JP3485243B2 - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池

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JP3485243B2
JP3485243B2 JP07806198A JP7806198A JP3485243B2 JP 3485243 B2 JP3485243 B2 JP 3485243B2 JP 07806198 A JP07806198 A JP 07806198A JP 7806198 A JP7806198 A JP 7806198A JP 3485243 B2 JP3485243 B2 JP 3485243B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ポータブル電源、
電気自動車用電源、家庭内電源システム等に使用される
常温作動型の固体高分子型燃料電池に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】常温作動型の固体高分子型燃料電池は、
水素などの燃料ガスと酸素などの酸化剤ガスを電気化学
的に反応させて発電する。また、この反応により同時に
発生する熱も利用されている。固体高分子型燃料電池の
基本単位は、以下のようにして構成される。スルホン基
を有するフッ素樹脂からなる高分子電解質膜の両面に
は、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分
とする触媒層が密着して形成されている。さらに各触媒
層の外面には、ガス通気性および導電性を備えた電極層
が密着して形成されている。一対の電極層の外側には、
これらの電極層および電解質の接合体を機械的に固定す
るとともに、隣接する接合体を互いに電気的に直列に接
続するための導電性のセパレータ板が配されている。セ
パレータ板の電極層に対向する表面には、電極層に均一
にガスを供給するための溝状の流路が形成されている。 【0003】一対の電極層のうち、一方には水素などの
燃料ガスが供給され、他方には酸化剤ガスが供給され
る。以下、燃料ガスとして水素を、酸化剤ガスに酸素を
用いた場合について説明する。外部より供給された水素
ガスは、水素ガス供給側の電極、すなわちアノードの表
面を通過中に電極層に取り込まれる。その後、水素ガス
は、電極層内部を伝搬して触媒層に到達する。触媒層の
内部の高分子電解質が存在する領域に水素ガスが達する
と、高分子電解質と水素ガスの間で電気化学反応が生起
される。水素ガスは、イオン化されて高分子電解質膜の
内部に取り込まれる。一方、酸素ガス供給側の電極、す
なわちカソード側では、酸素ガスはカソード表面を通過
中に電極層に取り込まれ、電極層の内部を通過してカソ
ード側の触媒層に到達する。カソード側の触媒層に達し
た酸素ガスは、電解質膜を通ってアノード側から供給さ
れた水素イオンと反応して水蒸気となる。このとき、電
子は外部負荷を通ってアノードからカソードへ移動す
る。この電子の移動を電力として利用する。また、この
ような水素と酸素の電気化学的反応により熱が生じるこ
とから、電池内部に冷却水を循環させることにより、電
池の温度上昇を抑制するとともに、電池で加温された水
は熱エネルギー源としても利用されている。 【0004】固体高分子型燃料電池は、通常、室温から
80℃ぐらいまでの温度範囲で作動する。そのため、カ
ソード側の触媒層で電気化学反応の結果生成された水蒸
気の多くは水となって触媒層の近傍に結露する。この結
露した水が触媒層近傍に停滞すると、酸素ガスが反応部
位である触媒層に届かなくなり、電池性能が低下する。
一方、アノード側では、水は生成されないが、カソード
側で生成された水が高分子電解質膜を浸透して触媒層に
侵入したり、電解質膜を乾燥させないために燃料ガス中
にあらかじめ混入させている水蒸気が結露して触媒層に
停滞すると、水素ガスが反応部位に供給されなくなって
同様に電池性能が低下する。 【0005】そこで、従来より、反応部位である触媒層
の濡れ具合を良好に維持するために、電極層に撥水処理
