JP3540256B2 - 単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はその先端に単結晶ダイヤモンドを有しているドリルに関し、硬脆性材、例えば、石英ガラス、シリコン、マシナブルセラミックス又はIC基板等の孔あけに適したドリルに関する。更に、通常の大きさの孔のためのドリルのみならず小径のドリルあるいは更に細い極細孔に対して有用な、いわゆる、マイクロドリルの技術の分野に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ICパッケージを実装する多層基板において、層間の接続にバイアホールが多用される。このバイアホールの径は製造技術の許す限り小径であることが望まれている。
【0003】
従来、バイアホールその他の孔あけには、弦巻状の刃溝を有する超硬合金製のマイクロドリル、又は、このマイクロドリルの超硬合金の刃部の表面に多数の微細ダイヤモンドをメッキ法により被覆して耐摩耗層を設けたマイクロドリル、あるいは、弦巻状の刃溝を備えた超硬合金製の軸とこの先端にロウ付けされた多結晶ダイヤモンドを有したマイクロドリルが使用される。
【0004】
これらのマイクロドリルは、弦巻状の刃溝(ねじれ溝)を有するため、その径が小さくなると、製造が困難になるだけでなく、ねじれ溝が設けられている分、ドリルの断面積が減少するので、強度の低下を来たし、使用上の限界に至っている。
【0005】
上記ねじれ溝は、ドリル先端部で発生した切り屑を排出するため、先端切れ刃部からシャンク手前までにわたって設けられる。このようなねじれ溝は、従来必須のものと考えられ、例えば、ガンドリルや芯残しドリルのような特別な切り屑排出構造を持つドリルを除きほとんど設けられていた。
【0006】
また、ドリル先端にはチゼルエッジが形成されており、チゼルエッジは中心からの距離がほとんどない又は0であるので、この点における周速はほとんどないか0である。一方では、ドリルの軸方向の前進速度は回転中心からの距離によらずどこでも等しいので、理論上すくい角が負になり、チゼルエッジでは切削作用がほとんど又は全く生じない。
【0007】
更に、従来、チゼルエッジは、ドリル中心(チゼルポイント)に向かって次第に高くなる2つの稜線を有しているが、この2つの稜線のなす角度が鋭く形成されていないため、ドリルの先端(すなわちチゼルポイント)が被加工物に食いつく際の位置が被加工物の表面の僅かなゆがみ、被加工物材料の局所的なバラツキ、ドリルの軸ぶれ等不測の条件により僅かながら中心からずれることがある。このような食い付き位置の微妙なずれは、あけた孔の最終位置に大きく影響を及ぼす。
【0008】
また、意図したとおりの位置にドリルが被加工物に食い付いたとしても、穿孔の途中でドリル先端の進行方向が変化し孔が曲がるような現象が生じることがある。
【0009】
このため、極細マイクロドリルのような強度の弱いドリルでは、横方向の力が加わるためドリルが折損する、ないしは、折損しないまでも穿けられた孔(表開口円又は裏開口円)の中心が意図した位置からずれるといった現象が生じる。
【0010】
また、多結晶ダイヤモンドドリルで石英ガラス、シリコン板又はマシナブルセラミックスなどの硬脆性材を対象とした孔あけではドリル寿命が短命であったり、意図した位置への食い付きが悪いことが原因となる軸折れの問題もある。
【0011】
このような鋭くないドリル先端の弊害を避けるため、また、ねじれ溝による強度低下を避けるため、先端を角錐体とし、ねじれ溝を持たないドリルが考えられている。
【0012】
このような中で、先端の強度を高めるため、ドリルの先端部(切れ刃部及びガイド部)を単結晶ダイヤモンドにて構成しようとするアイデアが実開平5−9814号(実願平3−83585号)公報、及びそのCD−ROM明細書に開示されている。ここには、4角柱のガイド部とこれに連続する先端を対稜角60度から90度の4角推を単結晶ダイヤモンドにて構成することが記載されている。
【0013】
広く知られているようにダイヤモンドはこの世で最も硬い物質であり、しかも、宝飾用、工業用ときわめて広い用途を有している。ダイヤモンド合成の技術の発展により近年比較的安価な工業用ダイヤモンドが供給されるようになったが、やはり高価であることは否めない。
【0014】
上記公報のドリルでは、先端からガイド部までもが単結晶ダイヤモンドにて構成されるため、大粒の単結晶ダイヤモンドが必要となり、非常に高価になり実用的ではない。更に、この公報には、単結晶ダイヤモンドを加工する際の結晶軸の方向、及び、ドリル軸へ取付る際の結晶面について、配慮も開示もなされていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
天然、合成にかかわらず供給されるダイヤモンドの形状(外形)、寸法は合成時の偶然に支配されて様々である。このため、これを加工するに当たっては供給されたダイヤモンドの一つ一つについて個別の工夫がなされなければならない。
