JP3413945B2 - 縞計数変位干渉計 - Google Patents

縞計数変位干渉計

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JP3413945B2
JP3413945B2 JP07128994A JP7128994A JP3413945B2 JP 3413945 B2 JP3413945 B2 JP 3413945B2 JP 07128994 A JP07128994 A JP 07128994A JP 7128994 A JP7128994 A JP 7128994A JP 3413945 B2 JP3413945 B2 JP 3413945B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度な変位計測精度が
要求される測定機器等に応用される縞計数変位干渉計に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】干渉縞計数法を用いた変位計測方式とし
て、被測定物からの測定光と参照光とから、DCレベル
が零で振幅が等しい90度位相差を持つ二つの干渉出力
信号V1 、V2 を作り出し、これらの相互干渉状態から
被測定物の変位を求める方法が知られている。
【0003】これらの二つの出力信号V1 、V2 のリサ
ージュ図形は、例えば図2で示すように、原点を中心と
した真円(A)となる。そして、このリサージュ図形の
一周が1フリンジ(縞)に相当し、シングルパスの変位
干渉計の場合には、1フリンジは被測定物のλ/2の変
位に相当する。ここで、λは使用する光の波長であり、
リサージュ図形における回転数をカウントすることで、
被測定物の変位量が測定される。
【0004】ところで、1フリンジの整数倍の変位の計
測は、V2 が0度でクロスしたときをカウントすること
により行うが、V2 が0度でクロスしたのか180度で
クロスしたのかを判断するために、そのとき(V2 が0
度でクロスしたとき)のV1の正負を知る必要がある。
【0005】また、1フリンジ以下の変位の計測は、基
本的にはtan-1(V2 /V1 )からリサージュの回転
角θを計算し、シングルパス方式の場合には一周分が変
位量λ/2に相当することから、回転角θに基づく変位
量を求める。
【0006】ここで、従来のこの種の装置の一例を図3
に示す。この図に示す従来例では、レーザ光源301か
ら射出された入力ビーム302が、偏光ビームスプリッ
ター303に入射して、p偏光の測定光304とs偏光
の参照光305とに偏光分離される。
【0007】測定光304は、被測定物の移動鏡306
で折り返され、入力ビーム302とは分離されて偏光ビ
ームスプリッター303から射出する。参照光305
は、予め相対間隔が定められた固定鏡307で折り返さ
れて、再び偏光ビームスプリッター303に入射して、
測定光304と同軸上に合成され、出力ビーム308と
なって偏光ビームスプリッター303から射出される。
【0008】このように、出力ビーム308は、互いに
直交する偏光成分である測定光成分と参照光成分とから
なる検出光となる。そして、この出力ビーム308は、
全反射ミラー309で反射され、λ/2板310により
偏光面を45度回転させて、ビームスプリッター311
に入射すると共に、ここで二方向に等しく光量分割され
る。
【0009】ビームスプリッター311で反射されて分
割された検出光312は、偏光ビームスプリッター31
3に入射すると共に、ここで偏光方向に伴って分離さ
れ、透過方位と反射方位とで180度位相のずれた透過
干渉光317と反射干渉光318とが出力される。
【0010】一方、ビームスプリッター311で透過さ
れて分割された検出光314は、測定光成分と参照光成
分の何れかに中性軸を一致させたλ/4板315に入射
して、測定光成分と参照光成分との位相差を90度ずら
した後、偏光子316に入射して検出干渉光319が得
られる。
【0011】このとき、検出干渉光319の位相は、透
過干渉光317、反射干渉光318に対して90度ずれ
ている。夫々の干渉光は、利得可変な光電変換器320
〜322に入射し、夫々0度、90度、180度の三つ
の位相の信号を出力する。これらの三つの検出信号は、
夫々減算回路323に入力され、ここで90度の位相を
持つ検出干渉光319に基づく信号から、夫々0度、1
80度の位相の信号を差し引いて、二つの差信号を得
る。
【0012】この二つの差信号は、先の光電変換器32
0〜322の利得を変えることにより、DCレベルが零
で、振幅が等しく、かつ、位相差が90度になるように
調整してある。そして、減算回路323により得られた
二つの差信号は、演算回路324に入力され、ここでの
演算処理により移動鏡306(被測定物)の変位量が計
算されるものとなっている。
【0013】また、検出信号の位相差が互いに90度づ
つとなる四つの信号から互いに180度づつずれた二つ
の信号を対にして選択し、これらの二つの差信号から位
置検出処理を行うものとして特開平2−22503号が
知られている。
【0014】この公知技術では、互いに直交する偏光成
分からなる検出ビームに対し、偏光ビームスプリッター
を偏光の振動軸に対して45度傾けることにより、互い
に逆位相の(180度位相のずれた)干渉光を採り出す
方式としている。
【0015】さらに、これらを90度づつずれた信号と
するために、最初に光量分割した一方の検出ビームをλ
/4板を透過させて、位相が90度ずれた検出ビームと
している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記のような縞計数干
渉計では、検出した出力信号V1 、V2 がオフセットを
持っていたり、振幅が等しくない場合や、位相差が90
度からずれている場合等には、図2のBで示すように楕
円形のリサージュ図形となる場合があり、このようなリ
サージュ図形に基づいて逆正接から求めた変位量は、実
際の変位量に対して誤差を持つものとなる。
【0017】ここで、前述した従来構成の縞計数干渉計
では、90度の位相の信号から夫々0度と180度の位
相の信号を差し引いて、DCレベルが零で振幅が等し
く、互いに直角位相の二つの差信号を作り出すため、装
置の調整時に光電変換器の一つの検出器の利得を変える
と、差信号のDCレベル、振幅、位相差が全て同時に変
動してしまう。このため、個別の差信号検出に対してオ
