JP3522784B2 - 農薬用粒剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は農薬用粒剤に関する。詳
しくは、活性成分の溶出速度を高める改良型農薬用粒剤
に係わる。

【０００２】

【従来の技術】農薬用粒剤の担体として、従来より鉱物
質微粉が用いられてきており、そのうち水田用農薬粒剤
に於いて、通常、重量中位径が数μｍ乃至１０μｍ前後
の鉱物質微粉が使用されてきた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題と手段】上記の従前の粒
剤を実際に水田の田面水に施用した場合、活性成分の所
望の量が十分に溶出せず、その結果、農薬として有害生
物防除のために有効に作用しないという解決すべき課題
が生じている。此度、本発明者等は、上記課題を解決す
る新たな農薬用粒剤を見い出すことに成功した。即ち、
練り込み農薬用粒剤に於いて、該練り込み粒剤に重量中
位径１５μｍ以上の鉱物質微粉を配合して成ることを特
徴とする農薬用粒剤。

【０００４】本発明の農薬用粒剤は驚くべきことに、意
外にも、重量中位径が１５μｍ以上の鉱物質微粉を配合
して調製することにより、該粒剤中の活性成分の溶出速
度を、従前の粒剤に比して、顕著に速めることができ、
その結果田面水中に於いて、有害生物を防除するため
に、所望の活性成分の放出を、的確且つ適時に行なうこ
とができる。本発明の農薬用粒剤に於いて、鉱物質微粉
の重量中位径は、好ましくは、約２０μｍ以上を選択で
きる。

【０００５】本発明の農薬用粒剤は、農薬活性成分、重
量中位径１５μｍ以上の鉱物質微粉、及び界面活性剤を
主な構成とし、更に必要に応じて補助剤（例えばバイン
ダー、着色剤等）を含むこともできる。本発明の農薬用
粒剤の製造方法は、公知の練り込み粒剤の製法に従って
行なうことができ、該粒剤の製法は、重量中位径１５μ
ｍ以上の鉱物質微粉を配合して調製することを特徴とす
る。本発明に用いられる活性化合物は、水田施用に供せ
られるすべての農薬活性成分であり、具体的には殺虫
剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調整剤等であり、またそ
れらの混合剤組成物であることが可能である。

【０００６】そして、これらの具体例としては、例えば 殺虫剤：Ｏ，Ｏ−ジメチル−Ｏ−３，５，６−トリクロ
ロ−２−ピリジルホスホロチオエート、（ＲＳ）−α−
シアノ−３−フェノキシベンジル（ＲＳ）−２，２−ジ
クロロ−１−（４−エトキシフェニル）シクロプロパン
カルボキシレート、２−（４−エトキシフェニル）−２
−メチルプロピル ３−フェノキシベンジルエーテル、
Ｓ，Ｓ′−〔２−（ジメチルアミノ）トリメチレン〕ビ
ス−（チオカーバメート）、Ｎ，Ｎ−ジメチル−１，
２，３−トリチアン−５−イルアミン、２−ｔｅｒｔ−
ブチルイミノ−３−イソプロピル−５−フェニル−３，
４，５，６−テトラヒドロ−２Ｈ−１，３，５−チアジ
アジン−４−オン、１−（６−クロロ−３−ピリジルメ
チル）−Ｎ−ニトロ−イミダゾリジン−２−イリデンア
ミン、Ｎ−シアノ−Ｎ−（２−クロロ−５−ピリジルメ
チル）−Ｎ′−メチルアセトアミジン、１−〔Ｎ−（６
−クロロ−３−ピリジルメチル）−Ｎ−エチルアミノ〕
−１−メチルアミノ−２−ニトロエチレン、１−（２−
クロロ−５−ピリジルメチル）−５−メチル−２−ニト
ロイミノ−ヘキサヒドロ−１，３，５−トリアジン、１
−（２−クロロ−５−チアゾリルメチル）−３，５−ジ
メチル−２−ニトロイミノ−ヘキサヒドロ−１，３，５
−トリアジン、１−（２−クロロ−５−ピリジルメチ
ル）−３，５−ジメチル−２−ニトロイミノ−ヘキサヒ
ドロ−１，３，５−トリアジン、１−（２−クロロ−５
−ピリジルメチル）−２−ニトロメチレン−イミダゾリ
ジン等。

