JP3435209B2 - 親水化処理組成物、親水化処理方法及び親水化処理熱交換器フィン - Google Patents

親水化処理組成物、親水化処理方法及び親水化処理熱交換器フィン

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JP3435209B2
JP3435209B2 JP08106894A JP8106894A JP3435209B2 JP 3435209 B2 JP3435209 B2 JP 3435209B2 JP 08106894 A JP08106894 A JP 08106894A JP 8106894 A JP8106894 A JP 8106894A JP 3435209 B2 JP3435209 B2 JP 3435209B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は親水化処理組成物、親水
化処理方法及び親水化処理熱交換器フィンに関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】空調機の熱交換器は冷房時
に発生する凝縮水が水滴となってフィン間に水のブリッ
ジを形成し、空気の通風路を狭めるため通風抵抗が大き
くなって電力の損失、騒音の発生、水滴の飛散などの不
具合が発生する。かかる現象を防止する方策として、ア
ルミニウムフィン(以下「フィン」と略す。)の表面を
親水性にして水滴および水滴によるブリッジの形成を防
止することが行われている。
【0003】かかる熱交換器の表面親水化処理をおこな
う方法として、アルミニウム板を成型加工してフィン
を作成し、このものを組立てたのち、これに表面処理剤
を浸漬、スプレー、シャワーなどの塗布手段により塗布
するいわゆるアフターコート法と、あらかじめ表面処
理剤をロールコータなどによりアルミニウム板に塗布
し、表面処理膜を形成したのち、このアルミニウム板を
プレス成型加工してフィンを作成するいわゆるプレコー
ト法の二方法がある。
【0004】前者の方法において、フィンの表面を親
水性にする方法で実用化されているものとしては、
(1)一般式mSiO2 /nNa2 Oで示される水ガラ
スを塗布する方法(例えば特開昭59−13078号公
報など)、(2)水溶性ポリアミド樹脂のような有機高
分子樹脂を主体とした溶液を塗布し、樹脂皮膜を形成す
る方法(例えば特開昭61−250495号公報など)
などが挙げられるが、これらの方法は実用化されている
と言っても十分満足しうるものではなく、処理板の親水
性の持続性(水滴接触角、全面水濡性)、耐食性、臭
気、プレス加工性、さらには処理液の安定性などの点で
未だ改良すべき問題点がある。例えば、水滴接触角が2
0°以下という良好な親水持続性を示す前記(1)の水
ガラスを用いる方法についてみると、この材料で処理し
たフィンは経時で処理皮膜面が粉状を呈するようにな
り、通風時にこの粉状物が飛散し、セメント臭、あるい
は薬品臭が発生する。また熱交換器の運転時に発生する
凝縮水によって水ガラスが加水分解し、フィン表面がア
ルカリ性となるため孔食が起こり易く、また、腐食生成
物である水酸化アルミニウム粉末(白粉)が飛散するた
めに環境保全上の問題もある。一方前記(2)の処理剤
による方法では、被膜の耐水性が十分でなく、凝縮水に
よって被膜が溶解しやすくなるため、フィン表面の親水
性の持続性さらには耐食性の低下などの問題があり、し
かも、コストが高いという問題がある。
【0005】また、空調機は近年小型軽量化が進んでお
り、熱交換器もコンパクトな設計がなされるためフィン
間隔が小さくなり、そのためより高い親水性が要求さ
れ、水との接触角が30°以下であることが必須となっ
てきている。
【0006】さらに、最近では快適な居住空間が求めら
れることから空調機による臭気の発生が問題視されてい
る。使用初期の塗膜臭や空調機内に発生する微生物によ
る運転開始時の不快臭等に対する対策として防菌剤、防
カビ剤を混合した処理剤の使用等も提案されている(特
開昭58−10051号公報、特開昭61−16867
5号公報など)がなお十分ではなくその改良が求められ
ている。さらに、親水化処理組成物塗装時の付着性、耐
食性を向上させるために、親水化処理組成物塗装の前工
程で、フィンの表面にクロメート処理を処し、クロムの
不働態化皮膜を形成させることが行われる。このため該
工程から微量ではあるが親水化処理浴中に6価クロムが
混入する。この6価クロムの混入液は廃液として廃棄す
るとき多大な工数をかけて安全な3価クロムへ還元しな
ければならないという問題がある。
【0007】以上のように、現在実用化されている方法
では、かかる要請に十分応えられるものではなく、より
親水性及び耐食性に優れ、臭気の問題もなく、さらに混
入してくる6価クロムを容易に3価クロムに還元できる
親水化処理組成物、親水化処理方法および親水化処理熱
交換器フィンの開発が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決することを目的に鋭意研究を重ねた結果、フィン
材の親水化処理剤として無機のシリカ微粉末を芯とし、
これに有機の重合性不飽和モノマー類を反応せしめて殻
とした構造を有する有機−無機複合体反応物を主成分と
し、これに硬化剤、水酸基含有ポリエステル樹脂及びピ
リチオン系防菌・防カビ剤を加えてなる親水化処理組成
物が非常に有効であり、経時における細菌・カビの発生
に起因する不快臭の問題および衛生上の問題を解決で
き、それと同時に、微小な粒径に分散されたピリチオン