フセット調整や、振幅調整、及び位相調整を独自に行う
ことができないため、調整作業が非常に面倒である欠点
がある。
【0018】この欠点は、λ/4板にリターデーション
誤差がある(互いに直交する固有偏光間の位相差が90
度からずれている)場合、検出信号自体に誤差が生ずる
と共に、調整作業がさらに困難になる。
【0019】この点については、前述した公知技術にお
いても同様であり、波長板のリターデーション誤差が生
じないようにするには、精密なλ/4波長板を用いる必
要があるが、このような精密な波長板の作製は非常に困
難であり、仮に製作しても製造コストがかさむ欠点があ
る。
【0020】また、公知技術のように光学系自体を偏光
面に対して45度傾ける構成とすると、光学系の配置構
成に制限が多くなると共に、製造時のこれらの光学系の
配置構成における調整作業が非常に面倒である。
【0021】加えて、先のリターデーション誤差と共
に、光学系の配置構成のずれとの相互の誤差が検出信号
に影響するので、例えば使用中の振動等によっても検出
誤差が生ずる。このため、これらの相互の影響から検出
精度を著しく低下させる場合があり、これを防止するこ
と並びに精度自体を向上させることや使用中に調整し直
すこと等が困難な問題もある。
【0022】本発明はこれらの問題点に鑑みてなされた
ものであり、検出特性の優れた縞計数変位干渉計を提供
することを主目的とする。特に、これらの装置に関し
て、オフセット調整、振幅調整、並びに位相調整が夫々
独立して調整できる様にする事で、装置の調整が容易な
縞計数変位干渉計を提供する事を目的とする。
【0023】また、差信号の位相差が正確に90度毎に
独自に調整できる縞計数変位干渉計を提供する事を目的
とする。さらに、DCレベルが零で、振幅の等しい理想
的な二つの差信号が容易に得られる縞計数変位干渉計を
提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願請求項1に記載した発明では、光源からの出力
ビームを互いに直交する偏光成分毎に分割して参照光と
測定光とに利用すると共に、参照対象物並びに被測定物
から反射してきた検査光束を同軸上に合成して検出ビー
ムを取り出す干渉光学系と、前記検出ビームを二つに分
割する分割手段と、ここで分割された一方の検出ビーム
の直交する偏光成分間の位相を変移させる位相変移手段
と、前記分割された夫々の検出ビームから互いに180
度位相のずれた二つの干渉光をそれぞれ取り出す偏光干
渉手段であって、前記検出ビームの光路中に設けられた
λ/2板と、前記分割手段により分割された二つの検出
ビームの光路中に夫々設けられた偏光ビームスプリッタ
ーとを有し、前記λ/2板が、これを透過する前後の検
出ビームの偏光面が互いに45度傾く様に配置されてい
ると共に、前記偏光ビームスプリッターが、前記λ/2
板を透過する前の検出ビームのいずれかの偏光面と偏光
ビームスプリッターの偏光分離面に対する検出ビームの
入射面とが一致する様に配置されている偏光干渉手段
と、これらの四つの干渉光を夫々検出する検出手段とを
備え、前記位相変移手段が、互いに直交する偏光成分間
の位相の変移量を変更させる変移量可変手段を有してお
り、前記位相変移手段の変移量可変手段により、前記分
割された一方の干渉光の位相が他方の干渉光の位相と9
0度づつ変移した状態で前記四つの干渉光を夫々検出
し、該検出結果に基づいて被測定物の変位量を測定する
こと特徴とする縞計数変位干渉計を提供する。
【0025】本願請求項2に記載した発明は、請求項1
記載の縞計数変位干渉計であって、前記検出手段が利得
可変な光電変換手段により前記四つの干渉光を光電変換
して検出するものであることを特徴とする。
【0026】本願請求項3に記載した発明は、請求項1
又は2に記載の縞計数変位干渉計であって、前記位相変
移手段が、互いに直交する偏光成分間の位相をずらす移
相子と、この移相子をビーム光軸のまわりに回転させる
ことにより位相の変移量を変更させる変移量可変手段か
らなることを特徴とする。
【0027】
【0028】本願請求項4に記載した発明は、光源から
の出力ビームを互いに直交する偏光成分毎に分割して参
照光と測定光とに利用すると共に、参照対象物並びに被
測定物から反射してきた検査光束を同軸上に合成して検
出ビームを取り出す干渉光学系と、前記検出ビームを二
つに分割する分割手段と、ここで分割された一方の検出
ビームの直交する偏光成分間の位相を変移させる位相変
移手段と、前記分割された夫々の検出ビームから互いに
180度位相のずれた二つの干渉光をそれぞれ取り出す
偏光干渉手段と、これらの四つの干渉光を夫々検出する
検出手段とを備え、前記分割手段が非偏光ビームスプリ
ッターからなり、前記位相変移手段が互いに直交する偏
光成分間の位相をずらす移相子と、この移相子をビーム
光軸に対して回転させることにより干渉光の位相の変移
量を変更させる変移量可変手段を有し、前記移相子が前
記分割手段により分割された一方の光路中に設けられ、
前記偏光干渉手段が前記分割手段による分割前の検出ビ
ームの光路中に設けられたλ/2板と前記分割手段によ
り分割された二つの検出ビームの光路中に夫々設けられ
た偏光ビームスプリッターとを有し、前記λ/2板が、
これを透過する前後の検出ビームの偏光面が互いに45
度傾く様に配置されていると共に、前記偏光ビームスプ
リッターが、前記λ/2板を透過する前の検出ビームの
いずれかの偏光面と偏光ビームスプリッターの偏光分離
面に対する検出ビームの入射面とが一致する様に配置さ
れており、前記検出手段が、利得可変な光電変換手段に
より前記四つの干渉光を光電変換して検出するものであ
り、前記位相変移手段の変移量可変手段により、前記分
割された一方の干渉光の位相が他方の干渉光の位相と9
0度づつ変移した状態で前記四つの干渉光を夫々検出
し、該検出結果に基づいて被測定物の変位量を測定する
こと特徴とする縞計数変位干渉計を提供する。
【0029】
【作用】本発明は、上記のように構成されているため以
下の作用を奏する。まず、本願に記載した発明では、光
源からの出力ビームを互いに直交する偏光成分毎に分割
して参照光と測定光とに利用すると共に、参照対象物並
びに被測定物から反射してきた検査光束を同軸上に合成
して検出ビームを取り出す干渉光学系を備えている。こ
のため、干渉光学系から互いに直交する偏光成分である
参照光と測定光とからなる検出ビームが得られることと
なる。
