JP3565758B2 - 腫瘍治療用増感剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波照射による腫瘍などの疾患の治療に用いることのできる、腫瘍治療用増感剤及びそれを用いた超音波治療装置に係り、特にキサンテン系色素構造を有する増感剤を改良することによって両親媒性(親水性及び親油性)を保持させ患部組織への集積性が高い増感剤及びそれを用いた超音波治療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、癌治療においても治療後の患者の生活の質(Quality of Life)を考慮し、腫瘍部位のみを選択的に処置でき、腫瘍部位以外の生体への損傷が少ない治療が望まれている。このような治療を目標として、超音波とその増感剤を用いた音響化学療法(文献Jpn. J. Cancer Res.,80,219,1989を参照)の研究が行われている。
【0003】
この治療方法は、既に臨床応用がなされている光化学療法(文献Cancer Res.,39,146,1979を参照)同様、予め投与した薬剤を波動によって局所的に抗腫瘍活性化し、腫瘍部位のみを治療するというものである。
【0004】
光化学療法は、レーザー光の波長とその生体中での減衰係数の限界から、治療の対象が表層から数ミリ程度までの表在性癌に限定されるという原理的問題点を有している。一方、音響化学療法は、超音波が波長と減衰係数の関係が人体という媒体に対して適切であるため、表層はもとより、深部の癌組織にも比較的容易にフォーカスできるという特長を持っている。従って、実用化すれば、その得意とする治療領域で、光化学療法と共に低侵襲的治療法の一端を担って行くと考えられる。
【0005】
上記音響化学療法に関し、様々な技術が物理的及び化学的アプローチにより研究されており、装置および薬剤の両面において新しい手法が開発されている。
【0006】
音響化学療法では、その治療の機構に音響キャビテーションが重要な役割を果たすと考えられている。音響キャビテーションとは、超音波照射で発生した気泡が成長して圧縮破壊する現象であり、最後の圧縮破壊時に発生する極めて高い圧力と温度により、機械的および化学的な生体作用が生じる。
【0007】
この音響キャビテーションを効率的に生成させる技術として、例えば、特開平2−126848号公報記載の音場を切り替えながら超音波を照射する方法や、国際公開番号WO94/06380の再公表公報記載の基本波にその二倍の周波数を持つ第2高調波を重畳する方法が開発されている。これらの技術を用いれば、より低い照射パワーで音響キャビテーションを生成させることができる。
【0008】
一方、薬剤側のアプローチとしては、本発明者等が先に提案した国際公開番号WO98/01131の再公表公報にキサンテン系色素構造を有する増感剤を用い、キャビテーションを生成するのに必要な音響強度(キャビテーション閾値)を低下させる音響キャビテーション作用誘導剤が記載されている。
【0009】
また、腫瘍治療の基本的な機構として特公平6−29196号公報には、超音波の化学作用によって活性酸素を生成する物質を用いると、超音波の抗腫瘍効果が高められることが記載されている。音響キャビテーション作用誘導剤であるキサンテン系色素構造を有する増感剤も活性酸素を生成する物質であることが分かっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記に加えて、薬剤に対しては、さらに、腫瘍集積性を備えることが重要である。音響化学療法では、治療部位の空間的な選択性は第一義的には収束超音波の照射によって得られる。しかし、治療対象として期待される生体深部の腫瘍或いは、浸潤性・播種性等の正常組織と患部組織との境界が複雑な腫瘍の治療等を念頭に置くと、投与する薬剤自身が腫瘍集積性を有することは、より安全で、効果的な治療の実現には欠かすことができないからである。
【0011】
従って、理想的な音響化学療法用薬剤には
1)音響キャビテーション作用を誘導する
2)抗腫瘍効果を発現する
3)腫瘍集積性を有する
の三つの特性を併せ持つことが望まれる。
【0012】
腫瘍組織はその旺盛な増殖を維持するために、脂質タンパクを取り込み易く、また、リンパ組織が未形成であるため、一度取り込んだ脂質タンパクを排出し難いという性質を持っている。親油性の高い薬剤は、脂質タンパクへの親和性が高いため、脂質タンパクと共に移動し、腫瘍へ集積し易いと考えられる。一方、薬剤を生体内に取り込むためには、親水性も不可欠である。
【0013】
従って、腫瘍集積性の薬剤は、その親油性と親水性のバランスがとれ、双方の特性が高い、いわゆる両親媒性であることが望ましい。キサンテン系色素構造を有する増感剤は一般に親水性が極めて高い一方で、親油性が極めて低いため、腫瘍集積性を向上させる方法として親油性を高めることが考えられる。親油性を高めるには、アルキル基のような親油性の官能基を導入するのが一般的である。しかし、このようなタイプの化合物では、分子の中で親水的な部位と親油的な部位が離れてしまうため、体液中ではミセル状の形態を取ることが考えられ、元々備えていた上記1)、2)の特性が変化してしまう可能性が高い。
【0014】
本発明は、上記1)、2)の特性を損なうこと無く、3)の腫瘍集積性をも付与されたキサンテン系色素構造を有する増感剤を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明で目的とする化合物を得るためのアプローチの一つは、前述の本発明者等が先に提案した国際公開番号WO98/01131の再公表公報に記載されている。これは、抗腫瘍効果を併せ持つ音響キャビテーション作用誘導剤であるキサンテン系色素構造を有する増感剤を二量化することによって親油化する方法である。
【0016】
しかしながら、増感剤を二量化するには、単離に手間がかかるなどの合成上の問題点を有するため、本発明では、別のアプローチで目的とする化合物を得ることを検討した。以下に本発明を創出するに至った過程について詳述する。
【0017】
単に親油基を導入して薬剤の親油性を高める場合、特に親水性の官能基をつぶして親油基を導入した時などに親水性が低下し、生体内への投与が困難となる可能性がある。親油基の導入で、親水性を低下させないために、新たに親水基を導入する方法も考慮されるが、このような場合においても、導入した親油基と親水基とが分子内で離れてしまえば、前述のように体液中でミセル状となり、その特性の変化でキャビテーション作用を誘導する効果が低下することが考えられる。
【0018】
このような観点から、キサンテン系色素構造を有する増感剤として、次式(1)に示すような同一の炭素原子に、親油基(R1)と親水基(R2)を導入した誘導体を検討した。
【0019】
【化2】
Figure 0003565758
【0020】
