JP3544436B2 - コンクリート製壁体パネルによる建物構造におけるパネルの定着構造及びその定着方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はコンクリート製壁体パネルにより壁体が構成されてなるいわゆるパネル建物構造に関し、更に詳しくは、当該壁体パネルの基礎部との定着構造並びにその定着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
壁体パネルを横方向に連接して壁体を構成する建物構造において、壁体パネルの基礎部への設置に際し、その水準を精確になす必要がある。
従来においては、基礎部の天端と壁体パネルとの間に複数の座板を介装させる手段が採られている。
しかしながら、この従来手段によって、壁体パネルの水準が段階状に変化し、連続的に調整することが困難である。また、該壁体パネルの基礎部への定着はアンカーボルト以外には格別の配慮が払われておらず、強度的にも問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は簡単な構造で壁体パネルの水準を精確になし得る壁体パネルの定着構造を得ることを目的とする。
更には、壁体パネルを基礎部に強固に定着することのできる壁体パネルの定着構造を得ることも他の目的とする。
本発明はこのため、壁体パネルと基礎部の天端とを一定以上の間隔を保持することに着想を得てなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の壁体パネルの定着構造は具体的には次の構成を採る。
コンクリート製布基礎上に載置されるコンクリート製壁体パネル相互を横方向に相並べて壁体が構成され、該布基礎の天端と該壁体パネルとの隙間に土間コンクリートの打設コンクリートが充填されて該土間コンクリートとともに一体構造を得る建物構造において、前記布基礎部には上部にねじ部を有するアンカーボルトが所定間隔をもって植設され、前記壁体パネルの下辺部の両端部には、前記基礎部のアンカーボルトを遊嵌する調整孔を有する埋込み金具を介して該アンカーボルトを受け入れる凹部が内側に向けて形成され、前記壁体パネルの下辺部の内側には、所定間隔をもって前記凹部に相並んで、根本部にねじを有するとともに前記土間コンクリートに埋設される水平アンカー筋用のアンカー用インサートが埋め込まれ、かつ、該アンカー用インサートに水平アンカー筋が取り付けられ、前記アンカーボルトのねじ部には前記壁体パネル下辺部の凹部の埋込み金具を上下から挟着する上部及び下部ナットが螺装されてなることを特徴とする。
コンクリート製布基礎上にコンクリート製壁体パネル相互を横方向に相並べて壁体を構成し、該布基礎の天端と該壁体パネルとの隙間に土間コンクリートの打設コンクリートが充填されて該土間コンクリートとともに一体構造を得る建物の構築方法であって、前記布基礎に所定間隔をもって植設された上部にねじ部を有するアンカーボルトに、その下辺部の両端部の内側に前記布基礎のアンカーボルトを遊嵌する調整孔を有する埋込み金具を介して該アンカーボルトを受け入れる凹部が形成されるとともに、所定間隔をもって前記凹部に相並んで、根本部にねじを有する水平アンカー筋用のアンカー用インサートが埋め込まれた壁体パネルを建て込み、前記アンカーボルトに螺装され、前記凹部の埋込み金具を上下から挟着する上部及び下部ナットをもって前記壁体パネルの水準をなすとともに、前記アンカー用インサートに水平アンカー筋を取り付け、しかる後、前記凹部の上位に達するとともに前記アンカー用インサートに装着された水平アンカー筋を埋殺し状に土間コンクリートを打設することを特徴とする。
【0005】
(作用)
壁体パネルの基礎部への設置において、アンカーボルトに下部ナットが螺合され、しかる後、壁体パネルが建て込まれ、該下部ナットで支持する。この状態で上部ナットを螺合し、上部及び下部ナットの締込みにより水準をなす。
また、水平アンカー筋を壁体パネルの下端に取り付け、下部凹部並びに水平アンカー筋を埋殺し状態に土間コンクリートを打設する。
