JP3514978B2 - ディジタルスイッチングアンプ - Google Patents

ディジタルスイッチングアンプ

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JP3514978B2
JP3514978B2 JP21809998A JP21809998A JP3514978B2 JP 3514978 B2 JP3514978 B2 JP 3514978B2 JP 21809998 A JP21809998 A JP 21809998A JP 21809998 A JP21809998 A JP 21809998A JP 3514978 B2 JP3514978 B2 JP 3514978B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ΔΣ(デルタシグ
マ)変調を応用してオーディオ信号等のアナログ信号を
増幅するディジタルスイッチングアンプに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、小型化、大出力、低ノイズ化を実
現した音響信号の高効率電力増幅器の信号処理方式とし
てΔΣ(デルタシグマ)変調方式を応用したディジタル
スイッチングアンプが用いられている。ΔΣ変調方式と
は、入力アナログ信号と帰還信号との差分値を積分し、
この積分値が最小となるようにフィードバックしてノイ
ズ・シェーピングを行う方式である。ΔΣ変調方式を応
用したディジタルスイッチングアンプは、アナログ信号
をΔΣ変調することによってパルス密度変調(PDM)
信号を生成し、キャリア信号をエネルギー拡散すること
により、簡単な構成で効率よく電力増幅を行うことがで
きるものである。
【0003】以下に、ΔΣ変調方式を応用した従来のデ
ィジタルスイッチングアンプについて図15を参照して
説明する。
【0004】上記ディジタルスイッチングアンプは、入
力端子81と、差分積分器82および1ビット量子化器
83からなるΔΣ変調部と、遅延器84と、クロック発
振器85と、パルス増幅器86と、ローパスフィルタ8
7と、出力端子88と、減衰器89とを備えた構成を有
している。
【0005】そのうち、差分積分器82は、入力端子8
1に入力されたオーディオ信号(音響信号)等のアナロ
グ信号とパルス増幅器86から帰還ループ90によって
負帰還された帰還信号とを入力信号として、これら2信
号の差分値を積分した差分積分信号を出力する積分器・
加算器群である。
【0006】1ビット量子化器83は、上記差分積分器
82から出力された差分積分信号の出力極性を判定し、
この極性によって上記差分積分信号を0または1の1ビ
ット(2値)のディジタル信号(量子化出力信号)に変
換するものである。
【0007】遅延器84は、1ビット量子化器83から
出力されたディジタル信号を任意の周波数のクロックで
遅延させるものであり、Dタイプのフリップフロップ等
で構成される。
【0008】クロック発振器85は、任意の周波数のク
ロックパルスを発生させるものであり、パルス増幅器8
6は、1ビット量子化器83から出力された1ビットの
ディジタル信号を入力し、この信号に基づいて、予め設
定された定電圧の印加をスイッチング制御し、入力され
たディジタル信号を電力増幅して出力するものである。
【0009】また、ローパスフィルタ87は、パルス増
幅器86の出力信号から不要な信号成分を除去するフィ
ルタであり、例えばコイル、コンデンサから成ってい
る。減衰器89はパルス増幅器86の出力信号を減衰す
るものである。
【0010】以上のように構成された、ΔΣ変調を応用
した従来のディジタルスイッチングアンプは、以下に示
すように駆動する。
【0011】入力端子81にアナログ信号が入力される
と、差分積分器82で、入力されたアナログ信号とパル
ス増幅器86から帰還ループ90によって負帰還された
帰還信号との2信号間の差分値を積分し、差分積分信号
を出力する。
【0012】差分積分器82から出力された差分積分信
号は、1ビット量子化器83により、差分積分信号の極
性が正であれば「1」、負であれば「0」の、1ビット
のディジタル信号に変換される。そして、パルス増幅器
86は、上記1ビット量子化器83で得られた1ビット
のディジタル信号が「1」であれば、負荷に「正電圧
E」を印加し、上記1ビットのディジタル信号が「0」
であれば、「負電圧E」を負荷に印加する。
【0013】パルス増幅器86の出力信号は減衰器89
を経て遅延器84に入力され、クロック発振器85から
供給されるクロックの繰り返し周期に応じた時問分遅延
される。遅延処理されたディジタル信号は、帰還ループ
90を介して高次の差分積分器82に入力される。ま
た、パルス増幅器86の出力信号はローパスフィルタ8
7に入力され、不要な信号成分が除去されて出力端子8
8から出力される。
【0014】このように、ΔΣ変調を応用した従来のデ
ィジタルスイッチングアンプでは、入力アナログ信号と
帰還信号との差分値を差分積分器82で積分し、この出
力極性を比較器としての1ビット量子化器83で比較す
るようになっている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のディジタルスイッチングアンプは、1ビット量子化
器83のディジタル信号が1ビット(2値)の信号であ
ることから、負荷には「正電圧E」あるいは「負電圧
E」の何れか一方が印加される。
【0016】このため、上記従来のディジタルスイッチ
ングアンプは、入力端子81から入力されたアナログ信
号の振幅が小さい場合であっても、上記の振幅が大きい
場合と同様に一定の電圧でパルス増幅器86により電力
増幅されるため、電力効率が悪いという問題点を有して
いる。また、上記従来のディジタルスイッチングアンプ
は、負荷に「正電圧E」あるいは「負電圧E」の何れか
一方が印加されるため、電圧変動や±電源のアンバラン
ス等の影響で出力端子88から出力される出力信号の量
子化ノイズ(雑音)が大きくなり、発振限界も低くな
る。このため、入力信号の振幅が小さくても、ΔΣ変調