を施したり、電極層の表面を流れるガスの流速を大きく
することによって、電極層に付着した余分な生成水や結
露水を排除するなど、様々な努力が積み重ねられてき
た。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、撥水処
理を施された電極層は、たとえば高電流密度で出力して
水が大量に生成されるときや、ガス流量を小さくしたと
きなど、電池の運転条件によっては、生成あるいは結露
した水の除去が困難となり、電池性能の低下を招いてい
た。さらに甚だしいときは、電極層表面のガス流路自体
が閉塞し、電池の出力が全く得られない状況に陥ること
もしばしばあった。本発明は、以上の問題点を解決し、
電池の触媒層近傍からの水の排除を促進し、長期間の運
転時や大電流の電池出力時における電極層の過剰な水濡
れに起因する電池性能の低下を防止することのできる固
体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記のような従来の電極
層の撥水処理は、電極層の表面に均一に施されていた
が、本発明では、水透過性を不均一にし、水透過性の低
い領域と水透過性の高い浸透部を混在させる。これによ
り、触媒層で生成された水が水透過性の高い浸透部を通
ってガス流路側の面に浸み出やすくなる。また、濡れて
水が停滞した部分と、ガスが流れている部分とがランダ
ムに混在することから、ガスの流速が増す。これらの作
用により電極内に過剰に停滞した水分が除去されやすく
なるものと考えられる。また、前記浸透部は、撥水性を
有するとともに前記領域の細孔よりも径の大きい孔を有
する多孔性材料からなる。撥水性の多孔質体では、孔径
の大きい部分から水が浸透していくことから、浸透部か
ら過剰の水分が浸み出てくる。その結果、ガス流により
生成水が除去されやすくなる 【0008】さらに、電池ユニットに機械的振動を与え
る。比較的低い周波数の振動の印加は、電極の通気性孔
を塞いだ生成水の除去よりも、溢れてガス流路を塞ぐよ
うになった生成水の除去に対して大きな効果が得られる
ものと考えられる。一方、超音波のような周波数の高い
振動の印加は、電極のガス通気孔を塞ぐような生成水の
除去に対してより高い効果が得られる。また、ガス供給
手段に加圧装置を設け、ガス流量を間欠的に増やし、水
滴を吹き飛ばすものである。供給ガスの間欠的加圧によ
って、一時的に触媒層・電極層を流れるガスの流速が拡
大し、停滞していた結露水が除去される。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明の固体高分子型燃料電池
は、水素イオン伝導性の高分子電解質膜および高分子電
解質薄膜の両面に触媒層を挟んでそれぞれ対向して配さ
れた一対の電極層からなる接合体と、電極層にガスを供
給するためのガス供給流路および電極層からガスを排出
するためのガス排出流路を備えた導電性のセパレータが
交互に積層して配され、電極層が、撥水性を有する多孔
性材料からなる領域と、前記領域よりも水透過性の高い
浸透部を具備し、前記領域と前記浸透部とが混在してお
り、浸透部が、撥水性を有するとともに前記領域の細孔
よりも径の大きい孔を有する多孔性材料からなるもので
ある 【0010】 浸透部は、撥水性を有していても、多孔
体で他の領域のそれよりも径の大きい孔を有していれ
ば、水滴は浸透部の孔に浸透する 【0011】 【0012】 【0013】 【実施例】以下、本発明の実施例を、図面を参照しなが
ら説明する。 《参考例1》粒径が数ミクロン以下のカーボン粉末を塩
化白金酸水溶液に浸漬し、還元処理によってカーボン粉
末表面に白金触媒を担持させた。カーボン粉末とその表
面に担持された白金の重量比は1:1であった。つい
で、この白金を担持したカーボン粉末を高分子電解質の
アルコール溶液中に分散させ、スラリーを調製した。一
方、電極層となる厚さ400ミクロンのカーボン不織布
にフッ素樹脂粉末の水性ディスパージョン(ダイキン工
業(株)製のネオフロンND−1)を両面から飛沫状に
してかけ、カーボン不織布の表面にフッ素樹脂粉末を不
