JP3544922B2 - n型熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換デバイス - Google Patents

n型熱電変換材料およびそれを用いた熱電変換デバイス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電変換材料の分野に係り、特にフィルドスクッテルダイト構造のn型熱電変換材料、およびにそれを用いた熱電変換デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題に対する意識の高揚から、フロンを使用しない冷却機器を提供し得る素子として、ペルチェ効果を利用した熱電冷却デバイスに対する関心が高まっている。同様に、地球温暖化の抑制という観点から、二酸化炭素排出量を削減するために、未利用廃熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換し得る熱電発電デバイスに対する関心も高まっている。
【0003】
このような熱電変換デバイスは、少なくとも1つのp型熱電変換素子本体と少なくとも1つのn型熱電変換素子本体とを電極により直列に接続した構造を有する。これら熱電変換素子本体を構成する熱電材料の性能指数Zは次式(1)で表される。
【0004】
Z=ασ/κ (1)
ここでαは熱電材料のゼーベック係数、σは熱電材料の導電率、κは熱電材料の熱伝導率である。Zは温度の逆数の次元であり、このZと熱電材料の熱電変換効率は相関する。すなわち、熱を通しにくく、電気をよく通し、熱起電力が大きい材料が高効率熱電変換材料となる。この性能指数Zに絶対温度Tを乗じた値ZTは無次元数となり無次元性能指数と呼ばれる。
【0005】
熱電変換材料のうち、p型熱電変換材料としては、無次元性能指数ZTが1.4にも達するフィルドスクッテルダイト系熱電変換材料CeFeCoSb12が報告されている。
【0006】
これに対し、n型熱電変換材料として、特開平11−46020号公報に、スクッテルダイト系のコバルトアンチモナイド(CoSb)化合物の構成元素Coの少なくとも一部を特定の割合のパラジウム(Pd)と白金(Pt)の両元素(M)で置換した置換型化合物Co1−x Sbが開示されている。この化合物は、これまで知られているn型熱電変換材料としては、最も優れた熱電変換特性を有するものであるが、その無次元性能指数ZTは、1を越えるものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、熱電変換デバイスを作製するには、p型、n型両タイプの半導体熱電変換材料が必要である。いうまでもなく、両タイプの熱電変換材料は、その熱電変換特性が優れていることが望まれている。しかしながら、上に述べたように、p型熱電変換材料に関してはある程度高い熱電変換特性を有するものが得られているが、n型熱電変換材料については、満足し得る熱電変換特性を有する熱電変換材料が得られていないのが実情である。
【0008】
従って、本発明は、熱電変換特性に優れるn型熱電変換材料、この熱電変換材料を用いた熱電変換デバイス、熱電池、および冷却器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、スクッテルダイト型結晶構造を有するコバルトアンチモナイド化合物における結晶小格子のうち、アンチモンリングが存在しない空隙小格子を充填元素で部分的に充填したフィルドスクッテルダイト構造のコバルトアンチモナイド化合物であって、構成元素のコバルトをその1原子%から10原子%までの割合でパラジウムにより置換したコバルトアンチモナイド化合物からなることを特徴とするn型熱電変換材料を提供する。
【0010】
本発明の熱電変換デバイスは、互いに電気的に接続されたp型熱電変換素子本体およびn型熱電変換素子本体を備え、前記n型熱電変換素子本体は、本発明のn型熱電変換材料で構成されることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
