JP3494417B2 - 熱安定性高分子量ナイロン6の製造法 - Google Patents

熱安定性高分子量ナイロン6の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度・高弾性率材料
の素材として好適な熱安定性の改善された高分子量ナイ
ロン6の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高強度・高弾性率材料の研究は、盛んに
行われており、超高分子量ポリエチレンからなる高強度
・高弾性率繊維はすでに工業化されている。ポリエチレ
ンのような屈曲性高分子でそれを可能にした一因とし
て、ポリマーの超高分子量化が挙げられる。
【0003】ナイロン6においては、現在広く行われて
いる水重合では超高分子量化は困難であり、アニオン重
合法を用いると比較的容易に高分子量ナイロン6が得ら
れる。アニオン重合によるナイロン6の製造は、水重合
法によるナイロン6の製造に比べて低温、高収率、高分
子量などの利点があるにも関わらず、現在工業的には反
応射出成型などのごく限られた範囲で採用されているに
すぎない。
【0004】アニオン重合法によるナイロン6の工業化
を妨げている主な要因は、アニオン重合によって得られ
たナイロン6が、残存する重合触媒残渣の関与する分解
反応のため、熱的に不安定で、高温での分子量低下が著
しいことである。
【0005】この問題点を解決するため、過去にも多く
の熱安定化を目指した研究が行われてきた。例えば、ア
ニオン重合により得られたナイロン6に安定化剤を混合
する方法が種々提案されており、安定化剤として、スル
ホン酸又はスルホン酸エステル(特公昭56−9541号)、
ハロゲン化アンモニウム塩、ハロゲン化四級アンモニウ
ム塩(特公昭47− 40550号、同47− 40859号)、リン酸
又はリン酸誘導体(特公昭47− 40549号)などが提案さ
れている。これらは、いずれも溶融状態でナイロン6に
安定化剤を混合するため、溶融粘度の高い高分子量ナイ
ロン6に対して用いることは困難で、有効な効果は得ら
れていない。さらに、上記の方法では、ナイロン6中に
存在する重合触媒残渣、安定化剤又は両者の反応生成物
が残存することになる。このようなナイロン6中の種々
の残渣は、ナイロン6の熱安定性に悪影響を及ぼし、分
子量を低下させることが知られている。
【0006】溶融状態での安定化剤の添加以外の方法と
して、重合触媒残渣を洗浄などにより除去する方法があ
り、酸の添加された熱水でアニオン重合法によって得ら
れたナイロン6を洗浄する方法(特公昭46− 22215号)
が提案されている。しかし、この方法では洗浄中に酸触
媒加水分解反応が進行するため、出来るだけ分子量低下
を起こさないことが望まれる超高分子量ナイロン6の熱
安定化処理としては不適当である。
【0007】また、アニオン重合によって得られたポリ
アミド系重合体を弱酸性有機化合物を溶存させた極性有
機溶媒と接触させる方法(特公平7− 10917号)が提案
されている。この方法は、ナイロン6/ポリテトラメチ
レングリコールブロックコポリマーなどの共重合体にお
いては有効であるものの、ホモポリマーのナイロン6に
対しては重合触媒残渣除去の効果が薄く、超高分子量ナ
イロン6の熱分解を抑制するのに十分な方法ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アニオン重
合によるナイロン6が熱分解しやすいという問題を解決
し、高強度・高弾性率材料として好適な熱安定性の改善
された高分子量ナイロン6を製造する方法を提供しよう
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、アニオン重合に
より得られた、ナイロン6とイオン結合を介して存在す
る重合触媒残渣を含有するナイロン6を弱酸性化合物を
含む溶媒に溶解して重合触媒残渣と弱酸性化合物を反応
させ、その後、再沈殿することによって重合触媒残渣を
除去することが効果的であることを見出し、本発明に到
達した。
【0010】 すなわち、本発明は、ε−カプロラクタ
ムの塩基性触媒によるアニオン重合によって製造された
重量平均分子量が 10 150 万のナイロン6を25℃の水中
でのpKaが0〜7の範囲にある弱酸性化合物を含む溶
媒に溶解後、再沈殿して、重合触媒残渣をその含有量が
20ppm以下となるように除去することを特徴とする熱安
定性高分子量ナイロン6の製造法を要旨とするものであ
る。
【0011】以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】本発明における出発物質としてのナイロン
