JP3435723B2 - トリオキサンの製造方法 - Google Patents
トリオキサンの製造方法Info
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
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- Heterocyclic Compounds That Contain Two Or More Ring Oxygen Atoms (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホルムアルデヒドを環
状3量化(環化)してトリオキサンを製造する方法に関
するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、トリオキサンは、ホルムアルデヒ
ド水溶液を原料として、硫酸、トルエンスルホン酸、ヘ
テロポリ酸などの均一系の酸を用いて、加熱蒸留して製
造されてきた。しかしながら、これらの均一系の酸を用
いた場合は装置材質の腐食が著しく、さらに高濃度ホル
マリンを使用した場合、ホルマリンの重合物であるポリ
オキシメチレンが生成し反応液を白濁させるため、工業
規模での応用には幾多の問題があった。 【0003】そこで、(i) 結晶性アルミノシリケートを
触媒として用いるトリオキサンの製造方法(特公昭63
−38028号公報、特開昭1−106879号公報、
特開平1−180835号公報)、(ii)スルホン酸基を
交換基とする陽イオン交換樹脂を触媒として用いるトリ
オキサンの製造方法(特公昭40−12794号公報、
特公平1−11025号公報)または(iii) 固体酸触媒
を用いて、超臨界状態にあるかまたは加圧液化された不
活性流体を反応媒体とするトリオキサンの製造方法(特
開昭59−181274号公報)が提案された。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(i) の
方法は、触媒調製が他の触媒に較べ困難であり、反応収
率および反応速度も不十分である。また、(ii)の方法
は、確かに装置の腐食は硫酸などの均一系の酸触媒に較
べ改善される。しかしながら、触媒劣化によって徐々に
反応系内に蓄積される酸が材質腐食を引き起こしたり、
ホルマリンの重合物であるポリオキシメチレンが生成す
るため十分満足できるものではない。さらに、(iii) の
方法は高圧の特殊な反応条件で反応を行うため、工業的
には実用的でない。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、装置材料
の腐食に問題がなく、さらになおかつ環化反応速度が十
分で副反応が少ない実用的なトリオキサンの製造方法を
鋭意研究した結果、本発明に至った。 【0006】すなわち、本発明はホルムアルデヒドを、
クロムおよび/またはアルミニウムを含有するモンモリ
ロナイトと接触させることを特徴とするトリオキサンの
製造方法である。 【0007】以下、本発明を詳細に説明する。 【0008】本発明においては、クロムおよび/または
アルミニウムを含有するモンモリロナイトを触媒として
用いる。 【0009】モンモリロナイトとは、一般にはラメラ層
間にラメラ間空間が配置されているラメラ構造を有する
クレーである。本発明で使用するモンモリロナイトは、
次式(I) には限定されないが、例えば次式(I) Na0.33(Al1.67Mg0.33)Si4O10(OH)2・nH2O ……(I) に相当する理想化された科学量論関係の組成を有するも
のである。このモンモリロナイトは、理想的には酸化珪
素を含有する2つの四面体配位層と、その間にサンドイ
ッチされているアルミニウムおよびマグネシウムの酸化
物および水酸化物を含有する中央の八面体配位層からな
っている。普通、カチオンは事実上、八面体層中のAl
3+に対するMg2+同形置換および/または四面体層のS
i4+に対するAl3+または他のイオンの同形置換によっ
て引き起こされる電荷不均衡を補償するために存在して
いる。八面体領域および四面体領域は相互にしっかり結
合し、ラメラ層を形成している。ラメラ層とラメラ層の