スクッテルダイト構造を有するコバルトアンチモナイドは、立方晶結晶群Imに属し、図1に示すように、その単位格子は、8個のコバルト(Co)原子と24個のアンチモン(Sb)原子との計32個の原子を含む立方格子からなる。この単位格子は、8個の小格子で形成されている。
【0012】
ここで、Sb原子は特異な結晶状態にあり、4個のSb原子がリングを形成している(アンチモンリング)。このアンチモンリングは、単位格子を形成する8個の小格子のうち6個の小格子中に存在し、残りの2個の小格子は、何も存在しない空隙になっている(空隙小格子)。本発明のn型熱電変換材料は、このスクッテルダイト型結晶構造を有するCoSb基化合物の結晶の空隙小格子に充填元素を部分的に充填したフィルドスクッテルダイト構造を有する化合物であって、構成元素のコバルト(Co)の一部をパラジウム(Pd)で置換した化合物からなり、パラジウムは、コバルトの1原子%から10原子%を置換している。
【0013】
図2は、空隙小格子に充填元素Lnが充填されたフィルドスクッテルダイト構造のコバルトアンチモナイドの単位格子を示している。図2では、単位格子における2個の空隙小格子が充填元素Lnにより充填されているが、本発明では、空隙小格子のすべてが充填元素Lnにより充填されているものではないことに注意されたい。なお、本発明において、充填元素は、空隙小格子1個につき、1原子のみ充填される。
【0014】
スクッテルダイト型結晶構造を有するコバルトアンチモナイド化合物は、本来p型半導体である。この化合物の構成元素Coの一部をPdで置換することによりキャリアータイプが替わりn型半導体になる。既述のように、パラジウムによるコバルトの置換率は、1〜10原子%である。この置換率が1原子%未満であると、キャリアー濃度が低いため抵抗率が大きくなり、熱電変化特性に劣る。他方、置換率が10原子%を超えると、スクッテルダイト構造の安定性が低下し、フィルドスクッテルダイトの生成量が低下し、熱電特性が悪化する。
【0015】
本発明において、スクッテルダイト構造のコバルトアンチモナイド結晶の空隙小格子を充填する元素(充填元素)は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ThおよびUからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。その中でも、La、Ce、Nd、Yb、Uおよび/またはThは、結晶格子中での安定性に優れているため、より好ましい充填元素である。
【0016】
スクッテルダイト型結晶構造を有する化合物は格子の熱振動であるフォノンと、導電キャリアーによって熱伝導する。スクッテルダイト型結晶構造中の空隙に元素を充填すると、充填された元素によってフォノンが散乱されるため、熱伝導率が低下し、無次元性能指数が大きくなる。本発明において、この熱伝導率の観点から、スクッテルダイト構造のコバルトアンチモナイド結晶における空隙小格子の総数に対する充填元素の原子数(または充填元素により充填された小格子の数)の比率(充填率)は、0.01以上であることが好ましい。充填率が、0.01より小さくなると、熱伝導率が大きくなり充分な特性の熱電材料を得ることができない傾向となる。
【0017】
ところで、p型半導体特性を有するフィルドスクッテルダイト構造の化合物CeFeCoSb12では、単位格子中の2個の空隙が全て充填されている充填率Xが1のフィルドスクッテルダイトが得られることが知られている。これは、Coの一部をFeで置換することにより結晶格子の安定性が向上し、2個の空隙小格子がすべて充填されてもスクッテルダイト型構造を維持できるためである。しかしながら、本発明における置換元素PdにはFeのようにフィルドスクッテルダイト構造の安定性を向上させる効果は認められなかった。そのため、充填率は、0.8以下であることが好ましい。充填率が0.8を超えると、フィルドスクッテルダイト構造の安定性が低下するため、CoSb相やSb相が副生成物として生成し、その占める割合が大きくなり、熱電変換特性を悪化させる傾向となる。このような副生成物を実質的に生成させないためには、充填率は0.6以下であることがより好ましい。
【0018】
