JP3423805B2 - 積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

積層フィルム及びその製造方法

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JP3423805B2
JP3423805B2 JP01582595A JP1582595A JP3423805B2 JP 3423805 B2 JP3423805 B2 JP 3423805B2 JP 01582595 A JP01582595 A JP 01582595A JP 1582595 A JP1582595 A JP 1582595A JP 3423805 B2 JP3423805 B2 JP 3423805B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチックフィルム
上にアンカーコート層を介してポリビニルアルコール系
樹脂層を積層した積層フィルム及びその製造方法に関
し、本発明で得られる積層フィルムは液晶表示素子、光
導電性感光体用電極、面発熱体、有機エレクトロルミネ
ッセンス用電極などの透明電極として用いられる透明導
電フィルムの基板等に好ましく利用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示素子は、より一層の軽薄
化、大型化という要求に加え、長期信頼性が要求されて
いる。特に、ペイジャー(ポケットベル)、携帯電話、
電子手帳、ペン入力機器など、携帯して移動する事ので
きる機器の利用が普及するにつれ、これらの透明電極
に、従来の厚く、重く、割れ易いガラス基板に変わっ
て、プラスチックフィルムを基板とする透明電極基板が
検討され、液晶表示パネル等の一部で実用化し始めてい
る。
【0003】こうしたプラスチックフィルム基板の透明
電極基板は軽薄化の要望を満たし、特開昭56−130
010号公報等に記載されており、公知である。
【0004】この透明プラスチック基板に用いられるポ
リカーボネートフィルム等は耐透気性に劣り、液晶パネ
ル等に用いた場合その長期信頼性に問題を生ずる。これ
を改善するために、耐透気性を改善したプラスチック基
板も特開昭61−41122号公報等で公知である。
【0005】この耐透気性の改善手段としては、ガスバ
リア性を有する材料からなるガスバリア層をプラスチッ
クフィルムに積層する構成が一般に用いられている。そ
して、この材料としては、ガスバリア性、光学特性等か
ら、ポリビニルアルコールや、オレフィン−ビニルアル
コール共重合体などのポリビニルアルコール系樹脂が好
ましく用いられている。
【0006】しかしながら、一般に液晶表示パネル等の
如き光学等方性の要求される用途に使用されるプラスチ
ックフィルム、例えばポリカーボネートやカーボネート
共重合体等のフィルムは、このポリビニルアルコール系
樹脂とは接着性が悪く、フィルム上に直接コーティング
して場合接着性が不十分で容易に剥がれてしまう問題が
ある。
【0007】この対策としては、特開昭63−7182
9号公報、特開平3−9323号公報等に記載されてい
る様に、プラスチックフィルム上に接着性の良いアンカ
ーコート層を設け、その上にポリビニルアルコール系樹
脂層を積層する手段が取られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のアンカーコート
層としてはポリウレタン樹脂や水性ポリエステル等が公
知である。しかしながら、アンカーコート層は通常湿式
コーティング法により形成されるが、前述の公知のアン
カーコート層用の組成物は速乾性が無いために、そのコ
ーティング表面がべとつき、容易にタックフリーと言わ
れる、付着性或いは粘着性のない状態にはならない。
【0009】そのためにこのアンカーコート層上に更に
ポリビニルアルコール系樹脂層を湿式コーティングした
ときに塗工表面が均一にならず、塗工ムラや、界面が荒
れることによるヘーズ上昇などの光学特性の劣化が起こ
ってしまう問題がある。なお、この問題は、タック性の
ある表面は柔らかいため、塗工工程で荒らされ易いとい
う原因による。
【0010】さらに、タック性のためにアンカーコート
層を積層した後に一旦フィルムを重ねて置いたり、ロー
ル状に巻き取ると、くっついてしまうためこのような取
扱いができず、製造工程での取扱い性が悪い問題があ
る。
【0011】本発明は上述の従来のアンカーコート層の
問題が無く、接着性の良いポリビニルアルコール系樹脂
層が均一に容易に製造でき、耐透気性に優れ、光学特性
も優れた積層フィルム及びその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述の目的は、以下の本
発明により達成される。すなわち、本発明は、プラスチ
ックフィルム上にアンカーコート層を介してポリビニル
アルコール系樹脂層を積層した積層フィルムにおいて、
該アンカーコート層が、下記一般式(A)で示される繰
り返し単位からなるフェノキシ樹脂、フェノキシエーテ
ル樹脂、フェノキシエステル樹脂から選択した少なくと
も1種類のフェノキシ系樹脂と、イソシアネート基を2
つ以上含有する多官能イソシアネート化合物とを混合し
た熱架橋性樹脂を硬化して得られる硬化層であることを
特徴とする積層フィルムを第1の発明とし、この積層フ
ィルムを製造するに際し、プラスチックフィルム上に前
記熱架橋性樹脂を塗布し、次いで該塗布層がタックフリ
ーになるまで熱硬化してアンカーコート層を形成した