壁体パネルは基礎部の天端から十分な高さのすき間をもって設置され、土間コンクリートはこの隙間にも充填され、かつ、水平アンカー筋との結合により、壁体パネルは基礎部との一体化がなされる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のコンクリート製壁体パネルによる建物構造におけるパネルの定着構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図11はその一実施形態のパネル建物構造を示し、平屋建て建物への適用を示す。すなわち、図1はその全体構成を示し、図2〜図11はその部分構成を示す。
【0007】
図1はこの平屋建て建物の分解構成を示す。
図1において、Bは基礎部であってアンカー部材が植設されて立設され、Pは壁体パネルであって基礎部Bのアンカー部材に固定され、Kは屋根枠であって壁体パネルPの上部に剛接され、Rは屋根材であって屋根枠Kに載置固定される。
【0008】
以下、各部の細部構造を説明する。
基礎部B(図2参照)
基礎部Bは鉄筋コンクリート製よりなり、いわゆる布基礎構造をなし、その本体には上方に突出するアンカーボルト1が植設される。
この基礎部Bは、表土を剥がれた地盤E上に割り栗石100を敷き固め、更にその上に捨てコンクリート102を打設し、この基礎部Bの本体が構築されるものであるが、これは通常の施工態様である。
アンカーボルト1は、ボルト杆部1aとねじ部1bとからなり、該杆部1aを基礎本体内に埋設され、上部のねじ部1bは基礎部Bの上面より突出する。なお、該アンカーボルト1のねじ部1aを必須とし、ボルト杆1aの形態は自由である。
【0009】
壁体パネルP(図3〜図11参照)
壁体パネルPは、全体として、一定厚さを有し所定の剛性を保持する矩形平板状をなし、鉄筋コンクリート製をもって形成される。このため、躯体部は、縦筋2、横筋3による鉄筋網(メッシュ)4を内部に配し、かつ、補強筋(図示せず)を適宜に配し、これらをコンクリート5をもって一体的に包み込んで形成される。
また、図3に示されるように、該壁体パネルPの内側の下辺部には、両側端近傍に2つの下部凹部6が凹設され、また、該下部凹部6に並んで内側面に向けて開口する複数のアンカー用インサート7が配される。該下部凹部6は基礎部のアンカーボルト1を受け入れ、アンカー用インサート7は水平アンカー筋8(図8参照)を受け入れる。更に、該壁体パネルPの上辺部には頭継ぎ部9が設置され、一方の側辺部には横継ぎ用の側部凹部10が、また、他方の側辺部には側部凹部10に対応して横継ぎ用のインサート11が設置される。
【0010】
(下部凹部6)
下部凹部6は壁体パネルPの内側の下辺部に複数箇所(本実施形態では2か所)にわたって形成され、埋込み金具13を介して、基礎部Bとの定着に供せられる。
(埋込み金具13)(図4、図5参照)
埋込み金具13は、図4・図5に示されるように、所定幅と厚さを有する底板14と、該底板14の上面に3方を囲む壁板15と、両側の壁板15の外側面に固設されるとともに上方に延設されるアンカー材16と、からなる。底板14には中央に大径の調整孔17が開設され、アンカーボルト1を遊嵌する。
しかして、該埋込み金具13はその底板14を壁体パネルPの下面と面一にして、下部凹部6の下底に露出して配され、壁板15及びアンカー材16はコンクリート躯体中に埋設される。
【0011】
(アンカー用インサート7・水平アンカー筋8)
アンカー用インサート7は、壁体パネルPの下端の内側に複数箇所(本実施形態では3か所)にわたって設置され、水平アンカー筋8を受け入れる。図8はその詳細を示し、円筒部の内周面にはねじ7aが螺設され、その基部7bは躯体のコンクリートとの定着を図る。水平アンカー筋8は、その根本部8aはねじに形成され、該ねじ部8aをアンカー用インサート7のねじ孔7aに螺入して固定される。
【0012】
図6〜図8において、基礎部Bの上面に突出するアンカーボルト1のねじ部1bに下部ナット20及び下部ワッシャ21が装着され、パネルPの下部凹部8の埋込み金具13の調整孔17に嵌挿され、更に上部ワッシャ22及び上部ナット23が装着される。
【0013】
(頭継ぎ部9)(図9、図10参照)