での量子化ノイズが下がらず、S/N(信号対雑音比)
が十分に取れないという問題点を有している。
【0017】本発明は上記従来の問題点に鑑みなされた
ものであり、その目的は、電力効率が良く、入力信号の
振幅が小さいときでも十分なS/Nを得ることができる
ディジタルスイッチングアンプを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
ディジタルスイッチングアンプは、上記の目的を達成す
るために、入力アナログ信号をΔΣ変調して量子化出力
信号に変換する量子化部(例えばΔΣ変調部における量
子化器)と、上記量子化出力信号に対応したスイッチン
グ制御信号により、負荷への定電圧の印加をスイッチン
グ制御する電力増幅部(例えばパルス増幅器)とを備え
たディジタルスイッチングアンプであって、上記量子化
部は、上記入力アナログ信号を4値以上かつ偶数値の正
負の量子化出力信号に変換することを特徴としている。
【0019】上記の構成によれば、上記量子化部が入力
アナログ信号を4値以上かつ偶数値の正負の量子化出力
信号に変換することで、この4値以上かつ偶数値の正負
の量子化出力信号に対応したスイッチング制御信号が設
定される。このため、このスイッチング制御信号によ
り、負荷に対して、4値以上の正電圧または負電圧の印
加の状態をとるように制御することができる。
【0020】具体的には、入力アナログ信号を、量子化
出力信号として4値の量子化出力信号に変換した場合に
は、この4値の量子化出力信号に対して、4値のスイッ
チング制御信号、即ち、「正電圧V1印加」、「正電圧
V2印加」、「負電圧V2印加」、「負電圧V1印加」
が設定される。従って、入力信号の振幅が大きいときに
は、負荷に、振幅の大きい定電圧を印加し、入力信号の
振幅が小さいときには、負荷に、振幅の小さい定電圧を
印加することができるので、入力信号の振幅が小さいと
きでも、入力信号の振幅が大きいときと同じ定電圧を印
加する必要がなく、負荷で消費される電力を小さくする
ことができる。従って、量子化出力信号が2値あるいは
3値のときと比較して電力効率を飛躍的に向上させるこ
とができる。
【0021】本発明の請求項2に記載のディジタルスイ
ッチングアンプは、上記の目的を達成するために、請求
項1の構成において、上記量子化部における入力アナロ
グ信号から量子化出力信号への変換が、絶対値0.2以
上の量子化閾値に基づいて行われることを特徴としてい
る。
【0022】上記の構成によれば、量子化閾値を最適化
することで、発振限界を高くすることができる。従っ
て、より大きな振幅のアナログ信号を入力できるため、
より高効率なスイッチング動作が可能となる。また、量
子化閾値を最適化することで、量子化ノイズレベルを低
減することができ、S/Nを十分に確保することができ
る。
【0023】本発明の請求項3に記載のディジタルスイ
ッチングアンプは、上記の目的を達成するために、請求
項1の構成において、上記量子化部における入力アナロ
グ信号から量子化出力信号への変換が、入力アナログ信
号を一旦3値化した後に1クロック前の量子化出力信号
に基づいて多値化することにより行われることを特徴と
している。
【0024】量子化部における入力アナログ信号から量
子化出力信号への変換が量子化閾値に基づいて行われる
場合、該量子化閾値は、入力アナログ信号の信号レベル
が設定された量子化閾値間にあることを正確に判定する
ために、相応の大きさを有している必要がある。この場
合、入力アナログ信号の振幅が小さければ、該入力アナ
ログ信号は、設定された量子化閾値よりも大きいとは見
なされず、信号レベルの変化にも拘らず、常に同じ量子
化出力信号に変換されてしまう虞れがある。
【0025】これに対し、入力アナログ信号を、一旦3
値化した後に1クロック前の量子化出力信号に基づいて
多値化する場合、例えば請求項4に示すように、入力ア
ナログ信号を3値化したときの量子化出力信号が0のと
きは、該量子化出力信号を1クロック前の量子化出力信
号の極性と同じ極性を有する量子化出力信号に変換する
ことで、量子化出力値が小さい量子化出力信号を取り出
すことができる。従って、例えば、取り出された量子化
出力信号を整数倍することにより電力増幅を行う場合、
負荷で消費される電力をより小さくすることができ、電
力効率をさらに向上させることができる。
【0026】また、入力アナログ信号を一旦3値化した
後に1クロック前の量子化出力信号に基づいて多値化す
る場合、例えば、量子化部が入力アナログ信号を2つの
1ビット信号に変換することで3値化し、これに基づい
て多値化することができるので、入力アナログ信号の信
号レベルが設定された量子化閾値間にあることを判定す
るための回路を必要とせず、簡素な構成とすることがで
きる。
【0027】本発明の請求項4に記載のディジタルスイ
ッチングアンプは、上記の目的を達成するために、請求
項3の構成において、上記多値化が、上記入力アナログ
信号を、0を含む3値の量子化出力信号に一旦変換し、
この3値化したときの量子化出力信号が0のときは、該
量子化出力信号を1クロック前の量子化出力信号の極性
と同じ極性を有する量子化出力信号に変換することによ
り行われることを特徴としている。
【0028】上記の構成によれば、入力信号の振幅が小
さい場合、量子化出力信号を1クロック前の量子化出力
信号の極性と反対の極性を有する量子化出力信号に変換
するよりも量子化ノイズを飛躍的に減少させることがで
き、S/Nを十分に確保することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の一実施
の形態について図1ないし図11に基づいて説明すれ
ば、以下の通りである。図1に示すように、ΔΣ(デル
タシグマ)変調を応用した本実施の形態に係るディジタ
ルスイッチングアンプは、入力端子1と、差分積分器2
および量子化器3(量子化部)からなるΔΣ変調部と、
遅延器4と、クロック発振器5と、パルス増幅器6(電
力増幅部)と、ローパスフィルタ7と、出力端子8と、
減衰器9とを備えた構成を有している。
