JP3541502B2 - エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材に関し、例えば、ディーゼルエンジンのホットチャンバー(コンバッションチャンバー)に好適な耐熱部材(部品ないしは素材)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材、例えば、ディーゼルエンジンのホットチャンバーは、加熱および冷却が繰り返し付与される状態で使用されるため、耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性等)および耐酸化性などに優れていることが要求されると共に、冷却時の耐スケール剥離性にも優れていることが要求される。
【0003】
ディーゼルエンジンのホットチャンバーは、図1に示すように、吸気ポート1を開閉する吸気バルブ2および排気ポート3を開閉する排気バルブ4を備えたシリンダボア5の上部ないしはやや側方にホットチャンバー(コンバッションチャンバー)6として取り付けられており、このホットチャンバー6には副噴口6aが設けられていると共に、グロープラグ7および噴射ノズル8が設けられている。
【0004】
このホットチャンバー6は、渦流式タイプのものに適用されており、シリンダボア5により形成される主燃焼室の上部ないしは側方に球形状ないしは繭形状の副燃焼室を設け、圧縮工程時においてこの副燃焼室の部分で空気の渦流を発生させると同時にこの副燃焼室の部分に噴射ノズル8から燃料を噴射し、この渦流を利用して高圧空気と燃料とをよく混合させて燃焼させる方式のものに使用される。
【0005】
そのため、加熱−冷却の繰り返しの環境の下で使用されることとなるので、耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性等),耐酸化性,耐スケール剥離性などに優れていることが要求される。
【0006】
従来、このようなホットチャンバーの素材としては、マルテンサイト系,フェライト系,オーステナイト系のステンレス鋼ないしは耐熱鋼が使用されており、冷間鍛造か精密鋳造により製造されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジンの出力向上や排ガス規制対策などにより、ホットチャンバー内の温度はさらに上昇する傾向を示しており、今後、より一層の耐熱性,耐酸化性を有するものが要求されていることから、このような特性の優れたホットチャンバーなどのエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材の開発が望まれているという課題があった。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、このような従来の課題にかんがみてなされたものであって、耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性等)および耐酸化性により一層優れているエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材は、請求項1に記載しているように、重量%で、C:0.1〜0.4%、Si:1.0%以下、Mn:0.6%以下、Cr:16〜21%、Ta:1.5〜6%、およびMo:0.5%以下,V:0.2%以下,W:2.0%以下のうちの1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不純物の組成を有するフェライト系耐熱鋳鋼からなることを特徴としている。
【0010】
そして、本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材においてはさらに、請求項2に記載しているように、Taの一部をNbで置換してなるものとすることができる。
【0011】
また、本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材は、請求項3に記載しているように、エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材が、ディーゼルエンジンのホットチャンバーであるものとすることができる。
【0012】
【発明の作用】
本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材は、上記した化学成分組成(重量%)を有するものであるが、次に、その成分組成の限定理由を各元素の作用と共に説明する。
【0013】
C:0.1〜0.4%
Cは高温クリープ強度を高めるのに寄与する析出強化元素であり、このような作用を得るためには0.1%以上、より好ましくは0.15%、さらに好ましくは0.18%以上含有させることとしている。しかし、多すぎるとマルテンサイト組織となり、耐酸化性および耐食性を低下させるため、0.4%以下、より好ましくは0.35%以下、さらに望ましくは0.3%以下としている。
【0014】
Si:1.0%以下
Siはγ相の範囲を狭め、フェライト組織を安定化するのに寄与すると共に、耐酸化性被膜の生成に有効であって耐酸化性の向上に寄与する元素であるが、多すぎると靭性および加工性を低下させることから1.0%以下、より好ましくは0.95%以下としている。
