JP3566193B2 - 対物レンズ駆動装置及びそれを備えた光ディスク装置 - Google Patents

対物レンズ駆動装置及びそれを備えた光ディスク装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に光ビームを照射することによって、情報を光学的に記録、再生、消去することができるMD装置やCD装置等の光記録再生装置に配備され、対物レンズを光軸方向及び光軸に直交する方向に駆動する対物レンズ駆動装置及びそれを備えた光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクを記録媒体として使用する光情報記録再生装置すなわち光ディスク装置に装備される光ピックアップでは、対物レンズから集光される検知ビームの微小スポットを、光ディスクの記録面に正確に走査させるように補正する補正駆動装置が設けられている。
【0003】
この補正駆動装置においては、対物レンズを保持しているホルダが、対物レンズの光軸方向及び光軸と直交する方向に動作可能なように支持されているとともに、磁石とコイルを使用した駆動機構を用いて、ホルダが上記の各方向へ駆動されるようになっている。
【0004】
そして、対物レンズが光軸方向へ駆動されることによって、光ディスクの記録面にビームスポットの焦点を一致させるためのフォーカシング補正が行われ、対物レンズが光軸と直行する方向へ駆動されることによって、光ディスクの記録面のトラックにビームスポットを追従させるためのトラッキング補正が行われる。
【0005】
具体的には、例えばMD記録再生装置等の光ディスク装置にて一般的に使用されている対物レンズ駆動装置では、図12(a)(b)に示すように、対物レンズ71を保持しているホルダ72は、互いに平行に配された上下左右4本の弾性支持部材73…により片持ち支持されている。ホルダ72と固定側との間には磁石74・74及びヨーク75・75とフォーカスコイル76及びトラッキングコイル77・77とによって構成された駆動機構が設けられており、この駆動力によって前記各弾性支持部材73…が曲がり変形を起こして、ホルダ72をフォーカシング方向とトラッキング方向に駆動するようになっている。
【0006】
ところで、通常、携帯用のMD装置では、MD装置の姿勢は様々な方向を取る。特に、トラッキング補正方向に重力が加わる姿勢で使用した場合、つまり、同図において矢印e−f方向を鉛直方向にして使用した場合には、トラッキング方向にホルダ72の自重が作用し、トラッキング補正動作が正確に行われなくなる問題がある。
【0007】
そこで、この問題を解決するために、例えば、特開昭64−33732号公報に開示された対物レンズ駆動装置がある。
【0008】
上記特開昭64−33732号公報に記載の支持機構は、図13に示すように、対物レンズ81を保持するホルダ82を、その重心位置を通り対物レンズ81の光軸と平行な軸線を中心に、V字構成の金属板83…にて回転可能に支持している。
【0009】
上記の構成によって、フォーカスコイル87及び磁界を発生する磁石85・85とヨーク86・86とで構成される磁気回路が作用して、同図に示す矢印g−h方向に推力を発生してフォーカシング補正動作を行なう一方、2組のトラッキングコイル84・84及び磁界を発生する磁石85・85とヨーク86・86にて構成される磁気回路が作用して、同図に示す矢印i−j方向に偶力となる回転力を発生してトラッキング補正動作を行うようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図13に示す従来の対物レンズ駆動装置では、そのトラッキング周波数特性において支持材の変形モードによる位相変化が発生する。
【0011】
具体的には、図14に示す対物レンズアクチュエータのトラッキング周波数特性解析結果、及び図15に示すその実験結果から位相遅れが発生することがわかる。なお、上記の図14では、上部のグラフに位相(°)を周波数(Hz)に対して表示する一方、下部のグラフにはゲイン(dB)を周波数(Hz)に対して表示している。また、図15のグラフでは、縦軸のゲイン(dB)及び位相(P)を、横軸の周波数(kHz)に対して表示している。
【0012】
すなわち、同図14及び図15から分かるように、周波数絶対値は異なるが、ともに弾性支持部材であるV字構成の金属板83…の変形による2つの位相変化、つまり図14において矢印A、Bに示す下側に凸となっている2つの位相変化から、位相遅れが発生することが確認される。
【0013】
これら2つの位相変化は、ホルダ82の慣性主軸の傾きを含む対物レンズ駆動装置の構成が原因で発生する。そして、これら2つの位相変化のうち、低い周波数の位相変化つまり図14に示す矢印Aの位相変化は、ホルダ82における前記図13に矢印kにて示す回転運動モードであり、他方の高い周波数の位相変化つまり図14に示す矢印Bの位相変化は、ホルダ82における図13に矢印lにて示す並進運動モードである。
【0014】
これらの位相変化が発生することによって補正動作の制御が困難になるため、位相変化の少ない周波数特性を有する対物レンズ駆動装置が求められる。
【0015】
そこで、例えば、特開平7−225961号公報に記載されている対物レンズ駆動装置では、この課題を解決するために、図16に示すように、ホルダ91を支持するワイヤ92・92をV字状に形成し、これらワイヤ92・92の一端をホルダ重心位置支持部93に固定し、かつこれらワイヤ92・92の他端を本体部94・94に固定して、このホルダ91を並進及び回転可能に支持するとともに、ホルダ91にダンパブロック95を設けたり、ホルダ91におけるV字状のワイヤ92・92の内側領域に、バランス調整目的の調整可能なダイナミックバランサ96なる機構を設けたりしている。
【0016】
なお、上記ダンパブロック95は略方形状に形成されるとともに、このダンパブロック95には、上記ワイヤ92・92が通る部分に、ワイヤ92・92がダンパブロック95に干渉しないように溝97・97が形成されている。
【0017】
しかしながら、この構成によればホルダ形状は大きくなり、対物レンズ駆動装置の小型化が困難になる。また、ホルダ91の質量も増加するため、これを駆動する電流が大きくなって駆動感度が低下することにより、低消費電力化に問題がある。さらに、組み立て時に調整工程が入ることによって、組み立て作業性が悪く、製造コストが高くなる。特に、MD装置のようにカートリッジケース内に納められた記録媒体に対して記録再生を行う場合、カートリッジケースの窓サイズ等の寸法上の制約により、ダイナミックバランサ等を配置して、慣性主軸の傾きを補正することは困難である。