【0030】そのうち、差分積分器2は、入力端子1に
入力されたオーディオ信号(音響信号)等のアナログ信
号(入力アナログ信号)とパルス増幅器6から帰還ルー
プ10によって負帰還された帰還信号とを入力信号とし
て、これら2信号の差分値を積分した差分積分信号を出
力する積分器・加算器群である。ここで、上記差分積分
器2を構成する積分器群は、入力アナログ信号と帰還信
号との差分値を積分する高次の積分器であり、その積分
回路定数は、想定されるサンプリング周波数に対して最
適に設定されている。また、加算器群は、上記差分積分
器2を構成する各積分器からの出力信号を加算し、量子
化器3に出力するようになっている。
【0031】量子化器3は、比較部3a(図5参照)と
ディジタル信号生成部3b(図6参照)とを備え、上記
差分積分器2から出力された差分積分信号の極性を判定
し、この極性によって上記差分積分信号を4値以上、偶
数値の正負のディジタル信号(量子化出力信号)に変換
するものである。
【0032】つまり、入力アナログ信号をΔΣ変調して
ディジタル信号に変換してディジタルスイッチングアン
プをスイッチング制御する場合、極性の反転をできるだ
け忠実に誤差なく量子化する必要がある。このため、本
発明では、入力アナログ信号をディジタル信号に変換す
るに際し、「0」を基準に正負の多値(偶数値)のディ
ジタル信号に変換するようになっている。
【0033】以下、本実施の形態では、4値のディジタ
ル信号(4値化信号)に変換する場合を例に挙げて説明
するが、上記量子化器3としては、4値以上の偶数値の
多値信号に変換できるものであれば特に制限されない。
上記量子化器3の量子化閾値は、想定されるサンプリン
ブ周波数に対して最適に設定される。
【0034】遅延器4は、量子化器3のディジタル信号
を任意の周波数のクロックで遅延させるものであり、D
タイプのフリップフロップ等で構成される。また、クロ
ック発振器5は、任意の周波数のクロックパルスを発生
させるものである。
【0035】パルス増幅器6は、量子化器3から出力さ
れたディジタル信号を入力し、この信号に基づいて定電
圧(例えば「正電圧V1」、「正電圧V2」、「負電圧
V2」、「負電圧V1」)の印加をスイッチング制御す
る。これにより、負荷に対して、設定された何れかの定
電圧(「正電圧V1」、「正電圧V2」、「負電圧V
2」、または「負電圧V1」)を選択的に印加する。つ
まり、上記パルス増幅器6は、量子化器3から出力され
たディジタル信号に基づいたスイッチング制御信号によ
り、正または負の所定振幅のパルス信号を切り換えて出
力することで入力されたディジタル信号を電力増幅して
出力する。
【0036】ローパスフィルタ7は、パルス増幅器6の
出力信号であるパルス信号から不要な信号成分を除去し
て出力端子8へ出力するフィルタであり、例えばコイ
ル、コンデンサから成っている。
【0037】減衰器9は、パルス増幅器6の出力信号で
あるパルス信号を差分積分器2に負帰還する帰還ループ
10上に設けられ、パルス増幅器6の出力を減衰して差
分積分器2に負帰還させるものである。
【0038】ここで、上記量子化器3の比較部3aの構
成の一例について図5を参照して以下に説明する。上記
比較部3aは、三つのコンパレータQ1・Q2・Q3
と、四つの抵抗R1・R2・R3・R4とを備えた構成
を有している。上記抵抗R1・R2・R3・R4のう
ち、抵抗R2・R3は可変抵抗であり、該抵抗R2およ
び抵抗R3の抵抗値を変更することによって、量子化器
3は量子化閾値を任意に変更することができるようにな
っている。
【0039】上記の抵抗R1・R2・R3・R4は縦続
接続され、その抵抗分割比によって量子化閾値「+V、
0、−V」が生成される。生成した量子化閾値「+V、
0、−V」は、対応するコンパレータQ1〜Q3に各々
入力され、該コンパレータQ1〜Q3において、入力ア
ナログ信号の電圧「Vin」と各々比較演算され、この
結果を示す信号が、出力X・Y・Zの3系統に分かれて
図6に示すディジタル信号生成部3bの論理回路に出力
される。
【0040】図6は、上記の出力X・Y・Zを4値の正
負のディジタル信号に変換する量子化器3のディジタル
信号生成部3bの構成の一例を示す説明図である。
【0041】図6に示すディジタル信号生成部3bの論
理回路において、出力X・Y・Zは、ANDゲート31
および対応するインヒビットゲート32・33に入力さ
れる。上記のANDゲート31は、出力X・Y・Zに基
づいて得られる信号を、インヒビットゲート32、NO
Rゲート34、および伝送ゲート38に出力するように
なっている。また、インヒビットゲート32は、AND
ゲート31からの出力および出力Yに基づいて得られる
信号を、NORゲート34、および伝送ゲート37に出
力するようになっている。インヒビットゲート33は、
出力Yおよび出力Zに基づいて得られる信号を、NOR
ゲート34および伝送ゲート36に出力するようになっ
ている。NORゲート34は、ANDゲート31からの
出力およびインヒビットゲート32・33からの出力に
基づいて得られる信号を伝送ゲート35に出力するよう
になっている。そして、上記の伝送ゲート35〜38
は、各々の入力信号に基づいて異なるタイミングでON
することにより、以下に示す真理値表(表1)および図
7(a)・(b)に示す波形図に従って、各々の入力信
号に対応する4値の正負のディジタル信号「+V1、+
V2、−V2、−V1」を選択的にパルス増幅器6に出
力する。
【0042】
【表1】
【0043】以上のように構成された本実施の形態にか
かるディジタルスイッチングアンプは、以下に示すよう
に駆動する。
【0044】先ず、入力端子1にアナログ信号が入力さ
れると、差分積分器2は、入力されたアナログ信号とパ
ルス増幅器6から帰還ループ10によって負帰還された
帰還信号との2信号間の差分値を積分し、差分積分信号
を出力する。
【0045】差分積分器2から出力された差分積分信号
は、量子化器3でΔΣ変調を用いて、動作クロックに基
づいて4値の正負のディジタル信号「+V1、+V2、
−V2、−V1」、例えば「+1、+0.2、−0.
