JP3428451B2 - プラズマディスプレイおよびその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイおよびその製造方法

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JP3428451B2
JP3428451B2 JP24174798A JP24174798A JP3428451B2 JP 3428451 B2 JP3428451 B2 JP 3428451B2 JP 24174798 A JP24174798 A JP 24174798A JP 24174798 A JP24174798 A JP 24174798A JP 3428451 B2 JP3428451 B2 JP 3428451B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイおよびその製造方法に関する。プラズマディスプレ
イは大型のテレビやコンピューターモニターに用いるこ
とができる。
【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレイ(PDP)は液晶
パネルに比べて高速の表示が可能であり、かつ大型化が
容易であることから、OA機器、広報表示装置などの分
野に用いられている。また、高品位テレビジョンの分野
などへの進展が非常に期待されている。
【0003】このような用途の拡大にともなって、微細
で多数の表示セルを有するカラープラズマディスプレイ
が注目されている。AC方式プラズマディスプレイを例
に挙げて説明すると、前面ガラス基板と背面ガラス基板
との間に備えられた放電空間内で対抗するアノードおよ
びカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電
空間内に封入されているガスから発生した紫外線を、放
電空間内に設けた蛍光体にあてることにより表示を行う
ものである。AC方式プラズマディスプレイの簡単な構
成図を図1に示す。この場合、放電の広がりを一定領域
に押さえ、表示を規定のセル内で行わせると同時に、か
つ均一な放電空間を確保するために隔壁(障壁、リブと
もいう)が設けられている。AC方式プラズマディスプ
レイの場合、この隔壁はストライプ状に形成される。
【0004】上記の隔壁は、およそ幅30〜80μm、
高さ70〜200μmであるが、通常、前面ガラス基板
や背面ガラス基板にガラス粉末を含む絶縁ペーストをス
クリーン印刷法で印刷・乾燥し、この印刷・乾燥工程を
10数回繰り返して所定の高さに形成する。
【0005】特開平1−296534号公報、特開平2
−165538号公報、特開平5−342992号公
報、特開平6−295676号公報、特開平8−508
11号公報では、隔壁を感光性ペーストを用いてフォト
リソグラフィー技術により形成する方法が提案されてい
る。
【0006】上記のいずれの方法も、ガラス粉末を含む
絶縁ペーストを隔壁パターン形状に形成した後、焼成す
ることにより隔壁を形成する。その際、隔壁の端部が、
隔壁の上部と下部の焼成収縮差により、図4に示される
ように下地から剥離して跳ね上がる、または、図5に示
されるように、剥離はしないが、隔壁上部が盛り上がる
という問題が生じていた。
【0007】この跳ね上がりまたは盛り上がりが隔壁の
端部にあると、前面板と背面板を合わせてパネルを形成
した際に、背面板の隔壁頂部と前面板の間にギャップが
生じる。このギャップにより、放電時にクロストークが
発生し、映像に乱れが生じる問題があった。
【0008】この対策として、特開平6−150828
号公報では隔壁を多層構造にして、上層と下層の組成を
変え、下層に上層よりも低融点のガラスを設ける方法が
提案されている。また、特開平6−150831号公報
では、端部の下地にアンダーガラス層を設ける方法が提
案されている。しかしながら、いずれの方法も盛り上が
りを防ぐには十分でなかった。また、特開平6−150
832号公報では、隔壁端部を階段状にする方法が記載
されているが、盛り上がりを防ぐには十分でなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、端部の跳ね
上がりおよび盛り上がりのない高精細プラズマディスプ
レイおよびその製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は、誤放電の少ない高精細のプラズマディス
プレイおよびその製造方法を提供することを目的とす
る。なお、本発明におけるプラズマディスプレイとは、
隔壁で区切られた放電空間内において放電することによ
り表示を行うディスプレイを指し、上記のAC方式プラ
ズマディスプレイ以外にも、プラズマアドレス液晶ディ
スプレイをはじめとする各種放電型ディスプレイを含む
ものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、基板上
に誘電体層およびストライプ状の隔壁が形成されたプラ
ズマディスプレイであって、該隔壁の長手方向端部に傾
斜部を有し、かつ、以下の(1)、(2)及び(3)項
を満たすことを特徴とするプラズマディスプレイにより
達成される。(1)前記隔壁の該傾斜部の高さ(Y)および該傾斜部
の底辺の長さ(X)が下記の範囲にある。 0.5≦X/Y≦100 (2)傾斜部の底辺の長さ(X)が0.05〜10mm
である。 (3)傾斜部の傾斜角が0.5〜60度である。
【0011】また本発明の目的は、基板上に誘電体層お
よびストライプ状隔壁が形成されたプラズマディスプレ
イの製造方法であって、無機材料と有機成分からなる隔
壁用ペーストを用いて、端部に傾斜部を有するストライ
プ状隔壁パターンを基板上に形成する工程および該隔壁
パターンを焼成する工程を経て、隔壁の長手方向端部
、以下の(1)、(2)及び(3)項を満たす傾斜部
を有する隔壁を形成することを特徴とする請求項1から
4いずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法に
より達成される。(1)前記隔壁の該傾斜部の高さ(Y)および該傾斜部
の底辺の長さ(X)が下記の範囲にある。 0.5≦X/Y≦100 (2)傾斜部の底辺の長さ(X)が0.05〜10mm
である。 (3)傾斜部の傾斜角が0.5〜60度である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のプラズマディスプレイ
は、隔壁端部に傾斜部を有することが必要である。ここ
で、隔壁端部に傾斜部を有するとは、図2に示すように
隔壁の長手方向端部の少なくとも一部がテーパ形状にな
っていることを言う。隔壁端部に傾斜部を有することに
よって、図2のように隔壁上部の収縮応力と接着力に起
因する応力を緩和させることができ、跳ね上がり、盛り
上がりを防止できる。
【0013】隔壁端部に傾斜部を有さない場合は、焼成
による収縮の際、図3のように隔壁下部が下地と接着し
ているのに対し、上部は収縮が自由にできるため、この
収縮応力の差により、跳ね上がる(図4)または盛り上
がる(図5)という現象が起きると推定される。
【0014】傾斜部は(1)直線状、(2)上に凸の曲線、
(3)下に凸の曲線および(4)複数の直線を連結したものな
ど、どのような形状であっても傾斜がついているものな
らよい。
【0015】さらに傾斜部は隔壁の両端部に形成するこ
とが、パネル封着時の前面板と背面板間のギャップムラ
をなくす上で好ましい。
【0016】また、傾斜部は図6のように階段形状と組
み合わせてもよい。ただし、傾斜部でない部分の高さは
50μm以下が好ましい。直角部分を有する階段形状
は、収縮応力のバランスをとることができないため、高
さが高いほど跳ね上がり、または盛り上がりの程度が大
きくなる。50μm以下であると盛り上がりが小さく、
20インチ以上のパネルを形成した場合、前面板と隔壁
が密着し、クロストークが起こりにくくなる。階段形状
と傾斜部を組み合わせる場合、傾斜部を隔壁最上部に設
けることがより好ましい。傾斜部が最上部にあることに
よって盛り上がりを解消できる。
【0017】前記傾斜部の高さ(Y)と傾斜部の底辺の
長さ(X)(図7)が下記に示される範囲にあることが
必要である
【0018】0.5≦X/Y≦100 また、傾斜部の底辺の長さ(X)は0.05〜0mm
であることが必要である。傾斜部は所望の隔壁高さより
低く、画像乱れを生じることから、Xが0mmを越え
てはいけない。好ましくは5mm以下である。また、
0.05mm未満の場合は傾斜部を形成することによる
跳ね上がり抑制や盛り上がり抑制に対する効果が少な
い。
【0019】また、本発明において、隔壁の傾斜部の傾
斜角が0.5〜60度であることが必要である。傾斜が
直線上でない場合には、図8のように示したように傾斜
が最大になる部分の角度を傾斜角とする。傾斜角が0.