【0015】
Mn:0.6%以下
Mnはエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材を鋳造によって製造する場合の鋳造性を向上させるのに有効な元素であるが、多すぎると靭性や加工性を害することとなるので0.6%以下、より好ましくは0.55%以下としている。
【0016】
Cr:16〜21%
Crは耐酸化性の向上に有効な元素であると共に炭化物,窒化物などを析出することによって高温強度を向上させるのにも有効な元素であるので、このような作用を得るために16%以上、より好ましくは16.5%以上、さらに好ましくは17%以上としている。しかし、多すぎると一次炭化物の粗大化を生じたり高温でのσ相の生成などをきたしたりするので、21%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは19%以下としている。
【0017】
Ta:1.5〜6%
TaはCと結合して共晶炭化物を形成することにより高温強度を向上させるのに有効な元素であるので、このような作用を得るために1.5%以上、より好ましくは2%以上含有させることとしている。しかし、多すぎると靭性を害することとなるので、6%以下としている。
【0018】
そして、このTaに代えてNbを含有させることによっても高温強度を向上させる作用が得られ、Taの上限である6%と同価の作用は4%Ta+1.2%Nb,2%Ta+1.5%Nb,0%Ta+2.5%Nbであることが認められたので、Nbは2.5%以下の範囲で置換するようになすことも場合によっては望ましい。
【0019】
Mo:0.5%以下,V:0.2%以下,W:2.0%以下のうちの1種または2種以上
Mo,V,Wは高温強度を向上させるのに有効な元素であるので、これらの元素のうちの1種または2種以上を含有させる。そして、Moは少量の添加で高温クリープ強度を向上させるのに有用な元素であるが、多すぎると靭性を害することとなるので0.5%以下、場合によっては0.4%以下とするのがよく、VはCと結合して析出強化することによって高温での強度を向上させるのに有用な元素であるが、多すぎると靭性を害することとなるので0.2%以下とするのがよく、Wはフェライト基地を固溶強化して室温における延性を損なわずに高温強度を向上させるのに有用な元素であるが、多すぎると靭性を害することとなるので2.0%以下とするのがよい。
【0020】
本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材は、このような組成としたことにより、900℃以上、さらには1050℃程度の高温においても耐熱性および耐酸化性に優れたものとなり、高温での耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性等)および耐酸化性ならびに冷却時の耐スケール剥離性に優れていることが要求されるディーゼルエンジン用ホットチャンバーとして好適なものとなる。
【0021】
【実施例】
表1に示した化学成分組成の合金溶湯を溶製したのち、精密鋳造鋳型を用いた減圧吸引鋳造法によってディーゼルエンジン用ホットチャンバーに鋳造成形した。
【0022】
【表1】
【0023】
次いで、各鋳造成形品において、ゲートカットおよびサンドブラストを行った後、780℃×1H加熱保持→空冷の応力除去焼鈍を実施し、各試験のテストサンプルとした。
【0024】
各試験のうち、引張試験は、常温(20℃)および高温(900℃)で実施した。この結果を表2に示す。
【0025】
また、耐酸化性の評価試験は、φ5×20mmの試験片を1000℃×20H加熱保持→空冷の加熱・冷却を3回繰り返し、その都度、酸化による重量増加量を測定した。この結果を同じく表2に示す。
【0026】
そして、耐スケール剥離性の評価試験は、上記耐酸化性の評価試験において、スケールの剥離の有無を目視によって評価した。この結果を同じく表2に示すが、○はスケールの剥離が全くなかったこと、△はスケールの剥離が若干認められたことを示している。
【0027】
さらに、熱疲労試験は、各ホットチャンバー材について 常温⇔950℃ の加熱・冷却を400サイクル繰り返し、その後の耐熱変形性および耐熱亀裂性を評価した。これらの結果を同じく表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
表1および表2に示した結果より明らかなように、本発明例No.7〜9では、比較例No.1(SUS430)に比べて、常温での引張強度特性に優れているだけでなく、高温での引張強度特性にも優れていることが明らかである。
【0030】
また、本発明例No.7〜9では、比較例No.1(SUS430)に比べて酸化増量が少なく、耐酸化性に優れていることが明らかであり、耐スケール剥離性にも優れていると共に、耐熱変形性および耐熱亀裂性も良好なものであることが認められた。
【0031】