【0030】この検出ビームを分割手段が二つに分割す
るが、この分割手段は少なくとも検出ビームを光量分割
するものであれば良く、分割した二つの光量(光強度)
が互いに等しいものとなることが望ましい。
【0031】ここで分割された検出ビームに対しては、
直交する偏光成分間の位相を変移させる位相変移手段が
設けられている。この位相変位手段は、分割された一方
の検出ビームによる干渉光を、他方の検出ビームによる
干渉光に対して位相を変移させるものであれば良く、少
なくとも分割された一方の検出ビームの光路中に設けれ
ば良いが、相互に設けて位相差を調整しても良い。尚、
この位相差は90度であることが好ましいが、差信号の
検出方式等によってはこれに限定されるものではない。
【0032】さらに、分割された夫々の検出ビームは夫
々偏光干渉手段により、互いに180度位相のずれた二
つの干渉光が夫々取り出され、検出手段により検出され
ることとなる。
【0033】ここで、先の位相変移手段で、一方の干渉
光は他方に対して位相差が生じているため、互いに18
0度位相のずれた信号が二種類検出され、結果として四
つの信号が検出されることとなる。尚、先の位相変移手
段における位相差が90度であれば、この四つの信号の
位相差は互いに90度づつずれたもの、即ち、0度、9
0度、180度、270度の検出信号となる。
【0034】しかし、前述したように、波長板のリター
デーション誤差や、装置の配置構成誤差又は位置ずれ等
により、位相差にも誤差が生ずることがある。このた
め、本発明では、位相変移手段が互いに直交する偏光成
分間の位相の変移量を変更させる変移量可変手段を有し
ており、これにより二つの干渉光の位相差を調整するこ
とができるものとなっている。
【0035】この変移量可変手段により位相差を調整す
ることで、分割された一方の検出ビームからの干渉光の
位相が他方の検出ビームによる干渉光の位相と正確に9
0度変移した状態の前記四つの干渉光を夫々検出するこ
とができるものとなる。
【0036】そして、これらの正確な位相差が与えられ
た干渉光からの差信号を検出することにより、誤差のな
い検出結果が得られるので検出精度が向上する。このた
め、このような検出信号に基づいて被測定物の変位量を
測定することにより、被測定物の変位量が正確に測定さ
れるものとなる。
【0037】本願に記載した発明では、検出手段が利得
可変な光電変換手段により前記四つの干渉光を光電変換
して検出するものであるため、差信号の検出の際の利得
調整が四つの検出信号の個々に対して行えるものとなっ
ている。
【0038】これにより、二つの差信号のオフセット及
び振幅調整は、前記四つの光電変換器の利得を個々に変
えることにより行なう。このため、夫々の検出信号のD
Cレベルを零にして、かつ振幅を等しくすることが容易
に行なう事ができる。
【0039】即ち、本発明においては、移相子を透過し
たビームからも、一つの干渉光だけでは無く、互いに1
80度の位相差を持つ二つの干渉光を作り出し、ここか
ら逆位相同士の引算により二つの差信号を得ている。こ
のため、差信号の位相差は、移相子の固有偏光成分間の
位相差と中性軸方位によって決まり、光電変換器の利得
の変化は無関係となる。
【0040】これは、夫々の光電変換器における利得の
変化が、差信号のDCレベルと振幅のみに寄与するため
であり、オフセット、振幅調整と位相調整が独立して行
えるようになる。
【0041】さらに、一方の検出ビームから180度位
相のずれた二つの検出信号を取り出す際にも、これらを
偏光分離により逆位相の信号を取り出すものであるた
め、一つの信号検出の利得を変換しても他方に影響を与
えないものとなっている。
【0042】本願に記載した発明は、前記位相変移手段
が、互いに直交する偏光成分間の位相をずらす移相子
と、この移相子をビーム光軸のまわりに回転させること
により干渉光の位相の変移量を変更させる変移量可変手
段からなることを特徴とする。
【0043】即ち、互いに直交する偏光成分からなる検
出ビームに対し、一方にのみ90度の位相差を与えるた
めには、移相子として通常λ/4板の中性軸を互いに直
交する偏光成分の一方の振動面方向に一致させることに
より行われている。しかし、正確な90度移相子の作製
は極めて困難であり、多少の誤差が含まれているのが現
状である。
【0044】ここで、移相子を光軸のまわりに回転させ
てやると、これにより与えられる干渉光の位相が変化す
ることが知られている。本発明では、これを利用して移
相子により与えられる干渉光の位相を調整できるように
したものであり、例えば90度位相を生じさせるために
は、少なくとも90度以上180度未満の移相子を用
い、これを光軸のまわりに回転させることで、正確に9
0度位相の干渉光を与えるものとしている。
【0045】これを、図4を用いて説明する。二つの差
信号間の位相差φは、図4に示すように移相子をビーム
光軸まわりに回転させることにより調整される。この図
において、θ0 は移相子の中性軸が互いに直交する測定
光成分と参照光成分のどちらか一方に一致しているとき
の角度であり、δは移相子の二つの固有偏光成分間の位
相差である。
【0046】このように、本発明では正確な90度移相
子を使用する必要がないので、移相子の製作コストに伴
う装置の製造コストの上昇を抑えることができる。ま
た、仮に位相差に誤差(リターデーション誤差)のある
移相子を用いても、検出する干渉光に正確な位相差を与
えることができる利点がある。
【0047】尚、本発明に係る位相変移手段や、変移量
可変手段はこの方式に限定されるものでは無く、例えば
バビネ・ソレイユ補償板を応用したもの、複数の移相子
を組み合わせたもの、電気光学的素子を用いて位相差を
与える(位相差を変化させる手段を含む)もの等を応用
することも可能である。
【0048】次に、本願に係る発明に用いる偏光干渉手
段としては、検出ビームを偏光分離手段に入射させて互
いに直交する偏光成分ごとに分離する際に、分離された
偏光成分の夫々に検出ビームの測定光と参照光との両成
分を含ませる事で、分離された同じ偏光成分同士の測定
光と参照光とを干渉させる手段を使用する。
【0049】この様な偏光干渉手段により分離されて干
渉した干渉光は、互いに直交する偏光成分である事か
ら、互いに位相が180度ずれたものとなり、これらの
検出手段により検出する事で逆位相の差信号が分離して
とり出される。
【0050】本発明における偏光分離手段として、前述
