JP3565173B2 - 移動通信試験装置および方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムにおける基地局無線装置の呼処理機能、特に無線区間を含めたパケットデータ呼処理機能が正常に動作しているかを簡易的に試験できる移動通信試験装置および移動通信試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動通信システムにおける基地局装置およびネットワークの正常性を試験する方法として、移動通信システムの基地局装置を含むネットワークに接続されたオペレ―ションセンタからネットワークおよび基地局を介して無線回線で送信される試験情報を試験装置(移動端末)で受信することで、基地局装置およびネットワークの試験を行う方法が知られている。
【0003】
このような試験方法や装置は、例えば特開平10−224290号公報、特開平10−285635号公報、特開2000−332674号公報等に開示されている。
【0004】
上記特開平10−224290号公報に開示の試験装置では、図7の概略構成ブロック図に示すように、オペレーションセンタ19で設定された試験情報を、ネットワーク、基地局無線装置4を介して無線回線16により携帯電話などの端末移動装置である試験装置15に送信する。そして、試験装置15は、試験情報を携帯電話部11で受信し、試験情報で指定される試験対象セルゾーンに対応するとまり木チャネルで待ち受け状態に移行する。この後、制御部12の制御により、試験情報で指定される発着信試験に対する基地局無線装置4へのアクセスを携帯電話部11を介して行い、発着信試験を実施する。そして、オペレーションセンタ19からの音声またはデータを音声録音再生部14および非電話通信部13で録音再生し、あらかじめ録音されている試験用音声またはデータを再生し、オペレーションセンタ19に送信する。
【0005】
上述公知例は、報知情報のオペレータ固有領域にて試験情報の授受を行い、試験装置15はその試験情報を判断して動作するための制御部12が必要となる。また、回線交換での試験についてもRCR−STD27「デジタル方式自動車電話システム」(財団法人電波産業会)により規定される報知情報内のオペレータ固有領域にて試験情報の授受を行い、試験装置15はその試験情報を判断し動作するための制御部を持つ必要がある。
【0006】
その他、試験実行については、図7の操作卓8から試験すべき回線交換用基地局無線装置4の止まり木チャネルコード等の試験情報を入力する必要があるため、初期導入設備に費用がかかったり、オペレータ固有領域にて予め設定しておく事項が多く検討時間を費やしたりで導入までに時間を要するだけでなく、試験実行についても操作卓からの試験情報入力の手間がかかり、大きなシステム構築が必要となる難点がある。
【0007】
この点に対処して、特開2000−332674号公報は、より簡単な構成で容易に音声通信の正常性を試験すべく、試験したい基地局無線装置と接続する携帯電話の電話番号を固定電話機からダイヤルし、基地局無線装置からページング信号を電波にて送信し、これに対応して携帯電話機をオフフックして固定電話と携帯電話の回線を接続し、携帯電話で記憶した音声メッセージを再生し、固定電話機でこの音声メッセージを確認することで下り方向の通信の正常性を確認し、また、固定電話機から音声を送信し携帯電話で録音させ、PB信号を固定電話機から送信して録音した音声を再生させ、固定電話機でこの音声を確認し、上り方向の通信の正常性を確認するようにした移動通信試験方法およびその装置を提案している。
【0008】
ところで、最近の移動通信システムにおいては、パケット通信にも対応するようになってきている。しかるに、図7に示す従来の試験方法等は、パケット交換機能に関する試験については考慮されておらず実行できなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、移動通信システムにおける基地局無線装置の呼処理機能、特に無線区間を含めたパケットデータ呼処理機能が正常に動作しているかを、確認することができる移動通信試験方法および装置を提供すること、更には、音声呼処理機能の試験を併用することでパケット呼処理が異常である場合にどこに障害があるかを推測することが可能な移動通信試験装置および移動通信試験方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
課題解決のため、請求項1に記載の本発明装置では、移動通信試験装置を、前記無線基地局が備える、回線交換用基地局無線装置ならびにパケット交換用基地局無線装置それぞれに接続された2分配結合器とこの2分配結合器に繋がるアンテナとの間に設けられ、一方の分岐端子が前記アンテナに接続された方向性結合器と、前記方向性結合器の他方の分岐端子に一端が接続された高周波ケーブルと、この高周波ケーブルの他端に接続され、パケットデータメモリ部およびパケット試験状態遷移記憶部を有し、回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置と、前記オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続され、インターネットを介して前記試験端末装置に宛てて前記オペレ―ションセンターを経由するメールを送信する機能を有する保守端末装置とを含み構成する。
【0012】
請求項2に記載の本発明では、請求項1に記載の移動通信試験装置において、前記方向性結合器は、前記2分配結合器から送出される無線信号を前記アンテナへ通過させ、前記アンテナにて受信する無線信号を前記2分配結合器へ通過させるが前記試験端末装置には通過させず、かつ、前記試験端末装置からの試験情報無線信号を前記2分配結合器へ通過させるが前記アンテナには通過させない通過特性を有し、また、前記試験端末装置は、自動オフフックし、予め記憶しているメッセージを再生送信し、受信した音声を録音し、録音された信号をPB信号により再生送信し、PB信号によりオンフックする機能と、更に、受信したメールに対して返信メールを送信する機能を有するように構成する。
【0013】
更には、前記保守端末装置を前記オペレーションセンタに設けるとともに、同オペレーションセンタに試験情報として音声データを入力および出力が可能に接続された電話機を更に設けた構成としても良い(請求項4)。また、前記基地局の備える複数組の回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置のそれぞれの組毎に、前記方向性結合器を備えるようにしても良い(請求項5)。
【0014】
また、請求項6に記載の移動通信試験方法では、オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続された保守端末装置から、当該保守端末装置のメールアドレスを含むメールを無線基地局と通信可能な回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置に宛てて送信する過程と、前記試験端末装置が、無線基地局を経て受信した前記メールから、当該メールの送信先のメールアドレスを抽出して、このメールアドレスに向けて受信したメールを返送する過程と、前記保守端末装置で、前記試験端末装置に宛てて送出した前記メールと同一内容のメールが所定時間内に返送されるか否かを監視する過程とを含むようにする。
【0015】
請求項7に記載の移動通信試験方法では、オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続された保守端末装置から、当該保守端末装置のメールアドレスを含むメールを前記無線基地局と通信可能な回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置に宛てて送信する過程と、試験端末装置が、無線基地局を経て受信した前記メールから、当該メールの送信先のメールアドレスを抽出して、このメールアドレスに向けて受信したメールを返送する過程と、前記保守端末装置で、前記試験端末装置に宛てて送出した前記メールと同一内容の返送メールが所定時間内に返送されるか否かを監視する過程と、返送メールが所定時間内に返送されない場合には、前記固定電話機により前記試験端末装置に対して呼び出しと音声送出を行う過程と、前記試験端末装置が、この呼び出しに対応して自動でオフフックし、予め記憶している音声メッセージを再生し通話先に送出する過程と、前記固定電話機により、前記音声メッセージを所定時間内に受話できるか否かを監視する過程と、音声メッセージが所定時間内に受話できない場合に、固定電話機から予め定めておいたPB信号を送信する過程と、前記試験端末装置が、前記PB信号の受信に応じて、録音された音声を再生し送信したのちオンフックする過程と、固定電話機で前記再生された音声が受話できるか否かを監視する過程と、前記再生された音声が受話できない場合に固定電話機により終話させる過程とを含むようにする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る移動通信試験装置は、移動通信システム(図1参照)において、オペレーションセンタから送受信される音声信号およびパケットを端末移動局に無線伝送する無線基地局の無線区間を含めた通信の正常性を試験するために、少なくとも、オペレーションセンタに設けられるか接続可能な保守端末装置と、端末移動局としての回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置(以下では、回線/パケット交換共用携帯電話機と記す)とにより構成される。
