JP3436706B2 - 高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤 - Google Patents
高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、アミノ酸を有効成
分とする高甘味度甘味料のアスパルテームの苦味低減又
は除去剤に関する。また、本発明は、高甘味度甘味料の
苦味低減又は除去剤を用いて、高甘味度甘味料のアスパ
ルテームの苦味を低減又は除去する方法に関する。 【０００２】 【従来の技術】アスパルテーム、ステビア等の高甘味度
甘味料は、低カロリーであることと、少量で甘味を付与
できることから、多くの食品に利用されている。しかし
ながら、これら高甘味度甘味料は、甘味以外に特有の苦
味があるため、高甘味度甘味料を含有する食品を食した
時に苦味が異味や不快臭として感じられることがある。
そこで、アスパルテームの苦味、渋み、エグ味等の不快
な呈味を和らげるために、アスパルテームの分解生成物
を添加する技術（特開昭５８−１６２２６０号公報）が
開示されている。また、アスパルテーム、天然果実及び
フレーバー物質の混合物に特定デキストロース等量を有
するコーンシロップ固形物と固結防止剤とを加えた風味
及び保存安定性の良好なヨーグルト用の甘味組成物（特
開昭６１−２１２５２６号公報）、ジペプチド甘味料、
糖アルコール及びマルトデキストリンを一定量配合した
ゼラチンデザート用の甘味組成物（特開昭６１−８８８
５７号公報）、非栄養的甘味料に２−エチル−５−メチ
ル−４−ヒドロキシ−３［２Ｈ］−フラノン及び／又は
その互変異異性体を配合した甘味組成物（特開昭６１−
３５７６１号公報）、イソマルトース含有ハイコーンバ
ージョンシロップに、高甘味度甘味料を混合した風味に
優れた甘味組成物（特開平１−１０１８６２号公報）又
は人工甘味料とデオキシ糖を含有する風味に優れた甘味
組成物（特開平８−３８０９９号公報）が開示されてい
る。これらの技術は、いずれも甘味料の甘味の味質を改
善することを目的としており、高甘味度甘味料の苦味、
渋み、エグ味等の不快な呈味を低減又は除去するもので
はない。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、高甘味度甘
味料のアスパルテームの苦味低減又は除去剤、及び該剤
を用いて、高甘味度甘味料の苦味を低減又は除去する方
法を提供することを課題とする。本発明において、高甘
味度甘味料とは、少量で食品に甘味を付与することので
きるアスパルテームを対象とする。本発明において、高
甘味度甘味料のアスパルテームの苦味低減又は除去と
は、高甘味度甘味料の呈する苦味以外の渋み、エグ味等
の異臭や不快臭をも低減又は除去することができること
をもいう。 【０００４】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意研究を重ねた結果、高甘味度甘味料のアスパル
テームの苦味を低減又は除去するのにアミノ酸が有効で
あることを見出した。すなわち、Ｌ−アスパラギン、Ｄ
Ｌ−もしくはＬ−メチオニン、Ｌ−チロシン、Ｌ−セリ
ン、Ｌ−アスパラギン酸、Ｌ−グルタミン、ＤＬ−もし
くはＬ−アラニン、Ｌ−ロイシン又はＬ−プロリンの中
から選ばれるアミノ酸の少なくとも１種を有効成分とす
る高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤に関する。本発
明はまた、上記高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤を
