JP3439523B2 - 水不溶性タンニン製剤とその製造方法 - Google Patents

水不溶性タンニン製剤とその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、水不溶性の親水性多
糖類を担体として、タンパク質や重金属イオンを選択的
に吸着する能力に優れた水不溶性タンニン製剤とその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】タンニンが、タンパク質や重金属イオン
と特異的に結合することはよく知られている。その性質
を利用して、天然に存在する安全性の高いタンニンが、
食品、特に液体食品の製造工程の中でかなり利用されて
いる。ここでタンニンは、主として食品中に不純物とし
て存在するタンパク質あるいは重金属イオンなどを除去
するための凝集剤として使われている。
【0003】食品中の不純物となるタンパク質は原材料
や食品の製造工程から混入するが、しばしばそれが食品
の着色などを引き起こして品質低下を招くため、タンニ
ンなどの清澄化剤を用いたり、酵素分解したりして除去
されている。
【0004】またタンパク質は食品分野では不純物とな
ることも多いが、反面、食品、医薬品や工業原料などと
して様々な分野で重要な役割を果たしている。とりわ
け、タンパク質の生物活性が注目されるようになってか
らは、多くの種類のタンパク質を純度よく大量に収集す
ることが必要となってきた。
【0005】それらのタンパク質は、一般に動物、植
物、あるいは微生物由来で、原料から抽出した溶液から
分離、精製される。タンパク質を除去する場合も含め
て、分離精製には沈殿法、ゲルろ過法、吸着法、イオン
交換法等が単独であるいは何種類か組み合わされて使用
されている。
【0006】しかし、先ず沈殿法ではタンパク質だけを
特異的に沈殿させることは難しく、場合によっては沈殿
剤などの不純物を製品中に残すことになりかねない。ま
たタンパク質の回収率も低く、タンパク質の変成により
本来の生物活性を失うこともある。ゲルろ過法では、処
理液中に不純物が含まれることはないが、大量の試料を
処理することが困難で、かつ処理コストも高くなるた
め、実用上には問題がある。シリカゲル等の吸着剤、あ
るいはイオン交換樹脂等を用いるカラムクロマト法も微
量物質の回収や精製に良く用いられる方法だが、これら
は目的物質に対する特異性が低いため、タンパク質以外
の物質も同様に吸着されて純度が低下する恐れがある。
このように、従来公知の方法は実用上多くの問題点を持
っており、必ずしも満足できるものではなかった。した
がって、特異的にタンパク質のみを吸着除去、あるいは
分離回収する方法の開発が各方面から切望されている。
【0007】一方、金属イオンは通常水中に低濃度でし
か存在していないけれども、食品製造用水として利用し
た場合、製品中にそれらが直接持ち込まれて品質にも大
きな影響を与える。例えば、醸造用水中に極めて微量で
も鉄イオンが含まれていれば、様々な物質と化合して異
常な着色を引き起こすだけでなく、味や香りを損なうこ
ともある。そこで、従来は酸化法、吸着法、接触ろ過
法、イオン交換法、凝集法、微生物法などを単独あるい
は組み合わせて除去を行っているが、その除去効果は十
分でなく、さらに効率よく鉄などの金属イオンを除去す
る方法が望まれていた。
【0008】上記のタンパク質や金属イオンの選択的な
吸着除去、あるいは分離精製を行うために、最近公知の
固定化酵素の調製法(例えば書籍「固定化生体触媒」、
p12〜67、講談社発行、1986年8月10日;
「アフィニティークロマトグラフィー」、p117〜1
51、東京化学同人発行、1991年10月1日)を応
用して、水不溶性の担体にタンニンを結合させて取り扱
い易さを向上させた水不溶性タンニン製剤が調製される
ようになった。
【0009】この水不溶性タンニン製剤を用いたタンパ
ク質を除去する方法が、特公昭55−7225号公報に
おいて清酒に、そして特開平1−250331号公報で
はグリセリンまたはその水溶液への応用が提案されてい
る。また、特公昭57−15880号公報にはタンパク
質の集合体としての酵素を吸着させて固定化酵素とする
方法も示されている。
【0010】金属イオンについては、特公平4−302
68号公報に水不溶性タンニン製剤でブドウ酒中の鉄分
を除去し品質の改良を図る方法や、特公平3−3599
7号公報に放射性廃液中のアクチニド元素を吸着する方
法なども開示されている。