【0017】
この回線/パケット交換共用携帯電話には、パケット交換試験用としてパケット呼出を受けると自動でパケット呼出応答する機能、パケット交換にて受信したパケットデータを保存記録する機能、パケット交換にて受信したパケットデータをパケットデータ内に記載されているメールアドレス番号に対して自動返送する機能、パケット交換にてパケットデータ受信およびパケットデータ送信の動作が完了したら一定時間経過後自動的に回線交換待ち受けに戻る機能、パケット交換にてパケットデータ受信またはパケットデータ送信の動作が完了できなくても一定回数の再試行後に自動的に回線交換待ち受けに戻る機能が備わっている。
【0018】
また、この回線/パケット交換共用携帯電話(試験端末装置)には、回線交換試験用として回線交換呼出を受けると自動オフフックする機能、自動オフフックした後に予め記憶している音声メッセージを再生し送信する機能、受信した音声を録音する機能、特定のPB信号を受信することにより録音した音声を再生したり、オンフック動作をする機能が備わっている。
【0019】
一方、保守端末装置は、前記オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続可能で、インターネットを介して前記試験端末装置に宛てて前記オペレ―ションセンターを経由するメールを送信する機能を有している。多くの場合、保守端末装置は前記オペレ―ションセンター内に設けられるが、オペレーションセンターに設置してある保守端末以外でもインターネットに接続可能な情報処理端末であれば同様の試験を実施することが可能である。
【0020】
保守者は例えばオペレーションセンター19に設備してあるパソコン等の文字データを確認できる保守端末装置を用いて、試験したいパケット交換用基地局無線装置に接続された回線/パケット交換共用携帯電話機1のメールアドレス番号に対して、保守端末53のメールアドレス番号を含む文字データをパケットデータとして送信し、回線/パケット交換共用携帯電話機1から保守端末装置53に自動返送されてきたパケットデータが、保守者が送信した文字データと一致していることを確認することでパケット交換でのパケットデータ呼処理機能が正常に動作していることを確認できる。
【0021】
上述回線/パケット交換共用携帯電話の接続には、既掲の特開2000−332674号公報に開示されているような方向性結合器を高周波ケーブルとともに使用するようにすると好適である。図1のブロック図に例示した本発明の一実施の形態では回線/パケット交換共用携帯電話機1と回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換用基地局無線装置50とは、2分配結合器57、方向性結合器2および高周波ケーブル30にて接続されている。
【0022】
上述方向性結合器は、回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置から発射された電波をアンテナへ通過損失を少なくして通過させ、かつ回線/パケット交換共用携帯電話機の方向にも通過させる。また、方向性結合器は、アンテナにて受信した電波を回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置へ通過損失を少なくして通過させるが、回線/パケット交換共用携帯電話機の方向には通過させない。更に、方向性結合器は、回線/パケット交換共用携帯電話機からの電波を回線交換用基地局無線装置およびのパケット交換用基地局無線装置方向に通過させるが、アンテナの方向には通過させない。
【0023】
従って、回線/パケット交換共用携帯電話機は接続された回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置から発射された電波しか受信できず、また、回線/パケット交換共用携帯電話機から発射された電波は回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置でのみ受信される。
【0024】
これにより、回線/パケット交換共用携帯電話は必ず一つの回線交換用基地局無線装置で回線交換待ち受けをするか、または、必ず一つのパケット交換用基地局無線装置でパケット交換待ち受けすることになり、着信させる回線/パケット交換共用携帯電話機のメールアドレス番号だけで、試験したいパケット交換用基地局無線装置を特定することが可能となる。
【0025】
上述、構成に加えて、更に既知の音声試験/非電話データ試験を行うための構成を併用してこれらの試験も併せ行える構成としても無論良い。特に、音声試験を併用することで、パケット通信の際の非正常性の原因を知ることができ好適である。これらについては、実施例として後で詳述する。
〔実施例〕以下、実施例を挙げ図面を参照して本発明について詳細に説明する。図1は、本発明の試験装置を含む基地局試験システムの一実施例を示すブロック図である。
【0026】
本実施例では、移動通信システムのネットワークを、模式的にオペレーションセンター19、無線基地局20、試験装置21、オペレーションセンター19と無線基地局20間を結ぶ回線交換伝送路28およびパケット交換伝送路56、基地局20と回線/パケット交換共用携帯電話機1(試験端末装置)間を結ぶ高周波ケーブル30で表現している。なお、実際のネットワークでは、対となる1台の回線交換機6と1台のパケット交換機51には複数の基地局20が接続されているが、図1では一つの基地局20のみ図示している。
【0027】
本実施例のオペレーションセンター19は、回線交換を行う回線交換機6、パケット交換を行うパケット交換機51、インターネット関門交換機52、保守端末装置53、固定電話機9、回線関門交換機22を含み構成されている。パケット交換機51は、インターネット関門交換機52を介して外部のインターネットサービスプロバイダー54を経由してインターネット55に接続されている。保守端末装置53もインターネットサービスプロバイダに接続されている。
【0028】
なお、パケット交換用基地局無線装置50の試験は、保守端末装置53から保守者が回線/パケット交換共用携帯電話機1のメールアドレス番号に対してこの保守端末のメールアドレスを含むパケットデータを送信することにより実行される。
【0029】
パケット交換用基地局無線装置50の試験は、上記保守端末53からでなくても、インターネットに接続できる情報端末であれば良く、やはり回線/パケット交換共用携帯電話機1のメールアドレス番号に対して情報端末のメールアドレスを含むパケットデータを送信することにより、パケット交換用基地局無線装置50の試験が実行できる。
【0030】
この試験の際の動作やパケット交換用基地局無線装置50が正常かどうかをどの様に判断するかについては、後の本実施例の動作の説明にて詳述する。
【0031】
次に、無線基地局20は、試験端末装置である回線/パケット交換共用携帯電話機1に高周波ケーブル30を介して接続される方向性結合器2と、この方向性結合器2に接続されたアンテナ3および2分配結合器57、この2分配結合器57に接続されたパケット交換用基地局無線装置50及び回線交換用基地局無線装置4と、この回線交換用基地局無線装置に接続された基地局制御装置5とを備えている。
【0032】
このように試験装置の回線/パケット交換共用携帯電話機1は、高周波ケーブル30にて方向性結合器2および2分配結合器57を経由して回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換用基地局無線装置50と接続されている。
【0033】
上記方向性結合器2および2分配結合器57における電波の通過方向を図2により説明する。方向性結合器2は2分配結合器57とアンテナ3が双方向(図2中方向A)にて電波を通過させ、また方向Bは2分配結合器57と回線/パケット交換共用携帯電話機1が双方向(図2中方向B)にて電波を通過させるが、アンテナ3と回線/パケット交換共用携帯電話機1との間は双方向ともに電波を通過させない性質を持っている。
【0034】
2分配結合器57は、回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換基地局無線装置50からの高周波信号を結合し方向性結合器2へ通過させ、反対に方向性結合器2からの高周波信号を回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換基地局無線装置50に2分配する。
【0035】
従って、方向性結合器2は、図2に示すように、基地局無線装置4或いはパケット交換用基地局無線装置50から出力され2分配結合器57を経由した高周波信号をアンテナ3へ低通過損失にて通過させ(図2中の方向A)、かつ回線/パケット交換共用携帯電話機1の方向にも通過させる(図2中の方向B)。また、方向性結合器2は、アンテナ3にて受信した電波を2分配結合器57へのみ低通過損失で通過させるが、回線/パケット交換共用携帯電話機1の方向には通過させない(図2中の方向A)。また、方向性結合器2は、回線/パケット交換共用携帯電話機1からの高周波信号を2分配結合器57の方向に通過させるが、アンテナ3の方向には通過させない(図2中の方向B)。
