JP3431385B2 - 強誘電体冷陰極、それを備えた電子装置及びその製造方法 - Google Patents

強誘電体冷陰極、それを備えた電子装置及びその製造方法

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JP3431385B2
JP3431385B2 JP05340896A JP5340896A JP3431385B2 JP 3431385 B2 JP3431385 B2 JP 3431385B2 JP 05340896 A JP05340896 A JP 05340896A JP 5340896 A JP5340896 A JP 5340896A JP 3431385 B2 JP3431385 B2 JP 3431385B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強誘電体冷陰極及
びそれを備えた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、固体内の電子移動や、熱陰極から
の電子放出ではなく、冷陰極からの電子放出を用いる真
空マイクロエレクトロニクス・デバイスの研究・開発が
盛んになされており、それを用いた超高速マイクロ波デ
バイス、パワーデバイス、電子線デバイス、さらにはそ
れを例えば一つ一つの画素部ごとに配列して用いたフラ
ットパネルディスプレイデバイスや、耐環境デバイス等
への応用も検討されている。
【0003】しかしながら、このような真空マイクロエ
レクトロニクス・デバイスは、「真空」という言葉が示
すように、いずれの場合も有効な電子放出や大きな電流
容量を確保しながら、かつ安定で信頼性の高い動作を実
現するためには、10-12 〜10-6torr、好ましく
は10-8torr以下の超高真空が必要である。
【0004】真空マイクロエレクトロニクス・デバイス
の利用を、実際に工業的あるいは商業的に実現するため
には、このような高い真空度を維持して冷陰極を真空封
止することが必要だが、これは実際上、製造方法の点で
もまた素子の取り扱いや信頼性・耐久性等の点で極めて
実現困難である。
【0005】また、一般に電子デバイスはできるだけ大
きな電流を利用できるように電流容量の大きいことが好
ましいが、真空度が低い(圧力が高い)ほど放出電流量
が大幅に低下してしまうという問題がある。
【0006】そのような低い真空度で電子放出を可能に
するものとしては、例えばH.Gundelらによる Ferroelec
trcs.Vol 100 (1989) 1において開示された、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZTセラミックス)やLa変性チタン
酸ジルコン酸鉛(PLZTセラミックス)の強誘電体セ
ラミックスを用いた冷陰極、浅野純一らが Jpn.J.Appl.
Phys.Vol31(1992)3098に掲載したチタン酸ジルコン酸鉛
(PZTセラミックス)の強誘電体セラミックスを用い
た冷陰極が知られている。
【0007】これらに記載されている強誘電体冷陰極
は、図1(a)及び(b)に示すように、PZTセラミ
ックス板701の一方の面に、縞状の電極702が形成
され、他方の面には前面に背面電極703が形成された
なるものである。
【0008】図1(a)に示すように、何らなの方法で
上向きにセラミックス板701を分極させると、分極を
保障するために、PZTセラミックス板701の縞状電
極702が形成された側は、電子や負イオンが他の部位
よりも多く存在することになる。
【0009】このとき、図1(b)に示すように、背面
電極703に十分な電圧を印加すると、分極は急速に反
転され、露出するPZTセラミックス板701から電子
704や負イオンが放出される。
【0010】電子704が放出される原理は必ずしも明
確ではないが、恐らく、次のような理由によるものと考
えられる。即ち、分極が反転されると、極めて強い電界
が縞状電極702及びその近傍に発生し、縞状電極70
2の近傍の強誘電体はこの強い電界にさらされ、この強
い電界による反発力により、強誘電体内の電子および一
部には表面に付着していた負イオンが真空中に放出され
るものと考えられる。
【0011】この電子放出現象は、他の冷陰極では電子
を放出することが出来ない、10-2〜10-1torrの
低い真空度でも生じるため、注目を集めている分野であ
る。しかも、かかる冷陰極によると、数A/cm2 〜1
000A/cm2 にも及ぶ高い電流密度も得られるた
め、広範な応用が期待されている。
【0012】しかしながら、上述のような従来の強誘電
体冷陰極においては、下記のような重大な欠点があっ
た。まず、電子放出を誘起する分極反転を生じさせるた
めに、 Gunndelらの技術では数kVもの高電圧の印加が
必要である。
【0013】また、浅野らの技術では、分極反転を容易
にするためにPZTセラミックス板701を30〜60
μmの薄さに研磨したが、それでもなお75〜150V
もの高電圧を必要とする。しかし、例えば乾電池駆動が
可能となるような低電圧駆動対応が望まれているが、こ
れへの対応は、浅野らの技術では実際上不可能である。
【0014】しかも、このようにPZTセラミックス板
701を薄くした場合、分極反転自体は容易にはなる
が、その一方で肝心の電子放出に必要な誘起電界が低く
なるという問題がある。