ここでX及びYはハロゲン原子もしくは水素原子、Zは例えばNa、K等のアルカリ金属原子もしくは水素原子、R1はアルキル基のごとき親油基、R2はカルボキシル基のごとき親水基、R3は親油基R1でも親水基R2でも水素でも構わない。
【0021】
この際、親水基R2の効果を最大限に発揮するには、溶媒等の環境に応じて様々な三次元配置を取り得る直鎖のアルキル基などを親油基R1に用いる点が重要であることが明らかになった。
【0022】
直鎖のアルキル基の炭素数は3〜30が望ましく、最適な炭素数は、親水基R2の親水性の高さや、親油基R1が含む構造によって異なってくる。
【0023】
さらに、親油基R1となるこのような直鎖のアルキル基が、部分的に分岐のアルキル基、二重結合、三重結合、ベンゼン環等の芳香環、エーテル結合、エステル結合、酸アミド基、硫黄等を含んでも同様の効果が得られることが分かった。
【0024】
親油基R1の具体例を表1に示すが、本発明はこれに限定されない。
【0025】
【表1】
Figure 0003565758
【0026】
本発明に使用する化合物の増感剤部分は、式(1)が示す構造の、例えばローズベンガル(X=Cl,Y=I)、フロキシンB(X=Cl,Y=Br)、3,4,5,6−テトラクロロフルオレセイン(X=Cl,Y=H)、エリトロシンB(X=H,Y=I)及びそれぞれのナトリウム塩のようなキサンテン系色素構造を有する増感剤であることが望ましい。
【0027】
同様なキサンテン系色素構造を有する増感剤を主構造とする音響キャビテーション作用誘導剤においては、ハロゲン、あるいは細胞膜のタンパクに含まれるチオール基あるいはアミノ基と化学結合できる官能基を分子内に有することにより効果が高まることが分かっており、本発明においてもこのような構造を有することで高い効果を得ることができる。
【0028】
ハロゲンとしてはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)の少なくとも一つであることが望ましい。特に、式(1)中のXあるいはYのいずれかがハロゲンであることが望ましい。
【0029】
タンパクと結合できる官能基としては、アジリン基、アミド基、イソチオシアネイト基、イミド基、スルホニルクロライド基の少なくとも一つであることが望ましい。また、式(1)では親油基R1と親水基R2が結合している炭素Cは、キサンテン系色素構造を有する増感剤とエステル結合しているが、本発明はこれに限定はされない。ただし、このような構造の化合物の場合は、エステル結合による導入が最も簡便である。
【0030】
本発明に使用する化合物を得る方法として、キサンテン系色素構造を有する増感剤に、親油基R1として直鎖のアルキル基、親水基R2としてカルボキシル基(COOH)を導入した化合物(−α−カルボキシアルキルエステル)(以下−COOH−Cnと略す)の合成方法を示すが、本発明はこれに限定はされない。
【0031】
これらの化合物は文献Anog. Chem. Org. Chem., 39B, 482, 1984を参考に、表2に示す経路で合成でき、次式(4)で表せる目的とするキサンテン系色素構造を有する化合物が得られる。
【0032】
【表2】
Figure 0003565758
【0033】
表2中のX及びYは、それぞれ式(1)に示したものと同一であり、nはアルキル基の炭素数を示し、n=3〜20のものが好ましいものとして挙げられる。
【0034】
この反応は、式(2)で示したキサンテン系色素構造を有する増感剤のカルボン酸塩部分(COO)と式(3)で示した脂肪酸のハロゲン化物によるいわゆる求核置換反応である。この合成の詳細については後で実施例1に示す。
【0035】
なお、式(4)で示した親油基のアルキル基の炭素数のバリエーションは、反応に脂肪酸のハロゲン化物の炭素数の異なる物を用いれば得られる。この種のハロゲン化物は市販されている。
【0036】
また、文献Org. Synth.,I,115,1941に記載の三塩化リンを触媒として用いる脂肪酸のα位の臭素化で、望みの炭素数の脂肪酸から合成できる。
【0037】
本発明における親水基R2は、カルボキシル基もしくはその可溶塩、スルホン酸基もしくはその可溶塩、硫酸エステル基もしくはその可溶塩、ヒドロキシル基もしくはその可溶塩、アミン基もしくはその可溶塩、第4級アンモニウム基もしくはその可溶塩、及びリン酸基もしくはその可溶塩の少なくとも一つを含むことが望ましい。
【0038】
また、アルキル基、エーテル結合、酸アミド基、エステル結合、及びベンゼン環等親油性の構造が含まれる場合もある。例えば、親水性の低いエーテル結合は複数のエーテル結合、アルキル基及びヒドロキシル基の組み合わせであるポリエチレングリコールとして高い親水性を示すことが知られている。上記の官能基やその可溶塩の例および官能基の組み合わせ例を表3に示すが、本発明はこれには限定されない。
【0039】
【表3】
Figure 0003565758
【0040】
表3中のRは鎖状のアルキル基等の官能基を示し、第4級アンモニウム塩においてはピリジニウム塩のような環状N−化合物が好ましい。また、nはアルキル基の炭素数を示し、n=3〜20のものが好ましい。
【0041】
親水基R2がカルボキシル基である−COOH−Cnの合成経路を表2に示したが、その他の親水基の導入もそれぞれの親水基を含むハロゲン化物が得られれば、それを用いて同様の方法で合成できる。
【0042】
例えば、親水基がスルホン酸塩のハロゲン化物は、文献J. Am. Chem. Soc., 62, 1044, 1940に記載の方法で合成できる。この合成経路を表4に示す。
【0043】
【表4】
Figure 0003565758
【0044】
表4中のX及びYは、それぞれ式(1)に示したものと同一であり、nはアルキル基の炭素数を示し、n=10〜30のものが好ましいものとして挙げられる。
【0045】
先ず、非等価なジハロゲン化アルキル(5)を亜硫酸塩(6)でスルホン化する。得られたスルホン化物(7)を式(2)のキサンテン系色素と反応させることにより、目的とする式(8)で表せるスルホン化されたキサンテン系色素構造を有する化合物が得られる。この合成の詳細については後で実施例2に示す。
【0046】
なお、親水基R2がカルボン酸塩の化合物はアルカリを用いて、カルボン酸をカルボン酸塩に変換する方法で、−COOH−Cnから得られる(これについては実施例3で詳述する)。
【0047】
以上まとめると、本発明におけるキサンテン系色素構造を有する超音波治療用増感剤の特徴は、同一の炭素原子に親水基R2及び親油基R1が少なくとも一つずつ結合している構造を有していることにある。この親油基R1としては、炭素数3〜30の直鎖のアルキル基を含むことが望ましく、このアルキル基が部分的に分岐のアルキル基、二重結合、三重結合、ベンゼン環等の芳香環、エーテル結合、エステル結合、酸アミド基、硫黄等の少なくとも一つを含んでも良い。