【0036】
このように、方向性結合器2によって、回線/パケット交換共用携帯電話機1は方向性結合器2によって接続された2分配結合器57を経由して回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換基地局無線装置50としか電波を送受信できないことになる。
【0037】
次に、回線/パケット交換共用携帯電話機1の構成を図3のブロック図に示す。回線/パケット交換共用携帯電話機1は、無線部31、ベースバンド部32、音声メッセージ再生部33、音声録音再生部34、パケットデータメモリ部58、パケット試験状態遷移記憶部59、およびこれら各部を制御するCPU35から構成されている。
【0038】
CPU35、無線部31、ベースバンド部32および音声メッセージ再生部33は回線交換試験とパケット交換試験の両方に対応している。音声録音再生部34は回線交換試験時のみに使用される。また、パケットデータメモリ部58およびパケット試験状態遷移記憶部59はパケット交換試験時のみに使用される。
【0039】
音声メッセージ再生部33は、自動オフフック後に予め記憶している音声メッセージを自動再生あるいは予め定めておいた特定のPB音を受信させることによりパケット試験状態遷移記憶部59での状態に基づいてその状態を音声再生する機能を有し、音声録音再生部34は、受信した音声を録音および再生する機能がある。受信した音声を再生させるには、予め定めておいた特定のPB音を受信させることにより動作する。これらの機能は、一般固定電話に見られる留守番電話機能、すなわちかかってきた呼に自動でオフフックし、予め記憶させておいた音声メッセージを自動再生し、受信した音声を録音し、予め定めておいた特定のPB音を受信すると録音された音声を再生する機能と同等の機能である。
【0040】
パケットデータメモリ部58とパケット試験状態遷移記憶部59は、パケット交換試験の両方に対応している。パケットデータメモリ部58は、パケット交換にて受信したパケットデータを保存記録する機能を持つ。パケット試験状態遷移記憶部59は、後述するパケット試験(図4;フロー図参照)の状態がどこまで進んでいたかを記憶する機能を持つ。より具体的には、図4のステップP104にてパケット呼出信号を受信しなかった場合は「パケット呼出信号受信なし」の状態を記憶し、ステップP105でパケット呼出応答を送信し且つステップP108にてデータを受信しなかった場合は「データ受信無し」の状態を記憶し、ステップP108でデータを受信し且つステップP109にてデータを返信ができなかった場合には「データ返信できず」の状態を記憶し、ステップP108でデータを受信し且つステップP109にてデータを返信した場合には「データ返信済み」の状態を記憶する。前記CPU35は、パケット交換試験時には、パケットデータ内にある発信側のメールアドレス番号を抽出し、そのアドレス番号宛に受信したパケットデータを自動返送する動作を制御する。
【0041】
続いて、本発明の一つの上記図1の実施例においてどの様に試験を実施するか、また、パケット交換用基地局無線装置50が正常かどうかをどの様に判断するかについて説明する。
【0042】
図4の動作フロー図を用いてパケット交換用基地局無線装置が正常な場合の試験の動作を説明する。保守者は、保守端末装置53から試験をしたいパケット交換用基地局無線装置50と接続されている回線/パケット交換共用携帯電話機1のメールアドレス番号に宛てて保守端末装置53のメールアドレス番号を含む文字列データをインターネットサービスプロバイダ54へ発信する(ステップ;P100)。
【0043】
インターネットサービスプロバイダ54およびインターネット55を経由して、インターネット関門交換機52に回線/パケット交換共用携帯電話機1へのリンク接続要求が送信され(ステップ;P101)、インターネット関門交換機52はパケット交換機51にパケット回線接続要求信号を送出する(ステップ;P102)。
【0044】
パケット交換機51は、回線交換機6に対して回線/パケット交換共用携帯電話機1へのパケット交換接続要求があることを通知し(ステップ;P103)、回線交換機6は基地局制御装置5を経由して回線交換用基地局送受信装置4にて回線/パケット交換共用携帯電話機1へパケット呼出を送信する(ステップ;P104)。
【0045】
回線/パケット交換共用携帯電話機1はパケット呼出を受信すると、パケット交換基地局無線装置50に対してパケット呼出応答を送出し、パケット交換用基地局無線装置50はパケット交換機51にパケット呼出応答を送出する(ステップ;P105)。パケット交換機51は、回線/パケット交換共用携帯電話機1からのパケット呼出応答を受信すると、インターネット関門交換機52に対してリンク接続応答信号を送出する(ステップ;P106)。
【0046】
インターネット関門交換機52は、相手とのリンクが確立できたことをリンク接続応答としてインターネットサービスプロバイダ54へ通知する(ステップ;P107)。インターネットサービスプロバイダ54と回線/パケット交換共用携帯電話機1との間のリンクが確立されたことにより、インターネットサービスプロバイダ54は保守端末装置53から受信したデータを回線/パケット交換共用携帯電話機1宛にパケット交換用基地局無線装置50を経由して送出する(ステップ;P108)。
【0047】
回線/パケット交換共用携帯電話機1は受信したデータをパケットデータメモリ部58に保存記録し、データに含まれる保守端末装置53のメールアドレス番号を検出し、受信して保存記録したデータを保守端末装置53のメールアドレス番号宛にパケット交換用基地局無線装置50を経由して返送する(ステップ;P109)。
【0048】
インターネットサービスプロバイダ54は、回線/パケット交換共用携帯電話機1から受信したデータをインターネット55およびインターネットサービスプロバイダを経由して保守端末装置53に送出し、保守端末装置53はデータを受信する。保守者は保守端末装置53にて受信した文字データと自身が送信したデータとを比較して、両者が同一であることでパケットデータ呼処理機能が正常に動作していることを確認する(ステップ;P110)。
【0049】
次に試験が異常な場合の動作を図5の動作フロー図に沿って説明する。保守者は一定時間待っても回線/パケット交換共用回線/パケット交換共用携帯電話機1からデータが返送されてこない場合には、固定電話機9から回線/パケット交換共用回線/パケット交換共用携帯電話機1の電話番号をダイヤルする(ステップ;S50)。回線交換用基地局無線装置4は回線/パケット交換共用携帯電話機1を呼び出す信号(ページング信号)を電波にて送信する(ステップ;S51)。
【0050】
ページング信号を受信した回線/パケット交換共用携帯電話機1と回線交換用基地局無線装置4との間で着信シーケンスのやりとりが行われ(ステップ;S52)、回線/パケット交換共用携帯電話機1は自動でオフフックし、固定電話機9と回線/パケット交換共用携帯電話機1の回線交換リンクが接続される(ステップ;S53)。
【0051】
回線/パケット交換共用携帯電話機1は自動オフフック後、記憶している音声メッセージを再生・送出し、その再生された音声メッセージを保守者が固定電話機9の受話器から聞く(ステップ;S54)。ここまでの確認ができ無い場合は、回線交換機6、基地局制御装置5および回線交換用基地局装置のいずれかからパケット呼出信号が送出されていないことが原因と推測できる。
【0052】
一方ステップ;S54までの確認ができた場合は、保守者は更に固定用電話機9から予め定めておいたPB信号(プッシュボタン信号)を送信し、回線/パケット交換共用携帯電話機1がそのPB信号を受信する(ステップ;S56)と、直前のパケット試験での状態遷移記憶部59に記憶された状態内容に応じて、予め録音されていた音声中の適切なものを再生・送信し保守者は固定電話器9の受話器から再生された音声を聞く(ステップ;S57)ことで、信号のステップがどこまで進んでいたかを確認することが可能となる(ステップ58)。
【0053】
より具体的には、状態「パケット呼出信号受信無し」を聞いた場合には、パケット交換用基地局無線装置50からパケット呼出信号が送出されていないことが判断できる。状態「データ受信無し」を聞いた場合には、パケット呼出応答信号がパケット交換用基地局無線装置50にて受信できていないことが判断できる。状態「データ返信できず」を聞いた場合には、無線区間の下り方向でのパケット伝送は正常であるが無線区間の上り方向でのパケット伝送は輻輳していることが予測される。状態「データ返信済み」は試験が正常にできた後でのみで聞くことができる音声である。
【0054】
また、ステップ;S54で保守者が音声メッセージを聞くことができなかった場合、回線交換機6、基地局制御装置5および回線交換用基地局装置のいずれかからパケット呼出信号が送出されていないことが原因として推測できると前述したが、単に回線交換の無線区間の上り方向が異常であり再生された音声メッセージが聞こえないだけの可能性もある。その場合はどちらであるかの切り分けとして以下の手順で判断することができる。