以上述べたことから明らかなように、本発明において、充填率は、0.1〜0.8であることがより好ましく、0.1〜0.6であることがさらに好ましい。また、充填率を0.2から0.4までの範囲に設定することにより、無次元性能指数ZTが1.1を越えるフィルドスクッテルダイト構造のコバルトアンチモナイド化合物が得られることがわかった。
【0019】
本発明のn型熱電変換材料を構成するコバルトアンチモナイド化合物は、化学式Ln(PdCo1−YSb12で示すことができる。ここで、Lnは、上記充填元素であり、Xは、上記充填率である。Yはパラジウム原子によりコバルトの置換率であり、0.01〜0.1であることは上の記載から明らかである。充填元素および充填率についてこれまで述べたことは、充填元素Lnおよび充填率Xにそのまま適用される。
【0020】
本発明のn型熱電変換材料は、原料金属(Co、Sb、Ln、Pd)を融解し、得られる溶湯を急冷して金属塊を得、これを熱処理した後粉砕し、ホットプレスすることにより焼結体として得ることができる。これらの工程は、いずれも、非酸化性雰囲気(真空、アルゴンのような不活性ガス雰囲気等)の下で行うことが好ましい。
【0021】
原料金属は、所望のコバルトアンチモナイドの組成を提供するに十分な割合で配合する。原料金属は、実質的に定量的に対応する組成のコバルトアンチモナイドを生成し得るが、融解時に原料金属の一部が揮散することがあれば、その分だけ過剰に配合することが好ましい。原料金属の融解法としては、アーク融解法、高周波融解法を採用することができ、また原料金属を石英ガラスアンプルに真空封入し、加熱して融解させることもできる。融解により得られる溶湯は、そのままの状態で急冷してもよいし、水中に投入することにより急冷してもよい。あるいは、回転している熱容量の大きい金属ドラム表面に溶湯を射出して急冷することもできる(いわゆる単ロール法、または双ロール法)。急冷により得られる金属塊の熱処理は、500℃〜1000℃の温度で、6時間〜50時間行うことが好ましい。熱処理後、金属塊を粉砕する。得られる粒子の焼結は、10MPa〜1000MPaの圧力および500℃〜1000℃の温度の下に、10分〜10時間行うことが好ましい。この焼結により、最終的に本発明のフィルドスクッテルダイト構造を有するコバルトアンチモナイドが得られる。
【0022】
本発明の熱電変換材料は、n型半導体であり、これを用いて優れた性能を有する熱電変換デバイスを作製することができる。本発明の熱電変換デバイスは、本発明のn型熱電変換材料から構成されるn型熱電変換素子本体と、これと電気的に接続されたp型熱電変換材料から構成されるp型熱電変換素子本体を備える。これら素子本体は、電極により電気的に接続され、電極から電力が取り出せる。このような熱電変換デバイスの一例を図3に示す。この熱電変換デバイス10において、p型熱電変換素子本体11と本発明のn型熱電変換材料から形成されたn型熱電変換素子本体12は、共通電極13上に並置され、それぞれ、上部に個別電極14および個別電極15を備えている。かくして、両熱電変換素子本体11および12は、電気的に直列接続される。共通電極13の外側には下部絶縁性基板17が接合されている。他方、個別電極15と電極16の外側にはこれら電極に共通に接合された上部絶縁性基板18が設けられている。
【0023】
上部絶縁性基板18側を低温度(L)にし、かつ下部絶縁性基板17側を高温度(H)にして上下絶縁性基板18,17に温度差を与えると、p型熱電変換素子本体11においては、正の電荷を持ったホール19が低温度L側に、n型熱電変換素子本体12においては、負の電荷を持った電子20が低温度側Lに移動する。その結果、個別電極15と個別電極16の間に電位差が生じる。このように温度差を与えた場合、個別電極15は正、個別電極16は負となる。なお、図4に示すように、共通電極14を素子1個分ずらして設けることにより、p型熱電変換素子本体11とn型熱電変換素子本体12を交互に直列に接続するとより高い電圧を得ることができる熱電変換デバイス10’が得られる。
【0024】
本発明の熱電変換素子に使用する電極14,15,16には種々の電極材料を使用することができる。しかしながら、抵抗率が低いこと、また安価であることから、AgまたはCuを使用することが好ましい。本発明の熱電変換材料には充填元素として含まれるLa、Ce、Nd、Yb、U、ThやCoを置換するPdは電極と熱電変換材料を接合させる際にAgと反応し、接合をより強固にさせる。従って、そのような場合、熱電変換素子の熱電変換材料と電極との接触電気抵抗を低下させ、熱電変換効率を一層向上させることができる。