【０００７】殺菌剤：Ｏ，Ｏ−ジイソプロ−Ｓ−ベンジ
ルチオホスフェート、α，α，α−トリフルオロ−３′
−イソプロポキシ−Ｏ−トルアニリド、メチル Ｎ−
（２−メトキシアセチル）−Ｎ−（２，６−キシリル）
−ＤＬ−アラニナート、Ｎ−（Ｒ）−〔１−（４−クロ
ロフェニル）−エチル〕−２，２−ジクロロ−１−エチ
ル−３ｔ−メチル−１ｒ−シクロプロパンカルボキサミ
ドのジアステレオマー類の混合物、Ｎ−〔１−（４−ク
ロロフェニル）−エチル〕−２，２−ジクロロ−１−エ
チル−３−メチルシクロプロパンカルボキサミド、Ｎ−
（Ｒ）−〔１−（４−クロロフェニル）−エチル〕−
２，２−ジクロロ−１−イソプロピルシクロプロパンカ
ルボキサミドのジアステレオマー類の混合物、Ｎ−
（Ｒ）−〔１−（４−クロロフェニル）−エチル〕−
（１Ｓ）−２，２−ジクロロ−１−エチル−３ｔ−メチ
ル−１ｒ−シクロプロパンカルボキサミド、３−アリル
オキシ−１，２−ベンゾイソチアゾール−１，１−ジオ
キシド、ジイソプロピル １，３−ジチオラン−２−イ
リデンマロネート、５−メチル−１，２，４−トリアゾ
ロ〔３，４−ｂ〕ベンゾチアゾール、１，２，５，６−
テトラヒドロピロロ〔３，２，１−ｉｊ〕キノリン−４
−オン等。

【０００８】除草剤：４，５−ジクロロチアゾール−２
−イルオキシ−Ｎ−メチルアセトアニリド、６−クロロ
ベンゾオキサゾール−２−イルオキシ−Ｎ−メチルアセ
ト（２−メチルアニリド）、６−クロロベンゾオキサゾ
ール−２−イルオキシ−Ｎ−メチルアセト（３−メチル
アニリド）、５−クロロ−４−シアノチアゾール−２−
イルオキシ−Ｎ−メチルアセトアニリド、６−クロロベ
ンゾオキサゾール−２−イルオキシ−Ｎ−イソプロピル
アセト（３−メチルアニリド）、７−クロロベンゾチア
ゾール−２−イルオキシ−Ｎ−メチルアセトアニリド、
２−ベンゾチアゾール−２−イルオキシ−Ｎ−メチルア
セトアニリド、Ｎ−２−ビフェニリルスルホニル Ｎ′
−（４，６−ジメトキシ−１，３，５−トリアジン−２
−イル）ウレア、エチル ５−〔３−（４，６−ジメト
キシピリミジン−２−イル）ウレイドスルホニル〕−１
−メチルピラゾール−４−カルボキシレート、メチル
２−〔３−（４，６−ジメトキシピリミジン−２−イ
ル）ウレイドスルホニルメチル〕ベンゾエート、３−
（４，６−ジメトキシ−１，３，５−トリアジン−２−
イル）−１−〔２−（２−メトキシエトキシ）−フェニ
ルスルホニル〕ウレア、Ｎ−（２−クロロイミダゾール
〔１，２−ａ〕ピリジン−３−イル−スルホニル）−
Ｎ′−（４，６−ジメトキシ−２−ピリミジル）ウレ
ア、Ｎ′−（４，６−ジメトキシピリミジン−２−イ
ル）−Ｎ″−（４−メチルフェニルスルホニルアミノ）
−Ｎ′′′−（４−エトキシカルボニル−１−メチルピ
ラゾール−５−イル−スルホニル）−グアニジン、

【０００９】４−（２，４−ジクロロベンゾイル）−
１，３−ジメチルピラゾール−５−イル ｐ−トルエン
スルホネート、２−〔４−（２，４−ジクロロベンゾイ
ル）−１，３−ジメチルピラゾール−５−イル〕アセト
フェノン、２−〔４−（２，４−ジクロロ−ｍ−トルオ
イル）−１，３−ジメチルピラゾール−５−イルオキ
シ〕−４−メチルアセトフェノン、２−（β−ナフチル
オキシ）プロピオンアニリド、（ＲＳ）−２−（２，４
−ジクロロ−ｍ−トリルオキシ）プロピオンアニリド、
２，４−ビス（エチルアミノ）−６−（メチルアミノ）
−１，３，５−トリアジン、２−エチルアミノ−４−
（１，２−ジメチルプロピルアミノ）−６−メチルチオ
−１，３，５−トリアジン、Ｓ−ｐ−クロロベンジル
ジエチルチオカーバメート、Ｓ−１−メチル−１−フェ
ニルエチル ピペリジン−１−カーボチオエート、Ｓ−
ベンジル １，２−ジメチルプロピル（エチル）チオカ
ーバメート、Ｏ−３−ｔｅｒｔ−ブチルフェニル ６−
メトキシ−２−ピリジル（メチル）チオカーバメート、
２，４，６−トリクロロフェニル−４′−ニトロフェニ
ルエーテル、２，４−ジクロロフェニル−３′−メトキ
シ−４′−ニトロフェニルエーテル、（ＲＳ）−２−ブ
ロモ−Ｎ−（α，α−ジメチルベンジル）−３，３−ジ
メチルブチルアミド、１−（α，α−ジメチルベンジ
ル）−３−ｐ−トリルウレア等。