間の空間、すなわちラメラ間空間は普通交換可能のNa
+ またはCa2+イオンなどで占められている。本発明で
用いるモンモリロナイトは産出する場所によって若干構
造が異なってもかまわない。ベントナイト、フラー土な
どでもよい。構造組成中に、鉄などの遷移金属カチオン
を含んでもよい。 【0010】本発明においては、クロムおよび/または
アルミニウムは、通常、イオンまたは酸化物の形態でモ
ンモリロナイト中に含有される。 【0011】特に、モンモリロナイトがクロムおよび/
またはアルミニウムをイオンとして含有する場合には、
例えば、モンモリロナイトのカチオンをCr3+および/
またはAl3+を含むイオンで交換する。イオン交換の方
法は任意であるが、一般には水溶液中で行われる。水溶
液は、アセトン、メタノール、エタノールなどの有機溶
媒を混合したものであってもよい。 【0012】一方、クロムおよび/またはアルミニウム
を酸化物として含有するモンモリロナイトは、一般にピ
ラードクレーと呼ばれるものの一種である。調製法によ
り一部酸化物が担持されているだけのものもできるが、
それでもかまわない。 【0013】触媒調製は、上記条件を満たしていればど
のように調製してもかまわないが、一旦金属カチオンを
塩基と反応させポリメタルオキシドの多価カチオンを形
成させてから、モンモリロナイト層間内に含有させて調
製する。金属カチオンをモンモリロナイト中に含有させ
てから、塩基と接触させることによって調製してもかま
わない。カチオン交換の方法はどのように行ってもかま
わないが、一般には水溶液中で行われる。水溶液は、ア
セトン、メタノール、エタノールなどの有機溶媒を混合
したものであってもよい。 【0014】このようにして調製された触媒は、水溶液
中でかなり強い固体酸性を示し、トリオキサン生成反応
において高活性で副反応の生成も極めて少ないことが分
かった。また、ホルマリン重合によるポリオキシメチレ
ンの生成もない。さらに、発現する酸点がCr3+および
/またはAl3+に起因するため、装置材質の腐食の心配
がなく工業的規模で利用しやすい。 【0015】本発明においては、クロムおよび/または
アルミニウムはモンモリロナイト中に金属として、モン
モリロナイト100重量部に対して0.01〜1重量部
含まれる。 【0016】また、本発明における触媒の使用量はホル
ムアルデヒドに対し、重量比で0.01〜1,000、
好ましくは0.1〜100の範囲である。 【0017】本反応に用いられる触媒は、成型して固定
床の形で用いても粉末のままスラリーの形で用いてもか
まわない。 【0018】本発明において原料として用いられるホル
ムアルデヒドは任意の方法で製造したものが使用可能で
ある。また、本発明においてはホルムアルデヒド中にト
リオキサン、水、メタノール、エタノール、ジメチルエ
ーテル、メチラール、ギ酸メチル、ギ酸、窒素などの不
活性気体などが含まれていても差し支えない。ホルムア
ルデヒド濃度が高いほど、トリオキサンへの転化率は高
くなるが、高濃度のホルムアルデヒドは取扱いが困難で
あることなどの理由により、ホルマリン水溶液がホルム
アルデヒドの供給源として用いられることが好ましい。
ホルマリン水溶液として用いる場合、水溶液中には通常
30〜75重量%のホルムアルデヒドを含有する。ホル
マリン水溶液にはホルムアルデヒドの他に、水、メタノ
ールなどが含まれていてよい。75重量%以上の濃度の
ホルムアルデヒドは、例えばパラホルムアルデヒドの熱
分解によって得られる。75重量%以上の濃度のホルム
アルデヒドは液相状態、例えば水溶液では固化し易いの
で、通常は気相状態で取扱われる。 【0019】また、ホルムアルデヒド水溶液とクロムお
よび/またはアルミニウムを含有するモンモリロナイト
を接触させた後の反応液は、通常は次いで蒸留され、塔
頂のトリオキサンに富んだ流出液と、塔底のホルムアル
デヒドに富んだ缶液とに分割される。塔底のホルムアル
デヒドに富んだ缶液は通常ギ酸や低濃度のトリオキサン
などを含有しているが、本発明においては、この缶液を
ホルムアルデヒド供給源として再使用することができ
る。 【0020】本発明で用いられる反応温度は、反応系を
液相に保てる温度であれば特に制限はないが、通常、5