系防菌・防カビ剤が得られる被膜表面に微小で鋭角的な
凹凸を付与し、このような表面形状にすることによっ
て、さらに水に濡れ易くなり、樹脂組成物本来の親水性
に加えて、極めて高い親水性、水濡れ性を有する被膜を
得ることができることを見出した。さらに該処理組成物
を浸漬塗装する際に、上記ピリチオン系防菌・防カビ剤
が凝集したり沈降することなく浴中で安定に分散するた
めに、水分散性に優れたシリコーン系エマルションを添
加し、これにより表面処理液の消泡性を高め、前述のフ
ィンのアフターコート法に好適であること;さらには該
処理組成物にアミンを添加してpHを7〜10に調整す
ることによって6価クロムを3価クロムに容易に還元で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、 (A)(i)水分散性シリカ100重量部(固形分)に
対して(ii)加水分解性アルコキシシラン基を含有する
重合性ビニルシランモノマー0.1〜10重量部の割合
で反応させてなる重合性ビニル基含有水性シリカ分散体
に、(iii )前記(ii)以外の重合性不飽和モノマー類
を反応させた有機−無機複合体反応物、 (B)硬化剤、 (C)水酸基含有ポリエステル樹脂、 (D)ピリチオン系防菌・防カビ剤、 (E)シリコーン系エマルション、及び (F)アミン を含有することを特徴とする親水化処理組成物;該親水
化処理組成物の固形分濃度2〜30重量%の水分散液も
しくは水溶液をクロメート処理が施されたアルミニウム
製熱交換器フィンに塗装し、ついで加熱乾燥することを
特徴とする熱交換器フィンの親水化処理方法;および該
組成物を表面に塗布してなることを特徴とするアルミニ
ウム製熱交換器フィンに関する。
【0010】本発明の親水化処理組成物において、
(A)成分に使用する水分散性シリカ(i)は、いわゆ
るコロイダルシリカであって粒子径約3〜500mμ、
好ましくは約5〜100mμで、通常、水分散液として
供給されているものをそのまま使用することができる。
【0011】また、上記(A)成分に使用するビニルシ
ランモノマー(ii)としては、下記一般式(I)及び
(II):
【0012】
【化1】
【0013】〔式中、R1 は炭素原子数1〜10個のア
ルキル基もしくはアルコキシアルキル基を表わし、R2
は水素原子又はメチル基を表わし、mは0又は1の整数
を表わし、nは1〜8の整数を表わす〕で示されるもの
が包含され、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラ
ン、γ−(メタ)アクリルオキシエチルトリメトキシシ
ラン、γ−(メタ)アクリルオキシエチルトリエトキシ
シラン、γ−(メタ)アクリルオキシエチルジメトキシ
メチルシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピ
ルトリエトキシシランなどが挙げられる。この中でも特
にγ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシ
ランが好適である。
【0014】前記した水分散性シリカ(i)とビニルシ
ランモノマー(ii)は、水分散性シリカ(i)100重
量部(固形分)に対しビニルシランモノマー(ii)を
0.1〜10重量部好ましくは0.2〜7重量部の割合
で反応させることによって重合性ビニル基含有水性シリ
カ分散体が得られる。
【0015】ここで、ビニルシランモノマーの配合割合
が0.1重量部未満であると得られる水性シリカ分散体
中に含有される重合性ビニル基の量が不十分となり、一
方10重量部を超えると、水分散性シリカとビニルシラ
ンモノマーとの反応時に増粘ゲル化をひき起こすので好
ましくない。
【0016】水分散性シリカとビニルシランモノマーと
の反応は、両者の混合物を撹拌下で、例えば、40℃以
上沸点(通常100〜110℃)以下の温度で、2〜8
時間連続的に加熱することによって達成される。このよ
うにして得られる重合性ビニル基含有水性シリカ分散体
に重合性不飽和モノマー類(iii )を反応させて(A)
成分である有機−無機複合体反応物が得られる。
【0017】(A)成分の合成に使用する重合性不飽和
モノマー類(iii )は、分子内にアミド基、水酸基及び
カルボキシル基から選ばれる官能基を含有するモノマー
を少なくとも一種含有するモノマー類で上記水性シリカ
分散体を芯とした殻を構成するものである。
【0018】かかる重合性不飽和モノマー類の中で、前
記した官能基を有するモノマーとしては(a)不飽和ア
ミドモノマー、(b)水酸基含有不飽和モノマーおよび
(c)カルボキシル基含有不飽和モノマーを挙げること
ができる。
【0019】(a)モノマーとしては、例えばアクリル
アミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルア
ミド、N−メチロールメタクリルアミドなどが挙げられ
る。
【0020】(b)モノマーとしては、例えば2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3
−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレ
ートなどの(メタ)アクリル酸のC1 〜C4 のアルキル
エステル;オキシエチレン単位の繰返し数が2〜10
0、好ましくは10〜40の、ポリエチレングリコール
モノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタク
リレート、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル
なとが挙げられ、これらは単独で又は2種以上混合して
使用することができる。また、(c)モノマーとして
は、アクリル酸、メタクリル酸、などを挙げることがで
きる。
【0021】(A)成分の合成に使用する重合性不飽和
モノマー類はこれら(a),(b)及び(c)モノマー
成分のみの使用でもよいが、必要に応じて、これら以外
の重合性不飽和モノマー(d)を組合せて使用してもよ
い。
【0022】重合性不飽和モノマー(d)の代表例を示
すと、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−
エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸
ラウリル等の(メタ)アクリル酸のC1 〜C18アルキル
エステル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メ
トキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル
酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタク
リル酸エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸のC2
18アルコキシアルキルエステル;アリルアクリレー
ト、アリルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸のC
2 〜C3 のアルケニルエステル;ジメチルアミノエチル
アクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジ
メチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエ
チルメタクリレート、モノ−t−ブチルアミノエチルメ
タクリレート等の(メタ)アクリル酸のアミノアルキル
エステル;ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジ
メチルアミノプロピルメタクリルアミド等の(メタ)ア
クリルアミドモノマー等のアクリル系不飽和モノマーを
挙げることができる。
【0023】さらに、上記アクリル系不飽和モノマー以
外の(d)モノマーとして、スチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、アクロレイン、メタアクロレイン、ブタジエ
ン、イソプレンなどを挙げることができる。
【0024】これらの(d)モノマーは、所望の性能に
応じて適宜配合することができる。
【0025】前記した重合性不飽和モノマー類(iii )
を構成する(a)〜(d)モノマーの使用割合は特に限
定されないが、通常該モノマー類の全重量に基づいて
(a)モノマー10〜80重量%、好ましくは20〜6
0重量%、(b)モノマー10〜90重量%、好ましく
は20〜80重量%、(c)モノマー0〜20重量%、
(d)モノマー50重量%以下、好ましくは30重量%
以下の範囲内である。これらモノマー成分が上記の範囲
外となると塗膜の親水性や硬化性が低下する傾向がみら
れる。
【0026】前記した重合性ビニル基含有水性シリカ分
散体と重合性不飽和モノマー類(iii )との反応は、ア
クリル樹脂を製造する際のそれ自体公知の方法である溶
液重合法に準じて行なうことができる。詳しくは、アゾ
系化合物、パーオキサイド化合物、スルフィド類、スル
フィン類などの重合触媒の存在下、40〜180℃で4
〜10時間反応させることによって行うことができる。
ここで、重合性ビニル基含有水性シリカ分散体と重合性
不飽和モノマー類との配合割合は、厳密に制限されるも
のではないが、一般には前者:後者の比が固形分量比で
10:90ないし90:10、好ましくは10:90な
いし70:30である。前者の水性シリカ分散体が10
%未満であると一般に親水化処理組成物の親水化効果が
十分でなく、90%より多くなると被膜形成性が低下す
る傾向がみられる。
【0027】本発明において、上記有機−無機複合体反
応物(A)と組合せて使用される硬化剤(B)として
は、有機−無機複合体反応物中の水酸基と架橋反応がで
きる官能基を有する硬化剤が使用できる。代表例として
はメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂などのアミ
ノ樹脂:2個以上のイソシアネート基を有するポリイソ
シアネートをフェノール、クレゾール、芳香族第2級ア
ミン、第3級アルコール、ラクタム、オキシムなどでブ
ロックしてなるブロックポリイソシアネート化合物:チ
タン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびアルミニウ
ム(Al)から選ばれた元素の有機配位性アルコキシド
化合物(キレート化合物)などを挙げることができ、こ
れらの硬化剤は単独で又は2種以上混合して使用するこ
とができる。
【0028】前記(A)成分と上記(B)成分との配合
割合は、特に限定されないが、固形分重量比で(A):
(B)が99〜50:1〜50、さらには、90〜7
0:10〜30の範囲内にあることが好ましい。硬化剤
の量が1%未満であると親水化処理組成物の架橋・硬化
が不充分となり、得られる被膜の耐水性が劣る傾向がみ
られる。一方、硬化剤の量が50%を超えると、得られ
る被膜の水濡性の低下及び水との接触角の増大を起こす
傾向がみられる。