【0018】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、ホルダを傾斜したときの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダの振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えて良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置及びそれを備えた光ディスク装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の対物レンズ駆動装置は、上記課題を解決するために、対物レンズを備えたホルダを磁石、ヨーク及びコイルからなる駆動機構にて並進及び回転可能に支持して該対物レンズを駆動する対物レンズ駆動装置において、上記ホルダを並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材が設けられ、上記各弾性支持部材には、少なくとも一箇所に凸形状の屈曲部が形成されているとともに、上記ホルダの慣性主軸は、該ホルダの水平方向及び垂直方向とは傾いており、かつ上記ホルダの両側に各2つずつ設けられたトラッキングコイルが、上記ホルダの慣性主軸の傾きに略合わせて傾いて並設されていることを特徴としている。
【0020】
上記の発明によれば、対物レンズ駆動装置は、対物レンズを備えたホルダを磁石、ヨーク及びコイルからなる駆動機構にて並進及び回転可能に支持して該対物レンズを駆動する。
【0021】
ここで、本発明では、ホルダを並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材が設けられる。
【0022】
このため、一対の弾性支持部材をV字構成とすることによって、ホルダを傾斜したときのホルダの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダの振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えることができる。
【0023】
また、弾性支持部材に形成された少なくとも一箇所の凸形状の屈曲部によって、弾性支持部材をV字構成にした場合において良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を提供することが可能になる。
【0024】
また、部品点数及び組み立て作業工程を増やすことなく、周波数特性において位相変化を低減できることから補正動作制御が容易になり、より安定した記録再生特性を得ることができる。
【0025】
また、本発明の対物レンズ駆動装置は、上記課題を解決するために、上記記載の対物レンズ駆動装置において、各弾性支持部材における凸形状の屈曲部は、不平行に配設された一対のV字構成の弾性支持部材がなすV字内領域に向かって凸となるように形成されていることを特徴としている。
【0026】
このため、確実に、ホルダを傾斜したときのホルダの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダの振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えることができ、良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を提供することが可能になる。
【0027】
また、前記記載の対物レンズ駆動装置の作用に加えて、弾性支持部材における凸形状の屈曲部が弾性支持部材がなすV字内領域に向かって凸となるように形成されていることによって、対物レンズ駆動装置の上面からの投影面積を小さく構成することができ、装置全体の小型化が可能になる。
【0028】
また、本発明の対物レンズ駆動装置は、上記課題を解決するために、対物レンズを備えたホルダを磁石、ヨーク及びコイルからなる駆動機構にて並進及び回転可能に支持して該対物レンズを駆動する対物レンズ駆動装置において、上記ホルダを並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材が設けられるとともに、上記各弾性支持部材は、ホルダとの連結端部から延在して該弾性支持部材がなすV字内領域に向かって略90°に屈曲するZ形状に形成されており、上記ホルダの慣性主軸は、該ホルダの水平方向及び垂直方向とは傾いており、かつ上記ホルダの両側に各2つずつ設けられたトラッキングコイルが、上記ホルダの慣性主軸の傾きに略合わせて傾いて並設されていることを特徴としている。
【0029】
上記の発明によれば、対物レンズ駆動装置は、対物レンズを備えたホルダを磁石、ヨーク及びコイルからなる駆動機構にて並進及び回転可能に支持して該対物レンズを駆動する。
【0030】
また、本発明では、ホルダを並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材が設けられる。
【0031】
このため、一対の弾性支持部材をV字構成とすることによって、ホルダを傾斜したときのホルダの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダの振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えることができる。
【0032】
また、各弾性支持部材は、ホルダとの連結端部から延在して該弾性支持部材がなすV字内領域に向かって略90°に屈曲するZ形状に形成されていることによって、弾性支持部材をV字構成にした場合において良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を提供することが可能になる。
【0033】
また、このように、各弾性支持部材を、ホルダとの連結端部から延在して略90°に屈曲するZ形状に形成することによって、前記弾性支持部材に凸形状の屈曲部を有する場合よりも、弾性支持部材の屈曲部分が少ないので、剛性が向上し、装置への衝撃に対して塑性変形が発生し難い。また、形状が簡単であるので、寸法ばらつきが小さく、組み立て後の特性が安定する。