【0015】また、前記のPZTセラミックス板701
のようなセラミックス材料は、一般に研磨して薄くした
場合、厚さが30〜50μm程度以下となると物理的に
極めて脆くなり、製造時や取り扱い時に割れてしまい、
その製造やハンドリングが困難であるという問題があ
る。
【0016】このように問題が多々あるため、低電圧駆
動化を実現する手法として、PZTセラミックス板70
1のような脆い誘電体自体を薄板化する手法は、既に限
界に達しつつあり、その低電圧駆動化の進展はこれ以上
実際上不可能であると考えられ、強誘電体冷陰極の実現
における大きな障害となっている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題の
下になされ、強誘電体層の厚さを薄くすることなく、低
い真空度においても安定で信頼性の高い動作が可能な強
誘電体冷陰極を提供することを目的とする。
【0018】本発明の他の目的は、上記強誘電体冷陰極
を具備する電子装置を提供することにある。本発明の更
に他の目的は、上記強誘電体冷陰極の製造方法を提供す
ることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明(請求項1)は、強誘電体材料からなり、先
端が尖った凸部からなるエミッタを一方の面に有する強
誘電体層と、前記強誘電体層の一方の面に形成され、前
記エミッタの先端が露出するように開口部を有する第1
の電極層と、前記強誘電体層の他方の面に形成された第
2の電極層とを具備することを特徴とする強誘電体冷陰
極を提供する。
【0020】また、本発明(請求項2)は、強誘電体材
料からなり、先端が尖った凸部からなるエミッタを一方
の面に有する強誘電体層と、前記強誘電体層の一方の面
に形成され、前記エミッタの先端が露出するように開口
部を有する第1の電極層と、前記第1の電極層上に形成
され、前記エミッタの先端が露出するように開口部を有
する第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に形成され、
前記エミッタの先端が露出するように開口部を有する補
助電極と、前記強誘電体層の他方の面に形成された第2
の電極層とを具備することを特徴とする強誘電体冷陰極
を提供する。
【0021】また、本発明(請求項3)は、上記強誘電
体冷陰極(請求項1又は2)において、前記第1及び第
2の電極層間に電圧を印加し、それによって前記強誘電
体層に分極反転を生じさせる電圧印加手段を更に具備す
ることを特徴とする。
【0022】また、本発明(請求項4)は、強誘電体冷
陰極、及び強誘電体冷陰極に対向して配置されたアノ−
ドを含む電子装置であって、前記強誘電体冷陰極は、強
誘電体材料からなり、先端が尖った凸部からなる複数の
エミッタを一方の面に有する強誘電体層と、前記強誘電
体層の一方の面に形成され、前記エミッタの先端が露出
するように複数の開口部を有する第1の電極層と、前記
強誘電体層の他方の面に形成された第2の電極層と、前
記第1及び第2の電極層間に電圧を印加し、それによっ
て前記強誘電体層に分極反転を生じさせる、電圧印加手
段とを具備することを特徴とし、前記分極反転が生じる
ことにより前記エミッタの先端から電子が放出され、前
記アノ−ドに到達する電子装置を提供する。
【0023】また、本発明(請求項5)は、基板に底部
が先鋭な凹部を設ける工程と、前記凹部内を含む前記基
板表面に強誘電体材料を堆積して、強誘電体層を形成す
る工程と、前記基板を除去して、前記凹部内に堆積され
た前記強誘電体材料からなる、先端が尖った凸部からな
るエミッタを露出させる工程と、前記強誘電体層の前記
エミッタが形成された側に、前記エミッタの先端が露出
するように開口部を有する第1の電極層を形成する工程
と、前記強誘電体層の前記エミッタが形成された側とは
反対側に、第2の電極層を形成する工程とを具備するこ
とを特徴とする強誘電体冷陰極の製造方法を提供する。
【0024】本発明の強誘電体冷陰極は、強誘電体材料
からなり、先端が尖った凸部からなるエミッタを一方の
面に有する強誘電体層と、前記強誘電体層の一方の面に
形成され、前記エミッタの先端が露出するように開口部
を有する第1の電極層と、前記強誘電体層の他方の面に
形成された第2の電極層と、前記第1及び第2の電極層
間に電圧を印加し、それによって前記強誘電体層に誘電
分極を生じさせる、電圧印加手段とを具備することを特
徴とする。
【0025】エミッタを構成する凸部は、先端が尖って
おり、先端の曲率半径は、好ましくは0.5〜500n
m、より好ましくは1〜200nmである。先端の曲率
半径が0.5nm未満では、分極ドメインの大きさが小
さくなり過ぎ、反転の歪みによる作用もあり、一方、5
00nmを越えると本発明の効果を得ることが出来な
い。
【0026】強誘電体層の厚さは、好ましくは0.02
μm以上、より好ましくは0.1μm以上である。強誘
電体層の厚さが0.02μm未満では、膜形成が困難に
なる場合がある。
【0027】凸部の高さは、特に限定されないが、通常
は0.1〜100μmである。凸部の形状は、特に限定
されないが、角錐状、例えばピラミッド状、円錐状等と
することが出来る。また、これらの孤立した形状に限ら
ず、うね状のような連続した形状とすることも出来る。
【0028】凸部先端の露出する部分の寸法は、特に限
定されないが、通常は0.04〜10μmである。本発