【0055】
先ず、保守者は再生メッセージが聞こえない場合、固定電話機9の受話器から音声を送信し、その音声を回線/パケット交換共用携帯電話機1は録音する(ステップ;S55)。
【0056】
保守者は予め定めておいたPB信号を固定電話機9から送信し、回線/パケット交換共用携帯電話機1はそのPB信号を受信する(ステップ;S56)と、録音された音声を再生し送信し保守者は固定電話機9の受話器から再生された音声を聞くか(ステップ;S57)、または回線/パケット交換共用携帯電話機1をオンフックすることで終話となる(ステップ;S58)。
【0057】
回線交換用基地局無線装置4が正常であれば、ステップ;S54での回線/パケット交換共用携帯電話機1が記憶している音声メッセージと、ステップ;S57での回線/パケット交換共用携帯電話機1にて録音再生された保守者の音声の両方が聞こえる。
【0058】
無線回線の下り方向のみが異常である場合には、ステップ;S54の音声メッセージは聞こえるが、保守者が録音した音声はステップ;S57で正常に聞くことができない。無線回線の上り方向のみが異常である場合には、ステップ;S54の音声メッセージが聞こえないが、下り方向の回線が正常のためステップ;S56にてオフフックのPB信号を受信でき、終話(ステップ;S59)となる。
【0059】
下り方向および上り方向の両方の回線が異常である場合には、ステップ;S54の音声メッセージを保守者が聞くことができず、PB信号により回線/パケット交換共用携帯電話機1からオンフックし終話させることもできないことになることから状況が判定できる。なお、そのときは固定電話機9をオンフックすることにより終話させる。
【0060】
固定電話機を使用する理由は、無線回線に比べて固定回線は回線品質が安定しており、回線交換用基地局無線装置4と回線/パケット交換共用回線/パケット交換共用携帯電話機1の無線回線を試験する上で影響を与えないからである。
【0061】
なお、上述実施例では、回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換基地局無線装置50が単一セクタで構成されているときを対象としているが、本発明はこれに限らず、回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換基地局無線装置50が、より多数のセクタに対応している場合にも適用可能である。例えば、回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置それぞれが3セクタ構成の場合について、図6に要部接続図を示す。
【0062】
図6に示される実施例では、アンテナ3−1、3−2、3−3及び試験端末装置(回線/パケット交換共用携帯電話機1−1、1−2、1−3)を高周波ケーブル30−1、30−2、30−3でそれぞれ方向性結合器2−1、2−2、2−3に接続し、2分配結合器57−1,57−2,57−3を経由させて基地局の対応するセクタに接続する。それぞれのセクタに対して保守者側より順に接続し既述した試験過程を実行することにより、セクタ単位で正常かどうかを試験することができる。
【0063】
また、以上の実施例では、専用の回線/パケット交換共用携帯電話機(試験端末装置)を用いたが、これまで説明した機能を外部からの制御で実現できる一般の商用端末と、この端末の外部接続用端子(制御用端子)に外部から接続する制御部とで上述したごとき試験端末装置を構成することも考えられる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、移動通信試験装置を、無線基地局と通信可能な回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置と、前記オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続された保守端末装置とを含み構成したので、試験したいパケット交換用基地局無線装置に接続されている試験端末装置のメールアドレス番号に対して、保守端末装置から同端末のメールアドレス番号を含んだパケットデータを送信し返信を確認することで、移動通信システムにおける基地局無線装置の呼処理機能、特に無線区間を含めたパケットデータ呼処理機能が正常に動作しているかを試験することができる。
【0065】
また、更に音声呼処理機能の試験を併用するようにしたものでは、パケット呼処理が異常である場合にどこに障害があるかを推測することが可能となる。
【0066】
なお、基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置と試験端末装置とを、アンテナと端末移動局間では高周波信号を通過させない既知方向性結合器を介して高周波ケーブルで接続するようにしたものでは、より簡単な手続きで試験したい基地局無線装置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の移動通信試験装置の一実施例を含み構成された移動通信システムを示すブロック図である。
【図2】実施例での方向性結合器および2分配結合器における電波の通過方向を説明する図である。
【図3】実施例の回線/パケット交換共用携帯電話機の構成ブロック図である。
【図4】実施例による通信の正常性の試験を行う動作を示す動作フロー図である。
【図5】実施例における試験時に異常の場合の動作を示す動作フロー図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す基地局無線装置と試験装置との関係を示す要部接続図である。
【図7】従来例の移動通信試験装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,1−1,1−2,1−3…回線/パケット交換共用携帯電話(試験端末装置)
2,2−1,2−2,2−3…方向性結合器
3,3−1,3−2,3−3…アンテナ
4…回線交換用基地局無線装置
5…基地局制御装置
6…回線交換機
9…固定電話機
19…オペレーションセンタ
20…基地局
22…回線関門交換機
28…回線交換伝送路
30,30−1,30−2,30−3 …高周波ケーブル
31…無線部
32…ベースバンド部
33…音声メッセージ再生部
34…音声録音再生部
35…CPU
50…パケット交換用基地局無線装置
51…パケット交換機
52…インターネット関門交換機
53…保守端末装置
54…インターネットサービスプロバイダ
55…インターネット
56…パケット交換伝送路
57,57−1,57−2,57−3 …2分配結合器
58…パケットデータメモリ部
59…パケット試験状態遷移記憶部
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムにおける基地局無線装置の呼処理機能、特に無線区間を含めたパケットデータ呼処理機能が正常に動作しているかを簡易的に試験できる移動通信試験装置および移動通信試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動通信システムにおける基地局装置およびネットワークの正常性を試験する方法として、移動通信システムの基地局装置を含むネットワークに接続されたオペレ―ションセンタからネットワークおよび基地局を介して無線回線で送信される試験情報を試験装置(移動端末)で受信することで、基地局装置およびネットワークの試験を行う方法が知られている。
【0003】
このような試験方法や装置は、例えば特開平10−224290号公報、特開平10−285635号公報、特開2000−332674号公報等に開示されている。
【0004】
上記特開平10−224290号公報に開示の試験装置では、図7の概略構成ブロック図に示すように、オペレーションセンタ19で設定された試験情報を、ネットワーク、基地局無線装置4を介して無線回線16により携帯電話などの端末移動装置である試験装置15に送信する。そして、試験装置15は、試験情報を携帯電話部11で受信し、試験情報で指定される試験対象セルゾーンに対応するとまり木チャネルで待ち受け状態に移行する。この後、制御部12の制御により、試験情報で指定される発着信試験に対する基地局無線装置4へのアクセスを携帯電話部11を介して行い、発着信試験を実施する。そして、オペレーションセンタ19からの音声またはデータを音声録音再生部14および非電話通信部13で録音再生し、あらかじめ録音されている試験用音声またはデータを再生し、オペレーションセンタ19に送信する。
【0005】
上述公知例は、報知情報のオペレータ固有領域にて試験情報の授受を行い、試験装置15はその試験情報を判断して動作するための制御部12が必要となる。また、回線交換での試験についてもRCR−STD27「デジタル方式自動車電話システム」(財団法人電波産業会)により規定される報知情報内のオペレータ固有領域にて試験情報の授受を行い、試験装置15はその試験情報を判断し動作するための制御部を持つ必要がある。
【0006】
その他、試験実行については、図7の操作卓8から試験すべき回線交換用基地局無線装置4の止まり木チャネルコード等の試験情報を入力する必要があるため、初期導入設備に費用がかかったり、オペレータ固有領域にて予め設定しておく事項が多く検討時間を費やしたりで導入までに時間を要するだけでなく、試験実行についても操作卓からの試験情報入力の手間がかかり、大きなシステム構築が必要となる難点がある。