【0034】
したがって、部品点数及び組み立て作業工程を増やすことなく、周波数特性において位相変化を低減できることから補正動作制御が容易になり、より安定した記録再生特性を得ることができる。
【0035】
また、弾性支持部材がなすV字内領域に向かって略90°に屈曲するZ形状に形成されていることによって、対物レンズ駆動装置の上面からの投影面積を小さく構成することができ、装置全体が大型化するのを防止することができる。
【0036】
また、本発明の光ディスク装置は、上記課題を解決するために、前記記載の対物レンズ駆動装置を備えてなることを特徴としている。
【0037】
上記の発明によれば、光ディスク装置は、前記記載の対物レンズ駆動装置を備えている。
【0038】
このため、ホルダを傾斜したときの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダの振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えて良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を備えた光ディスク装置を提供することができる。
【0039】
また、本発明の対物レンズ駆動装置及び光ディスク装置では、前記各弾性支持部材は、その途中から固定端に向かって枝分かれした構成を有しているとすることが可能である。
【0040】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、対物レンズ駆動装置を光ディスク装置としての例えばMD装置に装着された場合について説明するが、このMD装置は、記録及び再生の両方の機能を有する場合、又は再生の機能のみを有する場合のいずれであっても良い。したがって、光ディスク装置は、必ずしもMD装置に限らず、例えばCD装置であっても良い。また、光ディスク装置は、光のみにて記録再生する場合の他、記録するときに磁気をも用いる装置を含んでいる。さらに、この対物レンズ駆動装置は、図示しない光ピックアップに固定され、光ピックアップはメカシャーシに組み込まれ、メカシャーシがMD装置本体にダンピング材料を介して接続されている。
【0041】
上記対物レンズ駆動装置には、図1(a)(b)に示すように、対物レンズ1がホルダ2の端部に取り付けられている。
【0042】
すなわち、MD装置の場合、情報記録媒体であるディスクは図示しないカートリッジケースの中に収納されており、記録再生時にカートリッジケースの図示しないシャッターが開き、上記対物レンズ1がカートリッジケースの窓内に入り込むようになっている。
【0043】
したがって、上記ホルダ2は、上記カートリッジケースの窓内に入り込むため、対物レンズ1がその窓への挿入方向に突出した構造に形成されたものとなっている。
【0044】
この結果、対物レンズ1を装着したホルダ2は、図1(b)に示すように、慣性主軸が水平方向及び垂直方向から傾いている。
【0045】
上記ホルダ2は、対物レンズ駆動装置のベースプレート3に取り付け支持された4本の例えば薄い金属の板材からなる弾性支持部材10・10・10・10に取り付けられてベースプレート3に対して可動するものとなっている。なお、弾性支持部材10・10・10・10を構成する薄い金属板は、本実施の形態では、例えば、板厚50μm〜100μmのベリリウム銅をエッチングにより形成したもので、導電性を有するとともに、その断面形状は長方形となっている。ただし、弾性支持部材10・10・10・10は、必ずしも板材でなくても良い。なお、弾性とは、片持梁としての弾性支持部材10・10・10・10が撓み又は捩じれることによって弾性を発揮することをいう。
【0046】
すなわち、ホルダ2の支持構造は、図1(a)に示すように、一つの平面内において不平行に配設した一対のV字構成の弾性支持部材10・10が、同図(b)に示すように、上下に2組備えられており、かつ上側の弾性支持部材10・10が設けられる平面と下側の弾性支持部材10・10が設けられる平面とは相互に平行になるように配設されている。
【0047】
このように、一対の弾性支持部材10・10をV字構成とすることによって、MD装置において、ホルダ2の自重落下によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダ2の振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えることが可能となる。
【0048】
上記の各弾性支持部材10・10・10・10は、詳細には、図1(a)(b)に示すように、一端のホルダ連結端部10a・10a・10a・10aが、ホルダ2の重心位置の鉛直線上近傍における上面又は下面のホルダ重心鉛直部2a・2aに取り付けられる。そして、一つの弾性支持部材10は、ホルダ連結端部10aから凸形状に屈曲する内側向き凸部12及びそれに続く固定端側支持部材10dを介して固定端部10bに延在している。なお、上記内側向き凸部12は本発明の凸形状の屈曲部として機能するものとなっている。すなわち、上記の内側向き凸部12・12は、一つの平面内において不平行に配設した一対のV字構成の弾性支持部材10・10がなすV字内領域Sに向かって凸形状に形成されている。
【0049】
一方、上記弾性支持部材10の固定端部10bは、ベースプレート3に接着等に接合された基板11と半田14にて電気的かつ機械的に固定されている。これにより、ホルダ2に備えられたフォーカスコイル6及びトラッキングコイル7・7に給電可能となっている。
【0050】
また、弾性支持部材10は、内側向き凸部12における固定端部10b側の肩部に位置する分岐固定端13aにて内側向き凸部12から枝分かれする片持梁部13を有している。この片持梁部13は、内側向き凸部12から枝分かれした後、弾性支持部材10の固定端部10b方向に延在している。また、片持梁部13における片持梁自由端部13bの先端には、片持梁先端凹部13cが形成されている一方、この片持梁先端凹部13cに対応して、上記固定端部10bには、固定端部凸部10cが形成されている。上記の片持梁先端凹部13cと固定端部凸部10cとの間には隙間が形成されている。これによって、上記片持梁部13は、分岐固定端13aを固定端とし片持梁自由端部13bを自由端とする片持梁となっている。