【0025】
本発明の熱電池は、本発明の熱電変換デバイス構造を有する。そのような熱電池の一例を図5に示す。但し、図3および図4で説明したものと同様な部材に関しては、図3および図4と同様な符号を付して説明を省略する。上部絶縁性基板18を低温度にし、かつ下部絶縁性基板17を高温度にすると、熱電変換デバイス12の終端個別電極15と16との間に電位差が生じる。終端個別電極15と16の間に負荷21を接続すると、電流Iが流れ、熱電池となる。本発明に係る熱電池によれば、大きな電流を得ることができる。
【0026】
本発明に係る冷却器は、本発明の熱電変換デバイス構造を有する。そのような冷却器の一例を図6に示す。但し、図3〜図4で説明したものと同様な部材に関しては、図3〜図4と同様な符号を付して説明を省略する。熱電変換デバイス10’の終端個別電極15と16の間に直流電源31を接続し、直流電流Cを流す。その結果、熱電変換デバイス10’の上部絶縁性基板18側は高温に、下部絶縁性基板17側は低温になる。これにより、冷却器になる。本発明に係る冷却器によれば、高い冷却効率が得られる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0028】
実施例1:熱電変換材料
純度99.998%のCo、純度99.999%のSb、純度99.99%のCe、純度99.99%のPd金属を原料とした。これを組成式Ce0.2(Pd0.03Co0.97Sb12になるように秤量した。ただしSbは、次のアーク融解工程での蒸発があるため、所定の割合より重量で3%多くなるよう秤量した。アーク炉内の水冷されている銅製のハースに上記秤量原料を装填して、2×10−3Paの真空度まで真空引きした後、純度99.999%の高純度Arを0.06MPaまで導入して減圧Ar雰囲気にして、アーク融解した。融解後、水冷されている銅製のハースで急冷して得られた金属塊を、石英管に10−4Pa以下の高真空で真空封入し、973Kで30時間熱処理した。
【0029】
得られた金属塊を窒素雰囲気中で粉砕し、内径20mmの金型を用い圧力100MPaで成形した。この成形体を内径20mmのカーボン製モールドに充填し、Ar雰囲気中、100MPa、680℃で1時間加圧焼結し、直径20mm円盤状の焼結体を得た。
【0030】
この焼結体を粉末X線回折法にて調べたところ、CoSbで代表されるスクッテルダイト化合物と同じ立方晶構造の相を主とし、少量のCoSbと同じ構造の相を含むことが分かった。
【0031】
また、得られた焼結体の組成をICP発光分光法で分析した所、ほぼ所定の組成になっているのを確認した。
【0032】
得られた焼結体は以下の方法によって熱電特性を評価した。
【0033】
(1)抵抗率
焼結体を2×0.5×20mmに切断し、電極を形成し直流4端子法で測定した。
【0034】
(2)ゼーベック係数
焼結体を4×1×0.5mmに切断し、この両端に温度差を付け起電力を測定し、ゼーベック係数を求めた。
【0035】
(3)熱伝導率
レーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定した。これとは別にDSC測定により比熱を求めた。アルキメデス法により焼結体の密度をもとめ、これらより熱伝導率を求めた。
【0036】
以上の評価を行った結果、420℃での抵抗率1.2×10−3Ωcm、ゼーベック係数−260μV/K、熱伝導率3.4W/mKであった。ゼーベック係数が負であることからこの焼結体はn型半導体であることは明らかであった。以上の値より無次元性能指数ZTは1.15であった。
【0037】
比較例1:熱電変換材料
純度99.998%のCo、純度99.999%のSb、純度99.99%Pd金属を原料とした。これを組成式(Pd0.03Co0.97Sb12になるように秤量した。ただしSbは、次のアーク融解工程での蒸発があるため、所定の割合より重量で3%多くなるよう秤量した。アーク炉内の水冷されている銅製のハースに上記秤量原料を装填して、2×10−3Paの真空度まで真空引きした後、純度99.999%の高純度Arを0.06MPaまで導入して減圧Ar雰囲気にして、アーク融解した。融解後、水冷されている銅製のハースで急冷して得られた金属塊を、石英管に10−4Paの高真空で真空封入し、973Kで30時間熱処理した。