【0007】
この点に対処して、特開2000−332674号公報は、より簡単な構成で容易に音声通信の正常性を試験すべく、試験したい基地局無線装置と接続する携帯電話の電話番号を固定電話機からダイヤルし、基地局無線装置からページング信号を電波にて送信し、これに対応して携帯電話機をオフフックして固定電話と携帯電話の回線を接続し、携帯電話で記憶した音声メッセージを再生し、固定電話機でこの音声メッセージを確認することで下り方向の通信の正常性を確認し、また、固定電話機から音声を送信し携帯電話で録音させ、PB信号を固定電話機から送信して録音した音声を再生させ、固定電話機でこの音声を確認し、上り方向の通信の正常性を確認するようにした移動通信試験方法およびその装置を提案している。
【0008】
ところで、最近の移動通信システムにおいては、パケット通信にも対応するようになってきている。しかるに、図7に示す従来の試験方法等は、パケット交換機能に関する試験については考慮されておらず実行できなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、移動通信システムにおける基地局無線装置の呼処理機能、特に無線区間を含めたパケットデータ呼処理機能が正常に動作しているかを、確認することができる移動通信試験方法および装置を提供すること、更には、音声呼処理機能の試験を併用することでパケット呼処理が異常である場合にどこに障害があるかを推測することが可能な移動通信試験装置および移動通信試験方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
課題解決のため、請求項1に記載の本発明装置では、移動通信試験装置を、前記無線基地局が備える、回線交換用基地局無線装置ならびにパケット交換用基地局無線装置それぞれに接続された2分配結合器とこの2分配結合器に繋がるアンテナとの間に設けられ、一方の分岐端子が前記アンテナに接続された方向性結合器と、前記方向性結合器の他方の分岐端子に一端が接続された高周波ケーブルと、この高周波ケーブルの他端に接続され、パケットデータメモリ部およびパケット試験状態遷移記憶部を有し、回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置と、前記オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続され、インターネットを介して前記試験端末装置に宛てて前記オペレ―ションセンターを経由するメールを送信する機能を有する保守端末装置とを含み構成する。
【0012】
請求項2に記載の本発明では、請求項1に記載の移動通信試験装置において、前記方向性結合器は、前記2分配結合器から送出される無線信号を前記アンテナへ通過させ、前記アンテナにて受信する無線信号を前記2分配結合器へ通過させるが前記試験端末装置には通過させず、かつ、前記試験端末装置からの試験情報無線信号を前記2分配結合器へ通過させるが前記アンテナには通過させない通過特性を有し、また、前記試験端末装置は、自動オフフックし、予め記憶しているメッセージを再生送信し、受信した音声を録音し、録音された信号をPB信号により再生送信し、PB信号によりオンフックする機能と、更に、受信したメールに対して返信メールを送信する機能を有するように構成する。
【0013】
更には、前記保守端末装置を前記オペレーションセンタに設けるとともに、同オペレーションセンタに試験情報として音声データを入力および出力が可能に接続された電話機を更に設けた構成としても良い(請求項4)。また、前記基地局の備える複数組の回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置のそれぞれの組毎に、前記方向性結合器を備えるようにしても良い(請求項5)。
【0014】
また、請求項6に記載の移動通信試験方法では、オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続された保守端末装置から、当該保守端末装置のメールアドレスを含むメールを無線基地局と通信可能な回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置に宛てて送信する過程と、前記試験端末装置が、無線基地局を経て受信した前記メールから、当該メールの送信先のメールアドレスを抽出して、このメールアドレスに向けて受信したメールを返送する過程と、前記保守端末装置で、前記試験端末装置に宛てて送出した前記メールと同一内容のメールが所定時間内に返送されるか否かを監視する過程とを含むようにする。
【0015】
請求項7に記載の移動通信試験方法では、オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続された保守端末装置から、当該保守端末装置のメールアドレスを含むメールを前記無線基地局と通信可能な回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置に宛てて送信する過程と、試験端末装置が、無線基地局を経て受信した前記メールから、当該メールの送信先のメールアドレスを抽出して、このメールアドレスに向けて受信したメールを返送する過程と、前記保守端末装置で、前記試験端末装置に宛てて送出した前記メールと同一内容の返送メールが所定時間内に返送されるか否かを監視する過程と、返送メールが所定時間内に返送されない場合には、前記固定電話機により前記試験端末装置に対して呼び出しと音声送出を行う過程と、前記試験端末装置が、この呼び出しに対応して自動でオフフックし、予め記憶している音声メッセージを再生し通話先に送出する過程と、前記固定電話機により、前記音声メッセージを所定時間内に受話できるか否かを監視する過程と、音声メッセージが所定時間内に受話できない場合に、固定電話機から予め定めておいたPB信号を送信する過程と、前記試験端末装置が、前記PB信号の受信に応じて、録音された音声を再生し送信したのちオンフックする過程と、固定電話機で前記再生された音声が受話できるか否かを監視する過程と、前記再生された音声が受話できない場合に固定電話機により終話させる過程とを含むようにする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る移動通信試験装置は、移動通信システム(図1参照)において、オペレーションセンタから送受信される音声信号およびパケットを端末移動局に無線伝送する無線基地局の無線区間を含めた通信の正常性を試験するために、少なくとも、オペレーションセンタに設けられるか接続可能な保守端末装置と、端末移動局としての回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置(以下では、回線/パケット交換共用携帯電話機と記す)とにより構成される。
【0017】
この回線/パケット交換共用携帯電話には、パケット交換試験用としてパケット呼出を受けると自動でパケット呼出応答する機能、パケット交換にて受信したパケットデータを保存記録する機能、パケット交換にて受信したパケットデータをパケットデータ内に記載されているメールアドレス番号に対して自動返送する機能、パケット交換にてパケットデータ受信およびパケットデータ送信の動作が完了したら一定時間経過後自動的に回線交換待ち受けに戻る機能、パケット交換にてパケットデータ受信またはパケットデータ送信の動作が完了できなくても一定回数の再試行後に自動的に回線交換待ち受けに戻る機能が備わっている。
【0018】
また、この回線/パケット交換共用携帯電話(試験端末装置)には、回線交換試験用として回線交換呼出を受けると自動オフフックする機能、自動オフフックした後に予め記憶している音声メッセージを再生し送信する機能、受信した音声を録音する機能、特定のPB信号を受信することにより録音した音声を再生したり、オンフック動作をする機能が備わっている。
【0019】
一方、保守端末装置は、前記オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続可能で、インターネットを介して前記試験端末装置に宛てて前記オペレ―ションセンターを経由するメールを送信する機能を有している。多くの場合、保守端末装置は前記オペレ―ションセンター内に設けられるが、オペレーションセンターに設置してある保守端末以外でもインターネットに接続可能な情報処理端末であれば同様の試験を実施することが可能である。
【0020】
保守者は例えばオペレーションセンター19に設備してあるパソコン等の文字データを確認できる保守端末装置を用いて、試験したいパケット交換用基地局無線装置に接続された回線/パケット交換共用携帯電話機1のメールアドレス番号に対して、保守端末53のメールアドレス番号を含む文字データをパケットデータとして送信し、回線/パケット交換共用携帯電話機1から保守端末装置53に自動返送されてきたパケットデータが、保守者が送信した文字データと一致していることを確認することでパケット交換でのパケットデータ呼処理機能が正常に動作していることを確認できる。
【0021】