5度以下では傾斜部が長くなりすぎるため、パネル設計
上好ましくなく、傾斜角が60度以上では焼成時のハガ
レを十分抑制できない。また、好ましい範囲としては、
20〜50度である。
【0020】盛り上がり、跳ね上がりは焼成時に起こる
ため、傾斜部は隔壁焼成前に形成することが好ましい。
【0021】隔壁用ペーストの焼成時の収縮率をrとす
ると焼成収縮は高さ方向には顕著であるが、隔壁長手方
向にはほとんど起こらないため、焼成前の傾斜部の高さ
をY’、傾斜部の長さをX’とすると、Y=r×Y’、
X〓X’となる。従って、焼成後の隔壁形状を本発明の
範囲にするためには、焼成前の隔壁パターン端部の好ま
しい形状は、0.5≦X’/(Y’×r)≦100の範
囲である。
【0022】この際、焼成前の傾斜部の高さY’は、焼
成前の隔壁パターン高さの0.2〜1倍であることが、
隔壁端部の隆起を防止するために効果的である。0.2
倍未満では、隔壁上部と下部の焼成収縮応力差を緩和す
ることができず、隆起を防止できない。また、1倍とし
た場合、傾斜部を形成する工程によっては、基板に設け
てある誘電体または電極を傷つけたりすることがあるの
で、0.9倍以下が好ましい。より好ましくは0.3〜
0.8倍である。
【0023】傾斜部の形状の測定方法は特に限定しない
が、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡、またはレーザー顕微
鏡を用いて測定するのが好ましい。
【0024】たとえば、走査電子顕微鏡(HITACH
I S−2400)を用いる場合は次のような方法が好
ましい。隔壁端部が正確にでるように切断し、観察が可
能なサイズに加工する。測定倍率は、傾斜部が視野には
いるところを選ぶ。そして傾斜部と同等の大きさの標準
試料で縮尺を校正した後に写真を撮影する。図7のよう
な方法でXとYの長さを測定し、縮尺から形状を算出す
る。
【0025】また非破壊で測定を行いたい場合は、レー
ザーフォーカス変位計(たとえば(株)キーエンス社製
LT−8010)を用いてもよい。この場合も同様に
標準試料で校正を行った後、測定を行うのが好ましい。
この際、レーザーの測定面が隔壁のストライプ方向と平
行になっていることを確認することが、正確な測定をす
るため好ましい。
【0026】本発明のプラズマディスプレイの製造方法
においては、無機材料と有機成分からなる隔壁用ペース
トを用いて、端部に傾斜部を有するストライプ状隔壁パ
ターンを基板上に形成する工程および該隔壁パターンを
焼成する工程を経て、隔壁の長手方向端部に傾斜部を有
するストライプ状隔壁を形成する。隔壁端部に傾斜部を
形成する方法は特に限定しないが、以下のような方法を
用いることができる。
【0027】一つの方法は、隔壁用ガラスペーストを基
板上に塗布する際、塗布膜の端部が傾斜面を形成するよ
うに塗布し、その塗布膜の傾斜面がストライプ状隔壁パ
ターンの長手方向端部となるように隔壁パターンを形成
する方法である。塗布方法は特に限定しないが、スクリ
ーン印刷、ロールコーター、ドクターブレード、口金か
ら吐出するスリットダイコーターを用いるのが好まし
い。
【0028】隔壁パターン形成方法には、スクリーン印
刷法、サンドブラスト法、リフトオフ法、フォトリソグ
ラフィ法などを用いることができる。
【0029】特に、隔壁パターンの形成をフォトリソグ
ラフィ法で行う場合は、前記の傾斜面を有する塗布膜
を、ストライプ状パターンを有するフォトマスクを通し
て露光し、現像することによりストライプ状隔壁パター
ンを形成するが、その際傾斜面を端部とした塗布膜長さ
より長いストライプ状パターンを有するフォトマスクを
通して露光することにより、端部に傾斜部を有するスト
ライプ状隔壁パターンを得ることができる。この方法は
後加工を必要とせず、工程をふやすことなく傾斜部を形
成できる。
【0030】もう一つの方法は、隔壁用ガラスペースト
を基板上に塗布した後、塗布膜を加工して傾斜面を形成
し、その塗布膜の傾斜面がストライプ状隔壁パターンの
長手方向端部となるように隔壁パターンを形成する方法
である。
【0031】塗布膜を加工して傾斜面を形成する方法は
どの様な方法でも良いが、塗布膜に流体を噴射し傾斜面
を形成することが好ましい。具体的には、まだ完全に乾
燥硬化していない流動性の残った塗布膜に流体を噴射し
て、図9に示すように傾斜面を形成する。
【0032】この方法において用いる流体としては、作
業温度において液体または気体であるならば、いかなる
物質でもよいが、焼成工程を経た後に、基板上に残留し
ない物質であり、且つ作業をクリーンに行えるものであ
ることが好ましい。流体はクリーン度の点および回収作
業が必要ないことから気体が好ましい。気体の成分は特
に限定されないが、コスト面から空気または窒素が好適
に用いられる。流体として気体を用いる場合は、まだ完
全に乾燥硬化していない流動性の残った塗布膜に気体を
噴射して傾斜面を形成することが好ましい。また、流体
として溶媒を用いることも好ましい。流体として溶剤を
用いる場合は、乾燥硬化後の塗布膜に溶媒を噴射して傾
斜面を形成することにより、精密な加工が可能である。
【0033】流体の噴射は、ノズルまたはスリットを用
いることが好ましい。ノズルの内径およびスリットの間
隙は、それぞれ0.01mm〜3mmであることが好ま
しい。0.01mm未満では、流体噴射の際、必要な流
量が得られず、傾斜面を形成できない。3mmを超える
と、流体の噴射位置制御が困難となる。
【0034】塗布膜を加工して傾斜面を形成する方法と
しては、機械的に切削して加工する方法もよい。ここで
いう切削とは、刃物や砥石またはそれに類するものでの
切削、サンドブラストでの切削、レーザー照射による焼
きとばし等を含む。切削量は塗布膜の厚さに依存し、塗
布膜厚さの10〜90%が好ましく、特に50〜80%
が好ましい。切削量は多すぎると基板を削る恐れがあ
り、少なすぎると塗布膜厚さムラの影響で切削できない
部分が生じる。塗布膜を乾燥硬化後、切削することが、
切削による盛り上がりを生じさせないため、好ましい。
さらに熱や紫外線でキュア後にこの方法を適用してもよ
い。フォトリソグラフィ法により塗布膜に紫外線でパタ
ーンを露光して、部分的に硬化している部分ができてい
るような場合にも、適用できる。
【0035】切削速度については、切削断面の状況を見
てきめればよいが、0.05〜10m/分が好ましい。
【0036】また刃物、砥石などの材料については、セ
ラミック、高速度鋼、超鋼等の切削用材料として用いら
れるものならすべて適用できる。
【0037】塗布膜が感光性ペーストを塗布したもので
あり、フォトリソグラフィ法により隔壁パターンの形成
を行う場合には、露光後、現像前の工程で削ることも好
ましい。削りカスが現像工程により洗い流され、簡便に
削りカスによる欠点を防止できる。
【0038】隔壁パターン形成にリフトオフ法を用いる
場合には樹脂型に隔壁用ペーストを充填し、乾燥硬化し
た後に、樹脂型と隔壁用ペースト塗布膜を同時に切削す
ることが好ましい。同時に切削することにより、隔壁パ
ターンの倒れが防止できる。さらに、削りカスも樹脂型
を除去する工程で一緒に除去できるため、欠点防止にも
有利である。リフトオフ法とは、ガラス基板上に感光性
樹脂により隔壁パターンの母型として樹脂型を形成し、
それに隔壁用ペーストを充填する。続いて、該隔壁用ペ
ーストを乾燥後、樹脂型を除去して隔壁パターンを形成
し、該隔壁パターンを焼成することにより隔壁を形成す
る方法である。
【0039】また隔壁パターン形成にサンドブラスト法
を用いる場合には、サンドブラストにより不要部分を除
去した後に、レジスト層とともに切削してもよい。レジ
スト層を除去する際に削りカスも同時に除去できるた
め、欠点防止に有利である。サンドブラスト法とは、隔
壁用ペースト塗布膜上にレジスト層を塗布し、該レジス
ト層を露光、現像することにより隔壁パターンマスクを
形成し、サンドブラストによって不要部分を除去するこ
とにより隔壁パターンを形成した後、レジスト層を除去
し、隔壁パターンを焼成することにより隔壁を形成する
方法である。
【0040】切削により傾斜面の形成された塗布膜端部
の好ましい形状の1例を図10に示す。傾斜面でない部
分の高さをt1、塗布膜厚みをt2、傾斜面の傾斜角を
φとすると、t1/t2=0.1〜0.8、φ=0.1
〜60度の範囲が好ましい。そのためには目的の傾斜面
形状と一致した形状の成形刃物や砥石など(例えば図1
0の破線で示す形状)を使用すれば良い。切削の際に
は、基板を固定して刃物、砥石などの切削手段を移動さ
せても、切削手段を固定して基板を移動させても良い。
刃物を用いた場合、図10を横から見た図を図11およ
び図12に示す。ここでは、刃物を固定して基板を矢印
の方向に移動させている。刃物の基板に対する角度は図
11に示すように基板に対して対向するようにしてもよ
いし、図12に示すように基板に刃物がかぶるようにし
てもよい。塗布膜の特性に合わせて、選択すればよい。
どちらの場合も刃物と基板との角度Θは10〜80度、
特に15〜60度が好ましい。
【0041】サンドブラストで切削する場合またはレー
ザーで焼きとばす場合は、サンドブラストの噴射角度や
レーザー照射角度が重要となるが、目的の傾斜面形状に
合うように角度を設定すればよい。好ましい角度として
は上記と同様に0.1〜60度であることがよい。
【0042】また、塗布膜を切削することによって発生
する削りカスを強制的に排除することが好ましい。削り
カスの強制的な排除は削りカスを吸引して行うことが好
ましい。これによってカスの塗布膜表面への再付着を防
ぎ、パネル欠陥の防止になる。なお、吸引に用いる装置
の吸引圧力は10〜500hPaであることが好まし
い。
【0043】さらに、膜厚形状が常に一定となるよう
に、塗布膜プロファイルに応じて前記刃物または砥石の
塗布膜に対する相対位置を変化させることもよい。対角
20インチ以上のガラス基板上に隔壁パターンを形成す
る場合、基板には数十μmオーダーのうねりが存在す
る。刃物または砥石と基板の距離を一定にすることによ
り、誘電体や電極を削ることを防ぎ、欠陥防止になる。
【0044】塗布膜を加工して傾斜面をつける手段とし
て、溶剤で溶かして加工してもよい。具体的には、布な
どに溶剤を含ませて、塗布膜をこすることにより傾斜面
を形成する。また、塗布膜にくさび型の判を押して傾斜
面を形成してもよい。
【0045】特に隔壁パターンの形成をフォトリソグラ
フィ法で行う場合は、前述と同様に、傾斜面を端部とし
た塗布膜長さより長いストライプ状パターンを有するフ
ォトマスクを用いることにより、端部に傾斜部を有する
ストライプ状隔壁パターンを得ることができる。
【0046】なお、ここでいう傾斜面を端部とした塗布
膜長さとは、傾斜面を終端部とみなした場合の塗布膜長
さのことである。塗布膜の加工に際して、形成した傾斜
面の外部に、塗布膜の不用な一部(以下、塗布膜残渣と
呼ぶ)が残ってしまった場合、この塗布膜残渣は傾斜面
を端部とした塗布膜長さには含まれない。塗布膜残渣は
現像工程等の後工程で、基板上から取り除かれる。例え
ば図9は塗布膜に傾斜面を形成したところであり、図面
の向かって左側が塗布膜、右側が塗布膜外部であるが、
本発明においては、図面左の点線を塗布膜長さの端部と
みなす。また、図面右の点線より右側は、不用な塗布膜
残渣である。ここで傾斜面を端部とした塗布膜長さより
長く、塗布膜残渣は含まない長さ、すなわち、図面左の
点線と右の点線の間にパターンの端部が存在する長さの
フォトマスクを用いることにより、塗布膜残渣は露光さ
れないので、現像時に除去され、端部に傾斜部を有する
隔壁パターンのみが得られる。
【0047】また、隔壁パターンを形成してから、端部
を加工して傾斜部を形成しても良いが、加工のしやすさ
や工程数を少なくできることから、前記のように傾斜部
を形成した後、隔壁パターンを形成する方が好ましい。
【0048】隔壁端部に傾斜部を形成する別の方法は、
無機材料と有機成分とからなる隔壁用ペーストをストラ
イプ状の溝を形成した隔壁母型に充填する工程、該隔壁
母型に充填された隔壁用ペーストを基板上に転写する工
程、該隔壁用ペーストを400〜600℃で焼成する工
程とをこの順で含む方法である。
【0049】すなわち、予め隔壁パターンに対応する溝
を隔壁母型に形成し、これに隔壁用ガラスペーストを充
填し、該ペーストを隔壁母型からガラス基板上に転写し
て、隔壁パターンを形成する方法である。この方法にお
いては、ガラスペーストを隔壁母型中に充填した後に、
ガラス基板上に転写して隔壁パターンを形成するが、転
写する際に圧力を加えて転写することによって、転写欠
陥が生じにくくなる。また、加熱しながら転写すること
によって、隔壁母型からのペーストの脱離が容易にな
る。さらに、ガラスペースト中の有機成分が熱重合する
成分を含有する場合、重合収縮による体積変化が生じる
ため、隔壁型の剥離が容易になる。
【0050】この方法においては、隔壁パターンを形成
した後、前述のような傾斜面形成方法によって隔壁パタ
ーン端部に傾斜部を形成しても良いが、予め隔壁母型に
形成する溝の端部に傾斜部を形成しておくと、後加工の
必要が無くなり、工程を増やすことなく傾斜部を形成で
き、好ましい。
【0051】さらに別の方法は、無機材料と有機成分と
からなる隔壁用ペーストを、基板に塗布して塗布膜を形
成する工程、該塗布膜にストライプ状の溝を形成した隔
壁母型を押し当てて隔壁パターンを形成する工程、該隔
壁パターンを400〜600℃で焼成する工程とを、こ
の順で含む方法である。
【0052】この方法は、隔壁用のガラスペーストを、
予めガラス基板の一部もしくは全面に均一塗布し、この
ペースト塗布層に隔壁母型を押し当てることにより、隔
壁パターンを形成する方法である。ガラスペーストをガ
ラス基板に均一に塗布する方法は特に限定されないが、
スクリーン印刷法やダイコーターやロールコーターを用
いたコーティング法などが好ましく挙げられる。
【0053】この方法においても、前記と同様に、予め
隔壁母型に形成する溝の端部に傾斜部を形成しておくこ
とが好ましい。
【0054】図13は上記した各製造方法に好ましく使
用される隔壁母型の断面図であり、隔壁母型に形成され
た溝の長手方向端部に傾斜部を有する。該隔壁母型を構
成する材料としては、高分子樹脂もしくは金属が好まし
く挙げられるが、前者の製造方法においては、シリコー
ンゴム製の隔壁母型を好ましく用いることができ、また
後者の製造方法においては、金属板をパターンエッチン
グや研磨剤を用いたパターン研削等によって作製した隔
壁母型を好ましく用いることができる。
【0055】端部に傾斜部を有することに加え、隔壁を
多層構成にして、上層より下層に低軟化点ガラスを用い
ることも、接着力をあげることができるため好ましい。
下地との接着力が向上することにより、跳ね上がりが防
止できる。
【0056】本発明のプラズマディスプレイ用隔壁は、