後、ポリビニルアルコール系樹脂層を湿式コーティング
法により形成すること特徴とする積層フィルムの製造方
法を第2の発明とするものである。
【0013】
【化3】
【0014】ここで、R1 からR6 は、同一または異な
る水素または炭素数1から3のアルキル基、R7 は炭素
数2から5のアルキレン基、Xはエーテル基、エステル
基、mは0から3の整数、nは20から300の整数で
ある。
【0015】本発明は、上記熱架橋性樹脂が十分な光学
特性、接着性を有し、さらに速乾性においても、塗布−
乾燥を連続的に行って十分なタックフリーの表面が得ら
れる、具体的には実施例に示したようにプラスチックフ
ィルムのガラス転移点以下の温度で15分以下、必要な
場合は5分以下の熱処理でタックフリーの表面が得られ
る速乾性を有することを見出し、なされたものである。
【0016】以下、本発明の詳細を説明する。
【0017】本発明におけるポリビニルアルコール系樹
脂は、公知のものが全て適用でき、具体的にはビニルア
ルコール成分、ビニルアルコール共重合体成分よりなる
群から選ばれた少なくとも1種を50モル%以上含有す
る高分子樹脂である。なお、このビニルアルコール共重
合体としては、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合
体、ビニルアルコール−ビニルブチラール共重合体、エ
チレン−ビニルアルコール共重合体あるいはこれらの架
橋体等が挙げられる。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂は、前記の通り、フ
ェノキシ系樹脂と多官能イソシアネート化合物の混合物
である。
【0019】フェノキシ系樹脂は、下記一般式(A)で
示される繰り返し単位からなるフェノキシ樹脂、フェノ
キシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂から選択し
た少なくとも1種類のフェノキシ系樹脂である。
【0020】
【化4】
【0021】ここで、R1 からR6 は、同一または異な
る水素または炭素数1から3のアルキル基、R7 は炭素
数2から5のアルキレン基、Xはエーテル基、エステル
基、mは0から3の整数、nは20から300の整数を
それぞれ意味する。
【0022】この中でも特にR1 ,R2 がメチル基、R
3 ,R4 ,R5 ,R6 が水素、R7がペンチレン基のも
のが、合成容易でコスト面から好ましい。
【0023】また多官能イソシアネート化合物として
は、前記の通り、イソシアネート基を2つ以上含有する
ものであればよく、以下のものが例示できる。
【0024】2,6−トリレンジイソシアネート、2,
4−トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネ
ート−トリメチロールプロパンアダクト体、t−シクロ
ヘキサン−1,4−ジイソシアネート、m−フェニレン
ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサ
メチレントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジン
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添
キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,
4′−ジイソシアネート、水添ジフェニルメタン−4,
4′−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リ
ジンエステルトリイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニ
ル)チオホスフェート、m−テトラメチルキシリレンジ
イソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシ
アネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネー
ト、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメ
チルオクタン、ビシクロヘプタントリイソシアネート、
2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
ト、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネート等のポリイソシアネートおよびそれらの混合物あ
るいは多価アルコール付加体等が挙げられる。
【0025】この中でも特に汎用性、反応性の観点か
ら、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリ
レンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート−ト
リメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイ
ソシアネートが好ましい。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂は、以上のフェノキ
シ系樹脂と多官能イソシアネート化合物を混合すること
で得られる。その際、両者を良好に溶解する溶媒、例え
ば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セ