【0051】
そして、上側の片持梁先端凹部13c及び固定端部凸部10cは、その下面において、紫外線硬化性樹脂材料等の衝撃緩衝材であるダンピング材15にて半固定の状態で連結している。具体的には接触している。なお、下側の片持梁先端凹部13c及び固定端部凸部10cからなる弾性支持部材10は、図1(b)に示すように、その上面において、ダンピング材15に接触している。
【0052】
このダンピング材15は、弾性支持部材10の主となる支持部つまりホルダ連結端部10aから凸形状の内側向き凸部12及びそれに続く固定端側支持部材10dを介して固定端部10bに延在する部分が曲がり変形を発生した場合、その変形量を抑えるとともに、振動を減衰させる目的で備えられているものである。
【0053】
このような弾性支持部材10・10・10・10による支持によって、ホルダ2は、このホルダ2の重心位置を通り対物レンズ1の光軸と平行な軸線を中心に、同図(a)に示す矢印c−d方向に回転可能となっている。
【0054】
なお、本実施の形態では、上記内側向き凸部12は、弾性支持部材10に一箇所に設けられているだけであるが、必ずしもこれに限らず、二箇所、三箇所又はそれ以上の複数箇所であっても良い。すなわち、少なくとも一箇所以上であれば良い。
【0055】
一方、本実施の形態の対物レンズ駆動装置は、ヨーク4・8と磁界を発生する磁石5とから構成される磁気回路と、この磁気回路と協動してホルダ2を駆動するためのコイルとしてのフォーカスコイル6及びトラッキングコイル7・7とからなる駆動機構とがそれぞれ2組左右(同図(a)において上下方向)の両側面に対称に配されたものからなっている。上記のフォーカスコイル6は、対物レンズ1の光軸と平行な軸線まわりに巻回されている一方、トラッキングコイル7・7は、対物レンズ1の光軸とは直交する軸線まわりに巻回されて上記フォーカスコイル6の側面に接着されている。
【0056】
上記2つのトラッキングコイル7・7は、トラッキング周波数特性において、主に弾性支持部材10・10・10・10の回転運動モード変形による位相変化を補正するために、解析結果に基づき上記慣性主軸の傾きに略合わせて傾いて配設されている。
【0057】
上記の対物レンズ駆動装置では、2組のフォーカスコイル6・6、及び磁界を発生する磁石5とヨーク4・8とによって構成される磁気回路により、同図(b)において矢印a方向又は矢印b方向に推力を発生してフォーカシング補正動作を行なう。
【0058】
一方、4組のトラッキングコイル7・7、及び磁界を発生する磁石5とヨーク4・8とによって構成される磁気回路により、同図(a)に示すように、矢印c方向又は矢印d方向に偶力となる回転力を発生し、上記ホルダ2の重心位置を通り、対物レンズ1の光軸と平行な軸線を中心に回転するトラッキング補正動作が行われる。
【0059】
上記構成の対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の解析結果を図2に示す。また、それについての実験結果を、図3に示す。
【0060】
図2においては、上側のグラフに位相(°)と周波数(Hz)との関係を表示し、下側のグラフにゲイン(dB)と周波数(Hz)との関係を表示している。
【0061】
また、図3のグラフにはゲイン(dB)及び位相(°)と周波数(Hz)との関係を表示している。
【0062】
同図から判断できるように、いずれも、ホルダ2の回転運動モード及び並進運動モードによる大きな位相変化は無く、良好な周波数特性であることが確認できる。
【0063】
このように、本実施の形態の対物レンズ駆動装置は、対物レンズ1を備えたホルダ2を磁石5、ヨーク4・8並びにフォーカスコイル6及びトラッキングコイル7・7からなる駆動機構にて並進及び回転可能に支持して対物レンズ1を駆動する。
【0064】
ここで、本実施の形態では、ホルダ2を並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材10・10・10・10が設けられる。
【0065】
このため、V字構成の弾性支持部材10・10・10・10によって、ホルダ2を傾斜したときのホルダ2の自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダ2の振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えることができる。
【0066】
また、弾性支持部材10・10・10・10に形成された少なくとも一箇所の内側向き凸部12・12・12・12によって、V字構成の弾性支持部材10・10・10・10において良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を提供することが可能になる。なお、本実施の形態の内側向き凸部は、実施の形態3にて説明するZ状に屈曲する場合に比べて、凸部が分岐固定端13aから屈曲のない状態に戻る構成に、このような位相変化無しの作用効果が生じるものと考えられる。
【0067】
また、部品点数及び組み立て作業工程を増やすことなく、周波数特性において位相変化を低減できることから補正動作制御が容易になり、より安定した記録再生特性を得ることができる。
【0068】
また、本実施の形態の対物レンズ駆動装置は、各弾性支持部材10・10・10・10における内側向き凸部12・12・12・12は、不平行に配設された一対のV字構成の弾性支持部材10・10がなすV字内領域Sに向かって凸となるように形成されている。
【0069】
このため、弾性支持部材10・10・10・10における内側向き凸部12・12が弾性支持部材10・10がなすV字内領域Sに向かって凸となるように形成されていることによって、対物レンズ駆動装置の上面からの投影面積を小さく構成することができ、装置全体の小型化が可能になる。
【0070】
また、本実施の形態の光ディスク装置は、上記記載の対物レンズ駆動装置を備えている。
【0071】
このため、ホルダ2を傾斜したときの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダ2の振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えて良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を備えた光ディスク装置を提供することができる。
