JP3413921B2 - Ti−Al系金属間化合物焼結体の製造方法 - Google Patents

Ti−Al系金属間化合物焼結体の製造方法

Info

Publication number
JP3413921B2
JP3413921B2 JP35084293A JP35084293A JP3413921B2 JP 3413921 B2 JP3413921 B2 JP 3413921B2 JP 35084293 A JP35084293 A JP 35084293A JP 35084293 A JP35084293 A JP 35084293A JP 3413921 B2 JP3413921 B2 JP 3413921B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
sintered body
phase
intermetallic compound
tial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP35084293A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07197145A (ja
Inventor
浩司 田中
卓 斎藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP35084293A priority Critical patent/JP3413921B2/ja
Publication of JPH07197145A publication Critical patent/JPH07197145A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3413921B2 publication Critical patent/JP3413921B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Ti−Al系金属間化
合物焼結体の製造方法に関し、さらに詳しくは、緻密化
が容易で、しかも優れた強度、延性および靱性を有する
Ti−Al系金属間化合物焼結体またはTi−Al系金
属間化合物基複合焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Ti−Al系の金属間化合物部品の製造
方法としては、一般に精密鋳造法と粉末冶金法とが知ら
れている。このうち、精密鋳造法は、アーク、プラズ
マ、高周波を熱源としたスカル溶解、あるいはカルシア
坩堝を用いた高周波溶解などにより溶湯を作製し、カル
シアなどで製造した鋳型に上記の溶湯を鋳込む方法であ
る。しかしながら、この精密鋳造法は、溶解や鋳造の設
備やエネルギーに多大なコストを要するとともに、金属
組織が粗大化し易いという問題がある。
【0003】一方、後者の粉末冶金法は、微細組織で延
性・靱性の高い合金部品が製造できるため、精密鋳造法
に代わる製造技術として最近注目されている。この粉末
冶金法は、合金粉末法と素粉末混合法とに分類され、合
金粉末法は目標とする組成の合金粉末を直接HIP成形
法などにより固化する方法である。一方、素粉末混合法
は、通常の混合・成形・焼結の工程で製造する方法であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、合金粉
末法においては、目的とする部品形状の中空部を有する
容器に粉末を充填し、この容器ごとにHIP処理を行う
ので、容器製造およびHIP処理後の容器剥ぎ取り作業
に多大な労力とコストを要するという問題を有してい
る。また、素粉末混合法においては、融点の低いアルミ
ニウム粉末と融点の高いチタン粉末の混合物を通常の方
法で焼結すると、昇温過程でアルミニウムが融解するこ
と、およびチタンとアルミニウムとの合成反応に伴う著
しい発熱が起こること等により、緻密な焼結体を得るこ
とが困難である。このため、素粉末混合法の焼結工程で
は、粉末成形体をHIP装置中で圧力を加えながら徐々
に加熱して反応速度を抑制することにより、焼結体の緻
密化をはかることが必要である。
【0005】例えば、TiAl金属間化合物材料の作製
方法については、TiとAlとの反応合成を用いる反応
焼結法(特公平1-30898号公報)が提案されている。こ
れは、TiとAlの混合粉末を固化成形した後、鉄カプ
セルなどに封入し高温・高圧処理(HIP処理)により
反応合成することにより、緻密なTiAl金属間化合物
材料を得る方法であるが、この製造方法は、固化成形さ
れた混合物(予備成形加工物)を鉄カプセルなどに封入
した後、高温・高圧処理されるので、カプセルを除去す
る必要があり、複雑な形状の部品には適用困難であると
いう問題を有している。
【0006】このように、これらの方法では、何れもH
IP処理が必要であり、また、複雑形状の成形は困難で
あるという問題がある。
【0007】そこで、本発明者らは、上述の如き従来技
術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験
を重ねた結果、本発明を成すに至ったものである。
【0008】(発明の目的)本発明の目的は、緻密で延
性および靱性に優れたTi−Al系金属間化合物の焼結
体を安価に製造する方法を提供するにある。すなわち、
HIP装置を用いずに、真空あるいは不活性ガス中で焼
結するという通常の粉末冶金的手法により、緻密で延性
および靱性に優れたTi−Al系金属間化合物の焼結部
品または成形体を製造する方法を提供するにある。