ロソルブアセテート、酢酸エチル等を用いて溶解して混
合することで、塗布に適した熱架橋性樹脂溶液としても
よい。そして、この熱架橋性樹脂溶液を湿式コーティン
グ法でプラスチックフィルム上に製膜し、熱処理で硬化
することにより、ポリビニルアルコール系樹脂層との接
着性の良いタックフリーのアンカーコート層付きプラス
チックフィルムを得ることができる。
【0027】ところで、本発明の熱架橋性樹脂はフェノ
キシ系樹脂と多官能イソシアネート化合物が同時に存在
する混合物であることが重要で、フェノキシ樹脂単独の
場合には、ポリビニルアルコール系樹脂との接着性が良
好ではなく、容易に剥離してしまう。一方、多官能イソ
シアネート化合物単独の場合には、得られるアンカーコ
ート層は架橋あるいは高分子化が容易に進行しないた
め、脆くなったり、液状の状態で残存しまい、その上に
ポリビニルアルコール系樹脂層を積層しても、アンカー
コート層が容易に破壊したり、均一な膜厚、光学特性の
ポリビニルアルコール系樹脂層を積層することが困難と
なる。
【0028】熱可塑性樹脂のフェノキシ系樹脂と多官能
イソシアネート化合物との組成比は、フェノキシ系樹脂
中の水酸基モル数で前記多官能イソシアネート化合物中
のイソシアネートモル数を割った値〔NCO/OH〕で
0.2以上で3以下の範囲が、ポリビニルアルコール系
樹脂層との接着性および得られるアンカーコート層表面
のタック性の両面から好ましい。
【0029】〔NCO/OH〕がこの範囲以外の組成の
熱可塑性樹脂では、フェノキシ系樹脂、あるいは多官能
イソシアネート化合物が過剰となり、既に述べたように
アンカーコート層としての能力が低下する。そして、接
着性が極端に低下する境界がNCO/OH=0.2及び
3である。
【0030】なお、この接着性は、JIS−K−711
3規格のT型剥離試験によって25℃で測定したプラス
チックフィルムとポリビニルアルコール系樹脂層との間
の剥離強度で評価し、この値が150g/cm以上であ
れば耐久性試験等で界面剥離等の劣化が観察されない点
から、150g/cmを基準とし、これ以上を接着性良
好とした。
【0031】また、タック性は以下のようにして評価し
た。すなわち、指で触る、あるいは、アンカーコート層
同士または、アンカーコート層と別のプラスチックフィ
ルムを密着させ、密着状態が維持されるかどうかで評価
した。
【0032】本発明のプラスチックフィルムには、ポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリス
ルホン、ポリエーテルスルホン等の公知のプラスチック
フィルムが使用できる。中でも、液晶表示パネル等の透
明電極基板に適用する場合には、リタデーション値が2
0nm以下の光学等方性で、550nmでの光線透過率
が80%以上、ヘーズ値1%以下を示す光学等方性のフ
ィルムが好ましい。
【0033】ここで、光線透過率は公知の可視分光光度
計を用い、平行光線で測定したときの値を言う。また、
ヘーズ値は日本電色(株)製ヘーズメーターCOH−3
00Aを用いて測定した値を用いる。リタデーション値
は公知の複屈折の屈折率の差△nと膜厚dの積△n・d
であり、可視光線の範囲である波長での測定値であるこ
とが必要であるが、一般的にプラスチックは屈折率の波
長分散特性を有しているので、代表値として590nm
の測定値とする。リターデーション値は、良く知られて
いる市販の複屈折率測定装置で測定することができる。
本発明では、日本分光社製の多波長複屈折率測定装置M
−150を用いた。
【0034】本発明には、上記のフィルムの中でも、光
学等方性プラスチックフィルムとしては液晶表示パネル
の透明電極基板等の光学用途に多用されているポリカー
ボネートまたはカーボネート共重合体のフィルムが特に
好ましく適用される。すなわち、本発明は、ポリカーボ
ネートまたはカーボネート共重合体のフィルムにおい
て、特に良好な接着性を示し、90℃で1000時間、
あるいは60℃,90%RHで1000時間という条件
下での長期信頼性試験後でも全く剥離しない、具体的に
は150g/cm以上の剥離強度が維持できると言う抜
群の効果を奏する。
【0035】以上の構成の本発明の積層フィルムは、接
着性が良好であり、かつ、良好な耐透気性を有する。
【0036】ここで、耐透気性とは、空気の遮断能力を
意味するが、評価基準としてはMOCON社製オキシト
ラン2/20MHを用いて25℃で測定した酸素透過率
で表し、本発明の積層フィルムでは、液晶表示パネル等
でも十分と言われる酸素透過率が1cc/平方メートル
・日・atm以下の良好な耐透気性が得られる。
【0037】ところで、本発明の積層フィルムには、必
要な場合には防湿、耐溶剤性の向上を目的とした保護層
を設けることができる。
【0038】この保護層としては、エポキシ樹脂、フェ
ノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエス
テル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹
脂またはウレタン樹脂より成る群から選ばれた、少なく
とも1種を組成分としている熱架橋性樹脂硬化物よりな
るものが好ましい。さらには、作業性および保護層とし
ての性能が良好な材料として、エポキシ樹脂、フェノキ
シ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル
樹脂含有組成物が好ましい。
