JP3524070B2 - 横葺き屋根用の通し吊子および横葺き屋根構造。 - Google Patents

横葺き屋根用の通し吊子および横葺き屋根構造。

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JP3524070B2
JP3524070B2 JP2001101421A JP2001101421A JP3524070B2 JP 3524070 B2 JP3524070 B2 JP 3524070B2 JP 2001101421 A JP2001101421 A JP 2001101421A JP 2001101421 A JP2001101421 A JP 2001101421A JP 3524070 B2 JP3524070 B2 JP 3524070B2
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哲矢 樋口
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株式会社淀川製鋼所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋根の棟側から軒
側に向けて葺く横葺き屋根用の通し吊子と、この通し吊
子を用いて横葺きした屋根構造とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】横葺き屋根板を軒側から棟側に向けて葺
く技術では、屋根板を傷付けないようにする上で、大掛
かりな足場の組み立てを要することから、施工コストが
高く付く点で問題があり、また、足場が存するこことで
作業性が悪くなる点でも問題があった。
【0003】このことから、近年では、横葺き屋根板を
棟側から軒側に葺くようにした技術が開発されるように
なり、そのために用いる吊子も各種の構造のものが提案
されている。
【0004】その吊子の一つとして、図6に示すよう
に、支持部材31上に固定される取付板32に、軒側下
地材33の支持部34を形成し、取付板32の棟側の端
部に立上り部35を起立させ、この立上り部35の上端
に軒側に屈曲した棟側下地材33の支持段部36を形成
し、この支持段部36の軒側に受け板37を起立させ、
この受け板37の上端に軒側への折り返し係止板38を
形成し、この係止板38の軒側の端部に軒側屋根板用引
掛け部39を形成したものがある(特公平3−3386
9号公報。
【0005】この吊子40を用いて横葺き面板41を棟
側から軒側に葺く際には、棟側の面板41の軒側係合部
42に、吊子40の引掛け部39を嵌合させて、この吊
子40の取付板32を支持部材31上に固定し、次いで
軒側の面板41の棟側を吊子内に差し込んで、この面板
41の接合部43を引掛け部39に係止させる手順がと
られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の構成
にかゝる吊子40では、棟側の面板41が吊子40の係
止板38に乗り掛かっただけであり、軒側の面板41に
あっては、棟側の面板41に係合連結されて、僅かに接
合部43が吊子40の引掛け部39に係止されているだ
けであって、風圧を受けた際には、その風圧がさほど強
くなくても、係合連結されている面板41,41が浮き
上がって、異音を生じ易い点で問題があった。
【0007】また、強風雨を伴う台風などの際は、棟側
面板41の軒側面部41aと軒側面板41の棟側面部4
1bとの間の隙間を通して、毛管現象や内外の気圧差、
更には風圧などによって、雨水が軒側面板41の棟側面
部41bの上面部に吹き込み、これが強風に煽られるな
どして、軒側面板41の棟側の接合部43を乗り越え、
棟側下地材33を濡らしたり、支持部材31上に流れ落
ちたりする問題もあった。
【0008】この他にも、吊子40が幅狹であることか
ら、これを所定のピッチで配置された例えば金属垂木な
どの支持部材31に固定して、この吊子40に面板4
1,41を取り付けた場合、面板41,41の接合部
に、例えば積雪などによる大きな荷重が掛かった際に、
吊子40の配置部間で面板41,41が撓み変形する懸
念もあった。