【0009】本発明者らは、上述の従来技術の問題に対
して、以下のことに着眼した。すなわち、先ず、Ti−
Al系金属間化合物の焼結部品を安価に製造可能な方法
として、粉末冶金的手法が最も適当であること、および
該方法において焼結温度での緻密化をより促進する必要
があることに着目した。そして、焼結温度での緻密化を
促進することに重点をおいて鋭意研究を重ねた結果、T
iAl相(γ相)または/およびTi3 Al相(α
2 相)を主成分とするTi−Al系金属間化合物におい
て、焼結温度域においてγ相やα2 相などと平衡する
新たな相を形成すること、焼結温度域において相互拡
散係数が極めて大きい相を新たに形成すること、に着眼
した。そして、原料粉末として5A族または6A族元素
を含有させることにより、上記およびを実現する相
が形成できることに到達し、本発明を成すに至った。こ
れより、前記従来技術の問題を解決し、通常の混合・成
形・焼結からなる低コストの粉末冶金的手法により、微
細組織で延性・靱性の高い部品素材を安価に製造するこ
とを実現するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(第1発明)第1発明のTi−Al系金属間化合物焼結
体の製造方法は、チタン粉末と、TiAl3 粉末と、5
A族または6A族元素の少なくとも一種以上を含む粉末
とからなる原料粉末を混合して混合粉末とする混合工程
と、該混合粉末を所定形状に成形して成形体とする成形
工程と、該成形体を無加圧で加熱してTiAl相または
/およびTi3 Al相を主成分とする金属間化合物を合
成焼結して焼結体とする焼結工程と、からなることを特
徴とする。
【0011】(第2発明)本第2発明のTi−Al系金
属間化合物基複合焼結体の製造方法は、チタン粉末と、
TiAl3 粉末と、5A族または6A族元素を主体とす
る硼化物粉末のうち少なくとも一種以上とを混合して混
合粉末とする混合工程と、該混合粉末を所定形状に成形
して成形体とする成形工程と、該成形体を無加圧で加熱
し,焼結して焼結体とする焼結工程とからなり、TiA
l相または/およびTi3 Al相を主成分とする金属間
化合物マトリックス中に微細なTiB2 粒子を分散させ
たことを特徴とする。
【0012】
【作用】第1発明のTi−Al系金属間化合物焼結体の
製造方法および第2発明のTi−Al系金属間化合物基
複合焼結体の製造方法が優れた効果を発揮するメカニズ
ムについては、未だ必ずしも明らかではないが、次のよ
うに考えられる。
【0013】(第1発明の作用)本発明の金属間化合物
焼結体の製造方法は、チタン粉末とTiAl3 粉末と、
5A族または6A族元素の少なくとも一種以上を含む粉
末とからなる原料粉末を混合して混合粉末とする混合工
程と、該混合粉末を所定形状に成形して成形体とする成
形工程と、該成形体を無加圧で加熱してTiAl系また
は/およびTi3Al系を主成分とする金属間化合物を
合成焼結して焼結体とする焼結工程とからなる。
【0014】TiAl3 は、融点1350℃でD022
造を有する金属間化合物である。この金属間化合物は、
通常のチタン合金に比べ活性が著しく低いため、安価な
坩堝での溶解が可能である。さらに、TiAl3 合金
は、結晶構造上の制約から変形モードが限られるため、
極めて脆い性質を有している。従って、溶解して得られ
たTiAl3 インゴットから、通常の粉砕工程により容
易に微粉末を形成することができる。
【0015】一方、チタン粉末には、市販の純チタン粉
末を使用できるが、この粉末は延性に富み、また個々の
粒子形状が複雑なため、これとTiAl3 粉末との混合
粉末は成形性に優れている。従って、通常の圧力で成形
することにより実用に十分に耐え得る成形体強度を得る
ことができる。
【0016】また、焼結工程においては、チタン粉末と
アルミニウム粉末との混合体とは異なり、空孔発生の原
因となる液相はほとんど発生しない。さらに、チタンと
TiAl3 との反応熱はチタンとアルミニウムとの反応
熱に比べて著しく小さいという特長を有している。従っ
て、焼結工程における反応を抑制するための高価な圧力
制御などは一切不要であり、通常の無加圧焼結工程のみ
で緻密な部品を成形することができる。
【0017】さらに、本方法においては、原料粉末に混
合した5Aまたは6A族元素がβ相を熱力学的に安定化
するため、焼結温度においてTiAl相(γ相)および
/またはTi3 Al相(α2 相)とともに、β相が平衡
する。このβ相における相互拡散係数は、γ相および/
またはα2 相に比べて著しく大きいため、これを介する
Ti、Al、5A族(または6A族)元素の拡散が桁違
いに速くなる。従って、原料粉末中の5A族または6A
族元素の少なくとも一種以上を含む粉末の存在により、
焼結温度においてβ相が熱力学的に安定化され、該β相
の存在によって焼結が促進されることにより、前記焼結
工程における緻密化が容易となる。
【0018】また、本方法においては、終始固相状態で
反応が進行し、得られた焼結体の結晶粒径は、適切な条
件で焼結する限り、原料チタン粉末の粒径を越えること
はない。このため、通常の溶解法により得られた製品に
比べ著しく微細な組織の焼結体を得ることができる。従
って、得られた焼結体は、強度、延性、靱性が極めて高
いという特徴を有している。
【0019】以上のように、第1発明のTi−Al系金
属間化合物焼結体の製造方法によれば、アルミニウム源
としてTiAl3 系粉末を使用するので、アルミニウム
粉末を使用した場合のように焼結工程で液相を形成せ
ず、また反応熱も小さいため、焼結条件の制御を簡略化
した通常の焼結方法が適用でき、無加圧の焼結が可能と