【0039】さらに、以上の構成の本発明の積層フィル
ムの表面には以下のような透明導電層を設けることがで
き、これにより液晶表示パネル等の透明電極に好適な透
明導電性の積層フィルムを得ることができる。
【0040】透明導電層は、公知の錫、インジウム、チ
タン等の金属又はこれらの酸化物が適用できるが、主と
して非結晶性のインジウム酸化物からなり、その組成分
として錫を5〜15重量%含有し、かつ、透明導電層の
膜厚が20〜200nmの範囲にあるものが透明性、導
電性、屈曲性等から好ましい。
【0041】結晶性の高いインジウム酸化物は、非結晶
体と比較すると、透明性、導電性が高く、透明電極材料
として好ましいが、屈曲性の高いフィルム上に結晶性の
膜を製膜し、このフィルムを屈曲したときには割れやす
く、取扱性が悪くなってしまう。
【0042】ここでは製膜したインジウム酸化物の結晶
性、非結晶性を次のように定義する。何らかの方法でイ
ンジウム酸化物を製膜し、その表面を透過型電子顕微鏡
で観察したときに、非晶質膜の表面に直径が高々100
nm程度の微結晶体が観察される。この観察方法で、単
位体積(100μm2)あたりの結晶粒面積割合が20
%以下の場合を非結晶とする。
【0043】インジウム酸化物は本来透明な電気絶縁体
であるが、微量の不純物を含有する場合や、わずかに酸
素不足の場合には半導体になる。好ましい半導体金属酸
化物としては、不純物として、錫、またはフッ素を含む
インジウム酸化物を挙げることができ、特に好ましく
は、錫を5〜15重量%含有するインジウム酸化物が、
高い透明性を保ちつつ、良好な導電性を示す。
【0044】そして、その厚さとしては、20〜200
nmの範囲が好ましい。20nmよりも薄いと、電気的
に面積抵抗が高くなり、良好な透明導電フィルムとして
活用しにくくなる。また、200nmよりも厚くなる
と、フィルムの550nm透過率として、80%以上の
値を得難くなる上、屈曲したときに容易に割れてしま
い、取扱が困難となる。
【0045】以上の透明導電層を設けた透明導電性の積
層フィルムの構成としては、種々の態様が可能である。
具体的には、透明導電層/プラスチックフィルム/アン
カーコート層/ポリビニルアルコール系樹脂層/保護
層、透明導電層/保護層/プラスチックフィルム/アン
カーコート層/ポリビニルアルコール系樹脂層/保護
層、透明導電層/保護層/ポリビニルアルコール系樹脂
層/アンカーコート層/プラスチックフィルム/アンカ
ーコート層/ポリビニルアルコール系樹脂層/保護層な
どが例示できる。
【0046】このような透明導電層を設けた積層フィル
ムは長期信頼性のあるツイステッドネマティック(T
N)液晶表示素子やスーパーツイステッドネマティック
(STN)液晶表示素子用さらには、光導電性感光体用
電極、面発熱体、有機エレクトロルミネッセンス用電極
の電極基板として好適に使用することが可能となる。
【0047】そして、この様なプラスチックフィルム/
アンカーコート層/ポリビニルアルコールまたはビニル
アルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂層
という積層構成を製造するに当たって、プラスチックフ
ィルム上にフェノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、
フェノキシエステル樹脂から選択した少なくとも1種類
のフェノキシ系樹脂と、イソシアネート基を2つ以上含
有する多官能イソシアネート化合物とを混合した熱架橋
性樹脂を熱硬化して得られるアンカーコート層、ポリビ
ニルアルコールまたはビニルアルコール共重合体等のポ
リビニルアルコール系樹脂層をそれぞれ湿式コーティン
グ法で積層することにより、塗工ムラや光学特性の劣化
等のない均一なポリビニルアルコール系樹脂層を形成す
ることが可能となる。
【0048】ところで、以上の本発明の基本構成のプラ
スチックフィルム上にアンカーコート層を介してポリビ
ニルアルコール系樹脂層を積層した積層フィルムは、以
下のように製造される。すなわち、前述のプラスチック
フィルム上に前述の熱架橋性樹脂を塗布し、次いで該塗
布層がタックフリーになるまで熱硬化してアンカーコー
ト層を形成した後、ポリビニルアルコール系樹脂層を湿
式コーティング法により形成することにより製造され
る。
【0049】なお、ここで言う湿式コーティング法と
は、液状にした積層物の液体をフィルム状に均一に塗工
し、乾燥することにより、フィルム表面に均一な膜厚で
積層物を積層する手段であり、具体的にはスピンコート
法、マイヤーバーコート法、正回転ロールコート法、グ
ラビアロールコート法、リバースロールコート法等を示
す。
【0050】フィルムに機能層を積層する手段として、
ディッピング法やラミネート法等がある。しかし、ディ
ッピング法では均一な膜厚で制御良く広い面に塗工する
ことは困難であり、またラミネート法ではラミネート接
着剤中に溶剤を含めることが困難である上、機能層の材
料例えば本発明のポリビニルアルコール系樹脂を良好な
機械特性を有するフィルムに製膜しなければならないと
いう問題もあるので、本発明では、上記の通り、かかる
手段は採用しない。
【0051】この製造方法により、アンカーコート層上
に均一な膜厚で光学特性が均一なポリビニルアルコール
系樹脂層を安定して形成できる。すなわち、アンカーコ
ート層の表面はタックフリーで、その上に湿式コーティ
ングでポリビニルアルコール系樹脂層を積層してもその
表面性が荒らされないので、均一な膜厚で光学特性が均