0〜200℃、好ましくは70〜150℃、特に好まし
くは90〜130℃の温度範囲で行われる。 【0021】 【作用】本発明で用いる酸触媒は、水溶液中でかなり強
い固体酸性を示し、高活性で副反応の生成も極めて少な
いことが分かった。副反応は大きく2つに分けると、カ
ニッツアロ反応によるギ酸、メタノールの生成とホルマ
リン重合によるポリオキシメチレンの生成が挙げられ
る。カニッツアロ反応は、低分子反応なので、例えばゼ
オライトのように限られた狭い細孔に酸点を有する固体
触媒では優先的に起こる場合がある。本発明で用いるク
ロムおよび/またはアルミニウムを含むイオンおよび/
または酸化物を含有するモンモリロナイトは、ラメラ層
間にラメラ間空間が配置されているラメラ構造を有する
クレーであり、水溶液中においてはラメラ間空間が押し
広げられるため、ゼオライトなどに見られるような限ら
れた狭い細孔内を有しない。このため、カニッツアロ反
応によるギ酸、メタノールの生成はかなり抑えられる。
モンモリロナイトのラメラ層間に、含有されるカチオン
に関していえば、特定のカチオンを選択することが重要
である。例えば、Fe3+のようなカチオンを含有させた
場合、トリオキサン生成活性はかなり高いものの、カニ
ッツアロ反応が促進されるため選択率をかなり下げる結
果となる。この原因については明かでないが、カチオン
は限られたもののみが本反応において有効であり、Cr
3+および/またはAl3+でイオン交換したものがよい性
能を示す。また、ホルマリン重合によるポリオキシメチ
レンの生成もない。従来、トリオキサンは硫酸を触媒と
して55%程度のホルムアルデヒドから生成してきた。
しかしながら、硫酸触媒を用いた場合60%以上のホル
ムアルデヒド水溶液を反応液として用いると、ポリオキ
シメチレンのような重合物により白濁化が起こる。しか
るに本発明で用いる触媒はこのような白濁がなくホルム
アルデヒド水溶液として安定に存在する75%までの濃
度で十分触媒として機能する。さらに、発現する酸点が
Cr3+および/またはAl3+に起因するため、装置材質
の腐食の心配がなく工業的規模で利用できる。 【0022】 【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例により限定されるものではない。 【0023】実施例1 (金属カチオン交換型モンモリロナイトの調製)Na+
型モンモリロナイト(クニミネ工業社製)を10重量%
の十分な水と混ぜ合わせ、コロイド溶液を調製した。そ
こへ、モンモリロナイトが有するNa+に対し、化学量
論量で20倍モル量のCr3+、Al3+、Fe3+の各金属
カチオンを硝酸塩として加え、Cr3+、Al3+、Fe3+
でそれぞれイオン交換した。その後、水洗し100℃で
乾燥し、触媒A、BおよびCを調製した。 【0024】実施例2 (アルミニウム酸化物架橋型モンモリロナイト)1Mの
塩化アルミニウム(6水塩)水溶液中に8倍モル量の金
属アルミニウムを加え、湯浴場で穏やかに加熱した。加
熱すると水素が発生してくるので、その後加熱をやめ撹
拌を続けた。水素の発生が終了後、未反応の金属アルミ
ニウムをろ別した。このようにして得られたアルミニウ
ムクロロヒドロキシド錯体300mlにNa+ 型モンモ
リロナイトを45g加えスラリー状にし、65〜70℃
で1時間撹拌を続けた。生成物をろ別し、十分水洗した
後、400℃で4時間空気中で焼成し触媒Dを調製し
た。 【0025】実施例3 (クロム酸化物架橋型モンモリロナイト)0.1M硝酸
クロム水溶液にCr3+に対し2倍モル量の炭酸ナトリウ
ムを加え、95℃で24時間加熱撹拌した。そこへ、液
量に対し1重量%のNa+ 型モンモリロナイトをゆっく
りと加えた。その後、90分加熱撹拌した。生成物をろ
別し、十分水洗した後、350℃で3時間空気中で焼成
し触媒Eを調製した。 【0026】実施例4 (反応活性評価)予め100℃で保温しておいた100
mlの3ツ口フラスコへ70重量%ホルムアルデヒド水
溶液20gと触媒A〜Eを各々5重量%加え、反応温度
98℃で反応させた。反応生成物(トリオキサン、メタ
ノール、H(CH2 O)3 CH3)の経時変化はガスク
ロマトグラフィ法によりモニターした。トリオキサン生