【0029】本発明において、得られる被膜の水濡性の
向上および水との接触角の低下を目的として、水酸基含
有ポリエステル樹脂(C)が配合される。
【0030】水酸基含有ポリエステル樹脂(C)は、多
価アルコール成分として1分子中に2個の水酸基を有す
るモノ又はポリエーテルジオール(以下、このものを
「ポリエーテルジオール」と略す。)及び1分子中に3
個以上の水酸基を有するモノ又はポリエーテルポリオー
ル(以下、このものを「ポリエーテルポリオール」と略
す。)を用い、また多塩基酸成分としてC3 〜C9 の脂
肪族二塩基酸及び/又は脂環族二塩基酸を用いて縮合し
て得られるものである。
【0031】ポリエーテルジオールは、分子中にエーテ
ル結合を1個以上、好ましくは1〜200個、更に好ま
しくは1〜100個有し、その分子主鎖の両末端にそれ
ぞれ1級又は2級の水酸基をもつ鎖状化合物である。具
体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ポリエチレン−プロピレングリコールなどが
挙げられる。これら化合物のオキシエチレンあるいはオ
キシプロピレン単位の繰返し数は、2〜200、好まし
くは2〜100が適当である。該数が2未満になると親
水性に優れた塗膜が形成できず、一方、200を超える
と耐水性、耐食性などが低下するので好ましくない。
【0032】また、ポリエーテルジオールのもつ水酸基
の種類としては、水酸基含有ポリエステル樹脂の合成の
しやすさなどの観点から1級の水酸基が好ましい。
【0033】ポリエーテルポリオールは、1分子中にエ
ーテル結合を1個以上、好ましくは1〜600個、更に
好ましくは3〜300個有し、かつ1分子中に3個以上
の水酸基を含有する分岐鎖状化合物である。エーテル結
合が1個未満になると親水性に優れた被膜が形成できな
い。また600個を超えると耐水性、耐食性などが低下
するのでこの範囲内にすることが好ましい。
【0034】該ポリエーテルポリオールとしては、例え
ば3価以上の多価アルコールを原料とし環状エーテルを
付加重合させることによって得られるものが使用でき
る。
【0035】3価以上の多価アルコールは、環状エーテ
ルと重合する水酸基を分子中に3個以上有するものであ
って具体的には例えばグリセリン、トリメチロールプロ
パン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリ
セリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールな
どが包含される。上記した中でもトリメチロールプロパ
ン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリス
リトールなどが好ましい。また上記多価アルコールは1
種もしくは2種以上組合わせて使用できる。
【0036】環状エーテルは、環式構造の中に1個のエ
ーテル結合をもつ化合物であり、具体的にはエチレンオ
キシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどが
挙げられる。これらのものは1種もしくは2種以上組合
わせて使用できる。また、これらの中でもエチレンオキ
シド及びプロピレンオキシドが好ましい。
【0037】上記のように得られるポリエーテルポリオ
ールの具体例としては、例えばトリメチロールエタンの
エチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加重合体、
トリメチロールプロパンのエチレンオキシド又はプロピ
レンオキシド付加重合体、グリセリンのエチレンオキシ
ド又はプロピレンオキシド付加重合体、ペンタエリスリ
トールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加
重合体などが好適なものとして挙げられる。
【0038】一方、多塩基酸成分は、1分子中に2個の
カルボキシル基又は1分子中に1個の酸無水基を有する
飽和もしくは不飽和の脂肪族二塩基酸又は脂環族二塩基
酸である。該二塩基酸としては、例えばマロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸などの如き
飽和脂肪族二塩基酸及びその無水物(例えば無水コハク
酸など):フマル酸、イタコン酸などの如き不飽和脂肪
族二塩基酸及びその無水物(例えば無水マレイン酸な
ど):並びにテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタ
ル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−メチルテ
トラヒドロフタル酸などの如き脂環族二塩基酸及びその
無水物などが包含される。
【0039】前記した多塩基酸のアルキル鎖の炭素数が
7を超えると親水性に優れた被膜が形成できない。
【0040】本発明で用いる水酸基含有ポリエステル樹
脂(C)は、前記多価アルコール成分と脂肪族二塩基酸
もしくは脂環族二塩基酸とをエステル化反応させること
によって製造される。
【0041】多価アルコール成分と二塩基酸成分とをエ
ステル化反応させるにあたって、両成分の配合割合は多
価アルコール成分が15〜85重量%、好ましくは20
〜75重量%に対して、二塩基酸成分が15〜85重量
%、好ましくは25〜80重量%の範囲である。該多価
アルコール成分の割合が85重量%を上回ると親水性組
成物の耐水性、耐食性などが低下し、一方、15重量%
を下回ると親水性が低下するので好ましくない。また、
多価アルコール成分中のポリエーテルジオール及びポリ