上述回線/パケット交換共用携帯電話の接続には、既掲の特開2000−332674号公報に開示されているような方向性結合器を高周波ケーブルとともに使用するようにすると好適である。図1のブロック図に例示した本発明の一実施の形態では回線/パケット交換共用携帯電話機1と回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換用基地局無線装置50とは、2分配結合器57、方向性結合器2および高周波ケーブル30にて接続されている。
【0022】
上述方向性結合器は、回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置から発射された電波をアンテナへ通過損失を少なくして通過させ、かつ回線/パケット交換共用携帯電話機の方向にも通過させる。また、方向性結合器は、アンテナにて受信した電波を回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置へ通過損失を少なくして通過させるが、回線/パケット交換共用携帯電話機の方向には通過させない。更に、方向性結合器は、回線/パケット交換共用携帯電話機からの電波を回線交換用基地局無線装置およびのパケット交換用基地局無線装置方向に通過させるが、アンテナの方向には通過させない。
【0023】
従って、回線/パケット交換共用携帯電話機は接続された回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置から発射された電波しか受信できず、また、回線/パケット交換共用携帯電話機から発射された電波は回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置でのみ受信される。
【0024】
これにより、回線/パケット交換共用携帯電話は必ず一つの回線交換用基地局無線装置で回線交換待ち受けをするか、または、必ず一つのパケット交換用基地局無線装置でパケット交換待ち受けすることになり、着信させる回線/パケット交換共用携帯電話機のメールアドレス番号だけで、試験したいパケット交換用基地局無線装置を特定することが可能となる。
【0025】
上述、構成に加えて、更に既知の音声試験/非電話データ試験を行うための構成を併用してこれらの試験も併せ行える構成としても無論良い。特に、音声試験を併用することで、パケット通信の際の非正常性の原因を知ることができ好適である。これらについては、実施例として後で詳述する。
〔実施例〕以下、実施例を挙げ図面を参照して本発明について詳細に説明する。図1は、本発明の試験装置を含む基地局試験システムの一実施例を示すブロック図である。
【0026】
本実施例では、移動通信システムのネットワークを、模式的にオペレーションセンター19、無線基地局20、試験装置21、オペレーションセンター19と無線基地局20間を結ぶ回線交換伝送路28およびパケット交換伝送路56、基地局20と回線/パケット交換共用携帯電話機1(試験端末装置)間を結ぶ高周波ケーブル30で表現している。なお、実際のネットワークでは、対となる1台の回線交換機6と1台のパケット交換機51には複数の基地局20が接続されているが、図1では一つの基地局20のみ図示している。
【0027】
本実施例のオペレーションセンター19は、回線交換を行う回線交換機6、パケット交換を行うパケット交換機51、インターネット関門交換機52、保守端末装置53、固定電話機9、回線関門交換機22を含み構成されている。パケット交換機51は、インターネット関門交換機52を介して外部のインターネットサービスプロバイダー54を経由してインターネット55に接続されている。保守端末装置53もインターネットサービスプロバイダに接続されている。
【0028】
なお、パケット交換用基地局無線装置50の試験は、保守端末装置53から保守者が回線/パケット交換共用携帯電話機1のメールアドレス番号に対してこの保守端末のメールアドレスを含むパケットデータを送信することにより実行される。
【0029】
パケット交換用基地局無線装置50の試験は、上記保守端末53からでなくても、インターネットに接続できる情報端末であれば良く、やはり回線/パケット交換共用携帯電話機1のメールアドレス番号に対して情報端末のメールアドレスを含むパケットデータを送信することにより、パケット交換用基地局無線装置50の試験が実行できる。
【0030】
この試験の際の動作やパケット交換用基地局無線装置50が正常かどうかをどの様に判断するかについては、後の本実施例の動作の説明にて詳述する。
【0031】
次に、無線基地局20は、試験端末装置である回線/パケット交換共用携帯電話機1に高周波ケーブル30を介して接続される方向性結合器2と、この方向性結合器2に接続されたアンテナ3および2分配結合器57、この2分配結合器57に接続されたパケット交換用基地局無線装置50及び回線交換用基地局無線装置4と、この回線交換用基地局無線装置に接続された基地局制御装置5とを備えている。
【0032】
このように試験装置の回線/パケット交換共用携帯電話機1は、高周波ケーブル30にて方向性結合器2および2分配結合器57を経由して回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換用基地局無線装置50と接続されている。
【0033】
上記方向性結合器2および2分配結合器57における電波の通過方向を図2により説明する。方向性結合器2は2分配結合器57とアンテナ3が双方向(図2中方向A)にて電波を通過させ、また方向Bは2分配結合器57と回線/パケット交換共用携帯電話機1が双方向(図2中方向B)にて電波を通過させるが、アンテナ3と回線/パケット交換共用携帯電話機1との間は双方向ともに電波を通過させない性質を持っている。
【0034】
2分配結合器57は、回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換基地局無線装置50からの高周波信号を結合し方向性結合器2へ通過させ、反対に方向性結合器2からの高周波信号を回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換基地局無線装置50に2分配する。
【0035】
従って、方向性結合器2は、図2に示すように、基地局無線装置4或いはパケット交換用基地局無線装置50から出力され2分配結合器57を経由した高周波信号をアンテナ3へ低通過損失にて通過させ(図2中の方向A)、かつ回線/パケット交換共用携帯電話機1の方向にも通過させる(図2中の方向B)。また、方向性結合器2は、アンテナ3にて受信した電波を2分配結合器57へのみ低通過損失で通過させるが、回線/パケット交換共用携帯電話機1の方向には通過させない(図2中の方向A)。また、方向性結合器2は、回線/パケット交換共用携帯電話機1からの高周波信号を2分配結合器57の方向に通過させるが、アンテナ3の方向には通過させない(図2中の方向B)。
【0036】
このように、方向性結合器2によって、回線/パケット交換共用携帯電話機1は方向性結合器2によって接続された2分配結合器57を経由して回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換基地局無線装置50としか電波を送受信できないことになる。
【0037】
次に、回線/パケット交換共用携帯電話機1の構成を図3のブロック図に示す。回線/パケット交換共用携帯電話機1は、無線部31、ベースバンド部32、音声メッセージ再生部33、音声録音再生部34、パケットデータメモリ部58、パケット試験状態遷移記憶部59、およびこれら各部を制御するCPU35から構成されている。
【0038】
CPU35、無線部31、ベースバンド部32および音声メッセージ再生部33は回線交換試験とパケット交換試験の両方に対応している。音声録音再生部34は回線交換試験時のみに使用される。また、パケットデータメモリ部58およびパケット試験状態遷移記憶部59はパケット交換試験時のみに使用される。
【0039】
音声メッセージ再生部33は、自動オフフック後に予め記憶している音声メッセージを自動再生あるいは予め定めておいた特定のPB音を受信させることによりパケット試験状態遷移記憶部59での状態に基づいてその状態を音声再生する機能を有し、音声録音再生部34は、受信した音声を録音および再生する機能がある。受信した音声を再生させるには、予め定めておいた特定のPB音を受信させることにより動作する。これらの機能は、一般固定電話に見られる留守番電話機能、すなわちかかってきた呼に自動でオフフックし、予め記憶させておいた音声メッセージを自動再生し、受信した音声を録音し、予め定めておいた特定のPB音を受信すると録音された音声を再生する機能と同等の機能である。
【0040】
パケットデータメモリ部58とパケット試験状態遷移記憶部59は、パケット交換試験の両方に対応している。パケットデータメモリ部58は、パケット交換にて受信したパケットデータを保存記録する機能を持つ。パケット試験状態遷移記憶部59は、後述するパケット試験(図4;フロー図参照)の状態がどこまで進んでいたかを記憶する機能を持つ。より具体的には、図4のステップP104にてパケット呼出信号を受信しなかった場合は「パケット呼出信号受信なし」の状態を記憶し、ステップP105でパケット呼出応答を送信し且つステップP108にてデータを受信しなかった場合は「データ受信無し」の状態を記憶し、ステップP108でデータを受信し且つステップP109にてデータを返信ができなかった場合には「データ返信できず」の状態を記憶し、ステップP108でデータを受信し且つステップP109にてデータを返信した場合には「データ返信済み」の状態を記憶する。前記CPU35は、パケット交換試験時には、パケットデータ内にある発信側のメールアドレス番号を抽出し、そのアドレス番号宛に受信したパケットデータを自動返送する動作を制御する。