【００１０】本発明に用いられる鉱物質微粉の例として
は、カオリナイト、パイロフィライト、セリサイト、ベ
ントナイト、炭酸カルシウム粉、酸性白土、けい藻土、
タルク粉及びそれらの加工品等を例示できる。本発明に
用いられる界面活性剤の例としては、アルキルベンゼン
スルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アル
キルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、アルキルスルホサクシネート塩、リグニンスル
ホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、
アルキルアンモニウム塩アルキルアミン塩、アルキルグ
リシン塩、アラニン塩シリコンポリエーテル系活性剤、
アルキルアリルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテルスルホネートナトリウム塩等を例
示できる。更に、バインダーの例としては、ＰＶＡ、ポ
リビニルアセテート、ポリアクリル樹脂、デキストリ
ン、変成デキストリン、カルボキシルアルキルセルロー
ス塩糖類、リグニンスルホン酸塩等を例示できる。

【００１１】また着色剤としては、無機顔料（例えば、
酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー）、有機染料
（例えば、アリザリン染料、アゾ染料、金属フタロシア
ニン染料）、微量要素（例えば、塩類又は鉄、マンガ
ン、ポロン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛）を挙げ
ることができる。本発明の農薬用粒剤に於ける、活性成
分、鉱物質微粉、界面活性剤並びに補助剤は、上記例示
のものに限定されるべきものでない。本発明の農薬用粒
剤は、一般には、活性成分（化合物）を０．０１〜９５
％（重量）含むことができ、そして好ましくは、０．０
５〜６０％（重量）を選択できる。但し、その範囲は種
々の条件により、変えることが可能である。次に、実施
例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものでない。

【００１２】

【実施例】

試験例１ 活性成分の溶出試験 粒剤の調製法 下記組成の原料を混合後、横押し出し装置を用いて、ス
クリーン径１．５ｍｍで押し出し造粒した。これを熱風
乾燥機で乾燥して粒剤を得た。

【００１３】 発明粒剤Ｎｏ．１（組成） ２−ベンゾチアゾール−２−イルオキシ−Ｎ− メチルアセトアニリド（化合物Ａ） １０重量％ ベントナイト粉 ３０重量％ ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル スルホネートナトリウム塩 ５重量％ 炭酸カルシウム粉（重量中位径２５μｍ） ５５重量％ 発明粒剤Ｎｏ．２（組成） 化合物Ａ １０重量％ ベントナイト粉 ３０重量％ 炭酸カルシウム粉（重量中位径１５μｍ） ６０重量％

【００１４】 比較粒剤Ｎｏ．１（組成） 化合物Ａ １０重量％ ベントナイト粉 ３０重量％ 炭酸カルシウム粉（重量中位径９μｍ） ６０重量％ 比較粒剤Ｎｏ．２（組成） 化合物Ａ １０重量％ ベントナイト粉 ３０重量％ 炭酸カルシウム粉（重量中位径６μｍ） ６０重量％ 比較粒剤Ｎｏ．３（組成） 化合物Ａ １０重量％ ベントナイト粉 ３０重量％ 炭酸カルシウム粉（重量中位径１１μｍ） ６０重量％

【００１５】炭酸カルシウムの重量中位径（粒度）は、
レーザー回折式粒度測定器を用いて測定した。 試験方法 上記粒剤、夫々５０ｍｇを水温２５℃に保たれた蒸留水
２０００ｍｌを含む各ビーカーに加え、１，３，５日後
に、各ビーカーの水の一部を採取し、活性化合物（化合
物Ａ）の濃度を分析した。その結果を第１表に示す。

【００１６】

【表１】

【００１７】試験例２ 試験例１で調製された発明粒剤を水田雑草（タイヌビ
エ、コナギ等の一年生雑草）の防除試験に供し、その効
果を観察した。その結果、発明粒剤の効果が完璧である
ことを確認した。

【００１８】

【発明の効果】本発明の農薬用粒剤は該粒剤中の活性成
分の溶出速度を速め、所望の活性成分の放出を的確且つ
適時に行なうことができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−111620（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−138101（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−154432（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−54546（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−10701（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−25701（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−17304（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−17303（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−264502（ＪＰ，Ａ) 特公 昭48−27469（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A01N 25/00

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 練り込み農薬用粒剤に於いて、該練り込
   み粒剤に重量中位径１５μｍ〜２５μｍの鉱物質微粉を
   配合して成ることを特徴とする活性成分の溶出速度を高
   める農薬用粒剤。
2. 【請求項２】 重量中位径が２０μｍ〜２５μｍの鉱物
   質微粉を配合して成る請求項１の農薬用粒剤。
3. 【請求項３】 鉱物質微粉が炭酸カルシウムである請求
   項１又は２の農薬用粒剤。