個別のアミノ酸単位で0.001ｍｇ／100ｇ〜10,000ｍｇ／
100ｇの濃度範囲で添加することにより高甘味度甘味料
の苦味を低減又は除去する方法に関する。 【０００５】 【発明の実施の形態】本発明の高甘味度甘味料のアスパ
ルテームの苦味低減又は除去剤は、Ｌ−アスパラギン、
ＤＬ−もしくはＬ−メチオニン、Ｌ−チロシン、Ｌ−セ
リン、Ｌ−アスパラギン酸、Ｌ−グルタミン、ＤＬ−も
しくはＬ−アラニン、Ｌ−ロイシン又はＬ−プロリンの
中から選ばれるアミノ酸の少なくとも１種を有効成分と
するものであり、高甘味度甘味料に対して、個別のアミ
ノ酸単位で0.001ｍｇ／100ｇ〜10,000ｍｇ／100ｇ の濃
度範囲で添加することにより、高甘味度甘味料のアスパ
ルテームの苦味を低減又は除去することができる。な
お、前記アミノ酸を含むタンパク質加水分解物を用いる
こともでき、この場合もアミノ酸が上記濃度範囲となる
ように添加することで効果を有するものである。本発明
において高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、及
びショ糖等の他の糖類との混合物等を例示することがで
きる。このうち、アスパルテームに対しては、本発明の
高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤を個別のアミノ酸
単位で0.001ｍｇ／100ｇ〜10,000ｍｇ／100ｇ の濃度範
囲で添加することにより効果を得ることができる。本発
明の高甘味度甘味料のアスパルテームの苦味低減又は除
去剤は、各種乳製品、デザート食品、飲料、氷菓、菓
子、パン等の高甘味度甘味料を含有する食品に関して効
果のあるものである。なお、乳製品のうち発酵食品に関
しては、通常、発酵過程で遊離アミノ酸が生成されるの
で、最終製品中のアミノ酸含有量が上記範囲となるよう
に適宜添加すればよい。 【０００６】 【実施例】 【実施例１】アミノ酸によるアスパルテームの苦味抑制
効果； 中空糸濾過膜で濾過した水道水3.3 ｌに、アスパルテー
ム（味の素（株）製；パルスイートダイエット）1.0 ｇ
を添加し、十分に撹拌して溶解させ、アスパルテーム水
溶液を作成した。このアスパルテーム溶液に、Ｌ−アス
パラギン、ＤＬ−もしくはＬ−メチオニン、Ｌ−チロシ
ン、Ｌ−セリン、Ｌ−アスパラギン酸、Ｌ−グルタミ
ン、ＤＬ−もしくはＬ−アラニン、Ｌ−ロイシン又はＬ
−プロリンを、それぞれ10,000mg/100g の濃度となるよ
うに溶解、あるいはけん濁させた。このアミノ酸（けん
濁）液をそれぞれ十倍段階によって希釈し、0.0001mg/1
00gまでの濃度段階を用意した。こうして作成した各濃
度のアミノ酸を含んだアスパルテーム溶液の苦味が、
「ある」を−、「弱められている」を±、「ない」を
＋、「全くない」を＋＋とし、５名のパネルリストの意
見を集約して評点を行なった。評点結果を表１に示す。 【０００７】 【表１】【０００８】各アミノ酸は、アミノ酸濃度0.001mg/100g
以上であれば、10,000mg/100gにいたるまでアスパルテ
ームの苦みを抑制する効果のあることがわかる。 【０００９】 【実施例２】オレンジ果汁にアスパルテームを添加した
ときの、アミノ酸によるアスパルテームの苦味抑制効
果； オレンジ濃縮果汁（5.5 倍）300ｇを中空糸濾過膜で濾
過した水道水1,350ｇで希釈し、これにアスパルテーム
を0.25g 添加し、十分に混和した。このアスパルテーム
含有オレンジジュースに、Ｌ−アスパラギン、ＤＬ−も
しくはＬ−メチオニン、Ｌ−チロシン、Ｌ−セリン、Ｌ
−アスパラギン酸、Ｌ−グルタミン、ＤＬ−もしくはＬ
−アラニン、Ｌ−ロイシン又はＬ−プロリンをそれぞれ