【0072】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図4及び図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、前記実施の形態1で述べた各種の特徴点については、本実施の形態についても組み合わせて適用し得るものとする。
【0073】
本実施の形態の対物レンズ駆動装置では、前記弾性支持部材10・10・10・10に形成される凸形状の内側向き凸部12・12・12・12が反対向きになっている。
【0074】
すなわち、本実施の形態の対物レンズ駆動装置では、図4に示すように、一対の弾性支持部材20・20に形成される凸形状の屈曲部は、ホルダ重心鉛直部2aのホルダ連結端部20a・20aからベースプレート3への固定端部20b・20bへ向かう間における途中の一箇所に、外側への凸形状となる外側向き凸部22・22が屈曲されて形成されている。また、本実施の形態の弾性支持部材20は、外側向き凸部22の固定端部20b側の肩部の分岐固定端23aにてこの外側向き凸部22から枝分かれする片持梁部23を有している。この片持梁部23は、外側向き凸部22から枝分かれした後、弾性支持部材20の固定端部20b方向に延在してダンピング材15に接触している。なお、この外側向き凸部22・22は、必ずしも1個に限らず、複数個設けても良い。その他の構成については、前記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0075】
上記構成の対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性は、解析結果及び実験結果ともに、前記実施の形態1にて示した図2及び図3と略同様であり、大きな位相変化は無く良好な結果となることが分かった。
【0076】
ただし、図5(b)に示すように、前記実施の形態の弾性支持部材10では、ホルダ連結端部10a側の長さmと凸部の長さnと固定端側支持部材10dの長さoとによって形成されており、弾性支持部材10におけるホルダ連結端部10aから外側への張り出し長さqになっている。
【0077】
一方、本実施の形態の弾性支持部材20にて、上記長さ(m+n+o)の弾性支持部材10と同じばね定数を得るためには、図5(a)に示すように、同じ長さ(m+n+o)が必要となる。
【0078】
そして、この弾性支持部材20では、この長さ(m+n+o)を確保するために、分岐固定端23aから分岐する片持梁部23のレイアウトスペースが必要になる。このため、ホルダ連結端部20aから外側への張り出し長さpが必要となるとともに、この張り出し長さpは、上記張り出し長さqよりも長くなる。すなわち、張り出し長さp>張り出し長さqとなる。
【0079】
この結果、対物レンズ駆動装置の小型化が困難になる。
【0080】
したがって、対物レンズ駆動装置の幅方向サイズに特段の制約がない場合には、前記実施の形態1の対物レンズ駆動装置と同様に良好に用いることができる。
【0081】
このように、本実施の形態の対物レンズ駆動装置は、対物レンズ1を備えたホルダ2を磁石5、ヨーク4・8並びにフォーカスコイル6及びトラッキングコイル7・7からなる駆動機構にて並進及び回転可能に支持して対物レンズ1を駆動する。
【0082】
ここで、本実施の形態では、ホルダ2を並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材20・20・20・20が設けられる。
【0083】
このため、V字構成の弾性支持部材20・20・20・20とすることによって、ホルダ2を傾斜したときのホルダ2の自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダ2の振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えることができる。
【0084】
また、弾性支持部材20・20・20・20に形成された少なくとも一箇所の外側向き凸部22・22・22・22によって、V字構成の弾性支持部材20・20・20・20とした場合において良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を提供することが可能になる。
【0085】
また、部品点数及び組み立て作業工程を増やすことなく、周波数特性において位相変化を低減できることから補正動作制御が容易になり、より安定した記録再生特性を得ることができる。
【0086】
また、本実施の形態の光ディスク装置は、上記記載の対物レンズ駆動装置を備えている。
【0087】
このため、ホルダ2を傾斜したときの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダ2の振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えて良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を備えた光ディスク装置を提供することができる。
【0088】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図6ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、前記実施の形態1及び実施の形態2で述べた各種の特徴点については、本実施の形態についても組み合わせて適用し得るものとする。
【0089】
本実施の形態の対物レンズ駆動装置は、図6に示すように、前記実施の形態1における対物レンズ駆動装置と同じ可動部を備え、可動部であるホルダ2の慣性主軸の傾きも同じであり、かつ前記不平行に配設した一対のV字構成の弾性支持部材30・30の二対を一組とし、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように配設されている。
【0090】
また、これら一対の弾性支持部材30・30のホルダ連結端部30a・30aは、ホルダ2の重心位置を通り対物レンズ1の光軸と平行な軸線を中心に回転可能にホルダ重心鉛直部2aにて支持されている。
【0091】