【0016】
すなわち、ダイヤモンドは、その硬度が高いだけに加工が難しく、通常、回転する鋳鉄製の円盤上にダイヤモンドパウダーを塗りつけ、これに押し付ける形で行われる。そして、ダイヤモンドが結晶構造を有することから、結晶方向によってその物理的、化学的性質について異方性を示し、加工性についてもその例外ではない。
【0017】
ダイヤモンドよりも硬い素材は存在しないから、加工を施す材料として選択できる素材はダイヤモンド以上のものはなく、したがって、ダイヤモンド単結晶を任意の方向に自由に加工することは現実的にあるいは実質的に不可能である。
【0018】
図1は、ダイヤモンド結晶の結晶面を示す。ダイヤモンドは立方晶系に属する結晶構造を有しており、この図に示されるような3種の結晶面が結晶体に現れる。
【0019】
図1において(a)は{100}面を、また、この面だけから構成された結晶体を示している。結晶軸x、y、zに関してそれぞれ{100}面が現れ({100}面、{101}面、{001}面はそれぞれ互いに等価である。)、結晶体の肉側(内側)と空間側を分ける面がそれぞれ表にあるか裏にあるかに応じて、見かけ上合計6つの面がある。この6つの面だけで構成された場合が同図に示される6面体結晶である。
【0020】
(b)は{110}面を、また、この面だけから構成された結晶体を示している。(a)と同様に考えて、見かけ上合計12の面がある。この12の面だけで構成された場合が同図に示される12面体結晶である。更に、(c)は{111}面を、また、この面だけから構成された結晶体を示している。同様に、見かけ上合計8の面がある。この8つの面だけで構成された場合が同図に示される8面体結晶である。
【0021】
これらの3種の面が普通は複合されて現れる。図2は、これら3種の結晶面の全てが現れたダイヤモンド単結晶の一例を示す図であるが、この図のようにほぼ球形に近い均整のとれた形になることは稀である。
【0022】
加工性が結晶面によって大きく異なることは先に述べたが、図3は結晶方位と摩耗(加工性)の関係を示し、方位により加工性が異なることを示したグラフである。実験は水平に保たれた鋳鉄板上で、これに予め決められた研磨角度にセットされたダイヤモンドを当てて、一定の荷重及び一定の時間だけ研磨することにより行われたものである。結晶軸に平行な方向の研磨角度を0度とし、8面体面{111}面だけは任意の方向が選定されて実験されたものである。
【0023】
図3のグラフからわかるように、12面体面{110}面が最も加工性が高く、6面体面{100}面がこれに続く。一方、8面体面{111}面については、ほとんど摩耗が発生せず実質的に研磨できなかった。
【0024】
図4は単結晶ダイヤモンドの代表的な結晶面から近接する結晶面に角度を傾けて順次研磨したときの結晶面方位による研磨難易度を示した Grozinsky のステレオ投影図である。矢印は研磨が容易なことを示し、点線は困難なことを示す。
【0025】
図1(a)に示す立方体ダイヤモンドから研磨によって4角錐を得る場合、下部側面にある4つの6面体面{100}からドリル軸心と一致した結晶軸〔100〕に対し傾き角をもって研磨すれば、この傾きが45度になった時、12面体面{110}からなる4角錐が得られる。
【0026】
図4では、結晶軸〔100〕に対し結晶面方位{100}から結晶面方位{111}に向かって傾き角をもって研磨したときの研磨が難しいことを示し、結晶面方位{110}から結晶面方位{100}へ傾けた研磨では結晶面方位{110}の近傍になるに従い研磨が容易であることを示している。図3からもわかるとおり、各々の結晶面上では研磨方位によって摩耗傾向を異にしているため、研磨方位が問題となる。
【0027】
また、このとき得られた4角錐の稜線の各々は、図4が示す6面体面{100}から8面体面{111}にかけて得られる結晶面方位で耐摩耗性方位からなっている。
【0028】
本発明は、このような加工性と4角錐の稜線切れ刃の耐摩耗性を考慮したドリル頂を加工する技術を提供すること、更に、リーミング効果と寸法出しの効果を得ることを課題とするものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、
「第1番目の発明の解決手段」
第1番目の発明の解決手段は、6面体ダイヤモンドから研磨された単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルであって、この単結晶ダイヤモンドの先端部は、4角錐面を有しており、この4角錐の中心線は単結晶ダイヤモンドの一つの結晶軸及びドリル軸と一致しており、更に、ドリル軸の軸直角平面へ投影されたとき、上記4角錐の稜線の投影像は残る2つの結晶軸に対して45度±5度の角度をなしているとともに、上記4角錐の対稜角は90度±10度の範囲であるものである。