30mg/100gとなるように添加して十分に混和した。な
お、対照としてアミノ酸無添加のものを用意した。こう
して作成された各オレンジジュース及びアミノ酸を添加
していないオレンジジュースについて、各濃度のアミノ
酸を含んだアスパルテーム溶液毎に、アスパルテームに
由来する苦味が「ある」を−、「弱められている」を
±、「ない」を＋、「全くない」を＋＋とし、５名のパ
ネルリストの意見を集約して評点を行なった。評点結果
を表２に示す。 【００１０】 【表２】 【００１１】アミノ酸を添加していないものではアスパ
ルテームの苦味が感じられた。一方、各アミノ酸を添加
したものでは、アスパルテームの苦味が抑制されている
ことがわかる。 【００１２】 【実施例３】ゼリーをベースとしたときのアミノ酸によ
るアスパルテームの苦味抑制効果；アスパルテーム２
ｇ、ゲル化剤24ｇ、クエン酸三ナトリウム4.6ｇ、レモ
ン透明濃縮果汁20ｇに、中空糸濾過膜で濾過した水道水
を加えて全量を1,800ｇに調整し、これを80℃にて10分
以上加熱撹拌溶解した。溶解後、90ｇずつ分注し、これ
にＬ−アスパラギン、ＤＬ−もしくはＬ−メチオニン、
Ｌ−チロシン、Ｌ−セリン、Ｌ−アスパラギン酸、Ｌ−
グルタミン、ＤＬ−もしくはＬ−アラニン、Ｌ−ロイシ
ン又はＬ−プロリンをそれぞれ30mg/100g となるように
添加混和し、さらに温水を加えて全量で100ｇとなるよ
うに重量補正を行った。続いてこれらを85℃、15分間加
熱を行い殺菌した。殺菌後、各サンプルを氷水に浸漬し
て急速冷却した。なお、対照として、アミノ酸無添加で
重量補正のみを行ったものを調製し、同様に殺菌を行っ
た。こうして作成された各ゼリーについて、アスパルテ
ームに由来する苦味が「ある」を−、「弱められてい
る」を±、「ない」を＋、「全くない」を＋＋とし、５
名のパネルリストの意見を集約して評点を行なった。評
点結果を表３に示す。 【００１３】 【表３】 【００１４】アミノ酸を添加していないものではアスパ
ルテームの苦味が明瞭に感じられた。一方、各アミノ酸
を添加したものでは、アスパルテームの苦味が十分に抑
制されていることがわかる。 【００１５】 【参考例１】オレンジ果汁にステビアを添加したとき
の、アミノ酸によるステビアの苦味抑 制効果； オレンジ濃縮果汁（5.5倍）300ｇを中空糸濾過膜で濾過
した水道水1,350ｇで希釈し、これにステビア（ステビ
アα-160、佐藤科学研究所）を0.3ｇ添加し、十分に混
和した。このステビア含有オレンジジュースに、ＤＬ−
もしくはＬ−メチオニン又はＬ−アスパラギン酸をそれ
ぞれ30ｍｇ／100ｇとなるように添加して十分に混和し
た。 なお、対照としてアミノ酸無添加のものを用意し
た。こうして作成された各オレンジジュース及びアミノ
酸を添加していないオレンジジュースについて、各濃度
のアミノ酸を含んだステビア溶液毎に、ステビアに由来
する苦味が「ある」を−、「弱められている」を±、
「ない」を＋、「全くない」を＋＋とし、５名のパネル
リストの意見を集約して評点を行った。評点結果を表４
に示す。 【００１６】 【表４】 【００１７】アミノ酸を添加していないものではステビ
アの苦味が感じられた。一方、各アミノ酸を添加したも
のでは、ステビアの苦味が抑制されていることがわか
る。 【００１８】 【参考例２】ゼリーをベースとしたときのアミノ酸によ
るステビアの苦味抑制効果； ステビア（ステビアα-160、佐藤科学研究所）2.5ｇ、
ゲル化剤24ｇ、クエン酸三ナトリウム4.6ｇ、レモン透
明濃縮果汁20ｇに、中空糸濾過膜で濾過した水道水を加
えて全量を1,800ｇに調整し、これを80℃にて10分以上