6は、ε−カプロラクタムの塩基性触媒によるアニオン
重合によって製造された高分子量のものであれば、特に
限定されないが、グリニヤール化合物又は有機リチウム
化合物もしくはそれらのラクタム塩を重合触媒とし、ア
シルラクタム又はラクタムと反応してアシルラクタムを
生成する化合物を共触媒として製造された重量平均分子
量が10〜150 万のものが好ましい。
【0013】アニオン重合を行う際の重合触媒の使用量
は、ε−カプロラクタムに対し0.05〜5モル%、好まし
くは 0.1〜1モル%である。重合触媒の使用量が0.05モ
ル%より少ないと重合速度が低くて好ましくなく、一
方、使用量が5モル%を超えると生成するナイロン6の
分子量が低下するので好ましくない。
【0014】共触媒の具体例としては、アセチルカプロ
ラクタム、アジポイルビスカプロラクタム、テレフタロ
イルビスカプロラクタムなどのアシルラクタム及びカル
ボン酸ハライド、カルボン酸無水物などのラクタムと反
応してアシルラクタムを与える化合物が挙げられる。共
触媒の使用量は、ε−カプロラクタムに対し0.01〜0.5
モル%とするのが好ましい。
【0015】本発明においては、ε−カプロラクタムの
塩基性触媒によるアニオン重合によって製造された高分
子量のナイロン6を弱酸性化合物を含む溶媒に溶解処理
して重合触媒残渣を除去する。
【0016】弱酸性化合物は、25℃の水中でのpKaが
0〜7の範囲のものであることが必要である。このよう
な弱酸性化合物の代表的な例としては、ギ酸、酢酸、ト
リフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバリ
ン酸、カプロン酸、オクタン酸、ステアリン酸、アクリ
ル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、プロピ
オル酸、エチニル酢酸、エチルプロピオル酸、安息香
酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、イソプロピル安
息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、ヒドロキシ
安息香酸、アミノ安息香酸、ニトロ安息香酸、アセチル
安息香酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、
アジピン酸、セバシン酸、マロン酸モノエチル、マレイ
ン酸、フマル酸、トリカルバリル酸、ブタン− 1,2,3,4
−テトラカルボン酸、ヘプタン− 2,2,6,6−テトラカル
ボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロ
メリト酸、メリト酸、ケイ皮酸、グリコール酸、乳酸、
ピルビン酸などが挙げられる。
【0017】pKaが7より大きい化合物では、イオン
結合を介して存在するアニオン重合触媒残渣との反応が
不完全となり、重合触媒残渣を除去することができず、
一方、pKaが0より小さい化合物では、酸性化合物と
ナイロン6との副反応が起こり、これが分子量低下や分
岐構造の生成による溶媒不溶化を引き起こすため、不適
当である。
【0018】弱酸性化合物の添加量は、ナイロン6中に
含まれる重合触媒残渣と等モル以上、好ましくは5倍モ
ル以上、ナイロン6のアミド基数の0.25倍モル以下、好
ましくは 0.1倍モル以下とするのが適当である。この添
加量が少なすぎると、重合触媒残渣との反応が不完全と
なり、多すぎると弱酸性化合物がナイロン6中に残存
し、分子量低下や分岐構造生成の原因になることがあ
る。
【0019】溶媒は、常温でナイロン6を溶解するもの
に限らず、加熱することによってナイロン6を溶解する
ものでもよく、混合溶媒であってもよい。このような溶
媒の代表的な例としては、ジメチルスルホキシド、N−
メチルピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパノール、
N,N′−ジメチルイミダゾリジノン、ベンジルアルコ
ール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
エチレングリコール、グリセリン、ジメチルホルムアミ
ド、スルホラン、トリフルオロエタノール、m−クレゾ
ール、エチレンカーボネート、レゾルシノール、ヘキサ
メチルホスホルトリアミドなど及びこれらの混合物が挙
げられる。特に好ましい溶媒は、ジメチルスルホキシ
ド、N−メチルピロリドン、ヘキサフルオロイソプロパ
ノール、N,N′−ジメチルイミダゾリジノン、ベンジ
ルアルコール、トリフルオロエタノールと塩化メチレン