【0038】
得られた金属塊を窒素雰囲気中で粉砕し、内径20mmの金型を用い圧力100MPaで成形した。この成形体を内径20mmのカーボン製モールドに充填し、Ar雰囲気中、100MPa、680℃で1時間加圧焼結し、直径20mm円盤状の焼結体を得た。
【0039】
この焼結体を粉末X線回折法にて調べたところ、CoSbで代表されるスクッテルダイト化合物と同じ立方晶構造の相を主とし、少量のCoSbと同じ構造の相を含むことが分かった。
【0040】
また、得られた焼結体の組成をICP発光分光法で分析した所、ほぼ所定の組成に屠っているのを確認した。
【0041】
得られた焼結体を実施例1と同様な方法で熱電特性を評価した。その結果、420℃での抵抗率2.1×10−3Ωcm、ゼーベック係数−270μV/K、熱伝導率4.6W/mKであった。実施例1と比較すると、抵抗率、ゼーベック係数に大きな差異は無いが、スクッテルダイト構造結晶の空隙に重元素が充填されていないため、熱伝導率が大きくなった。その結果、無次元性能指数ZTは0.52と特性に劣った。
【0042】
実施例2〜12:熱電変換材料
種々の組成の熱電変換材料Ce(PdCo1−YSb12を、実施例1と同様な方法で調製し400℃での特性を評価した。その結果を実施例1、比較例1の結果も合わせて表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003544922
【0044】
実施例13〜22:熱電変換材料
実施例1〜12と同様の手法により下記表2に示す組成の本発明のn型変換材料Yb(PdCo1−YSb12を調製し、420℃における特性を評価した。結果を表2に併記する。
【0045】
【表2】
Figure 0003544922
【0046】
実施例23〜26
実施例1〜12と同様の手法により下記表3に示す組成の本発明のn型変換材料CeX1YbX2(PdCo1−YSb12(ただし、X1+X2=X)を調製し、420℃における特性を評価した。結果を表3に併記する。この結果から、複数種の充填元素を充填することにより、さらにフォノンが散乱され、熱伝導率が低下し、特性が向上することがわかる。
【0047】
【表3】
Figure 0003544922
【0048】
実施例27:熱電変換デバイス
実施例1で得られたn型熱電変換材料の焼結体を切断し、1×1×1mmの立方体形状のn型熱電変換素子本体を得た。熱電変換デバイスを作製するためにはp型熱電変換材料が必要である。本実施例では、p型熱電変換材料を以下のように作製した。
【0049】
純度99.998%のCo、純度99.999%のSb、純度99.99%のCe、純度99.99%のFe金属を原料とした。これを組成式CeFeCoSb12になるように秤量した。ただしSbは、次のアーク融解工程での蒸発があるため、所定の割合より重量で3%多くなるよう秤量した。アーク炉内の水冷されている銅製のハースに上記秤量原料を装填して、2×10−3Paの真空度まで真空引きした後、純度99.999%の高純度Arを0.06MPaまで導入して減圧Ar雰囲気にして、アーク融解した。融解後、水冷されている銅製のハースで急冷して得られた金属塊を、石英管に10−4Paの高真空で真空封入し、973Kで30時間熱処理した。
【0050】
得られた金属塊を窒素雰囲気中で粉砕し、内径20mmの金型を用い圧力100MPaで成形した。この成形体を内径20mmのカーボン製モールドに充填し、Ar雰囲気中、100MPa、680℃で1時間加圧焼結し、直径20mm円盤状の焼結体を得た。
【0051】
得られた焼結体を評価した結果、400℃での抵抗率1.5×10−3Ωcm、ゼーベック係数220μV/K、熱伝導率1.5W/mKであった。ゼーベック係数が正であることからこの焼結体はp型半導体であることが明らかであった。以上の値より無次元性能指数ZTは1.42であった。この焼結体を切断し、1×1×1mmの立方体形状のp型熱電変換素子本体を得た。