加熱撹拌溶解した。溶解後、90ｇずつ分注し、これにＤ
ＬーもしくはＬーメチオニン又はＬ−アスパラギン酸を
それぞれ30ｍｇ／100ｇとなるように添加混和し、さら
に温水を加えて全量で100ｇとなるように重量補正を行
った。続いてこれらを85℃、15分間加熱を行い殺菌し
た。殺菌後、各サンプルを氷水に浸漬して急速冷却し
た。なお、対照として、アミノ酸無添加で重量補正のみ
を行ったサンプルを調整し、同様に殺菌を行った。こう
して作成された各ゼリーについて、ステビアに由来する
苦味が「ある」を−、「弱められている」を±、「な
い」を＋、「全くない」を＋＋とし、５名のパネルリス
トの意見を集約して評点を行なった。評点結果を表５に
示す。 【００１９】 【表５】 【００２０】アミノ酸を添加していないものではステビ
アの苦味が明瞭に感じられた。一方、各アミノ酸を添加
したものでは、ステビアの苦味が十分に抑制されている
ことがわかる。 【００２１】 【発明の効果】本発明によれば、Ｌ−アスパラギン、Ｄ
Ｌ−もしくはＬ−メチオニン、Ｌ−チロシン、Ｌ−セリ
ン、Ｌ−アスパラギン酸、Ｌ−グルタミン、ＤＬ−もし
くはＬ−アラニン、Ｌ−ロイシン又はＬ−プロリンの中
から選ばれるアミノ酸の少なくとも１種を有効成分とす
る高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤を提供すること
ができ、該剤を用いることにより、アスパルテームが有
する苦味、渋み、エグ味等の異臭や不快臭を低減又は除
去することができる。
分とする高甘味度甘味料のアスパルテームの苦味低減又
は除去剤に関する。また、本発明は、高甘味度甘味料の
苦味低減又は除去剤を用いて、高甘味度甘味料のアスパ
ルテームの苦味を低減又は除去する方法に関する。 【０００２】 【従来の技術】アスパルテーム、ステビア等の高甘味度
甘味料は、低カロリーであることと、少量で甘味を付与
できることから、多くの食品に利用されている。しかし
ながら、これら高甘味度甘味料は、甘味以外に特有の苦
味があるため、高甘味度甘味料を含有する食品を食した
時に苦味が異味や不快臭として感じられることがある。
そこで、アスパルテームの苦味、渋み、エグ味等の不快
な呈味を和らげるために、アスパルテームの分解生成物
を添加する技術（特開昭５８−１６２２６０号公報）が
開示されている。また、アスパルテーム、天然果実及び
フレーバー物質の混合物に特定デキストロース等量を有
するコーンシロップ固形物と固結防止剤とを加えた風味
及び保存安定性の良好なヨーグルト用の甘味組成物（特
開昭６１−２１２５２６号公報）、ジペプチド甘味料、
糖アルコール及びマルトデキストリンを一定量配合した
ゼラチンデザート用の甘味組成物（特開昭６１−８８８
５７号公報）、非栄養的甘味料に２−エチル−５−メチ
ル−４−ヒドロキシ−３［２Ｈ］−フラノン及び／又は
その互変異異性体を配合した甘味組成物（特開昭６１−
３５７６１号公報）、イソマルトース含有ハイコーンバ
ージョンシロップに、高甘味度甘味料を混合した風味に
優れた甘味組成物（特開平１−１０１８６２号公報）又
は人工甘味料とデオキシ糖を含有する風味に優れた甘味
組成物（特開平８−３８０９９号公報）が開示されてい
る。これらの技術は、いずれも甘味料の甘味の味質を改
善することを目的としており、高甘味度甘味料の苦味、
渋み、エグ味等の不快な呈味を低減又は除去するもので
はない。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、高甘味度甘
味料のアスパルテームの苦味低減又は除去剤、及び該剤
を用いて、高甘味度甘味料の苦味を低減又は除去する方
法を提供することを課題とする。本発明において、高甘