【0048】
また、親水基R2は、カルボキシル基もしくはその可溶塩、スルホン酸基もしくはその可溶塩、硫酸エステル基もしくはその可溶塩、ヒドロキシル基もしくはその可溶塩、アミン基もしくはその可溶塩、第4級アンモニウム基もしくはその可溶塩、及びリン酸基もしくはその可溶塩の少なくとも一つを含むことが望ましい。
【0049】
本発明における超音波治療装置は、治療部位照準部、治療用超音波照射部、制御部、及び本発明における増感剤により生じた音響キャビテーションを検出し、超音波照射部位・強度などを適切に保つ音響キャビテーション監視部からなる。
【0050】
この音響キャビテーションを検出する手段は、音響キャビテーションにより生じる物理現象を測定できれば制限はない。分調波・高調波などの音響的な現象を測定する手段、あるいは発光を測定する手段などを用いることができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以上説明したように、本発明の腫瘍治療用増感剤を構成するキサンテン系色素構造を有する増感剤は、親油性と親水性との両特性を備えており、腫瘍集積性増感剤として優れた特性を有している。
【0052】
なお、本発明における増感剤は、同一の炭素原子に親水基及び親油基が少なくとも一つづつ結合している構造を有していることにより腫瘍集積性が高まっているが、同時に親水基と親油基とのバランスにより界面活性剤的作用も有している。この作用により、気泡の安定剤としての効果も高い。この効果により、気泡を生成する手段と組み合わせて用いる超音波造影剤としても優れた特性を有している。 特に、試験例5、6及び7に示すように本発明における増感剤は超音波照射により音響キャビテーションを引き起こす作用を有するが、この音響キャビテーションは気泡生成を伴うことから、超音波照射を気泡を生成する手段として用いることができる。
【0053】
以下、本発明の腫瘍集積性増感剤の合成例、その有効性を示す試験例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。
【0054】
〈実施例1〉
この実施例は、本発明のキサンテン系色素構造を有する増感剤−α−カルボキシアルキルエステル(−COOH−Cn)の一合成例を示すものである。
【0055】
(1)ローズベンガル−α−カルボキシヘプチルエステル(RB−COOH−C7):
攪拌子と冷却管を装備したなすフラスコにローズベンガルナトリウム塩(以下、RBと略す)1.0g(0.9mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)10mlを入れ、RBが溶解するまで攪拌した。
【0056】
この赤桃色溶液に2−ブロモオクタン酸1.3g(6.0mmol)を加え、外温70℃で6時間攪拌しながら加熱した。反応の進行は薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル76:ベンゼン19:酢酸6の重量比)で追跡し、原料がなくなったことを確認して終了した。
【0057】
反応終了物から約70℃、減圧下でDMFを除去し、室温にさましてからジエチルエーテルを加えて一晩攪拌した。その後減圧濾過により得られた固体をカラムクロマトグラフィ(固定相;シリカゲル、展開溶媒;ジエチルエーテル、アセトン)で精製し、赤紫色粉末として目的物(RB−COOH−C7)を0.64g(0.56mmol)得た。収率62%。
【0058】
RB−COOH−C7のH及び13C核磁気共鳴(以下、NMRと略す)スペクトルをジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略す)−d6を溶媒および標準物質として測定した。
【0059】
H NMR(δppm):8.43(br.s,−OH)7.44,7.43(s,1H×2,H−1,8) 4.64(dd,1H,J=4.4Hz,7.2Hz,−O−CH−) 1.35−1.25(m,2H,−CH−) 1.17(m,2H,J=7.4Hz,−CH−) 1.09−0.97(m,4H,−CH−) 0.94−0.88(m,2H,−CH−) 0.81(t,3H,J=7.3Hz,−CH
13C NMR(δppm):171.8,171.8(C−3,6) 169.4(−COOH) 162.5(−C=O−) 157.4,157.2(C−4a,4b) 136.2,135.9(C−1,8) 139.3,135.2,134.5,132.9,131.9,130.2,129.1(C−1’〜6’,C−9) 110.9,110.7(C−8a,8b) 97.3,97.1(C−4,5) 76.0,75.8(C−2,7) 74.0(−O−CH−) 30.8,30.2,28.1,24.1,22.1(−CH−) 14.0(−CH
(2)その他のキサンテン系色素増感剤のカルボン酸誘導体は、それぞれのナトリウム塩を出発物質として用い、上記と同様の操作で得た。以下にそのいくつかの例を示す。
【0060】
(a)フロキシンB−α−カルボキシヘプチルエステル(PB−COOH−C7):
フロキシンBナトリウム塩(以下、PBと略す)0.10g(0.12mmol)、2−ブロモオクタン酸0.15g(0.67mmol)、DMF2mlを用い上記(1)と同様の操作を行った。反応時間4時間。赤色粉末0.056g(0.059mmol)。収率49%。
【0061】
H NMR(δppm):8.30(br.s,−OH) 7.32,7.32(s,1H×2,H−1,8) 4.69(dd,1H,J=4.2Hz,7.4Hz,−O−CH−) 1.42−1.26(m,2H,−CH−) 1.17(m,2H,J=7.1Hz,−CH−) 1.11−0.99(m,4H,−CH−) 0.98−0.92(m,2H,−CH−) 0.81(t,3H,J=7.0Hz,−CH
13C NMR(δppm):169.3(−COOH) 168.7,168.6(C−3,6) 162.5(−C=O−) 153.1,153.0(C−4a,4b) 141.3,135.2,134.5,132.8,131.9,130.1,129.1(C−1’〜6’,C−9) 129.2,128.8(C−1,8) 119.3,119.2(C−8a,8b) 109.3,109.0(C−4,5) 99.5,99.3(C−2,7) 73.9(−O−CH−) 30.8,30.1,28.0,23.9,21.9(−CH−) 13.8(−CH
(b)エリトロシンB−α−カルボキシヘプチルエステル(EB−COOH−C7):
エリトロシンBナトリウム塩(以下、EBと略す)0.11g(0.13mmol)、2−ブロモオクタン酸0.19g(0.85mmol)、DMF2mlを用い上記(1)と同様の操作を行った。反応時間7時間。赤色粉末0.066g(0.066mmol)。収率51%。
【0062】