明において、使用される強誘電体としては、PbZrO
3 −PbTiO3系材料(PZT)、(Pb,La)
(Zr,Ti)O3 系材料(PLZT)、PbTiO3
系材料、(Pb,Ca)TiO3 系材料、Pb(Mg
1/3 Nb2/3 )O3 −PbZrO3 −PbTiO3 系材
料、LiTaO3 系材料、LiNbO3系材料等を挙げ
ることが出来る。
【0029】強誘電体層の一方の面に形成され、エミッ
タの先端が露出するように開口部を有する第1の電極層
としては、W、Cr、Mo、Ta、Ni、Al、Au等
の金属、及びSi等の半導体に不純物をド−プしたもの
を挙げることが出来る。第1の電極層の厚さは、0.1
〜100nmが好ましい。
【0030】強誘電体層の他方の面に形成される第2の
電極としては、ITO等の透明導電性材料、Mo、T
a、Al、W、Cr、Ni、Au等を挙げることが出来
る。以上のように構成される強誘電体冷陰極は、ガラス
等からなる基板上に形成することが出来る。即ち、基板
と第2の電極とを接着することが出来る。
【0031】また、絶縁層、特に熱酸化絶縁層は、冷陰
極先端部を先鋭化するため、強誘電体層と第1の電極層
との間に絶縁層を設けてもよい。絶縁層としては、熱酸
化により形成されたSiO2 、SiN等を用いることが
出来る。
【0032】更に、第1の電極層上に、絶縁層を間に介
して補助電極層を設けることが出来る。この補助電極層
も、第1の電極層と同様に、エミッタの先端が露出する
ように開口部を有している。補助電極層は、エミッタの
先端近傍の電界を制御し、電子の放出を容易にする作用
を有する。
【0033】この補助電極層の材質及び開口部の寸法
は、第1の電極層と同様でもよい。また、補助電極層の
開口部の寸法は、電子線の出る方向、駆動電圧の関係を
勘案して決めれば良い。
【0034】以上説明した本発明の強誘電体冷陰極は、
種々の電子装置に適用することができる。即ち、複数の
エミッタを平面上に配列し、これらエミッタに対向して
アノ−ドを配置することにより、電子装置を構成するこ
とが出来る。
【0035】特に、エミッタを各画素ごとに配置し、か
つ強誘電体冷陰極とアノ−ドとの間に蛍光体を配置する
ことにより、ディスプレイデバイスを構成することが出
来る。強誘電体冷陰極のエミッタから放出された電子
は、アノ−ドに向かって走り、蛍光体に衝突して光を発
生し、それによって所定の表示を行なうことが出来る。
【0036】本発明の強誘電体冷陰極は、以下に示すよ
うな方法により製造することが出来る。 (1)例えばSi単結晶基板に底部が尖った凹部を形成
し、この凹部内を含むSi単結晶基板表面に強誘電体を
堆積し、次いで、Si単結晶基板を、例えばエッチング
等により除去する方法。
【0037】(2)底部が尖った凹部を有する型を用い
て、バインダ−を含む強誘電体組成物を成形し、次いで
焼結する方法。 (3)底部が尖った凹部を有する型を用いて、ホットプ
レス法により成形及び焼結する方法。
【0038】(4)底部が尖った凹部を有する型を用い
て、静水圧ホットプレス法により成形及び焼結する方
法。 以上説明した本発明の強誘電体冷陰極によると、分極反
転により誘起される電界をエミッタおよびその近傍に配
置された第1の電極層の開口周縁に集中させることがで
きるため、エミッタの周囲に従来よりも飛躍的に強い電
界を得ることができる。その結果、電子または負イオン
の放出効率が大幅に向上し、低電圧駆動化が可能とな
る。
【0039】このような電子放出エミッタおよび第1の
電極を多数配列した電子装置は、低い真空度でも動作可
能であり、かつ大電流・低電圧での駆動が可能である。
即ち、本発明によると、10-1torr〜10-2torrもの低
い真空度で、約100A/cm2 の大電流で、かつ7〜
30Vという低電圧での駆動が可能である。
【0040】また、分極反転を容易にするために強誘電
体材料を薄くした場合でも、その際の電界強度の低下
を、上述のような電界集中の効果によって十分に補うこ
とができる。
【0041】更に、強誘電体材料の厚さを研磨等により
薄板化する必要がなく、例えば薄膜の形で堆積すること
により形成できる。このような堆積形成された薄膜は、
一般に適度の柔軟性があり、しかも基板上に形成されて
いるので、従来の強誘電体材料の薄板化の困難さやその
ハンドリングの困難さの問題を、全く解消することがで
きる。
【0042】以上のように、本発明によれば、低真空動
作が可能で製造や取り扱いの簡易な、信頼性が高く低電
圧駆動化や大電流容量化も実現できる強誘電体冷陰極及
びそれを用いた電子装置を得ることが可能となる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る強誘電体冷陰
極及びそれを用いた電子装置及びその製造方法の実施例
を、図面に基づいて詳細に説明する。 実施例1 図2は、本発明の第1の実施例に係る強誘電体冷陰極の
構造の概要を示す図である。
【0044】強誘電体層102は、強誘電体材料から構
成されており、その表面には電子放出用の尖鋭な突起状
のエミッタ101が形成されている。この強誘電体層1
02上には、エミッタ101の少なくとも尖鋭な先端部
分を露出させるように開口を有し、電圧を強誘電体層1
02に印加する電圧印加電極層103が形成されてい
る。また、この電圧印加電極層103の上を覆うよう
に、エミッタ101の少なくとも突起先端部分を露出さ
せるように開口を有する絶縁層104が形成されてい