エーテルポリオールの配合割合は、ポリエーテルジオー
ルが30〜95重量%、好ましくは40〜90重量%に
対して、ポリエーテルポリオールが5〜70重量%、好
ましくは10〜60重量%の範囲が適している。
【0042】本発明で用いる水酸基含有ポリエステル樹
脂(C)において、多価アルコール成分として、上記ポ
リエーテルジオールおよびポリエーテルポリオール以外
の多価アルコールを必要に応じて配合することもでき
る。該多価アルコール成分としては、例えばエチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、ブチレングリコール、ペンタン
ジオール、ジメチルプロパンジオール、ヘキサンジオー
ル、水素化ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノ
ール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリ
ン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノー
ルアミン、トリイソプロパノールアミン、シクロヘキシ
ルジイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミ
ン、メチルジイソプロパノールアミンなどが挙げること
ができる。
【0043】また、本発明で用いる水酸基含有ポリエス
テル樹脂(C)において、多塩基酸成分として、前記し
た脂肪族もしくは脂環族二塩基酸以外の多塩基酸を必要
に応じて配合することができる。該多塩基酸成分として
は、例えばアゼライン酸、セバシン酸、ドデシニルコハ
ク酸およびこれらの無水物などの脂肪族飽和二塩基酸、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物などの芳香族
多塩基酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、ヘッ
ト酸、テトラクロロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリッ
ト酸およびこれらの無水物などの脂環族多塩基酸などが
包含される。
【0044】さらに水酸基含有ポリエステル樹脂(C)
において、分子量の調整や要求される塗膜性能に応じて
脂肪酸以外の一塩基酸、例えば安息香酸、P−tert
−安息香酸などの芳香族一塩基酸を配合することができ
る。
【0045】水酸基含有ポリエステル樹脂(C)は、通
常のポリエステル樹脂の製造と同様の条件、例えば15
0〜250℃で1〜15時間反応させることによって製
造される。該水酸基含有ポリエステル樹脂は、30〜2
50、好ましくは30〜200の水酸基価を有すること
が好ましい。水酸基価が30未満になると親水化処理組
成物の被膜の架橋密度が低下し耐久性に優れた親水性被
膜が得られ難く、一方、水酸基価が250より大きくな
ると被膜の耐水性が低下する。
【0046】また、該水酸基含有ポリエステル樹脂
(C)は、被膜の耐久性及び親水性の観点から約500
〜20,000、好ましくは約1,000〜15,00
0の範囲の平均分子量をもつことが有利である。更に、
該ポリエステル樹脂はカルボキシル基を必要に応じて含
有させることもでき、その含有量としては、例えば酸価
約300以下の範囲である。
【0047】かくして得られる水酸基含有ポリエステル
樹脂(C)は、ポリエーテルジオール成分と脂肪族もし
くは脂環族二塩基酸成分との反応によりエーテル結合を
もつ直鎖状構造が形成されるので被膜の親水性に優れ、
またポリエーテルポリオール成分と脂肪族もしくは脂環
族二塩基酸成分との反応によりエーテル結合をもつ分岐
状構造が形成されるため、被膜の親水性持続性を向上さ
せる作用を及ぼすものと推測される。さらに、樹脂中に
含まれるエーテル結合は、親水性を付与するとともに化
学的に安定で、かつ加水分解されないので、長期にわた
って被膜の親水性を持続させることができる。更に、ポ
リエーテルジオール及びポリエーテルポリオールと組合
わせて用いる二塩基酸成分は、比較的炭素数の小さい脂
肪族二塩基酸及び脂環族二塩基酸であり、これ自体親水
性が比較的高いので被膜の親水化に良い影響を与える。
【0048】上記(C)成分の配合割合は、有機−無機
複合体反応物(A),硬化剤(B)及び(C)からなる
組成中に固形分換算で5〜60重量%、好ましくは10
〜40重量%の範囲で配合することが必要である。
(C)成分の割合が5重量%未満であると被膜の親水性
が不十分となり、一方60重量%を超えると得られる被
膜の耐水性が低下し、被膜の膨潤および溶解が生じるの
で好ましくない。
【0049】本発明において、得られる被膜に防菌・防
カビ性を付与させ、併せて被膜の水濡れ性の向上および
水との接触角の低下を目的としてピリチオン系防菌・防
カビ剤(D)が配合される。防菌・防カビ剤として、各
種のものが知られているが、水不溶性および親水化処理
組成物の加熱乾燥温度である150〜200℃での熱安
定性、さらには防菌・防カビ性に優れる点からピリチオ
ン系防菌・防カビ剤が最適である。
【0050】ピリチオン系防菌・防カビ剤(D)は、下
記一般式(III )及び(IV)で表わされる化合物であ
る。
【化2】 (式中、MはNa,Mg又はZnを表わし、nはMの価
数に対応する数である。)
【化3】 前記した一般式で表わされる化合物の中でも、特にジン
クピリチオン、即ちビス−(2−ピリジルチオ−1−オ
キシド)ジンクが水不溶性、熱安定性に優れるので好適
である。