H NMR(δppm):8.43(br.s,−OH) 8.12−8.09(m,1H,Ph) 7.57−7.50(m,2H,Ph) 7.23(s,2H,H−1,8) 7.15−7.14(m,1H,Ph) 4.64(dd,1H,J=4.4Hz,7.2Hz,−O−CH−) 1.41−1.23(m,4H,−CH−) 1.01−0.77(m,6H,−CH−) 0.64(t,3H,J=7.0Hz,−CH
13C NMR(δppm):171.2,171.2(C−3,6) 169.4(−COOH) 162.5(−C=O−) 157.4,157.2(C−4a,4b) 137.4,137.1(C−1,8) 139.3,135.2,134.5,132.9,131.9,130.2,129.1(C−1’〜6’,C−9) 111.7,111.5(C−8a,8b) 95.2,95.9(C−4,5) 74.9,74.7(C−2,7) 74.0(−O−CH−) 30.9,30.3,28.3,24.6,22.1(−CH−) 13.9(−CH
(3)アルキル基の炭素数の異なる化合物は、炭素数の異なる脂肪酸の臭化物を用いて、上記と同様の操作で得た。以下にそのいくつかの例を示す。
【0063】
(c)ローズベンガル−α−カルボキシエチルエステル(RB−COOH−C2):
RB1.01g(0.99mmol)、2−ブロモプロパン酸0.45ml(5.0mmol)、DMF 10mlを用い上記(1)と同様の操作を行った。反応時間4時間。赤紫色粉末0.71g(0.67mmol)。収率68%。
【0064】
H NMR(δppm):8.24(br.s,−OH) 7.44(br.s,2H,H−1,8) 4.76(q,1H,J=6.8Hz,−O−CH−) 0.96(d,3H,J=7.0Hz,−CH
13C NMR(δppm):172.1,172.0(C−3,6) 170.2(−COOH) 162.4(−C=O−) 157.6,157.4(C−4a,4b) 136.5,136.2(C−1,8) 139.5,135.4,134.7,133.0,132.1,130.4,129.2(C−1’〜6’,C−9) 111.3,110.9(C−8a,8b) 97.2,97.1(C−4,5) 75.9,75.8(C−2,7) 70.5(−O−CH−) 16.1(−CH
(d)ローズベンガル−α−カルボキシブチルエステル(RB−COOH−C4):
RB1.01g(0.99mmol)、2−ブロモペンタン酸0.92g(5.1mmol)、DMF 10mlを用い上記(1)と同様の操作を行った。反応時間8時間。赤紫色粉末0.32g(0.30mmol)。収率30%。
【0065】
H NMR(δppm):8.43(br.s,−OH) 7.44,7.43(s,1H×2,H−1,8) 4.64(dd,1H,J=4.4Hz,7.2Hz,−O−CH−) 1.35−1.25(m,2H,−CH−) 0.94−0.88(m,2H,−CH−) 0.81(t,3H,J=7.3Hz,−CH
13C NMR(δppm):171.8,171.8(C−3,6) 169.4(−COOH) 162.5(−C=O−) 157.4,157.3(C−4a,4b) 136.3,135.9(C−1,8) 139.2,135.2,134.5,132.9,131.9,130.2,129.1(C−1’〜6’,C−9) 111.0,110.7(C−8a,8b) 97.2,97.0(C−4,5) 75.9,75.7(C−2,7) 73.8(−O−CH−) 32.2,17.6(−CH−) 13.4(−CH
(e)ローズベンガル−α−カルボキシペンタデシルエステル(RB−COOH−C15):
RB 1.00g(0.98mmol)、2−ブロモヘキサデカン酸1.57g(4.7mmol)、DMF10mlを用い上記(1)と同様の操作を行った。反応時間8時間。赤紫色粉末0.41g(0.33mmol)。収率34%。
【0066】
H NMR(δppm):8.43(br.s,−OH) 7.44,7.43(s,1H×2,H−1,8) 4.64(dd,1H,J=4.4Hz,7.2Hz,−O−CH−) 1.44−1.34(m,2H,−CH−) 1.22(br.s,18H,−CH−) 1.09−0.97(m,4H,−CH−) 0.94−0.88(m,2H,−CH−) 0.81(t,3H,J=7.3Hz,−CH
13C NMR(δppm):171.7,171.6(C−3,6) 169.4(−COOH) 162.5(−C=O−) 157.4,157.2(C−4a,4b) 136.2,135.8(C−1,8) 139.1,135.1,134.4,133.0,131.9,130.2,129.1(C−1’〜6’,C−9) 110.8,110.6(C−8a,8b) 97.1,97.0(C−4,5) 75.9,75.6(C−2,7) 74.1(−O−CH−) 31.2,30.1,28.9,28.8,28.8,28.6,28.5,28.3,24.1,22.0(−CH−) 13.9(−CH
〈実施例2〉
スルホン酸塩誘導体(−CHSONa−Cn)の合成
(a)ハロゲン化アルキルスルホン酸塩:
1,2−ジブロモヘキサン1.22g(5.0mmol)を、水:エタノールの1:1混合溶液20mlに亜硫酸ナトリウム0.6g(5mmol)を溶かした溶液に加え、激しく攪拌しながら24時間還流した。蒸留してエタノールを取り除き、室温に放置すると白色結晶が析出した。減圧濾過を行ない、エーテルで洗浄後、乾燥した。目的物である2−ブロモヘキシルスルホン酸ナトリウムを0.67g(2.5mmol)得た。収率50%。
【0067】
(b)ローズベンガル−α−メチルスルホン酸ナトリウムペンチルエステル(RB−CHSONa−C5):
RB0.13g(0.13mmol)、2−ブロモヘキシルスルホン酸ナトリウム0.035g(0.13mmol)、DMF2mlを用い実施例1の(1)と同様の操作を行った。反応時間7時間。赤色粉末0.084g(0.071mmol)。収率55%。
【0068】
H NMR(δppm):7.38,7.37(s,1H×2,H−1,8)5.09(m,1H,−O−CH−) 3.60(m,2H,−CH−SONa) 1.25−1.14(m,2H,−CH−) 1.09−0.97(m,2H,−CH−) 0.94−0.88(m,2H,−CH−) 0.81(t,3H,J=7.3Hz,−CH
13C NMR(δppm):171.7,171.7(C−3,6) 162.6(−C=O−) 157.4,157.2(C−4a,4b) 136.1,135.9(C−1,8) 139.3,135.2,134.5,132.9,131.9,130.2,129.1(C−1’〜6’,C−9) 112.4(−O−CH−) 111.2,111.0(C−8a,8b) 97.1,96.9(C−4,5) 76.0,75.8(C−2,7) 54.4(−CH−SONa) 34.2,32.2,31.9,22.7(−CH−)13.9(−CH