味度甘味料とは、少量で食品に甘味を付与することので
きるアスパルテームを対象とする。本発明において、高
甘味度甘味料のアスパルテームの苦味低減又は除去と
は、高甘味度甘味料の呈する苦味以外の渋み、エグ味等
の異臭や不快臭をも低減又は除去することができること
をもいう。 【０００４】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
鑑み鋭意研究を重ねた結果、高甘味度甘味料のアスパル
テームの苦味を低減又は除去するのにアミノ酸が有効で
あることを見出した。すなわち、Ｌ−アスパラギン、Ｄ
Ｌ−もしくはＬ−メチオニン、Ｌ−チロシン、Ｌ−セリ
ン、Ｌ−アスパラギン酸、Ｌ−グルタミン、ＤＬ−もし
くはＬ−アラニン、Ｌ−ロイシン又はＬ−プロリンの中
から選ばれるアミノ酸の少なくとも１種を有効成分とす
る高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤に関する。本発
明はまた、上記高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤を
個別のアミノ酸単位で0.001ｍｇ／100ｇ〜10,000ｍｇ／
100ｇの濃度範囲で添加することにより高甘味度甘味料
の苦味を低減又は除去する方法に関する。 【０００５】 【発明の実施の形態】本発明の高甘味度甘味料のアスパ
ルテームの苦味低減又は除去剤は、Ｌ−アスパラギン、
ＤＬ−もしくはＬ−メチオニン、Ｌ−チロシン、Ｌ−セ
リン、Ｌ−アスパラギン酸、Ｌ−グルタミン、ＤＬ−も
しくはＬ−アラニン、Ｌ−ロイシン又はＬ−プロリンの
中から選ばれるアミノ酸の少なくとも１種を有効成分と
するものであり、高甘味度甘味料に対して、個別のアミ
ノ酸単位で0.001ｍｇ／100ｇ〜10,000ｍｇ／100ｇ の濃
度範囲で添加することにより、高甘味度甘味料のアスパ
ルテームの苦味を低減又は除去することができる。な
お、前記アミノ酸を含むタンパク質加水分解物を用いる
こともでき、この場合もアミノ酸が上記濃度範囲となる
ように添加することで効果を有するものである。本発明
において高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、及
びショ糖等の他の糖類との混合物等を例示することがで
きる。このうち、アスパルテームに対しては、本発明の
高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤を個別のアミノ酸
単位で0.001ｍｇ／100ｇ〜10,000ｍｇ／100ｇ の濃度範
囲で添加することにより効果を得ることができる。本発
明の高甘味度甘味料のアスパルテームの苦味低減又は除
去剤は、各種乳製品、デザート食品、飲料、氷菓、菓
子、パン等の高甘味度甘味料を含有する食品に関して効
果のあるものである。なお、乳製品のうち発酵食品に関
しては、通常、発酵過程で遊離アミノ酸が生成されるの
で、最終製品中のアミノ酸含有量が上記範囲となるよう
に適宜添加すればよい。 【０００６】 【実施例】 【実施例１】アミノ酸によるアスパルテームの苦味抑制
効果； 中空糸濾過膜で濾過した水道水3.3 ｌに、アスパルテー
ム（味の素（株）製；パルスイートダイエット）1.0 ｇ
を添加し、十分に撹拌して溶解させ、アスパルテーム水
溶液を作成した。このアスパルテーム溶液に、Ｌ−アス
パラギン、ＤＬ−もしくはＬ−メチオニン、Ｌ−チロシ
ン、Ｌ−セリン、Ｌ−アスパラギン酸、Ｌ−グルタミ
ン、ＤＬ−もしくはＬ−アラニン、Ｌ−ロイシン又はＬ
−プロリンを、それぞれ10,000mg/100g の濃度となるよ