【0009】更に、急傾斜の屋根を葺く際には、安全面
から、どうしても足場を要したのであって、施工コスト
の大幅なアップに繋がる点でも問題があった。
【0010】本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたも
のであって、その目的は、風圧を受けた際の横葺き屋根
板の浮き上がりを確実に防止できる上に、大きな荷重を
受けたとしても屋根板の撓み変形が効果的に防止され、
加えて、足場にも利用でき、更には、侵入雨水について
の対策も講じられた通し吊子と、この吊子を用いて、屋
根板を作業性よく安全に葺くことが可能な横葺き屋根構
造をコスト的に安価に提供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明では、屋根
の棟側から軒側に向けて葺く横葺き屋根用の吊子を通し
の吊子構造としているのであり、具体的には、通しの吊
子として、支持部材に固定される下部側の吊子部材と、
下部側の吊子部材上に固定される上部側の吊子部材とか
ら成るのである。
【0012】そして、下部側の吊子部材が、支持部材に
固定される基板部と、この基板部の棟側と軒側の端部か
ら上方に屈曲して樋を形成する立上げ部と、それぞれ立
上げ部の上端部から樋の外側に屈曲する上部側吊子部材
の支持部と、軒側の支持部の軒側端部から下方に向けて
軒側に屈曲する斜面部と、この斜面部の下端部から棟側
に屈曲する支持部材への乗載部とを、1枚の金属板によ
って一連に形成して成る。
【0013】一方、上部側の吊子部材が、下部側の吊子
部材の斜面部に固定される基板部と、この基板部の上端
部から棟側に屈曲されて、下部側の吊子部材の支持部に
載置される載置部と、この載置部の棟側の端部から上方
に屈曲する立上げ部と、この立上げ部の上端部から軒側
に屈曲する棟側屋根板の支持部と、この支持部の軒側の
端部から下方に屈曲する垂下部と、この垂下部の下端部
から棟側に屈曲する折り返し部とを、1枚の金属板によ
って一連に形成して成るのである(請求項1)。
【0014】横葺き屋根の施工に際しては、横葺き屋根
板の軒側の端部に垂下部を連設すると共に、この垂下部
の下端部から棟側に向けて浮き上がり防止部を連設し
て、横葺き屋根板の軒側の下面部に、上部側吊子部材の
垂下部側を嵌合保持する凹部を形成し、横葺き屋根板の
棟側の端部には、上方に屈曲する起立部と、この起立部
の上端部から軒側に屈曲す折り返し部と、上部側吊子部
材の垂下部側に形成された凹部への嵌合係止部とを連設
しておくのである。
【0015】そして、上記の通し吊子の上部側吊子部材
の垂下部側を、棟側屋根板の軒側の凹部に嵌合保持させ
た状態で、この上部側の吊子部材の基板部を、支持部材
に固定された下部側の吊子部材の斜面部に固定するので
あり、次いで、軒側屋根板の係止部を上部側吊子部材の
垂下部側の凹部に嵌合係止させて、横葺き屋根板を棟側
から軒側に向けて葺くのである(請求項5)。
【0016】上記の通し吊子を用いた横葺き屋根では、
支持部材に固定された下部側の吊子部材に上部側の吊子
部材が固定されて、この上部側の吊子部材の垂下部側
に、棟側屋根板の軒側の凹部が嵌め込まれていることか
ら、この棟側屋根板の軒側部分の上下動は確実に防止さ
れることになる。
【0017】一方、軒側屋根板については、それの棟側
に連設の係止部が、上部側吊子部材の凹部に嵌合係止さ
れていることから、この軒側屋根板の棟側部分について
も、上下の動きは確実に防止されるのであって、棟側屋
根板の軒側部分と軒側屋根板の棟側部分との上下の動き
が拘束されることから、横葺き屋根板は、強い風圧を受
けても浮き上がることがなく、従って、浮き上がりに伴
う異音の発生が効果的に防止されるのである。
【0018】また、吊子を通し吊子の構造にしたことか
ら、この通し吊子による屋根板の支持強度が高くなるの
であって、従って、屋根板どうしの接合部に、例えば積
雪などによる大きな荷重が掛かったとしても、屋根板の
撓み変形は効果的に防止されるのである。
【0019】そして、屋根板を葺く前に、下部側の吊子
部材を、予め支持部材上の所定の箇所に固定しておけ
ば、これが作業足場になることから、たとえ急傾斜の屋
根であっても、屋根板の横葺きを作業性のよい状態で安