【0030】
「第2番目の発明の解決手段」
第2番目の発明の解決手段は、第1番目の発明の単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルにおいて、上記単結晶ダイヤモンドを{100}面によってドリル軸にロウ付けしたものである。
【0031】
「第3番目の発明の解決手段」
第3番目の発明の解決手段は、第1番目又は第2番目の発明の単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルにおいて、ドリルの中心軸と稜線を含む面に対して65度から85度までの範囲の角度をなす面によって落とされた逃げ角が形成されているものである。
【0032】
「第4番目の発明の解決手段」
第4番目の発明の解決手段は、第1番目から第3番目までの発明の単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルにおいて、上記単結晶ダイヤモンドの4角錐の底辺角部には、ドリル軸と平行な面であって、ドリルの中心軸と稜線を含む面に対して65度から85度の範囲の角度をなす面によって落とされた負のすくい角が形成されているものである。
【0033】
「第5番目の発明の解決手段」
第5番目の発明の解決手段は、第1番目から第4番目までの単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルにおいて、このドリルを小径ドリルおよびマイクロドリルを含むドリルとしたものである。
【0034】
更に、本明細書には、第1番目から第5番目までの単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルにおいて、ドリル軸の材料を超硬合金とすること、ドリル軸の材料を鋼とすること、ドリル軸の円筒面を微細ダイヤモンドの耐摩耗層を有するようにすること、及び、単結晶ダイヤモンドのドリル軸へのロウ付けを不活性ガス中で行うことが開示されている。
【0035】
【発明の実施の形態】
先に、図1及び図2において、産出あるいは合成されるダイヤモンドの外形の例を示し、このような均整のとれた形状になることは希である旨を説明した。ダイヤモンドの合成法によって合成された単結晶ダイヤモンドは図5に示すような面{100}と面{111}からなる切頭(角に面{111}が現れている)6面体である。この大きい結晶体のものは結晶面方位を定め、レーザによって所定の寸法に切断され、面{100}からなる6面体(4角柱)ダイヤモンドとなる(図8参照)。
【0036】
なお、図5には、切頭6面体ダイヤモンド1が取り付けられるドリル軸2の一部が点線にて示されている。また、理解を容易にするため、図5には切頭6面体ダイヤモンド1のうちの均整のとれたものが示されているが、実際使用されるものは、多少歪なもの(上下の{100}面の大きさが異なる等)も許容される。ただし、この場合にあっても、結晶の性質から各結晶面の方向は一定である。
【0037】
図6には、上記切頭6面体ダイヤモンド1の上面図、3方向からの側面図が示されており、それぞれ(a)はz軸方向からみた上面図、(b)はy軸方向から見た側面図、(c)は、x軸方向から見た側面図、(d)は、(a)において45度方向から見た側面図である。
【0038】
本発明実施例において、ドリル先端の切頭6面体ダイヤモンド又は面{100}からなる6面体(4角柱)ダイヤモンドは、その下方の{100}面によってドリル軸2にロウ付けされる。このダイヤモンドは(b)に示す研磨面p1によってz軸(ドリル中心軸)周りに90度ずつ割り出されて研磨される。この例では研磨面p1とz軸の傾きは35度16分にとられている。
【0039】
こうして形成された4角錐は、ドリル軸と同じ軸を有するドリルの先端となり、その4つの稜は3つの結晶軸に対して平行な方向を持たず耐摩耗性方位を示している。
【0040】
この例では、対面角は70度32分(上記研磨面p1に対するz軸との傾き35度16分の2倍)であることから、図6(d)に示されるように、形成された4角錐の対稜角は8面体結晶の対稜角と等しい90度になる。なお、稜線は、図6(a)でみたとき、点線で示したx軸及びy軸に対し45度方向にあらわれる。
【0041】
上記ドリル対稜角は、90度に限られるものではなく、90度±10度の範囲に選ぶことができる。対稜角をこの範囲に選ぶ理由は、ドリル対稜角が100度を超えるとドリルの食い付きが悪くなり、あけた穴の中心位置の精度が悪化するからであり、また、80度以下では最先端部が欠けやすくなり寿命が短命化するからである。つまり、寿命と精度のバランスを考慮して決められた範囲である。
【0042】
図7には、こうして創成された4角錐面に加工されたダイヤモンド1とこれが固着されたドリル軸2とが示されている。
【0043】