頭継ぎ部9は、壁体パネルPの上辺部に設けられ、ねじ筒25と、該ねじ筒25を壁体パネルPの本体に定着するアンカー材26と、ねじ筒25に螺合する取付けボルト27と、該ボルト27により壁体パネルPの頭部に固定される頭継ぎ材28と、からなる。29はワッシャである。
もっと詳しくは、ねじ筒25は下辺部の下部凹部8の対応位置に設けられ、その上縁は壁体パネルPの本体の上面に面一となる。なお、ねじ筒25には、取付けボルト27に替えて、壁体パネルPの吊り込み作業に使用される吊りボルト(図示せず)が螺装される。
しかして、この頭継ぎ部9の頭継ぎ材28上にチャンネル材よりなる屋根枠Kが直接的に溶接等の手段をもって固設される。
【0014】
(横継ぎ構造)(図11参照)
壁体パネルPの側辺部に配される側部凹部10とインサート11とは相隣り合って継ぎ手構造を形成する。すなわち、側部凹部10には下部凹部6に準じる埋込み金具31が固設され、そのボルト挿通孔を介してインサート11のねじ孔11aにボルト32が螺装され、該ボルト32を締め込んで相隣れるパネルP相互の固定をなす。
【0015】
叙上の構成よりなる壁体パネルPによる建物の構築について述べる。
以下、施工手順に従って説明する。
【0016】
(1) 基礎部Bが構築され、アンカーボルト1は所定の間隔で設置される。
この基礎部Bのアンカーボルト1のねじ部1bに下部ナット20及び下部ワッシャ21が装着される。
【0017】
(2) 壁体パネルPの上辺部の頭継ぎ部9のねじ筒25に吊りボルトが螺装され、該吊りボルトを介してクレーン装置(図示せず)をもって該壁体パネルPを吊り上げ、その下辺部を基礎部Bに建て込む。
すなわち、埋込み金具13の調整孔17にアンカーボルト1を挿通し、埋込み金具13が下部ナット20・ワッシャ21に当接された状態で上部ワッシャ22及び上部ナット23を装着する。
【0018】
(3) しかる後、壁体パネルPの位置調整がなされる。
すなわち、壁体パネルPの横方向のずれは調整孔17とアンカーボルト1との隙間で吸収され、壁体パネルPの水準は下部ナット20と上部ナット23との上下動で吸収される。
【0019】
(4) 先に設置された壁体パネルPに隣接して、前記(2)(3)の工程と同様の手順で、壁体パネルPを設置する。これらの隣接する壁体パネルP相互を横継ぎ構造をもって接合する。
【0020】
(5) 横方向に相並べられた壁体パネルPの上部を屋根枠Kをもって固定し、必要に応じて屋根Rを設置する。
【0021】
(6) 壁体パネルPの設置が安定した状態で、土間コンクリートCの打設が行われる。すなわち、これに先立ち、水平アンカー筋8が壁体パネルPに取り付けられる。しかる後、土間コンクリートCの型枠工が施され、土間コンクリートCを壁体パネルPと基礎部Bの天端との間に十分に行き渡るように打設し、かつ、下部凹部6、水平アンカー筋8を埋殺す状態まで打設する(図12参照)。
【0022】
本実施形態の定着構造によれば、壁体パネルPはアンカーボルト1に螺装された下部ナット20により基礎部Bの天端より十分な高さをもって支持されるとともに、該高さを自在に調整できる。これにより、精確な水準をなすことができ、壁体パネルPと基礎部Bの天端との間の隙間を十分大きく確保できる。
また、埋込み金具13の調整孔17はアンカーボルト1との間で十分に空隙を存するので、壁体パネルPの横ずれが吸収でき、建込み作業が容易に行われる。 打設された土間コンクリートCは壁体パネルPと基礎部Bの天端との間の隙間に充填され、該土間コンクリートCの固結に伴い、壁体パネルPを支持するとともに、かつ、水平アンカー筋8との結合により、壁体パネルPと基礎部Bとの強固な一体化がなされる。
【0023】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明の壁体パネルの定着構造によれば、壁体パネルはアンカーボルトに螺装された下部ナットにより基礎部の天端より十分な高さをもって支持されるとともに、該高さを自在に調整でき、精確な水準をなすことができ、壁体パネルと基礎部の天端との間の隙間を十分大きく確保できる。