全に行うことができるのであり、これは延いては、別途
に作業足場を組む必要がなくなることから、施工コスト
の大幅ダウンにも繋がることになるのである。
【0020】好適には、下部側の吊子部材の斜面部に固
定される基板部に、下端部から上方に屈曲する水受け部
を形成する一方、下部側吊子部材の棟側の支持部の棟側
端部に、上方に屈曲する止水用の起立部を連設すること
である(請求項2)。
【0021】即ち、降雨の際に、棟側屋根板の軒側と軒
側屋根板の棟側との間に雨水が吹き込んで、これが軒側
屋根板の係止部と上部側の吊子部材の折り返し部との間
の隙間を通して、軒側屋根板の折り返し部側に回り込
み、これが折り返し部から起立部を伝って上部側吊子部
材の載置部に流れ込むことが考えられるのであるが、基
板部に水受け部を形成しておくことで、上記の流れ込ん
だ雨水は、この水受け部によって受け止められることに
なる。
【0022】また、上記の吹き込んだ雨水が、上部側の
吊子部材の折り返し部と棟側屋根板の軒側の浮き上がり
防止部との間に回り込んで、これが両者の垂下部間の隙
間を通して、毛管現象によって吊子の支持部側に回り込
み、この雨水が上部側吊子部材の立上げ部から流れ落ち
ることも懸念されるが、この雨水についても、止水用の
起立部によって受け止められるのであって、吊子を通し
の吊子構造に構成していることから、侵入雨水が支持部
材上に落ちることはないのである。
【0023】上記構成の通し吊子の構造において、下部
側の吊子部材に樋を構成するように立上げ部を連設して
いることから、この吊子部材の上下方向の撓み強度は高
くなるのであり、この点を踏まえて、上部側の吊子部材
の載置部に、下部側の吊子部材の樋に嵌合係止する凹溝
を形成すれば(請求項3)、この吊子部材についても、
上下方向の撓み強度を高くできるのであり、加えて、こ
の構成をとることで、下部側の吊子部材に対する上部側
の吊子部材の位置ずれが効果的に防止される利点もあ
る。
【0024】尚、上部側吊子部材の凹溝の底板部に水抜
き孔を形成して(請求項4)、凹溝に流れ込んだ雨水
を、下部側の吊子部材の樋に流し込むようにして、侵入
雨水の支持部材上への流れ落ちを防止するようにしても
よい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は通し吊子1による横葺き屋
根板2,2の接合部の断面図を示し、図2はその接合部
の分解断面図を示している。
【0026】上記の通し吊子1は、隣り合う端部を互い
に突き合わせる状態で、例えば金属垂木などの支持部材
3上に固定される下部側の吊子部材1Aと、隣り合う端
部を互いに突き合わせる状態で、下部側の吊子部材1A
に固定される上部側の吊子部材1Bとから成り、図3に
も示すように、それぞれの吊子部材1A,1Bは、長尺
の金属板によって一体成形されている。
【0027】具体的には、下部側の吊子部材1Aは、支
持部材3に固定される基板部4と、この基板部4の棟側
と軒側の端部から上方に屈曲して樋Aを形成する立上げ
部5,6と、それぞれ立上げ部5,6の上端部から樋A
の外側に屈曲する上部側吊子部材1Bの支持部7,8
と、軒側の支持部8の軒側端部から下方に向けて軒側に
屈曲する斜面部9と、この斜面部9の下端部から棟側に
屈曲する支持部材3への乗載部10とを、1枚の金属板
によって一連に形成して成る。
【0028】一方、上部側の吊子部材1Bは、下部側の
吊子部材1Aの斜面部9に固定される基板部11と、こ
の基板部11の下端部から上方に屈曲する水受け部12
と、基板部11の上端部から棟側に屈曲されて、下部側
の吊子部材1Aの支持部7,8に載置される載置部13
と、この載置部13の棟側の端部から上方に屈曲する立
上げ部14と、この立上げ部14の上端部から軒側に屈
曲する棟側屋根板2の支持部15と、この支持部15の
軒側の端部から下方に屈曲する垂下部16と、この垂下
部16の下端部から棟側に屈曲する折り返し部17と
を、1枚の金属板によって一連に形成して成る。
【0029】横葺き屋根板2は、長尺の例えば塗装鋼板
の曲げ加工品であって、横葺き屋根板2の軒側の端部
に、くの字状を呈して下方に屈曲する垂下部21を連設