した公知技術の様に、光学系全体を検出ビームの互いに
直交する偏光成分に対して傾けて配置するものを使用す
る事も可能であるが、本願に記載した発明では、λ/2
板と偏光ビームスプリッターとを用い、これらと検出ビ
ームの偏光面(振動面)の位置関係を工夫する事により
偏光分離手段を構築している。
【0051】本願に記載した発明では、前記偏光干渉手
段が、前記検出ビームの光路中に設けられたλ/2板
と、前記分割手段により分割された二つの検出ビームの
光路中に夫々設けられた偏光ビームスプリッターとを有
し、前記λ/2板がこれを透過する前後の検出ビームの
偏光面が互いに45度傾く様に配置されていると共に、
前記偏光ビームスプリッターが前記λ/2板を透過する
前の検出ビームのいずれかの偏光面と偏光ビームスプリ
ッターの偏光分離面に対する検出ビームの入射面とが一
致する様に配置されている。
【0052】測定光と参照光とが互いに直交する偏光成
分からなる検出ビームのいずれかの偏光面と、偏光ビー
ムスプリッターの偏光分割面に対して入射する検出ビー
ムの入射面(入射光軸を含む)とを一致させると、偏光
ビームスプリッターにより再度偏光成分ごとに測定光と
参照光とが分離されてしまう。
【0053】本発明では、この偏光ビームスプリッター
に入射する検出ビームの光路中にλ/2板を設け、これ
を透過する前後の検出ビームの偏光面が互いに45度傾
く様に配置されている。
【0054】このため、検出ビームが偏光分割面に入射
する際には、前記入射面に対して夫々の偏光成分が45
度づつ傾いた状態で入射するので、偏光分割面で透過あ
るいは反射されて分離される夫々の偏光方向成分毎に、
検出ビームの測定光と参照光とが夫々分離される。
【0055】そして、例えば偏光ビームスプリッターの
透過偏光成分は、検出ビームの測定光と参照光との同じ
偏光面をもつ偏光成分が分離される事となるので、これ
らが互いに干渉して干渉光となる。ここで分離された透
過偏光成分と反射偏光成分とは、互いに直交する偏光成
分であるため、これらの干渉光は互いに180度位相の
ずれた干渉光となる。
【0056】本発明では、偏光干渉手段を上記の様な構
成としているため、前述した公知技術の様に光学系自体
を傾けるものに比べて、検出ビームに対する偏光ビーム
スプリッターの配置構成が容易である。さらに、この様
な光学部材の設計の制限が少なくなり、自由度が広がる
ものとなるので種々の装置への応用が容易になる。ま
た、装置の製造時や使用時における調整等の手間も軽減
される。
【0057】なお、本発明ではλ/2板により検出ビー
ムの偏光面を傾ける(回転させる)ものとしているが、
このλ/2板のリターデーション誤差を考慮して、偏光
面の回転手段における回転角(傾き角)を調整する検出
ビーム偏光面調整手段を設ける事が好ましい。これは、
例えば、波長板を光軸回りに回転可能とすること、又は
光学系の傾き角度を調整可能とする等により、正確な位
置関係を維持して偏光干渉させることができるものとな
る。
【0058】本願に記載した発明は、光源からの出力ビ
ームを互いに直交する偏光成分毎に分割して参照光と測
定光とに利用すると共に、参照対象物並びに被測定物か
ら反射してきた検査光束を同軸上に合成して検出ビーム
を取り出す干渉光学系と、前記検出ビームを二つに分割
する分割手段と、ここで分割された一方の検出ビームの
直交する偏光成分間の位相を変移させる位相変移手段
と、前記分割された夫々の検出ビームから互いに180
度位相のずれた二つの干渉光をそれぞれ取り出す偏光干
渉手段と、これらの四つの干渉光を夫々検出する検出手
段とを備えている。
【0059】この発明では、非偏光ビームスプリッター
からなる分割手段を備えているため、検出ビームはその
偏光成分にかかわらず分割される。即ち、検出ビームが
互いに直交する偏光成分からなる二つの測定光と参照光
とである事から、偏光面の方向に限らずこれらの二つの
光が互いに同じ光量で夫々分割されるものであれば、特
に限定される事はない。
【0060】例えば非偏光ビームスプリッターとしてハ
ーフミラー等を本発明の分割手段に応用することができ
る。この場合には、ハーフミラーの光学面(反射光と透
過光に分離する面)に入射する検出ビームの入射面(入
射光軸を含む面)に対し、互いに直交する偏光成分の偏
光面のいずれかが一致すると、透過光と反射光に分離し
た際に、偏光面の方向により分割される光量に差異が生
ずる事がある。
【0061】このため、ハーフミラーの光学面に対する
検出ビームの入射面が、検出ビームの互いに直交する偏
光成分の偏光面と一致しない様に光学系を構成する事が
好ましく、偏光成分の偏光面が前記入射面に対して45
度傾いたものである事が望ましい。
【0062】この様な偏光面と入射面の角度関係を保っ
ているハーフミラーの光学面に入射させる事により、ハ
ーフミラーからの透過光と反射光とに、検出ビームの測
定光と参照光とが互いにほぼ等しい割合の光量分割がな
されて分離される。
【0063】また、本発明の位相変移手段は、互いに直
交する偏光成分間の位相をずらす移相子と、この移相子
をビーム光軸に対して回転させることにより干渉光の位
相の変移量を変更させる変移量可変手段を有しており、
前記移相子は前記分割手段により分割された一方の光路
中に設けられている。
【0064】このため、分割された一方の検出ビームに
含まれる測定光と参照光との間の位相がずらされる事と
なり、他方の検出ビームはそのまま検出される。ところ
で、移相子がリターデーション誤差を有している場合に
は、ここでずらされた位相が正確なずれ量でなくなるの
で、分割された一方の検出ビームからの干渉光と他方の
検出ビームによる干渉光との位相差が正確に90度とな
らない問題がある。
【0065】本発明では、移相子を光軸回りに回転させ
る事により互いに直交する偏光成分間に与えられる位相
ずれ量が変更できる事を利用して、変移量可変手段によ
り移相子を光軸回りに回転可能に構成し、この回転量を
調整する事で、与える位相のずれ量を調整するものとし
ている。そして、この調整により分割された一方の検出
ビームからの干渉光と他方の検出ビームによる干渉光と
の位相差が正確に90度となる。
【0066】次に、本発明の偏光干渉手段は、偏光ビー
ムスプリッターによる偏光分離作用を利用して、分離さ
れる偏光成分ごとに検出ビームの測定光と参照光とを夫
々分離して、同一偏光成分に分離された測定光と参照光
とからなる干渉光を検出するものとなっている。
