し部材4とを主要な構成としている。
【0011】
枠体1は、例えばステンレスあるいは鋼の線材を用いて直径が35mm程度の円形状に形成され、釣人が椅子に座った状態で両足間に設置できる大きさとなっている。
【0012】
脚部2は、前記枠体1と同一素材を用いて棒状に形成され、バケツやクーラーなどの回収容器5を枠体1の下に設置できる長さを有し、枠体1を4カ所で担持している。また、脚部2は収納時には図3の矢印で示す枠体1の内側方向に可倒可能となっている。なお、6は脚部2と回収容器5を締結したり、回収用器5をビニール袋などで代用する際に掛止しておくためのフックである。
【0013】
天板3は、プラスチックなどの軽量で加工し易い素材を用いて扇形状に形成され、枠体1の内側に鋭角の切欠部1aを有して付設されている。
【0014】
釣針外し部材4は、ステンレスあるいは鋼を用いて2mm程度の厚みで板状に形成され、先端を前記天板3の切欠部1aに沿って拡開した導入溝7が形成されている。
また、前記導入溝7の奥には、直径が20mm程度の円孔8が穿設され、この円孔8の基端に近接して円孔の開口部9が穿設され、これら円孔8と開口部9との間に2mm程度の幅を有する掛止部10が設けられている。
【0015】
以下、図4に基づいて本実施の形態の釣針外し具Aの使用方法について説明する。図4(イ)は針がかりした魚を取り込む前の作業を説明する図、図4(ロ)〜(ニ)は図4(イ)のx−x方向における魚を取り込んだ後の作業を説明する図である。なお、図4(イ)〜(ニ)の作業は一方の手で竿を保持したまま、他方の手のみで行うものとする。
【0016】
釣人は、例えば波止場などのサビキ釣の際に釣針外し具Aの脚部2を収納した状態で携帯し、釣場で釣針外し具Aの脚部2を開いて設置した後、枠体1の下に氷の入ったバケツあるいはクーラーなどの回収容器5を設置する。
【0017】
次に、椅子に座って釣針外し具Aを両足間に設置した状態で釣りを行う。
魚を釣り上げると一方の手で竿を保持したまま、他方の手で釣糸11を手繰り寄せて図4(イ)に示すように魚を懸吊した状態で枠体1の内側に入れる。
【0018】
次に、釣糸11を天板の切欠部1aに摺動させながら釣針外し部材4の導入溝へ7誘導し、図4(ロ)で示すように掛止部10に針がかりした魚の釣針12を掛止する。
【0019】
次に、図4(ハ)で示すように釣糸11を図中左側に傾倒すると、釣針12が図中反時計回り方向に回転し、釣針11の先端が図中下側を向く。
【0020】
次に、図4(ニ)で示すように釣針12の軸13を矢印で示す方向に指で押下すると、釣針12がさらに回転して魚の自重によって魚の口から釣針12が外れ、枠体1の下に設置した回収容器5の中へ魚が落下する。なお、魚が暴れた場合や針がかりが浅い場合には図4(ハ)の状態で魚が外れる。
【0021】
次に、本実施の形態の釣針外し具Aの効果を説明する。
本実施の形態の釣針外し具Aは、枠体1が円形状に形成されているため、椅子に座った状態で両足間で作業し易い。
【0022】
また、脚部2の下に適宜の回収容器5を設置できると共に、この脚部2に取り付けられたフック6を回収容器5と締結することにより風が強い日にも対応可能である。さらに、脚部2は枠体1の内側に収納可能であるため、携帯性に優れている。
【0023】
天板3の切欠部1aは、魚を釣針外し部材4の導入溝7まで容易に誘導できる。
また、導入溝7の基端は円孔8によって円形状になっているため、円孔8に導いた魚が暴れた場合に導入溝7の方へ飛び出すのを防止できる。
【0024】
さらに、釣針12を掛止部10に掛止させると、釣針12の先端が下側に向くと共に、魚が天板3と釣針外し部材4に隠れるため、釣針12の先端や魚の鰓や鰭によって手に怪我をする恐れがなく、子供や女性でも一連の作業を片手で容易に行える。
【0025】
<実施の形態2>
次に、図5に基づいて実施の形態2の釣針外し具Bについて詳細に説明する。
本実施の形態の釣針外し具Bは、前記実施の形態1の釣針外し部材4の他の例である。
図5は本実施の形態2の釣針外し具Bを示す平面図である。なお、前記実施の形態1と同一の構成部分については同一の符号を付し、図中左右上下において対称のものについては同一の符号を付してその説明は省略する。
【0026】
本実施の形態の釣針外し具Bの天板14は、プラスチックなどの軽量で加工し易い素材を用いて三日月状に形成され、枠体1の内側に付設されている。
【0027】
釣針外し部材15は、ステンレスあるいは鋼を用いて2mm程度の厚みで板状に形成され、前記天板14と貼設されている。
【0028】
また、前記釣針外し部材15は、先端が拡開した導入溝16と、この導入溝16の奥に直径が20mm程度の円孔17とが設けられ、これら導入溝16及び円孔17が図中左右対称に配置されている。