なる。そして、5A族または6A族元素の添加によっ
て、相対密度が98%以上のTi−Al系金属間化合物
焼結体が容易に得られる。さらに、本方法は、通常の粉
末冶金法に則った手法であるため、得られた焼結体は微
細な結晶粒径を有し、強度、延性および靱性に優れてい
る。しかも、最終製品形状に近いTi−Al系金属間化
合物の焼結体からなる部品素材をより安価に製造するこ
とができる。
【0020】(第2発明の作用)第2発明のTi−Al
系金属間化合物基複合焼結体の製造方法では、チタン粉
末と、TiAl3 粉末と、5A族または6A族元素を主
体とする硼化物粉末のうち少なくとも一種以上とを混合
・成形し、該成形体を無加圧で加熱し、焼結してなる。
【0021】このように、チタン粉末と、TiAl3
末と、5A族または6A族元素を主体とする硼化物粉末
のうち少なくとも一種以上とを混合・成形し、得られた
成形体を無加圧で焼成すると、前記硼化物粉末中に含ま
れる5A族または6A族元素は、マトリックス中に拡散
・固溶する。この5A族または6A族元素により、前記
第1発明の作用で説明したと同様に、β相の平衡によっ
て焼結が促進され、焼結工程における緻密化が容易とな
る。また、硼素はチタンと反応してTiB2 粒子を形成
する。このような冶金反応と並行して焼結が進行し、最
終的には、Ti−Al系金属間化合物マトリックス中に
TiB2 粒子が均一に分散した緻密な複合材料となる。
【0022】本焼結工程によって、Ti−Al系金属間
化合物マトリックス中にTiB2 粒子が均一に分散し
た、緻密な複合焼結体を得ることができる。また、マト
リックス中に分散したTiB2 粒子の、所謂ピンニング
効果によって、焼結中における結晶粒の成長が抑制され
るため、該焼結体は、著しく微細な結晶粒径を有する。
従って、本焼結工程において、強度および延性・靱性に
優れた、緻密なTi−Al系金属間化合物基複合焼結体
を容易に得ることができる。
【0023】なお、本発明によるTi−Al系金属間化
合物基複合焼結体の製造方法では、上述したように、硼
化物粉末中の5A族または6A族元素によりマトリック
スの焼結を著しく促進する効果を発揮させることができ
るので、単に無加圧で焼成することで、多量の強化相を
分散させた場合でも、ほぼ真密度の緻密な複合材料を得
ることができる。この方法により、極めて安価にTi−
Al系金属間化合物基複合焼結体の製造が可能となる。
【0024】以上のように、本第2発明のTi−Al系
金属間化合物基複合焼結体の製造方法によれば、アルミ
ニウム源としてTiAl3 系粉末を使用するので、焼結
工程でアルミニウム粉末を使用した場合のように液相を
形成せず、また反応熱も小さいため、焼結条件の制御を
簡略化した通常の焼結方法が適用でき、無加圧の焼結が
可能となる。そして、5A族または6A族元素の添加に
よって、相対密度が98%以上のTi−Al系金属間化
合物基複合焼結体が容易に得られる。Ti−Al系金属
間化合物マトリックスが著しく微細な結晶粒径を有する
こと、および均一に分散したTiB2 粒子の強化作用に
よって、室温から高温までの強度、剛性、耐摩耗性等の
特性が向上したTi−Al系金属間化合物基複合焼結体
とすることができる。さらに、本方法は、通常の粉末冶
金法に則った手法であるため、最終製品形状に近いTi
−Al系金属間化合物の焼結体からなる部品素材をより
安価に製造することができる。
【0025】
【発明の効果】
(第1発明の効果)本第1発明の製造方法により、緻密
で延性および靱性に優れたTi−Al系金属間化合物の
焼結体を安価に得ることができる。
【0026】(第2発明の効果)本第2発明の製造方法
により、微細な結晶粒径を有するTi−Al系金属間化
合物マトリックス中に、微細なTiB2 粒子が分散し
た、強度、剛性、耐摩耗性に優れたTi−Al系金属間
化合物基複合焼結体を安価に得ることができる。
【0027】
【実施例】先ず、上記第1発明のTi−Al系金属間化
合物焼結体の製造方法および第2発明のTi−Al系金
属間化合物基複合焼結体の製造方法について、さらに具
体的にした発明等(その他の発明の説明)について説明
する。
【0028】(その他の発明の説明)
【0029】まず、本第1発明のTi−Al系金属間化
合物焼結体の製造方法のその他の発明について、以下に
具体的に説明する。
【0030】混合工程において用いるチタン粉末は、一
般に純チタン粉末と呼ばれるものであり、どのような種
類のものであってもよい。例えば、(a)ナトリウム還
元法スポンジチタンの副産物であるスポンジファイン、
(b)マグネシウム還元法スポンジチタンを水素化→粉
砕→脱水素して製造される水素化・脱水素チタン粉末、
(c)マグネシウム還元法スポンジチタンを、一旦溶解
して不純物を除去した後、水素化→粉砕→脱水素して製
造される極低塩素チタン粉末の3種類が代表的なもので
ある。なお、チタン粉末は、最大粒径が50μm以下で
あることが好ましい。これは、チタン粉末は粒径が小さ
いほど焼結性に優れており、特に前記最大粒径を50μ
m以下とすることにより、本発明による手法によって焼
結のみの工程で98%以上の緻密化した焼結体の製造が
一層容易となる。ここで、純チタン粉末のかわりに水素
化チタン粉末を使用する方法も考えられるが、水素化チ
タン粉末は、その製造工程から考えて低酸素化が本質的
に困難であることに加え、塑性変形能をほとんど持たな
いために成形性が極めて悪く、実用に耐え得る成形体強
度を得ることが困難である、等の問題点を有しているこ
とから、原料粉末としては適さない。
【0031】TiAl3 粉末は、アルミニウム源であ