一なポリビニルアルコール系樹脂層が形成でき、耐透気
性、光学特性の均一性に優れ、基板のプラスチックフィ
ルムとの接着性も十分な積層フィルムが得られる。
【0052】本発明の製造プロセスの具体的構成として
は、アンカーコート層のタック性が無くなることから、
湿式コート−熱硬化によりアンカーコート層を形成後、
一旦その積層フィルムをロールに巻取りあるいは重ね置
きした後、同様にポリビニルアルコール樹脂層を湿式コ
ートし、乾燥するプロセスがある。この場合、簡便なコ
ーティング装置でも容易に製造でき、同一装置で各層を
形成すれば設備費も安価となる。
【0053】また、連続して湿式コート、乾燥、湿式コ
ート、乾燥ができる装置を用いて、アンカーコート層、
ポリビニルアルコール系樹脂層を連続して製造するプロ
セスも可能であり、この場合生産性の良い製造が出来
る。
【0054】いずれにしても、長尺のプラスチックフィ
ルムのロールを用い、これから巻き戻しつつ層形成し、
次いで再びロールに巻き上げる生産性の良いロール・ツ
・ロールの生産方式を採用することが好ましい。すなわ
ち、プラスチックフィルムのロールから巻戻しつつ連続
的に塗布−熱硬化することで、タックフリーのアンカー
コート層が得られるので、熱硬化後さらに続けてそのま
まポリビニルアルコール系樹脂層を形成した後ロールに
巻上げてもよく、あるいは硬化後一旦ロールに巻き上げ
て、次のポリビニルアルコール系樹脂層の形成工程まで
運搬してもよく、レイアウト等に応じた態様ができる。
このように、ロール・ツ・ロールの生産方式が可能であ
り、生産性の良い製造ができる。
【0055】さらに、保護層、透明導電層についても、
このロール・ツ・ロールの生産方式が可能であり、これ
ら各層を有する各種態様の積層構成の積層フィルムにつ
いても、全体として生産性の良いプロセスでの製造がで
きる。
【0056】このように、本発明は従来のアンカーコー
ト層を湿式コーティング法により積層したときに、タッ
ク性があるという事に由来する問題を解決し、光学特性
の均一性がよく、基板のプラスチックフィルムとの接着
性も良いガスバリア性を有するポリビニルアルコール樹
脂層付き積層フィルムを生産性よく実現するものであ
り、長期信頼性の高い積層フィルム、さらには透明導電
性を有する積層フィルムを提供することが可能であり、
液晶表示素子等の透明電極基板として好適に使用するこ
とができる。
【0057】以下、実施例を説明する。
【0058】
【実施例】
[実施例1]ビスフェノール成分がビスフェノールAの
みからなる平均分子量37000のポリカーボネート樹
脂を用いて、溶液流延法により、以下のようにポリカー
ボネートフィルムを製膜した。
【0059】すなわち、該ポリカーボネート樹脂を溶媒
のメチレンクロライドに20重量%溶解した。そしてこ
の溶液をダイコーティング法により厚さ175μmのポ
リエステルフィルム上に流延して、製膜した。次いで、
乾燥炉で残留溶媒濃度を13重量%になるまで乾燥除去
した後、ポリエステルフィルムからポリカーボネートフ
ィルムを剥離した。そして、このポリカーボネートフィ
ルムを温度120℃の乾燥炉中で、縦横の張力をバラン
スさせながら、残留溶媒濃度が0.08重量%になるま
で乾燥した。
【0060】こうして得られたポリカーボネートフィル
ムは、厚みが102μmであった。また、このフィルム
の透過率は91%、ヘーズ値は0.3%、リタデーショ
ン値は8nmの光学等方性であった。
【0061】そして、このポリカーボネートフィルムの
片面に2μmのアンカーコート層をマイヤーバーコート
法を用いて以下のように形成した。
【0062】アンカーコート層はフェノキシ樹脂とし、
フェノキシ樹脂の東都化成(株)製フェノトートYP−
50を20部と溶媒のメチルエチルケトン40部と2−
エトキシエチルアセテート20部を混合したものに、更
に硬化剤の多官能イソシアネートとして日本ポリウレタ
ン(株)製コロネートLを20部混合して塗液とした。
このとき〔NCO/OH〕=1.0であった。そして、
この塗液を光学等方性プラスチックフィルムの片面に塗
工し、80℃で5分及び130℃で10分熱処理してア
ンカーコート層を形成した。得られたアンカーコート層
の表面は全くタック性のないものであった。
【0063】次にこのアンカーコート層上に6μmのポ
リビニルアルコール系樹脂層をマイヤーバーコート法を
用いて以下のように積層した。
【0064】ポリビニルアルコール系樹脂層はポリビニ
ルアルコールとして(株)クラレ製のPVA−117を
15部と溶媒の水85部を加熱混合した塗液をアンカー
コート層上に塗工し、110℃で30分熱処理すること
で形成した。
【0065】この積層フィルムの透過率は90%、ヘー
ズ値は0.3%で、基板フィルムの透明性を維持してい
た。
【0066】この積層フィルムについて、ポリカーボネ
ートフィルムとポリビニルアルコール系樹脂層の間の剥
離強度を測定した結果、620g/cmであり、良好な
接着性を示した。
【0067】さらに、90℃で1000時間の長期信頼
性試験を行ったが、剥離強度は650g/cmとむしろ
向上しており、全く問題なかった。
【0068】[実施例2]実施例1で用いたポリカーボ
ネートフィルムの片面に実施例1と同じにして厚さが2
μmのアンカーコート層を形成した。
【0069】このアンカーコート層上に6μmのポリビ
ニルアルコール系樹脂層をマイヤーバーコート法を用い
て以下のように積層した。