したがって、本発明によるフェライト系耐熱鋳鋼を素材とした耐熱部材は、耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性),耐酸化性,耐スケール剥離性に優れていることから、ディーゼルエンジンのホットチャンバーに適用すると有効であることが確かめられた。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材は、重量%で、C:0.1〜0.4%、Si:1.0%以下、Mn:0.6%以下、Cr:16〜21%、Ta:1.5〜6%、およびMo:0.5%以下,V:0.2%以下,W:2.0%以下のうちの1種または2種以上を含み、残部Feおよび不純物の組成を有するフェライト系耐熱鋳鋼からなるものであるから、耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性)および耐酸化性に優れ、耐スケール剥離性にも優れたものであり、例えば、ディーゼルエンジンのホットチャンバー(コンバッションチャンバー)に好適なものであるという著しく優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジンのホットチャンバー(コンバッションチャンバー)付近の構造を例示する斜面説明図である。
【符号の説明】
2 吸気バルブ
4 排気バルブ
6 ホットチャンバー
8 噴射ノズル
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材に関し、例えば、ディーゼルエンジンのホットチャンバー(コンバッションチャンバー)に好適な耐熱部材(部品ないしは素材)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材、例えば、ディーゼルエンジンのホットチャンバーは、加熱および冷却が繰り返し付与される状態で使用されるため、耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性等)および耐酸化性などに優れていることが要求されると共に、冷却時の耐スケール剥離性にも優れていることが要求される。
【0003】
ディーゼルエンジンのホットチャンバーは、図1に示すように、吸気ポート1を開閉する吸気バルブ2および排気ポート3を開閉する排気バルブ4を備えたシリンダボア5の上部ないしはやや側方にホットチャンバー(コンバッションチャンバー)6として取り付けられており、このホットチャンバー6には副噴口6aが設けられていると共に、グロープラグ7および噴射ノズル8が設けられている。
【0004】
このホットチャンバー6は、渦流式タイプのものに適用されており、シリンダボア5により形成される主燃焼室の上部ないしは側方に球形状ないしは繭形状の副燃焼室を設け、圧縮工程時においてこの副燃焼室の部分で空気の渦流を発生させると同時にこの副燃焼室の部分に噴射ノズル8から燃料を噴射し、この渦流を利用して高圧空気と燃料とをよく混合させて燃焼させる方式のものに使用される。
【0005】
そのため、加熱−冷却の繰り返しの環境の下で使用されることとなるので、耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性等),耐酸化性,耐スケール剥離性などに優れていることが要求される。
【0006】
従来、このようなホットチャンバーの素材としては、マルテンサイト系,フェライト系,オーステナイト系のステンレス鋼ないしは耐熱鋼が使用されており、冷間鍛造か精密鋳造により製造されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジンの出力向上や排ガス規制対策などにより、ホットチャンバー内の温度はさらに上昇する傾向を示しており、今後、より一層の耐熱性,耐酸化性を有するものが要求されていることから、このような特性の優れたホットチャンバーなどのエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材の開発が望まれているという課題があった。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、このような従来の課題にかんがみてなされたものであって、耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性等)および耐酸化性により一層優れているエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材は、請求項1に記載しているように、重量%で、C:0.1〜0.4%、Si:1.0%以下、Mn:0.6%以下、Cr:16〜21%、Ta:1.5〜6%、およびMo:0.5%以下,V:0.2%以下,W:2.0%以下のうちの1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不純物の組成を有するフェライト系耐熱鋳鋼からなることを特徴としている。
【0010】
そして、本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材においてはさらに、請求項2に記載しているように、Taの一部をNbで置換してなるものとすることができる。
【0011】
また、本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材は、請求項3に記載しているように、エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材が、ディーゼルエンジンのホットチャンバーであるものとすることができる。