又はクロロホルムとの混合物である。
【0020】溶解時のナイロン6の濃度は任意でよい
が、1〜30重量%とするのが好ましい。また、溶解時の
雰囲気は常温の場合は空気中でよいが、一定温度以上に
加熱する場合には、ナイロン6の分解を抑制するため、
真空又は不活性ガス雰囲気下が好ましい。なお、溶解時
間は、ナイロン6が十分に溶解する時間以上であればよ
い。
【0021】弱酸性化合物は、ナイロン6を溶解してか
ら加えてもよく、ナイロン6と同時に加えてナイロン6
を溶解しながら弱酸性化合物を反応させてもよい。
【0022】重合触媒残渣は完全に除去することが望ま
しいが、実用的にはその残存量が20ppm 以下となるよう
に除去すればよい。重合触媒残渣の残存量は、例えば、
プラズマ発光分光分析法によって検出することができ
る。
【0023】ナイロン6の再沈殿は、所定の時間溶解処
理した後、溶液をナイロン6の非溶媒と混合することに
よって行う。ナイロン6を再沈殿させる際に、重合触媒
残渣と弱酸性化合物との反応によって生じた生成物など
は非溶媒中に抽出される。そして、沈殿したナイロン6
を濾別し、洗浄、乾燥することによって、重合触媒残渣
が除去されたナイロン6を得ることができる。この際の
非溶媒は、ナイロン6を溶解しないものであることはも
ちろんであるが、ナイロン6の溶解に用いた溶媒及び弱
酸性化合物と重合触媒残渣との反応によって生じた生成
物をよく溶解するものが好ましい。例えば、水、メタノ
ール、エタノール、ジエチルエーテルなどが用いられ
る。これらは、再沈殿後にナイロン6を洗浄する際にも
使用することができる。非溶媒の量はナイロン6が再沈
殿するのに十分な量以上であればよいが、好ましくはナ
イロン6溶液の5〜30倍とするのが適当である。
【0024】ナイロン6溶液と非溶媒との混合は、非溶
媒中にナイロン6溶液を注ぐ方法、ナイロン6溶液中に
非溶媒を注ぐ方法のいずれの方法で行ってもよい。混合
時には、重合触媒残渣などの非溶媒中への抽出効率をよ
くするため、十分に撹拌するか、溶液紡糸のようにナイ
ロン6溶液を非溶媒中に細く押し出すことが望ましい。
【0025】
【作用】本発明において添加される弱酸性化合物は、ナ
イロン6とイオン対を形成しているアニオン重合触媒残
渣のカチオンをプロトンと置換する。一方、弱酸性化合
物とアニオン重合触媒残渣とから生じる塩は再沈殿時に
非溶媒中に抽出される。この作用により、ナイロン6中
に重合後も残存する重合触媒のアニオンは失活し、重合
触媒残渣のカチオンはナイロン6中から除かれる。本発
明の方法で得られる不純物を含まないナイロン6は、重
合触媒残渣の関与する分解反応が防止され、従来のアニ
オン重合ナイロン6に比べて、高い熱安定性を有する。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、測定法は次の通りである。 (a) 相対粘度 ウベローデ型粘度計により、96%硫酸中、試料濃度1g
/dl、温度25℃で測定した。 (b) 重量平均分子量 光散乱法により測定した。 (c) 重合触媒残渣の量 マグネシウム量又はリチウム量をプラズマ発光分光分
析、臭素量を蛍光X線分析によって定量した。なお、熱
安定性評価のための加熱処理は、 100℃、真空下で12時
間乾燥したサンプルを外径10mm、肉厚1mmのガラスアン
プルに入れて封管し、真空下で 200℃に加熱することに
より行った。
【0027】実施例1 ε−カプロラクタムに、塩基性触媒としてエチルマグネ
シウムブロマイド (ε−カプロラクタムに対して 0.5モ
ル%) 及び共触媒としてアセチルカプロラクタム (同じ
く0.07モル%) を加えてフラスコ中に入れ、これをアル
ゴン気流下で150 ℃に加熱してアニオン重合を行った。
得られたナイロン6は、重合触媒残渣としてマグネシウ
ム1100ppm(ナイロン6のアミド基量に対して 0.5モル
%) 、臭素 3500ppm (同じく 0.5モル%) を含み、相対
粘度は35.2、重量平均分子量は36万であった。このアニ
オン重合ナイロン6と、触媒残渣量に対して10倍モル量
(ナイロン6のアミド基量に対して5モル%)の酢酸
(pKa 4.8) をナイロン6に対して20倍重量の乾燥ジ
メチルスルホキシド中に入れ、不活性ガス気流下、撹拌
しながら150 ℃で3時間加熱し、ナイロン6を溶解させ
た。次いで、この溶液を室温で撹拌されているメタノー
ル中に注ぎ、ナイロン6を再沈殿させた。沈殿したナイ
ロン6を濾別し、乾燥させた後、熱水中で処理してジメ
チルスルホキシドを完全に除き、再び乾燥した。この処
理で得られたナイロン6は、マグネシウム含有量:6.8p
pm、臭素含有量:検出限界(約10ppm)以下、相対粘度:
