JP3481260B2

JP3481260B2 - 浴用剤

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Publication number: JP3481260B2
Application number: JP18954791A
Authority: JP
Inventors: 司村松; 和樹鳥居; 鈴木　　茂
Original assignee: Tsumura and Co
Current assignee: Tsumura and Co
Priority date: 1991-07-04
Filing date: 1991-07-04
Publication date: 2003-12-22
Anticipated expiration: 2018-12-22
Also published as: JPH0517339A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、色素安定化作用を有す
る浴用剤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】浴用剤の構成成分の一つである色素は、
入浴時に浴湯中に溶解し、鮮明な色調を得ることによっ
て入浴者に精神的な安らぎを与えるものであって、入浴
効果を高める補助因子として浴用剤に不可欠な成分であ
る。

【０００３】一方、上水道における水質汚染が年々ひど
くなり、それにつれて殺菌、消毒を目的とした塩素注入
量が増加の経過をたどり、水道水中の遊離残留塩素濃度
が高くなってきている。この結果、浴用剤を浴湯に使用
した際に、この遊離残留塩素の影響により色素の変色、
退色が起こり、入浴者に不快感を与えるといった問題が
生じてきた。

【０００４】従来、上記の問題の解決策として、５〜７
重量％の無機還元剤を配合することを特徴とした浴用剤
（特公昭５９−６２８３）やアスコルビン酸もしくはそ
の塩、明ばん類を少なくとも１種以上含有することを特
徴とした浴用剤（特公昭５３−２７７７０）等が提案さ
れている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の浴用剤
には、浴槽材質、風呂釜材質を傷める、製品中の他
の成分（香料、色素等）を経日的に変質させる、濃度
によっては、人体の皮膚および粘膜にたいして悪影響を
及ぼす、浴湯にすみやかに溶解し、遊離残留塩素と反
応しない、そのものが高価である等の問題点がある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決すべく鋭意検討を行った結果、尿素を配合する
ことにより、問題が解決できることを見いだし、本発明
を完成するに至った。

【０００７】すなわち本発明は、尿素を浴用剤に含有す
ることを特徴とする浴用剤（以下、本発明の浴用剤とい
う。）である。

【０００８】尿素は、自然保湿因子の一成分として古く
から知られており、保湿剤、柔軟化剤として化粧品およ
び医薬部外品の分野で使用されており、また医薬品にお
いても、製剤中１０〜３０％配合することにより角質内
水分保有力の増強および角質溶解、角質剥離作用を示
し、主に角化性皮膚疾患薬（角化症、老人性乾皮症およ
びアトピー性皮膚炎）として用いられている。

【０００９】しかし、尿素を浴用剤に配合することによ
って、水道水中に遊離残留塩素の影響により起こる色素
の変色、退色が防止できるということについては、今ま
で全く知られていなかったことであり、本発明者らによ
ってはじめて明らかにされたことである。また、同時
に、塩素の皮膚刺激によるトラブルといった問題点も尿
素配合により必然的に解決されることとなった。更に、
炭酸ガス発泡浴用剤においては、尿素の配合により炭酸
ガスの皮膚吸収率が高まる傾向を示し、皮膚血行促進の
増強作用が認められた。

【００１０】この様に、尿素を浴用剤に配合することに
より、尿素の効果として、一般的に知られている保湿効
果の他、種々の効果が見い出されたが、尿素は、加水分
解しやすく、酸およびアルカリの存在下または熱により
その反応が促進される。浴用剤の一般的な使用条件は、
高温多湿の浴室での保存、浴湯の沸かし直し時の加熱等
尿素にとって苛酷な条件である。そのため、本発明の浴
用剤には、上記効果を安定的に供給することを目的とし
て、製剤中、吸湿性成分を配合し、かつ浴湯を中性〜弱
酸性に保つ成分（塩類等）を添加することにより、解決
できる。

【００１１】吸湿性成分の具体例は、以下のごとくであ
り、粉体または顆粒状のものを用いるのが好ましい。

【００１２】すなわち、乾燥硫酸ナトリウム、塩化ナト
リウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸マ
グネシウム、無水ケイ酸、硫酸カルシウム等の無機塩
類、還元麦芽糖水飴、無水結晶マルトース、ショ糖等の
糖類または糖アルコール類、アラニン、アルギニン、グ
ルタミン酸等のアミノ酸類、デキストリン、でんぷん、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、加水
分解コラーゲン等の高分子類、無水クエン酸、コハク
酸、酒石酸、リンゴ酸等の有機酸類等が挙げられ、これ
らの１種または２種以上配合して用いるが、これら吸湿
性成分としては、その吸湿性が温和であり、中性〜弱酸
性の成分が好ましい。また、尿素自身は多くの有機、無
機の酸および塩類と複塩をつくる性質があり、これら付
加化合物を配合することも可能である。