る。
【0045】この絶縁層104の上は、エミッタ101
の少なくとも突起先端部分を露出させるように開口を有
する補助電極層105が形成されている。この補助電極
層105の開口の周縁とエミッタ101の突起先端部と
の間は間隙を隔てており、両者の間で電位差が生じ、エ
ミッタ101の周囲の電界が制御される。
【0046】強誘電体層102の、電圧印加電極層10
3が形成された面とは反対側の面には、背面電極層10
6が形成され、この背面電極層106には、電圧印加電
極層103に印加される電圧とは異なる電圧が印加さ
れ、これら電圧どうしの電位差により強誘電体層102
に分極反転を発生させる。
【0047】背面電極層106の図中下側の主面には、
構造基板としてのガラス基板107が接着されて、この
ガラス基板107により、強誘電体層102をはじめと
する構造が物理的に支持されている。
【0048】そして、以上説明した強誘電体冷陰極のエ
ミッタ101側に対向してアノード110が配置されて
いる。アノード110は、板状のアノード支持基板10
8と、その上に形成されたアノ−ド電極109とから構
成される。
【0049】次に、以上のような構造の、本発明の第1
の実施例に係る強誘電体冷陰極の製造方法を、それに用
いた形成材料も含めて詳述する。図3及び図4は、第1
の実施例に係る強誘電体冷陰極の製造プロセスを工程純
に示す断面図である。
【0050】まず、単結晶基板201の一方の主面(図
3(a)では上側の主面)に、底部が尖鋭な形状のV型
凹部202を形成する。このような凹部202を形成す
る方法としては、以下に述べるようなSi単結晶基板の
異方性エッチングを利用する方法がある。
【0051】即ち、p型で(1,0,0)結晶面方位の
Si単結晶基板201上に、厚さ0.1μmのSiO2
熱酸化層(図示省略)をドライ酸化法により形成し、こ
の熱酸化層にレジスト(図示省略)をスピンコート法に
より塗布する。続いて、レジストをステッパを用いて露
光し、現象して、例えば0.8μm四方の正方形の開口
部を有するレジストパターンを形成する。このレジスト
パターンをマスクとして用いて、NH4 F・HF混合溶
液によりSiO2 熱酸化層のエッチングを行なう。
【0052】その後、レジストパタ−ンを除去した後、
30wt%のKOH水溶液を用いて異方性エッチングを
行ない、図3(a)に示すように,深さ0.56μmの
逆ピラミッド型の凹部202をSi単結晶基板201に
形成する。
【0053】続いて、NH4 F・HF混合溶液を用い
て、SiO2 熱酸化層を一旦除去した後、図3(b)に
示すように、凹部202の内面を含むSi単結晶基板2
01の全面にSiO2 熱酸化層203を形成する。
【0054】本実施例においては、このSiO2 熱酸化
層203は、厚さ0.2μmとなるようにドライ酸化法
により形成した。このとき、凹部202の内面の熱酸化
が内部に進行するので、凹部202の先端部(底部)
を、エッチングにより形成された凹部202の形状より
もさらに先鋭にすることが出来る。この点で、本実施例
のような熱酸化法を用いることが望ましい。ただし、こ
のような尖鋭化をこれほどは進める必要のない場合に
は、また、後述するSi基体除去工程において、エチン
グ液で先端が浸食されない場合、凹部202の内面の熱
酸化工程は省略し、凹部202の形成は、エッチングに
よる形状のままに用いても良いことはいうまでもない。
【0055】続いて、図3(b)に示すように、SiO
2 熱酸化絶縁層203の上に、例えばPbZrO3 −P
bTiO3 系材料(PZT)、(Pb,La)(Zr,
Ti)O3 系材料(PLZT)、PbTiO3 系材料、
(Pb,Ca)TiO3 系材料、Pb(Mg1/3 Nb
2/3 )O3 −PbZrO3 −PbTiO3 系材料、Li
TaO3 系材料、LiNbO3 系材料等の強誘電体材料
を堆積して、エミッタ101およびこれを表面に備えた
強誘電体層102を形成する。本実施例においては、強
誘電体層102は、厚さが0.8μmとなるように、ス
パッタリング法により形成した。
【0056】続いて、Mo、Ta、Cr、Ni、Al、
Au、ITO(酸化インジウム錫)のような導電性材料
を例えばスパッタリング法により厚さ1μmに成膜し、
背面電極層106を形成した。ただし、構造基板107
の材質によっては、背面電極層106は省略することが
できる。即ち、構造基板107自体の導電性が背面電極
として使用可能な程度の値であれば、背面電極層106
は省略しても良い。
【0057】一方、構造基板として、背面に厚さ0.4
μmのAl層205がコートされたパイレックスガラス
からなる厚さ1mmのガラス基板107を用意する。そ
して図3(c)に示すように、このガラス基板107
を,Si単結晶基板201上に形成された導電体層10
6に接着する。この接着には,例えば静電接着法を適用
することが出来る。この静電接着法は、Al層205に
電圧を印加して接着を行なうというもので、冷陰極装置
の軽量化や薄型化に寄与するため好ましい方法といえ
る。
【0058】次に、図3(d)に示すように、ガラス基
板107の背面のAl層205を硝酸(HNO3 )と酢
酸(CH3 COOH)と弗酸(HF)の混酸溶液で除去
する。その後、エチレンジアミンとピロカテコールとピ
ラジンから成る水溶液(エチレンジアミン:ピロカテコ
ール:ピラジン:水=75cc:12g:3mg:10