2、−1」に変換され、これらディジタル信号のうちの
何れか1つが選択的にパルス増幅器6に出力されること
でパルス増幅器6で印可電圧の制御が行われる。
【0046】ここで、入力端子1に入力されたアナログ
信号を差分積分器2を経て量子化器3で4値の正負のデ
ィジタル信号「+1、+0.2、−0.2、−1」に変
換する方法について図2(a)〜(c)を用いて説明す
る。図2(a)は動作クロックを示す説明図であり、図
2(b)は、差分積分器2から出力される差分積分信号
を示す説明図であり、図2(c)は、図2(b)に示す
差分積分信号を入力した場合に、量子化器3が出力する
ディジタル信号を示す説明図である。
【0047】4値の正負のディジタル信号を出力する場
合、量子化器3では、図2(b)に示すように、予め設
定された3値のコンパレータ閾値(量子化閾値)「+
V、0、−V」と、差分積分器2を経た入力アナログ信
号とが比較演算される。
【0048】このとき、差分積分器2を経た入力アナロ
グ信号のレベルが量子化閾値「+V」を超える場合、即
ち、表1(真理値表)において出力X・Y・Zが「H」
・「H」・「H」の場合には、量子化器3は、「+V
1」として「+1」のディジタル信号を選択的に出力す
る。
【0049】また、差分積分器2を経た入力アナログ信
号のレベルが量子化閾値「0」と量子化閾値「+V」と
の間にある場合、即ち、表1(真理値表)において出力
X・Y・Zが「L」・「H」・「H」の場合には、量子
化器3は、「+V2」として「+0.2」のディジタル
信号を選択的に出力する。
【0050】差分積分器2を経た入力アナログ信号のレ
ベルが、量子化閾値「−V」と「0」との間にある場
合、即ち、表1(真理値表)において出力X・Y・Zが
「L」・「L」・「H」の場合には、量子化器3は、
「−V2」として「−0.2」のディジタル信号を選択
的に出力する。
【0051】差分積分器2を経た入力アナログ信号のレ
ベルが、量子化閾値「−V」未満の場合、即ち、表1
(真理値表)において出力X・Y・Zが「L」・「L」
・「L」の場合には、量子化器3は、「−V1」として
「−1」のディジタル信号を選択的に出力する。
【0052】上記量子化器3が4値の正負のディジタル
信号「+V1、+V2、−V2、−V1」として「+
1、+0.2、−0.2、−1」を出力する場合、パル
ス増幅器6は、上記量子化器3で得られた4値の正負の
ディジタル信号「+1、+0.2、−0.2、−1」に
各々対応して「正電圧V1印加」、「正電圧V2印
加」、「負電圧V2印加」、「負電圧V1印加」を設定
してスイッチング制御信号とし、上記量子化器3から出
力されたディジタル信号に対応したスイッチング制御信
号に基づいて、定電圧「正電圧V1」、「正電圧V
2」、「負電圧V2」、「負電圧V1」をスイッチング
し、「正電圧V1」、「正電圧V2」、「負電圧V
2」、「負電圧V1」のうち何れか1つの定電圧を有す
る信号を生成することにより電力増幅を行う。つまり、
パルス増幅器6は、上記のスイッチング制御信号に基づ
いて、負荷に対して「正電圧V1」、「正電圧V2」、
「負電圧V2」、または「負電圧V1」が印加された状
態となるように制御するようになっている。
【0053】パルス増幅器6の出力信号は、その後、図
1に示すように、減衰器9を経て遅延器4に入力され、
クロック発振器5から供給されるクロックの繰り返し周
期に応じた時問分遅延される。遅延処理されたディジタ
ル信号は、帰還ループ10を介して高次の差分積分器2
に入力される。また、パルス増幅器6の出力信号はロー
パスフィルタ7に入力され、不要な信号成分が除去され
て出力端子8から出力される。
【0054】このように、ΔΣ変調部で、入力されたア
ナログ信号を多値のディジタル信号に変換(例えば4値
化)し、このディジタル信号に対応してスイッチング制
御信号を設定し、ディジタルスイッチングアンプを駆動
することにより、出力端子8から出力される出力信号へ
の電圧変動や±電圧のアンバランス等の影響を抑制し、
これらに起因する量子化ノイズの増加を抑えることがで
きる。また、発振限界の低下も抑制できることから十分
なS/N(信号対雑音比)を確保することができる。
【0055】また、入力されたアナログ信号を4値以上
かつ偶数値の正負のディジタル信号に変換することで、
入力されたアナログ信号の振幅に応じた定電圧の印加が
可能となる。
【0056】つまり、このディジタル信号に対応する定
電圧「正電圧V1」、「正電圧V2」、「負電圧V
2」、「負電圧V1」として、各々、「+50V」、
「+10V」、「−10V」、「−50V」を設定した
場合、入力端子8から入力されたアナログ信号の振幅が
小さいときには、負荷に「+10V」または「−10
V」の、振幅の小さい定電圧が印加された状態とするこ
とができるので、負荷で消費される電力を小さく抑える
ことができる。
【0057】このように、入力されたアナログ信号を4
値以上かつ偶数値の正負のディジタル信号に変換するこ
とで、パルス増幅器6で、この4値以上かつ偶数値の正
負のディジタル信号に対応したスイッチング制御信号が
設定されるため、このスイッチング制御信号により、負
荷に対して、4値以上の正電圧または負電圧の印加が可
能となる。このため、入力されたアナログ信号を2値あ
るいは3値のディジタル信号に変換する場合のように一
定の電圧で電力増幅するのではなく、入力アナログ信号
の振幅に応じた定電圧を負荷に印加して電力増幅するこ
とができるので、電力効率が飛躍的に向上する。
【0058】次に、本実施の形態に係るディジタルスイ
ッチングアンプの量子化閾値と発振限界との関係を図3
に示す。また、本実施の形態に係るディジタルスイッチ
ングアンプの量子化閾値とS/Nとの関係を図4に示
す。図3から、量子化閾値の絶対値を0.2以上とする
ことにより、例えば量子化閾値の絶対値が0.1のとき
と比較して、発振限界値を5%以上高くすることができ
ることが判る。また、量子化閾値の絶対値を0.2以上
とすることにより、例えば量子化閾値の絶対値が0.1
のときと比較して、量子化ノイズレベルを15dB以上
下げることができる。このため、量子化閾値の絶対値を
0.2以上とすることにより、図4に示すように、量子
化閾値の絶対値が0.1のときと比較して、S/Nを大
きくとることができる。
【0059】従って、量子化器3の量子化閾値の絶対値
が0.2以上に設定されていることで、差分積分器2の