すると共に、この垂下部21の下端部から棟側屋根板2
に屈曲する浮き上がり防止部22を連設して、横葺き屋
根板2の軒側の下面部に凹部Bを形成する一方、横葺き
屋根板2の棟側の端部に、上方に屈曲する起立部23
と、この起立部23の上端部から軒側に屈曲する折り返
し部24と、上部側の吊子部材1Bに形成された凹部
C、即ち、棟側屋根板支持部15の軒側屋根部と垂下部
16と折り返し部17とによって形成された凹部Cに嵌
合係止される係止部25を連設して成る。
【0030】尚、屋根板2の浮き上がり防止部22と係
止部25の端部26,27を曲げ加工して、それぞれの
端面が直接的に風雨に晒されないように考慮している。
また、屋根板2の下面部に、例えば木毛セメント板など
のバックアップ材28を備えて、屋根の断熱性ならびに
遮音性の向上を図るようにしている。
【0031】上記の通し吊子1と横葺き屋根板2とを用
いての横葺き屋根の施工に際しては、図4に示すよう
に、隣り合う端部を互いに突き合わせる状態で、下部側
の吊子部材1Aを、予め支持部材3上の所定の箇所に固
定して、これを必要に応じて作業足場にして、次のよう
に施工される。
【0032】即ち、上部側の吊子部材1Bの凹部Cを構
成する垂下部側の部材、具体的には、棟側屋根板支持部
15の軒側面部と垂下部16と折り返し部17とである
が、これを棟側屋根板2の軒側の下面部に形成した凹部
Bに嵌合保持させて、この吊子部材1Bの立上げ部14
を利用して、吊子部材1Bを軒側に引き寄せるのであ
り、そして、この吊子部材1Bの隣り合う端部を互いに
突き合わせる状態で、この吊子部材1Bの基板部11
を、予め支持部材3に固定された下部側の吊子部材1A
の斜面部9に、例えばパッキンb付きビスcで固定する
のである。
【0033】次いで、軒側の横葺き屋根板2の棟側に連
設した係止部25を、上部側の吊子部材1Bの凹部Cに
嵌合係止させるのであり、かつ、これまでの間の適宜の
工程でバックアップ材28を配置して、屋根の断熱性な
らびに遮音性の向上を図るのである。
【0034】爾後は順次、上部側の吊子部材1Bの垂下
部側の部材を、棟側屋根板2の軒側の凹部Bに嵌合保持
させて、この吊子部材1Bの隣り合う端部を互いに突き
合わせる状態で、この吊子部材1Bの基板部11を下部
側の吊子部材1Aの斜面部9に固定し、かつ、上部側の
吊子部材1Bの凹部Cに軒側屋根板2の係止部25を嵌
合係止させ、更に、適宜にバックアップ材28を配置す
ることを繰り返して、横葺き屋根板2を棟側から軒側に
向けて葺くのである。
【0035】尚、下部側の吊子部材1Aを、支持部材3
上に止水用のパッキンbを介してビスc止めし、この下
部側の吊子部材1Aの斜面部9に、上部側の吊子部材1
Bの基板部4を、同じくパッキンbを介してビスc止め
しているが、リベットを用いるなど、固定の手段は任意
に選択可能である。
【0036】また、この実施の形態では、バックアップ
材28を出来るだけ広い範囲にわたって配置することを
考慮して、例えばビスcによる吊子部材1A,1Bの固
定部材(つまりは斜面部9と基板部11)を、通し吊子
1の軒側端部よりも棟側に控えさせるようにし、この
際、下部側の吊子部材1Aに、軒側支持部7の軒側端部
から下方に向けて軒側に屈曲させるように斜面部9を備
えて、この斜面部9と基板部11との例えばビスcによ
る固定作業を、中腰の自然な姿勢で楽に軒側から行える
ようにしているのである。
【0037】上記の通し吊子1を用いた横葺き屋根で
は、下部側の吊子部材1Aが支持部材3に固定され、こ
の吊子部材1Aに上部側の吊子部材1Bが固定され、か
つ、この吊子部材1Bに棟側屋根板2の凹部Bが嵌合保
持されることで、この棟側屋根板2の軒側部分の上下の
動きが確実に防止される。
【0038】そして、軒側屋根板2についても、それの
棟側に連設の係止部25が、上部側吊子部材1Bの凹部
Cに嵌合係止されることで、この軒側屋根板2の棟側部
分についても、上下の動きは確実に防止されるのであっ
て、棟側屋根板2の軒側部分と軒側屋根板2の棟側部分
とが、共に上下の動きが拘束されることから、上記構成
の通し吊子1によって接合部された横葺き屋根板2,2
は、強い風圧を受けても浮き上がることがなく、従っ