【0041】
続いて、本発明の一つの上記図1の実施例においてどの様に試験を実施するか、また、パケット交換用基地局無線装置50が正常かどうかをどの様に判断するかについて説明する。
【0042】
図4の動作フロー図を用いてパケット交換用基地局無線装置が正常な場合の試験の動作を説明する。保守者は、保守端末装置53から試験をしたいパケット交換用基地局無線装置50と接続されている回線/パケット交換共用携帯電話機1のメールアドレス番号に宛てて保守端末装置53のメールアドレス番号を含む文字列データをインターネットサービスプロバイダ54へ発信する(ステップ;P100)。
【0043】
インターネットサービスプロバイダ54およびインターネット55を経由して、インターネット関門交換機52に回線/パケット交換共用携帯電話機1へのリンク接続要求が送信され(ステップ;P101)、インターネット関門交換機52はパケット交換機51にパケット回線接続要求信号を送出する(ステップ;P102)。
【0044】
パケット交換機51は、回線交換機6に対して回線/パケット交換共用携帯電話機1へのパケット交換接続要求があることを通知し(ステップ;P103)、回線交換機6は基地局制御装置5を経由して回線交換用基地局送受信装置4にて回線/パケット交換共用携帯電話機1へパケット呼出を送信する(ステップ;P104)。
【0045】
回線/パケット交換共用携帯電話機1はパケット呼出を受信すると、パケット交換基地局無線装置50に対してパケット呼出応答を送出し、パケット交換用基地局無線装置50はパケット交換機51にパケット呼出応答を送出する(ステップ;P105)。パケット交換機51は、回線/パケット交換共用携帯電話機1からのパケット呼出応答を受信すると、インターネット関門交換機52に対してリンク接続応答信号を送出する(ステップ;P106)。
【0046】
インターネット関門交換機52は、相手とのリンクが確立できたことをリンク接続応答としてインターネットサービスプロバイダ54へ通知する(ステップ;P107)。インターネットサービスプロバイダ54と回線/パケット交換共用携帯電話機1との間のリンクが確立されたことにより、インターネットサービスプロバイダ54は保守端末装置53から受信したデータを回線/パケット交換共用携帯電話機1宛にパケット交換用基地局無線装置50を経由して送出する(ステップ;P108)。
【0047】
回線/パケット交換共用携帯電話機1は受信したデータをパケットデータメモリ部58に保存記録し、データに含まれる保守端末装置53のメールアドレス番号を検出し、受信して保存記録したデータを保守端末装置53のメールアドレス番号宛にパケット交換用基地局無線装置50を経由して返送する(ステップ;P109)。
【0048】
インターネットサービスプロバイダ54は、回線/パケット交換共用携帯電話機1から受信したデータをインターネット55およびインターネットサービスプロバイダを経由して保守端末装置53に送出し、保守端末装置53はデータを受信する。保守者は保守端末装置53にて受信した文字データと自身が送信したデータとを比較して、両者が同一であることでパケットデータ呼処理機能が正常に動作していることを確認する(ステップ;P110)。
【0049】
次に試験が異常な場合の動作を図5の動作フロー図に沿って説明する。保守者は一定時間待っても回線/パケット交換共用回線/パケット交換共用携帯電話機1からデータが返送されてこない場合には、固定電話機9から回線/パケット交換共用回線/パケット交換共用携帯電話機1の電話番号をダイヤルする(ステップ;S50)。回線交換用基地局無線装置4は回線/パケット交換共用携帯電話機1を呼び出す信号(ページング信号)を電波にて送信する(ステップ;S51)。
【0050】
ページング信号を受信した回線/パケット交換共用携帯電話機1と回線交換用基地局無線装置4との間で着信シーケンスのやりとりが行われ(ステップ;S52)、回線/パケット交換共用携帯電話機1は自動でオフフックし、固定電話機9と回線/パケット交換共用携帯電話機1の回線交換リンクが接続される(ステップ;S53)。
【0051】
回線/パケット交換共用携帯電話機1は自動オフフック後、記憶している音声メッセージを再生・送出し、その再生された音声メッセージを保守者が固定電話機9の受話器から聞く(ステップ;S54)。ここまでの確認ができ無い場合は、回線交換機6、基地局制御装置5および回線交換用基地局装置のいずれかからパケット呼出信号が送出されていないことが原因と推測できる。
【0052】
一方ステップ;S54までの確認ができた場合は、保守者は更に固定用電話機9から予め定めておいたPB信号(プッシュボタン信号)を送信し、回線/パケット交換共用携帯電話機1がそのPB信号を受信する(ステップ;S56)と、直前のパケット試験での状態遷移記憶部59に記憶された状態内容に応じて、予め録音されていた音声中の適切なものを再生・送信し保守者は固定電話器9の受話器から再生された音声を聞く(ステップ;S57)ことで、信号のステップがどこまで進んでいたかを確認することが可能となる(ステップ58)。
【0053】
より具体的には、状態「パケット呼出信号受信無し」を聞いた場合には、パケット交換用基地局無線装置50からパケット呼出信号が送出されていないことが判断できる。状態「データ受信無し」を聞いた場合には、パケット呼出応答信号がパケット交換用基地局無線装置50にて受信できていないことが判断できる。状態「データ返信できず」を聞いた場合には、無線区間の下り方向でのパケット伝送は正常であるが無線区間の上り方向でのパケット伝送は輻輳していることが予測される。状態「データ返信済み」は試験が正常にできた後でのみで聞くことができる音声である。
【0054】
また、ステップ;S54で保守者が音声メッセージを聞くことができなかった場合、回線交換機6、基地局制御装置5および回線交換用基地局装置のいずれかからパケット呼出信号が送出されていないことが原因として推測できると前述したが、単に回線交換の無線区間の上り方向が異常であり再生された音声メッセージが聞こえないだけの可能性もある。その場合はどちらであるかの切り分けとして以下の手順で判断することができる。
【0055】
先ず、保守者は再生メッセージが聞こえない場合、固定電話機9の受話器から音声を送信し、その音声を回線/パケット交換共用携帯電話機1は録音する(ステップ;S55)。
【0056】
保守者は予め定めておいたPB信号を固定電話機9から送信し、回線/パケット交換共用携帯電話機1はそのPB信号を受信する(ステップ;S56)と、録音された音声を再生し送信し保守者は固定電話機9の受話器から再生された音声を聞くか(ステップ;S57)、または回線/パケット交換共用携帯電話機1をオンフックすることで終話となる(ステップ;S58)。
【0057】
回線交換用基地局無線装置4が正常であれば、ステップ;S54での回線/パケット交換共用携帯電話機1が記憶している音声メッセージと、ステップ;S57での回線/パケット交換共用携帯電話機1にて録音再生された保守者の音声の両方が聞こえる。
【0058】
無線回線の下り方向のみが異常である場合には、ステップ;S54の音声メッセージは聞こえるが、保守者が録音した音声はステップ;S57で正常に聞くことができない。無線回線の上り方向のみが異常である場合には、ステップ;S54の音声メッセージが聞こえないが、下り方向の回線が正常のためステップ;S56にてオフフックのPB信号を受信でき、終話(ステップ;S59)となる。
【0059】
下り方向および上り方向の両方の回線が異常である場合には、ステップ;S54の音声メッセージを保守者が聞くことができず、PB信号により回線/パケット交換共用携帯電話機1からオンフックし終話させることもできないことになることから状況が判定できる。なお、そのときは固定電話機9をオンフックすることにより終話させる。
【0060】
固定電話機を使用する理由は、無線回線に比べて固定回線は回線品質が安定しており、回線交換用基地局無線装置4と回線/パケット交換共用回線/パケット交換共用携帯電話機1の無線回線を試験する上で影響を与えないからである。
【0061】
なお、上述実施例では、回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換基地局無線装置50が単一セクタで構成されているときを対象としているが、本発明はこれに限らず、回線交換用基地局無線装置4およびパケット交換基地局無線装置50が、より多数のセクタに対応している場合にも適用可能である。例えば、回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置それぞれが3セクタ構成の場合について、図6に要部接続図を示す。
【0062】