【0070】ポリビニルアルコール系樹脂層は、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体の(株)クラレ製のEP
−F101(エチレン含有量32モル%)を15部と溶
媒の水50部、nプロピルアルコール35部を加熱混合
した塗液をアンカーコート層上に塗工し、110℃で3
0分熱処理することで形成した。
【0071】この積層フィルムの光線透過率は89%、
ヘーズ値は0.4%と十分な透明性で、ほぼ基板フィル
ムの透明性を維持していた。
【0072】この積層フィルムについて、ポリカーボネ
ートフィルムとポリビニルアルコール系樹脂層の間の剥
離強度を測定した結果、370g/cmであり、良好な
接着性を示した。
【0073】さらに、90℃で1000時間の長期信頼
性試験を行ったが剥離強度は390g/cmとむしろ向
上しており、全く問題なかった。
【0074】[実施例3]実施例1と同じポリカーボネ
ートフィルムの片面に厚さ2μmのアンカーコート層を
マイヤーバーコート法を用いて以下のように形成した。
【0075】アンカーコート層はフェノキシエステル樹
脂とし、フェノキエステル樹脂のユニオンカーバイドコ
ーポレーション製PKHM−30を20部と溶媒のメチ
ルエチルケトン40部と2−エトキシエチルアセテート
20部を混合した物に、更に多官能イソシアネートとし
て日本ポリウレタン(株)製コロネートLを20部を混
合した物を塗液とした。このときNCO/OH=1.4
であった。そして、この塗液を光学等方性プラスチック
フィルムの片面に塗工し、80℃で5分及び130℃で
10分熱処理してアンカーコート層を形成した。得られ
たアンカーコート層の表面は全くタック性のないもので
あった。
【0076】次にこのアンカーコート層上に実施例1と
同じにして厚さ6μmのポリビニルアルコール系樹脂層
を積層した。
【0077】この積層フィルムの光線透過率は90%、
ヘーズ値は0.3%で、十分な透明性を有していた。
【0078】この積層フィルムについて、ポリカーボネ
ートフィルムとポリビニルアルコール系樹脂層の間の剥
離強度を測定した結果、550g/cmであり、良好な
接着性を示した。
【0079】さらに、90℃で1000時間の長期信頼
性試験を行ったが剥離強度は570g/cmとむしろ向
上しており、全く問題なかった。
【0080】[実施例4]実施例1において、アンカー
コート層を下記の組成のものとした以外は、実施例1と
同じ構成の積層フィルムを形成した。
【0081】アンカーコート層のフェノキシ樹脂の組成
は、フェノキシ樹脂を20部とメチルエチルケトン40
部と2−エトキシエチルアセテート20部を混合したも
のに多官能イソシアネートを5部加えた組成のものとし
た。このときNCO/OHは0.25であった。熱処理
条件は、実施例1と同じ条件で表面が全くタックフリー
のアンダーコート層が形成できた。
【0082】この積層フィルムの透過率は90%、ヘー
ズ値は0.3%で、実施例1と同様の透明性であった。
【0083】この積層フィルムについて、ポリカーボネ
ートフィルムとポリビニルアルコール系樹脂層の間の剥
離強度を測定した結果、580g/cmであり、良好な
接着性を示した。
【0084】さらに、90℃で1000時間の長期信頼
性試験を行ったが剥離強度は590g/cmとむしろ向
上しており、全く問題なかった。
【0085】[実施例5]実施例1において、アンカー
コート層を下記の組成のものとした以外は、実施例1と
同じ構成の積層フィルムを形成した。
【0086】アンカーコート層のフェノキシ樹脂の組成
は、フェノキシ樹脂を20部とメチルエチルケトン40
部と2−エトキシエチルアセテート20部を混合したも
のに多官能イソシアネートを58部加えた組成のものと
した。このときNCO/OHは2.9とした。熱処理条
件は、実施例1と同じ条件で表面が全くタックフリーの
アンダーコート層が形成できた。
【0087】この積層フィルムの透過率は90%、ヘー
ズ値は0.3%で、実施例1と同様の透明性であっ
た。。
【0088】この積層フィルムについて、ポリカーボネ
ートフィルムとポリビニルアルコール系樹脂層の間の剥
離強度を測定した結果、270g/cmであり、良好な
接着性を示した。
【0089】さらに、90℃で1000時間の長期信頼
性試験を行ったが剥離強度は470g/cmとむしろ向
上しており、全く問題なかった。
【0090】[実施例6]実施例1で作製した積層フィ
ルムの両面に6μmの保護層を、さらにその上に透明導
電層を以下のように設け、透明導電性の積層フィルムを
作製した。
【0091】保護層はフェノキシ樹脂とし、フェノキシ
樹脂の東都化成(株)製フェノトートYP−50を40
部とメチルエチルケトン40部と2−エトキシエチルア
セテート20部を混合したものに、更に多官能イソシア
ネートとして日本ポリウレタン(株)製コロネートLを
40部混合した物を塗液として塗工し、80℃で5分及
び130℃で3時間熱処理することで形成した。
【0092】そして、この積層フィルムのポリビニルア
ルコール系樹脂層が設けられた面と反対側の面の保護層
上に透明導電層を形成した。
【0093】透明導電層は、インジウム−錫酸化物層と
し、以下のようにスパッタリング法により形成した。
【0094】スパッタリングターゲットには組成が重量
比でインジウム/錫=90/10、充填密度が90%の
インジウム−錫酸化物ターゲットを用いた。そして、連
続スパッタ装置に積層フィルムをセットし、1.3mP
aの圧力まで排気した後、Ar/O2=98.5/1.