また、打設された土間コンクリートは壁体パネルと基礎部の天端との間の隙間に充填され、該土間コンクリートの固結に伴い、壁体パネルを支持するとともに、かつ、水平アンカー筋との結合により、壁体パネルと基礎部との強固な一体化がなされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパネル建物構造の一実施形態の分解構成図。
【図2】基礎部の断面図。
【図3】パネルの全体構成図。
【図4】埋込み金具の正面図。
【図5】埋込み金具の平面図。
【図6】図3のI部拡大図(図7のVI方向矢視図)。
【図7】図6のVII-VII 線断面図。
【図8】図7のVIII-VIII 線断面図。
【図9】頭継ぎ部の断面図。
【図10】図9のX方向矢視図。
【図11】横継ぎ部の一部断面側面図。
【図12】定着構造の施工態様断面図。
【符号の説明】
P…コンクリート製壁体パネル、B…基礎部、K…屋根枠、C…土間コンクリート、1…アンカーボルト、6…下部凹部、7…アンカー用インサート、8…水平アンカー筋、13…埋込み金具、17…調整孔、20…下部ナット、23…上部ナット
【発明の属する技術分野】
この発明はコンクリート製壁体パネルにより壁体が構成されてなるいわゆるパネル建物構造に関し、更に詳しくは、当該壁体パネルの基礎部との定着構造並びにその定着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
壁体パネルを横方向に連接して壁体を構成する建物構造において、壁体パネルの基礎部への設置に際し、その水準を精確になす必要がある。
従来においては、基礎部の天端と壁体パネルとの間に複数の座板を介装させる手段が採られている。
しかしながら、この従来手段によって、壁体パネルの水準が段階状に変化し、連続的に調整することが困難である。また、該壁体パネルの基礎部への定着はアンカーボルト以外には格別の配慮が払われておらず、強度的にも問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は簡単な構造で壁体パネルの水準を精確になし得る壁体パネルの定着構造を得ることを目的とする。
更には、壁体パネルを基礎部に強固に定着することのできる壁体パネルの定着構造を得ることも他の目的とする。
本発明はこのため、壁体パネルと基礎部の天端とを一定以上の間隔を保持することに着想を得てなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の壁体パネルの定着構造は具体的には次の構成を採る。
コンクリート製布基礎上に載置されるコンクリート製壁体パネル相互を横方向に相並べて壁体が構成され、該布基礎の天端と該壁体パネルとの隙間に土間コンクリートの打設コンクリートが充填されて該土間コンクリートとともに一体構造を得る建物構造において、前記布基礎部には上部にねじ部を有するアンカーボルトが所定間隔をもって植設され、前記壁体パネルの下辺部の両端部には、前記基礎部のアンカーボルトを遊嵌する調整孔を有する埋込み金具を介して該アンカーボルトを受け入れる凹部が内側に向けて形成され、前記壁体パネルの下辺部の内側には、所定間隔をもって前記凹部に相並んで、根本部にねじを有するとともに前記土間コンクリートに埋設される水平アンカー筋用のアンカー用インサートが埋め込まれ、かつ、該アンカー用インサートに水平アンカー筋が取り付けられ、前記アンカーボルトのねじ部には前記壁体パネル下辺部の凹部の埋込み金具を上下から挟着する上部及び下部ナットが螺装されてなることを特徴とする。
コンクリート製布基礎上にコンクリート製壁体パネル相互を横方向に相並べて壁体を構成し、該布基礎の天端と該壁体パネルとの隙間に土間コンクリートの打設コンクリートが充填されて該土間コンクリートとともに一体構造を得る建物の構築方法であって、前記布基礎に所定間隔をもって植設された上部にねじ部を有するアンカーボルトに、その下辺部の両端部の内側に前記布基礎のアンカーボルトを遊嵌する調整孔を有する埋込み金具を介して該アンカーボルトを受け入れる凹部が形成されるとともに、所定間隔をもって前記凹部に相並んで、根本部にねじを有する水平アンカー筋用のアンカー用インサートが埋め込まれた壁体パネルを建て込み、前記アンカーボルトに螺装され、前記凹部の埋込み金具を上下から挟着する上部及び下部ナットをもって前記壁体パネルの水準をなすとともに、前記アンカー用インサートに水平アンカー筋を取り付け、しかる後、前記凹部の上位に達するとともに前記アンカー用インサートに装着された水平アンカー筋を埋殺し状に土間コンクリートを打設することを特徴とする。