【0029】
なお、本実施の形態の釣針外し具Bの使用方法は、左右の両方向で互いに円孔17を前記実施の形態1で説明した円孔の開口部9と代えて使用すること以外は前記実施の形態1の図3で説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0030】
次に本実施の形態の釣針外し具Bの効果を説明する。
本実施の形態の釣針外し具Bは、釣針外し部材15の導入溝16及び円孔17が左右対称に配置されているため、釣人が自分の利き手方向から釣糸を手繰り寄せて作業することができる。
【0031】
さらに、円孔17を実施の形態1で説明した円孔の開口部9として使用することで釣針外し部材の効率的なレイアウトとコストダウンが図れる。
【0032】
以上説明してきたように、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態では、釣針外し部材を装着した釣針外し具について説明したが、釣針外し部材を取り外して別の場所に固定して使用することも可能である。
【0033】
また、釣針外し具を構成する部材の素材、厚み、直径、及び間隔などについては適宜設定することができる。
さらに、前記実施の形態では枠体の内側に釣針外し部材を設けたが、枠体の外側に釣針外し部材を別に一つ配設し、必要のない稚魚などが釣れた場合には回収容器の外側に落下させてリリースする構成としても良い。
【0034】
また、脚部を外して他の釣道具に設けて使用したり、複数の釣針外し部材を天板に設け、サビキ仕掛けの手前から順次釣針を外して効率的に作業を行う構成とすることもできる。
【0035】
さらに、枠体と回収容器を一体成形したものや天板に釣用の餌箱を固着したもの、脚部にぐらつきを抑えるための固定金具を取り付けたものは当然考えられる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の釣針外し具にあっては、針がかりした魚を一方の手で懸吊した状態で導入溝に釣糸を摺動させて掛止部に釣針を掛止し、釣糸を傾倒した後、開口部より釣針の軸を指で押下するだけで釣針を外すことができるため、従来と比べて魚を触ることなく子供や女性でも片手で素早く安全に釣針外しの作業ができる。
【0037】
また、従来と比べて魚を懸吊した状態で釣針が外れるまで待つ必要がない上、作業は常に釣糸を張った状態で行うため、釣糸が魚の鰓や釣針外し具に絡むことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の釣針外し具Aの斜視図である。
【図2】実施の形態の釣針外し具Aの平面図である。
【図3】実施の形態の釣針外し具Aの正面図である。
【図4】実施の形態の釣針外し具Aの使用方法について説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態2の釣針外し具Bの平面図である。
【図6】従来の釣針外し具を説明する図である。
【符号の説明】
A,B 釣針外し具
1 枠体
1a、14a 切欠部
2 脚部
3、14 天板
4、15 釣針外し部材
5 回収容器
6 フック
7、16 導入溝
8、17 円孔
9 開口部
10、18 掛止部
11 釣糸
12 釣針
13 釣針の軸
Claims (3)
- 板状部材を切欠して形成された導入溝と、
この導入溝の基端と近接した開口部と、
前記導入溝の基端と開口部との間に挟まれ、導入溝に針がかりした魚の釣糸を通して釣針を掛止可能な掛止部とを備え、
前記開口部は釣針を掛止部に掛止した状態で釣針のちもと部側を開口部に押し込み可能な大きさとした釣針外し部材。 - 枠体と、
前記枠体の内側に付設された天板と、
前記天板に設けられた釣針外し部材と、
を備えた釣針外し具であって、
前記釣針外し部材は板状に形成され、
先端を拡開した導入溝と、
この導入溝の基端と近接した開口部と、
前記導入溝の基端と開口部との間に挟まれた掛止部とを有することを特徴とする釣針外し具。 - 線材を用いて円形状に形成された枠体と、
この枠体を担持すると共に、収納時に枠体の内側に可倒可能な脚部と、
前記枠体の内側に付設され、かつ、枠体の内側に鋭角の切欠部を有する天板と、
前記切欠部に沿って貼設された釣針外し部材と、
を備えた釣針外し具であって、
前記釣針外し部材は板状に形成され、
先端を前記天板の切欠部に沿って拡開した導入溝と、
前記導入溝の基端と近接した円孔の開口部と、
前記導入溝の基端と開口部との間に挟まれた掛止部とを有することを特徴とする釣針外し具。
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