【0067】この偏光干渉手段の基本構成は、前述した
発明と同様であり、偏光ビームスプリッターの偏光分離
面に対する検出ビームの入射面と、検出ビームの互いに
直交する偏光成分の偏光面とが45度の傾きをもつ様
に、検出ビームを偏光ビームに入射させている。
【0068】本発明では、分割前の検出ビームの光路中
にλ/2板を設けているので、分割後の検出ビームの夫
々に対して、同時にひとつのλ/2板で偏光面を45度
傾ける(回転させる)ことができるものとなっている。
【0069】また、前述した分割手段の非偏光ビームス
プリッターにおいても、同様に偏光面が傾けられた状態
となって分割面に入射する事となるので、検出ビームが
均等な光量で二つに分割されるものとなる。
【0070】更に、これらの偏光ビームスプリッター
は、前記λ/2板を透過する前の検出ビームのいずれか
の偏光面と偏光ビームスプリッターの偏光分離面に対す
る検出ビームの入射面とが一致する様に配置されてい
る。また、分割手段の非偏光ビームスプリッターも同様
に配置する事が好ましい。
【0071】即ち検出ビームの互いに直交する偏光成分
の偏光面の方向は、干渉手段による偏光分割並びに合成
手段による偏光分離方向と同様である事から、光源から
の光束に対してこれらの干渉手段や、検出ビーム(光源
光束の延長)の偏光干渉手段による偏光分離や、分割手
段による分離方向を検出ビームの光路に対してすべて同
じ(直交方向を含む)位置関係で配置できることとな
る。このため、光学設計上の配置構成が容易となり、設
計上の制限が少なくなる利点がある。また、製造過程や
使用時における調整も容易に行なえる。
【0072】また、本発明では検出手段が、利得可変な
光電変換手段により前記四つの干渉光を光電変換して検
出するものであるため、二つの差信号のオフセット及び
振幅調整は、前記四つの光電変換器の利得を個々に変え
ることにより行なう。このため、夫々の検出信号のDC
レベルを零にして、かつ振幅を等しくすることが容易に
行なう事ができる。
【0073】本発明はこの様に構成されているため、位
相変移手段の変移量可変手段により、分割された一方の
干渉光の位相を他方の干渉光の位相と正確に90度づつ
変移した状態で前記四つの干渉光を夫々検出できるもの
となる。そして、該検出結果に基づいて被測定物の変位
量が正確に測定できるものとなる。
【0074】
【実施例】以下実施例を通じ本発明をさらに詳しく説明
する。図1に本発明の一実施例に係る縞計数変位干渉計
の概略構成を示す。この実施例では、いわゆるシングル
パス方式のものを示しているが本発明はその他の方式、
例えばダブルパス方式のもの等に応用できることは言う
までもない。
【0075】図1に示す第一の実施例においては、干渉
光学系が、光源1、偏光ビームスプリッター3、被測定
物に設けられた移動鏡6、予め定められた距離に固定さ
れた参照鏡7等から構成されている。
【0076】この第一実施例では、光源として干渉性の
良いレーザ光を発するレーザ光源を用いており、レーザ
光源1から出射された光束を、入力ビーム2として偏光
ビームスプリッター3に入射させ、ここで互いに直交す
る偏光成分に分離して夫々参照光と測定光とに利用す
る。本実施例では、p偏光成分を測定光4に利用し、s
偏光成分を参照光5に利用しているが、これらの偏光成
分の選択は任意である。
【0077】p偏光成分からなる測定光4は、偏光ビー
ムスプリッター3から射出された後、被測定物の移動鏡
6で反射される。移動鏡6は、開き角を90度とした二
枚の反射部を備えた折り返しミラーから構成されている
ため、測定光4を入射方向と正確に逆向きで別経路に折
り返し反射させて、再度偏光ビームスプリッター3に導
く。
【0078】一方、s偏光成分からなる参照光5は、測
定光4とは別方向に分離されて偏光ビームスプリッター
3から射出された後、予め定められた距離に固定された
参照鏡7に入射する。この参照鏡7は、移動鏡6と同様
に折り返しミラーから構成されており、参照光5を入射
方向と逆向きに別経路で折り返し反射させて、再度偏光
ビームスプリッター3に導く。
【0079】偏光ビームスプリッター3では、夫々反射
されてきた測定光4と参照光5とを同軸に合成して出力
ビーム(検出ビーム)8として出射する。この実施例で
は、偏光ビームスプリッター3の偏光選択性能(ここで
はs偏光を反射してp偏光を透過させる)を利用して、
夫々対象物から反射された測定光4と参照光5とを偏光
分割面の同じ位置に導いて、ここで反射されたs偏光成
分の参照光5と、透過するp偏光成分の測定光4とを合
成するものとしている。
【0080】尚、参照光と測定光との干渉光を形成する
方式や、これらの参照光と測定光とを同軸上に合成する
方式等は、本実施例に示す方式に限定されるものでは無
く、互いに直交する偏光成分からなる参照光と測定光と
を同軸に合成して検出ビームとして取り出せるものであ
れば、この実施例に示す方式以外のものであっても本発
明に応用できる。
【0081】次に、互いに直交する偏光成分からなる検
出ビームとしての出力ビーム8は、全反射ミラー9で反
射されて分割手段並びに偏光干渉手段に導かれる。この
実施例の分割手段は、非偏光ビームスプリッター11か
らなるものであり、ハーフミラー部を中心に備えた光路
分割プリズムで構成されている。このハーフミラー部に
対する出力ビーム8の入射面は、図中における紙面に平
行である。
【0082】出力ビーム8が非偏光ビームスプリッター
11に入射すると、ここで二方向に等しい強度で分離
(光量分割)される。そして、反射分離された出力ビー
ムは、偏光ビームスプリッター12に導かれ、透過分離
された出力ビームは、移相子13に夫々導かれる。
【0083】この実施例における偏光干渉手段は、非偏
光ビームスプリッター11に入射する前の出力ビーム8
の光路上に設けられたλ/2板10と、分割後の光路上
に夫々設けられた偏光ビームスプリッター12、14か
ら構成されている。これらの偏光ビームスプリッター1
2、14の偏光分割面に対する出力ビーム8の入射面
は、図中における紙面に平行である。
【0084】このため、出力ビーム8は、先ずλ/2板
10に入射して、測定光4と参照光5の偏光状態が夫々
45度傾けられる。これは、偏光干渉手段において偏光
ビームスプリッター12、14に入射する偏光面(振動
面)の角度を決定するためのものであり、差信号の強度
に影響する。また、非偏光ビームスプリッター11の分