下面幅をLb、半値幅をLh、上面幅をLtとしたと
き、 Lt/Lh=0.65〜1 Lb/Lh= 1〜2 の範囲にあることが好ましい。なおLbは隔壁底部の
幅、Lhは半値幅(隔壁高さを100としたとき、底面
から50の高さの線幅)、Ltは隔壁上部の幅を示す。
【0057】Lt/Lhが1より大きいと、隔壁中央に
くびれが生じる形状となり、隔壁のピッチに対する放電
空間の割合、すなわち開口率が小さくなるため、輝度が
低下する。また蛍光体形成時に塗布ムラすなわち厚みム
ラや不均一が生じる。また0.65未満では上面が細く
なりすぎ、パネル形成時にかかる大気圧に耐える強度が
不足し、先端のつぶれが生じやすくなる。Lb/Lhが
1未満では強度が低くなり、隔壁の倒れ、蛇行の原因に
なるため、好ましくない。また2より大きいと放電空間
が減少することにより輝度が低下する。
【0058】より好ましくは、Lt/Lh=0.8〜
1、Lb/Lh=1〜1.5の範囲が、開口率の確保の
点からすぐれているため、好ましい。ただし、Lt=L
h=Lbの場合は、強度が弱くなり、倒れが生じやすく
なることから、好ましくない。形状としては、隔壁下面
にくびれなどない台形または矩形形状が強度の点から好
ましい。
【0059】また焼成前の隔壁パターンを上記形状とす
ることにより、特に基板ガラスや誘電体層との接触面積
が広くなり、形状保持性や安定性が向上する。その結
果、焼成後の剥がれ、断線が解消される。
【0060】本発明における隔壁の気孔率は、隔壁の倒
れを防止し、基板との密着性に優れていることから、1
0%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。気孔率
(P)は、隔壁材料の真比重をdth、隔壁の実測密度を
dexとしたとき、 P=(dth−dex)/dth×100 と定義する。
【0061】隔壁材料の真比重は次の様ないわゆるアル
キメデス法を用いて算出するのが好ましい。隔壁材料を
乳鉢を用いて指頭に感じない程度、325メッシュ以下
ぐらいまでに粉砕する。そしてJIS−R2205に記
載のように真比重を求める。
【0062】次に実測密度の測定は隔壁部分を形状を崩
さないように削り取り、粉砕を行わないこと以外は上記
と同様にしてアルキメデス法を用いて計測を行う。
【0063】気孔率が10%より大きいと、密着強度が
低下するのに加え、強度の不足、また放電時に気孔から
排出されるガス、水分の吸着による輝度低下などの発光
特性低下の原因になる。パネルの放電寿命、輝度安定性
などの発光特性を考慮すると、さらに好ましくは1%以
下がよい。
【0064】プラズマディスプレイやプラズマアドレス
液晶ディスプレイの隔壁に用いる場合は、ガラス転移
点、軟化点の低いガラス基板上にパターン形成するた
め、隔壁材料として、ガラス転移点が430〜500
℃、軟化点が470〜580℃のガラス材料を用いるこ
とが好ましい。ガラス転移点が500℃、軟化点が58
0℃より高いと、高温で焼成しなければならず、焼成の
際に基板に歪みが生じる。またガラス転移点が430
℃、軟化点が470℃より低い材料は緻密な隔壁層が得
られず、隔壁の剥がれ、断線、蛇行の原因となる。
【0065】ガラス転移点、軟化点の測定は次の様にす
るのが好ましい。示差熱分析(DTA)法を用いて、ガ
ラス試料約100mgを20℃/分で空気中で加熱し、
横軸に温度、縦軸に熱量をプロットし、DTA曲線を描
く。DTA曲線より、ガラス転移点と軟化点を読みと
る。
【0066】また、基板ガラスに用いられる一般的な高
歪点ガラスの熱膨張係数が80〜90×10-7/Kであ
ることから、基板のそり、パネル封着時の割れ防止のた
めには、50〜400℃の熱膨張係数(α50400)が
50〜90×10-7/K、さらには、60〜90×10
-7/Kのガラス材料を隔壁および誘電体層に用いること
が好ましい。上記の特性を有するガラス材料を用いるこ
とによって、隔壁の剥がれや断線を防ぐことができる。
【0067】隔壁材料の組成としては、酸化珪素はガラ
ス中に、3〜60重量%の範囲で配合することが好まし
い。3重量%未満の場合はガラス層の緻密性、強度や安
定性が低下し、また熱膨張係数が所望の値から外れ、ガ
ラス基板との不一致が起こりやすい。また60重量%以
下にすることによって、熱軟化点が低くなり、ガラス基
板への焼き付けが可能になるなどの利点がある。
【0068】酸化ホウ素はガラス中に、5〜50重量%
の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強度、熱
膨張係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的
特性を向上することができる。50重量%を越えるとガ
ラスの安定性が低下する。
【0069】酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリ
ウムのうち少なくとも1種類を2〜15重量%含むガラ
ス粉末を用いることによっても、ガラス基板上にパター
ン加工できる温度特性を有する感光性ペーストを得るこ
とができる。リチウム、ナトリウム、カリウム等のアル
カリ金属の酸化物は添加量としては、15重量%以下、
好ましくは、15重量%以下にすることによって、ペー
ストの安定性を向上することができる。
【0070】酸化リチウムを含むガラス組成としては、
酸化物換算表記で 酸化リチウム 2〜15重量% 酸化珪素 15〜50重量% 酸化ホウ素 15〜40重量% 酸化バリウム 2〜15重量% 酸化アルミニウム 6〜25重量% の組成を含有することが好ましい。また、上記組成で、
酸化リチウムの代わりに、酸化ナトリウム、酸化カリウ
ムを用いても良いが、ペーストの安定性の点で、酸化リ
チウムが好ましい。
【0071】また、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛の
ような金属酸化物と酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸
化カリウムのようなアルカリ金属酸化物の両方を含有す
るガラスによって、より低いアルカリ含有量で軟化点や
線熱膨張係数のコントロールが容易になる。
【0072】基板と隔壁の間に誘電体層を設けると、基
板上に直接形成する場合に比べて隔壁の密着性が増大し
て剥がれが抑制される。
【0073】誘電体層の厚みは、5〜20μm、より好
ましくは8〜15μmであることが均一な誘電体層の形
成のために好ましい。厚みが20μmを越えると、焼成
の際、脱媒が困難でありクラックが生じやすく、また基
板へかかる応力が大きいために基板が反る等の問題が生
じる。また、5μm未満では厚みの均一性を保持するの
が困難である。
【0074】誘電体層用塗布膜上に隔壁パターンを形成
した後、隔壁パターンと誘電体層用塗布膜を同時に焼成
すると、誘電体層用塗布膜と隔壁パターンの脱バインダ
ーが同時におこるため、隔壁パターンの脱バインダーに
よる収縮応力が緩和され、剥がれや断線を防止できる。
これに対し、まず誘電体層用塗布膜のみを焼成した後、
この上に隔壁パターンを形成して焼成する場合、隔壁と
誘電体層間の密着不足による焼成の際の剥がれや断線を
起こしやすい。また、隔壁パターンと誘電体層用塗布膜
を同時に焼成すると、工程数が少なくて済むという利点
がある。
【0075】同時焼成法の場合、誘電体層用塗布膜を形
成した後、膜の硬化を行うと、隔壁パターン形成工程に
おいて、該塗布膜が現像液に浸食されないため好まし
い。誘電体層用塗布膜を硬化するには、誘電体層用ペー
ストに感光性のものを用い、ガラス基板上に塗布し、乾
燥を行った後、露光を行い、光硬化する方法が簡便で好
適に用いられる。
【0076】また、熱重合によっても塗布膜を硬化させ
ることができる。この場合は、誘電体層用ペースト中に
ラジカル重合性モノマーおよびラジカル重合開始剤を添
加し、ペーストを塗布後、加熱する方法等がある。
【0077】誘電体層用塗布膜の硬化を行わないことも
できるが、硬化を行った場合に比べ、隔壁パターン形成
工程において、現像液による浸食をうけ、誘電体層に亀
裂が生じやすい。従って、現像液に非溶解性のポリマー
を選択せねばならない。
【0078】本発明の誘電体層は、50〜400℃の範
囲の熱膨張係数α50400の値が、70〜85×10-7
/K、より好ましくは72〜80×10-7/Kであるガ
ラスを主成分とすることが、基板ガラスの熱膨張係数と
整合し、焼成の際にガラス基板にかかる応力を減らす点
で好ましい。主成分とするとは、全成分中に60重量%
以上、好ましくは70重量%以上含まれることをいう。
85×10-7/Kを越えると、誘電体層の形成面側に基
板が反るような応力がかかり、70×10-7/K未満で
は誘電体層のない面側に基板が反るような応力がかか
る。このため、基板の加熱、冷却を繰り返すと基板が割
れる場合がある。また、前面基板との封着の際、基板の
反りのために両基板が平行にならず封着できない場合も
ある。
【0079】本発明のプラズマディスプレイ用基板の前
記反り量は、基板の曲率半径Rに反比例するので、基板
の曲率半径の逆数(1/R)によって規定することがで
きる。ここで反り量の正負の値は基板の反る方向を表
す。ガラス基板の曲率半径は、種々の方法で測定できる
が、表面粗さ計(東京精密社製:サーフコム1500A
など)を用い、基板面のうねりを測定する方法がもっと
も簡便である。得られたうねり曲線の最大偏差H、測定
長さLから次式を用いて反り量1/Rを算出できる。
【0080】1/R〓8H/L2 基板に反りが生じている場合、前面板と背面板の封着の
際、隔壁頭部と前面板表面との間に隙間が生じること
で、各セル間で誤放電が生じたり、封着時に基板が破損
したりする。これらの問題が生じないためには、反り量
の絶対値を3×10-3-1以下にする必要がある。すな
わち、基板の反り量を次式の範囲内にする必要がある。
【0081】−3×10-3-1≦1/R≦3×10-3
-1(Rは基板の曲率半径を表す) 本発明では、誘電体層中にアルカリ金属を実質的に含有
しないことにより焼成時の基板の反りやパネル封着時の
割れを防止することができる。本発明で、実質的に含有
しないとは、アルカリ金属の含有量が無機材料に対して
0.5重量%以下、好ましくは、0.1重量%以下であ
る。熱膨張係数が基板ガラスと整合していても、誘電体
中にアルカリ金属、例えばNa(ナトリウム)、Li
(リチウム)、K(カリウム)等の含有量が0.5重量
%を超える場合は、焼成時にガラス基板や電極中のガラ
ス成分とイオン交換が起こるため、基板の表面部分や誘
電体層の熱膨張係数が変化し、誘電体層と基板の熱膨脹
係数と一致しなくなり、基板に引っ張り応力が生じ、基
板割れの原因となる。また、アルカリ土類金属も実質的
に含まないことがより好ましい。
【0082】本発明の誘電体層は、少なくとも2層であ
ることが好ましい。ガラス基板上の電極上に形成された
誘電体層(誘電体層Aと呼ぶ)および誘電体層A上に形
成された誘電体層(誘電体層Bと呼ぶ)の2層構造が好
ましい。例えば、電極として銀を用いた場合、誘電体層
A中の成分と銀イオンやガラス基板上の成分とがイオン
交換などの反応を起こし、誘電体層Aが着色するという
問題が発生する場合がある。特に誘電体層A中にアルカ
リ金属およびその酸化物が含有する場合、前記イオン交
換反応が顕著に起こり、誘電体層Aが黄色化する場合が
ある。この問題を解決するために、本発明の誘電体層A
およびBが実質的にアルカリ金属を含まない無機材料で
あることが好ましい。
【0083】本発明の誘電体層には酸化ビスマス、酸化
鉛、酸化亜鉛のうち少なくとも1種類、さらに好ましく
は酸化ビスマスを10〜60重量%含むガラスを用いる
ことによって熱軟化温度、熱膨張係数のコントロールが
容易になるため好ましい。特に、酸化ビスマスを10〜
60重量%含有するガラスを用いることは、ペーストの
安定性などの利点がある。酸化ビスマス、酸化鉛、酸化
亜鉛の添加量は60重量%を越えるとガラスの耐熱温度
が低くなり過ぎてガラス基板上への焼き付けが難しくな
る。
【0084】具体的なガラス組成の例としては、酸化物
換算表記で以下の組成を含むものが挙げられるが、本発
明は、このガラス組成に限定されるものではない。
【0085】 酸化ビスマス 10〜60重量% 酸化珪素 3〜50重量% 酸化ホウ素 10〜40重量% 酸化バリウム 5〜20重量% 酸化亜鉛 10〜20重量% 本発明の誘電体層中に含有する無機材料としては、酸化
チタン、アルミナ、シリカ、チタン酸バリウム、ジルコ
ニア等の白色フィラーが用いられる。ガラスを50〜9
5重量%、フィラーを5〜50重量%含有する無機材料
が用いられる。フィラーを上記範囲に含有することによ
って誘電体層の反射率を向上させ、高輝度のプラズマデ
ィスプレイが得られる。
【0086】本発明の誘電体層は、無機材料粉末と有機
バインダーからなる誘電体ペーストをガラス基板上に塗
布または積層し、焼成することによって形成できる。誘
電体層用ペーストに用いる無機材料粉末の量は、無機材
料粉末と有機成分の和に対して50〜95重量%である
のが好ましい。50重量%未満では、誘電体層の緻密
性、表面の平坦性が欠如し、95重量%を越えるとペー
スト粘度が上昇し、塗布時の厚みムラが大きくなる。
【0087】本発明の隔壁の作製方法は特に限定しない
が、工程が少なく、微細なパターン形成が可能である感
光性ペースト法が好ましい。
【0088】感光性ペースト法は、ガラス粉末を主成分
とする無機材料と感光性を持つ有機成分からなる感光性
ペーストを用いて塗布膜を形成し、該塗布膜をフォトマ
スクを通して露光し、現像することにより、隔壁パター
ンを形成し、その後該隔壁パターンを焼成して隔壁を得
る方法である。
【0089】感光性ペースト法に用いる無機材料の量
は、無機材料と有機成分の和に対して65〜85重量%
であるのが好ましい。
【0090】65重量%より小さいと、焼成時の収縮率
が大きくなり、隔壁の断線、剥がれの原因となるため、
好ましくない。また、ペーストとして乾燥が難しくな
り、ベタ付きが生じ、印刷特性が低下する。さらにパタ
ーン太り、現像時の残膜の発生が起こりやすい。85重
量%より大きいと、感光性成分が少ないことにより、隔
壁パターン底部まで光硬化せず、パターンの形成性が悪
くなりやすい。
【0091】この方法を用いる場合には、無機材料とし
て下記のようなガラス粉末を用いることが好ましい。
【0092】ガラス粉末中に、酸化アルミニウム、酸化
バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜
鉛、酸化ジルコニウムなど、特に酸化アルミニウム、酸
化バリウム、酸化亜鉛を添加することにより、軟化点、
熱膨張係数、屈折率を制御することができるが、その含
有量は40重量%以下が好ましく、より好ましくは25
重量%以下である。