上記4角錐は、別な表現をすれば、この4角錐の中心線が単結晶ダイヤモンドの一つの結晶軸及びドリル軸と一致しており、更に、ドリル軸の軸直角平面へ投影されたとき、上記4角錐の稜線の投影像は残る2つの結晶軸に対して45度であるが、場合によりこの角度から±5度の範囲にとることができる。
【0044】
ドリル軸2は、ドリル把持のために通常のシャンク15(図15参照)を有しており、本発明実施例では、この状態でドリルとして使用可能である。しかしながら、加工孔の径を定める稜は軸心から等距離にあるとは限らず、また、角部を形成するので、ドリル加工孔の内側面の面が荒く仕上げられる。そこで、ドリル加工される孔の直径を調整するために、図7の囲み部分5の角8(錐体底部の角部)がドリル軸に平行な2つの平面によって落とされる。
【0045】
図8はドリル軸方向から見た平面図であって、この図に示すように、単結晶ダイヤモンドの4角錐の4つの底辺角部には、ドリル軸と平行な面であって、ドリルの中心軸と稜線を含む面に対して65度から85度までの範囲の角度をなす面(研磨面p2)によって落とされた逃げ角と、ドリルの中心軸と稜線を含む面に対して65度から85度の範囲の角度をなす面(研磨面p3)によって落とされた負のすくい角が形成される。図9にはこうして逃げ角とすくい角が形成されたドリルの先端近傍を示す。この2面によって形成された新たな稜20は軸心と平行であって、加工孔の径を定めるとともに、孔の面粗度を改善する。
【0046】
別の例、すなわち、6面体ダイヤモンド(つまり、切頭6面体でない単結晶ダイヤモンド)から、本発明にかかるドリルを製造する過程を図10、図11、図12、及び、図13に示し、それぞれ、図5、図6、図7及び図9に対応するものである。この過程は上に説明した切頭6面体ダイヤモンドの場合とほとんど同じであるので省略する。ただ、4角錐面を形成した段階で、はじめから存在している6面体ダイヤモンドの稜の一部が図12に稜21として示されるように残されている。この稜21はドリル軸と平行であり、このままでも一応リーミング作用をするものであるが、孔径の寸法を出すため、先の例(図8)と同様に図13に示すようにドリル軸に平行な2つの面で落とされて稜20(図13)が形成される。
【0047】
図14は、本発明実施例の完成した単結晶ダイヤモンドを先端に有したドリルの全体図である。先端部以外は通常のドリル例えばマイクロドリルと同様の寸法、形状の構成とすることができる。ドリル軸2はその材料として超硬を使用し、切り粉によって削られドリル軸がやせ細ることを防止するようにすることができる。一方、超硬はもろいため折損しやすいことから、ドリル軸を靭性の高い鋼材とし、この場合に生じ易い切り粉によるやせ細りを防止するため、ドリル軸表面に微細ダイヤモンドを付着させることにより耐摩耗層を設けるようにすることが可能である。この耐摩耗層はドリル軸を超硬とした場合にも設けることができる。
【0048】
材料の6面体ダイヤモンド1は予めドリル軸2に固着(ロウ付け)した後、これを上に述べたようにして4角錐に加工することも、6面体ダイヤモンド1を別の軸に取付て4角錐に加工した後、これを取り外してドリル軸に固着するようにすることも可能である。前者の場合は、後者のようなドリル先端とシャンクとの調芯性を確保するための厳密な位置あわせが必要なくなるので生産性が向上する。また、ロウ付けは不活性ガス中で行う方がよい。
【0049】
更に、本発明実施例のドリルは、先端が鋭く尖っているので被加工物に食い付く際に、中心から外れることが少なく、位置精度のよい孔加工が可能となる。
【0050】
【発明の効果】
ダイヤモンドの8面体面{111}は学術的にも研磨が不可能とされる面方位であり、研磨で得られた4角錐の稜線は6面体面{100}から8面体面{111}に傾けた角度範囲であるため対摩耗性の高いことが知られている。このため、本発明において、ドリル先端の単結晶ダイヤモンド4角錐の稜線は結晶学的にみて高い耐摩耗性を付与したもので あり、このような稜線を切れ刃としているため、ドリルの寿命を長くすることができるという効果を奏する。更に、上記錐体底部の角部を落とすことにより、ドリルの加工半径の調整と、リーミング効果がえられるため、本発明のドリルに依れば、径精度の高い、また、内面粗度のよい孔をあけることができる。
【0051】
本発明のドリルは、先端を4角錐としたので食い付きが良く、位置精度の高い孔をあけることができ、更に、ドリル軸が耐摩耗性の高い微小ダイヤモンド層を有するので、使用中にドリル軸がやせ細るという問題が発生しにくいという効果を奏する。本発明の一つはドリル軸を鋼としているので、靭性が高く折損することが少ないという効果を奏する。
【0052】
本発明では、単結晶ダイヤモンドとドリル軸とのロウ付けは不活性ガス中で行われる。このため、空気中の影響を受けてロウ付け強度が低下するようなことがないという効果を奏する。
【0053】