る。該TiAl3 粉末を用いることにより、チタン粉末
との混合・成形・焼結の各工程が概して容易となり、T
iAl系または/およびTi3 Al系金属間化合物の焼
結体が容易に製造できる。
【0032】ここで、TiAl系、TiAl3 系、Ti
3 Al系の「系」とは、TiとAlとの組成比がその分
子式の比そのものだけではなく、その値より若干ずれた
もの、及び/又は少量の第三元素を含むものの総称であ
る。TiAl3 系合金は、通常のチタン合金に比べ活性
が著しく低いため、各種溶解法により、低酸素含有量の
インゴットを安価に製造することができる。例えば、マ
グネシア等の通常の坩堝を用いた高周波溶解、プラズマ
溶解、アーク溶解などの公知の方法を用いることができ
る。また、TiAl3 系合金は、D022という本質的に
延性が乏しい構造を有しているので容易に微粉砕ができ
る。すなわち、溶解法により製造したTiAl3 系合金
インゴットを擂解機、アトライタ等で粉砕することによ
り、低酸素の粉末を安価に製造することができる。な
お、該TiAl3 粉末は、平均粒径が10μm以下に微
細化したものであることが好ましい。このように微細な
TiAl3 粉末と、50μm以下の市販のチタン粉末と
を用いれば、本発明による手法によって成形・焼結する
ことのみにより、相対密度98%以上の緻密な焼結体を
得ることが一層容易となる。
【0033】5A族または6A族元素の少なくとも一種
以上を含む粉末は、焼結工程における焼結体の緻密化に
とって重要な役割を有するものである。すなわち、該5
A族元素(V,Nb,Ta)又は6A族元素(Cr,M
o,W)は、β相を安定化し、焼結工程において形成さ
れるTiAl相(γ相)および/またはTi3 Al相
(α2 相)とともに、β相を平衡させる重要な役割をも
つ。この5A族または6A族元素を含む粉末は、市販さ
れているものをそのまま用いることができる。該粉末の
粒径は、平均粒径で10μm以下のものを用いることが
好ましい。平均粒径が10μmを超える粉末は、5A族
または6A族元素が均一に拡散し、β相を安定化するた
めに長時間を要するので好ましくない。なお、該粉末
は、平均粒径で3μm以下のものである場合は、より一
層の緻密化を実現できるので最適である。
【0034】本混合工程では、目標とする組成割合とな
るように、チタン粉末、TiAl3粉末、および5A族
または6A族元素の少なくとも一種以上を含む粉末を混
合する。混合方法は特に制約されるものではなく、従来
公知の粉末冶金の方法が適用でき、V型混合器やボール
ミル、振動ミルなどを用いることができる。ただし、用
意した5A族または6A族元素を含む粉末が、凝集の著
しい粉末である場合には、アトライタなどの高エネルギ
ーボールミルによってごく短時間の粉砕処理を施すと、
原料粉末を均一混合することができ好適である。
【0035】ここで、5A族または6A族元素の少なく
とも一種以上を含む粉末の配合割合は、焼結工程におい
て焼結温度でγ相およびα2 相と平衡するβ相の体積率
が30体積%以上となるようにすることが好ましい。こ
の好適な配合割合の適切性は、Ti−Al−X(X:5
A族または6A族元素)系三元状態図より確認すること
ができる。なお、本混合工程において、主成分であるチ
タン粉末、TiAl3粉末、および5A族または6A族
元素の少なくとも一種以上を含む粉末以外の成分をさら
に添加することも可能であり、この場合、第4成分をT
iAl3 粉末を溶解する際に添加してもよく、また純チ
タン粉末とTiAl3 粉末を混合する際に粉末として添
加してもよい。
【0036】成形工程は、混合粉末を部品形状とする金
型成形、CIP成形などの何れの成形法で行ってもよ
い。成形圧力は3 ton/cm2 以上が好ましい。3 ton/
cm2 未満の圧力で成形した成形体を焼結すると、得られ
る焼結体の密度が向上しにくいため好ましくない。
【0037】焼結工程は、真空中あるいは不活性ガス雰
囲気中で行うことが好ましい。焼結温度は、1200℃
〜1400℃の範囲が好ましい。1200℃未満では形
成された金属間化合物の均質化が不十分となるので好ま
しくない。また、1400℃を超えると金属組織が粗大
化しやすくなり、また、焼結時に多量の液相が生成して
焼結を阻害する可能性があり、このような場合には焼結
体の寸法精度が低下するため好ましくない。焼結時間
は、1〜24時間の範囲が好ましい。焼結時間が1時間
未満であると焼結が不十分で均質化できず、24時間を
超えると緻密化がそれ以上進まずエネルギー的にも不経
済であることに加え、焼結体表面の脱アルミニウムの問
題が生ずるため好ましくない。
【0038】原料粉末のうち、Al源となるTiAl3
の融点は、チタンより低く1350℃付近であるが、ア
ルミニウムの融点の659℃より高い。このため、13
50℃以下で焼結する限り、焼結時に有害となる液相は
発生しない。さらに、チタンとアルミニウムが反応して
TiAlが形成された場合には、約70 kcal/mol の発
熱を伴うが、チタンとTiAl3 が反応してTiAlが
形成される場合の反応熱は高々20 kcal/mol と小さ
い。このため、該合成反応を制御する複雑な装置を必要
とせず、通常の簡略な無加圧焼結工程が適用できる。
【0039】さらに、5A族または6A族元素によっ
て、焼結時にγ相およびα2 相と熱力学的に平衡するβ
相は、他の2相がそれぞれfcc、hcp格子を基本と
する稠密な結晶構造を有するのに対し、bcc格子を基
本とした結晶構造をなしており、その相互拡散係数は、
γ相、α2 相に比べて3桁程度大きい。これら各原子の