【0011】水不溶性タンニン製剤の製造方法について
は、例えば固定化酵素調製法の一つの臭化シアン活性化
法で、特公昭60−5267号公報に担体のセルロース
とタンニンの少なくとも1つを臭化シアンで活性化後、
ジアミノ化合物として、それぞれを反応させる方法が示
されている。しかし、ここで用いられるハロゲン化シア
ンとしての臭化シアンは、人間が10分間その蒸気を吸
入するときの最低致死濃度が92ppmと極めて有毒
で、残存する危険性を考慮すれば食品の製造過程に利用
するには大いに問題がある。
【0012】エポキシ活性化法を用いた場合には、エピ
クロロヒドリンでセルロースを活性化後、アミノヘキシ
ルセルロースとし、再びエピクロロヒドリンで活性化し
てタンニンと反応させる方法が知られている(書籍「酵
素工学」、東京化学同人発行、1981年9月18日、
p164〜171)。この製法によって固定化タンニン
(田辺製薬製、商品名「固定化タンニン<タナベ>」)
が調製されているが、工程数が非常に多いことから、販
売価格も約1,500円/kg-wetと非常に高いものであ
る。
【0013】同様の活性化法で、特開昭53−5670
0号公報に水不溶性の親水性多糖類あるいはそのアミノ
アルキル化誘導体、そしてタンニンあるいはアミノアル
キル化タンニンを使用し、多糖類かタンニンのいずれか
一方をエポキシ活性化して反応させる方法が開示されて
いる。また、特公昭57−52357号公報、同59−
29200号公報には、活性化された水酸基またはアミ
ノ基、カルボキシル基などの反応性の高い官能基を有す
るセルロースなどの水不溶性親水性重合体に、タンニン
もしくはタンニンのアミノ誘導体を反応させて固定化す
る方法が詳述されている。しかし、何れもエポキシ活性
化法と同様に工程数が多く、製造コストの点を改良した
ものではなかった。
【0014】さらには、酵素固定化法とは異なる手法
で、特開平3−288546号公報にタンニンの一種で
ある没食子酸トリアセテート誘導体を有機溶媒可溶な多
糖類誘導体と有機溶媒中で反応させた後、この反応液を
極性溶媒または水中に滴下して反応物を沈殿させ、その
反応物のフェノール性水酸基のみを脱アセチル化する方
法が提案されている。しかし、この方法はタンニンと固
定化担体が限定されており、汎用性に乏しい。また、特
開平4−247005号公報にはタンニンの水酸基に結
合した第1のモノマーと、第2のモノマーとを重合させ
ると共に、架橋剤により架橋し、主鎖にタンニンがペン
ダントした水不溶性タンニン製剤を得る方法が開示され
ているが、各モノマーの重合に長時間掛かり、工業的な
製造方法としては現実的でない。
【0015】このように、上記方法は何れもタンニンあ
るいは担体の内、少なくともいずれか一方を活性化した
り、反応性誘導体としておく必要があり、タンニン固定
化工程までに多くの前処理工程が必要である。さらに固
定化酵素の調製法が応用されているケースでは、タンニ
ンの固定化反応が通常の固−液反応であるため反応効率
を高くすることができなかった。また、従来の水不溶性
タンニン製剤は複雑な工程を経て調製されているため、
非常に手間が掛かり製造コストも高い。よって、水不溶
性タンニン製剤のタンパク質や金属イオンの選択的な吸
着能において、経済的な見地から市場の要求を満たすも
のはなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、タ
ンパク質や金属イオンの選択的吸着性に優れ、簡便な工
程で安価に得られる水不溶性タンニン製剤とその製造方
法を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明に係る水不溶性
タンニン製剤は、水不溶性の親水性多糖類を担体とし
て、その表面に反応性に富むポリカチオンを吸着させ、
次いでタンニンを吸着させた後、架橋剤を反応させて、
共有結合によりタンニンを固定化し不溶化したものであ
る。
【0018】ここで、ポリカチオンとは、分子中に第1
(−NH2 )、第2(−NHR)、第3(−NR2 )ア
ミノ基、第4アンモニウム基([−N+ 3 ]X- )、
または第3スルホニウム基([−S+ 2 ]X- )を有
するカチオン性高分子電解質で、ポリビニルアミン、ポ
リエチレンイミン、ポリアリルアミン、そしてキトサン
などのポリアミン、ポリ−4−ビニル−N−アルキルア
ンモニウムハライドやカチオン変性ポリアクリルアミド
などがある。中でも、ポリアミンは、架橋剤との反応性