成初速度は反応開始より20分のトリオキサン生成量を
もとに以下の式に基づき算出した。 【0027】 【数1】【0028】反応結果は表1に示した。触媒Aおよび触
媒Cを用いた場合の反応経時変化は、図1および図2に
それぞれ示した。 【0029】比較例1 (反応活性評価)実施例4の比較としてモルデナイト型
ゼオライト(シリカ/アルミナ比:20モル/モル)
(触媒F)とペンタシル型ゼオライト(シリカ/アルミ
ナ比:25モル/モル)(触媒G)と酸性イオン交換樹
脂“ダイヤイオン”SK1B(日本錬水株式会社製)
(触媒H)を触媒とするトリオキサン生成活性と副反応
活性をモニターした。反応結果は表1に示した。ゼオラ
イトは、0.1N硝酸で十分イオン交換したものを用い
た。“ダイヤイオン”SK1Bは、プロトン型のものを
用いた。 【0030】 【表1】 【0031】 【発明の効果】本発明方法によれば副反応を生起するこ
となく効率よくトリオキサンを製造できる。さらに、触
媒の機能を発現する酸点がCr3+および/またはAl3+
に起因するため、装置材質の腐食の心配がなく工業的規
模で利用できる。
状3量化(環化)してトリオキサンを製造する方法に関
するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、トリオキサンは、ホルムアルデヒ
ド水溶液を原料として、硫酸、トルエンスルホン酸、ヘ
テロポリ酸などの均一系の酸を用いて、加熱蒸留して製
造されてきた。しかしながら、これらの均一系の酸を用
いた場合は装置材質の腐食が著しく、さらに高濃度ホル
マリンを使用した場合、ホルマリンの重合物であるポリ
オキシメチレンが生成し反応液を白濁させるため、工業
規模での応用には幾多の問題があった。 【0003】そこで、(i) 結晶性アルミノシリケートを
触媒として用いるトリオキサンの製造方法(特公昭63
−38028号公報、特開昭1−106879号公報、
特開平1−180835号公報)、(ii)スルホン酸基を
交換基とする陽イオン交換樹脂を触媒として用いるトリ
オキサンの製造方法(特公昭40−12794号公報、
特公平1−11025号公報)または(iii) 固体酸触媒
を用いて、超臨界状態にあるかまたは加圧液化された不
活性流体を反応媒体とするトリオキサンの製造方法(特
開昭59−181274号公報)が提案された。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(i) の
方法は、触媒調製が他の触媒に較べ困難であり、反応収
率および反応速度も不十分である。また、(ii)の方法
は、確かに装置の腐食は硫酸などの均一系の酸触媒に較
べ改善される。しかしながら、触媒劣化によって徐々に
反応系内に蓄積される酸が材質腐食を引き起こしたり、
ホルマリンの重合物であるポリオキシメチレンが生成す
るため十分満足できるものではない。さらに、(iii) の
方法は高圧の特殊な反応条件で反応を行うため、工業的
には実用的でない。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、装置材料
の腐食に問題がなく、さらになおかつ環化反応速度が十
分で副反応が少ない実用的なトリオキサンの製造方法を
鋭意研究した結果、本発明に至った。 【0006】すなわち、本発明はホルムアルデヒドを、
クロムおよび/またはアルミニウムを含有するモンモリ
ロナイトと接触させることを特徴とするトリオキサンの
製造方法である。 【0007】以下、本発明を詳細に説明する。 【0008】本発明においては、クロムおよび/または
アルミニウムを含有するモンモリロナイトを触媒として
用いる。 【0009】モンモリロナイトとは、一般にはラメラ層
間にラメラ間空間が配置されているラメラ構造を有する
クレーである。本発明で使用するモンモリロナイトは、
次式(I) には限定されないが、例えば次式(I) Na0.33(Al1.67Mg0.33)Si4O10(OH)2・nH2O ……(I) に相当する理想化された科学量論関係の組成を有するも
のである。このモンモリロナイトは、理想的には酸化珪
素を含有する2つの四面体配位層と、その間にサンドイ
ッチされているアルミニウムおよびマグネシウムの酸化