発振限界が高く、S/Nが十分に確保されたディジタル
スイッチングアンプを得ることができる。
【0060】ここで、本実施の形態に係るディジタルス
イッチングアンプの性能を評価した結果を示す。
【0061】先ず、設定例1として、サンプリング周波
数が2.8224MHz、7次ΔΣ変調による差分積分
器2で、量子化閾値が±0.1のとき、上記ディジタル
スイッチングアンプに、689Hz、振幅0.001の
正弦波を入力したときの量子化ノイズスペクトルを図8
に示す。
【0062】上記設定例1における発振限界値は0.8
7、S/Nは98dB、ダイナミックレンジは105d
Bであった。上記の発振限界値とは、入力可能な最大信
号の片振幅を1とした時の、発振が生じない限界の入力
信号の片振幅の大きさを表している。ダイナミックレン
ジは、S/NにA特性を掛け合わせたものである。A特
性とは、人間の聴覚感度の周波数特性に近づけた周波数
特性であり、人間が感じる音の大きさを表している。人
間は、1kHz〜4kHzの感度が良いので、1kHz
〜4kHzの量子化ノイズレベルが低いほどダイナミッ
クレンジが高くなる。
【0063】次に、設定例2として、サンプリング周波
数が2.8224MHz、7次ΔΣ変調による差分積分
器2で、量子化閾値が±0.2のとき、上記ディジタル
スイッチングアンプに、689Hz、振幅0.001の
正弦波を入力したときの量子化ノイズスペクトルを図9
に示す。上記設定例2では、設定例1において、量子化
閾値の値のみを変更している。
【0064】上記設定例2における発振限界値は0.9
4、S/Nは115dB、ダイナミックレンジは122
dBであった。
【0065】上記設定例1および設定例2の結果から、
量子化閾値を0.2とすることで、量子化閾値が0.1
のときと比較して、20kHz以下の可聴帯域における
量子化ノイズレベルを低くすることができ、発振限界
値、S/N、およびダイナミックレンジを高くすること
ができることが判る。
【0066】さらに、設定例3として、サンプリング周
波数が2.8224MHz、7次ΔΣ変調による差分積
分器2で、量子化閾値が±0.2のとき、上記ディジタ
ルスイッチングアンプに、689Hz、振幅0.3の正
弦波を入力したときの量子化ノイズスペクトルを図10
に示す。上記設定例3では、設定例2において、入力正
弦波の振幅のみを変更している。
【0067】図9および図10から、設定例2のとき
は、設定例3のときと比較して、可聴帯域(〜20kH
z)での量子化ノイズレベルが約20dB低減すること
が判る。つまり、入力信号の振幅が小さいときには、量
子化ノイズレベルが低減され、スイッチング制御信号の
S/Nが大幅に改善される。このため、負荷に印加され
る出力信号のS/Nが大幅に向上する。
【0068】また、比較例1として、1ビット量子化器
を用いた従来のディジタルスイッチングアンプを用い
て、サンプリング周波数が2.8224MHz、7次Δ
Σ変調による差分積分器で、量子化閾値0.1のとき、
上記従来のディジタルスイッチングアンプに、689H
z、振幅0.001の正弦波を入力したときの量子化ノ
イズスペクトルを図11に示す。
【0069】上記比較例1における発振限界値は0.9
2、S/Nは90dB、ダイナミックレンジは91dB
であった。
【0070】上記設定例1〜3と比較例1とを比較する
ことにより、上記設定例1〜3にて例示する本実施の形
態に示すように、入力アナログ信号を4値以上かつ偶数
値の正負のディジタル信号に変換することにより、量子
化ノイズレベルを改善し、発振限界値、S/N、および
ダイナミックレンジを高くすることができることが判
る。
【0071】以上のように、本実施の形態によれば、デ
ィジタルスイッチングアンプが、入力アナログ信号をΔ
Σ変調してディジタル信号に変換する量子化器3と、上
記ディジタル信号に基づいたスイッチング制御信号によ
り、負荷への定電圧の印加をスイッチング制御するパル
ス増幅器6とを備え、上記量子化器3が、入力アナログ
信号を4値以上かつ偶数値の正負のディジタル信号に変
換することで、電力効率が良く、入力信号の振幅が小さ
いときでも十分なS/Nを得ることができるディジタル
スイッチングアンプを提供することができる。
【0072】また、上記量子化器3におけるディジタル
信号への変換が、量子化閾値に基づいて行われる場合、
上記量子化閾値の絶対値は、0.2以上であることが好
ましい。上記量子化閾値の絶対値が0.2以上であれ
ば、差分積分器2の発振限界が高く、S/Nが十分に確
保されたディジタルスイッチングアンプを提供すること
ができる。
【0073】尚、本実施の形態では、入力アナログ信号
を4値の正負のディジタル信号に変換する場合について
説明したが、3値以上の奇数値の量子化閾値を用いるこ
とで、4値以上の偶数値のディジタル信号を得ることが
できる。
【0074】また、本実施の形態では、上記ディジタル
スイッチングアンプの構成として、帰還ループ10上
に、減衰器9より差分積分器2側に、クロック発振器5
と接続した遅延器4を備える構成としたが、遅延器4が
ない構成としてもよい。また、減衰器9がなく、パルス
増幅器6が帰還ループ10外にある構成としてもよい。
つまり、量子化器3のディジタル出力信号が遅延器4で
遅延され、帰還ループ10によって、差分積分器2に負
帰還される構成としてもよい。
【0075】また、上記ディジタルスイッチングアンプ
の構成において、量子化器3のディジタル出力信号が帰
還ループ10によって差分積分器2に直接負帰還される
ように、遅延器4、減衰器9、およびクロック発振器5
がない構成としてもよい。
【0076】〔実施の形態2〕本発明の他の実施の形態
について図12ないし図14に基づいて説明すれば、以
下の通りである。尚、説明の便宜上、実施の形態1と同
一の機能を有する部材には同一の番号を付し、その説明
を省略する。
【0077】前記実施の形態1では、量子化器3が、量
子化閾値に基づいて、差分積分器2を経た入力アナログ
信号(即ち、差分積分信号)を4値以上かつ偶数値の正
負のディジタル信号(量子化出力信号)に変換し、この
ディジタル信号に対応して正電圧および負電圧の印加を
設定する場合について説明した。本実施の形態では、量
子化器3が、差分積分器2を経た入力アナログ信号(即
ち、差分積分信号)を一旦3値化した後に1クロック前
のディジタル信号に基づいて4値の正負のディジタル信
号(量子化出力信号)に変換し、このディジタル信号に