【0052】
図3に示したように、p型半導体熱電変換材料から作製されたp型熱電変換素子本体32個と、n型半導体熱電変換材料から作製されたn型熱電変換素子本体32個を並列に置き、電極で直列に接続させた。さらにこの電極の外側に、高純度窒化アルミニウム焼結体からなる絶縁性基板(17×17×0.3mm)を接合した。直列に接続した熱電変換素子本体の終端に電極リード線をつけ、熱電変換デバイスを作製した。なお、電極は銀で形成した。
【0053】
実施例1〜12、比較例1の熱電変換材料で実施例13〜24、比較例2の熱電変換デバイスを試作した。上下の高純度窒化アルミニウム基板を保持し、引っ張り試験を実施した結果を下記表4に示す。表4中、強度評価はAが強固、Bは標準、Cは実用に耐えない強度であることを示す。
【0054】
【表4】
Figure 0003544922
【0055】
表4から明らかなように、Pd、Ceを含む熱電変換材料を使用した熱電変換素子は、電極と熱電変換材料との接合性が向上していることがわかる。
【0056】
実施例39:熱電池
実施例27で作製した熱電変換デバイスの片側にアルミニウム製放熱フィンを設け、本発明の熱電池を作製した。本発明の熱電池を放熱フィンを接合した反対側を廃熱源、例えば自動車の廃棄ガスパイプに接合させることで、直流電流を得ることができた。また、冷却に放熱フィンを設けたが、冷却水循環パイプを設け水冷しても熱電池として有効に作動した。
【0057】
実施例40:冷却器
実施例27で作製した熱電変換デバイスに電動ファンを接合し、その熱電変換デバイスに図6に示すように直流電源を接続した。その結果、ファンを設けた側は冷却され、冷気が発生し冷却器として機能した。
【0058】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、熱電変換特性に優れたn型熱電変換材料が提供される。この熱電変換材料を用いた熱電変換デバイスは、高い電圧を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクッテルダイト構造の模式図。
【図2】フィルドスクッテルダイト構造の模式図。
【図3】本発明の熱電変換デバイスの一例を示す概略断面図。
【図4】本発明の別の熱電変換デバイスを示す概略断面図。
【図5】本発明の熱電池の一例を示す概略断面図。
【図6】本発明の冷却器の一例を示す概略図。
【符号の説明】
11…p型熱電変換素子本体
12…n型熱電変換素子本体
13,14,15…電極
17,18…絶縁性基板

Claims (4)

  1. スクッテルダイト型結晶構造を有するコバルトアンチモナイド化合物における結晶小格子のうち、アンチモンリングが存在しない空隙小格子を充填元素で部分的に充填したフィルドスクッテルダイト構造のコバルトアンチモナイド化合物であって、構成元素のコバルトをその1原子%から10原子%までの割合でパラジウムにより置換したコバルトアンチモナイド化合物からなることを特徴とするn型熱電変換材料。
  2. フィルドスクッテルダイト構造を有するコバルトアンチモナイド化合物が化学式:
    Ln(PdCo1−YSb12
    (ここで、Lnは、充填元素を表し、Xは、空隙小格子の充填元素による充填率であって、0.01から0.8までの値を有し、Yは、0.01から0.1までの値である)で示されることを特徴とする請求項1に記載のn型熱電変換材料。
  3. 前記充填元素が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ThおよびUの群の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のn型熱電変換材料。
  4. 互いに電気的に接続されたp型熱電変換素子本体およびn型熱電変換素子本体を備え、前記n型熱電変換素子本体は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のn型熱電変換材料で構成されることを特徴とする熱電変換デバイス。
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