また、各弾性支持部材30・30・30・30は、上記ホルダ連結端部30a・30a・30a・30aから延在するとともに、その途中に、これら弾性支持部材30・30・30・30がなすV字内領域S内に向かって略90°に屈曲するZ形状の内側Z形状突出部31・31・31・31を有している。すなわち、弾性支持部材30は、途中の分岐固定端33aにてV字内領域S内に向かって略90度に折曲され、さらに、再度、元の延在する方向に折曲されている。この結果、内側Z形状突出部31は、略90°に屈曲するZ形状となっている。なお、同図においては、内側Z形状突出部31は、折曲部がそれぞれ直角になっているものを記載しているが、必ずしもこれに限らず、文字通りZ形状であっても良い。
【0092】
また、この内側Z形状突出部31は、そのまま延びて、固定端部31bに至っているとともに、この固定端部31bは半田14にて基板11に固定され、かつ基板11はベースプレート3に接着されることによって、弾性支持部材30はベースプレート3に固定されている。
【0093】
一方、弾性支持部材30においても片持梁部33が形成されており、この片持梁部33は、上記分岐固定端33aから、延在方向にそのまま直線的に延びて片持梁自由端部33bに至っており、この片持梁自由端部33bでダンピング材15に接触している。また、この片持梁自由端部33bの先端形状に対応して、前記弾性支持部材30の固定端部31bには固定端部凹部31cが上記片持梁自由端部33bの先端に対応して隙間を有して形成されている。そして、この固定端部31bの固定端部凹部31c周辺もダンピング材15に接触している。
【0094】
その他の構成については、前記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0095】
上記構成の対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の解析結果を図7に示す。また、それについての実験結果を図8に示す。
【0096】
図7においては、上側のグラフに位相(°)と周波数(Hz)との関係を表示し、下側のグラフにゲイン(dB)と周波数(Hz)との関係を表示している。
【0097】
また、図8のグラフにはゲイン(dB)及び位相(°)と周波数(Hz)との関係を表示している。
【0098】
同図7及び図8から判断できるように、周波数絶対値は異なるが、解析結果と実験結果とは略一致することが確認され、また、いずれも弾性支持部材30・30・30・30の並進運動モード変形による位相進みが発生しているものの、回転運動モード変形による位相遅れは抑制できていることが確認できた。
【0099】
この構成においては、前記実施の形態1及び実施の形態2にて示した対物レンズ駆動装置の構成に対して、弾性支持部材30・30・30・30は、その屈曲部が少ないことによって形状が安定し、剛性が向上することから装置にかかる衝撃等により塑性変形し難くなる。
【0100】
このように、本実施の形態の対物レンズ駆動装置では、対物レンズ1を備えたホルダ2を磁石5、ヨーク4・8並びにフォーカスコイル6及びトラッキングコイル7・7からなる駆動機構にて並進及び回転可能に支持して対物レンズ1を駆動する。
【0101】
また、本実施の形態では、ホルダ2を並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材30・30・30・30が設けられる。
【0102】
このため、弾性支持部材30・30・30・30をV字構成とすることによって、ホルダ2を傾斜したときのホルダ2の自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダ2の振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えることができる。
【0103】
また、各弾性支持部材30・30・30・30の内側Z形状突出部31・31・31・31は、ホルダ2との連結端部から延在して該弾性支持部材30・30・30・30がなすV字内領域Sに向かって略90°に屈曲するZ形状に形成されていることによって、弾性支持部材30・30・30・30をV字構成にした場合において良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を提供することが可能になる。
【0104】
すなわち、弾性支持部材30では、回転運動モード変形による位相遅れは抑制できているものの、並進運動モード変形による位相進みは発生する。
【0105】
ここで、フォーカシング補正動作及びトラッキング補正動作の制御においては、周波数特性での位相変化がないことが最も望ましいが、必ずしも位相進みと位相遅れとの両方とも存在しないことが要求されるわけではない。すなわち、位相進みは、その位相変化量により制御が可能となり、位相遅れを除去できない場合、対物レンズ駆動装置側で、意図的にバランスを崩して位相進み特性を得る手法も取られている。
【0106】
したがって、本実施の形態のように、位相進みのみが残る弾性支持部材30を有する対物レンズ駆動装置も使用可能な構成になる。
【0107】
また、本実施の形態では、各弾性支持部材30・30・30・30を、ホルダ2との連結端部から延在して略90°に屈曲するZ形状に形成することによって、前記実施の形態1又は実施の形態2で述べた前記弾性支持部材10・10・10・10又は弾性支持部材20・20・20・20に凸形状の屈曲部を有する場合よりも、弾性支持部材の屈曲部分が少ないので、剛性が向上し、装置への衝撃に対して塑性変形が発生し難い。また、形状が簡単であるので、寸法ばらつきが小さく、組み立て後の特性が安定する。
【0108】
したがって、部品点数及び組み立て作業工程を増やすことなく、周波数特性において位相変化を低減できることから補正動作制御が容易になり、より安定した記録再生特性を得ることができる。
【0109】
また、弾性支持部材30・30・30・30がなすV字内領域Sに向かって略90°に屈曲するZ形状に形成されていることによって、対物レンズ駆動装置の上面からの投影面積を小さく構成することができ、装置全体が大型化するのを防止することができる。
【0110】