割された夫々の光束における光量比やそこに含まれる測
定光4と参照光5の成分比に影響する場合もある。
【0085】このため、λ/2板10を回転可能に構成
し、その回転角度を調整できるようにする偏光面調整手
段(図示せず)設けることで、出力ビーム8中の測定光
4と参照光5の偏光面を、前述した入射面に対して正確
に45度傾ける様に構成することが可能となるので、差
信号の強度調整が可能となる。また、この様な偏光面調
整手段は、例えば光学系自体を傾けて配置した公知技術
等にあっては、この傾き角度の調整手段を設けることで
も形成できる。
【0086】なお、本実施例では偏光干渉手段を構成す
るλ/2板を分割前の光路中に配置しているが、分割後
の光路中に夫々配置しても、出力ビームから偏光干渉光
を取り出す事は可能である。ただし、λ/2板が夫々の
光路に必要になるため、部材点数を少なくして製造コス
トを下げる利点がある本実施例の配置が好ましい。
【0087】非偏光ビームスプリッター11で反射分割
された出力ビームは、偏光干渉手段を構成する偏光ビー
ムスプリッター12に入射する。この出力ビームは、λ
/2板10を透過する事により、測定光成分と参照光成
分の夫々の偏光面が互いに直交した状態を保つと共に、
偏光ビームスプリッター12の偏光分離面への入射面に
対して45度傾いた状態で導かれる。
【0088】このため、ここで測定光4と参照光5と
は、夫々透過偏光成分と反射偏光成分とに偏光分離され
る。そして、ここで分離された透過偏光成分と反射偏光
成分とは、夫々同一の偏光面をもつ測定光4と参照光5
の夫々からの偏光成分であるため、これらは夫々干渉し
て透過干渉光15並びに反射干渉光16となる。
【0089】更に、透過干渉光15並びに反射干渉光1
6は、検出手段を構成する検出器19、20に導かれ
る。夫々の検出器19、20は、利得可変な光電変換器
から構成されており、夫々干渉光を受光して光電変換
し、検出信号23並びに24を出力する。
【0090】ここで、透過干渉光15と反射干渉光16
とは、偏光ビームスプリッター12により偏光干渉され
た光束であり、夫々透過方位と反射方位で180度位相
のずれた干渉光となっている。
【0091】このような偏光干渉手段の基本構成は、非
偏光ビームスプリッター11で透過分離された出力ビー
ムに対しても同様であり、偏光ビームスプリッター14
で偏光分離された透過偏光成分からなる透過干渉光17
と反射偏光成分からなる反射干渉光18とは、互いに1
80度位相のずれた干渉光となって夫々検出器21、2
2で光電変換されて、夫々検出信号25、26となって
出力される。
【0092】ここで、非偏光ビームスプリッター11に
より透過分離された出力ビームは、位相変移手段である
移相子13に入射した後、偏光ビームスプリター14に
より、偏光干渉されるものとなっている。
【0093】この移相子13は、直交する固有偏光成分
間の位相差が90度以上で180度未満のものであり、
さらに位相変移量調整手段としてこの移相子13が光軸
回りに回転可能に構成されている。この移相子13の回
転量を調整することで、偏光ビームスプリッター14で
偏光分離された透過干渉光17と反射干渉光18に与え
られる位相のずれが調整できる様になっている。
【0094】この状態を図6を用いて説明する。互いに
直交する偏光成分である参照光と測定光からなる検出ビ
ーム608は、λ/2板610により偏光状態を夫々4
5度づつ回転させられる。λ/2板610に示す矢印は
中性軸方位であり、光軸回りに回転可能に構成されてい
る。
【0095】検出ビーム608は、偏光状態が45度傾
けられた状態で、非偏光ビームスプリッター611に入
射し、ここで透過方向と反射方向の二つの方向に偏光状
態にかかわりなく互いに等しい光量で分割される。
【0096】非偏光ビームスプリッター611で反射さ
れた検出ビームは、偏光ビームスプリッター612に入
射して偏光分離されるが、上記の様に偏光状態が45度
傾けられて偏光分離面に入射するため、ここで偏光分離
された夫々の偏光成分は、夫々干渉して偏光干渉光とな
る。この時、透過干渉光615と反射干渉光616と
は、互いに180度位相差の干渉光となる。
【0097】一方、非偏光ビームスプリッター611を
透過した検出ビームは、移相子613に入射する。この
移相子613のリターデーションは、90度以上180
度未満であれば良く、矢印で示した中性軸方位を基準と
して、光軸回りに回転可能に構成されている。
【0098】移相子613を透過した検出ビームは、参
照光成分と測定光成分との位相が互いにずれた状態で射
出され、偏光ビームスプリッター614に入射して偏光
分離されて偏光干渉する。この時、透過干渉光617と
反射干渉光618とは、前記同様に互いに180度位相
差の干渉光となる。
【0099】ここで、移相子613のリターデーション
が90度である場合には、ここに入射する検出ビーム6
08のいずれかの偏光面に一致させて配置する事で、一
方の偏光成分の位相が90度ずれる事となる。この状態
で検出される透過干渉光617と反射干渉光618は、
前記の透過干渉光615と反射干渉光616に対して位
相が90度ずれたものとなって検出される。
【0100】また、移相子613のリターデーションが
90度以上180度未満である場合には、移相子613
を光軸回りに回転させる事により、前記の夫々の検出干
渉光の位相が正確に90度ずれる様に調整すれば良い。
【0101】ここで、干渉光の位相が移相子の回転によ
り変化する状況を図5を用いて説明する。この図では、
二つの固有偏光成分間の位相差(δ)が85度から95
度までの移相子が、光軸回りに回転した場合(回転角
θ)に、移相子13を透過した干渉光17の移相子を透
過しない干渉光15に対する位相差(φ)の変化の状態
を示している。
【0102】この図からも明らかなように、90度の位
相差を与えるためには、δが90度以上のものであれ
ば、移相子の回転により与える位相差を正確に90度に
調整できることが判る。本実施例では、変位量調整手段
を備えているため、移相子の回転量の調整により、δが
90度以上であれば、正確に90度の位相差を与えるこ
とができるものとなっている。
【0103】従って、本発明を実施する場合には、90
度の位相差を与えるために、必ずしも正確にδが90度
のものを制作する必要は無く、90度以上のものを準備
すれば使用可能であるので装置の製作コストの低減を図
ることができる。