対応して正電圧および負電圧の印加を設定する場合につ
いて説明する。
【0078】本実施の形態では、差分積分器2を経た入
力アナログ信号は、先ず、「0」を含めた3値のディジ
タル信号に変換される。
【0079】上記の入力アナログ信号を「0」を含めた
3値のディジタル信号に変換するには、例えば、上記量
子化器3が、上記の入力アナログ信号を2つの1ビット
信号に変換することにより容易に実現可能である。この
ためには、例えば、2値のコンパレータ閾値(量子化閾
値)A・Bを用いて、入力されるアナログ信号のレベル
が閾値A以上である場合には「+1」、閾値Aより小さ
い場合には「0」として、1ビットのディジタル信号を
生成すると同時に、このアナログ信号のレベルが閾値B
以上である場合には「0」、閾値Bより小さい場合には
「−1」として1ビットのディジタル信号を生成し、こ
れを合成すればよい。
【0080】この3値のディジタル信号を4値のディジ
タル信号として出力するには、この3値化したときのデ
ィジタル信号が「0」のときは、ディジタル信号として
「0」を出力する代わりに、該ディジタル信号を、1ク
ロック前のディジタル信号に基づいて別のディジタル信
号に変換して出力すればよい。
【0081】図12(a)・(b)に、本実施の形態に
おけるディジタルスイッチングアンプにおける入力アナ
ログ信号のディジタル信号への変換方法を示す。
【0082】本実施の形態では、差分積分器2を経た入
力アナログ信号を3値化して得られた新たなディジタル
信号が「0」のときは、1クロック前のディジタル信号
の極性と同じ極性のディジタル信号を出力するようにな
っている。例えば、図12(a)に示すように、t1
2 でディジタル信号が「+1」→「0」に変化すると
きには、t2 →t3 でディジタル信号「+N」を出力す
る。一方、図12(b)に示すように、t1 →t2 でデ
ィジタル信号が「−1」→「0」に変化するときには、
2 →t3 でディジタル信号「−N」を出力する。これ
により、上記量子化器3は、4値の正負のディジタル信
号「+1、+N、−N、−1」を出力する。そして、パ
ルス増幅器6は、上記量子化器3で得られた4値の正負
のディジタル信号「+1、+N、−N、−1」に対応し
て、「正電圧V1印加」、「正電圧V2印加」、「負電
圧V2印加」、「負電圧V1印加」をスイッチング制御
信号として設定する。
【0083】このように入力アナログ信号を、一旦、
「+1、0、−1」に3値化したときに、得られたディ
ジタル信号が「0」である場合には、該ディジタル信号
を1クロック前のディジタル信号の極性と同じ極性を有
するディジタル信号に変換することで、量子化出力値が
小さいディジタル信号を取り出すことができる。従っ
て、例えば、取り出されたディジタル信号を整数倍する
ことにより電力増幅を行う場合、負荷で消費される電力
をより小さくすることができ、電力効率をさらに向上さ
せることができる。
【0084】一方、量子化器3における入力アナログ信
号からディジタル信号への変換が量子化閾値に基づいて
行われる場合、該量子化閾値は、入力アナログ信号の信
号レベルが設定された量子化閾値間にあることを正確に
判定するために、相応の大きさを有している必要があ
る。この場合、入力アナログ信号の振幅が小さければ、
該入力アナログ信号は、設定された量子化閾値よりも大
きいとは見なされず、信号レベルの変化にも拘らず、常
に同じディジタル信号に変換されてしまう虞れがある。
従って、差分積分器2を経た入力アナログ信号を一旦3
値化した後に1クロック前のディジタル信号に基づいて
4値のディジタル信号に変換する場合、容易に4値化が
可能であると共に、電力効率の向上を図ることができ
る。
【0085】また、入力アナログ信号を一旦3値化した
後に1クロック前のディジタル信号に基づいて多値化す
る場合、上述したように、例えば、量子化器3が入力ア
ナログ信号を2つの1ビット信号に変換することで3値
化し、これに基づいて多値化することができるので、入
力アナログ信号の信号レベルが設定された量子化閾値間
にあることを判定するための回路を必要とせず、従来用
いられている1ビット比較器等を利用することができ、
簡素な構成とすることができる。
【0086】図13に、サンプリング周波数が2.82
24MHz、7次ΔΣ変調による差分積分器2で、ディ
ジタル信号が「0」のとき、該ディジタル信号を1クロ
ック前のディジタル信号の極性と同じ極性を有するディ
ジタル信号(0.1)に変換するとき、上記ディジタル
スイッチングアンプに、689Hz、振幅0.001の
正弦波を入力したときの量子化ノイズスペクトルを示
す。つまり、量子化器3が4値の正負のディジタル信号
「+1、+0.1、−0.1、−1」を出力する場合、
ディジタル信号が「+0.1」→「0」に変化するとき
には、ディジタル信号として、「+0.1」を出力し、
逆に、ディジタル信号が「−0.1」→「0」に変化す
るときには、ディジタル信号として、「−0.1」を出
力する。
【0087】この結果、発振限界値は0.94、S/N
は93dB、ダイナミックレンジは100dBであっ
た。
【0088】また、図14に、サンプリング周波数が
2.8224MHz、7次ΔΣ変調による差分積分器2
で、ディジタル信号が「0」のとき、該ディジタル信号
を1クロック前のディジタル信号の極性と反対の極性を
有するディジタル信号(0.1)に変換するとき、上記
ディジタルスイッチングアンプに、689Hz、振幅
0.001の正弦波を入力したときの量子化ノイズスペ
クトルを示す。つまり、量子化器3が4値の正負のディ
ジタル信号「+1、+0.1、−0.1、−1」を出力
する場合、ディジタル信号が「+0.1」→「0」に変
化するときには、ディジタル信号として、「−0.1」
を出力し、逆に、ディジタル信号が「−0.1」→
「0」に変化するときには、ディジタル信号として、
「+0.1」を出力する。
【0089】この結果、発振限界値は0.91、S/N
は91dB、ダイナミックレンジは98dBであった。
【0090】図13および図14に示す結果から、入力
信号の振幅が小さい場合、1クロック前のディジタル信
号が正の量子化出力値のときは「−N(0.1)」、負
の量子化出力値のときは「+N(0.1)」となるよう
なディジタル信号をスイッチング制御信号とするより
も、1クロック前のディジタル信号の極性と同一の極性
を有するディジタル信号をスイッチング制御信号とした