【0005】
(作用)
壁体パネルの基礎部への設置において、アンカーボルトに下部ナットが螺合され、しかる後、壁体パネルが建て込まれ、該下部ナットで支持する。この状態で上部ナットを螺合し、上部及び下部ナットの締込みにより水準をなす。
また、水平アンカー筋を壁体パネルの下端に取り付け、下部凹部並びに水平アンカー筋を埋殺し状態に土間コンクリートを打設する。
壁体パネルは基礎部の天端から十分な高さのすき間をもって設置され、土間コンクリートはこの隙間にも充填され、かつ、水平アンカー筋との結合により、壁体パネルは基礎部との一体化がなされる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のコンクリート製壁体パネルによる建物構造におけるパネルの定着構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図11はその一実施形態のパネル建物構造を示し、平屋建て建物への適用を示す。すなわち、図1はその全体構成を示し、図2〜図11はその部分構成を示す。
【0007】
図1はこの平屋建て建物の分解構成を示す。
図1において、Bは基礎部であってアンカー部材が植設されて立設され、Pは壁体パネルであって基礎部Bのアンカー部材に固定され、Kは屋根枠であって壁体パネルPの上部に剛接され、Rは屋根材であって屋根枠Kに載置固定される。
【0008】
以下、各部の細部構造を説明する。
基礎部B(図2参照)
基礎部Bは鉄筋コンクリート製よりなり、いわゆる布基礎構造をなし、その本体には上方に突出するアンカーボルト1が植設される。
この基礎部Bは、表土を剥がれた地盤E上に割り栗石100を敷き固め、更にその上に捨てコンクリート102を打設し、この基礎部Bの本体が構築されるものであるが、これは通常の施工態様である。
アンカーボルト1は、ボルト杆部1aとねじ部1bとからなり、該杆部1aを基礎本体内に埋設され、上部のねじ部1bは基礎部Bの上面より突出する。なお、該アンカーボルト1のねじ部1aを必須とし、ボルト杆1aの形態は自由である。
【0009】
壁体パネルP(図3〜図11参照)
壁体パネルPは、全体として、一定厚さを有し所定の剛性を保持する矩形平板状をなし、鉄筋コンクリート製をもって形成される。このため、躯体部は、縦筋2、横筋3による鉄筋網(メッシュ)4を内部に配し、かつ、補強筋(図示せず)を適宜に配し、これらをコンクリート5をもって一体的に包み込んで形成される。
また、図3に示されるように、該壁体パネルPの内側の下辺部には、両側端近傍に2つの下部凹部6が凹設され、また、該下部凹部6に並んで内側面に向けて開口する複数のアンカー用インサート7が配される。該下部凹部6は基礎部のアンカーボルト1を受け入れ、アンカー用インサート7は水平アンカー筋8(図8参照)を受け入れる。更に、該壁体パネルPの上辺部には頭継ぎ部9が設置され、一方の側辺部には横継ぎ用の側部凹部10が、また、他方の側辺部には側部凹部10に対応して横継ぎ用のインサート11が設置される。
【0010】
(下部凹部6)
下部凹部6は壁体パネルPの内側の下辺部に複数箇所(本実施形態では2か所)にわたって形成され、埋込み金具13を介して、基礎部Bとの定着に供せられる。
(埋込み金具13)(図4、図5参照)
埋込み金具13は、図4・図5に示されるように、所定幅と厚さを有する底板14と、該底板14の上面に3方を囲む壁板15と、両側の壁板15の外側面に固設されるとともに上方に延設されるアンカー材16と、からなる。底板14には中央に大径の調整孔17が開設され、アンカーボルト1を遊嵌する。
しかして、該埋込み金具13はその底板14を壁体パネルPの下面と面一にして、下部凹部6の下底に露出して配され、壁板15及びアンカー材16はコンクリート躯体中に埋設される。
【0011】