【0104】尚、本実施例における位相変移手段13
(613)は、複屈折性をもつ結晶(例えば、水晶等)
から作られた波長板や、フレネルロム波長板等が使用さ
れる。そして、これらを光軸回りに回転可能に構成し、
その回転角を調整することで位相変位量の調整が行われ
るが、本発明の位相変移手段がこの方式に限定されるも
のでは無い。
【0105】これ以外の方式であっても、互いに直交す
る偏光成分間の位相をずらす作用を有するものであれば
本発明に応用できることは言うまでも無い。例えば、位
相変移手段として電気的光学素子等を利用することも可
能であり、この作動電圧を変化させることにより位相変
移量の調整を行う方式等が本発明に利用できる。
【0106】図7に本発明の第二実施例における位相変
位手段を示す。この実施例においても互いに直交する偏
光成分である参照光と測定光からなる検出ビーム708
は、λ/2板710により偏光状態を夫々45度づつ回
転させられる。λ/2板710には上記実施例同様に、
光軸回りに回転可能に構成されている。
【0107】検出ビーム708は、偏光状態が45度傾
けられた状態で非偏光ビームスプリッター711に入射
し、透過方向と反射方向に等しい光量で分割される。こ
こで反射分割された検出ビームは、偏光ビームスプリッ
ター712に入射して偏光分離され、上記同様に夫々干
渉して偏光干渉光となる。この時、透過干渉光715と
反射干渉光716とは、互いに180度位相差の干渉光
となる。
【0108】一方、非偏光ビームスプリッター711を
透過した検出ビームは、電気的光学素子であるポッケル
スセル750に入射する。本実施例では、この電気的光
学素子により位相変位手段が構成されており、変移量可
変手段がこの電気的光学素子に印加する印加電圧を可変
する電気的調整手段から構成されている。
【0109】この実施例におけるポッケルスセル750
は、互いに直交する偏光成分である参照光と測定光のい
ずれか一方の振動面に、電気光学結晶の主軸が一致する
様に配置されている。そして、ポッケルスセル750に
印加される電圧Vp に比例して、参照光と測定光の位相
がずらされるものとなっている。
【0110】ポッケルスセル750を透過した検出ビー
ムは、参照光成分と測定光成分との位相が互いにずれた
状態で射出され、偏光ビームスプリッター714に入射
して偏光分離されて偏光干渉する。この時、透過干渉光
717と反射干渉光718とは、前記同様に互いに18
0度位相差の干渉光となる。
【0111】ここで、電気的調整手段によりポッケルス
セル750への印加電圧Vp を変化させる事により、透
過干渉光717と反射干渉光718が、前記の透過干渉
光715と反射干渉光716に対して位相が正確に90
度ずれたものとなって検出されるように調整する。
【0112】上記のいずれの実施例においても、互いに
90度ずつ位相のずれた干渉光が夫々の検出器により検
出される事となり、この位相差は正確に90度に調整さ
れている。ただし、前者においては移相子のリターデー
ションが90度からずれるものを使用して調整すると、
互いに正確に90度ずつ位相のずれた干渉光が得られる
ものの、移相子を回転させることにより干渉光のビジビ
リティーが低下する。
【0113】このため、検出精度を考慮すると、リター
デーションが90度から余りにも遠ざかるものは余り好
ましくないが、移相子の精度向上に伴うコストアップを
防止できる効果は、装置の制作コスト上の問題からは大
きなウエイトを占める。
【0114】また、後者の電気的光学素子を応用したも
のは、位相のずれ量が正確で透過後の偏光状態に変動を
与えない利点があるが、部材コストが高価になるので、
装置全体の制作コスト上のメリットは少ないものとな
る。
【0115】次に、これらの干渉光から非測定物の変移
量を測定する手段は、いずれも同様であるため、図1の
実施例を例にして説明する。夫々の検出器19〜22で
光電変換された夫々の干渉光に基づく検出信号は、夫々
処理回路に送られて演算処理により被測定物(移動鏡
6)の変位量が算出測定されるが、これを以下に説明す
る。
【0116】検出信号23、24は、減算回路27に入
力され、これらから差信号29が出力される。一方、検
出信号25、26は、減算回路28に入力され、これら
から差信号30が出力される。これらの差信号29、3
0は、位相変移手段により正確に90度の位相差に調整
されているため、このまま演算回路31に入力され、こ
こでの演算処理により移動鏡6の変位量が算出される。
【0117】この演算処理自体は、前述した従来技術同
様であり、差信号29、30から得られるリサージュ図
形に基づいて、回転数のカウント並びに回転角の計測に
基づく変位量の計算、即ちシングルパス方式では一周が
使用光波長λの1/2に相当することを利用して演算処
理により変位量を算出するものである。
【0118】ここで、本実施例では検出器19〜22
が、夫々独自に利得変換可能に構成されている。このた
め、差信号29、30のオフセット及び振幅調整は、各
検出器19〜22の光電変換器の利得を個々に変化する
ことにより、夫々のDCレベルを零にして、かつ振幅が
等しくなるように調整できる。この調整の際に、夫々の
差信号が独立しているため、一つの検出器の利得を変化
させても、他の検出信号等に影響を与えない。
【0119】このように、本実施例では、差信号のDC
レベルの調整や、振幅の調整が容易に行える利点があ
る。さらに、差信号の位相差が正確に90度となるた
め、この差信号に基づいて移動鏡の変位量を算出する
と、誤差のない正確な測定が行えるものとなっている。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る縞計
数変位干渉計によれば、検出系の調整が容易であるた
め、装置の製造時並びに使用時の作業性が向上する。さ
らに、変位量の検出時には、互いに正確に90度の位相
差を持つ二つの差信号が得られるので検出精度が向上す
る。
【0121】加えて、使用中に装置の振動等の影響によ
り誤差が生じても、それらを容易に再調整して使用でき
る利点がある。また、光学部材の配置構成が容易である
ため、装置の設計上の制限が少なく、光学設計や変形が
簡易に行なえる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る縞計数変位干渉計の概
略構成を示す説明図である。
【図2】二つの干渉差信号によるリサージュ図形を示す