(c)その他のキサンテン系色素増感剤のスルホン酸塩誘導体は、それぞれのナトリウム塩を出発物質として用い、上記と同様の操作で得た。
【0069】
(d)アルキル基の炭素数の異なる化合物は、炭素数の異なるハロゲン化アルキルスルホン酸塩を用いて、上記と同様の操作で得た。
【0070】
〈実施例3〉
カルボン酸塩誘導体(−COONa−Cn)の合成
(a)ローズベンガル−α−カルボン酸ナトリウムヘプチルエステル(RB−COONa−C7):
RB−COOH−C7 100mg(0.088mmol)をDMF 2mlに溶かした溶液に水酸化ナトリウム(NaCl)18mg(0.45mmol)をメタノール3mlに溶かした溶液を加え、室温で、3日間激しく攪拌した。
【0071】
DMFを3ml加えてメタノールを減圧蒸留で取り除き、析出した白色固体を減圧下で取り除いた。濾液から約70℃、減圧下でDMFを除去し、室温にさましてからジエチルエーテルを加えて一晩攪拌した。
【0072】
その後、再び減圧下で濾過し、得られた固体をジエチルエーテルで2回洗浄し、赤紫色粉末として目的物(RB−COONa−C7)を72mg(0.062mmol)得た。収率70%。
【0073】
H NMR(δppm): 7.44,7.43(s,1H×2,H−1,8) 4.64(dd,1H,J=4.4Hz,7.2Hz,−O−CH−) 1.35−1.25(m,2H,−CH−) 1.17(m,2H,J=7.4Hz,−CH−) 1.09−0.97(m,4H,−CH−) 0.94−0.88(m,2H,−CH−) 0.81(t,3H,J=7.3Hz,−CH
13C NMR(δppm):175.0(−COONa) 171.6,171.6(C−3,6) 164.5(−C=O−) 157.3,157.0(C−4a,4b) 136.9,136.8(C−1,8) 145.3,143.3,132.7,130.4,128.5,127.5,127.0(C−1’〜6’,C−9) 112.0,112.8(C−8a,8b) 98.3,98.1(C−4,5) 77.6,77.4(C−2,7) 74.0(−O−CH−) 30.8,30.2,28.1,24.1,22.1(−CH−) 14.0(−CH
(b)その他のキサンテン系色素増感剤のカルボン酸塩誘導体は、それぞれの−COOH−Cnを用いて、上記と同様の操作で得た。
【0074】
(c)アルキル基の炭素数の異なる化合物は、炭素数の異なる−COOH−Cnを用いて、上記と同様の操作で得た。
【0075】
〈実施例4〉
この実施例は、上記各実施例に示したキサンテン系色素構造を有する増感剤を超音波治療用増感剤として用いる超音波治療装置の一例について示すものである。
【0076】
図1は、本発明の超音波治療装置を模式的に示した概略図であり、これにしたがって説明する。装置の構成は、モニター1、制御部2、信号発生・増幅部3、照準部4、音響キャビテーション検出部5、治療用超音波トランスデューサ6、脱気水7を含むマッチング相8から構成される。そして照準部4により治療対象9に治療用超音波トランスデューサ6の焦点を設定できるよう構成されている。
【0077】
また、超音波照射時には、音響キャビテーション検出部5により、目的の位置において音響キャビテーションが生じているかどうかを検出し、治療用超音波の強度あるいは焦点を変更可能なように構成されている。
【0078】
照準部4は3〜10MHzの超音波イメージング用プローブからなっている。音響キャビテーション検出部5は水中マイクロフォンからなっている。治療用超音波トランスデューサ6は共振周波数0.5〜4.5MHzの圧電素子を用いて超音波を生成するよう構成されている。
【0079】
以下に、本発明における超音波治療用薬剤の特性に関する試験例を示す。
〔試験例1〕
RB及びRB親油性誘導体の溶解度測定:
本発明の超音波治療用増感剤であるRB−COOH−Cnの水溶液及び有機溶媒への溶解度を調べた。水溶液としては、pH7.4のリン酸バッファ溶液(以下、PBSと略す)、有機溶媒としては、1−オクタノールを使用した。
【0080】
まず、RB−COOH−CnのPBS及び1−オクタノール溶液の25℃における飽和溶液を調製し、溶液の可視紫外吸収スペクトルを測定した。決まった濃度の溶液の可視紫外吸収スペクトルを測定して求めておいたモル吸光係数から、飽和溶液における薬剤の濃度を見積もった。
【0081】
比較のために、出発物質であるRB及び、本発明とは異なる方法でRBの親油化を試みた二種類のRB誘導体であるローズベンガルアルキルエステル(以下、RB−Cnと略す)、ローズベンガル脂肪酸エステル(以下、RB−Cn−COOHと略す)の溶解度も求めた。
【0082】
それぞれの化合物の構造式は表5中に示す。
【0083】
【表5】
Figure 0003565758
【0084】
式(10)で示したRB−Cnは、最も一般的な親油性の置換基である直鎖のアルキル基〔(CHn−1CH〕を式(9)で示したRBに導入した誘導体である。
【0085】
式(11)で示したRB−Cn−COOHは、両親媒性の置換基である脂肪酸を導入した誘導体である。導入した親水性部分(COOH)は親油性部分〔(CH〕の末端に結合した状態となっている。
【0086】
これに対し、本発明における腫瘍治療用増感剤である式(12)で示したRB−COOH−Cnは、親水基(COOH)と親油基〔(CHn−2CH〕をRBの側鎖の同一の炭素Cに導入した誘導体である。
【0087】
溶解度の測定は、各誘導体、アルキル基の炭素数の等しい物を使用した(n=7)。結果は表6に示す。
【0088】
【表6】
Figure 0003565758
【0089】
1−オクタノールへの溶解度は、三種類の誘導体RB−C7〔式(10)に該当〕、RB−COOH−C7〔式(12)に該当〕、RB−C7−COOH〔式(11)に該当〕においてそれぞれ、RBの550倍、120倍、23倍といずれも高い値を示した。PBSへの溶解度は三種類の誘導体全て、RBが持つ二つの親水基の一つであるカルボン酸塩部分に置換基を導入したため、RBよりも二桁以上低くなった。
【0090】
RB〔式(9)〕には、カルボン酸塩と水酸塩(O)の2つの親水基が存在する。従って、表6に示した通り、水溶液〔PBS(pH7.4)〕への溶解度は220mmol/lと高いが、有機溶媒(1−オクタノール)への溶解度は<0.1mmol/lと極端に低かった。
【0091】
逆に、親油基のみを導入したRB−C7〔式(10)〕は、有機溶媒への溶解度は最も高くRBの550倍であった。しかし、水溶液への溶解度は最も低く、通常の方法では生体内に投与するための水溶液を安定に調製出来ない程であった(試験例2を参照乞う)。
【0092】