均一に付着させた。このカーボン不織布を乾燥し、つい
で400℃で熱処理して、カーボン不織布電極7を得
た。 【0014】得られたカーボン不織布電極7は、水に濡
らしたところ、全体的には撥水性を示したものの、少し
時間がたつと水が内部に浸透した。顕微鏡による表面お
よび断面の観察において、30ミクロンから数ミリの幅
でフッ素樹脂が塗布されていない領域が散在しているこ
とが確認された。 【0015】一方、同様のカーボン不織布に、フッ素樹
脂の水性ディスパージョンを均一に塗布し、熱処理し
た。このカーボン不織布を水に濡らすと、不織布表面に
付着した水は大きな水滴となり、部分的にも内部に浸透
していくことはなかった。 【0016】以上のようにして撥水処理を施したカーボ
ン不織布電極7の片面に前記カーボン粉末を含むスラリ
ーを均一に塗布、乾燥して触媒層を形成した。触媒層を
備えた2枚のカーボン不織布電極7を、触媒層を備えた
面を互いに向かい合わせ、両者の間に、スルホン基を有
するフッ素樹脂からなる厚さが50ミクロンの高分子電
解質膜1を挟んで重ね合わせた。ついで、これらを乾燥
した。ここで、カーボン不織布電極7の長さおよび幅は
ともに5cmで、高分子電解質膜1の長さおよび幅はと
もに8cmであった。カーボン不織布電極7は、高分子
電解質膜1の中央に配置した。このようにして得られた
電極7と高分子電解質膜1の接合体では、高分子電解質
膜1とカーボン不織布電極7が、白金を担持したカーボ
ン粉末と高分子電解質からなる触媒層2によって結合さ
れていることが確認された。 【0017】電極7と高分子電解質膜1の接合体を、そ
の両面から気密性を有するカーボン製のセパレータ板5
で挟み込み、単電池を得た。ただし、特性評価用の電池
には、図1に示すようにして単電池を3個積層したもの
を用いた。セパレータ板5は、厚さが4mmで、その表
面には切削加工により幅および深さがいずれも1mmの
ガス流路4が同一方向に多数刻まれている。ここで、セ
パレータ板5と高分子電解質膜1との間を電気的に絶縁
し、かつ内部のガスの漏出を抑制するために、フッ素系
樹脂シートからなるシール材8を両者の間に挟み込ん
だ。電池の単電池積層方向の両端面に冷却板をかねた端
板を配し、積層方向に10kgf/cm2の圧力で加圧
し固定した。アノードに燃料ガスとしての水素ガスをそ
の利用率が60%になるように供給した。一方、カソー
ドに酸化剤ガスとしての空気をその利用率が20%とな
るように供給した。また、それぞれのガス供給部には温
度調節装置を設け、供給ガスの温度が、基本的に電池温
度と同じになるように設定した。また、ガス供給部には
加湿装置を設け、供給ガスの露点温度が電池温度より1
5℃〜35℃低くなるように湿度を設定した。 【0018】本参考例の電池を300mA/cm2の電
流密度で出力させたときの特性の経時変化を図2に示
す。なお、比較例として、電極に均一な撥水処理を施し
た従来の電池の特性をあわせて示す。比較例の電池では
運転開始後30分で出力が大きく低下し、約60分後に
は運転不能になった。これに対して、本参考例の電池
は、運転開始当初に若干性能が低下するものの、長時間
にわたって高い性能が維持された。 【0019】《参考例2》 本参考例では、電極層に不均一な撥水処理を施す他の方
法について説明する。厚さが0.4mmのカーボン製不
織布の表面に、融点が60〜90℃で粒径が0.01〜
0.2mmのパラフィン粉末を散布した。ついで、この
不織布を120℃に保持された恒温槽中に30分間、放
置した。これにより、不織布上に付着したパラフィン粉
末は、溶融し、不織布の内部に浸透した。恒温槽から取
り出し、室温まで冷却した不織布を観察したところ、不
織布を貫通して直径が0.02〜1mmの円筒状にパラ
フィンが浸透した領域が確認された。この不織布を参考
例1で用いたものと同様のフッ素樹脂粉末の水性ディス
パージョンに浸漬し、乾燥した。ついで、この不織布を
400℃で約1時間、熱処理した。パラフィンは熱処理
の初期段階で気化するため、不織布をフッ素樹脂粉末の
ディスパージョンに浸漬した際にパラフィン上に付着し
たフッ素樹脂は、熱処理によって不織布繊維より剥離す