cc)、さらにNH4 F・HF混合液でSi単結晶基板
201およびSiO2熱酸化層203を選択的にエッチ
ング除去して、四角錐状の先端が先鋭なエミッタ101
を有する強誘電体層102を露出させる。
【0059】なお図3(d)は、エミッタ101の先端
が上を向くように図3(a)〜(c)とは上下を逆転し
て示している。実際に製造工程中でもこのように、上下
を逆転している。これは、図示の直観的理解を容易にす
るためであるとともに、実際に製造工程中での取り扱い
を容易にするためである。
【0060】このように、エミッタ101は、Si単結
晶基板201の凹部202を雌型として、この凹部20
2内に強誘電体材料を充填(堆積)することにより形成
されたものである。
【0061】続いて、図4(a)に示すように、強誘電
体層102の上に、例えばW、Cr、Mo、Ta、N
i、Alのような導電性の良好な金属材料や、不純物ド
ープにより導電性が付与されたSi等からなる導電膜2
07を形成する。この導電膜207は、後に、強誘電体
層102に電圧を印加して分極の向きをそろえ、分極反
転を生じさせる電圧印加電極層103となるものであ
る。次いで、導電膜207の上を覆うように、例えばS
iO2 酸化膜のような絶縁膜208を成膜する。これは
最終的には絶縁層104となるものである。
【0062】次に、絶縁膜208の上に、例えばW、C
r、Mo、Ta、Ni、Alのような導電性の良好な金
属材料や、不純物ドープにより導電性が付与されたSi
等からなる導電膜209を形成する。この導電膜209
は、後に、エミッタの周囲の電界を制御するための電界
印加補助電極層105となるものである。
【0063】そして、図4(b)に示すように、導電膜
209上にレジスト210を塗布し、例えば酸素プラス
マによるドライエッチングなどにより、図2に示す四角
錐状のエミッタ101の尖鋭な先端部が約0.4μmの
高さ露出するような寸法の開口部が形成されるように、
レジスト210をパターニングする。この開口部の大き
さ、即ちエミッタ101の先端部の露出の大きさについ
ては、強誘電体冷陰極としての所望の電流容量に応じて
決定することが出来る その後、例えば反応性イオンエッチング等により、レジ
スト210から露出している部分の導電膜207,絶縁
膜208,導電膜209をエッチング除去して導電膜2
07,絶縁膜208,導電膜209に開口部を形成し、
エミッタ101の先端部を,図4(c)に示すように露
出させる。そして、エッチングプロセスの終了後、不要
となったレジスト210を剥離(除去)して、電圧印加
電極層103、絶縁層104、電界印加補助電極層10
5がそれぞれ形成される。
【0064】そして、最後に、エミッタ101にアノー
ド電極107が所定の間隙で対向するようにアノード1
09を配置する。このようにして、本発明の第1の実施
例に係る強誘電体冷陰極の主要部を作製することができ
る。
【0065】実施例2 図5は、本発明の第2の実施例に係る強誘電体冷陰極を
備えた電子装置の構造の概要を示す図である。
【0066】強誘電体層102は、強誘電体材料から構
成されており、その表面には電子放出用の尖鋭な突起状
のエミッタ101が形成されている。この強誘電体層1
02上には、エミッタ101の少なくとも尖鋭な先端部
分を露出させるように開口を有する第1の絶縁層301
が形成されている。また、この第1の絶縁層301の上
を覆うように、エミッタ101の少なくとも突起先端部
分を露出させるように開口を有する。電極層302が形
成されている。
【0067】この電極層302は、電圧を強誘電体層1
02に印加する役目を果たす。この電極層302の上を
覆うように、エミッタ101の少なくとも突起先端部分
を露出させるように開口を有する第2の絶縁層303が
形成されている。この第2の絶縁層303の上は、エミ
ッタ101とは間隙を隔てて非接触に配置され、エミッ
タ101から放出された電子を受けるアノード電極層3
04が形成されている。
【0068】強誘電体層102の、電圧印加電極層10
3が形成された面とは反対側の面には、背面電極層10
6が形成され、この背面電極層106には、電圧印加電
極層103に印加される電圧とは異なる電圧が印加さ
れ、これら電圧どうしの電位差により強誘電体層102
に分極反転を発生させる。
【0069】背面電極層106の図中下側の主面には、
構造基板としてのガラス基板107が接着されて、この
ガラス基板107により、強誘電体層102をはじめと
する構造が物理的に支持されている。
【0070】また、上記実施例で用いている第1の絶縁
層301は、強誘電体層102の材質や膜厚あるいは冷
陰極として要求される電流容量や精度等によっては省略
することも可能である。
【0071】次に、上記のような構造の本発明に係る第
2の実施例の強誘電体冷陰極の製造方法を、それに用い
た形成材料も含めて述べる。図6〜図8は、本発明の第
2の実施例に係る、強誘電体冷陰極を備えた電子装置の
製造プロセスを工程純に示す断面図である。
【0072】まず、単結晶基板201の一方の主面(図
6(a)では上側の主面)に、底部が尖鋭な形状のV型
凹部202を形成する。このような凹部202を形成す
る方法としては、第1の実施例で述べたようなSi単結
晶基板の異方性エッチングを利用する方法がある。この
方法により、図6(a)に示すように,深さ0.56μ
mの逆ピラミッド型の凹部202をSi単結晶基板20
1に形成する。