両親媒性の置換基を導入したRB−C7−COOH〔式(11)〕においては、水溶液への溶解度はRB−C7〔式(10)〕の160倍であったが、有機溶媒への溶解度はRBの23倍であった。親油性部分であるアルキル基の末端に親水基がついているために、親油性が期待するほど高まらなかったものと考えられる。
【0093】
一方、本発明における超音波治療用薬剤であるRB−COOH−C7〔式(12)〕では、水溶液への溶解度はRB−C7の83倍であり、RB−C7−COOHには若干劣るものの、生体へ投与する水溶液の調製はRB−C7−COOH〔式(11)〕と同様に行える程度の高さであった(試験例2を参照乞う)。
【0094】
また、有機溶媒への溶解度はRBの120倍と高く、親油性も併せ持つことが分かった。親水基(−COOH)と親油基〔(CHn−2CH〕が同一の炭素Cに結合し、分岐型となっているために、それぞれの特性が活かせ、親水性と親油性を併せて発現することに成功したものと考えられる。
【0095】
〔試験例2〕
RB及びRB親油性誘導体の腫瘍集積性測定用溶液の調製:
RB〔式(9)〕、RB−Cn−COOH〔式(11)〕、RB−COOH−Cn〔式(12)〕は10mg/ml、RB−Cn〔式(10)〕は1mg/mlの溶液を調製した。
【0096】
RB:RB50mgをPBS(pH7.4)に溶解し、全量を5mlとした。
RB−Cn:RB−Cn4mgをDMSO 0.4mlに溶かし、エタノール0.4ml、0.1規定のNaCl水溶液0.3ml、PBS(pH7.4)1.0mlを加え、更にpHが約7.4になるまで0.1規定の塩酸を加え、更にPBS(pH7.4)を加えて全量を4mlとした。DMSOは溶液全体の10%である。
【0097】
RB−C7−COOH:RB−C7−COOH30mgを0.1規定のNaCl水溶液1.2mlに溶解し、pHが約7.4になるまで0.1規定の塩酸を加え、更にPBS(pH7.4)を加えて全量を3mlとした。
【0098】
RB−COOH−Cn:n=2〜10:RB−COOH−Cn30mgを0.1規定のNaCl水溶液1.2mlに溶解し、pHが約7.4になるまで0.1規定の塩酸を加え、更にPBS(pH7.4)を加えて全量を3mlとした。
【0099】
n=11〜20:RB−COOH−Cn30mgをDMF0.6mlに溶解し、0.1規定のNaCl水溶液1.2mlを加え、pHが約7.4になるまで0.1規定の塩酸を加え、更にPBS(pH7.4)を加えて全量を3mlとした。DMFは溶液全体の20%である。
【0100】
RBはpH7.4のPBSにそのまま溶解するが、親油性が最も高い、RB−Cnは、DMSOとエタノールを用いないと溶解せず、しかもRBより一桁低い濃度の溶液しか調製できなかった。
【0101】
RB−C7−COOHとn=2〜10のRB−COOH−Cnは親水基がカルボキシル基であるため、アルカリ性の水溶液にしか溶解しないが、一度溶解すれば酸でpHを戻し、pH約7.4の溶液が調製できた。
【0102】
n=11〜20のRB−COOH−Cnでは、DMFを用いないと溶液が調製できなかったが、RBと同じ濃度の溶液が調製できた。なお、DMSOおよびDMFは、水溶液中20%の濃度までは毒性の心配がないことを確認している。
【0103】
試験例1及び試験例2より、本発明のRB−COOH−C7〔式(12)〕は水溶液への溶解度はRB−C7−COOH〔式(11)〕に若干劣るが、生体へ投与する薬剤の水溶液はRB−C7−COOHと同等に調製できることが分かった。しかも、RB−COOH−C7の有機溶媒への溶解度はRB−C7−COOHの約5倍であり、親水基と親油基が分岐であるため、それぞれの性質が発現し易い環境になっていると考えられる。
【0104】
次に、親油性の向上が実際に腫瘍集積性に結びついているかどうかを確かめるために、親油性の明らかな向上が見られたRB−Cn〔式(10)〕、RB−COOH−Cn〔式(12)〕、を担癌マウスに投与し、その組織中の薬剤の励起に基づく蛍光を測定する事により腫瘍への集積性を評価した。比較のため、RB〔式(9)〕の腫瘍集積性も評価した。
【0105】
〔試験例3〕
RB−Cnの腫瘍集積性の評価:
腫瘍を有するマウスにRB及びRB−Cnを静脈投与し、一定時間経過した後で腫瘍を採取した。その腫瘍から抽出した薬物の蛍光スペクトルを測定し、その強度から薬物濃度を見積もって腫瘍集積性を評価した。実験に供したマウスは、5周令のCDFの雄の皮下にマウス実験腫瘍Colone26の微小ブロックを移植して1〜2週間経過したものである。薬物の投与量は10mgkg−1とし、抽出にはメタノールもしくはクロロホルムを使用した。
【0106】
RB及びアルキル基の炭素数が3,6,18のRB−Cn(RB−C3,RB−C6,RB−C18)の、薬物をマウスへ投与してから腫瘍を摘出するまでの時間と薬物の腫瘍中の濃度との関係を図2に示す。RBは薬物投与後120分まで腫瘍中にその存在はほとんど認められなかったが、RB−C3,RB−C6,RB−C18はいずれもRBより腫瘍中の濃度が高く、アルキル基の炭素数の増加に伴ってその傾向は顕著となった。
【0107】
〔試験例4〕
RB−COOH−Cnの腫瘍集積性評価:
腫瘍を有するマウスにRB及びRB−COOH−Cnを静脈投与し、一定時間経過した後で腫瘍を採取した。その腫瘍の切片の蛍光強度を測定し、内部標準物質の蛍光強度との比から腫瘍集積性を評価した。実験に供したマウスおよび、薬物の投与量は、試験例3と同じである。結果の一例としてRB及びアルキル基の炭素数が2,3,7,15のRB−COOH−Cn(RB−COOH−C2,RB−COOH−C3,RB−COOH−C7,RB−COOH−C15)の、薬物をマウスへ投与してから腫瘍を摘出するまでの時間と薬物の蛍光強度比との関係を図3に示す。
【0108】
RBおよびRB−COOH−C2は、薬物投与後120分まで腫瘍中にその存在はほとんど認められなかったが、RB−COOH−C3,RB−COOH−C7,RB−COOH−C15はいずれもRBより腫瘍中の濃度が高く、アルキル基の炭素数の増加に伴って、その傾向は顕著となった。
【0109】
上記試験例3及び試験例4より、アルキル基の炭素数の増加に伴い腫瘍集積性が向上することが確認できた。一般に、直鎖のアルキル基ではその炭素数が多くなるに従って、その親油性は高くなると考えられることから、この結果は親油性の向上に伴い腫瘍集積性も向上することを示していると考えられる。
【0110】
以上、本発明における超音波治療用薬剤において、親油性の向上により、腫瘍集積性が付与されたことが確認できた。また、ある程度の腫瘍集積性を示すにはアルキル鎖の炭素数が3以上であることが望ましいことも分かった。続いて、このような修飾による超音波増感剤としての特性への影響について説明する。
【0111】
〔試験例5〕
RB−Cnの音響キャビテーション作用を誘導する効果の評価:
RB−Cnの0.1mmol/l PBS(pH7.4、DMF1%含)溶液をポリエチレン製のバッグ(30×25mm、厚さ0.03mm)に密封し、図4に示す構成の実験装置を用いて、音響強度5,10W/cm,照射時間1分間の条件で0.5MHz及び1MHzの超音波を同時に照射した。