うに溶解、あるいはけん濁させた。このアミノ酸（けん
濁）液をそれぞれ十倍段階によって希釈し、0.0001mg/1
00gまでの濃度段階を用意した。こうして作成した各濃
度のアミノ酸を含んだアスパルテーム溶液の苦味が、
「ある」を−、「弱められている」を±、「ない」を
＋、「全くない」を＋＋とし、５名のパネルリストの意
見を集約して評点を行なった。評点結果を表１に示す。 【０００７】 【表１】【０００８】各アミノ酸は、アミノ酸濃度0.001mg/100g
以上であれば、10,000mg/100gにいたるまでアスパルテ
ームの苦みを抑制する効果のあることがわかる。 【０００９】 【実施例２】オレンジ果汁にアスパルテームを添加した
ときの、アミノ酸によるアスパルテームの苦味抑制効
果； オレンジ濃縮果汁（5.5 倍）300ｇを中空糸濾過膜で濾
過した水道水1,350ｇで希釈し、これにアスパルテーム
を0.25g 添加し、十分に混和した。このアスパルテーム
含有オレンジジュースに、Ｌ−アスパラギン、ＤＬ−も
しくはＬ−メチオニン、Ｌ−チロシン、Ｌ−セリン、Ｌ
−アスパラギン酸、Ｌ−グルタミン、ＤＬ−もしくはＬ
−アラニン、Ｌ−ロイシン又はＬ−プロリンをそれぞれ
30mg/100gとなるように添加して十分に混和した。な
お、対照としてアミノ酸無添加のものを用意した。こう
して作成された各オレンジジュース及びアミノ酸を添加
していないオレンジジュースについて、各濃度のアミノ
酸を含んだアスパルテーム溶液毎に、アスパルテームに
由来する苦味が「ある」を−、「弱められている」を
±、「ない」を＋、「全くない」を＋＋とし、５名のパ
ネルリストの意見を集約して評点を行なった。評点結果
を表２に示す。 【００１０】 【表２】 【００１１】アミノ酸を添加していないものではアスパ
ルテームの苦味が感じられた。一方、各アミノ酸を添加
したものでは、アスパルテームの苦味が抑制されている
ことがわかる。 【００１２】 【実施例３】ゼリーをベースとしたときのアミノ酸によ
るアスパルテームの苦味抑制効果；アスパルテーム２
ｇ、ゲル化剤24ｇ、クエン酸三ナトリウム4.6ｇ、レモ
ン透明濃縮果汁20ｇに、中空糸濾過膜で濾過した水道水
を加えて全量を1,800ｇに調整し、これを80℃にて10分
以上加熱撹拌溶解した。溶解後、90ｇずつ分注し、これ
にＬ−アスパラギン、ＤＬ−もしくはＬ−メチオニン、
Ｌ−チロシン、Ｌ−セリン、Ｌ−アスパラギン酸、Ｌ−
グルタミン、ＤＬ−もしくはＬ−アラニン、Ｌ−ロイシ
ン又はＬ−プロリンをそれぞれ30mg/100g となるように
添加混和し、さらに温水を加えて全量で100ｇとなるよ
うに重量補正を行った。続いてこれらを85℃、15分間加
熱を行い殺菌した。殺菌後、各サンプルを氷水に浸漬し
て急速冷却した。なお、対照として、アミノ酸無添加で
重量補正のみを行ったものを調製し、同様に殺菌を行っ
た。こうして作成された各ゼリーについて、アスパルテ
ームに由来する苦味が「ある」を−、「弱められてい
る」を±、「ない」を＋、「全くない」を＋＋とし、５
名のパネルリストの意見を集約して評点を行なった。評
点結果を表３に示す。 【００１３】 【表３】 【００１４】アミノ酸を添加していないものではアスパ
ルテームの苦味が明瞭に感じられた。一方、各アミノ酸
を添加したものでは、アスパルテームの苦味が十分に抑
制されていることがわかる。 【００１５】 【参考例１】オレンジ果汁にステビアを添加したとき
の、アミノ酸によるステビアの苦味抑 制効果； オレンジ濃縮果汁（5.5倍）300ｇを中空糸濾過膜で濾過
した水道水1,350ｇで希釈し、これにステビア（ステビ
アα-160、佐藤科学研究所）を0.3ｇ添加し、十分に混