【0073】続いて、NH4 F・HF混合溶液を用い
て、SiO2 熱酸化層を一旦除去した後、図6(b)に
示すように、凹部202の内面を含むSi単結晶基板2
01の全面にSiO2 熱酸化層301を形成する。
【0074】本実施例においては、このSiO2 熱酸化
層301は、厚さ0.2μmとなるようにドライ酸化法
により形成した。なお、熱酸化以外にも、例えばCVD
法等によりSiO2 を堆積することも可能である。しか
し、熱酸化により形成されるSiO2 は、緻密で厚さの
制御も容易なうえ、凹部202の内面の熱酸化が内部に
進行するので、凹部202の先端部(底部)を、エッチ
ングにより形成された凹部202の形状よりもさらに先
鋭にすることが出来ることから、熱酸化法のほうが望ま
しい。
【0075】続いて、図6(b)に示すように、SiO
2 熱酸化絶縁層301の上に、第1実施例で用いたのと
同様の強誘電体材料を堆積して、エミッタ101および
これを表面に備えたほぼ平坦な強誘電体層102を形成
する。本実施例においては、強誘電体層102は、厚さ
が0.8μmとなるように、スパッタリング法により形
成した。
【0076】続いて、Mo、Ta、Ni、Au、Alの
ような導電性材料を例えばスパッタリング法により厚さ
1μmに成膜し、背面電極層106を形成した。ただ
し、後述する構造基板107の材質によっては、背面電
極層106は省略することができる。即ち、構造基板1
07の導電性が背面電極として使用可能な程度の値であ
れば、背面電極層106は省略しても良い。
【0077】一方、構造基板として、背面に厚さ0.4
μmのAl層205がコートされたパイレックスガラス
からなる厚さ1mmのガラス基板107を用意する。そ
して図6(c)に示すように、このガラス基板107
を,Si単結晶基板201上に形成された背面電極層1
06に接着する。この接着には,例えば静電接着法を適
用することが出来る。この静電接着法は、Al層205
に電圧を印加して接着を行なうというもので、冷陰極装
置の軽量化や薄型化に寄与するため好ましい方法といえ
る。
【0078】次に、図7(a)に示すように、ガラス基
板107の背面のAl層205を硝酸(HNO3 )と酢
酸(CH3 COOH)と弗酸(HF)の混酸溶液で除去
する。その後、エチレンジアミンとピロカテコールとピ
ラジンから成る水溶液(エチレンジアミン:ピロカテコ
ール:ピラジン:水=75cc:12g:3mg:10
cc)でSi単結晶基板201をエッチング除去して、
四角錐状の先端が先鋭なエミッタ101を有する熱酸化
膜301で覆われた強誘電体層102を露出させる。
【0079】このように、エミッタ101は、Si単結
晶基板201の凹部202を雌型として、この凹部20
2内に強誘電体材料を充填(堆積)することにより形成
されたものである。
【0080】続いて、図7(b)に示すように、SiO
2 熱酸化絶縁層301の上に、例えばW、Cr、Mo、
Ta、Ni、Am、Auのような導電性の良好な金属材
料や、不純物ドープにより導電性が付与されたSi等か
らなる導電膜402をスパッタリング法でにより形成す
る。この導電膜402は、後に、強誘電体層102に電
圧を印加して分極反転を生じさせる電極層302となる
ものである。
【0081】そして、図7(c)に示すように、導電膜
402上にレジスト403を塗布し、例えば酸素プラス
マによるドライエッチングなどにより、図4示す四角錐
状のエミッタ101の尖鋭な先端部が約0.4μmの高
さ露出するような寸法の開口部が形成されるように、レ
ジスト403をパターニングする。
【0082】その後、例えば反応性イオンエッチング等
により、レジスト403から露出している部分の導電膜
401,絶縁膜301エッチング除去して、導電膜40
1,絶縁膜301に開口部を形成し、エミッタ101の
先端部を,図8(a)に示すように露出させる。そし
て、エッチングプロセスの終了後、不要となったレジス
ト302を剥離(除去)する。
【0083】続いて、全面に層間絶縁層としてのPSG
ガラス(phosphosilicate glass )303を形成し、更
にこの上にアノード電極層となる導電膜304を成膜す
る。そしてエミッタ101の、電子を放出するために露
出させることが必要な先端部分を覆っているPSGガラ
ス層303の部分を溶解除去するとともに、その上の導
電膜304も除去して、この部分に開口を設ける。この
PSGガラス層303の部分的溶解除去は、あらかじめ
導電膜304に設けておいて小孔を通して行うことがで
きる。
【0084】こうして、図8(b)に示すように、エミ
ッタ101の先端部が露出し、そのエミッタ101の先
端に間隙を有して配置されたアノード電極層304を備
えた強誘電体冷陰極を備えた電子装置を作製することが
できる。
【0085】このように、本実施例によれば、アノード
電極層304をエミッタ101の先端に間隙を隔てて対
向配置させる構造を、簡易な方法で実現することがで
き、電界分布の改良により、ゲート電極に流れる電流よ
りもアノード電極側に流れる電流の割合を大幅に向上さ
せることができる。
【0086】このような本実施例に係る強誘電体冷陰極
およびそれを用いた電子装置は、電界放出効率及びその
均一性が大幅に向上したものとなる。なお、この第2の
実施例で採用した、電極層302の上に層間絶縁層30
3を介してアノード電極層304を形成する構造は、第