【0051】上記(D)成分の配合量は、有機無機複合
体反応物(A)、硬化剤(B)、及び水酸基含有ポリエ
ステル樹脂(C)の固形分の合計100重量部に対し
て、3〜50重量部、好ましくは10〜30重量部であ
る。(D)成分が、3重量部未満であると、充分な防菌
・防カビ性が得られず、一方50重量部を超えると、得
られる被膜の脆性が増し、フィン材との付着性が低下す
るため好ましくない。
【0052】(D)成分を配合するにあたり、あらかじ
め10μm以下、好ましくは5μm以下の粒子径に分散
させておくことが望ましく、このようにすることによっ
て微小な(D)成分粒子によって、得られる被膜表面に
微小な凹凸が生じ、この表面の凹凸によって、被膜の水
濡れ性が向上し、水との接触角を更に低下させることが
出来る。
【0053】前述した成分(A)〜(D)で構成される
親水化処理組成物からなる固形分濃度2〜30重量%の
表面処理浴を用いて熱交換器フィンを浸漬塗装する場
合、ピリチオン系防菌・防カビ剤(D)が凝集もしくは
沈降することなく、安定に分散していることが被膜の性
能及び作業性の面で必要であり、しかも溶液の破泡性と
消泡持続性もまた、実用上特に要求される性能である。
【0054】本発明において、上記(D)成分の安定分
散、浴液の破泡を目的として特定のシリコーン系エマル
ション(E)が配合される。
【0055】シリコーン系エマルション(E)はシリコ
ーンオイルに微細状シリカを分散させて得られるシリコ
ーンコンパウンドに、一般式 R1 OCOCH2 CH2 OCOR2 (R1 及びR2 は、
13-19 のアルキル基を示す) で表される非イオン性のエチレングリコール脂肪酸エス
テルを加えて、エマルション化したものである。
【0056】ここでシリコーンオイルに添加される微細
状シリカは、シリカ系充填剤として公知の乾式シリカ、
湿式シリカのいずれでもよく、粒子径が0.1μm以下
のものが好ましい。例えばアエロジル(日本アエロジル
社製商品名)、キャボシル(米国キャボット社製商品
名)などが例示される。微細状リシカの添加量はシリコ
ーンオイル100重量部に対して、5〜30重量部であ
る。得られるシリコーンコンパウンドに非イオン性のエ
チレングリコール脂肪酸エステルをシリコーンコンパウ
ンド100重量部に対して5〜20重量部添加して乳化
することによって、安定性に優れ、水分散性の極めて良
好な本発明で用いられるシリコーン系エマルション
(E)が得られる。
【0057】上記(E)成分の配合量は、有機無機複合
体反応物(A)、硬化剤(B)、水酸基含有ポリエステ
ル樹脂(C)、およびピリチオン系防菌・防カビ剤
(D)の固形分の合計100重量部に対して、0.3〜
3重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0058】さらに本発明において、前工程であるクロ
メート処理から混入する6価クロムを3価クロムに還元
することを目的としてアミン(F)が配合される。アミ
ン(F)は、1級アミン,2級アミン,3級アミンのい
ずれであってもよいが、通常、沸点が40〜200℃、
好ましくは60〜150℃で、常温で液状の脂肪族アミ
ンが好適である。かかる沸点が40℃未満のものでは処
理浴中から揮散しやすく処理浴をpH7〜10の塩基性
に維持しにくく、一方200℃を超えると処理被膜の焼
付乾燥後も該被膜中に残存して耐水性低下の原因となり
やすいので好ましくない。該アミンの具体例としては、
例えばブチルアミン、モノエタノールアミンなどの1級
モノアミン;ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、
N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールア
ミンなどの2級モノアミン;ジメチルエタノールアミ
ン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンなどの
3級モノアミン;エチレンジアミンなどのポリアミンを
挙げることができる。該(F)成分の配合量は、有機無
機複合体反応物(A)、硬化剤(B)、水酸基含有ポリ
エステル樹脂(C)、防菌・防カビ剤(D)およびシリ
コーン系エマルション(E)を含む合計固形分濃度が7
重量%の溶液の100重量部に対して0.5〜1.5重
量部が適当である。
【0059】本発明において、成分(A)〜(D)で構
成される親水化処理組成物からなる固形分濃度2〜30
重量%の表面処理浴中で浸漬塗布する場合、成分(E)
及び(F)を上記配合量で添加することによって、ピリ
チオン系防菌・防カビ剤(D)の安定分散が可能であ
り、また溶液の破泡性及び消泡持続性を得ることができ
る。これはシリコーンコンパウンドの優れた破泡性と、
エチレングリコール脂肪酸エステルの存在及びアミンに
よりpH7〜10の塩基性となることによってピリチオ
ン系防菌・防カビ剤の安定分散性が高まることに起因す
るものと考えられる。
【0060】本発明の親水化処理組成物には前記した
(A),(B),(C),(D),(E)及び(F)成
分以外に、さらに公知の界面活性剤、消泡剤、アルコー
ル系溶剤などを必要に応じて含有させることができる。
【0061】本発明の親水化処理組成物は、フィンの親
水化以外にプラスチック製のフィルム又は成型品、セラ
ミックス成型品、コンクリート建造物、器物などに塗布
して結露防止、着雪氷防止の皮膜形成剤として使用する
こともできる。
【0062】本発明の組成物を用いた熱交換器フィンの
親水化処理方法は、まず、該組成物を、アルミニウム製