て、浮き上がりに伴う異音の発生が効果的に防止される
ことになる。
【0039】また、通し吊子1の構造であることから、
この吊子1による屋根板2の支持強度は高くなり、この
ことから、屋根板2,2どうしの接合部に、例えば積雪
などによる大きな荷重が掛かったとしても、屋根板2の
撓み変形は効果的に防止されるのである。
【0040】そして、下部側の吊子部材1Aを予め支持
部材3上の所定の箇所に固定して、これを必要に応じて
作業足場として利用することから、たとえ急傾斜の屋根
であっても、屋根板2の横葺きを作業性のよい状態で安
全に行うことが可能となり、延いては、別途に作業足場
を組む必要がなくなることから、横葺き屋根の施工コス
トの大幅なダウンも達成される。
【0041】ここで、風を伴っての降雨の際は、棟側屋
根板2の軒側と軒側屋根板2の棟側との間に雨水が吹き
込んで、これが軒側屋根板2の係止部25と上部側の吊
子部材1Bの折り返し部17との間の隙間を通して、軒
側屋根板2の折り返し部24側に回り込むことが考えら
れる。
【0042】しかし、この折り返し部24側に回り込ん
だ水は、起立部23を伝って上部側吊子部材1Bの載置
部13に流れ落ち、更に、基板部11を通して水受け部
12により受け止められるのであって、吊子1を通しの
吊子構造に構成していることから、侵入雨水が支持部材
3上に落ちることはないのである。
【0043】図5に別の実施の形態による通し吊子1を
示している。この実施の形態では、下部側の吊子部材1
Aにおいて、これの基板部4に、立上がり部4a,4a
と例えばビスcによる固定用の板部4bとを屈曲させ
て、樋Aの内に小幅の樋aを形成すると共に、更に、こ
の吊子部材1Aの棟側の支持部8の棟側端部に、上方に
屈曲する止水用の起立部29を連設している。
【0044】一方、上部側の吊子部材1Bの載置部13
に、垂下部13a,13aと底板部13bとを屈曲させ
て、下部側の吊子部材1Aの樋Aに嵌合係止する凹溝D
を形成すると共に、この凹溝Dの底板部13bに水抜き
孔dを形成している。
【0045】その他の吊子構成部材は、図1に示した吊
子1のものと同じである。尚、軒側屋根板2の係止部2
5を上部側吊子部材1Bの凹部Cに嵌合係止させた状態
で、この軒側屋根板2の起立部23を上部側吊子部材1
Bの凹溝Dに臨ませるように構成している。
【0046】上記の構成による通し吊子1では、下部側
の吊子部材1Aが樋Aを構成する立上げ部5,6を備え
て、上下方向の撓み強度が高いことに加えて、立上がり
部4a,4aと固定用板部4bとを基板部4に屈曲形成
したことで、更には、止水用の起立部29を連設したこ
とで、この下部側の吊子部材1Aの上下方向の撓み強度
は一層高くなる。
【0047】また、上部側の吊子部材1Bについては、
これの載置部13に垂下部13a,13aと底板部13
bとを屈曲させて、凹溝Dを形成したことで、この吊子
部材1Bの上下方向の撓み強度も高くなるのであり、更
には、この凹溝Dを下部側の吊子部材1Aの凹部Cに嵌
合係止させる構成をとっていることから、下部側の吊子
部材1Aに対する上部側の吊子部材1Bの位置ずれが効
果的に防止される利点もある。
【0048】更に、軒側屋根板2の起立部23を凹溝D
に臨ませていることから、降雨の際に軒側屋根板2の折
り返し部24側に回り込んだ水は、起立部23を伝って
凹溝Dに流れ落ちて、この凹溝Dの底板部13bに形成
した水抜き孔dから小幅の樋aに流れ込むのであって、
侵入雨水が支持部材3上に落ちることはないのである。
【0049】しかし、軒側屋根板2の起立部23を凹溝
Dに臨ませることは必須の要件ではなく、即ち、起立部
23を、凹溝Dよりも軒側の載置部13または基板部1
1に臨ませてもよいのであって、この場合、上記したよ
うに雨水は、水受け部12により受け止められることか
ら、支持部材3上に落ちることはないのである。
【0050】一方、雨水が上部側の吊子部材1Bの折り
返し部と棟側屋根板2の浮き上がり防止部22との間に
回り込んで、この雨水が両者1B,2の垂下部16,2
1間の隙間を通して、毛管現象によって吊子部材1Bの
支持部15側に回り込んだとしても、この雨水は立上げ
部14から流れ落ちて、止水用の起立部29によって受