拡散によって進行する焼結現象は、このβ相が10体積
%以上存在することによって著しく促進され、本工程に
おける焼結体の緻密化が極めて容易となる。なお、該体
積率が、30体積%以上の場合は、より好ましい。ま
た、このβ相は、焼結終了後室温への冷却時にその体積
率を著しく減少させる。その理由は、低温になるほど、
γ相およびα2 相と平衡できるβ相の体積率が減少する
からである。この結果、焼結工程においてそのまま室温
まで冷却することにより、TiAl相(γ相)または/
およびTi3 Al相(α2 相)を主成分とする組織を有
するTi−Al系金属間化合物焼結体とすることができ
る。
【0040】さらに、前記焼結工程のみでは緻密化が不
十分な場合は、焼結後にHIP処理を施すことにより容
易に真密度の部品が製造できる。なお、この焼結体は焼
結工程で内部空孔は完全に孤立化し、表面には通じてい
ないので、その後のHIP処理の際には合金粉末法のよ
うに缶封入を必要とせず、また、焼結体を被覆すること
もなくそのままHIP処理することができる。従って、
安価な処理が可能である。HIP処理の条件としては、
雰囲気ガスとの反応性、緻密化、経済性などを考慮する
と、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを圧力媒体と
して、1000〜1400℃、500〜2000気圧、
1〜4時間の範囲で行うことが好ましい。
【0041】このような簡略な工程で、緻密で延性およ
び靱性に優れた製品形状に近いTi−Al系金属間化合
物の焼結体が容易に製造できる。
【0042】次に、本発明の好適なTi−Al系金属間
化合物焼結体の製造方法は、チタン粉末とTiAl3
末と、5A族または6A族元素の少なくとも一種以上を
含む粉末とからなる原料粉末を準備する工程(原料粉末
準備工程)と、前記原料粉末のうち少なくともチタン粉
末を加圧すると共にこすり合わせ,原料粉末の充填密度
を所定値とするための工程(粉末加工工程)と、前記原
料粉末を混合する工程(原料粉末混合工程)と、前記混
合粉末を成形する工程(成形工程)と、前記成形体を無
加圧で焼成する工程(焼結工程)とからなる。
【0043】次に、本第2発明のTi−Al系金属間化
合物基複合焼結体の製造方法のその他の発明について、
具体的に説明する。
【0044】本発明において用いるチタン粉末およびT
iAl3 粉末は、前記発明で詳述したものと同様のもの
が使用できる。また、5A族元素(V,Nb,Ta)お
よび6A族元素(Cr,Mo,W)を主体とする硼化物
粉末は、どのようなものでも利用可能であり、一般に1
0μm以下に調整された微粉末の形で市販されているも
のが利用できる。
【0045】本発明における混合工程、成形工程、焼結
工程における詳細な条件等は、前記第1発明のその他の
発明で述べた工程の条件等と同様である。なお、混合工
程において、5A族または6A族元素を主体とする硼化
物の配合割合は、焼結温度においてTiAl相(γ相)
および/またはTi3 Al相(α2 相)と平衡するβ相
の体積率が10体積%以上となるようすることが好まし
い。
【0046】上述のように、5A族または6A族元素を
主体とする硼化物の配合割合は、焼結温度においてTi
Al相(γ相)およびTi3 Al相(α2 相)と平衡す
るβ相の体積率を所定値となるようにする必要があるた
め、5A族または6A族元素の配合割合を優先して添加
すると、硼素の配合割合が一義的に決定されてしまう。
硼素の割合を独立に操作したい場合には、該硼化物とと
もに、硼素粉末を単独で、あるいはチタン硼化物の形で
添加することも可能である。
【0047】焼結時におけるTiAl3 粉末の効果は、
前記発明と同様の効果であり、TiAl相およびTi3
Al相の合成反応を制御する複雑な装置を必要とせず、
通常の無加圧焼結工程の適用を可能にする。また、硼化
物中の5A族または6A族元素はマトリックス中に拡散
・固溶する。この5A族または6A族元素は、前記発明
で述べたように、焼結時にβ相をTiAl相(γ相)お
よび/またはTi3 Al(α2 )相と熱力学的に平衡さ
せ、焼結過程を著しく促進する。このとき、このβ相が
10体積%以上存在することによって著しく促進され、
本工程における焼結体の緻密化が極めて容易となる。な
お、該体積率が、30体積%以上の場合は、より好まし
い。
【0048】一方、硼化物中の硼素は、チタンと結合し
て微細なTiB2 粒子となってマトリックス中に分散す
る。これは、上記の各硼化物の標準生成自由エネルギー
の絶対値が、チタン硼化物のそれよりも一般に小さく、
しかもTiB2 を除いてTiAl相またはTiAl3
を主体とする金属間化合物とは熱力学的に平衡できない
からである。
【0049】硼素の割合を独立に操作する場合には、こ
の反応によって生成するTiB2 量として3〜30体積
%の範囲になることが好ましい。該TiB2 量が3体積
%未満では、TiB2 粒子複合化による微細化および特
性改善の効果が小さく、また30体積%を超えた場合に
は、焼結による緻密化が困難となり、加えてTiB2
子の分散が不均一となり易いため、好ましくない。
【0050】さらに、前記焼結工程のみでは緻密化が不
十分な場合には、前記発明で詳述したと同様に、焼結後
にHIP処理を施すことにより、容易に真密度の部品が
製造できる。本発明の製造方法により得られるTi−A
l系金属間化合物基複合焼結体は、微細な結晶粒径を有
するTi−Al系金属間化合物マトリックスに微細なT
iB2 粒子が分散・複合化されることにより、強度およ
び延性・靱性に加えて、剛性、耐摩耗性に優れている。