【0093】さらに、一般に絶縁体として用いられるガ
ラスは、1.5〜1.9程度の屈折率を有しているが、
感光性ペースト法を用いる場合、有機成分の平均屈折率
がガラス粉末の平均屈折率と大きく異なる場合は、ガラ
ス粉末と有機成分の界面での反射・散乱が大きくなり、
精細なパターンが得られない。一般的な有機成分の屈折
率は1.45〜1.7であるため、ガラス粉末と有機成
分の屈折率を整合させるためには、ガラス粉末の平均屈
折率を1.5〜1.7にすることが好ましい。さらによ
り好ましくは1.5〜1.65にするのがよい。
【0094】酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化カリ
ウム等のアルカリ金属の酸化物を合計で2〜10重量%
含有するガラスを用いることによって、軟化点、熱膨張
係数のコントロールが容易になるだけでなく、ガラスの
平均屈折率を低くすることができるため、有機物との屈
折率差を小さくすることが容易になる。2%より小さい
時は、軟化点の制御が難しくなる。10%より大きい時
は、放電時にアルカリ金属酸化物の蒸発によって輝度低
下をもたらす。さらにアルカリ金属の酸化物の添加量は
ペーストの安定性を向上させるためにも、8重量%より
小さいことが好ましく、より好ましくは6重量%以下で
ある。
【0095】特に、アルカリ金属の中では酸化リチウム
を用いることが、比較的ペーストの安定性を高くするこ
とができるから好ましい。また、酸化カリウムを用いた
場合は、比較的少量の添加でも屈折率を制御できる利点
がある。
【0096】この結果、ガラス基板上に焼き付け可能な
軟化点を有し、平均屈折率を1.5〜1.7にすること
ができ、有機成分との屈折率差を小さくすることが容易
になる。
【0097】酸化ビスマスを含有するガラスは軟化点や
耐水性向上の点から好ましいが、酸化ビスマスを10重
量%以上含むガラスは、屈折率が1.6以上になるもの
が多い。このため酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化
カリウムなどのアルカリ金属の酸化物と酸化ビスマスを
併用することによって、軟化点、熱膨張係数、耐水性、
屈折率のコントロールが容易になる。
【0098】本発明におけるガラス材料の屈折率測定
は、感光性ガラスペースト法で露光する光の波長で測定
することが効果を確認する上で正確である。特に、35
0〜650nmの範囲の波長の光で測定することが好ま
しい。さらには、i線(365nm)もしくはg線(4
36nm)での屈折率測定が好ましい。
【0099】本発明の隔壁はコントラストをあげる点で
優れていることから、黒色に着色されていてもよい。種
々の金属酸化物を添加することによって、焼成後の隔壁
を着色することができる。例えば、感光性ペースト中に
黒色の金属酸化物を1〜10重量%含むことによって、
黒色のパターンを形成することができる。
【0100】この際に用いる黒色の金属酸化物として、
Ru、Cr、Fe、Co、Mn、Cuの酸化物の内、少
なくとも1種、好ましくは3種以上を含むことによっ
て、黒色化が可能になる。特に、RuとCuの酸化物を
それぞれ5〜20重量%含有することによって、黒色パ
ターンを形成できる。
【0101】さらに、黒色以外に、赤、青、緑等に発色
する無機顔料を添加したペーストを用いることによっ
て、各色のパターンを形成できる。これらの着色パター
ンは、プラズマディスプレイのカラーフィルターなどに
好適に用いることができる。
【0102】隔壁ガラス材料の誘電率はパネルの消費電
力、放電寿命に優れている点から周波数1MHz、温度
20℃の時に4〜10であることが好ましい。4以下に
するためには、誘電率が3.8程度である酸化珪素を多
く含ませねばならず、ガラス転移点が高くなり、焼成温
度が高くなることから、基板歪みの原因となり好ましく
ない。10以上であると、帯電量の増加による電力のロ
スが生じ、消費電力の増加を引き起こすため好ましくな
い。
【0103】また、本発明の隔壁の比重は2〜3.3で
あることが好ましい。2以下にするためには、ガラス材
料に酸化ナトリウムや酸化カリウムなどのアルカリ金属
の酸化物を多く含ませなければならず、放電中に蒸発し
て放電特性を低下させる要因となるため、好ましくな
い。3.3以上になると、大画面化した時ディスプレイ
が重くなったり、自重で基板に歪みを生じたりするので
好ましくない。
【0104】上記において使用されるガラス粉末粒子径
は、作製しようとする隔壁の線幅や高さを考慮して選ば
れるが、50体積%粒子径(平均粒子径D50)が1〜
6μm、最大粒子径サイズが30μm以下、比表面積
1.5〜4m2 /gであることが好ましい。より好まし
くは10体積%粒子径(D10)0.4〜2μm、50
体積%粒子径(D50)1.5〜6μm、90体積%粒
子径(D90):4〜15μm、最大粒子径サイズが2
5μm以下、比表面積1.5〜3.5m2 /gを有して
いることが好ましい。さらに好ましくはD50が2〜
3.5μm、比表面積1.5〜3m2 /gである。
【0105】ここで、D10、D50、D90は、それ
ぞれ、粒径の小さいガラス粉末から10体積%、50体
積%、90体積%のガラスの粒子径である。
【0106】上記粒度分布より小さいと比表面積が増え
るため、粉末の凝集性があがり、有機成分内への分散性
が下がるため、気泡を巻き込みやすくなる。そのため光
散乱が増え、隔壁中央部の太り、底部の硬化不足が生
じ、好ましい形状が得られない。また大きいと粉末のか
さ密度が下がるため充填性がさがり、感光性有機成分の
量が不足し気泡を巻き込みやすくなり、やはり光散乱を
起こしやすくなる。
【0107】よって粒度分布には最適領域があり、上記
のような粒度分布をもったガラス粉末を用いることによ
り、粉末の充填性が向上し、感光性ペースト中の粉末比
率を増加させても気泡を巻き込むことが少なくなり、余
分な光散乱が小さいため隔壁パターン形成が維持され
る。かつ粉末充填比率が高いので焼成収縮率が低くな
り、パターン精度が向上し、好ましい隔壁形状が得られ
る。
【0108】粒子径の測定方法は特に限定しないが、レ
ーザー回折・散乱法を用いるのが、簡便に測定できるの
で好ましい。たとえばマイクロトラック社製、粒度分布
計HRA9320−X100を用いた場合の測定条件は
下記の通りである。
【0109】試料量 :1g 分散条件 :精製水中で1〜1.5分間超音波分散、分
散しにくい場合は0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム
水溶液中で行う。
【0110】粒子屈折率:ガラス種類によって変更(リ
チウム系1.6、ビスマス系1.88) 溶媒屈折率:1.33 測定数 :2回 本発明の隔壁に軟化点が550〜1200℃、さらに好
ましくは650〜800℃であるフィラーを3〜60重
量%含ませてもよい。これにより、感光性ペースト法に
おいて、パターン形成後の焼成時の収縮率が小さくな
り、パターン形成が容易になり、焼成時の形状保持性が
向上する。
【0111】フィラーとしては、チタニア、アルミナ、
チタン酸バリウム、ジルコニアなどのセラミックスや酸
化珪素、酸化アルミニウムを15重量%以上含有する高
融点ガラス粉末が好ましい。一例としては、以下の組成
を含有するガラス粉末を用いることが好ましい。
【0112】酸化珪素 :25〜50重量% 酸化ホウ素 : 5〜20重量% 酸化アルミニウム:25〜50重量% 酸化バリウム : 2〜10重量% 高融点ガラス粉末をフィラーとして用いる際、母ガラス
材料(低融点ガラス)との屈折率差が大きいと有機成分
との整合が困難になり、パターン形成性が悪くなる。
【0113】そこで、低融点ガラス粉末の平均屈折率N
1、高融点ガラス粉末の平均屈折率N2が、次の範囲に
あることによって、有機成分との屈折率整合が容易にな
る。
【0114】−0.05≦N1−N2≦0.05 無機粉末の屈折率のばらつきが小さいことも光散乱低減
には重要なことである。屈折率のばらつきが±0.05
である(無機粉末の95体積%以上が平均屈折率N1±
0.05の範囲に入っている)ことが、光散乱低減には
好ましい。
【0115】用いるフィラーの粒子径としては、平均粒
子径1〜6μmのものが好ましい。また、D10(10
体積%粒子径)0.4〜2μm、D50(50体積%粒
子径):1〜3μm、D90(90体積%粒子径):3
〜8μm、最大粒子サイズ:10μm以下の粒度分布を
有するものを使用することがパターン形成を行う上で好
ましい。
【0116】さらにより好ましくはD90は3〜5μ
m、最大粒子サイズ5μm以下が好ましい。D90が3
〜5μmの細かい粉末であることが、焼成収縮率を低く
することができ、かつ気孔率が低い隔壁を作製する点で
優れていることから好ましい。また隔壁上部の長手方向
の凹凸を±2μm以下にすることが可能となる。フィラ
ーに大きい粒径の粉末を用いると、気孔率が上昇するば
かりでなく、隔壁上部の凹凸が大きくなり、誤放電を引
き起こすことから好ましくない。
【0117】ガラスペースト中に含まれる有機成分とし
ては、エチルセルロースに代表されるセルロース化合
物、ポリイソブチルメタクリレートに代表されるアクリ
ルポリマーなどを用いることができる。また、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エ
ステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸
エステル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メチル
スチレン重合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげ
られる。
【0118】その他、ガラスペーストには、必要に応じ
て各種添加剤を添加することができ、粘度を調整したい
場合は、有機溶媒を加えてもよい。このとき使用される
有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサ
ン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、
イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テト
ラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロ
ラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモ
ベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ
安息香酸、テルピネオールなどやこれらのうちの1種以
上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0119】また、隔壁形成法として感光性ペースト法
を用いる場合には、下記のような有機成分が用いられ
る。
【0120】有機成分は、感光性モノマー、感光性オリ
ゴマー、感光性ポリマーのうち少なくとも1種類から選
ばれる感光性成分を含有し、さらに必要に応じて、バイ
ンダー、光重合開始剤、紫外線吸収剤、増感剤、増感助
剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸化防止
剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤などの添加
剤成分を加えることも行われる。
【0121】感光性成分としては、光不溶化型のものと
光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとして、 (A)分子内に不飽和基などを1つ以上有する官能性の
モノマー、オリゴマー、ポリマーを含有するもの (B)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機
ハロゲン化合物などの感光性化合物を含有するもの (C)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物な
どいわゆるジアゾ樹脂といわれるもの等がある。
【0122】また、光可溶型のものとしては、 (D)ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレック
ス、キノンジアゾ類を含有するもの (E)キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結
合させた、例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフト
キノン−1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステル
等がある。
【0123】本発明において用いる感光性成分は、上記
のすべてのものを用いることができる。感光性ペースト
として、無機微粒子と混合して簡便に用いることができ
る感光性成分は、(A)のものが好ましい。
【0124】感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽
和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、メ
チルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピル
アクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−
ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、te
rt−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレー
ト、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブト
キシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコ
ールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシ
クロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロ
ールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデ
カフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソ
オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メ
トキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコー
ルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリ
レート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキ
シエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリ
フロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジ
アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチ
レングリコールジアクリレート、ジエチレングリコール
ジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタ
エリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリ
トールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチ
ロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジア
クリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレ
ングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコー
ルジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルア
ミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレー
ト、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレ
ート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリ
レート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノ
ールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、
ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジア
クリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメ
ルカプタンアクリレート等のアクリレート、また、これ
らの芳香環の水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭
素原子に置換したモノマー、もしくは、スチレン、p−
メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチ
レン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルス
チレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチル
スチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルス
チレン、カルボキシメチルスチレン、ビニルナフタレ
ン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、およ
び、上記化合物の分子内のアクリレートを一部もしくは
すべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピ
ロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種ま
たは2種以上使用することができる。
【0125】これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽
和酸を加えることによって、感光後の現像性を向上する
ことができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として
は、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロト
ン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれ
らの酸無水物などがあげられる。
【0126】これらモノマーの含有率は、ガラス粉末と
感光性成分の和に対して、5〜30重量%が好ましい。
これ以外の範囲では、パターンの形成性の悪化、硬化後
の硬度不足が発生するため好ましくない。
【0127】バインダーとしては、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合
体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−
メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重
合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられる。
【0128】また、前述の炭素−炭素二重結合を有する
化合物のうち少なくとも1種類を重合して得られたオリ
ゴマーやポリマーを用いることができる。重合する際
に、これら光反応性モノマーの含有率が、10重量%以
上、さらに好ましくは35重量%以上になるように、他
の感光性のモノマーと共重合することができる。
【0129】共重合するモノマーとしては、不飽和カル
ボン酸等の不飽和酸を共重合することによって、感光後
の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の
具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イ
タコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル
酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
【0130】こうして得られた側鎖にカルボキシル基等
の酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの酸価
(AV)は30〜150、さらには70〜120の範囲
が好ましい。酸価が30未満であると、未露光部の現像
液に対する溶解性が低下するため現像液濃度を濃くする
と露光部まで剥がれが発生し、高精細なパターンが得ら
れにくい。また、酸価が150を越えると現像許容幅が
狭くなる。
【0131】現像性を不飽和酸等のモノマーで付与する
場合は、ポリマーの酸価値は50以下にすることにより
ガラス粉末とポリマーの反応によるゲル化を抑制できる
ことから好ましい。
【0132】以上示した、ポリマーもしくはオリゴマー
に対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させ
ることによって、感光性を持つ感光性ポリマーや感光性
オリゴマーとして用いることができる。好ましい光反応
性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチ
レン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリ
ル基、メタクリル基などがあげられる。
【0133】このような側鎖をオリゴマーやポリマーに
付加させる方法は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ
基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基や
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やア
クリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはア
リルクロライドを付加反応させて作る方法がある。
【0134】グリシジル基を有するエチレン性不飽和化
合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グ
リシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル
酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロト
ン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエ
ーテルなどがあげられる。
【0135】イソシアネート基を有するエチレン性不飽
和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネー
ト、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート等があ
る。
【0136】また、グリシジル基やイソシアネート基を
有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライ
ド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライド
は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカ
ルボキシル基に対して0.05〜1モル当量付加させる
ことが好ましい。
【0137】感光性ガラスペースト中の感光性ポリマ
ー、感光性オリゴマーおよびバインダーからなるポリマ
ー成分の量としては、パターン形成性、焼成後の収縮率
の点で優れていることから、ガラス粉末と感光性成分の
和に対して、5〜30重量%であることが好ましい。こ
の範囲外では、パターン形成が不可能もしくは、パター
ンの太りがでるため好ましくない。
【0138】光重合開始剤としての具体的な例として、
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,
4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−
ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジク
ロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフ
ェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,
2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−
2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチル
ジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチル
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソ
プロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベ
ンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルア
セタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベ
ンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブ
チルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−
クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロ
ン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジ
ドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジド
ベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−
アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、
2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキ
シカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオ
ン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3
−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシ
カルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−
プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、
ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フ
ェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベ
ンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノ
フェニル)ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロラ
イド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチ
オアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、
ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィ
ド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭
素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾ
インおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の
色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還
元剤の組み合わせなどがあげられる。本発明ではこれら
を1種または2種以上使用することができる。
【0139】光重合開始剤は、感光性成分に対し、0.