の高い第1、第2アミノ基を有する点で好ましい。
【0019】この発明で使用する担体、即ち水不溶性の
親水性多糖類は、正に帯電したポリカチオンの吸着が行
われ易いように、表面電荷が負であることが望ましい。
また、固定化タンニンが主に水溶液の処理に用いられる
ことを考慮すると、水に不溶性で親水性素材が有利であ
る。さらに、その後の架橋反応で反応しうる官能基とし
て、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等を有するもの
でなければならない。加えて環境問題という観点から
も、使用後の焼却あるいは廃棄処理において、燃焼熱が
小さく、生分解性を有する水に不溶性の親水性多糖類、
例えば、セルロース、架橋デキストラン、アガロース、
キトサン、プルラン、グルコマンナンなどが望ましい。
【0020】この発明で使用するタンニンは、ピロガロ
ールタンニンでもカテコールタンニンでもよい。ピロガ
ロールタンニンとしては、例えば没食子タンニン、五倍
子タンニンなどが、カテコールタンニンとしては例え
ば、茶、カカオなどから得られるカテコール重合体が挙
げられる。また、これらタンニンは必ずしも精製された
ものでなくともよく、例えば、柿渋、ワットルエキスな
どとして市販されているような純度の低いタンニンであ
ってもよい。
【0021】架橋剤はポリカチオンとタンニン、または
ポリカチオンと担体である水不溶性の親水性多糖類、ポ
リカチオン同士、一部タンニンと担体の間に架橋結合を
生成するものが適しており、アルデヒド化合物、エポキ
シ化合物、多価イソシアネート化合物、シランカップリ
ング剤などが好ましい。以下に具体例を挙げる。
【0022】1)アルデヒド化合物:ホルムアルデヒ
ド、グリオキザール、グルタルアルデヒド等の脂肪族ア
ルデヒド;テレフタルアルデヒド、ジヒドロキシテレフ
タルアルデヒド等の芳香族アルデヒド;その他ジアルデ
ヒド澱粉等 2)エポキシ化合物:エピクロロヒドリン等のエピハロ
ヒドリン;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
グリセロールポリグリシジルエーテル等のグリシジルエ
ーテル類;その他トリスエポキシプロピルイソシアヌレ
ート等 3)多価イソシアネート化合物:トルイレンジイソシア
ネート等のジイソシアネート類;トリフェニルメタント
リイソシアネート等のトリイソシアネート類;その他ポ
リメチレンポリフェニルイソシアネート等 4)シランカップリング剤:γ−クロロプロピルトリエ
トキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン等 水不溶性の親水性多糖類に対するポリカチオンあるいは
タンニンの吸着の温度は、担体の親水性多糖類、ポリカ
チオン、タンニンの種類にもよるが、吸着温度0〜80
℃が適当であり、吸着は一般的に温度の低い方が有利な
ため、0〜30℃が好ましい。
【0023】ポリカチオンの吸着時間および濃度は、水
不溶性の親水性多糖類の表面状態あるいはポリカチオン
の吸着力にもよるが、多糖類の表面にポリカチオンが吸
着して、フェノール性水酸基を持つタンニンが吸着でき
る程度のポリカチオン吸着量が確保されればよく、吸着
時間1分〜10時間、ポリカチオン水溶液濃度0.1〜
30%が適当であり、好ましくは吸着時間10分〜5時
間、ポリカチオン水溶液濃度0.2〜10%である。
【0024】次に、タンニンの吸着時間およびタンニン
水溶液濃度は、先にポリカチオンが吸着している多糖類
の表面状態あるいはタンニンの吸着力にもよるが、目的
のタンニン固定化量のやや過剰に達する時間およびタン
ニン濃度でよく、吸着時間1分〜10時間、タンニン水
溶液濃度0.5〜20%が適当で、一般的には吸着時間
10分〜5時間、タンニン濃度1〜10%が好ましい。
【0025】架橋反応の温度および時間は、用いた水不
溶性の親水性多糖類、ポリカチオン、タンニン、架橋剤
の種類、あるいはポリカチオンおよびタンニンの吸着状
態にもよるが、反応温度0〜100℃、反応時間10分
〜20時間が適当であり、好ましくは反応温度20〜8
0℃、反応時間30分〜10時間である。
【0026】架橋反応は、水不溶性の親水性多糖類に、
ポリカチオン水溶液、タンニン水溶液を順次吸着させた
後に、架橋剤水溶液を添加して開始し、反応終了後、ろ
過、水洗の各工程を経て水不溶性タンニン製剤を得るこ
とができる。このポリカチオン吸着、タンニン吸着、架
橋反応という各プロセスについて、順序を変えたり、同