(アンカー用インサート7・水平アンカー筋8)
アンカー用インサート7は、壁体パネルPの下端の内側に複数箇所(本実施形態では3か所)にわたって設置され、水平アンカー筋8を受け入れる。図8はその詳細を示し、円筒部の内周面にはねじ7aが螺設され、その基部7bは躯体のコンクリートとの定着を図る。水平アンカー筋8は、その根本部8aはねじに形成され、該ねじ部8aをアンカー用インサート7のねじ孔7aに螺入して固定される。
【0012】
図6〜図8において、基礎部Bの上面に突出するアンカーボルト1のねじ部1bに下部ナット20及び下部ワッシャ21が装着され、パネルPの下部凹部8の埋込み金具13の調整孔17に嵌挿され、更に上部ワッシャ22及び上部ナット23が装着される。
【0013】
(頭継ぎ部9)(図9、図10参照)
頭継ぎ部9は、壁体パネルPの上辺部に設けられ、ねじ筒25と、該ねじ筒25を壁体パネルPの本体に定着するアンカー材26と、ねじ筒25に螺合する取付けボルト27と、該ボルト27により壁体パネルPの頭部に固定される頭継ぎ材28と、からなる。29はワッシャである。
もっと詳しくは、ねじ筒25は下辺部の下部凹部8の対応位置に設けられ、その上縁は壁体パネルPの本体の上面に面一となる。なお、ねじ筒25には、取付けボルト27に替えて、壁体パネルPの吊り込み作業に使用される吊りボルト(図示せず)が螺装される。
しかして、この頭継ぎ部9の頭継ぎ材28上にチャンネル材よりなる屋根枠Kが直接的に溶接等の手段をもって固設される。
【0014】
(横継ぎ構造)(図11参照)
壁体パネルPの側辺部に配される側部凹部10とインサート11とは相隣り合って継ぎ手構造を形成する。すなわち、側部凹部10には下部凹部6に準じる埋込み金具31が固設され、そのボルト挿通孔を介してインサート11のねじ孔11aにボルト32が螺装され、該ボルト32を締め込んで相隣れるパネルP相互の固定をなす。
【0015】
叙上の構成よりなる壁体パネルPによる建物の構築について述べる。
以下、施工手順に従って説明する。
【0016】
(1) 基礎部Bが構築され、アンカーボルト1は所定の間隔で設置される。
この基礎部Bのアンカーボルト1のねじ部1bに下部ナット20及び下部ワッシャ21が装着される。
【0017】
(2) 壁体パネルPの上辺部の頭継ぎ部9のねじ筒25に吊りボルトが螺装され、該吊りボルトを介してクレーン装置(図示せず)をもって該壁体パネルPを吊り上げ、その下辺部を基礎部Bに建て込む。
すなわち、埋込み金具13の調整孔17にアンカーボルト1を挿通し、埋込み金具13が下部ナット20・ワッシャ21に当接された状態で上部ワッシャ22及び上部ナット23を装着する。
【0018】
(3) しかる後、壁体パネルPの位置調整がなされる。
すなわち、壁体パネルPの横方向のずれは調整孔17とアンカーボルト1との隙間で吸収され、壁体パネルPの水準は下部ナット20と上部ナット23との上下動で吸収される。
【0019】
(4) 先に設置された壁体パネルPに隣接して、前記(2)(3)の工程と同様の手順で、壁体パネルPを設置する。これらの隣接する壁体パネルP相互を横継ぎ構造をもって接合する。
【0020】
(5) 横方向に相並べられた壁体パネルPの上部を屋根枠Kをもって固定し、必要に応じて屋根Rを設置する。
【0021】
(6) 壁体パネルPの設置が安定した状態で、土間コンクリートCの打設が行われる。すなわち、これに先立ち、水平アンカー筋8が壁体パネルPに取り付けられる。しかる後、土間コンクリートCの型枠工が施され、土間コンクリートCを壁体パネルPと基礎部Bの天端との間に十分に行き渡るように打設し、かつ、下部凹部6、水平アンカー筋8を埋殺す状態まで打設する(図12参照)。
【0022】
本実施形態の定着構造によれば、壁体パネルPはアンカーボルト1に螺装された下部ナット20により基礎部Bの天端より十分な高さをもって支持されるとともに、該高さを自在に調整できる。これにより、精確な水準をなすことができ、壁体パネルPと基礎部Bの天端との間の隙間を十分大きく確保できる。