線図である。
【図3】従来の縞計数変位干渉計の概略構成を示す説明
図である。
【図4】二つの干渉出力信号の位相差に対して、移相子
の方位(回転)に対する依存性を示す線図であり、横軸
は、移相子が光軸回りに回転した場合の回転角度(θ)
を示し、縦軸は、移相子を透過した干渉光と移相子を透
過しない干渉光との位相差(φ)を角度で表している。
【図5】二つの干渉出力信号の位相差に対して、移相子
の方位(回転)に対する依存性を示す線図であり、二つ
の固有偏光成分間の位相差の異なる複数の移相子(位相
差δが85度から95度までの移相子)を同時に示した
ものである。この線図における横軸は、移相子が光軸回
りに回転した場合の回転角度(θ)を示し、縦軸は、移
相子を透過した干渉光と移相子を透過しない干渉光との
位相差(φ)を角度で表している。
【図6】本発明の第一実施例における位相変更手段の一
例を示す説明図である。
【図7】本発明の第二実施例における位相変更手段の一
例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…レーザ光源、 2…入力ビーム、 3…偏光ビームスプリッター、 4…測定光(p偏光)、 5…参照光(s偏光)、 6…移動鏡、 7…参照鏡、 8…出力ビーム(検査光)、 9…全反射ミラー、 10…λ/2板、 11…(非偏光)ビームスプリッター、 12…偏光ビームスプリッター、 13…移相子、 14…偏光ビームスプリッター、 15〜18…偏光干渉光、 19〜22…検出器(利得化変な光電変換器)、 23〜26…検出信号、 27,28…減算回路、 29,30…検出差信号、 31…演算回路、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 9/02 G01B 11/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源からの出力ビームを互いに直交する
    偏光成分毎に分割して参照光と測定光とに利用すると共
    に、参照対象物並びに被測定物から反射してきた検査光
    束を同軸上に合成して検出ビームを取り出す干渉光学系
    と、前記検出ビームを二つに分割する分割手段と、ここ
    で分割された一方の検出ビームの直交する偏光成分間の
    位相を変移させる位相変移手段と、前記分割された夫々
    の検出ビームから互いに180度位相のずれた二つの干
    渉光をそれぞれ取り出す偏光干渉手段であって、前記検
    出ビームの光路中に設けられたλ/2板と、前記分割手
    段により分割された二つの検出ビームの光路中に夫々設
    けられた偏光ビームスプリッターとを有し、 前記λ/2板が、これを透過する前後の検出ビームの偏
    光面が互いに45度傾く様に配置されていると共に、 前記偏光ビームスプリッターが、前記λ/2板を透過す
    る前の検出ビームのいずれかの偏光面と偏光ビームスプ
    リッターの偏光分離面に対する検出ビームの入射面とが
    一致する様に配置されている偏光干渉手段 と、これらの
    四つの干渉光を夫々検出する検出手段とを備え、 前記位相変移手段が、互いに直交する偏光成分間の位相
    の変移量を変更させる変移量可変手段を有しており、 前記位相変移手段の変移量可変手段により、前記分割さ
    れた一方の干渉光の位相が他方の干渉光の位相と90度
    づつ変移した状態で前記四つの干渉光を夫々検出し、該
    検出結果に基づいて被測定物の変位量を測定すること特
    徴とする縞計数変位干渉計。
  2. 【請求項2】 前記検出手段が、利得可変な光電変換手
    段により前記四つの干渉光を光電変換して検出するもの
    であることを特徴とする請求項1記載の縞計数変位干渉
    計。
  3. 【請求項3】 前記位相変移手段が、互いに直交する偏
    光成分間の位相をずらす移相子と、この移相子をビーム
    光軸のまわりに回転させることにより干渉光の位相の変
    移量を変更させる変移量可変手段からなることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の縞計数変位干渉計。
  4. 【請求項4】 光源からの出力ビームを互いに直交する
    偏光成分毎に分割して参照光と測定光とに利用すると共
    に、参照対象物並びに被測定物から反射してきた検査光
    束を同軸上に合成して検出ビームを取り出す干渉光学系
    と、前記検出ビームを二つに分割する分割手段と、ここ
    で分割された一方の検出ビームの直交する偏光成分間の
    位相を変移させる位相変移手段と、前記分割された夫々
    の検出ビームから互いに180度位相のずれた二つの干
    渉光をそれぞれ取り出す偏光干渉手段と、これらの四つ
    の干渉光を夫々検出する検出手段とを備え、 前記分割手段が、非偏光ビームスプリッターからなり、 前記位相変移手段が、互いに直交する偏光成分間の位相
    をずらす移相子と、この移相子をビーム光軸に対して回
    転させることにより干渉光の位相の変移量を変更させる
    変移量可変手段を有し、前記移相子が前記分割手段によ
    り分割された一方の光路中に設けられ、 前記偏光干渉手段が、前記分割手段による分割前の検出
    ビームの光路中に設けられたλ/2板と、前記分割手段
    により分割された二つの検出ビームの光路中に夫々設け
    られた偏光ビームスプリッターとを有し、 前記λ/2板が、これを透過する前後の検出ビームの偏
    光面が互いに45度傾く様に配置されていると共に、 前記偏光ビームスプリッターが、前記λ/2板を透過す
    る前の検出ビームのいずれかの偏光面と偏光ビームスプ
    リッターの偏光分離面に対する検出ビームの入射面とが
    一致する様に配置されており、 前記検出手段が、利得可変な光電変換手段により前記四
    つの干渉光を光電変換して検出するものであり、 前記位相変移手段の変移量可変手段により、前記分割さ
    れた一方の干渉光の位相が他方の干渉光の位相と90度
    づつ変移した状態で前記四つの干渉光を夫々検出し、該
    検出結果に基づいて被測定物の変位量を測定すること特
    徴とする縞計数変位干渉計。
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