る。したがって、パラフィンが付着した箇所の繊維は熱
処理されてもフッ素樹脂で被覆されない。一方、不織布
のパラフィンが付着しなかった箇所の繊維には、ディス
パージョンに浸漬した際にフッ素樹脂粉末が直接付着す
る。繊維に直接付着したフッ素樹脂は、熱処理によって
溶融し、繊維を覆う撥水膜が形成される。以上のように
して得られた不織布には、それぞれ厚さ方向に貫通した
撥水性を示す領域と塗れ性の高い領域が混在する。 【0020】実際に、処理された不織布の表面に水を付
着させると、塗れ性の高い箇所、すなわちフッ素樹脂で
被覆されなかった箇所を通じて水が他方の面に透過する
ことが確認された。処理された不織布を用いて参考例1
と同様の固体高分子型燃料電池を組み立てた。得られた
電池を参考例1と同様に300mA/cm2の電流密度
で出力させたところ、電池は1000分以上安定した出
力を続けた。 【0021】《実施例》 本実施例では、撥水処理を施された不織布の粗密によ
り、電極層の水透過性を制御する方法について説明す
る。カーボン製の不織布を実施例1で用いたものと同様
のフッ素樹脂粉末の水性ディスパージョンに浸漬し、不
織布の表面にフッ素樹脂を付着させた。ついで、この不
織布を400℃で約1時間熱処理して、不織布繊維の表
面をフッ素樹脂で被覆した。このように均一に撥水加工
された不織布を荒くほぐして小片に分解した。ついで、
これらを界面活性剤とバインダとしてのカルボキシメチ
ルセルロースを適量加えた水中に投入したのち、水を撹
拌した。不織布の繊維の一部は水を撹拌することによ
り、繊維ごとに分散するものの、繊維の塊が残存した。
このカーボン繊維を用いて再び不織布を作製した。得ら
れた不織布には、先の撹拌によっても分散されなかった
繊維からなる密な領域と、一旦分散した後凝結した繊維
からなる粗な領域が混在していた。 【0022】上記の不織布のような撥水性の多孔体にお
いては、水透過性は多孔体表面の開口部の孔径に依存す
る。すなわち、径が大きい孔は、径が小さい孔と比べて
水が内部に浸透しやすい。すなわち、上記不織布におい
ては、粗な領域の水透過性は、密な領域のそれよりも高
く、表面に付着した水は粗な領域に集まりやすい。得ら
れた不織布を用いて実際に参考例1と同様の固体高分子
型燃料電池を組み立てた。電池を参考例1と同様に30
0mA/cm2の電流密度で出力させたところ、電池は
1000分以上安定した出力を続けた。すなわち、電極
反応で生成された水や凝結した水を、電極層の粗な領域
を通じて外部に除去できることが確認された。 【0023】《参考》 本参考例では、触媒層に貫通孔を形成することにより、
触媒層で生成された水の除去を容易にする方法について
説明する。参考例1で用いたものと同様のフッ素樹脂の
水性ディスパージョンを用いてカーボン不織布に均一な
撥水処理を施した。ついで、このカーボン不織布に炭酸
ガスレーザを用いて、微細な貫通孔を多数開け、これら
を用いて実施例1と同様の燃料電池を組み立てた。ここ
で、表面にランダムに3〜5ヶ/cm2の割合で直径が
50ミクロンの孔が形成されたカーボン不織布を用いて
組み立てられた燃料電池を電池A、直径が50ミクロン
の孔が対向するセパレータ板のガス流路の中央線に沿っ
て3mm間隔で列状に形成されたカーボン不織布を用い
た燃料電池を電池B、直径が100ミクロンの孔が電池
Aで用いたカーボン不織布と同様の割合で形成されたカ
ーボン不織布を用いた燃料電池を電池C、および直径が
100ミクロンの孔が電池Bで用いたカーボン不織布と
同様の割合で形成されたカーボン不織布を用いた燃料電
池を電池Dとする。ここで、孔の径は、カーボン不織布
に用いられているカーボン繊維の径の10倍程度を目安
にしたものである。 【0024】以上の4種類の電池の特性の経時変化を追
跡した。その結果を図3に示す。図3に示すように、孔
を開けていないカーボン不織布を用いた比較例の電池と
比べて、参考例の電池はいずれも長時間安定した出力が
得られた。図3は、電流密度が300mA/cm2で水
素の利用率を60%、空気の利用率を20%としたとき
の特性を示したものである。電流密度を500mA/c