また、埋込み金具13の調整孔17はアンカーボルト1との間で十分に空隙を存するので、壁体パネルPの横ずれが吸収でき、建込み作業が容易に行われる。 打設された土間コンクリートCは壁体パネルPと基礎部Bの天端との間の隙間に充填され、該土間コンクリートCの固結に伴い、壁体パネルPを支持するとともに、かつ、水平アンカー筋8との結合により、壁体パネルPと基礎部Bとの強固な一体化がなされる。
【0023】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明の壁体パネルの定着構造によれば、壁体パネルはアンカーボルトに螺装された下部ナットにより基礎部の天端より十分な高さをもって支持されるとともに、該高さを自在に調整でき、精確な水準をなすことができ、壁体パネルと基礎部の天端との間の隙間を十分大きく確保できる。
また、打設された土間コンクリートは壁体パネルと基礎部の天端との間の隙間に充填され、該土間コンクリートの固結に伴い、壁体パネルを支持するとともに、かつ、水平アンカー筋との結合により、壁体パネルと基礎部との強固な一体化がなされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパネル建物構造の一実施形態の分解構成図。
【図2】基礎部の断面図。
【図3】パネルの全体構成図。
【図4】埋込み金具の正面図。
【図5】埋込み金具の平面図。
【図6】図3のI部拡大図(図7のVI方向矢視図)。
【図7】図6のVII-VII 線断面図。
【図8】図7のVIII-VIII 線断面図。
【図9】頭継ぎ部の断面図。
【図10】図9のX方向矢視図。
【図11】横継ぎ部の一部断面側面図。
【図12】定着構造の施工態様断面図。
【符号の説明】
P…コンクリート製壁体パネル、B…基礎部、K…屋根枠、C…土間コンクリート、1…アンカーボルト、6…下部凹部、7…アンカー用インサート、8…水平アンカー筋、13…埋込み金具、17…調整孔、20…下部ナット、23…上部ナット
Claims (2)
- コンクリート製布基礎上に載置されるコンクリート製壁体パネル相互を横方向に相並べて壁体が構成され、該布基礎の天端と該壁体パネルとの隙間に土間コンクリートの打設コンクリートが充填されて該土間コンクリートとともに一体構造を得る建物構造において、
前記布基礎部には上部にねじ部を有するアンカーボルトが所定間隔をもって植設され、
前記壁体パネルの下辺部の両端部には、前記基礎部のアンカーボルトを遊嵌する調整孔を有する埋込み金具を介して該アンカーボルトを受け入れる凹部が内側に向けて形成され、
前記壁体パネルの下辺部の内側には、所定間隔をもって前記凹部に相並んで、根本部にねじを有するとともに前記土間コンクリートに埋設される水平アンカー筋用のアンカー用インサートが埋め込まれ、かつ、該アンカー用インサートに水平アンカー筋が取り付けられ、
前記アンカーボルトのねじ部には前記壁体パネル下辺部の凹部の埋込み金具を上下から挟着する上部及び下部ナットが螺装されてなる、
ことを特徴とする壁体パネルの定着構造。 - コンクリート製布基礎上にコンクリート製壁体パネル相互を横方向に相並べて壁体を構成し、該布基礎の天端と該壁体パネルとの隙間に土間コンクリートの打設コンクリートが充填されて該土間コンクリートとともに一体構造を得る建物の構築方法であって、
前記布基礎に所定間隔をもって植設された上部にねじ部を有するアンカーボルトに、
その下辺部の両端部の内側に前記布基礎のアンカーボルトを遊嵌する調整孔を有する埋込み金具を介して該アンカーボルトを受け入れる凹部が形成されるとともに、
所定間隔をもって前記凹部に相並んで、根本部にねじを有する水平アンカー筋用のアンカー用インサートが埋め込まれた壁体パネルを建て込み、
前記アンカーボルトに螺装され、前記凹部の埋込み金具を上下から挟着する上部及び下部ナットをもって前記壁体パネルの水準をなすとともに、前記アンカー用インサートに水平アンカー筋を取り付け、
しかる後、前記凹部の上位に達するとともに前記アンカー用インサートに装着された水平アンカー筋を埋殺し状に土間コンクリートを打設する、
ことを特徴とする壁体パネルの定着方法。
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