【００１３】尿素の配合量としては、水道水中の遊離残
留塩素濃度に対応する量以上が必要であり、浴用剤の１
回使用量に応じて適宜配合量を決めればよいが、具体的
には浴湯中の尿素の濃度が０．５ｐｐｍ以上であれば十
分な効果を発揮する。本発明の浴用剤処方中において
は、０．１〜５０重量％、好ましくは２〜２０重量％配
合すればよい。

【００１４】また、吸湿性成分の配合量としては、それ
ぞれの吸湿性成分の吸湿特性およびｐＨによって決定さ
れ、尿素の加水分解を防ぐ程度に配合されていればよい
が、具体的には本発明の浴用剤処方中において、０〜９
８重量％、好ましくは５重量％以上が適当である。

【００１５】本発明の浴用剤によって遊離残留塩素の影
響を受けることなく、色素本来の色調を発色させること
のできる色素としては、例えば厚生省令で定められた医
薬品および化粧品に使用できるタール系色素（赤色２
号、赤色３号、赤色１０４号の（１）、赤色１０６号、
黄色４号、黄色５号、緑色３号、青色１号、青色２号、
赤色２０１号、赤色２０３号、赤色２１３号、赤色２１
５号、橙色２０５号、橙色２０７号、黄色２０２号の
（１）、黄色２０３号、緑色２０１号、緑色２０４号、
青色２０２号、青色２０３号、青色２０５号）、天然の
アントラキノン系色素、カロチノイド系色素、クロロフ
ィル系色素、ビタミン系色素（例えばリボフラビン）、
感光色素等が挙げられる。

【００１６】また、本発明の浴用剤には、上記原料のほ
かに、通常浴用剤または化粧品に用いられる添加剤、具
体例を挙げるならば、ホホバ油、マカデミアンナッツ
油、スクワラン等の油脂類、トウキ、センキュウ、カミ
ツレ、アロエ等の生薬、ｌ−メントール、ペパーミント
油等の清涼剤、ペプタイド、ヒアルロン酸等の保湿剤、
殺菌剤、紫外線吸収剤、香料等を配合することができ、
目的に応じ適当なものを選択して組み合せることができ
る。

【００１７】次に実験例を挙げて本発明の浴用剤が優れ
た色素安定化作用を有する浴用剤であることを説明す
る。

【００１８】実験例１１ｌのイオン交換蒸留水をビーカにとり、これに次亜塩
素酸ナトリウムを加え、塩素濃度１ｐｐｍに調整する。
更に、尿素を０．１ｇ入れ、ＪＩＳＫ０１０１に従
いオルトトリジン法を用い、遊離残留塩素の測定を行っ
た。また、同時にヨード法により全残留塩素に関しても
測定を行った。その結果を第１表に示した。

【００１９】上記の結果より、尿素は塩素と反応して結
合形残留塩素を形成し、色素安定化作用を有することが
確認された。

【００２０】実験例２後記実施例で得た浴用剤および下記の如くして得た浴用
剤（比較例１）を、イオン交換蒸留水を用いた浴湯およ
び次亜塩素酸ナトリウムにより塩素濃度が１ｐｐｍとな
るように調整した水を浴湯としたものの両者に、それぞ
れ標準使用量（浴湯水２００ｌ中２５ｇ）を添加し、塩
素を含有する浴湯と含有しない浴湯の溶解色の比較を行
った。その結果を第２表に示した。

【００２１】［比較例１］塩化ナトリウム５０．０重量％硫酸ナトリウム４７．９重量％青色２号０．１重量％香料２．０重量％１００．０重量％上記処方の香料を除く各成分を混合した後、続いて香料
を加えて混合均一として比較例１の浴用剤を得た。 ○ ：次亜塩素酸ナトリウム含有の浴湯は、イオン交
換蒸留水を用いた浴湯に比べ、溶解色は同等。 △ ：次亜塩素酸ナトリウム含有の浴湯は、イオン交
換蒸留水を用いた浴湯に比べ、溶解色は少しうすい。 × ：次亜塩素酸ナトリウム含有の浴湯は、イオン交
換蒸留水を用いた浴湯に比べ、溶解色はかなりうすい、
または消失。

