JP3495682B2 - ミシン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明はＪ字状折り生地のヘム縫
い工程のミシンに関する。 【０００２】 【従来の技術】通常、Ｊ字状折り生地のヘム縫い工程の
ミシンは、図４に示すように、門形状針孔１００及び送
り歯溝１０４，１０５，１０６を有する針板１０２と、
該送り歯溝より出没する送り歯（図示せず）とを備えて
いる。門形状針孔１００は針１００ａ（図５参照）が貫
通する針落部１００ｂを有している。針板１０２の送り
歯溝は、門形状針孔１００の前後に延び門形状針孔１０
０を挟んで左右に配置された一対の第１送り歯溝１０４
と、門形状針孔１００の前方に配置された第２送り歯溝
１０５と、門形状針孔１００の後方に配置された第３送
り歯溝１０６とよりなる。針板１０２上の生地は送り歯
により生地送り方向Ｆに送られる。 【０００３】ところが、このような従来のミシンでは、
送り歯の降下時に生地の折曲げ部分Ｗａの生地端Ｗｂが
門形状針孔１００寄りで第２送り歯溝１０５に落ち込
み、その落ち込みが門形状針孔の直前まで続く。これに
より、針板１０２に対して該生地端Ｗｂの左右位置がず
れてしまう。この状態のままで該生地端Ｗｂの近傍が縫
製されると、図５に示すように、生地本体ＷＷに縫付け
られた折り曲げ部分Ｗａａの縫い代端ＷｂｂとシームＳ
との間隔が一定せず、縫製品の見栄えが悪くなるという
問題があった。また、第２送り歯溝１０５の側端１０５
ａに倣って前記生地端Ｗｂが送られてしまい、その結
果、前記縫い代端ＷｂｂとシームＳとの間隔が所望通り
に得られないという問題があった。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、Ｊ字状の折曲げ生地のヘム縫いを行う際、生地の折
曲げ部分の生地端の送りにおける左右位置を安定化させ
て見栄えの良い縫製品を得るとともに、生地本体に縫付
けられた折曲げ部分の縫い代端とシームとの並列間隔を
所望のものとすることができるミシンを提供することに
ある。 【０００５】 【課題を解決するための手段】本発明は、針落部を有す
る門形状針孔と、門形状針孔の前後に延び門形状針孔を
挟んで左右に配置された一対の第１送り歯溝と、門形状
針孔の前方に配置された第２送り歯溝と、門形状針孔の
後方に配置された第３送り歯溝とを有する針板と、針板
の上方に配置された押え金と、針板の送り歯溝より出没
してＪ字状の折曲げ生地を送る送り歯とを備えたミシン
において、前記第２送り歯溝が門形状針孔の中央より左
右方向の一方に偏っており、前記第１送り歯溝の一方が
門形状針孔の前方において第２送り歯溝に向かって延設
されているとともに、その延設部と門形状針孔との間に
設けられた第１横桟が第２送り歯溝と門形状針孔との間
に設けられた第２横桟より幅広とされ、前記送り歯が主
送り歯と差動送り歯とよりなり、該差動送り歯が門形状
針孔の手前に配設されているとともに、その形状が該第
１送り溝および該第２送り溝の形状に合わせて構成され
ていることを特徴とする。 【０００６】 【作用】本発明によれば、Ｊ字状に折り曲げられた生地
がミシンに供給されると、該第１送り歯溝および第２送
り歯溝の形状に合わせて構成された差動送り歯が押え金
と協働して生地の折曲げ部分を左右にずらすことなく第
１横桟および第２横桟まで確実に送る。門形状針孔の直
前に到達した生地の折曲げ部分は針板の第１横桟で下方
より確実に支持され、該折曲げ部分の生地端は所定の左
右位置のままで針落部に送り込まれる。 【０００７】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１は本発明に適用されるミシン
の外観斜視図である。１は、３本の針２と１個のルーパ
３とを備えたミシンである。ミシン１は、糸供給源（図
示せず）から糸調子器４を経て各針２に供給される３本
の針糸５と、同じく糸調子器４を経てルーパ３に供給さ
れるルーパ糸６とによりステッチ形式の表示記号４０７
で示される縫目をＪ字状の折曲げ生地に形成する。各針
２は、ミシン主軸Ｄに連動して上下動する針棒７に取付
けられ、ミシン１のベッド部１ａに固定された針板８の
門形状針孔９（図２参照）の針落部９ａ，９ｂ，９ｃを
貫通する。ルーパ３は、ミシン主軸Ｄに連動して揺動す
るルーパ軸（図示せず）に取付けられ、針板８の下方で
左右に往復運動する。８ａは生地を針板８に押圧する押
え金である。 【０００８】針板８は、図２に示すように、門形状針孔
９の前後に延び門形状針孔９を挟んで左右に配置された
一対の第１送り歯溝１０ａ，１０ｂと、門形状針孔９の
前後に配置された第２，３送り歯溝１１，１２とを有す
る。第２送り歯溝１１は門形状針孔９の中央より左右方