5の体積混合比のガスを導入し、雰囲気圧力を0.27
Paにした。そしてベースフィルム温度を50℃に設定
し、投入電力密度1W/cm2 でDCスパッタリングを
行った。
【0095】その結果得られた透明導電層は、結晶粒の
存在割合が面積比で0%であり、非結晶であった。ま
た、膜厚130nmであり、表面抵抗値が40Ω/□で
あった。また、酸素透過率は0.1cc/m2 ・日・a
tmであった。
【0096】この透明導電性の積層フィルムの光線透過
率は85%、ヘイズ値は0.5%であった。
【0097】また、ポリカーボネートフィルムとポリビ
ニルアルコール系樹脂層の間の剥離強度を測定した結
果、670g/cmであり、良好な接着性を示した。さ
らに、90℃で1000時間あるいは60℃,90%R
Hで1000時間の長期信頼性試験を行ったが、剥離強
度はそれぞれ670g/cm、650g/cmであり、
良好な接着性を維持していた。
【0098】さらに、この積層フィルムを用いてSTN
液晶セルを作製し、信頼性試験を行った。信頼性試験
は、80℃で1000時間の耐熱性試験及び、60℃,
90%RHで1000時間の耐湿性試験の2種を行っ
た。その結果、外観、表示性能に何ら変化は観られなか
った。
【0099】[実施例7]実施例1において、アンカー
コート層の熱処理条件を変更した以外は、実施例1と同
じ構成の積層フィルムを形成した。
【0100】熱処理条件は積み重ね或いはロールに巻き
上げて実用上支障のない具体的には接着しないタックフ
リーの表面が得られる最短時間を検討した。本構成では
130℃で5分の短時間の熱処理により実用上支障のな
いタックフリーの表面のアンダーコート層が形成でき
た。
【0101】得られた積層フィルムの透過率は90%、
ヘーズ値は0.3%で、実施例1と同様の透明性であっ
た。。
【0102】この積層フィルムについて、ポリカーボネ
ートフィルムとポリビニルアルコール系樹脂層の間の剥
離強度を測定した結果、650g/cmであり、良好な
接着性を示した。
【0103】さらに、90℃で1000時間の長期信頼
性試験を行ったが剥離強度は690g/cmとむしろ向
上しており、全く問題なかった。
【0104】[比較例1]実施例1において、アンカー
コート層を下記の組成のものとした以外は、実施例1と
同じ構成の積層フィルムを形成した。
【0105】アンカーコート層はポリウレタン樹脂と
し、主剤のポリオール成分の武田薬品工業(株)製A3
10を100部に対し、硬化剤の多官能イソシアネート
化合物として武田薬品工業(株)製A3を25部混合し
た塗液とした。この塗液を該オポリカーボネートフィル
ムの一方の面に塗布し、100℃で25分熱処理するこ
とで、アンカーコート層を形成した。
【0106】このとき、アンカーコート層表面にはタッ
ク性があり、アンカーコート層のみ形成した状態で積層
フィルムを重ねたときに互いに接着してしまった。ま
た、互いに接着してしまった積層フィルム同士を引き剥
がすと、アンカーコート層表面は荒れてしまった。
【0107】この様なタック性のあるアンカーコート表
面にマイヤーバーコート法を用いて、実施例1と同じポ
リビニルアルコール系樹脂層を形成した。このとき、表
面のタック性のためマイヤーバーが良好に滑らず均一な
膜厚の層を形成することが出来なかった。
【0108】また、形成した積層フィルムの光線透過率
は85%、ヘーズ値7.2%で、透明性が大きく低下し
た。
【0109】[比較例2]ポリビニルアルコール系樹脂
フィルムをポリカーボネートフィルムとラミネートする
方法でポリビニルアルコール系樹脂層付き積層フィルム
を作製した。
【0110】ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、
マイヤーバーコート法を用いて175μm厚のポリエス
テルフィルム上に流延し、乾燥後剥離する事で製膜し
た。その際、ポリビニルアルコール系樹脂層はポリビニ
ルアルコールとして(株)クラレ製のPVA−117を
15部と溶媒の水85部を加熱混合した物を用い、11
0℃で30分熱処理することで形成した。このとき、ポ
リビニルアルコール系樹脂フィルムの厚さは8μmであ
った。
【0111】このポリビニルアルコール系樹脂フィルム
を比較例1のアンカーコート積層フィルムのアンカーコ
ート層上に、ラミネート法を用いて貼り合わせ、130
℃で30分の熱処理を加えた。
【0112】この様にして得られた積層フィルムにはし
わ、気泡などの欠点が入り、均一な積層フィルムの作製
が困難であった。
【0113】[比較例3]実施例1において、アンカー
コート層を下記の組成のものとした以外は、実施例1と
同じ構成の積層フィルムを形成した。
【0114】アンカーコート層のフェノキシ樹脂の組成
は、フェノキシ樹脂を20部とメチルエチルケトン40
部と2−エトキシエチルアセテート20部を混合したも
のに多官能イソシアネートを2部加えた組成のものとし
た。このときNCO/OHは0.1であった。それ以外
は実施例1と同一とした。
【0115】この積層フィルムについて、ポリカーボネ
ートフィルムとポリビニルアルコール系樹脂層の間の剥
離強度を測定した結果、100g/cmであり、接着性
が悪かった。
【0116】[比較例4]実施例1において、アンカー
コート層を下記の組成のものとした以外は、実施例1と
同じ構成の積層フィルムを形成した。
【0117】アンカーコート層のフェノキシ樹脂の組成