時に行おうとすれば、親水性多糖類の表面以外でポリカ
チオンとタンニンが結合する可能性が高く、通常それら
の結合物は微粒子状となるため、架橋反応後のろ過、水
洗工程で目詰まりを起こし易く製造上甚だ不都合であ
る。よって、親水性多糖類へのタンニン固定化効率を高
める必要があり、このプロセスの順序は非常に重要とな
る。架橋反応によっては、ポリカチオンと多糖類および
ポリカチオンとタンニンとの結合反応、あるいはポリカ
チオンの三次元ネットワーク化などが支配的に起こると
推定される。しかし、架橋剤にアルデヒド化合物を用い
た場合、ポリカチオンとの間にシッフ塩基などの弱い結
合を生じる可能性があるため、水素化ホウ素ナトリウム
などの穏やかな還元剤を作用させ、安定な結合に変換し
てもよい。また、イオン交換などによって緩やかにタン
ニンやポリカチオンが結合している場合もあるため、酸
やアルカリの存在下で使用するには、予めアルカリ、酸
水溶液の順で洗浄することによって不安定な結合のタン
ニンあるいはポリカチオンを取り除いてもよい。
【0027】
【作用】この発明により得られる水不溶性タンニン製剤
は、反応性に富むポリカチオンを吸着した水不溶性の親
水性多糖類表面にタンニンを吸着させ、架橋剤を反応さ
せて共有結合によりタンニンを固定化し不溶化してい
る。このように、親水性多糖類表面にポリカチオンとタ
ンニンが局部的に凝縮されているため、架橋剤の反応効
率が極めて高い。また、親水性多糖類表面へのポリカチ
オンおよびタンニンの吸着、そして架橋剤の反応を連続
して行うことが可能なため、短時間でタンニンの固定化
を完了することができる。
【0028】したがって、この発明によれば、タンパク
質や金属イオンに選択的な吸着性を示す水不溶性タンニ
ン製剤を非常に安価に製造できる。
【0029】
【実施例】以下に、この発明の実施例を説明する。
【0030】[実施例1]親水性多糖類として、ビスコ
ースに発泡剤を混合し、ノズルから凝固再生浴へ吐出す
ることによって調製した粒径75−150μmの多孔性
セルロース粒子3g(乾燥重量)を用い、ポリカチオン
として1%のポリエチレンイミン(ナカライテスク
(株))水溶液40gを加えて室温で30分かき混ぜ
た。次いで、五倍子から抽出したタンニンの5%水溶液
20gを添加して室温でさらに30分かき混ぜ、その後
架橋剤として5%のグルタルアルデヒド水溶液20ml
を滴下し、70℃に昇温して90分反応させた。反応終
了後、室温まで冷却し、5%水素化ホウ素ナトリウム水
溶液10gを少量づつ加えてから、1時間かき混ぜた。
得られた固定化タンニンをろ取し、0.1N水酸化ナト
リウム水溶液100ml、0.1N塩酸水溶液100m
l、水1lで順次洗浄した。このようにしてタンニンが
多孔性セルロース粒子にポリカチオンを介して結合して
いる水不溶性タンニン製剤を得た。
【0031】[実施例2]多孔性セルロース粒子を、水
で洗浄したセルロースベースのゲルろ過剤(チッソ社製
の商品名:セルロファイン GC−200−m)に代え
た以外は実施例1と同様に操作して水不溶性タンニン製
剤を得た。
【0032】[実施例3]多孔性セルロース粒子を、繊
維状セルロース(Whatman社のCF−11)に代えた以
外は実施例1と同様に操作して繊維状の水不溶性タンニ
ン製剤を得た。
【0033】[実施例4]多孔性セルロース粒子を、架
橋デキストラン(Pharmacia社の商品名:Sephadex G
−100)に代えた以外は実施例1と同様に操作して水
不溶性タンニン製剤を得た。
【0034】[実施例5]多孔性セルロース粒子を、ア
ガロース(Pharmacia社の商品名:Sephadex CL−6
B)に代えた以外は実施例1と同様に操作して水不溶性
タンニン製剤を得た。
【0035】[実施例6]ポリエチレンイミンを、ポリ
アリルアミンに代えた以外は実施例1と同様に操作して
水不溶性タンニン製剤を得た。
【0036】[実施例7]五倍子タンニンを、市販タン
ニン(大日本製薬製のBタンニン酸;タンニン純度80
〜90%)に代えた以外は実施例1と同様に操作して水
不溶性タンニン製剤を得た。
【0037】[比較例1]1%ポリエチレンイミン水溶
液の代わりにイオン交換水を用いた以外は実施例1と同
様に操作して水不溶性タンニン製剤を得た。
【0038】上記の実施例および比較例で製造した水不
溶性タンニン製剤の固形分に対するポリカチオンおよび
タンニン含有率を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】[実験例1]上記の実施例で製造した水不