方が、量子化ノイズレベルを下げることができることが
判る。これは、入力信号レベルが小さいときには、量子
化器3からは量子化出力値が小さいディジタル信号が出
力され、このディジタル信号が、1クロック前のディジ
タル信号に対して極性反転しない方が量子化誤差を少な
くできるためであると考えられる。
【0091】以上のように、本実施の形態によれば、上
記量子化器3が、入力アナログ信号を4値以上かつ偶数
値の正負のディジタル信号に変換することで、電力効率
が良く、入力信号の振幅が小さいときでも十分なS/N
を得ることができるディジタルスイッチングアンプを提
供することができる。この場合、上記量子化器3におけ
る入力アナログ信号からディジタル信号への変換が、入
力アナログ信号を一旦3値化した後に1クロック前のデ
ィジタル信号に基づいて多値化することにより行われる
ことで、電力効率をさらに向上させることができる。
【0092】また、入力信号の振幅が小さい場合、ディ
ジタル信号を1クロック前のディジタル信号の極性と同
一の極性を有するディジタル信号に変換することで、量
子化ノイズを飛躍的に減少させることができ、S/Nを
十分に確保することができる。
【0093】
【発明の効果】本発明の請求項1に記載のディジタルス
イッチングアンプは、以上のように、入力アナログ信号
をΔΣ変調して量子化出力信号に変換する量子化部と、
上記量子化出力信号に対応したスイッチング制御信号に
より、負荷への定電圧の印加をスイッチング制御する電
力増幅部とを備えたディジタルスイッチングアンプであ
って、上記量子化部は、上記入力アナログ信号を4値以
上かつ偶数値の正負の量子化出力信号に変換する構成で
ある。
【0094】上記の構成によれば、上記量子化部が入力
アナログ信号を4値以上かつ偶数値の正負の量子化出力
信号に変換することで、この4値以上かつ偶数値の正負
の量子化出力信号に対応したスイッチング制御信号を設
定し、このスイッチング制御信号により、負荷に対して
定電圧の印加を制御することができる。このため、入力
信号の振幅が小さい場合に、入力信号の振幅が大きいと
きと同じ定電圧を印加する必要がなく、負荷で消費され
る電力を小さくすることができる。従って、電力効率を
飛躍的に向上させることができるという効果を奏する。
【0095】本発明の請求項2に記載のディジタルスイ
ッチングアンプは、以上のように、上記量子化部におけ
る入力アナログ信号から量子化出力信号への変換が、絶
対値0.2以上の量子化閾値に基づいて行われる構成で
ある。
【0096】上記の構成によれば、請求項1の効果に加
えて、量子化閾値を最適化することで発振限界を高くす
ることができ、より高効率なスイッチング動作が可能に
なるという効果を奏する。また、量子化閾値を最適化す
ることで、量子化ノイズレベルを低減することができ、
S/Nを十分に確保することができるという効果を併せ
て奏する。
【0097】本発明の請求項3に記載のディジタルスイ
ッチングアンプは、以上のように、上記量子化部におけ
る入力アナログ信号から量子化出力信号への変換が、入
力アナログ信号を一旦3値化した後に1クロック前の量
子化出力信号に基づいて多値化することにより行われる
構成である。
【0098】上記の構成によれば、請求項1の効果に加
えて、量子化出力値が小さい量子化出力信号を取り出す
ことができるので、電力効率をさらに向上させることが
できるという効果を奏する。
【0099】また、入力アナログ信号を一旦3値化した
後に1クロック前の量子化出力信号に基づいて多値化す
る場合、例えば、量子化部が入力アナログ信号を2つの
1ビット信号に変換することで3値化し、これに基づい
て多値化することができるので、入力アナログ信号の信
号レベルが設定された量子化閾値間にあることを判定す
るための回路を必要とせず、簡素な構成とすることがで
きるという効果を併せて奏する。
【0100】本発明の請求項4に記載のディジタルスイ
ッチングアンプは、以上のように、上記多値化が、上記
入力アナログ信号を、0を含む3値の量子化出力信号に
一旦変換し、この3値化したときの量子化出力信号が0
のときは、該量子化出力信号を1クロック前の量子化出
力信号の極性と同じ極性を有する量子化出力信号に変換
することにより行われる構成である。
【0101】上記の構成によれば、請求項3の効果に加
えて、入力信号の振幅が小さい場合、量子化出力信号を
1クロック前の量子化出力信号の極性と反対の極性を有
する量子化出力信号に変換するよりも量子化ノイズを飛
躍的に減少させることができ、S/Nを十分に確保する
ことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るディジタルスイッチ
ングアンプの構成を示すブロック図である。
【図2】入力端子に入力されたアナログ信号を差分積分
器を経て量子化器で4値の正負のディジタル信号に変換
する方法について説明する図であり、(a)は動作クロ
ックを示す説明図であり、(b)は、差分積分器から出
力される差分積分信号を示す説明図であり、(c)は、
(b)に示す差分積分信号を入力した場合に、量子化器
が出力するディジタル信号を示す説明図である。
【図3】上記ディジタルスイッチングアンプにおける量
子化閾値と発振限界との関係を示すグラフである。
【図4】上記ディジタルスイッチングアンプにおける量
子化閾値とS/Nとの関係を示すグラフである。
【図5】図2に示す量子化器の比較部の構成の一例を示
す説明図である
【図6】図2に示す量子化器のディジタル信号生成部の
構成の一例を示す説明図である。
【図7】(a)は、図6に示すディジタル信号生成部か
ら出力される4値化信号の波形図であり、(b)は、図
5に示す比較部から上記ディジタル信号生成部に出力さ
れる信号の波形図である。
【図8】サンプリング周波数が2.8224MHz、7
次ΔΣ変調による差分積分器で、量子化閾値が±0.1
のとき、上記ディジタルスイッチングアンプに、689
Hz、振幅0.001の正弦波を入力したときの量子化
ノイズスペクトルを示すグラフである。
【図9】サンプリング周波数が2.8224MHz、7
次ΔΣ変調による差分積分器で、量子化閾値が±0.2
のとき、上記ディジタルスイッチングアンプに、689
Hz、振幅0.001の正弦波を入力したときの量子化
ノイズスペクトルを示すグラフである。
【図10】サンプリング周波数が2.8224MHz、
7次ΔΣ変調による差分積分器で、量子化閾値が±0.