05〜20重量%の範囲で添加され、より好ましくは、
0.1〜15重量%である。重合開始剤の量が少なすぎ
ると、光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎ
れば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがあ
る。
【0140】紫外線吸収剤を添加することも有効であ
る。紫外線吸収効果の高い化合物を添加することによっ
て高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外
線吸収剤としては有機系染料からなるもの、中でも35
0〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有
機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染
料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン
系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェ
ニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ
安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は吸光剤
として添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中に残存しな
いで吸光剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので
好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン
系染料が好ましい。
【0141】有機染料の添加量はガラス粉末に対して
0.05〜1重量部が好ましい。0.05重量%以下で
は紫外線吸光剤の添加効果が低く、1重量%を越えると
焼成後の絶縁膜特性が低下するので好ましくない。より
好ましくは0.1〜0.18重量%である。
【0142】有機染料からなる紫外線吸光剤の添加方法
の一例を上げる。有機染料を予め有機溶媒に溶解した溶
液を作製し、それをペースト作製時に混練する。あるい
は、該有機染料溶液中にガラス微粒子を混合後、乾燥す
る方法もある。この方法によってガラス微粒子の個々の
粒子表面に有機染料の膜をコートしたいわゆるカプセル
状の微粒子が作製できる。
【0143】本発明において、無機微粒子に含まれるC
a、Fe、Mn、Co、Mgなどの金属および酸化物が
ペースト中に含有する感光性成分と反応してペーストが
短時間でゲル化し、塗布できなくなる場合がある。この
ような反応を防止するために安定化剤を添加してゲル化
を防止することが好ましい。用いる安定化剤としては、
トリアゾール化合物が好ましく用いられる。トリアゾー
ル化合物としては、ベンゾトリアゾール誘導体が好まし
く用いられる。この中でも特にベンゾトリアゾールが有
効に作用する。本発明において使用されるベンゾトリア
ゾールによるガラス微粒子の表面処理の一例を上げる
と、無機微粒子に対して所定の量のベンゾトリアゾール
を酢酸メチル、酢酸エチル、エチルアルコール、メチル
アルコールなどの有機溶媒に溶解した後、これら微粒子
が十分に浸すことができるように溶液中に1〜24時間
浸積する。浸積後、好ましくは20〜30℃で自然乾燥
して溶媒を蒸発させてトリアゾール処理を行った微粒子
を作製する。使用される安定化剤の割合(安定化剤/無
機微粒子)は0.05〜5重量%が好ましい。
【0144】増感剤は、感度を向上させるために添加さ
れる。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオ
キサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビ
ス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、
2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘ
キサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザ
ル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、
4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、
4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビ
ス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシ
ンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリ
デンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビ
ニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−
ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニ
ル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、
3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリ
ン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N
−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノール
アミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミ
ノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソア
ミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾー
ル、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラ
ゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種また
は2種以上使用することができる。なお、増感剤の中に
は光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤
を本発明の感光性ペーストに添加する場合、その添加量
は感光性成分に対して通常0.05〜10重量%、より
好ましくは0.1〜10重量%である。増感剤の量が少
なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感
剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎる
おそれがある。
【0145】また、増感剤は、露光波長に吸収を有して
いるものが用いられる、この場合、吸収波長近傍では屈
折率が極端に高くなるため、増感剤を多量に添加するこ
とによって、有機成分の屈折率を向上することができ
る。この場合の増感剤の添加量は3〜10重量%添加す
ることができる。
【0146】重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上さ
せるために添加される。重合禁止剤の具体的な例として
は、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、
N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−
t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、
2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロ
ラニール、ピロガロールなどが挙げられる。
【0147】また添加することにより、光硬化反応のし
きい値をあがり、パターン線幅の縮小化、ギャップに対
するパターン上部の太りがなくなる。
【0148】その添加量は、感光性ペースト中に、通
常、0.01〜1重量%である。0.01重量%より小
さいと添加効果がでにくく、1重量%より多く添加する
と、感度が低下するため、パターン形成するための露光
量が多く必要になる。
【0149】可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフ
タレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコ
ール、グリセリンなどがあげられる。
【0150】酸化防止剤は、保存時におけるアクリル系
共重合体の酸化を防ぐために添加される。酸化防止剤の
具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t
−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−
メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ
ール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6
−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2
−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−
ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエス
テル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニル
ホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添加する
場合、その添加量は通常、添加量は、ペースト中に、通
常、0.01〜1重量%である。
【0151】本発明の感光性ペーストには、溶液の粘度
を調整したい場合、有機溶媒を加えてもよい。このとき
使用される有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチ
ルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケト
ン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロ
ペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアル
コール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシ
ド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベン
ゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安
息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上
を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0152】有機成分の屈折率とは、露光により感光性
成分を感光させる時点におけるペースト中の有機成分の
屈折率のことである。つまり、ペーストを塗布し、乾燥
工程後に露光を行う場合は、乾燥工程後のペースト中の
有機成分の屈折率のことである。例えば、ペーストをガ
ラス基板上に塗布した後、50〜100℃で1〜30分
乾燥して屈折率を測定する方法などがある。
【0153】本発明における屈折率の測定は、一般的に
行われるエリプソメトリー法やVブロック法が好まし
く、測定は露光する光の波長で行うことが効果を確認す
る上で正確である。特に、350〜650nmの範囲中
の波長の光で測定することが好ましい。さらには、i線
(365nm)もしくはg線(436nm)での屈折率
測定が好ましい。
【0154】また、有機成分が光照射によって重合した
後の屈折率を測定するためには、ペースト中に対して光
照射する場合と同様の光を有機成分のみに照射すること
によって測定できる。
【0155】感光性ペーストは、通常、無機微粒子、紫
外線吸光剤、感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合
開始剤、ガラスフリットおよび溶媒等の各種成分を所定
の組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で
均質に混合分散し作製する。
【0156】ペーストの粘度は無機微粒子、増粘剤、有
機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によっ
て適宜調整されるが、その範囲は2000〜20万cp
s(センチ・ポイズ)である。例えばガラス基板への塗
布をスピンコート法で行う場合は、200〜5000c
psが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚
10〜20μmを得るには、1万〜10万cpsが好ま
しい。
【0157】次に、感光性ペーストを用いてパターン加
工を行う一例について説明するが、本発明はこれに限定
されない。
【0158】ガラス基板やセラミックスの基板、もしく
は、ポリマー製フィルムの上に、感光性ペーストを全面
塗布、もしくは部分的に塗布する。塗布方法としては、
スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイ
コーター、ブレードコーター等の方法を用いることがで
きる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、
ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。
【0159】ここでペーストを基板上に塗布する場合、
基板と塗布膜との密着性を高めるために基板の表面処理
を行うことができる。表面処理液としてはシランカップ
リング剤、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−
(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキ
シプロピル)トリメトキシシラン、γ(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ランなどあるいは有機金属例えば有機チタン、有機アル
ミニウム、有機ジルコニウムなどである。シランカップ
リング剤あるいは有機金属を有機溶媒、例えばエチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどで0.
1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。次にこの表面
処理液をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後に8
0〜140℃で10〜60分間乾燥することによって表
面処理ができるまた、フィルム上に塗布した場合、フィ
ルム上で乾燥を行った後、次の露光工程を行う場合と、
ガラスやセラミックの基板上に貼り付けた後、露光工程
を行う方法がある。
【0160】塗布した後、露光装置を用いて露光を行
う。露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるよう
に、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的
である。用いるマスクは、感光性有機成分の種類によっ
て、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。ま
た、フォトマスクを用いずに、赤色や青色のレーザー光
などで直接描画する方法を用いても良い。
【0161】露光装置としては、ステッパー露光機、プ
ロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大
面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に感
光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行う
ことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積
を露光することができる。
【0162】この際使用される活性光源は、たとえば、
可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー
光などが挙げられるが、これらの中で紫外線が好まし
く、その光源としてはたとえば低圧水銀灯、高圧水銀
灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用
できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。
露光条件は塗布厚みによって異なるが、3〜50mW/
cm2 の出力の超高圧水銀灯を用いて20秒〜30分間
露光を行う。
【0163】露光後、感光部分と非感光部分の現像液に
対する溶解度差を利用して、現像を行うが、この場合、
浸漬法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法で行う。
【0164】用いる現像液は、感光性ペースト中の有機
成分が溶解可能である有機溶媒を使用できる。また該有
機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加しても
よい。感光性ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を
持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像でき