【0051】本発明のTi−Al系金属間化合物基複合
焼結体のより好適な製造方法は、チタン粉末と、TiA
3 粉末と、5A族または6A族元素を主体とする硼化
物粉末のうち少なくとも一種以上を混合・成形すると共
に、該成形体を無加圧で加熱し、β相が30体積%以上
存在する条件下で焼結させることにより、TiAl系ま
たは/およびTi3 Al系を主成分とする金属間化合物
マトリックス中に体積比で3〜30%の微細なTiB2
粒子を分散させたTi−Al系金属間化合物基複合焼結
体を得ることである。
【0052】また、本発明の他の好適なTi−Al系金
属間化合物基複合焼結体の製造方法は、チタン粉末と,
TiAl3 粉末と,5A族元素または6A族元素を主体
とする硼化物粉末のうち少なくとも1種以上とからなる
原料粉末を準備する工程(原料粉末準備工程)と、前記
原料粉末のうち少なくともチタン粉末を加圧すると共に
こすり合わせ,原料粉末の充填密度を所定値とするため
の工程(粉末加工工程)と、前記原料粉末を混合する工
程(原料粉末混合工程)と、前記混合粉末を成形する工
程(成形工程)と、前記成形体を無加圧で加熱し、焼結
して焼結体とする工程(焼結工程)とからなる。
【0053】これら本発明の好適な製造方法は、前記粉
末加工工程に特徴を有する製造方法である。本加工工程
において、チタン粉末にある程度の加圧を行うと共にチ
タン粉末をこすり合わせ、チタン粉末の充填率(充填密
度)を所定値とする。この工程により、チタン粉末に加
工を行うと共にこすり合わせることにより変形を与える
と、チタン粉末個々の粒子の突起部が潰されて表面が平
滑化する。これにより、粉末の流動性が向上して原料粉
末の粒子間における空隙が微細化し、充填密度が向上す
る。この粉末を成形、焼結すると残留空孔は著しく微細
化する。そのため、粉末の流動性が向上し、所望の充填
密度とすることができる。
【0054】一般に、粉末の充填密度は、粉末の粒度分
布と粒子形状とによって左右される。すなわち、粗大粒
子の空隙を満たすのに最適な粒度を有する中小粒子が適
量存在するような粒度分布が望ましいが、たとえ粒度分
布が最適であっても、粉末の流動性が悪いと粉末の充填
率は向上しない。スポンジファイン(50μm以下)の
場合、粉末の形状はポーラスかつ不定形であって流動性
が著しく悪いため、充填密度(タップ密度)は1.8g
/cm3 程度である。また、水素化・脱水素チタン粉末の
場合は、粉砕粉末のため角張った形状をしており、スポ
ンジファインと比べると若干優れてはいるが、通常のア
トマイズ粉末などと比較すると流動性は著しく劣ってお
り、せいぜい2.2g/cm3 程度である。このような状
態のままで原料粉末を成形しても、粒子間の摩擦力のた
め粒子はほとんど移動できず、そのまま変形を受けるの
で、成形体中には粗大空孔が形成されやすい。さらに、
この成形体を焼成した場合、焼結体中にも粗大空孔は受
け継がれ、破壊の起点となりやすい。成形圧力を上げて
密度を向上させても、焼結体中の残留空孔を微細化させ
ることは困難である。これらの粉末の流動性を向上させ
るためには、本加工工程により粉末の形状を変化させ、
上記所定値の充填密度を有するようにする必要がある。
【0055】本加工工程において、現在市販されている
チタン粉末に対して5%以上、より望ましくは、チタン
粉末としてスポンジファインを用いる場合は15%以
上、水素化・脱水素チタン粉末または極低塩素チタン粉
末を用いる場合は10%以上、それぞれ充填密度を向上
させるように、チタン粉末に変形を与えることが好適で
ある。
【0056】この充填密度は、1.9g/cm3 〜2.8
g/cm3 であることが好適である。充填密度がこの数値
範囲内の場合、適度な流動度およびタップ密度を有する
ものとすることができる。該充填密度が1.9g/cm3
未満の場合は、粗大空孔を完全には消失させることがで
きないため、チタン基複合材料の強度や延性を十分に向
上させることができず、また、2.8g/cm3 を越える
場合には粉末の成形性が著しく低下するため共に好まし
くない。
【0057】なお、チタン粉末としてスポンジファイン
を用いる場合は、粉末の充填密度が2.0g/cm3
2.4g/cm3 となるように、また、水素化・脱水素チ
タン粉末または極低塩素チタン粉末を用いる場合は、粉
末の充填密度が2.3g/cm3〜2.7g/cm3 となる
ように、それぞれ加工を加えることが好ましい。これに
より、破壊の起点となりうる粗大空孔を消失させること
ができる。
【0058】また、前記加工処理は、チタン粉末のみに
与えてもよいがチタン粉末とTiAl3 粉末、またはチ
タン粉末とTiAl3 粉末と5A属または6A属元素を
主体とする硼化物粉末のうち少なくとも一種以上とを混
合した混合物に行っても、強度、延性、剛性、耐摩耗
性、耐熱性に優れた、極めて安価なTi−Al系金属間
化合物焼結体またはTi−Al系金属間化合物基複合焼
結体を得ることができる。
【0059】前記加工を与える方法としては次のような
方法がある。すなわち、この工程は粉末表面の突起部を
平滑にする、あるいはスポンジファインのような凝集粉
末を壊砕する程度の軽度な加工であり、例えば、鋼球を
含むボールミルやアトライター中に原料粉末を投入し
て、ごく短時間(1〜20min.)攪拌する方法などによ
り行う。このような処理により、チタン粉末はこすり合
うと共に、その突起部が加圧され平坦化する。なお、繰
り返し述べるように、チタン粉末粒子を粉砕微細化させ
たり、著しい加工硬化を生じさせるような強加工を与え
ることは、圧縮性、成形性が低下し、また、酸素量も増