2のとき、上記ディジタルスイッチングアンプに、68
9Hz、振幅0.3の正弦波を入力したときの量子化ノ
イズスペクトルを示すグラフである。
【図11】1ビット量子化器を用いた従来のディジタル
スイッチングアンプを用いて、サンプリング周波数が
2.8224MHz、7次ΔΣ変調による差分積分器
で、量子化閾値0.1のとき、上記従来のディジタルス
イッチングアンプに、689Hz、振幅0.001の正
弦波を入力したときの量子化ノイズスペクトルを示すグ
ラフである。
【図12】(a)・(b)は、本発明の他の実施の形態
に係るディジタルスイッチングアンプにおける入力アナ
ログ信号のディジタル信号への変換方法を示す説明図で
ある。
【図13】サンプリング周波数が2.8224MHz、
7次ΔΣ変調による差分積分器で、ディジタル信号が
「0」のとき、該ディジタル信号を1クロック前のディ
ジタル信号の極性と同じ極性を有するディジタル信号に
変換するとき、上記ディジタルスイッチングアンプに、
689Hz、振幅0.001の正弦波を入力したときの
量子化ノイズスペクトルを示すグラフである。
【図14】サンプリング周波数が2.8224MHz、
7次ΔΣ変調による差分積分器で、ディジタル信号が
「0」のとき、該ディジタル信号を1クロック前のディ
ジタル信号の極性と反対の極性を有するディジタル信号
に変換するとき、上記ディジタルスイッチングアンプ
に、689Hz、振幅0.001の正弦波を入力したと
きの量子化ノイズスペクトルを示すグラフである。
【図15】従来のディジタルスイッチングアンプの構成
を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 入力端子 2 差分積分器 3 量子化器(量子化部) 3a 比較部 3b ディジタル信号生成部 4 遅延器 5 クロック発振器 6 パルス増幅器(電力増幅部) 7 ローパスフィルタ 8 出力端子 9 減衰器 10 帰還ループ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力アナログ信号をΔΣ変調して量子化出
    力信号に変換する量子化部と、上記量子化出力信号に対
    応したスイッチング制御信号により、負荷への定電圧の
    印加をスイッチング制御する電力増幅部とを備えたディ
    ジタルスイッチングアンプであって、 上記量子化部は、入力端子に入力された入力アナログ信
    号と上記電力増幅部から負帰還された帰還信号とを入力
    信号としてこれら2つの信号の差分値を積分する差分積
    分器と、上記差分積分器を経た入力信号の極性を判定
    し、この極性によって上記差分積分器を経た入力信号
    4値以上かつ偶数値の正負の量子化出力信号に変換し、
    これら量子化出力信号のうち、上記差分積分器を経た入
    力信号の振幅の大小に応じた何れか1つの量子化出力信
    号を選択的に上記電力増幅部に出力し、 上記電力増幅部は、上記4値以上かつ偶数値の正負の量
    子化出力信号にそれぞれ対応したスイッチング制御信号
    により、負荷に上記差分積分器を経た入力信号の振幅の
    大小に応じた何れか1つの定電圧が印加されるように上
    記スイッチング制御を行う ことを特徴とするディジタル
    スイッチングアンプ。
  2. 【請求項2】上記量子化部における上記差分積分器を経
    た入力信号から量子化出力信号への変換が、絶対値0.
    2以上の量子化閾値に基づいて行われることを特徴とす
    る請求項1記載のディジタルスイッチングアンプ。
  3. 【請求項3】入力アナログ信号をΔΣ変調して量子化出
    力信号に変換する量子化部と、上記量子化出力信号に対
    応したスイッチング制御信号により、負荷への定電圧の
    印加をスイッチング制御する電力増幅部とを備えたディ
    ジタルスイッチングアンプであって、 上記量子化部は、上記入力アナログ信号を4値以上かつ
    偶数値の正負の量子化出力信号に変換しており、 上記量子化部における入力アナログ信号から量子化出力
    信号への変換が、入力アナログ信号を一旦3値化した後
    に1クロック前の量子化出力信号に基づいて多値化する
    ことにより行われることを特徴とするディジタルスイッ
    チングアンプ
  4. 【請求項4】上記多値化が、上記入力アナログ信号を、
    0を含む3値の量子化出力信号に一旦変換し、この3値
    化したときの量子化出力信号が0のときは、該量子化出
    力信号を1クロック前の量子化出力信号の極性と同じ極
    性を有する量子化出力信号に変換することにより行われ
    ることを特徴とする請求項3記載のディジタルスイッチ
    ングアンプ。
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