1の実施例で示した電子装置にも採用することも可能で
ある。即ち、アノード109を、強誘電体冷陰極とは別
体でエミッタ101に対向配置する代わりに、補助電極
105上に層間絶縁層を介してアノード電極層を配置す
るものである。
【0087】あるいはこれとは逆に、この第2の実施例
において、アノード電極層304の代りに、第1の実施
例で採用したように、アノ−ドを強誘電体冷陰極とは別
体でエミッタ101に対向配置させることも可能であ
る。良いことは言うまでもない。
【0088】なお、絶縁層301は、省略してもよい。 実施例3 図9は、本発明のる第3の実施例に係る強誘電体冷陰極
を備えた電子装置の構造の概要を示す図である。
【0089】強誘電体層102は、強誘電体材料から構
成されており、その表面には電子放出用の尖鋭な突起状
のエミッタ101が形成されている。この強誘電体層1
02上には、エミッタ101の少なくとも尖鋭な先端部
分を露出させるように開口を有し、電圧を強誘電体層1
02に印加するとともに、エミッタ101との間に電界
を発生させる電圧印加電極層103が形成されている。
【0090】強誘電体層102の、電圧印加電極層10
3が形成された面とは反対側の面には、背面電極層10
6が形成され、この背面電極層106には、電圧印加電
極層103に印加される電圧とは異なる電圧が印加さ
れ、これら電圧どうしの電位差により強誘電体層102
に分極反転を発生させる。
【0091】背面電極層106の図中下側の主面には、
構造基板としてのガラス基板107が接着されて、この
ガラス基板107により、強誘電体層102をはじめと
する構造が物理的に支持されている。
【0092】そして、以上説明した強誘電体冷陰極のエ
ミッタ101側に対向してアノード110が配置されて
いる。アノード110は、板状のアノード支持基板10
8と、その上に形成されたアノ−ド電極109とから構
成される。
【0093】以上説明した電子装置の誘電体冷陰極は、
強誘電体層102上に直接電圧印加電極層103が形成
されているとともに、補助電極層105が形成されてい
ないので、その構造は上述の第1および第2の実施例か
らさらに簡易化されており、その製造方法も非常に容易
である。
【0094】このような第3の実施例に係る強誘電体冷
陰極は、上述の第1及び第2の実施例で説明した方法に
準じた方法により、容易に製造可能である。なお、以上
の各実施例においてはいずれも背面に構造基板としてガ
ラス基板107を貼着した場合について述べたが、構造
基板としてはこの他にも、例えばプリント回路が形成さ
れたガラスエポキシ基板や、金属材料からなる金属基板
などを用いても良い。あるいは、強誘電体層102の物
理的(機械的)強度などが十分であれば、上記のような
構造基板を省略することも可能である。
【0095】実施例4 図10は、本発明に係る第1の実施例に係る強誘電体冷
陰極をアレイ状に配列してなるディスプレイデバイスの
構造の概要を示す図で、(a)は断面図、(b)はその
斜視図である。
【0096】図10に示すディスプレイデバイスでは、
第1の実施例に係る強誘電体冷陰極のエミッタ101
を、各画素ごとに複数個配設して、強誘電体冷陰極アレ
イ基板600が構成されている。アノード110は、ア
ノード支持基板108と、その一方の面に形成された透
明導電膜製のアノード電極109とから構成されてい
る。
【0097】各エミッタ101に対向して、アノード電
極109上に蛍光体601が、それぞれの画素ごとに矩
形の平面パターン状に形成されている。エミッタ101
から放出されアノード電極109に向かって飛来する電
子602が蛍光体層601に衝突すると、表示光603
を発生し、この表示光603によって表示を行なうもの
である。
【0098】本発明に係る強誘電体冷陰極は、このよう
に、例えば画素ごとにアレイ状に配列することにより、
ディスプレイデバイスに適用することができる。この場
合、本発明に係る強誘電体冷陰極は、低い駆動電圧で大
容量の電流制御が可能なので、低電圧で表示に用いられ
る光の輝度を高くすることができる。従って、本発明に
係る強誘電体冷陰極は、従来の主要な自発光ディスプレ
イ素子であるプラズマディスプレイなどの欠点であった
低駆動電圧の困難性が全く無く、そのためディスプレイ
デバイスとしての応用に極めて好適である。
【0099】また、低真空度でも動作するため、蛍光体
からのガス放出にも強いという利点もある。また、本発
明に係る強誘電体冷陰極は、このようなディスプレイデ
バイスのみならず、一般に記憶回路素子や論理回路など
の集積回路素子のような電子装置にも、その低電圧駆動
化および大電流容量の実現が可能な素子として、極めて
有効である。
【0100】なお、上記の第4の実施例の電子装置で
は、第1の実施例に係る強誘電体冷陰極をアレイ状に配
設したが、第3の実施例に係る強誘電体冷陰極を用いる
ことも可能である。
【0101】また、以上の実施例では、エミッタは、ピ
ラミッド状の形状を有する場合について説明したが、エ
ミッタの形状はピラミッド状に限らず、例えば図11
(a)に示すように円錐状でも、図11(b)に示すよ
うにリッジ状であってもよい。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
10-1〜10-2torr程度の低い真空度においても動
作可能で、しかも7〜30Vという低電圧による駆動も
可能であり、更に強誘電体の形成およびハンドリングも