和した。このステビア含有オレンジジュースに、ＤＬ−
もしくはＬ−メチオニン又はＬ−アスパラギン酸をそれ
ぞれ30ｍｇ／100ｇとなるように添加して十分に混和し
た。 なお、対照としてアミノ酸無添加のものを用意し
た。こうして作成された各オレンジジュース及びアミノ
酸を添加していないオレンジジュースについて、各濃度
のアミノ酸を含んだステビア溶液毎に、ステビアに由来
する苦味が「ある」を−、「弱められている」を±、
「ない」を＋、「全くない」を＋＋とし、５名のパネル
リストの意見を集約して評点を行った。評点結果を表４
に示す。 【００１６】 【表４】 【００１７】アミノ酸を添加していないものではステビ
アの苦味が感じられた。一方、各アミノ酸を添加したも
のでは、ステビアの苦味が抑制されていることがわか
る。 【００１８】 【参考例２】ゼリーをベースとしたときのアミノ酸によ
るステビアの苦味抑制効果； ステビア（ステビアα-160、佐藤科学研究所）2.5ｇ、
ゲル化剤24ｇ、クエン酸三ナトリウム4.6ｇ、レモン透
明濃縮果汁20ｇに、中空糸濾過膜で濾過した水道水を加
えて全量を1,800ｇに調整し、これを80℃にて10分以上
加熱撹拌溶解した。溶解後、90ｇずつ分注し、これにＤ
ＬーもしくはＬーメチオニン又はＬ−アスパラギン酸を
それぞれ30ｍｇ／100ｇとなるように添加混和し、さら
に温水を加えて全量で100ｇとなるように重量補正を行
った。続いてこれらを85℃、15分間加熱を行い殺菌し
た。殺菌後、各サンプルを氷水に浸漬して急速冷却し
た。なお、対照として、アミノ酸無添加で重量補正のみ
を行ったサンプルを調整し、同様に殺菌を行った。こう
して作成された各ゼリーについて、ステビアに由来する
苦味が「ある」を−、「弱められている」を±、「な
い」を＋、「全くない」を＋＋とし、５名のパネルリス
トの意見を集約して評点を行なった。評点結果を表５に
示す。 【００１９】 【表５】 【００２０】アミノ酸を添加していないものではステビ
アの苦味が明瞭に感じられた。一方、各アミノ酸を添加
したものでは、ステビアの苦味が十分に抑制されている
ことがわかる。 【００２１】 【発明の効果】本発明によれば、Ｌ−アスパラギン、Ｄ
Ｌ−もしくはＬ−メチオニン、Ｌ−チロシン、Ｌ−セリ
ン、Ｌ−アスパラギン酸、Ｌ−グルタミン、ＤＬ−もし
くはＬ−アラニン、Ｌ−ロイシン又はＬ−プロリンの中
から選ばれるアミノ酸の少なくとも１種を有効成分とす
る高甘味度甘味料の苦味低減又は除去剤を提供すること
ができ、該剤を用いることにより、アスパルテームが有
する苦味、渋み、エグ味等の異臭や不快臭を低減又は除
去することができる。
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(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
A23L 1/22
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 高甘味度甘味料としてアスパルテームを
用いるときに、個別のアミノ酸単位で0.001ｍｇ／100ｇ
〜10,000ｍｇ／100ｇ の濃度範囲で含有するように調製
されたＬ−アスパラギン、ＤＬ−もしくはＬ−メチオニ
ン、Ｌ−チロシン、Ｌ−セリン、Ｌ−アスパラギン酸、
Ｌ−グルタミン、ＤＬ−もしくはＬ−アラニン、Ｌ−ロ
イシン又はＬ−プロリンの中から選ばれるアミノ酸の少
なくとも１種を有効成分とすることを特徴とするアスパ
ラテームの苦味低減又は除去剤。
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