また、本実施の形態の光ディスク装置は、上記記載の対物レンズ駆動装置を備えている。このため、ホルダ2を傾斜したときの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダの振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えて良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を備えた光ディスク装置を提供することができる。
【0111】
〔比較形態〕
上記実施の形態3の対物レンズ駆動装置では、弾性支持部材30・30・30・30に形成される内側Z形状突出部31・31・31・31は、一対のV字構成の弾性支持部材30・30がなすV字内領域Sの内側に向かって突出するものとなっていた。
【0112】
これに対し、ここでは、比較形態として、図9に示すように、弾性支持部材40・40・40・40に形成される屈曲部が、一つの平面内において不平行に配設した一対のV字構成の弾性支持部材40・40がなすV字内領域Sとは反対側の外側に向かって形成された外側Z形状部41・41となっているものについて説明する。
【0113】
上記対物レンズ駆動装置の弾性支持部材40は、詳細には、ホルダ2との取り付け位置であるホルダ重心鉛直部2aのホルダ連結端部40aから延在して一対の弾性支持部材40・40がなすV字内領域Sから外側に向かって略90°に屈曲するZ形状となっている。また、分岐固定端43aからは片持梁部43が形成されている。その他の構成については、前記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0114】
上記構成に対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の解析結果を図10に示す。また、それについての実験結果を、図11に示す。
【0115】
図10においては、上側のグラフに位相(°)と周波数(Hz)との関係を表示し、下側のグラフにゲイン(dB)と周波数(Hz)との関係を表示している。また、図11のグラフにはゲイン(dB)及び位相(°)と周波数(Hz)との関係を表示している。
【0116】
同図10及び図11から分かるように、周波数絶対値は異なるが、解析結果と実験結果は略一致することが確認された、しかしながら、いずれも弾性支持部材40・40・40・40の回転運動モード変形による位相遅れは抑制できているものの、並進運動モード変形による位相遅れが発生していることが分かる。
【0117】
ここで、フォーカシング補正動作及びトラッキング補正動作の制御においては、周波数特性での位相変化がないことが最も望ましいが、前述したように、位相進みの場合はその位相変化量により制御が可能であり、前記実施の形態3に示す図6の構成の弾性支持部材30を有する対物レンズ駆動装置においては使用可能な構成とすることができた。
【0118】
しかしながら、この比較形態に示す弾性支持部材40では、上述したように、位相遅れが残り、これを制御することができないので、対物レンズ駆動装置として使用することができない。
【0119】
【発明の効果】
本発明の対物レンズ駆動装置は、以上のように、上記ホルダを並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材が設けられ、上記各弾性支持部材には、少なくとも一箇所に凸形状の屈曲部が形成されているとともに、上記ホルダの慣性主軸は、該ホルダの水平方向及び垂直方向とは傾いており、かつ上記ホルダの両側に各2つずつ設けられたトラッキングコイルが、上記ホルダの慣性主軸の傾きに略合わせて傾いて並設されているものである。
【0120】
それゆえ、一対の弾性支持部材をV字構成とすることによって、ホルダを傾斜したときのホルダの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダの振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えることができるという効果を奏する。
【0121】
また、弾性支持部材に形成された少なくとも一箇所の凸形状の屈曲部によって、弾性支持部材をV字構成にした場合に、良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【0122】
また、部品点数及び組み立て作業工程を増やすことなく、周波数特性において位相変化を低減できることから補正動作制御が容易になり、より安定した記録再生特性を得ることができるという効果を奏する。
【0123】
また、本発明の対物レンズ駆動装置は、以上のように、ホルダを並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材が設けられるとともに、
上記各弾性支持部材は、ホルダとの連結端部から延在して該弾性支持部材がなすV字内領域に向かって略90°に屈曲するZ形状に形成されており、上記ホルダの慣性主軸は、該ホルダの水平方向及び垂直方向とは傾いており、かつ上記ホルダの両側に各2つずつ設けられたトラッキングコイルが、上記ホルダの慣性主軸の傾きに略合わせて傾いて並設されているものである。
【0124】
それゆえ、一対の弾性支持部材をV字構成とすることによって、ホルダを傾斜したときのホルダの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダの振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えることができるという効果を奏する。
【0125】
また、各弾性支持部材は、ホルダとの連結端部から延在して該弾性支持部材がなすV字内領域に向かって略90°に屈曲するZ形状に形成されていることによって、弾性支持部材をV字構成にした場合において良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【0126】
また、各弾性支持部材を、ホルダとの連結端部から延在して略90°に屈曲するZ形状に形成することによって、前記弾性支持部材に凸形状の屈曲部を有する場合よりも、弾性支持部材の屈曲部分が少ないので、剛性が向上し、装置への衝撃に対して塑性変形が発生し難い。さらに、形状が簡単であるので、寸法ばらつきが小さく、組み立て後の特性が安定する。したがって、部品点数及び組み立て作業工程を増やすことなく、周波数特性において位相変化を低減できることから補正動作制御が容易になり、より安定した記録再生特性を得ることができるという効果を奏する。