2とし、水素の利用率を80%、空気の利用率を40
%としたときには、対向するセパレータ板のガス流路の
中央線に沿って孔を規則的に配列したカーボン不織布を
用いた電池Bおよび電池Dの性能が際だって良かった。
また、孔の径が50ミクロンの電池Bより、孔の径が1
00ミクロンの電池Dの方が高い性能を示した。これ
は、電流密度や利用率を上げると、排除しなければなら
ない水の生成速度に対して、それを運び去るガスの流速
が相対的に小さくなるので、孔の径が大きいほうが生成
水をより効果的に排除しやすいためと考えられる。 【0025】《参考例4》 本参考例では、燃料電池に振動を付加することにより、
触媒層で生成された水の電池系外への排出を促進する方
法について説明する。参考例1で比較例として用いたも
のと同様の従来構成の単電池を3セル積層した。この積
層体の両端面にそれぞれ金属製の端板を配し、両者間を
連結して積層体を加圧するようにした。これにより、電
池ユニット(電極面積100cm2)を得た。得られた
電池ユニットを機械振動台の上に固定し、電池運転中、
連続的にまたは断続的に電池ユニットを1〜50サイク
ル/秒で振動させた。一方、より周波数の高い振動を付
与するために、同様の電池ユニットの端板に超音波振動
子(出力50W)による超音波振動板をネジで取り付け
て固定した。このとき、超音波による生成水の排除効果
をより効果的にする目的で、端板と電池との間には音波
減衰が少なく軽くて堅い材料であるアクリル樹脂を電気
的絶縁板として挟んだ。なお、超音波振動子にはその出
力と出力時間を調整できるような電気回路を併設した。 【0026】電池に、水素ガスおよび空気をアノード側
の水素の利用率が60%、カソード側の空気の利用率が
20%となるように供給した。また、それぞれのガス供
給部には温度調節装置および加湿装置を設け、供給ガス
の温度は電池温度と同じ程度に設定し、露点温度は電池
温度より15℃〜35℃低くなるようにした。 【0027】図4に、これら振動印加手段を備えた燃料
電池の電圧の比較的短時間の経時変化を示す。300m
A/cm2の電流密度で出力を続けると、振動を印加さ
れていない比較例の電池では運転開始後30分で電圧が
大きく低下し、約60分後には運転不能になった。これ
に対し、振動を加えられた本参考例の電池は、いずれも
その性能が改善されることが分かる。すなわち、比較例
である従来の電池は、時間の経過とともに電池特性は低
下し続けるが、振動台の上で振動を与えながら運転を続
けた参考例の電池では、初期に一旦電池性能が低下する
ものの、一定の段階で定常状態に達した。この効果は、
振動周波数の高いものほど顕著であった。このような機
械的振動台の上で比較的低い周波数の振動を与える方式
は、電極の通気性孔を塞いだ生成水の除去にはそれほど
効果を発揮しないが、溢れてガス流路を塞ぐようになっ
た生成水の除去には効果を有するものと思われる。 【0028】超音波を印加された電池では、生成水の除
去を促進する効果が著しく、特に連続的に超音波を発生
させたものでは、電池運転開始直後から性能の低下はほ
とんど認められなかった。これより、周波数の高い振動
は、電極のガス通気孔を塞ぐような生成水の除去に、よ
り効果があると推察される。超音波振動子を断続的にあ
るいは間欠的に作動させた電池においても、電池性能は
超音波振動子の停止時に若干下がるものの、超音波振動
の再開直後に急激に復活することもわかった。したがっ
て、エネルギー効率、騒音、振動による電池の機械的損
耗などを考慮すると、実用化に際しては、超音波振動子
を間欠的に作動させる方式がより魅力的である。 【0029】《参考例5》 本参考例では、電池に供給するガスの圧力を間欠的に高
くし、触媒層や電極層近傍に停滞した生成水の排除を促
進する方法について詳しく説明する。参考例1で比較例
に用いたものと同様の単電池を3個積層した電池ユニッ
ト(電極面積100cm2)に対し、アノードガスおよ
びカソードガスを供給するガス管にガスシリンダ(シリ
ンダ体積1000cm3)を取り付け、それぞれの吸収
したガスを瞬時に間欠的にガス管内に放出できるように