物および水酸化物を含有する中央の八面体配位層からな
っている。普通、カチオンは事実上、八面体層中のAl
3+に対するMg2+同形置換および/または四面体層のS
i4+に対するAl3+または他のイオンの同形置換によっ
て引き起こされる電荷不均衡を補償するために存在して
いる。八面体領域および四面体領域は相互にしっかり結
合し、ラメラ層を形成している。ラメラ層とラメラ層の
間の空間、すなわちラメラ間空間は普通交換可能のNa
+ またはCa2+イオンなどで占められている。本発明で
用いるモンモリロナイトは産出する場所によって若干構
造が異なってもかまわない。ベントナイト、フラー土な
どでもよい。構造組成中に、鉄などの遷移金属カチオン
を含んでもよい。 【0010】本発明においては、クロムおよび/または
アルミニウムは、通常、イオンまたは酸化物の形態でモ
ンモリロナイト中に含有される。 【0011】特に、モンモリロナイトがクロムおよび/
またはアルミニウムをイオンとして含有する場合には、
例えば、モンモリロナイトのカチオンをCr3+および/
またはAl3+を含むイオンで交換する。イオン交換の方
法は任意であるが、一般には水溶液中で行われる。水溶
液は、アセトン、メタノール、エタノールなどの有機溶
媒を混合したものであってもよい。 【0012】一方、クロムおよび/またはアルミニウム
を酸化物として含有するモンモリロナイトは、一般にピ
ラードクレーと呼ばれるものの一種である。調製法によ
り一部酸化物が担持されているだけのものもできるが、
それでもかまわない。 【0013】触媒調製は、上記条件を満たしていればど
のように調製してもかまわないが、一旦金属カチオンを
塩基と反応させポリメタルオキシドの多価カチオンを形
成させてから、モンモリロナイト層間内に含有させて調
製する。金属カチオンをモンモリロナイト中に含有させ
てから、塩基と接触させることによって調製してもかま
わない。カチオン交換の方法はどのように行ってもかま
わないが、一般には水溶液中で行われる。水溶液は、ア
セトン、メタノール、エタノールなどの有機溶媒を混合
したものであってもよい。 【0014】このようにして調製された触媒は、水溶液
中でかなり強い固体酸性を示し、トリオキサン生成反応
において高活性で副反応の生成も極めて少ないことが分
かった。また、ホルマリン重合によるポリオキシメチレ
ンの生成もない。さらに、発現する酸点がCr3+および
/またはAl3+に起因するため、装置材質の腐食の心配
がなく工業的規模で利用しやすい。 【0015】本発明においては、クロムおよび/または
アルミニウムはモンモリロナイト中に金属として、モン
モリロナイト100重量部に対して0.01〜1重量部
含まれる。 【0016】また、本発明における触媒の使用量はホル
ムアルデヒドに対し、重量比で0.01〜1,000、
好ましくは0.1〜100の範囲である。 【0017】本反応に用いられる触媒は、成型して固定
床の形で用いても粉末のままスラリーの形で用いてもか
まわない。 【0018】本発明において原料として用いられるホル
ムアルデヒドは任意の方法で製造したものが使用可能で
ある。また、本発明においてはホルムアルデヒド中にト
リオキサン、水、メタノール、エタノール、ジメチルエ
ーテル、メチラール、ギ酸メチル、ギ酸、窒素などの不
活性気体などが含まれていても差し支えない。ホルムア
ルデヒド濃度が高いほど、トリオキサンへの転化率は高
くなるが、高濃度のホルムアルデヒドは取扱いが困難で
あることなどの理由により、ホルマリン水溶液がホルム
アルデヒドの供給源として用いられることが好ましい。
ホルマリン水溶液として用いる場合、水溶液中には通常
30〜75重量%のホルムアルデヒドを含有する。ホル
マリン水溶液にはホルムアルデヒドの他に、水、メタノ
ールなどが含まれていてよい。75重量%以上の濃度の
ホルムアルデヒドは、例えばパラホルムアルデヒドの熱
分解によって得られる。75重量%以上の濃度のホルム
アルデヒドは液相状態、例えば水溶液では固化し易いの
で、通常は気相状態で取扱われる。 【0019】また、ホルムアルデヒド水溶液とクロムお
よび/またはアルミニウムを含有するモンモリロナイト
を接触させた後の反応液は、通常は次いで蒸留され、塔