【0012】
【発明の作用】
本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材は、上記した化学成分組成(重量%)を有するものであるが、次に、その成分組成の限定理由を各元素の作用と共に説明する。
【0013】
C:0.1〜0.4%
Cは高温クリープ強度を高めるのに寄与する析出強化元素であり、このような作用を得るためには0.1%以上、より好ましくは0.15%、さらに好ましくは0.18%以上含有させることとしている。しかし、多すぎるとマルテンサイト組織となり、耐酸化性および耐食性を低下させるため、0.4%以下、より好ましくは0.35%以下、さらに望ましくは0.3%以下としている。
【0014】
Si:1.0%以下
Siはγ相の範囲を狭め、フェライト組織を安定化するのに寄与すると共に、耐酸化性被膜の生成に有効であって耐酸化性の向上に寄与する元素であるが、多すぎると靭性および加工性を低下させることから1.0%以下、より好ましくは0.95%以下としている。
【0015】
Mn:0.6%以下
Mnはエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材を鋳造によって製造する場合の鋳造性を向上させるのに有効な元素であるが、多すぎると靭性や加工性を害することとなるので0.6%以下、より好ましくは0.55%以下としている。
【0016】
Cr:16〜21%
Crは耐酸化性の向上に有効な元素であると共に炭化物,窒化物などを析出することによって高温強度を向上させるのにも有効な元素であるので、このような作用を得るために16%以上、より好ましくは16.5%以上、さらに好ましくは17%以上としている。しかし、多すぎると一次炭化物の粗大化を生じたり高温でのσ相の生成などをきたしたりするので、21%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは19%以下としている。
【0017】
Ta:1.5〜6%
TaはCと結合して共晶炭化物を形成することにより高温強度を向上させるのに有効な元素であるので、このような作用を得るために1.5%以上、より好ましくは2%以上含有させることとしている。しかし、多すぎると靭性を害することとなるので、6%以下としている。
【0018】
そして、このTaに代えてNbを含有させることによっても高温強度を向上させる作用が得られ、Taの上限である6%と同価の作用は4%Ta+1.2%Nb,2%Ta+1.5%Nb,0%Ta+2.5%Nbであることが認められたので、Nbは2.5%以下の範囲で置換するようになすことも場合によっては望ましい。
【0019】
Mo:0.5%以下,V:0.2%以下,W:2.0%以下のうちの1種または2種以上
Mo,V,Wは高温強度を向上させるのに有効な元素であるので、これらの元素のうちの1種または2種以上を含有させる。そして、Moは少量の添加で高温クリープ強度を向上させるのに有用な元素であるが、多すぎると靭性を害することとなるので0.5%以下、場合によっては0.4%以下とするのがよく、VはCと結合して析出強化することによって高温での強度を向上させるのに有用な元素であるが、多すぎると靭性を害することとなるので0.2%以下とするのがよく、Wはフェライト基地を固溶強化して室温における延性を損なわずに高温強度を向上させるのに有用な元素であるが、多すぎると靭性を害することとなるので2.0%以下とするのがよい。
【0020】
本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材は、このような組成としたことにより、900℃以上、さらには1050℃程度の高温においても耐熱性および耐酸化性に優れたものとなり、高温での耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性等)および耐酸化性ならびに冷却時の耐スケール剥離性に優れていることが要求されるディーゼルエンジン用ホットチャンバーとして好適なものとなる。
【0021】
【実施例】
表1に示した化学成分組成の合金溶湯を溶製したのち、精密鋳造鋳型を用いた減圧吸引鋳造法によってディーゼルエンジン用ホットチャンバーに鋳造成形した。
【0022】
【表1】
【0023】
次いで、各鋳造成形品において、ゲートカットおよびサンドブラストを行った後、780℃×1H加熱保持→空冷の応力除去焼鈍を実施し、各試験のテストサンプルとした。
【0024】
各試験のうち、引張試験は、常温(20℃)および高温(900℃)で実施した。この結果を表2に示す。
【0025】
また、耐酸化性の評価試験は、φ5×20mmの試験片を1000℃×20H加熱保持→空冷の加熱・冷却を3回繰り返し、その都度、酸化による重量増加量を測定した。この結果を同じく表2に示す。
【0026】
そして、耐スケール剥離性の評価試験は、上記耐酸化性の評価試験において、スケールの剥離の有無を目視によって評価した。この結果を同じく表2に示すが、○はスケールの剥離が全くなかったこと、△はスケールの剥離が若干認められたことを示している。
【0027】