【0127】
また、弾性支持部材がなすV字内領域に向かって略90°に屈曲するZ形状に形成されていることによって、対物レンズ駆動装置の上面からの投影面積を小さく構成することができ、装置全体が大型化するのを防止することができるという効果を奏する。
【0128】
また、本発明の光ディスク装置は、上記課題を解決するために、前記記載の対物レンズ駆動装置を備えてなるものである。
【0129】
それゆえ、ホルダを傾斜したときの自重によるトラッキング方向の対物レンズシフトを抑え、高速アクセス時に発生するホルダの振動によるトラッキング補正動作への影響を抑えて良好なトラッキング周波数特性を有する対物レンズ駆動装置を備えた光ディスク装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における対物レンズ駆動装置の実施の一形態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】上記対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の解析結果を示すグラフである。
【図3】上記対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の実験結果を示すグラフである。
【図4】本発明における対物レンズ駆動装置の他の実施の一形態を示す平面図である。
【図5】上記対物レンズ駆動装置における弾性支持部材の張り出し長さを示す平面図であり、(a)は図4の弾性支持部材を示すもの、(b)は前記図1の弾性支持部材を示すものである。
【図6】本発明における対物レンズ駆動装置のさらに他の実施の一形態を示す平面図である。
【図7】上記対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の解析結果を示すグラフである。
【図8】上記対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の実験結果を示すグラフである。
【図9】本発明における対物レンズ駆動装置の比較形態を示す平面図である。
【図10】上記対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の解析結果を示すグラフである。
【図11】上記対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の実験結果を示すグラフである。
【図12】従来の対物レンズ駆動装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図13】従来の他の対物レンズ駆動装置を示す斜視図である。
【図14】上記対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の解析結果を示すグラフである。
【図15】上記対物レンズ駆動装置におけるトラッキング周波数特性の実験結果を示すグラフである。
【図16】従来のさらに他の対物レンズ駆動装置を示す平面図である。
【符号の説明】
1 対物レンズ
2 ホルダ
2a ホルダ重心鉛直部
3 ベースプレート
4 ヨーク
5 磁石
6 フォーカスコイル(コイル)
7 トラッキングコイル(コイル)
8 ヨーク
10 弾性支持部材
10a ホルダ連結端部
10b 固定端部
10d 固定端側支持部材
11 基板
12 内側向き凸部(凸形状の屈曲部)
13 片持梁部
13a 分岐固定端
14 半田
15 ダンピング材
20 弾性支持部材
20a ホルダ連結端部
20b 固定端部
22 外側向き凸部(凸形状の屈曲部)
23 片持梁部
23a 分岐固定端
30 弾性支持部材
30a ホルダ連結端部
30b 固定端部
31 内側Z形状突出部
33 片持梁部
33a 分岐固定端

Claims (5)

  1. 対物レンズを備えたホルダを磁石、ヨーク及びコイルからなる駆動機構にて並進及び回転可能に支持して該対物レンズを駆動する対物レンズ駆動装置において、
    上記ホルダを並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材が設けられ、
    上記各弾性支持部材には、少なくとも一箇所に凸形状の屈曲部が形成されているとともに、
    上記ホルダの慣性主軸は、該ホルダの水平方向及び垂直方向とは傾いており、かつ
    上記ホルダの両側に各2つずつ設けられたトラッキングコイルが、上記ホルダの慣性主軸の傾きに略合わせて傾いて並設されていることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
  2. 各弾性支持部材における凸形状の屈曲部は、不平行に配設された一対のV字構成の弾性支持部材がなすV字内領域に向かって凸となるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の対物レンズ駆動装置。
  3. 対物レンズを備えたホルダを磁石、ヨーク及びコイルからなる駆動機構にて並進及び回転可能に支持して該対物レンズを駆動する対物レンズ駆動装置において、
    上記ホルダを並進及び回転可能に支持するために、一対のV字構成となる不平行に配設したものを、各V字構成部材がなす面が相互に平行になるように二組配した弾性支持部材が設けられるとともに、
    上記各弾性支持部材は、ホルダとの連結端部から延在して該弾性支持部材がなすV字内領域に向かって略90°に屈曲するZ形状に形成されており、
    上記ホルダの慣性主軸は、該ホルダの水平方向及び垂直方向とは傾いており、かつ
    上記ホルダの両側に各2つずつ設けられたトラッキングコイルが、上記ホルダの慣性主軸の傾きに略合わせて傾いて並設されていることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
  4. 前記各弾性支持部材は、その途中から固定端に向かって枝分かれした構成を有していることを特徴とする請求項1、2又は3記載の対物レンズ駆動装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置を備えてなることを特徴とする光ディスク装置。
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