容易な強誘電体冷陰極を得ることが出来る。
【0103】また、このような本発明の強誘電体冷陰極
を用いた電子装置は、低い真空度においても動作可能で
あるため、例えば蛍光体や装置内部表面からのガス放出
や高性能ゲッタ材料の選択などの制約がなく、かつ低電
圧による駆動も可能であるため、フラットパネル型のデ
ィスプレイデバイスや、超高速駆動電子装置や、電子ビ
ームデバイスや、耐環境装置などに好適に適用可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の強誘電体冷陰極を備えた電子装置の一
例を示す断面図。
【図2】 本発明の第1の実施例に係る強誘電体冷陰極
を備えた電子装置の構造の概要を示す断面図。
【図3】 図2に示す電子装置の製造プロセスを示す断
面図。
【図4】 図2に示す電子装置の製造プロセスを示す断
面図。
【図5】 本発明の第2の実施例に係る強誘電体冷陰極
を備えた電子装置の構造の概要を示す断面図。
【図6】 図5に示す電子装置の製造プロセスを示す断
面図。
【図7】 図5に示す電子装置の製造プロセスを示す断
面図。
【図8】 図5に示す電子装置の製造プロセスを示す断
面図。
【図9】 本発明の第3の実施例に係る強誘電体冷陰極
を備えた電子装置の構造の概要を示す断面図。
【図10】 図2に示す強誘電体冷陰極をアレイ状に配
列したディスプレイデバイスを示す断面図及び斜視図。
【図11】 円錐状及びリッジ状のエミッタを示す図。
【符号の説明】
101…エミッタ 102…強誘電体層 103…電圧印加電極層 104…絶縁層 105…補助電極層 106…背面電極層 107…ガラス基板 108…アノード支持基板 109…アノ−ド電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01J 31/12 H01J 1/30 M (56)参考文献 特開 平6−103886(JP,A) 特開 平6−283092(JP,A) 特開 平6−36682(JP,A) 特開 平5−342995(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/312 H01J 9/02 H01J 19/24 H01J 21/04 - 21/10 H01J 29/04 H01J 31/12 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電体材料からなり、先端が尖った凸
    部からなるエミッタを一方の面に有する強誘電体層と、
    前記強誘電体層の一方の面に形成され、前記エミッタの
    先端が露出するように開口部を有する第1の電極層と、
    前記強誘電体層の他方の面に形成された第2の電極層と
    を具備することを特徴とする強誘電体冷陰極。
  2. 【請求項2】 強誘電体材料からなり、先端が尖った凸
    部からなるエミッタを一方の面に有する強誘電体層と、
    前記強誘電体層の一方の面に形成され、前記エミッタの
    先端が露出するように開口部を有する第1の電極と、前
    記第1の電極層上に形成され、前記エミッタの先端が露
    出するように開口部を有する第1の絶縁膜と、前記第1
    の絶縁膜上に形成され、前記エミッタの先端が露出する
    ように開口部を有する電界印加補助電極と、前記強誘電
    体層の他方の面に形成された第2の電極層とを有するこ
    とを特徴とする強誘電体冷陰極。
  3. 【請求項3】 前記第1及び第2の電極層間に電圧を印
    加し、それによって前記強誘電体層に分極反転を生じさ
    せる電圧印加手段を更に具備することを特徴とする請求
    項1又は2に記載の強誘電体冷陰極。
  4. 【請求項4】 強誘電体冷陰極、及び強誘電体冷陰極に
    対向して配置されたアノ−ドを含む電子装置であって、
    前記強誘電体冷陰極は、強誘電体材料からなり、先端が
    尖った凸部からなる複数のエミッタを一方の面に有する
    強誘電体層と、前記強誘電体層の一方の面に形成され、
    前記エミッタの先端が露出するように複数の開口部を有
    する第1の電極層と、前記強誘電体層の他方の面に形成
    された第2の電極層と、前記第1及び第2の電極層間に
    電圧を印加し、それによって前記強誘電体層に分極反転
    を生じさせる、電圧印加手段とを具備することを特徴と
    し、前記分極反転が生じることにより前記エミッタの先
    端から電子が放出され、前記アノ−ドに到達する電子装
    置。
  5. 【請求項5】 基板に底部が先鋭な凹部を設ける工程
    と、前記凹部内を含む前記基板表面に強誘電体材料を堆
    積して、強誘電体層を形成する工程と、前記基板を除去
    して、前記凹部内に堆積された前記強誘電体材料からな
    る、先端が尖った凸部からなるエミッタを露出させる工
    程と、前記強誘電体層の前記エミッタが形成された側
    に、前記エミッタの先端が露出するように開口部を有す
    る第1の電極層を形成する工程と、前記強誘電体層の前
    記エミッタが形成された側とは反対側に、第2の電極層
    を形成する工程とを具備することを特徴とする強誘電体
    冷陰極の製造方法。
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