け止められるので、侵入雨水が支持部材3上に落ちるこ
とはないのである。
【0051】尚、上記のいずれの通し吊子1において
も、上下部の吊子部材1A,1Bの一方の高さ寸法を変
更するだけで、バックアップ材28の厚さ寸法の異なる
ものに対応できる利点がある。
【0052】即ち、下部側の吊子部材1Aのうち、立上
げ部5,6と斜面部9との高さ寸法を異ならせたものを
用意することで、又は、上部側の吊子部材1Bのうち、
立上げ部14の高さ寸法を異ならせたものを用意するこ
とで、バックアップ材28の厚さ寸法の異なるものの設
置に対応することができるのである。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の通
し吊子では、支持部材に固定された下部側の吊子部材上
に上部側の吊子部材が固定されて、この上部側の吊子部
材の垂下部側に、棟側屋根板の軒側の凹部が嵌め込まれ
ることから、この棟側屋根板の軒側部分の上下動は確実
に防止されることになる。
【0054】一方、軒側屋根板については、それの棟側
に連設の係止部が、上部側吊子部材の凹部に嵌合係止さ
れていることから、この軒側屋根板の棟側部分について
も、上下の動きは確実に防止されるのであって、棟側屋
根板の軒側部分と軒側屋根板の棟側部分との上下の動き
が拘束されることから、横葺き屋根板は、強い風圧を受
けても浮き上がることがなく、浮き上がりに伴う異音の
発生が効果的に防止されるようになる。
【0055】また、通し吊子の構造であることから、こ
の吊子による屋根板の支持強度が非常に高くなるのであ
って、例えば積雪などによる大きな荷重が屋根板の接合
部に掛かったとしても、この屋根板の撓み変形は効果的
に防止されることになる。
【0056】更に、通しの吊子を上下部の吊子部材から
構成したことで、この内の下部側の吊子部材を、屋根板
を葺く前に予め支持部材上の所定の箇所に固定しておけ
ば、これが作業足場になることから、たとえ急傾斜の屋
根であっても、屋根板の横葺きを作業性のよい状態で安
全に行うことができるのであり、これは延いては、別途
に作業足場を組む必要がなくなることから、施工コスト
の大幅ダウンにも繋がることになる。
【0057】要約すると、請求項1記載の発明によれ
ば、風圧を受けた際の横葺き屋根板の浮き上がりを確実
に防止できる上に、大きな荷重を受けたとしても、屋根
板の撓み変形が効果的に防止され、加えて、一部を足場
にも利用することが可能な吊子が提供される。
【0058】そして、請求項2記載の発明によれば、下
部側の吊子部材の斜面部に固定される基板部に水受け部
を形成する一方、下部側吊子部材の棟側の支持部の棟側
端部に、上方に屈曲する止水用の起立部を連設したこと
で、降雨の際に、雨水が上部側の吊子部材側に回り込ん
だとしても、この雨水は水受け部ならびに止水用の起立
部で受け止められて、侵入雨水の支持部材上への流れ込
みが確実に防止されるのであって、この請求項2記載の
発明によれば、雨水の侵入対策が講じられた通し吊子が
提供される。
【0059】一方、下部側の吊子部材に樋を構成するよ
うに立上げ部を連設していることから、この吊子部材の
上下方向の撓み強度が高くなることに加えて、請求項3
記載の発明では、上記の樋に嵌合係止する凹溝を上部側
の吊子部材に形成することから、この上部側の吊子部材
についても上下方向の撓み強度が高くなり、かつ、下部
側の吊子部材に対する上部側の吊子部材の位置ずれも防
止されるのであって、この請求項3記載の発明によれ
ば、上下部の吊子部材の位置ずれが効果的に防止される
高強度の通し吊子が提供される。
【0060】そして、請求項5記載の発明によれば、上
記の通し吊子を用いて施工される横葺き屋根の構造、即
ち、風圧を受けた際の横葺き屋根板の浮き上がりが防止
される上に、大きな荷重を受けた際の屋根板の撓み変形
が防止される横葺き屋根の構造が提供されるのであり、
この際、吊子の一部を足場として利用することで、屋根
板の横葺き作業を、作業性よく安全に行えるのであっ
て、別途に作業足場を組む必要がなくなることから、横
葺き屋根の施工コストを大幅にダウンさせることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通し吊子による横葺き屋根板の接合部の断面図