33.1であった。熱安定性を評価するため、このナイロン
6を表1に示した時間加熱処理した後の相対粘度を表1
に示す。加熱処理時間 144時間以降では、加熱による相
対粘度の低下は観測されなかった。
【0028】実施例2 ε−カプロラクタムに、塩基性触媒としてエチルマグネ
シウムブロマイド(ε−カプロラクタムに対して 0.5モ
ル%) 及び共触媒としてアジポイルビスカプロラクタム
(同じく0.05モル%) を加えて、封管中、真空下、 150
℃でアニオン重合を行い、相対粘度:62.0、重量平均分
子量:48万のナイロン6を得た。このナイロン6を用い
た他は、実施例1と同じ方法で処理を行った。処理後の
ナイロン6は、マグネシウム含有量:7.2ppm、臭素含有
量:検出限界以下、相対粘度:65.3であった。熱安定性
を評価するため、このナイロン6を表1に示した時間加
熱処理した後の相対粘度を表1に示す。
【0029】実施例3 ε−カプロラクタムに、塩基性触媒としてエチルマグネ
シウムブロマイド(ε−カプロラクタムに対して 0.5モ
ル%) 及び共触媒としてアセチルカプロラクタム (同じ
く 0.3モル%) を加えて、封管中、真空下、 150℃でア
ニオン重合を行い、相対粘度:5.83、重量平均分子量:
10万のナイロン6を得た。このナイロン6を用いた他
は、実施例1と同じ方法で処理を行った。処理後のナイ
ロン6は、マグネシウム含有量:9.4ppm、臭素含有量:
検出限界以下、相対粘度:6.25であった。熱安定性を評
価するため、このナイロン6を表1に示した時間加熱処
理した後の相対粘度を表1に示す。熱処理時間96時間以
降では、加熱による相対粘度の低下は観測されなかっ
た。
【0030】実施例4 ε−カプロラクタムに、塩基性触媒としてエチルマグネ
シウムブロマイド(ε−カプロラクタムに対して 0.1モ
ル%) 及び共触媒としてアセチルカプロラクタム (同じ
く0.03モル%) を加えて、封管中、真空下、 150℃でア
ニオン重合を行い、相対粘度:152.5 、重量平均分子
量:70万のナイロン6を得た。このナイロン6を用い、
酢酸を重合触媒残渣量に対して30倍モル量 (ナイロン6
のアミド基量に対して3モル%)、ジメチルスルホキシ
ドをナイロン6に対して33倍重量用いた他は、実施例1
と同じ方法で処理を行った。処理後のナイロン6は、マ
グネシウム含有量:2.9ppm、臭素含有量:検出限界以
下、相対粘度:141.8 であった。熱安定性を評価するた
め、このナイロン6を表1に示した時間加熱処理した後
の相対粘度を表1に示す。
【0031】比較的1〜4 実施例1〜4においてアニオン重合で得られたナイロン
6をそのまま表1に示した時間熱処理した。熱処理後の
相対粘度を表1に示す。いずれの場合も相対粘度は、加
熱により低下し続けた。
【0032】
【表1】
【0033】実施例5 ε−カプロラクタム、塩基性触媒としてエチルマグネシ
ウムブロマイド(ε−カプロラクタムに対して 0.5モル
%) 及び共触媒としてアセチルカプロラクタム(同じく
0.07モル%) を真空下でアンプル中に封管し、これを 1
50℃に加熱してアニオン重合を行った。得られたナイロ
ン6は、重合触媒残渣としてマグネシウム1100ppm(ナイ
ロン6のアミド基量に対して 0.5モル%) 、臭素3500pp
m(同じく 0.5モル%) を含み、相対粘度33.2、重量平均
分子量35万であった。このナイロン6と、重合触媒残渣
量の10倍モル量 (ナイロン6のアミド基量に対して5モ
ル%)の表2に示す酸性化合物と、ナイロン6に対して
20倍重量のジメチルスルホキシドをアンプル中に入れ、
真空下で封管した。これを 150℃で3時間加熱し、ナイ
ロン6を溶解させた後、すばやくアンプルを開管し、溶
液を室温で撹拌されているメタノール中に注ぎ、ナイロ
ン6を再沈殿させた。沈殿したナイロン6を濾別し、乾
燥させた後、熱水中で処理してジメチルスルホキシドを
完全に除き、再び乾燥した。酸性化合物の種類とpK
a、残存マグネシウム量及び処理直後と24時間加熱処理
後の相対粘度を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】比較例5 酸性化合物を用いない他は、実施例5と同じ方法で処理
した。処理後のナイロン6は、マグネシウム含有量:48
0ppm、臭素含有量:265ppmであった。
【0036】実施例6 ε−カプロラクタム、塩基性触媒としてn−ブチルリチ
ウム(ε−カプロラクタムに対して 0.5モル%)及び共
触媒としてアセチルカプロラクタム (同じく 0.1モル
%) を真空下でアンプル中に封管し、これを 150℃に加