溶性タンニン製剤と市販品の「固定化タンニン<タナベ
>(田辺製薬製)」を乾燥重量で0.1gとり、各種タ
ンパク質を1,000ppmの濃度で溶解した緩衝液
(pH7.0)を25ml加え、5℃で30分振盪す
る。その吸着前後のタンパク質濃度を測定することで吸
着率を測定した。以上の結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】[実験例2]上記の実施例で製造した水不
溶性タンニン製剤および市販品を、乾燥重量で0.1g
とり、各種金属イオンの水溶液(10ppm)を25m
l加え、25℃で30分振盪する。その吸着前後の金属
イオン濃度を測定することで吸着率を測定した。なお、
金属イオンの定量法には、鉄イオンは1,10−フェナ
ントロリン法、それ以外の金属イオンは原子吸光々度法
を用いた。以上の結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】この発明に係る水不溶性タンニン製剤
は、水不溶性の親水性多糖類の表面に不溶化したタンニ
ンが共有結合しており、タンニンの活性を損なうことな
く種々の用途に用いることができ、しかも親水性多糖類
の形状や物性を選ぶことによってタンパク質や金属イオ
ンの吸着除去あるいは分離精製に相乗効果を期待するこ
とができる。
【0045】この発明に係る水不溶性タンニン製剤の製
造方法は、反応性に富むポリカチオンを吸着した水不溶
性の親水性多糖類表面にタンニンを吸着させ、架橋剤を
反応させて共有結合によりタンニンを固定化し不溶化す
るものである。したがって、親水性多糖類表面にポリカ
チオンとタンニンが局部的に濃縮されているため架橋剤
の反応効率が高く、短時間でタンニンを固定化し不溶化
することができる。その結果、予め水不溶性の親水性多
糖類を活性化する必要がなく工程数が大幅に減り、水不
溶性タンニン製剤調製の所要時間は1/2以下とするこ
とができて、大幅な製造コストの低減が可能となる。し
かもタンニンが共有結合で固定されて水に溶出しないた
め、使用する上で安全性が高く、また再使用が可能なこ
とから、水不溶性タンニン製剤による処理コストが低減
できる。
【0046】また水不溶性タンニン製剤を食品製造用に
供する場合には、タンニンの固定化に使用する材料の安
全性が重要となるが、水不溶性親水性多糖類は通常天然
の素材で、ポリカチオンは天然物由来のキトサンや、ほ
とんど無毒で食品包装や化粧品に利用されるポリエチレ
ンイミン(マウスの経口毒性LD50=8.0g/kg)を
使用すればほとんど問題がない。架橋剤については、こ
の発明に掲げた物質は全てハロゲン化シアンなどよりは
るかに安全で、よく用いられるグルタルアルデヒドなど
はマウス経口毒性がLD50=2.38ml/kg(25%
水溶液)程度である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/00 - 20/34

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不溶性の親水性多糖類を担体として、
    ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルア
    ミン、キトサンおよびそれらの誘導体であるポリカチオ
    ンを介してタンニンを架橋剤で固定化した水不溶性タン
    ニン製剤。
  2. 【請求項2】 水不溶性の親水性多糖類が、セルロー
    ス、架橋デキストラン、アガロース、キトサン、プルラ
    ン、グルコマンナンである請求項1記載の水不溶性タン
    ニン製剤。
  3. 【請求項3】 架橋剤が、アルデヒド化合物、エポキシ
    化合物、多価イソシアネート化合物、シランカップリン
    グ剤から選ばれた少なくとも一つである請求項1又は2
    に記載の水不溶性タンニン製剤。
  4. 【請求項4】 水不溶性の親水性多糖類にポリエチレン
    イミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、キトサ
    ンおよびそれらの誘導体であるポリカチオンを吸着さ
    せ、続いてタンニンを吸着させた後、架橋剤で固定化す
    ることを特徴とする水不溶性タンニン製剤の製造方法。
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