【0112】
図4の10は脱気水、11は水槽、12はポリエチレンバッグ、13は試料溶液、14はピンチコック、15は固定具、16は水中マイクロフォン、17は支持棒、18は超音波トランスデューサ、19は支持棒、20は信号処理装置、21はアンプ、22はスペクトルアナライザ、23はアンプ、24は波形発生装置をそれぞれ示している。
【0113】
収束型のハイドロフォンを用いて音響キャビテーション特有の分調波(250kHz)の音響信号を1秒毎に計測し、照射時間中の信号振幅の二乗平均を求め、音響キャビテーションの指標とした。超音波照射時に試料から得られる典型的な音響信号を図5に示す。
【0114】
比較のため、RB0.1mmol/l PBS(pH7.4)溶液の分調波信号も測定した。溶液にDMFを1%含んでも分調波強度が影響を受けないことは予備検討で確認済みである。RBとアルキル基の炭素数が3,6,18のRB−Cn(RB−C3,RB−C6,RB−C18)の音響強度と分調波強度の関係を図6に示す。
【0115】
RB,RB−C3,RB−C6では5W/cmの超音波強度で分調波の生成が認められ、音響強度の増加に伴い、分調波強度も増加した。しかし、RB−C18では10W/cmの超音波強度でも分調波の生成が認められなかった。
【0116】
〔試験例6〕
RB−COOH−Cnの音響キャビテーション作用を誘導する効果の評価:
RB−COOH−Cnの0.1mmol/l PBS(pH7.4)溶液を用い試験例5と同様の方法で音響キャビテーションを誘導する効果を評価した。
【0117】
結果の一例としてRBとアルキル基の炭素数が7,15,20のRB−COOH−Cn(RB−COOH−C7,RB−COOH−C15,RB−COOH−C20)の音響強度と分調波強度の関係を図7に示す。
【0118】
RB−COOH−C7,RB−COOH−C15,RB−COOH−C20全てで5W/cmの超音波強度で分調波の生成が認められ、音響強度の増加に伴い、分調波強度も増加した。
【0119】
〔試験例7〕
キサンテン系色素増感剤−COOH−Cnの音響キャビテーション作用を誘導する効果の評価:
キサンテン系色素増感剤−COOH−Cnの0.1mmol/l PBS(pH7.4)溶液を用い試験例5と同様の方法で音響キャビテーションを誘導する効果を評価した。
【0120】
結果の一例としてPB−COOH−C7,EB−COOH−C7及び、それぞれの出発物質であるPB,EBの音響強度と分調波強度の関係を図8に示す。いずれの化合物においても5W/cmの超音波強度で分調波の生成が認められ、音響強度の増加に伴い、分調波強度も増加した。
【0121】
試験例5〜試験例7により、親水基と親油基が分子の中で離れているタイプのRB−Cnでは、アルキル基の炭素数が多く、親油性にバランスが傾きすぎた化合物では音響キャビテーション作用を誘導する特性が損なわれるが、本発明のRB−COOH−Cnでは親水性も併せ持つため、アルキル鎖の炭素数が20(n=20)の化合物でもこの特性は保持されることが分かった。また、RB以外のキサンテン系色素増感剤を原料として用いた場合にも、本発明の化合物は出発物質が備えている音響キャビテーション作用を誘導する効果を保持することが確認できた。
【0122】
続いて、RBが有するもう一つの特性である、抗腫瘍効果を発現する能力(特性2)をRB−CnおよびRB−COOH−Cnが保持しているかどうかをその光増感能から検討した。抗腫瘍の機構は光化学療法で考えられている機構と一致し、また、これまでに見つかった音響化学活性剤はいずれも光増感能を有する。キサンテン系色素増感剤も代表的な光増感剤であり、特に、一重項酸素が関与する反応によく用いられている。従って、光増感能の保持から抗腫瘍効果の発現を推察することができる。
【0123】
〔試験例8〕
RB−Cnの光増感能の評価:
RB−Cnの存在下で次式(13)に示すヨウ素の光酸化反応を行い、化合物の光増感能を評価した。
【0124】
【化3】
2I → I, I + I → I …(13)
ヨウ化カリウムの0.1mol/l DMF溶液2mlと RB−Cnの1mmol/l DMF溶液1mlの混合溶液をガラス製シャーレ(直径48mm)に入れて365nmの光を一定時間照射し、照射前後の試料の350nmにおける吸光度を測定した。350nmはI の吸収極大波長である。吸光度から次式(14)を用いてI の濃度を算出した。
【0125】
【化4】
ε = 1/77 mmol・absorbance…(14)
RBとアルキル基の炭素数が3,6,10,14,18のRB−Cn(RB−C3,RB−C6,RB−C10,RB−C14,RB−C18)の存在下で行った、ヨウ素の光酸化反応の光照射時間と収量の関係を図9に示す。いずれの場合も、収量は照射時間にほぼ比例した。
【0126】
薬物を添加しない場合(control)と比較すると、RB、あるいはRB−Cnを添加した場合の収量は、光照射時間30分で約2〜3倍であった。RBとRB−Cnを比較するとRB−Cnの収量は、光照射時間30分でRBの約1.2〜1.4倍と若干多かった。RB−C3〜RB−C18の比較により、炭素数3〜18においては、アルキル基の炭素数と収量には規則性は見られなかった。
【0127】
〔試験例9〕
RB−COOH−Cnの光増感能の評価:
RB−COOH−Cnの存在下で試験例8と同様の操作を行った。
結果の一例としてRBとアルキル基の炭素数が2,7,15のRB−COOH−Cn(RB−COOH−C2,RB−COOH−C7,RB−COOH−C15)の存在下で行った、ヨウ素の光酸化反応の光照射時間と収量の関係を図10に示す。いずれの場合も、収量は照射時間にほぼ比例した。
【0128】
薬物を添加しない場合(control)と比較すると、RB、あるいはRB−COOH−Cnを添加した場合の収量は、光照射時間30分で約2〜3倍であった。
【0129】
RBとRB−COOH−Cnを比較するとRB−COOH−Cnの収量は、光照射時間30分でRBよりも若干多かった。RB−COOH−C2〜C15の比較により、炭素数2〜15においては、アルキル基の炭素数と収量には規則性は見られなかった。
【0130】
上記試験例8及び試験例9よりRB−Cn、RB−COOH−Cnの存在下では、いずれも光酸化反応による生成物の収量はcontrolよりも高くなり、RBの場合と同等であった。アルキル基の炭素数と生成物の収量には規則性は見られなかった。
【0131】
以上の結果から、アルキル基の導入や、今発明のタイプの親水、親油両基の導入では、光増感能には影響がなく、従って、抗腫瘍効果を発現する特性にも影響はないことが推察できた。
【0132】
以上の試験例で示されたように、本発明における親水基と親油基が同一の炭素Cから分岐している構造の化合物は、増感剤本来の特性を損なうこと無く、腫瘍集積性が付与した化合物である。