熱してアニオン重合を行った。得られたナイロン6は、
重合触媒残渣としてリチウム300ppm (ナイロン6のアミ
ド基量に対して 0.5モル%) を含み、相対粘度:25.1、
重量平均分子量:30万であった。このナイロン6と重合
触媒残渣量の10倍モル量 (ナイロン6のアミド基量に対
して5モル%)の酢酸とナイロンに対して20倍重量のジ
メチルスルホキシドをアンプル中に入れ、真空下で封管
した。これを 150℃で3時間加熱し、ナイロン6を溶解
させた後、すばやくアンプルを開管し、溶液を室温で撹
拌されているメタノール中に注ぎ、ナイロン6を再沈殿
させた。沈殿したナイロン6を濾別し、乾燥させた後、
熱水中で処理してジメチルスルホキシドを完全に除き、
再び乾燥した。処理後のナイロン6は、リチウム含有
量:1.8ppm、相対粘度:24.2であった。熱安定性を評価
するため、このナイロン6を24時間加熱処理した後の相
対粘度は20.9であった。
【0037】実施例7 ε−カプロラクタムに、塩基性触媒としてエチルマグネ
シウムブロマイド(ε−カプロラクタムに対して 0.5モ
ル%) 及び共触媒としてアセチルカプロラクタム (同じ
く0.06モル%) を加え、封管中、真空下、 150℃に加熱
してアニオン重合を行った。得られたナイロン6は、重
合触媒残渣としてマグネシウム1100ppm(ナイロン6のア
ミド基量に対して 0.5モル%)、臭素3500ppm(同じく
0.5モル%) を含み、相対粘度:40.4、重量平均分子
量:39万であった。このナイロン6と、重合触媒残渣量
に対して10倍モル量(ナイロン6のアミド基量に対して
5モル%)の酢酸をナイロン6に対して30倍重量のトリ
フルオロエタノールとジクロロメタンとの体積比2/1
の混合溶媒中に入れ、室温で24時間撹拌してナイロン6
を溶解させた。この溶液を室温で撹拌されている水中に
注ぎ、ナイロン6を再沈殿させ、ナイロン6を濾別し、
乾燥させた。処理後のナイロン6は、マグネシウム含有
量:9.8ppm、臭素含有量:検出限界以下、相対粘度:3
6.4であった。熱安定性を評価するため、このナイロン
6を24時間加熱処理した後の相対粘度は29.9であった。
【0038】比較例6 実施例7と同様にしてアニオン重合を行って得られたナ
イロン6を、室温で96%硫酸に溶解後、水中で再沈殿
させ、ナイロン6を濾別し、乾燥させた。処理後のナイ
ロン6は、マグネシウム含有量:検出限界(1ppm)
以下であった。しかし、熱安定性を評価するため、この
ナイロン6を5時間加熱処理したところ、相対粘度が3.
10となった。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、ε−カプロラクタムの
塩基性触媒によるアニオン重合によって得られる高分子
量ナイロン6から重合触媒残渣を除去することができ、
優れた熱安定性を有し、高強度・高弾性率繊維の他、種
々の工業素材として好適な高分子量のナイロン6を得る
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田井 和夫 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ 株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−207824(JP,A) 特公 平7−10917(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ε−カプロラクタムの塩基性触媒による
    アニオン重合によって製造された重量平均分子量が 10
    150 万のナイロン6を、25℃の水中でのpKaが0〜7
    の範囲にある弱酸性化合物を含む溶媒に溶解後、再沈殿
    して、重合触媒残渣をその含有量が20ppm以下となるよ
    うに除去することを特徴とする熱安定性高分子量ナイロ
    ン6の製造法。
  2. 【請求項2】 ナイロン6が、グリニヤール化合物又は
    有機リチウム化合物もしくはそれらのラクタム塩を重合
    触媒とし、アシルラクタム又はラクタムと反応してアシ
    ルラクタムを生成する化合物を共触媒として、ε−カプ
    ロラクタムをアニオン重合して製造されたものである
    求項1記載の熱安定性高分子量ナイロン6の製造法。
JP12476695A 1994-10-06 1995-05-24 熱安定性高分子量ナイロン6の製造法 Expired - Fee Related JP3494417B2 (ja)

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