加するため避けなければならない。
【0060】前記のように、チタン粉末を加圧すると共
にこすり合わせる加工を施し、原料粉末の充填密度を所
定値とすることにより、成形・焼結後の残留空孔を孤立
微細化することが可能となる。
【0061】従って、本発明の好適な製造方法により、
不純物を多く含む安価なチタン粉末を原料として用いて
も、コストアップを招くHIP処理や熱間加工処理を一
切行わずに、焼結のみで、極めて高価な溶製法で得られ
たTiAl系材料またはTiAl系複合材料を上回る強
度、延性、剛性、耐摩耗性に優れたTi−Al系金属間
化合物焼結体またはTi−Al系金属間化合物基複合焼
結体を得ることができる。このため、焼結材料本来のコ
ストメリットが十分発揮でき、コスト最優先の自動車用
部品等の量産品にもTi−Al系金属間化合物焼結体ま
たはTi−Al系金属間化合物基複合焼結体を適用する
ことが可能になる。
【0062】本発明の好適な製造方法の原料粉末混合工
程における前記原料粉末の混合は、ボールミル、V型混
合機等の装置を用いる等、どのような混合方法でもよい
が、硼化物粒子の分散を均一にするためには、例えばア
トライタのような高エネルギーボールミルを用いる方が
好ましい。また、この製造方法の成形工程において、前
記加工を施した原料粉末を成形する方法としては、金型
プレス成形、CIP(冷間静水圧プレス)成形などの方
法がある。また、この製造方法の焼結工程において、前
記成形体を焼成する。焼成温度および焼成時間は、焼結
体の緻密化、合金組成の均質化、TiB2 粒子の分散状
態、焼成炉の耐久性、経済性等を考慮すると、1200
〜1400℃、1〜24時間の範囲が望ましい。また、
焼成雰囲気としては、TiAl系または/およびTi3
Al系を主成分とする金属間化合物は雰囲気ガス(酸
素、窒素、水素、その他還元性のガス)と反応しやすい
ため、10-3torr以下の高真空中、あるいはアルゴン、
ヘリウム等の高純度不活性ガス中とするのがよい。
【0063】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0064】(第1実施例)−32メッシュのTiAl
3 粉末を鋼球と凝集防止剤と共にアトライタ中に挿入
し、60分間粉砕処理を施し、平均粒径4μmの微粉末
を得た。該TiAl3微粉末371.8gと、−350メ
ッシュの純チタン粉末(スポンジファイン;Ti:9
9.6%、O:0.2%、Cl:0.1%)310.7g
と、最大粒径3μm以下のモリブデン微粉末(純度:9
9.5%以上)17.5gとをボールミルにて30分間混合
処理して混合粉末を得た。次いで、この混合粉末を、C
IP装置にて圧力4 ton/cm2 で成形して、円柱形状の
成形体を得た。次いで、得られた成形体を10-5Torr
の真空中にて、1300℃で2時間焼結してTi−Al
系金属間化合物焼結体を得た(試料番号:1)。
【0065】得られた焼結体について、組織観察および
X線回折試験を行った。先ず、該焼結体の断面の金属組
織を示す光学顕微鏡写真(倍率:260倍)を、図1に
示す。また、該焼結体について、X線回折により同定さ
れた相、および断面組織から測定した残留空孔の体積率
(空孔率)を、表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】図1および表1より明らかなように、本実
施例により得られた焼結体の残留空孔aは僅かであり、
その組織は、微細な結晶粒径(平均粒径:50μm)を
有するTiAl相(γ相)+Ti3 Al相(α2 相)か
らなる層状組織bになっていることが分かる。
【0068】(第2実施例)前記第1実施例と同様にし
て作製したTiAl3 微粉末336.5gと、−350メ
ッシュの純チタン粉末(スポンジファイン)281.1
g、およびモリブデン微粉末(純度:99.5%以上)8
2.4gとを、前記第1実施例と同じ条件にて、混合・成
形・焼結を行い、TiAl系金属間化合物焼結体を得た
(試料番号:2)。
【0069】得られた焼結体のX線回折結果および空孔
率測定結果を、表1に示す。表1より明らかなように、
本実施例により得られた焼結体の組織は、γ相+α2
に加えて、室温においてもβ相が存在していることが分
かる。また、第1実施例により得られた焼結体に比べ
て、空孔率は減少し、より緻密化が進行していることが
分かる。すなわち、本実施例では、前記第1実施例に比
べてモリブデン粉末をより多量に混合したことにより、
室温においてもβ相が存在するほどβ相の熱力学的安定
性が大きくなり、焼結温度においてその体積率が著しく
増加した結果、焼結工程における緻密化が容易になるこ
とが確認された。
【0070】(第3実施例)前記第1実施例と同様にし
て作製したTiAl3 微粉末336.5gと、−350メ
ッシュの純チタン粉末(水素化・脱水素チタン粉末;T
i:99.6%、O:0.3%、Cl:0.01%)2
81.1g、およびモリブデン微粉末(純度:99.5%以
上)82.4gとを、前記第1実施例と同じ条件にて、混
合・成形・焼結を行い、TiAl系金属間化合物焼結体
を得た(試料番号:3)。
【0071】得られた焼結体の断面の金属組織を示す光
学顕微鏡写真(倍率:130倍)を図2に、またX線回
折結果および空孔率測定結果を、表1に示す。図2およ
び表1より明らかなように、前記第2実施例に比べて空
孔率はさらに減少し、一層緻密化が進行していることが
分かる。また、その組織は、微細な結晶粒径(平均粒
径:60μm)を有するγ相+α2 相からなる層状組織
bとともに、β相cが存在していることが分かる。すな