頂のトリオキサンに富んだ流出液と、塔底のホルムアル
デヒドに富んだ缶液とに分割される。塔底のホルムアル
デヒドに富んだ缶液は通常ギ酸や低濃度のトリオキサン
などを含有しているが、本発明においては、この缶液を
ホルムアルデヒド供給源として再使用することができ
る。 【0020】本発明で用いられる反応温度は、反応系を
液相に保てる温度であれば特に制限はないが、通常、5
0〜200℃、好ましくは70〜150℃、特に好まし
くは90〜130℃の温度範囲で行われる。 【0021】 【作用】本発明で用いる酸触媒は、水溶液中でかなり強
い固体酸性を示し、高活性で副反応の生成も極めて少な
いことが分かった。副反応は大きく2つに分けると、カ
ニッツアロ反応によるギ酸、メタノールの生成とホルマ
リン重合によるポリオキシメチレンの生成が挙げられ
る。カニッツアロ反応は、低分子反応なので、例えばゼ
オライトのように限られた狭い細孔に酸点を有する固体
触媒では優先的に起こる場合がある。本発明で用いるク
ロムおよび/またはアルミニウムを含むイオンおよび/
または酸化物を含有するモンモリロナイトは、ラメラ層
間にラメラ間空間が配置されているラメラ構造を有する
クレーであり、水溶液中においてはラメラ間空間が押し
広げられるため、ゼオライトなどに見られるような限ら
れた狭い細孔内を有しない。このため、カニッツアロ反
応によるギ酸、メタノールの生成はかなり抑えられる。
モンモリロナイトのラメラ層間に、含有されるカチオン
に関していえば、特定のカチオンを選択することが重要
である。例えば、Fe3+のようなカチオンを含有させた
場合、トリオキサン生成活性はかなり高いものの、カニ
ッツアロ反応が促進されるため選択率をかなり下げる結
果となる。この原因については明かでないが、カチオン
は限られたもののみが本反応において有効であり、Cr
3+および/またはAl3+でイオン交換したものがよい性
能を示す。また、ホルマリン重合によるポリオキシメチ
レンの生成もない。従来、トリオキサンは硫酸を触媒と
して55%程度のホルムアルデヒドから生成してきた。
しかしながら、硫酸触媒を用いた場合60%以上のホル
ムアルデヒド水溶液を反応液として用いると、ポリオキ
シメチレンのような重合物により白濁化が起こる。しか
るに本発明で用いる触媒はこのような白濁がなくホルム
アルデヒド水溶液として安定に存在する75%までの濃
度で十分触媒として機能する。さらに、発現する酸点が
Cr3+および/またはAl3+に起因するため、装置材質
の腐食の心配がなく工業的規模で利用できる。 【0022】 【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例により限定されるものではない。 【0023】実施例1 (金属カチオン交換型モンモリロナイトの調製)Na+
型モンモリロナイト(クニミネ工業社製)を10重量%
の十分な水と混ぜ合わせ、コロイド溶液を調製した。そ
こへ、モンモリロナイトが有するNa+に対し、化学量
論量で20倍モル量のCr3+、Al3+、Fe3+の各金属
カチオンを硝酸塩として加え、Cr3+、Al3+、Fe3+
でそれぞれイオン交換した。その後、水洗し100℃で
乾燥し、触媒A、BおよびCを調製した。 【0024】実施例2 (アルミニウム酸化物架橋型モンモリロナイト)1Mの
塩化アルミニウム(6水塩)水溶液中に8倍モル量の金
属アルミニウムを加え、湯浴場で穏やかに加熱した。加
熱すると水素が発生してくるので、その後加熱をやめ撹
拌を続けた。水素の発生が終了後、未反応の金属アルミ
ニウムをろ別した。このようにして得られたアルミニウ
ムクロロヒドロキシド錯体300mlにNa+ 型モンモ
リロナイトを45g加えスラリー状にし、65〜70℃
で1時間撹拌を続けた。生成物をろ別し、十分水洗した
後、400℃で4時間空気中で焼成し触媒Dを調製し
た。 【0025】実施例3 (クロム酸化物架橋型モンモリロナイト)0.1M硝酸
クロム水溶液にCr3+に対し2倍モル量の炭酸ナトリウ
ムを加え、95℃で24時間加熱撹拌した。そこへ、液
量に対し1重量%のNa+ 型モンモリロナイトをゆっく
りと加えた。その後、90分加熱撹拌した。生成物をろ
別し、十分水洗した後、350℃で3時間空気中で焼成