した。また、ガスシリンダを取り付けたガス管の上流側
にはガスの逆止弁を取り付け、シリンダより放出された
ガスが逆流せず、圧力が電池内部に効果的に伝わるよう
にした。ガス管の電池接続部付近には圧力センサを設
け、さらに圧力センサと連動してシリンダを駆動させ供
給ガスに圧力を印加できる電気的駆動装置をシリンダに
取り付けた。 【0030】この圧力印加装置を用いた電池の連続試験
を行い、その特性の経時変化を追跡した。これによる
と、圧力印加装置を作動させないときは、従来の電池と
同様に300mA/cm2の電流密度で出力を続ける
と、60分程度で連続運転が不能になるほど電池性能が
低下した。しかしながら、5000〜10000パスカ
ルの圧力を10分程度の間隔で0.5秒間、断続的に印
加した電池では、パルス圧の印加の度に電池特性が回復
した。これは、供給ガスの間欠的加圧によって、一時的
に触媒層・電極層を流れるガスの流速が拡大し、停滞し
ていた結露水が除去されることによるものと考えられ
る。 【0031】今回の実験では、圧力印加による膜の破損
など電池に与える影響を考慮し、アノード側への圧力印
加とカソード側への圧力印加は同期させたが、それぞれ
別々に圧力を印加してもよい。また、アノード側または
カソード側の一方のみに圧力を印加しても効果を有する
ことは十分に推察される。圧力を印加する時間について
は、実験に用いた電池系では0.5秒から1.0秒あれ
ば電池性能の回復に充分であることがわかったが、この
時間は電池の内部構造に依存すると考えられる。したが
って、異なる構造の電池においては、これらを考慮して
任意に決定すればよい。また、印加圧力についても、同
様に電池の内部構造等を考慮して決定すればよい。さら
に、今回の参考例では圧力印加の手段としてガスシリン
ダを用いたが、補助ボンベと電磁弁を用いたシステムな
どの他の手段を用いても良い。 【0032】 【発明の効果】本発明によると、燃料電池の触媒層や電
極層の近傍に停滞した水を効果的に電池系外へ除去する
ことができ、酸素の触媒層の反応部へのスムーズな供給
が可能になる。したがって、長期間にわたって高い性能
を維持する燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の参考例および実施例の固体高分子型燃
料電池の要部を示す縦断面図である。 【図2】本発明の一参考例の固体高分子型燃料電池の出
力電圧の経時変化を示した特性図である。 【図3】本発明の他の参考例の固体高分子型燃料電池の
出力電圧の経時変化を示した特性図である。 【図4】本発明のさらに他の参考例の固体高分子型燃料
電池の出力電圧の経時変化を示した特性図である。
フロントページの続き (72)発明者 安本 栄一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−105957(JP,A) 特開 平7−134992(JP,A) 特開 平3−182052(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/86 - 4/96 H01M 8/02,8/10

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 水素イオン伝導性の高分子電解質膜およ
    び前記高分子電解質膜の両面に触媒層を挟んでそれぞれ
    対向して配された一対の電極層からなる接合体と、前記
    電極層にガスを供給するためのガス供給流路および前記
    電極層からガスを排出するためのガス排出流路を備えた
    導電性のセパレータが交互に積層して配された発電部か
    らなる固体高分子型燃料電池であって、 前記電極層が、撥水性を有する多孔性材料からなる領域
    と、前記領域よりも水透過性の高い浸透部を具備し、前
    記領域と前記浸透部とが混在しており、 前記浸透部が、撥水性を有するとともに前記領域の細孔
    よりも径の大きい孔を有する多孔性材料からなる固体高
    分子型燃料電池
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