さらに、熱疲労試験は、各ホットチャンバー材について 常温⇔950℃ の加熱・冷却を400サイクル繰り返し、その後の耐熱変形性および耐熱亀裂性を評価した。これらの結果を同じく表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
表1および表2に示した結果より明らかなように、本発明例No.7〜9では、比較例No.1(SUS430)に比べて、常温での引張強度特性に優れているだけでなく、高温での引張強度特性にも優れていることが明らかである。
【0030】
また、本発明例No.7〜9では、比較例No.1(SUS430)に比べて酸化増量が少なく、耐酸化性に優れていることが明らかであり、耐スケール剥離性にも優れていると共に、耐熱変形性および耐熱亀裂性も良好なものであることが認められた。
【0031】
したがって、本発明によるフェライト系耐熱鋳鋼を素材とした耐熱部材は、耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性),耐酸化性,耐スケール剥離性に優れていることから、ディーゼルエンジンのホットチャンバーに適用すると有効であることが確かめられた。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係わるエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材は、重量%で、C:0.1〜0.4%、Si:1.0%以下、Mn:0.6%以下、Cr:16〜21%、Ta:1.5〜6%、およびMo:0.5%以下,V:0.2%以下,W:2.0%以下のうちの1種または2種以上を含み、残部Feおよび不純物の組成を有するフェライト系耐熱鋳鋼からなるものであるから、耐熱性(耐熱変形性,耐熱亀裂性)および耐酸化性に優れ、耐スケール剥離性にも優れたものであり、例えば、ディーゼルエンジンのホットチャンバー(コンバッションチャンバー)に好適なものであるという著しく優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディーゼルエンジンのホットチャンバー(コンバッションチャンバー)付近の構造を例示する斜面説明図である。
【符号の説明】
2 吸気バルブ
4 排気バルブ
6 ホットチャンバー
8 噴射ノズル
Claims (3)
- 重量%で、C:0.1〜0.4%、Si:1.0%以下、Mn:0.6%以下、Cr:16〜21%、Ta:1.5〜6%、およびMo:0.5%以下,V:0.2%以下,W:2.0%以下のうちの1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不純物の組成を有するフェライト系耐熱鋳鋼からなることを特徴とするエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材。
- Taの一部をNbで置換してなる請求項1に記載のエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材。
- エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材が、ディーゼルエンジンのホットチャンバーである請求項1,2のいずれかに記載のエンジンの燃焼部に使用される耐熱部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17249595A JP3541502B2 (ja) | 1995-07-07 | 1995-07-07 | エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17249595A JP3541502B2 (ja) | 1995-07-07 | 1995-07-07 | エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0925824A JPH0925824A (ja) | 1997-01-28 |
JP3541502B2 true JP3541502B2 (ja) | 2004-07-14 |
Family
ID=15943041
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17249595A Expired - Fee Related JP3541502B2 (ja) | 1995-07-07 | 1995-07-07 | エンジンの燃焼部に使用される耐熱部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3541502B2 (ja) |
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1995
- 1995-07-07 JP JP17249595A patent/JP3541502B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0925824A (ja) | 1997-01-28 |
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