である。
【図2】通し吊子による横葺き屋根板の接合部の分解断
面図である。
【図3】通し吊子とバックアップ材および横葺き屋根板
の分解斜視図である。
【図4】横葺き屋根板による屋根葺きの施工説明図であ
る。
【図5】別の実施の形態による吊子を用いた横葺き屋根
板の接合部の断面図である。
【図6】従来例の吊子を用いた横葺き屋根板の接合部の
断面図である。
【符号の説明】
1…吊子、1A…下部側の吊子部材、1B…上部側の吊
子部材、2…横葺き屋根板、3…支持部材、4,11…
基板部、5,6,14…立上げ部、7,8,15…支持
部、9…斜面部、10…乗載部、12…水受け部、13
…載置部、13b…凹溝の底板部、16,21…垂下
部、17,24…折り返し部、22…浮き上がり防止
部、23…起立部、25…係止部、29…止水用の起立
部、A…樋、B,C…凹部、D…凹溝、d…水抜き孔。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屋根の棟側から軒側に向けて葺く横葺き
    屋根用の通し吊子であって、支持部材に固定される下部
    側の吊子部材と、下部側の吊子部材上に固定される上部
    側の吊子部材とから成り、 下部側の吊子部材が、支持部材に固定される基板部と、
    この基板部の棟側と軒側の端部から上方に屈曲して樋を
    形成する立上げ部と、それぞれ立上げ部の上端部から樋
    の外側に屈曲する上部側吊子部材の支持部と、軒側の支
    持部の軒側端部から下方に向けて軒側に屈曲する斜面部
    と、この斜面部の下端部から棟側に屈曲する支持部材へ
    の乗載部とを、1枚の金属板によって一連に形成して成
    り、 上部側の吊子部材が、下部側の吊子部材の斜面部に固定
    される基板部と、この基板部の上端部から棟側に屈曲さ
    れて、下部側の吊子部材の支持部に載置される載置部
    と、この載置部の棟側の端部から上方に屈曲する立上げ
    部と、この立上げ部の上端部から軒側に屈曲する棟側屋
    根板の支持部と、この支持部の軒側の端部から下方に屈
    曲する垂下部と、この垂下部の下端部から棟側に屈曲す
    る折り返し部とを、1枚の金属板によって一連に形成し
    て成ることを特徴とする横葺き屋根用の通し吊子
  2. 【請求項2】 下部側の吊子部材の斜面部に固定される
    基板部に、下端部から上方に屈曲する水受け部を形成す
    る一方、下部側吊子部材の棟側の支持部の棟側端部に、
    上方に屈曲する止水用の起立部を連設して成る請求項1
    に記載された横葺き屋根用の通し吊子。
  3. 【請求項3】 上部側の吊子部材の載置部に、下部側の
    吊子部材の樋に嵌合係止する凹溝を形成して成る請求項
    1または2に記載された横葺き屋根用の通し吊子。
  4. 【請求項4】 上部側吊子部材の凹溝の底板部に水抜き
    孔を形成して成る請求項3に記載された横葺き屋根用の
    通し吊子。
  5. 【請求項5】 横葺き屋根板の軒側の端部に垂下部を連
    設すると共に、この垂下部の下端部から棟側に向けて浮
    き上がり防止部を連設して、横葺き屋根板の軒側の下面
    部に、上部側吊子部材の垂下部側を嵌合保持する凹部を
    形成し、横葺き屋根板の棟側の端部には、上方に屈曲す
    る起立部と、この起立部の上端部から軒側に屈曲する折
    り返し部と、上部側吊子部材の垂下部側に形成された凹
    部への嵌合係止部とを連設して、請求項1〜4のいずれ
    かに記載された通し吊子の上部側吊子部材の垂下部側
    を、棟側屋根板の軒側の凹部に嵌合保持させた状態で、
    この上部側の吊子部材の基板部を、支持部材に固定され
    た下部側の吊子部材の斜面部に固定する一方、軒側屋根
    板の係止部を上部側吊子部材の垂下部側の凹部に嵌合係
    止させて、横葺き屋根板を棟側から軒側に向けて葺いた
    ことを特徴とする横葺き屋根構造。
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