る。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや炭酸ナト
リウム、水酸化カルシウム水溶液などのような金属アル
カリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用い
た方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好まし
い。
【0165】有機アルカリとしては、アミン化合物を用
いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニ
ウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウム
ヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノール
アミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常
0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量
%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部が除去され
ず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離さ
せ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり好ましくな
い。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うこ
とが工程管理上好ましい。
【0166】次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気
や、温度はペーストや基板の種類によって異なるが、空
気中、窒素、水素等の雰囲気中で焼成する。焼成炉とし
ては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用
いることができる。
【0167】ガラス基板上にパターン加工する場合は、
昇温速度200〜400℃/時間で540〜610℃の
温度で10〜60分間保持して焼成を行う。なお焼成温
度は用いるガラス粉末によって決まるが、パターン形成
後の形が崩れず、かつガラス粉末の形状が残らない適正
な温度で焼成するのが好ましい。
【0168】適正温度より低いと、気孔率、隔壁上部の
凹凸が大きくなり、放電寿命が短くなったり、誤放電を
起こしやすくなったりするため好ましくない。
【0169】また適正温度より高いとパターン形成時の
形状が崩れ、隔壁上部が丸くなったり、極端に高さが低
くなり、所望の高さが得られないため、好ましくない。
【0170】また、以上の塗布や露光、現像、焼成の各
工程中に、乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加
熱工程を導入しても良い。
【0171】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に
説明する。ただし、本発明はこれに限定はされない。な
お、実施例、比較例中の濃度(%)は特にことわらない
限り重量%である本発明の実施例および比較例に使用し
た材料を以下に示す。
【0172】 ガラス(1); 組成 :Li2O 7%、SiO2 22%、B2 3 32%、 BaO 4%、 Al2 3 22%、ZnO 2%、 MgO 6%、CaO 4% 熱物性 :ガラス転移点491℃、軟化点528℃、 熱膨張係数74×10-7/K 粒径 :D10 0.9μm D50 2.6μm D90 7.5μm 最大粒径 22.0μm 比表面積 :1.92m2 /g 屈折率 :1.59(g線436nm) 比重 :2.54 ガラス(2); 組成 :Bi23 38%、SiO2 7%、B23 19%、 BaO 12%、Al23 4%、ZnO 20% 熱物性 :ガラス転移点475℃、軟化点515℃、 熱膨張係数75×10-7/K 粒径 :D10 0.9μm D50 2.5μm D90 3.9μm 最大粒径 6.5μm (白色フィラー粉末) フィラー; TiO2 、比重4.61 (ポリマー) ポリマー(1) ;40%のメタアクリル酸(MAA)、3
0%のメチルメタアクリレート(MMA)および30%
のスチレン(St)からなる共重合体のカルボキシル基
に対して0.4当量のグリシジルメタアクリレート(G
MA)を付加反応させた重量平均分子量43000、酸
価95の感光性ポリマーの40%γ−ブチロラクトン溶
液 ポリマー(2) ;エチルセルロース/テルピネオール=6
/94(重量比)の溶液 (モノマー) モノマー(1) ;X2-N-CH(CH3)-CH2-(O-CH2-CH(CH3))n-N-X2 X:-CH2-CH(OH)-CH2O-CO-C(CH3)=CH2 n=2〜10 モノマー(2) ;トリメチロールプロパントリアクリレート・モディファイドPO (光重合開始剤) IC−369;Irgacure−369(チバ・ガイ
ギー製品) 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフ
ォリノフェニル)ブタノン−1 IC−907;Irgacure−907(チバ・ガイ
ギー製品) 2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル−2−
モルフォリノプロパノン (増感剤) DETX−S;2,4−ジエチルチオキサントン (増感助剤) EPA ;p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル (可塑剤) DBP ;ジブチルフタレート(DBP) (増粘剤) SiO ;SiO2の酢酸2−(2−ブトキシエトキ
シ)エチル15%溶液 (有機染料) スダン ;アゾ系有機染料、化学式C24204O、分
子量380.45 (溶媒) γ−ブチロラクトン テルピネオール (分散剤) ノプコスパース092(サンノプコ社製) (安定化剤) 1,2,3−ベンゾトリアゾール 実施例1 まず、隔壁用感光性ペーストを作製した。ガラス粉末
(ガラス(1))100重量部に対して、有機染料0.0
8重量部の割合で秤量した。スダンをアセトンに溶解さ
せ、分散剤を加えてホモジナイザで均質に攪拌した。こ
の溶液中にガラス粉末を添加して均質に分散・混合後、
ロータリーエバポレータを用いて、100℃の温度で乾
燥し、アセトンを蒸発させた。こうして有機染料の膜で
ガラス粉末の表面が均質にコーティングされた粉末を作
製した。
【0173】ポリマー(1)、モノマー(1)、光重合開始剤
(IC-369)、増感剤、可塑剤、溶媒を37.5:15:
4.8:4.8:2:7.5の重量比で混合し、均質に
溶解させた。その後、この溶液を400メッシュのフィ
ルターを用いて濾過し、有機ビヒクルを得た。
【0174】上記ガラス粉末と上記有機ビヒクルをガラ
ス粉末:有機ビヒクル=70:71.6の重量比になる
ように添加し、3本ローラで混合・分散して、隔壁用の
感光性ペーストを調整した。有機成分の屈折率は1.5
9、ガラス粉末の屈折率は1.59であった。
【0175】次に同様にしてガラス(2):フィラー:ポ
リマー(2)=55:10:35の重量比になる誘電体層
用ペーストを作製した。この誘電体ペーストをピッチ1
40μm、線幅60μm、厚み4μmの電極をあらかじ
め形成した13インチサイズの旭ガラス社製PD−20
0ガラス基板上に、325メッシュのスクリーンを用い
てスクリーン印刷により、均一に塗布した。その後、8
0℃で40分乾燥し、550℃で仮焼成して、厚み10
μmの誘電体層を形成した。
【0176】この誘電体層上に前記隔壁用ペーストを3
25メッシュのスクリーンを用いてスクリーン印刷によ
り、均一に塗布し塗布膜を形成した。塗布膜にピンホー
ルなどが発生することを回避するために塗布・乾燥を数
回以上繰り返し行い、膜厚みの調整を行った。スクリー
ン版の印刷版は、隔壁パターン長手方向の長さよりも小
さく設計したものを用いた。途中の乾燥は80℃で10
分間、塗布膜を形成後の乾燥は80℃で1時間行った。
乾燥後の塗布膜厚みは150μmであった。塗布膜端部
には、長さ2000μmの傾斜面が形成されていた。
【0177】続いて、140μmピッチのストライプ状
のネガ型クロムマスクを通して、上面から50mJ/c
2出力の超高圧水銀灯で紫外線照射した。露光量は
1.0J/cm2であった。この際、クロムマスクは隔
壁パターンの長さが、前記塗布膜の隔壁長手方向の長さ
よりも大きいものを用いた。
【0178】次に、35℃に保持したモノエタノールア
ミンの0.2重量%の水溶液をシャワーで170秒間か
けることにより現像し、その後シャワースプレーを用い
て水洗浄した。これにより、光硬化していない部分が除
去され、ガラス基板上にストライプ状の隔壁パターンが
形成された。
【0179】このようにして隔壁パターンが形成された
ガラス基板を、空気中で570℃で15分間焼成し、隔
壁を形成した。焼成前後の隔壁パターン端部の断面形状
を、走査型電子顕微鏡(HITACHI製 S−240
0)で観察した。評価結果を表1に記載した。盛り上が
り、跳ね上がりのない場合は○、盛り上がり、跳ね上が
りがある場合はその内容と数値を記載した。
【0180】その結果、Xが2mm、Yが100μm、
X/Y=20であり、本発明の範囲を満足したものであ
った。また、隔壁端部に跳ね上がり、盛り上がりなく良
好なものであった。
【0181】このように形成された隔壁間に、赤、青、
緑に発光する蛍光体ペーストをスクリーン印刷法を用い
て塗布し、これらを焼成(500℃、30分)して隔壁
の側面および底部に蛍光体層を形成し、背面板を完成さ
せた。
【0182】次に、前面板を以下の工程によって作製し
た。先ず、背面板と同じガラス基板上に、ITOをスパ
ッタ法で形成後、レジストを塗布し、所望のパターンに
露光・現像後、エッチング処理して焼成厚み0.1μ
m、線幅200μmの透明電極を形成した。また、黒色
銀粉末からなる感光性銀ペーストを用いて、フォトリソ
グラフィ法により、焼成後厚み10μmのバス電極を形
成した。電極はピッチ140μm、線幅60μmのもの
を作製した。
【0183】さらに、電極形成した前面板上に透明誘電
体ペーストを20μm塗布し、430℃で20分間保持
して焼き付けた。次に、形成した透明電極、黒色電極、
誘電体層を一様に被覆するように電子ビーム蒸着機を用
いて、厚み0.5μmのMgO膜を形成して前面板を完
成させた。
【0184】得られた前面基板を、前記の背面基板と貼
り合わせ封着した後、放電用ガスを封入し、駆動回路を
接合してプラズマディスプレイを作製した。このパネル
に電圧を印加して表示を行った。評価結果を表1に示
す。全面に渡って均一な表示が得られた場合は○、誤放
電等の問題が見られた場合はその内容を記載した。表1
に示すように全面に渡って均一な表示が得られた。
【0185】実施例2 誘電体層用ペーストを、ガラス(2)、フィラー、ポリマ
ー(2)、モノマー(2)をそれぞれ22.5:2.2:1
0:10:0.3:1.6の重量比で混合した感光性ペ
ーストとした以外は実施例1と同様にして、ガラス基板
上に誘電体層用ペーストを塗布した。乾燥後の厚みは1
5μmであった。仮焼成を行う代わりに、上面から50
mJ/cm2出力の超高圧水銀灯で露光量1J/cm2
紫外線露光した。後は、実施例1と同様にプラズマディ
スプレイを作製した。誘電体層は、隔壁パターン焼成時
に同時に焼成された。実施例1と同様に評価を行った。
結果を表1に示す。
【0186】実施例3 隔壁用感光性ペーストをスクリーン印刷で基板上に塗布
する際、スクリーン印刷版を、フォトマスクの隔壁パタ
ーン長さよりも大きい面積で、厚さ50μm印刷し、次
に実施例1と同様のフォトマスクの隔壁パターン長さよ
り小さい印刷面のスクリーン印刷版を用いて、厚さ10
0μm印刷した以外は実施例1と同様に操作を行った。
【0187】パターン形成をおこなったところ、厚さ5
0μmの隔壁下層部の端部は直角の形状を成し、厚さ1
00μmの隔壁上層部の端部は傾斜しており、図14に
示す形状となった。
【0188】実施例1と同様に焼成したところ、下層部
の端部(焼成後33μm高さとなる)は10μmの盛り
上がりを生じたが、上層部の端部(焼成後67μm高さ
となる)は盛り上がりなく形成できた。上層部が67μ
mあるため、下層部の盛り上がりは上層部を越えず、隔
壁全体としては問題なく形成できた。後は、実施例1と
同様にプラズマディスプレイを作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。
【0189】実施例4 隔壁用ペーストを基板上に塗布する際、スリットダイコ
ーターを用いて乾燥前厚み250μmに塗布し、乾燥す
る前に内径0.4mmφのノズルを用いて、空気を噴射
して塗布膜端部に傾斜面を形成した以外は実施例1と同
様に隔壁パターンの形成を行った。空気の圧力は2.5
kgf/cm2、噴射角度は基板に対し垂線方向から4
5゜傾けて噴射した。後は、実施例1と同様にプラズマ
ディスプレイを作製し、評価を行った。結果を表1に示
す。
【0190】実施例5 塗布膜端部に傾斜面を形成する際、ノズルからの空気の
噴射圧を0.5kgf/cm2とした以外は実施例4と
同様にプラズマディスプレイを作製し、評価した。結果
を表1に示す。
【0191】実施例6 隔壁用ペーストを基板上に塗布した後、80℃で5分乾
燥し、内径1.5mmφのノズルから、噴射圧1.0k
g/cm2で、エチルセルロース/テルピネオール=1
/99(重量比)の溶剤を噴射して塗布膜端部に傾斜面
を形成した以外は実施例4と同様にプラズマディスプレ
イを作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0192】実施例7 塗布膜端部に傾斜面を形成する際、噴射を間隙0.4m
mのスリットを用いて行った以外は、実施例4と同様に
プラズマディスプレイを作製し、評価した。結果を表2
に示す。
【0193】実施例8 塗布膜端部に傾斜面を形成する際、塗布膜を80℃で1
時間乾燥した後、塗布膜端部を、刃で削り取って傾斜面
に加工した以外は実施例4と同様にプラズマディスプレ
イを作製し、評価した。刃物の刃先端のサイズはφ=3
0度、その刃を角度Θ=45度で基板に刃物がかぶせる
ように配置し、5m/sの速度で15μm/回切削し
た。この操作を5回繰り返し、隔壁上部から75μmを
切削した。結果を表2に示す。
【0194】実施例9 まず、アルミ基板上に、研削装置を用いてピッチ200
μm、線幅30μm、高さ200μmのストライプ状の
隔壁原型を形成した。該隔壁原型上にシリコーン樹脂を
充填して、ピッチ200μm、線幅30μm、高さ20
0μmのストライプ状の溝が形成されたシリコーン型
(サイズ300mm角)を作成し、隔壁母型とした。前
記において隔壁原型端部に傾斜部を形成することによ
り、該シリコーン樹脂製隔壁母型の端部3mmの長さに
わたって傾斜部を有するようにした。
【0195】次に、ガラス粉末(1)800g、ポリマー
(2)200g、可塑剤50g、テルピネオール250g
を混合して、3本ローラで混合・分散して、粘度950
0cpsの隔壁用ペーストを作成した。
【0196】前記のシリコーン型にドクターブレードコ
ーターを用いて該隔壁用ペーストを充填した後、400
mm角のガラス基板上に転写してシリコーン型を剥離す
ることによって、隔壁パターンを形成した。次に、隔壁
パターンを形成したガラス基板を、実施例1と同様の焼
成条件で焼成することにより隔壁を形成した。
【0197】後は、実施例1と同様にプラズマディスプ
レイを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0198】実施例10 まず、厚み1mmの銅板上にエッチング法でピッチ20
0μm、線幅30μm、高さ200μmのストライプ状
の溝を形成し、隔壁母型とした。エッチングする際に溝
の端部に傾斜部が形成されるようにエッチングを行っ
た。
【0199】次に、ガラス粉末(2)800g、ポリマー
(2)150g、可塑剤50g、モノマー(2)100g、重
合開始剤(ベンゾイルオキサイド)10g、溶媒250
gを混合して、3本ローラで混合・分散して、粘度85
00cpsの隔壁用ペーストを作成した。
【0200】前記の隔壁母型にドクターブレードコータ
ーを用いて該隔壁用ペーストを充填した後、400mm
角のガラス基板上に押しあてて、100℃で30分間加
熱した。次に、隔壁母型を剥離することによって、隔壁
パターンを形成し、隔壁パターンを形成したガラス基板
を、実施例1と同様の焼成条件で焼成することにより隔
壁を形成した。
【0201】後は、実施例1と同様にプラズマディスプ
レイを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
【0202】実施例11 厚み1mmの銅板上にエッチング法でピッチ200μ
m、線幅30μm、高さ200μmのストライプ状の溝
を形成し、隔壁母型とした。エッチングする際に溝の端
部に角度10度の傾斜部が形成されるようにエッチング
を行った。
【0203】実施例10と同じ隔壁用ペーストを実施例
4と同様の操作で基板上に塗布し、乾燥前に前記の隔壁
母型をガラス基板上の隔壁用ペースト塗布膜に押しあて
て、加圧プレスしながら80℃に加熱した。次に、隔壁
母型を剥離することによって、隔壁パターンを形成し、
隔壁パターンを形成したガラス基板を、実施例1と同様
の焼成条件で焼成することにより隔壁を形成した。
【0204】後は、実施例1と同様にプラズマディスプ
レイを作製し、評価を行った。結果を表3に示す。
【0205】実施例12 実施例1において隔壁用感光性ペーストを塗布・乾燥し
た後、隔壁用感光性ペースト塗布膜端部を、溶剤を含ま
せた布でこすって傾斜面を形成した以外は、実施例1と
同様にプラズマディスプレイを作製し、評価を行った。
結果を表3に示す。
【0206】比較例1 用いる刃物の角度φを80度にし、塗布層端部の傾斜面
の長さを35μmにした以外は実施例8と同様に隔壁パ
ターンの形成を行った。
【0207】本ペーストの塗布膜は焼成により、63%
に収縮するため、盛り上がりなく焼成できれば、焼成後
はX=35μm、Y=100μmとなり、X/Y=0.