本発明では、4角錐底部の角部にリーミング用のドリル軸に平行なエッジ(稜線)が形成されているので、これにより孔の径を調整するとともに、あけた穴の内側面を良好に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイヤモンド結晶の結晶面とこの面によって構成される結晶外形を示す説明図である。
【図2】3種の結晶面の全てが現れたダイヤモンド単結晶の一例を示す鳥瞰図である。
【図3】結晶方位と摩耗(加工性)の関係を示し、方位により加工性が異なることを示したグラフである。
【図4】単結晶ダイヤモンドの代表的な結晶面から近接する結晶面に傾けたときの研磨難易度を示したGrozinskyのステレオ投影図である。
【図5】切頭6面体ダイヤモンドとこれが取り付けられるドリル軸の一部を示す鳥瞰図である。
【図6】切頭6面体ダイヤモンド1の上面図、3方向からの側面図を示すものであり、それぞれ(a)はz軸方向からみた上面図、(b)はy軸方向から見た側面図、(c)は、x軸方向からみた側面図、(d)は、(a)において45度方向から見た側面図である。
【図7】4角錐面が創成された切頭6面体ダイヤモンドとこれが固着されたドリル軸とを示す鳥瞰図である。
【図8】ドリル軸方向から見た平面図である。
【図9】逃げ角とすくい角が形成されたドリル先端近傍を示す図である。
【図10】6面体ダイヤモンド(切頭でない6面体ダイヤモンド単結晶)とこれが取り付けられたドリル軸の一部を示す鳥瞰図である。
【図11】6面体ダイヤモンドの上面図、3方向から見た側面図を示すものであり、それぞれ(a)はz軸方向から見た上面図、(b)はy軸方向から見た側面図、(c)はx軸方向から見た側面図、(d)は(a)において45度方向から見た側面図である。
【図12】4角錐面が創成された6面体ダイヤモンドとこれが固着されたドリル軸とを示す鳥瞰図である。
【図13】逃げ角とすくい角が形成されたドリル先端近傍を示す図である。
【図14】本発明実施例の完成した単結晶ダイヤモンドを先端に有したドリルの全体図である。
【符号の説明】
1 (切頭)6面体ダイヤモンド
2 ドリル軸
20、21 稜
15 シャンク
p1、p2、p3 研磨面
Claims (5)
- 6面体ダイヤモンドから研磨された単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルであって、この単結晶ダイヤモンドの先端部は、4角錐面を有しており、この4角錐の中心線は単結晶ダイヤモンドの一つの結晶軸及びドリル軸と一致しており、更に、ドリル軸の軸直角平面へ投影されたとき、上記4角錐の稜線の投影像は、残る2つの結晶軸に対して45度±5度の角度をなしているとともに、上記4角錐の対稜角は90度±10度の範囲であること
を特徴とする単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリル。 - 請求項1に記載された、単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルにおいて、
上記単結晶ダイヤモンドは{100}面によってドリル軸にロウ付けされていること
を特徴とする単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリル。 - 請求項1又は請求項2に記載された、単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルにおいて、
上記単結晶ダイヤモンドの4角錐の底辺角部には、ドリル軸と平行な面であって、ドリルの中心軸と稜線を含む面に対して65度から85度までの範囲の角度をなす面によって落とされた逃げ角が形成されていること
を特徴とする単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリル。 - 請求項1から請求項3までのいずれかに記載された、単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルにおいて、
上記単結晶ダイヤモンドの4角錐の底辺角部には、ドリル軸と平行な面であって、ドリルの中心軸と稜線を含む面に対して65度から85度の範囲の角度をなす面によって落とされた負のすくい角が形成されていること
を特徴とする単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリル。 - 請求項1から請求項4までのいずれかに記載された、単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリルにおいて、このドリルは小径ドリル及びマイクロドリルを含むドリルであること
を特徴とする単結晶ダイヤモンドをその先端に有したドリル。
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