フィンの親水化処理剤として適する濃度に適宜調整し、
従来の塗装方法、例えば浸漬塗装、シャワー塗装、スプ
レー塗装、ロール塗装などによって成型された熱交換器
フィンに塗布し、ついで加熱乾燥させることによって行
なわれる。
【0063】上記の親水化処理方法の中でも、特に浸漬
塗装が好適であり、かかる浸漬塗装法で親水化処理を行
う場合には、親水化処理組成物の固形分濃度を通常2〜
30重量%、好ましくは5〜10重量%の範囲に調整し
た水性浴とし、この浴中に、予め成型、組立てられたア
ルミニウム製熱交換器フィンを浸漬し、引上げた後、適
当な焼付条件、例えば120〜200℃で10〜30分
間焼付けることによって行うことができる。
【0064】さらに本発明の親水化処理方法では、耐食
性に優れた親水性被膜を形成するために、その前工程と
して、十分に脱脂処理を施したフィンに従来公知のアル
ミニウム用表面処理であるリン酸クロメート処理、又は
クロム酸クロメート処理などのクロメート処理が施され
る。
【0065】かくして形成される親水性被膜は、膜厚で
0.2〜5μ、好ましくは0.5〜3μの範囲である。
膜厚が0.2μ未満であると親水性の持続性が不十分で
あり、他方5μを超えるとフィンの放熱効率が低下する
おそれがある。
【0066】
【発明の効果】本発明の親水化処理組成物は、水中に分
散された無機のシリカ微粉末を芯とし、有機のモノマー
類による共重合物を殻とした有機−無機複合体反応物を
主成分とし、このものに硬化剤、さらに水酸基含有ポリ
エステル樹脂を配合することにより、従来問題であった
親水性の持続性(全面水濡性と、水との接触角20°以
下)に優れ、しかも良好な熱硬化性を有するため、被膜
からの水溶出物がほとんどなく、その結果具の極めて少
ない被膜を形成することができる。更に、ピリチオン系
防菌・防カビ剤を配合することにより、被膜に優れた防
菌・防カビ機能を付与させるため、経時における細菌、
カビの発生に起因する臭気、衛生上の問題を一挙に解決
することができ、加えて、被膜表面粗度を高めるため、
親水性をより一層向上させることができる。また、シリ
コーン系エマルションを配合することによって、ピリチ
オン系防菌・防カビ剤の安定分散と浴液の消泡性を同時
に満足させることができ、優れた被膜性能及び表面処理
作業性を有する本発明の組成物を用いる親水化処理方法
によって形成されるフィンは、親水性、耐食性に非常に
優れ、初期及び経時での臭気発生を抑制するという顕著
な効果を及ぼす。さらにアミンを配合することで、前工
程から混入する6価クロムを3価クロムに還元でき、浴
塗料の廃棄時に要する処理工数が著しく削減することが
できる。
【0067】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を示す。これらの
例は本発明をより詳細に説明するためのものであって、
本発明になんら制限を加えるものではない。「部」およ
び「%」は「重量部」および「重量%」を示す。
【0068】有機−無機複合体反応物(A)の合成 合成例1 温度計、撹拌機、冷却器、滴下ロートを備えた1リット
ルの四つ口フラスコに、脱イオン水333部、イソプロ
ピルアルコール166部を入れ、撹拌しながら「キャタ
ロイドS−20L〕(触媒化学工業社製、水性コロイダ
ルシリカ分散液、SiO2 含有量20%)166部を、
ついでγ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン(信越化学工業社製、商品名「KBM−503」)
0.3部を滴下していき、約70℃に加熱して同温度に
て2時間保持し、水性シリカ分散体水分散液を得た。こ
のものに、十分撹拌しながら、下記配合溶液を約3時間
を要して滴下した。
【0069】 アクリルアミド 13.4部 N−メチロールアクリルアミド 6.7部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 26.8部 ポリエチレングリコールモノメタクリレート 20.1部 過硫酸アンモニウム 1.7部 脱イオン水 266部 滴下終了後、約80℃で約2時間保持して反応せしめ、
固形分10%の乳白色の有機−無機複合体反応物水分散
液を得た。
【0070】水酸基含有ポリエステル樹脂(C)の合成 合成例2 ポリエチレングリコール200(重量平均分子量20
0)28.8部、グリセリンのエチレンオキシド10モ
ル付加物51.1重量部、無水マレイン酸20.1部お
よびキシレン3部からなる混合物を、窒素ガス雰囲気中
で、撹拌しながら160〜230℃において約8時間反
応してポリエステル樹脂を得た。該樹脂の水酸基価は1
28、酸価は30、多塩基酸成分/多価アルコール成分
(モル比)は0.85であった。
【0071】実施例1 合成例1で得た固形分10%の有機−無機複合体反応物
水分散液500部に固形分70%として「ニカラックM
S−20U」(三和ケミカル社製、水溶性尿素樹脂液)
21.4部、合成例2で得たポリエステル樹脂23.5
部、ジンクピリチオンの50%水分散液20部及びジメ
チルエタノールアミン10部を撹拌下で加え、ついで
「BYK−080」(ビックケミー社製、シリコーンエ
マルション)1.5部を加えて、よく撹拌した後、さら
に水で希釈して固形分7%の親水化処理組成物を得た。
【0072】ついでアルミニウム板(A−1050、板
厚0.1mm)を、70℃に加温された。酸性液(硫酸
10%、硝酸5%水溶液)中で3分浸漬処理した後、ク
ロメート処理剤(日本パーカーライジング社製、商品名
「アロジン407」及び「アロジン47」の混合水溶