し触媒Eを調製した。 【0026】実施例4 (反応活性評価)予め100℃で保温しておいた100
mlの3ツ口フラスコへ70重量%ホルムアルデヒド水
溶液20gと触媒A〜Eを各々5重量%加え、反応温度
98℃で反応させた。反応生成物(トリオキサン、メタ
ノール、H(CH2 O)3 CH3)の経時変化はガスク
ロマトグラフィ法によりモニターした。トリオキサン生
成初速度は反応開始より20分のトリオキサン生成量を
もとに以下の式に基づき算出した。 【0027】 【数1】【0028】反応結果は表1に示した。触媒Aおよび触
媒Cを用いた場合の反応経時変化は、図1および図2に
それぞれ示した。 【0029】比較例1 (反応活性評価)実施例4の比較としてモルデナイト型
ゼオライト(シリカ/アルミナ比:20モル/モル)
(触媒F)とペンタシル型ゼオライト(シリカ/アルミ
ナ比:25モル/モル)(触媒G)と酸性イオン交換樹
脂“ダイヤイオン”SK1B(日本錬水株式会社製)
(触媒H)を触媒とするトリオキサン生成活性と副反応
活性をモニターした。反応結果は表1に示した。ゼオラ
イトは、0.1N硝酸で十分イオン交換したものを用い
た。“ダイヤイオン”SK1Bは、プロトン型のものを
用いた。 【0030】 【表1】 【0031】 【発明の効果】本発明方法によれば副反応を生起するこ
となく効率よくトリオキサンを製造できる。さらに、触
媒の機能を発現する酸点がCr3+および/またはAl3+
に起因するため、装置材質の腐食の心配がなく工業的規
模で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例4において触媒Aを用いた場合の反応
生成物の反応経時変化を示す図。 【図2】 実施例4において触媒Cを用いた場合の反応
生成物の反応経時変化を示す図。
生成物の反応経時変化を示す図。 【図2】 実施例4において触媒Cを用いた場合の反応
生成物の反応経時変化を示す図。
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(56)参考文献 特開 平1−106879(JP,A)
特開 平3−145485(JP,A)
特開 平1−319476(JP,A)
特開 昭61−80(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C07D 323/06
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ホルムアルデヒドを、クロムおよび/ま
たはアルミニウムを含有するモンモリロナイトと接触さ
せることを特徴とするトリオキサンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07478593A JP3435723B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | トリオキサンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP07478593A JP3435723B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | トリオキサンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06279436A JPH06279436A (ja) | 1994-10-04 |
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JP (1) | JP3435723B2 (ja) |
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1993
- 1993-03-31 JP JP07478593A patent/JP3435723B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH06279436A (ja) | 1994-10-04 |
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