35となる形状である。
【0208】実施例1と同様に焼成した結果、隔壁端部
に80μmの跳ね上がりが生じた。後は、実施例1と同
様にプラズマディスプレイを作製し、評価を行った。結
果を表3に示す。表示面周辺部の幅約10mmの範囲で
クロストークが発生した。
【0209】比較例2 クロムマスクを前記塗布膜の隔壁長手方向の長さよりも
小さいものを用いた以外は実施例1と同様に隔壁パター
ンの形成を行った。隔壁パターンの端部は垂直であり、
傾斜部は全くなかった。
【0210】実施例1と同様に焼成した結果、隔壁端部
には20μmの隆起が生じた。得られた隔壁端部の形状
を図5に示す。後は、実施例1と同様にプラズマディス
プレイを作製し、評価を行った。結果を表3に示す。表
示面周辺部の幅約10mmの範囲でクロストークが発生
した。
【0211】
【表1】
【0212】
【表2】
【0213】
【表3】
【0214】
【発明の効果】本発明の隔壁端部形状を有することによ
って、端部の跳ね上がり、盛り上がりのないプラズマデ
ィスプレイが得られる。これによって、端部で誤放電の
生じない、全面にわたって均一な表示のできるプラズマ
ディスプレイを提供することができる。本発明のプラズ
マディスプレイは大型のテレビやコンピューターモニタ
ーに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマディスプレイの構造を示す図である。
【図2】本発明の隔壁形状を示す側面図である。
【図3】従来の隔壁形状を示す側面図である。
【図4】焼成後の隔壁の跳ね上がりの形状を示す側面図
である。
【図5】焼成後の隔壁の盛り上がりの形状を示す側面図
である。
【図6】本発明の隔壁形状の1例を示す側面図である。
【図7】本発明の隔壁形状の1例を示す側面図である。
【図8】本発明の隔壁形状の1例を示す側面図である。
【図9】隔壁用ペースト塗布膜に形成した傾斜面の1例
を示す断面図である。
【図10】刃物または砥石の形状とそれにより削られた
塗布膜端部の形状との関係を示す断面図である。
【図11】本発明の好ましい製造方法である塗布膜端部
を刃物で削ることにより傾斜面を形成する方法の1例で
ある。
【図12】本発明の好ましい製造方法である塗布膜端部
を刃物で削ることにより傾斜面を形成する方法の1例で
ある。
【図13】本発明の製造方法に好ましく使用される隔壁
母型の断面図である。
【図14】実施例3で塗布膜端部に傾斜面を形成した隔
壁パターンの断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 11/02 H01J 9/02

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に誘電体層およびストライプ状の隔
    壁が形成されたプラズマディスプレイであって、該隔壁
    の長手方向端部に傾斜部を有し、かつ、以下の(1)、
    (2)及び(3)項を満たすことを特徴とするプラズマ
    ディスプレイ。(1)前記隔壁の該傾斜部の高さ(Y)および該傾斜部
    の底辺の長さ(X)が下記の範囲にある。 0.5≦X/Y≦100 (2)傾斜部の底辺の長さ(X)が0.05〜10mm
    である。 (3)傾斜部の傾斜角が0.5〜60度である。
  2. 【請求項2】以下の(1’)、(2’)、および/また
    は(3’)項を満たすことを特徴とする請求項1記載の
    プラズマディスプレイ。(1’)前記隔壁の該傾斜部の高さ(Y)および該傾斜
    部の底辺の長さ(X)が下記の範囲にある。 2.6≦X/Y≦80 (2’)傾斜部の底辺の長さ(X)が0.05〜5mm
    である。 (3’)傾斜部の傾斜角が20〜50度である。
  3. 【請求項3】該隔壁を構成するガラスの組成が、以下の
    (A)〜(D)項の少なくとも1項を満足することを特
    徴とする請求項1または2いずれかに記載のプラズマデ
    ィスプレイ。(A)酸化ホウ素が5〜50重量%の範囲で配合されて
    いる。(B)酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリ
    ウムのうち少なくとも1種類 を2〜15重量%含む。 (C)酸化物換算表記で 酸化リチウム、酸化ナトリウム、又は酸化カリウム 2〜15重量 酸化珪素 15〜50重量 酸化ホウ素 15〜40重量 酸化バリウム 2〜15重量 酸化アルミニウム 6〜25重量 の組成を含有する。 (D)酸化ビスマス10重量%以上とアルカリ金属の酸
    化物を含む。
  4. 【請求項4】該誘電体層の組成は、以下の(a)〜
    (c)項の少なくとも1項を満足することを特徴とする
    請求項1から3いずれかに記載のプラズマディスプレ
    イ。(a)アルカリ金属の含有量が無機材料に対して0.5
    重量%以下である。 (b)酸化ビスマスを10〜60重量%含むガラスであ
    る。 (c)酸化物換算表記で以下の組成を含むガラス組成で
    ある。 酸化ビスマス 10〜60重量% 酸化珪素 3〜50重量% 酸化ホウ素 10〜40重量% 酸化バリウム 5〜20重量% 酸化亜鉛 10〜20重量%
  5. 【請求項5】基板上に誘電体層およびストライプ状隔壁
    が形成されたプラズマディスプレイの製造方法であっ
    て、無機材料と有機成分からなる隔壁用ペーストを用い
    て、端部に傾斜部を有するストライプ状隔壁パターンを
    基板上に形成する工程および該隔壁パターンを焼成する
    工程を経て、隔壁の長手方向端部に、以下の(1)、
    (2)及び(3)項を満たす傾斜部を有する隔壁を形成
    することを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の
    プラズマディスプレイの製造方法。(1)前記隔壁の該傾斜部の高さ(Y)および該傾斜部
    の底辺の長さ(X)が下記の範囲にある。 0.5≦X/Y≦100 (2)傾斜部の底辺の長さ(X)が0.05〜10mm
    である。 (3)傾斜部の傾斜角が0.5〜60度である。
  6. 【請求項6】隔壁用ペーストを端部に傾斜面を有するよ
    うに基板上に塗布して塗布膜を形成する工程、該塗布膜
    の傾斜面が長手方向端部になるようにストライプ状隔壁
    パターンを形成する工程、および該隔壁パターンを焼成
    する工程を経て、ストライプ状隔壁を形成する請求項5
    記載のプラズマディスプレイの製造方法。
  7. 【請求項7】隔壁用ペーストを基板上に塗布して塗布膜
    を形成する工程、該塗布膜を加工して傾斜面を形成する
    工程、該塗布膜の傾斜面が長手方向端部になるようにス
    トライプ状隔壁パターンを形成する工程、および該隔壁
    パターンを焼成する工程を経て、ストライプ状隔壁を形
    成する請求項5記載のプラズマディスプレイの製造方
    法。
  8. 【請求項8】隔壁用ペーストが感光性隔壁用ペーストで
    あり、隔壁パターンを形成する工程において、前記隔壁
    用ペースト塗布膜を傾斜面を端部とした塗布膜長さより
    長いストライプ状パターンを有するフォトマスクを通し
    て露光し、現像することによりストライプ状隔壁パター
    ンを形成する請求項5から7いずれかに記載のプラズマ
    ディスプレイの製造方法。
  9. 【請求項9】焼成前の傾斜部の高さ(Y’)と傾斜部の
    長さ(X’)、隔壁用ペーストの焼成による収縮率
    (r)が下記の関係にある請求項5から8いずれかに記
    載のプラズマディスプレイの製造方法。 0.5≦X’/(r×Y’)≦100
  10. 【請求項10】焼成前の傾斜部の高さ(Y’)が焼成前
    の隔壁パターン高さの0.2〜1倍である請求項5から
    9いずれかに記載のプラズマディスプレイの製造方法。
  11. 【請求項11】基板上に無機材料と有機成分からなる誘
    電体ペースト塗布膜を形成し、その上に隔壁用ペースト
    を用いてストライプ状隔壁パターンを形成した後に、前
    記誘電体ペースト塗布膜と隔壁パターンを同時に焼成す
    る請求項5から10いずれかに記載のプラズマディスプ
    レイの製造方法。
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