【００２２】

【発明の効果】本発明の浴用剤の効果としては、次のよ
うなことが挙げられる。本発明の浴用剤は、使用時に溶
解した際、遊離残留塩素の影響を受けることなく、色素
本来の色調を与え、かつ塩素による皮膚刺激を緩和する
ことのできる浴用剤であり、入浴者に快適な入浴を提供
することができる。また、本発明の浴用剤は、炭酸ガス
発泡浴用剤として用いる場合、炭酸ガスの皮膚吸収性を
促進させ、血行促進効果を高める効果を有する。さらに
尿素の保湿、治療効果も期待できる。

【００２３】次に本発明の浴用剤の製剤の実施例を示し
て、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに
より何ら制限されるものではない。

【００２４】実施例１塩化ナトリウム５０．０重量％硫酸ナトリウム４７．７重量％尿素０．２重量％青色２号０．１重量％香料２．０重量％１００．０重量％上記処方の香料を除く各成分を混合した後、続いて香料
を加えて混合均一として粉末浴用剤を得た。

【００２５】実施例２塩化ナトリウム５０．０重量％硫酸ナトリウム４５．９重量％尿素２．０重量％青色２号０．１重量％香料２．０重量％１００．０重量％上記処方の香料を除く各成分を混合した後、続いて香料
を加えて混合均一として粉末浴用剤を得た。

【００２６】実施例３塩化ナトリウム５０．０重量％硫酸ナトリウム３７．７重量％尿素１０．０重量％青色２号０．１重量％香料２．０重量％１００．０重量％上記処方の香料を除く各成分を混合した後、続いて香料
を加えて混合均一として粉末浴用剤を得た。

【００２７】実施例４塩化ナトリウム５０．０重量％硫酸ナトリウム２７．７重量％尿素２０．０重量％青色２号０．１重量％香料２．０重量％１００．０重量％上記処方の香料を除く各成分を混合した後、続いて香料
を加えて混合均一として粉末浴用剤を得た。

【００２８】実施例５炭酸水素ナトリウム３７．５重量％炭酸ナトリウム１５．０重量％コハク酸３５．０重量％ポリエチレングリコール２．０重量％尿素１０．０重量％赤色１０６号０．１重量％香料０．４重量％１００．０重量％上記処方の香料を除く各成分を混合した後、香料を加え
て混合均一とした粉体を打錠機にて打錠成型して発泡錠
浴用剤を得た。

【００２９】実施例６硫酸ナトリウム７５．０重量％硫酸マグネシウム１２．９重量％デキストリン５．０重量％尿素５．０重量％黄色２０２号の（１）０．１重量％香料２．０重量％精製水適量１００．０重量％上記処方の香料および精製水を除く各成分を混合した
後、精製水、香料を順次添加し、混合均一とした粉体
を、圧縮成形機にて圧縮成形、破砕機により破砕し、篩
別して顆粒浴用剤を得た。

フロントページの続き (56)参考文献特開昭62−72610（ＪＰ，Ａ) 特開昭50−129733（ＪＰ，Ａ) 特開昭54−11223（ＪＰ，Ａ) 特開昭60−44599（ＪＰ，Ａ) 特開平４−210622（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61K 7/50

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】タール系色素、天然のアントラキノン系色
素、カロチノイド系色素、クロロフィル系色素、ビタミ
ン系色素、感光色素から選択される１種または２種以上
の浴用剤用色素、および０．２〜２０％の尿素を含有す
ることを特徴とする浴用剤。
【請求項２】タール系色素が、赤色２号、赤色３号、赤
色１０４号の（１）、赤色１０６号、黄色４号、黄色５
号、緑色３号、青色１号、青色２号、赤色２０１号、赤
色２０３号、赤色２１３号、赤色２１５号、橙色２０５
号、橙色２０７号、黄色２０２号の（１）、黄色２０３
号、緑色２０１号、緑色２０４号、青色２０２号、青色
２０３号、青色２０５号から選択される少なくとも１種
の浴用剤用色素を含有することを特徴とする請求項１記
載の浴用剤。