図6に示される実施例では、アンテナ3−1、3−2、3−3及び試験端末装置(回線/パケット交換共用携帯電話機1−1、1−2、1−3)を高周波ケーブル30−1、30−2、30−3でそれぞれ方向性結合器2−1、2−2、2−3に接続し、2分配結合器57−1,57−2,57−3を経由させて基地局の対応するセクタに接続する。それぞれのセクタに対して保守者側より順に接続し既述した試験過程を実行することにより、セクタ単位で正常かどうかを試験することができる。
【0063】
また、以上の実施例では、専用の回線/パケット交換共用携帯電話機(試験端末装置)を用いたが、これまで説明した機能を外部からの制御で実現できる一般の商用端末と、この端末の外部接続用端子(制御用端子)に外部から接続する制御部とで上述したごとき試験端末装置を構成することも考えられる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、移動通信試験装置を、無線基地局と通信可能な回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置と、前記オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続された保守端末装置とを含み構成したので、試験したいパケット交換用基地局無線装置に接続されている試験端末装置のメールアドレス番号に対して、保守端末装置から同端末のメールアドレス番号を含んだパケットデータを送信し返信を確認することで、移動通信システムにおける基地局無線装置の呼処理機能、特に無線区間を含めたパケットデータ呼処理機能が正常に動作しているかを試験することができる。
【0065】
また、更に音声呼処理機能の試験を併用するようにしたものでは、パケット呼処理が異常である場合にどこに障害があるかを推測することが可能となる。
【0066】
なお、基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置と試験端末装置とを、アンテナと端末移動局間では高周波信号を通過させない既知方向性結合器を介して高周波ケーブルで接続するようにしたものでは、より簡単な手続きで試験したい基地局無線装置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の移動通信試験装置の一実施例を含み構成された移動通信システムを示すブロック図である。
【図2】実施例での方向性結合器および2分配結合器における電波の通過方向を説明する図である。
【図3】実施例の回線/パケット交換共用携帯電話機の構成ブロック図である。
【図4】実施例による通信の正常性の試験を行う動作を示す動作フロー図である。
【図5】実施例における試験時に異常の場合の動作を示す動作フロー図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す基地局無線装置と試験装置との関係を示す要部接続図である。
【図7】従来例の移動通信試験装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,1−1,1−2,1−3…回線/パケット交換共用携帯電話(試験端末装置)
2,2−1,2−2,2−3…方向性結合器
3,3−1,3−2,3−3…アンテナ
4…回線交換用基地局無線装置
5…基地局制御装置
6…回線交換機
9…固定電話機
19…オペレーションセンタ
20…基地局
22…回線関門交換機
28…回線交換伝送路
30,30−1,30−2,30−3 …高周波ケーブル
31…無線部
32…ベースバンド部
33…音声メッセージ再生部
34…音声録音再生部
35…CPU
50…パケット交換用基地局無線装置
51…パケット交換機
52…インターネット関門交換機
53…保守端末装置
54…インターネットサービスプロバイダ
55…インターネット
56…パケット交換伝送路
57,57−1,57−2,57−3 …2分配結合器
58…パケットデータメモリ部
59…パケット試験状態遷移記憶部
Claims (6)
- オペレーションセンタから送受信される音声信号およびパケットを端末移動局に無線伝送する無線基地局の無線区間を含めた通信の正常性を試験する移動通信試験装置であって、
前記無線基地局が備えている、回線交換用基地局無線装置ならびにパケット交換用基地局無線装置それぞれに接続された2分配結合器とこの2分配結合器に繋がるアンテナとの間に設けられ、一方の分岐端子が前記アンテナに接続された方向性結合器と、
前記方向性結合器の他方の分岐端子に一端が接続された高周波ケーブルと、
この高周波ケーブルの他端に接続され、パケットデータメモリ部およびパケット試験状態遷移記憶部を有し、回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置と、
前記オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続され、インターネットを介して前記試験端末装置に宛てて前記オペレ―ションセンターを経由するメールを送信する機能を有する保守端末装置と、
を含み構成された移動通信試験装置。 - 前記方向性結合器は、前記2分配結合器から送出される無線信号を前記アンテナへ通過させ、前記アンテナにて受信する無線信号を前記2分配結合器へ通過させるが前記試験端末装置には通過させず、かつ、前記試験端末装置からの試験情報無線信号を前記2分配結合器へ通過させるが前記アンテナには通過させない通過特性を有し、
前記試験端末装置は、自動オフフックし、予め記憶しているメッセージを再生送信し、受信した音声を録音し、録音された信号をPB信号により再生送信し、PB信号によりオンフックする機能と、更に、受信したメールに対して返信メールを送信する機能を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動通信試験装置。 - 前記保守端末装置を前記オペレーションセンタに設けるとともに、同オペレーションセンタに試験情報として音声データを入力および出力が可能に接続された電話機を更に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の移動通信試験装置。
- 前記基地局の備える複数組の回線交換用基地局無線装置およびパケット交換用基地局無線装置のそれぞれの組毎に、前記方向性結合器および前記高周波ケーブルならびに前記試験端末装置を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動通信試験装置。
- オペレーションセンタから送受信される音声信号およびパケットを端末移動局に無線伝送する無線基地局の無線区間を含めた通信の正常性を試験する移動通信試験方法であって、
前記オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続された保守端末装置から、当該保守端末装置のメールアドレスを含むメールを前記無線基地局と通信可能な回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置に宛てて送信する過程と、
前記試験端末装置が、無線基地局を経て受信した前記メールから、当該メールの送信先のメールアドレスを抽出して、このメールアドレスに向けて受信したメールを返送する過程と、
前記保守端末装置で、前記試験端末装置に宛てて送出した前記メールと同一内容のメールが所定時間内に返送されるか否かを監視する過程と、
を含むことを特徴とする移動通信試験方法。 - オペレーションセンタから送受信される音声信号およびパケットを端末移動局に無線伝送する無線基地局の無線区間を含めた通信の正常性を試験する移動通信試験方法であって、
前記オペレ―ションセンターにインターネットを介して接続された保守端末装置から、当該保守端末装置のメールアドレスを含むメールを前記無線基地局と通信可能な回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置に宛てて送信する過程と、
前記試験端末装置が、無線基地局を経て受信した前記メールから、当該メールの送信先のメールアドレスを抽出して、このメールアドレスに向けて受信したメールを返送する過程と、
前記保守端末装置で、前記試験端末装置に宛てて送出した前記メールと同一内容の返送メールが所定時間内に返送されるか否かを監視する過程と、
返送メールが所定時間内に返送されない場合には、固定電話機により前記試験端末装置に対して呼び出しと音声送出を行う過程と、
前記試験端末装置が、この呼び出しに対応して自動でオフフックし、記憶している音声メッセージを再生し通話先に送出する過程と、
前記固定電話機により、前記音声メッセージを所定時間内に受話できるか否かを監視する過程と、
音声メッセージが所定時間内に受話できない場合には、前記固定電話機から予め定めておいたPB信号を送信する過程と、
回線/パケット交換共用携帯電話機機能を備えた試験端末装置が、前記PB信号の受信に応じて、録音された音声を再生し送信したのちオンフックする過程と、
固定電話機で前記再生された音声が受話できるか否かを監視する過程と、
前記再生された音声が受話できない場合に固定電話機により終話させる過程と、
を含むことを特徴とする移動通信試験方法。
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