【0133】
〈実施例5〉
この実施例は、上記各実施例に示したキサンテン系色素構造を有する増感剤を超音波造影剤および超音波治療用増感剤として用いる超音波治療装置の一例について示すものである。
【0134】
図11は、本発明の超音波治療装置を模式的に示した概略図であり、これにしたがって説明する。装置の構成は、モニター1、制御部2、信号発生・増幅部3、気泡発生用超音波トランスデューサ25、超音波撮像用プローブ26、治療用超音波トランスデューサ6、脱気水7を含むマッチング相8から構成される。制御部2は超音波撮像用プローブ26により得られた超音波断層像により治療用超音波トランスデューサ6に焦点を設定できるよう構成されている。
【0135】
気泡発生用超音波トランスデューサ25は0.1〜4MHzの圧電素子を用いて構成されており、1ms以上のパルス波および連続波を生成できるよう構成されている。超音波撮像用プローブ26は特に制限はないが、特に3〜10MHzの周波数の中から治療部位に適した周波数のものを選択して用いることが多い。治療用超音波トランスデューサ6は、共振周波数0.5〜4.5MHzの圧電素子を用いて超音波を生成するよう構成されている。
【0136】
治療用超音波照射時には、まず、超音波撮像用プローブ26により得られた超音波断層像により治療用超音波トランスデューサ6の焦点を決定し、気泡発生用超音波トランスデューサ25により超音波を照射して本発明におけるキサンテン系色素構造を有する増感剤により安定化された気泡を生成する。そして、超音波撮像用プローブ26により該気泡により造影された超音波断層像を得、治療位置の確認を行った後治療用超音波トランスデューサ6により治療用超音波を照射するよう構成されている。
【0137】
なお、キサンテン系色素構造を有する増感剤を予め体外でシェーキング等により空気等のガスと混合することにより安定化バブルを形成することにより、気泡発生用超音波トランスデューサ25による気泡生成と同等の効果を得ることができる。
【0138】
〔試験例10〕
RB−COOH−Cnの気泡安定性の評価:
RB−COOH−C7の0.1mmol/l PBS(pH7.4)溶液を用い、泡沫の安定性を測定した。直径約10mm、長さ約12mmの試験管にRB−COOH−C7溶液4mlを入れ、振とう器にて5分間振とうした後、泡沫が消えるまでの時間を測定した。対照としてPBSを用いた。PBSがほとんど泡沫を安定化できないのに対し、RB−COOH−C7では振とう後約120秒泡沫が残っており、気泡を安定化する効果をもつことが示された。
【0139】
〔試験例11〕
RB−COOH−Cnによる造影効果の評価:
5MHzの中心周波数をもつリニア式プローブを取り付けた超音波画像診断装置を用いて犬(体重12kg、2歳)の肝臓部をBモードでスキャンしながら、試験例10で得られたRB−COOH−C7溶液を5ml静脈内投与した後、直ちに生理食塩水5ml を投与した。投与後、肝動脈、大動脈が造影され、約30秒間造影が持続した。
【0140】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、1)音響キャビテーション作用の誘導、及び2)抗腫瘍効果の発現の特性を損なうこと無く、3)腫瘍集積性を併せ持つキサンテン系色素構造を有する超音波治療用増感剤を得ると言う、所期の目的を達成することができた。この増感剤は腫瘍への選択性が高く、超音波を用いた悪性腫瘍の治療を効果的に行なうことができる。
【0141】
また、本発明により超音波断層像を得る際の造影を行うことができ、より効果的な治療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となる超音波治療装置の概略説明図。
【図2】RB及びローズベンガルアルキルエステル(RB−Cn)の薬物投与後時間に対する腫瘍組織中の試薬濃度を示す特性図。
【図3】RB及びローズベンガル−α−カルボキシアルキルエステル(RB−COOH−Cn)の薬物投与後時間に対する腫瘍組織中の薬物の内部標準に対する蛍光強度比を示す特性図。
【図4】音響キャビテーション作用を誘導する効果を評価する超音波照射装置を示す概略断面図。
【図5】超音波照射時に試料から得られる典型的な音響信号を示す特性図。
【図6】RB及びRB−Cnの音響強度に対する分調波強度を示す特性図。
【図7】RB及びRB−COOH−Cnの音響強度に対する分調波強度を示す特性図。
【図8】キサンテン系色素増感剤及びその−COOH−Cnの音響強度に対する分調波強度を示す特性図。
【図9】RB及びRB−Cn存在下のヨウ素の光酸化反応の光照射時間に対する生成物の収量を示す特性図。
【図10】RB及びRB−COOH−Cn存在下のヨウ素の光酸化反応の光照射時間に対する生成物の収量を示す特性図。
【図11】本発明の一実施例となる超音波治療装置の概略説明図。
【符号の説明】
1…モニター、
2…制御部、
3…信号発生・増幅部、
4…照準部、
5…音響キャビテーション検出部、
6…治療用超音波トランスデューサ、
7…脱気水、
8…マッチング相、
9…治療対象、
10…脱気水、
11…水槽、
12…ポリエチレンバッグ、
13…試料溶液、
14…ピンチコック、
15…固定具、
16…水中マイクロフォン、
17…支持棒、
18…超音波トランスデューサ、
19…支持棒、
20…信号処理装置、
21…アンプ、
22…スペクトルアナライザ、
23…アンプ、
24…波形発生装置、
25…気泡発生用超音波トランスデューサ、
26…超音波撮像用プローブ。

Claims (4)

  1. 超音波照射により生じる腫瘍治療効果を増強するキサンテン系色素構造を有する腫瘍治療用増感剤において、前記増感剤は分子内の同一の炭素原子に、親水基及び親油基が少なくとも一つずつ結合している構造を有し、下記の一般式(1)で示されるキサンテン系色素構造を有する化合物であることを特徴とする腫瘍治療用増感剤。
    Figure 0003565758
    ただし、X及びYはハロゲン原子もしくは水素原子、Zはアルカリ金属原子もしくは水素原子、R 1 はアルキル基、R 2 はカルボキシル基、R 3 は水素原子。
  2. 前記一般式(1)のX及びYはハロゲン原子であり、Zはアルカリ金属原子であることを特徴とする請求項記載の腫瘍治療用増感剤。
  3. 前記一般式(1)のアルキル基R1は、炭素数3〜20の直鎖のアルキル基を含むことを特徴とする請求項記載の腫瘍治療用増感剤。
  4. 増感剤により生じた音響キャビテーションを検出する機構を備えた超音波治療装置において、前記増感剤を請求項1乃至の何れか一つに記載の腫瘍治療用増感剤で構成したことを特徴とする超音波治療装置。
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