向の一方に偏って門形状針孔の手前側に配設されてい
る。これは第２送り歯溝１１が門形状針孔の一方のサイ
ド側の針落部９ｃ手前に配設されていることを意味す
る。一方の第１送り歯溝１０ａは門形状針孔９の前方に
おいて第２送り歯溝１１に向かって延設され、その延設
部と門形状針孔９との間に設けられた第１横桟１３ａは
生地送り方向Ｆにおいて第２送り歯溝１１と門形状針孔
９との間に設けられた第２横桟１３ｂより幅広となって
いる。 【０００９】また、このミシン１は各送り歯溝より出没
して生地を生地送り方向Ｆに送る送り歯１４を備えてい
る。送り歯１４は主送り歯１４ａと差動送り歯１４ｂと
よりなり、差動送り歯１４ｂは第１送り歯溝１０ａ，１
０ｂおよび第２送り歯溝１１の形状に合わせて構成され
ている。すなわち、第１送り歯溝１０ａの延設部には差
動送り歯の延設部が位置することとなる。 【００１０】次に、上記のように構成された本発明のミ
シンにつき、その動作を説明する。Ｊ字状に折り曲げら
れた生地がミシン１に供給されると、押え金８ａと差動
送り歯１４ｂとにより該生地が生地送り方向Ｆに送られ
る。この時、差動送り歯１４ｂが第１送り歯溝１０ａ，
１０ｂおよび第２送り歯溝１１の形状に合わせて構成さ
れているので、生地の折曲げ部分は第１横桟１３ａおよ
び第２横桟１３ｂまで確実に搬送される。該折曲げ部分
の生地端Ｗｂが門形状針孔９の直前になると、幅広形状
の第１横桟１３ａで下方より確実に支持され、その結
果、該折曲げ部分が左右に位置ずれすることなく針落位
置へ送り込まれる。これは該折曲げ部分が差動送り歯１
４ｂにより生地送り方向Ｆに沿って直線的に送り込まれ
ることを意味する。特に、ミシン１で折曲げ部分の生地
端をシームＳより所定量はみ出すように縫製した際、図
３に示すように、生地本体ＷＷに縫付けられた折曲げ部
分Ｗａａの縫い代端ＷｂｂとシームＳとの並列間隔が一
定となる。尚、本実施の形態では３本の針を備えた二重
環縫いミシンが採用されていたが、これに限定されるわ
けでない。例えば、本発明は、２本の針を備えた二重環
縫いミシンや多本針偏平縫いミシンに適用できる。 【００１１】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、針落部
の直前において生地の折曲げ部分の生地端が第２送り溝
に落ち込まなくなるとともに、幅広形状の第１横桟が該
生地端を下方より確実に支持するので、押え金と送り歯
との協働による生地送りが安定し、その結果、生地本体
に縫付けられた折曲げ部分の縫い代端とシームの並列間
隔が一定となって見栄えの良い縫製品を得ることができ
る。また、第１送り歯溝の延設部に差動送り歯の延設部
を配設することで生地の折曲げ部分の生地端が第２送り
歯溝の側端に倣って送られることがなくなり、生地本体
に縫付けられた折曲げ部分の縫い代端とシームの並列間
隔を所望のものにすることができる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明に適用されるミシンの外観斜視図であ
る。 【図２】同上ミシンの針板を示す平面図である。 【図３】同上ミシンで縫製された縫製品の説明図であ
る。 【図４】従来ミシンの針板を示す斜視図である。 【図５】従来ミシンによるヘム縫いの概略説明図であ
る。 【符号の説明】 １ ミシン ８ 針板 ９ 門形状針孔 ９ａ，９ｂ，９ｃ 針落部 １０ａ，１０ｂ 第１送り歯溝 １１ 第２送り歯溝 １２ 第３送り歯溝 １３ａ 第１横桟 １３ｂ 第２横桟 １４ 送り歯 １４ａ 主送り歯 １４ｂ 差動送り歯

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 針落部を有する門形状針孔と、門形状針
   孔の前後に延び門形状針孔を挟んで左右に配置された一
   対の第１送り歯溝と、門形状針孔の前方に配置された第
   ２送り歯溝と、門形状針孔の後方に配置された第３送り
   歯溝とを有する針板と、針板の上方に配置された押え金
   と、針板の送り歯溝より出没してＪ字状の折曲げ生地を
   送る送り歯とを備えたミシンにおいて、前記第２送り歯
   溝が門形状針孔の中央より左右方向の一方に偏ってお
   り、前記第１送り歯溝の一方が門形状針孔の前方におい
   て第２送り歯溝に向かって延設されるとともに、その延
   設部と門形状針孔との間に設けられた第１横桟が第２送
   り歯溝と門形状針孔との間に設けられた第２横桟より幅
   広とされ、前記送り歯が主送り歯と差動送り歯とよりな
   り、該差動送り歯が門形状針孔の手前に配設されている
   とともに、その形状が該第１送り溝および該第２送り溝
   の形状に合わせて構成されていることを特徴とするミシ
   ン。