液)でもって、50℃で90秒浸漬してクロメート処理
(クロム換算付着量 120mg/m2 )を行なった。
ついでこれを被塗物として上記親水化処理組成物溶液中
で乾燥被膜で1μmになるように浸漬塗装を行い、17
0℃で20分間焼付けして、被膜を形成させた。
【0073】得られた親水化処理板について親水性、耐
食性、防菌性、クロムの還元性などの試験を行なった。
その試験結果を表2に示す。
【0074】実施例2〜5および比較例1〜2 表1に示す配合とする以外は実施例1と同様に行なって
固形分7%の親水化処理組成物を得て、実施例1と同様
にして親水化処理被膜を形成させた。尚、表1の配合量
は、固形分量である。
【0075】得られた親水化処理板については、実施例
1と同様の試験を行ない、その試験結果は表2のとおり
である。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】表2における試験方法は下記方法にて行な
った。
【0079】(*1)水濡性:水濡性は試験板を水道水
に30秒間浸漬、引上げた時の水濡面積率で評価した。
【0080】 ◎:水濡面積率 100% ○: 〃 90〜100%未満 △: 〃 50〜 90%未満 ×: 〃 50%未満
【0081】(*2)接触角:試験板に約0.03cc
の脱イオン水の水滴を形成し、20℃にて水滴の接触角
を協和科学(株)製コンタクタングルメーターDCAA
型にて測定した。なお水濡性および接触角は、初期試験
板および水道水流水中に500時間浸漬し、引上げ後、
20℃、75%R、Hの環境下に24時間放置した流水
浸漬試験板についても行なった。
【0082】(*3)耐食性:JIS Z 2371塩
水噴霧試験300時間後の平面部における白錆発生の面
積率で評価した。
【0083】 ◎:白錆発生面積率 1%未満 ○: 〃 1〜10%未満 △: 〃 10〜30%未満 ×: 〃 30%以上 (*4)防菌性:JIS−Z−2911に準ずる。それ
ぞれの塗板に対して下記の試験菌の混合胞子懸濁液を噴
霧し、27℃の温度下に28日間静置したのち塗板面の
微の繁殖度合を目視観察する。塗面に微の発生、付着が
ない状態のものを良好(○)とした。塗面に微の発生、
付着がある状態のものを不良(×)とした。
【0084】 アスペルギルス菌 ペニシリウム菌 アルテルナリア菌 クラドスポリウム菌 の混合物
【0085】(*5)クロムの還元性:固形分7%の処
理液に、無水クロム酸の1%水溶液を該処理液中のクロ
ム濃度が100ppmとなる量を添加し、240時間経
過後の該処理液の色を観察し評価した。添加直後の処理
色はうす黄味色を呈していた。 ○:緑黄色を呈色 △:やや緑黄色を呈色 ×:うす黄味色のまま
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五百川 博 愛知県西春日井郡西枇杷島町字旭町3丁 目1番地 三菱重工業株式社エアコン製 作所内 (72)発明者 林 昌照 愛知県西春日井郡西枇杷島町字旭町3丁 目1番地 三菱重工業株式社エアコン製 作所内 (72)発明者 柏田 清治 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (72)発明者 脇本 光男 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−80852(JP,A) 特開 平1−223188(JP,A) 特開 平5−302042(JP,A) 特開 平3−269073(JP,A) 特開 平5−223482(JP,A) 特開 昭53−67260(JP,A) 特開 昭49−100843(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 43/04 C08L 67/06 C09D 143/04 F28F 13/18 F28F 19/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(i)水分散性シリカ100重量
    部(固形分)に対して(ii)加水分解性アルコキシシラ
    ン基を含有する重合性ビニルシランモノマー0.1〜1
    0重量部の割合で反応させてなる重合性ビニル基含有水
    性シリカ分散体に、(iii )前記(ii)以外の重合性不
    飽和モノマー類を反応させた有機−無機複合体反応物、 (B)硬化剤、 (C)水酸基含有ポリエステル樹脂、 (D)ピリチオン系防菌・防カビ剤、 (E)シリコーン系エマルション、及び (F)アミン を含有することを特徴とする親水化処理組成物。
  2. 【請求項2】 上記アミン(F)が、沸点が40〜20
    0℃で且つ常温で液状の脂肪族アミンである請求項1記
    載の親水化処理組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の親水化処理組成物の固形
    分濃度2〜30重量%の水分散液もしくは水溶液をクロ
    メート処理が施されたアルミニウム製熱交換器フィンに
    塗装し、ついで加熱乾燥することを特徴とする熱交換器
    フィンの親水化処理方法。
  4. 【請求項4】 該親水化処理組成物の塗装が浸漬塗装で
    ある熱交換器フィンの親水化処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の組成物を表面に塗布して
    なることを特徴とするアルミニウム製熱交換器フィン。
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