は、フェノキシ樹脂を20部とメチルエチルケトン40
部と2−エトキシエチルアセテート20部を混合したも
のに多官能イソシアネートを64部加えた組成のものと
した。このときNCO/OHは3.2であった。それ以
外は実施例1と同一とした。
【0118】この積層フィルムについて、ポリカーボネ
ートフィルムとポリビニルアルコール系樹脂層の間の剥
離強度を測定した結果、20g/cmであり、接着性が
悪かった。
【0119】
【発明の効果】本発明はアンカーコート層にフェノキシ
系樹脂を用いることにより、連続的に硬化処理すること
で、表面がタックフリーのアンカーコート層が得られ、
この上に湿式コーティングでポリビニルアルコール層を
形成しても光学特性の均一性が損なわれず、均一な光学
特性を維持しつつ、接着性の良い積層フィルムを実現す
るものであり、またこのタックフリーの表面によりアン
カーコート層付き中間積層体で重ねたり、ロール状に巻
き取ることができるので、生産性の良い製造ができるも
のである。さらに、必要に応じて保護層、透明導電層を
積層することにより、長期信頼性の高い積層フィルム、
さらには長期信頼性の高い透明導電性を有する積層フィ
ルムを得ることができるものである。このように本発明
は広い範囲に適用できるもので、中でも液晶表示素子等
の透明電極基板等として好適に使用することができるも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02F 1/1333 500 G02F 1/1333 500 (72)発明者 田村 優次 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社 東京研究センター内 (56)参考文献 特開 平8−201791(JP,A) 特開 平3−9323(JP,A) 特開 平6−64103(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 27/00 - 27/42 C08J 7/00 - 7/18 G02F 1/1333

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルム上にアンカーコー
    ト層を介してポリビニルアルコール系樹脂層を積層した
    積層フィルムにおいて、該アンカーコート層が、下記一
    般式(A)で示される繰り返し単位からなるフェノキシ
    樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹
    脂から選択した少なくとも1種類のフェノキシ系樹脂
    と、イソシアネート基を2つ以上含有する多官能イソシ
    アネート化合物とを混合した熱架橋性樹脂を硬化して得
    られる硬化層であることを特徴とする積層フィルム。 【化1】 (ここで、R1 からR6 は、同一または異なる水素また
    は炭素数1から3のアルキル基、R7 は炭素数2から5
    のアルキレン基、Xはエーテル基、エステル基、mは0
    から3の整数、nは20から300の整数である。)
  2. 【請求項2】 プラスチックフィルム上にアンカーコー
    ト層を介してポリビニルアルコール系樹脂層を積層した
    積層フィルムの製造方法において、プラスチックフィル
    ム上に下記一般式(A)で示される繰り返し単位からな
    るフェノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキ
    シエステル樹脂から選択した少なくとも1種類のフェノ
    キシ系樹脂と、イソシアネート基を2つ以上含有する多
    官能イソシアネート化合物とを混合した熱架橋性樹脂を
    塗布し、次いで該塗布層がタックフリーになるまで熱硬
    化してアンカーコート層を形成した後、ポリビニルアル
    コール系樹脂層を湿式コーティング法により形成するこ
    と特徴とする積層フィルムの製造方法。 【化2】 (ここで、R1 からR6 は、同一または異なる水素また
    は炭素数1から3のアルキル基、R7 は炭素数2から5
    のアルキレン基、Xはエーテル基、エステル基、mは0
    から3の整数、nは20から300の整数である。)
  3. 【請求項3】 前記熱架橋性樹脂は、前記フェノキシ系
    樹脂と前記多官能イソシアネート化合物をフェノキシ系
    樹脂中の水酸基モル数で多官能イソシアネート化合物中
    のイソシアネート基モル数を割った値〔NCO/OH〕
    が0.2以上で3以下の範囲内となるように混合した熱
    架橋性樹脂である請求項1記載の積層フィルム又は請求
    項2記載の積層フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記プラスチックフィルムがポリカーボ
    ネートまたはカーボネート共重合体のフィルムである請
    求項1、請求項2又は請求項3記載の積層フィルム又は
    積層フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 最表面の少なくとも片面に透明導電層を
    有する請求項1、請求項3又は請求項4記載の積層フィ
    ルム。
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