わち、モリブデンによるβ相の熱力学的安定性向上に加
えて、高純度なチタン粉末を使用した結果、焼結工程に
おける緻密化が容易となることが確認された。
【0072】(第4実施例)前記第1実施例と同様にし
て作製したTiAl3 微粉末336.5gと、−350メ
ッシュの純チタン粉末(スポンジファイン)281.1
g、およびモリブデン微粉末(純度:99.5%以上)8
2.4gとを、アトライタ中にて10分間攪拌混合して擦
りあわせ処理した。次いで、前記第1実施例と同じ条件
にて、成形・焼結を行い、TiAl系金属間化合物焼結
体を得た(試料番号:4)。
【0073】得られた焼結体のX線回折結果および空孔
率測定結果を、表1に示す。表1より明らかなように、
本実施例により得られた焼結体の組織は、γ相+α2
+β相からなっている。また、第2実施例により得られ
た焼結体に比べて、空孔率はさらに減少し、一層緻密化
が進行していることが分かる。すなわち、本実施例で
は、前記第2実施例に比べて混合工程において擦りあわ
せ処理を施すことにより、塩素量の高い低純度チタン粉
末を使用しているにもかかわらず、前記第3実施例の図
2に示した高純度チタン粉末を使用した場合と同様に、
焼結工程における緻密化が容易となることが確認され
た。
【0074】(第5実施例)前記実施例1と同様にして
作製したTiAl3 微粉末329.7gと、−350メッ
シュの純チタン粉末(水素化・脱水素チタン粉末)27
5.5gと、モリブデン硼化物(MoB)微粉末(純度:
99.5%以上、平均粒径:2μm)94.8gとを、第4実
施例と同じ条件にて混合・成形・焼結を行い、TiAl
系金属間化合物基複合焼結体を得た(試料番号:5)。
【0075】得られた焼結体の断面の金属組織を示す走
査型電子顕微鏡写真(倍率:2000倍)を図3に、X
線回折結果および空孔率測定結果を表1に、それぞれ示
す。図3および表1より明らかなように、残留空孔はほ
とんど認められず、γ相+α2 相からなる層状組織マト
リックスbに微細なTiB2 粒子dが均一に分散してい
ることが分かる。このTiB2 粒子のピンニング効果に
より、マトリックスbを構成するTiAl相+Ti3
l相の結晶粒径は、前記第3実施例および第4実施例の
場合よりもはるかに微細である(平均粒径:8μm)。
また、図3からは明確に判別できないが、X線回折では
β相も少量認められる。すなわち、モリブデン硼化物に
よるβ相の熱力学的安定性向上により、焼結工程におけ
る緻密化が容易となり、しかも微細なTiB2 粒子が分
散・複合化することによって、極めて微細な結晶粒径を
有するTiAl系金属間化合物基複合焼結体となること
が確認された。
【0076】(比較例1)−350メッシュの純Al粉
末(純度:99.8%以上)235gと−350メッシュの
純チタン粉末(水素化・脱水素チタン粉末;Ti:9
9.6%、O:0.3%、Cl:0.01%)465g
とをボールミルにて60分間処理し、混合粉末を作製し
た。次いで、得られた混合粉末を用い、前記第1実施例
と同様の方法で成形・焼結を行い、TiAl系の金属間
化合物の比較用焼結体を得た(試料番号:C1)。
【0077】得られた比較用焼結体の断面の金属金属組
織を示す光学顕微鏡写真(倍率:260倍)を、図4に
示す。また、X線回折結果および空孔率測定結果を、表
1に併せて示す。図4および表1より明らかなように、
該比較用焼結体の組織は、γ相+α2 相からなるが、著
しく多孔質であり、空孔率は30%以上であった。
【0078】(比較例2)スポンジチタン塊(Ti:9
9.6%、O:0.1%、Cl:0.1%)658gと純Al
塊(純度:99.9%以上)342gとを原料とし、カルシ
ア坩堝中にて高周波アルゴン溶解後、金型に鋳造し、T
iAl系の金属間化合物の比較用鋳造材を得た(試料番
号:C2)。
【0079】得られた比較用焼結体の断面の金属金属組
織を示す光学顕微鏡写真(倍率:130倍)を、図5に
示す。また、X線回折結果および空孔率測定結果を、表
1に併せて示す。図5および表1より明らかなように、
該比較用焼結体の組織は、γ相+α2 相からなるが、図
1〜図3に示した本発明にかかる上記実施例の組織と比
べて、著しく粗大化していることが分かる。
【0080】(比較例3)前記第1実施例と同様にして
作製したTiAl3 微粉末313.1gと、−350メッ
シュの純チタン粉末(スポンジファイン)386.9gと
を、前記第1実施例と同じ条件にて、混合・成形・焼結
を行い、TiAl系の金属間化合物の比較用焼結体を得
た(試料番号:C3)。
【0081】得られた比較用焼結体の断面の金属金属組
織を示す光学顕微鏡写真(倍率:260倍)を、図6に
示す。また、X線回折結果および空孔率測定結果を、表
1に併せて示す。図6および表1より明らかなように、
該比較用焼結体の組織は、微細な結晶粒径(平均粒径:
50μm)を有するγ相+α2 相からなる層状組織bと
なっているが、残留空孔aはやや多いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例において得られたTiAl
系金属間化合物焼結体の断面の金属組織を示す光学顕微
鏡写真図(倍率:260倍)である。
【図2】本発明の第3実施例において得られたTiAl
系金属間化合物焼結体の断面の金属組織を示す光学顕微
鏡写真図(倍率:260倍)である。
【図3】本発明の第5実施例において得られたTiAl
系金属間化合物基複合焼結体の断面の金属組織を示す走
査型電子顕微鏡写真図(倍率:2000倍)である。
【図4】比較例1において得られたTiAl系金属間化
合物の比較用焼結体の断面の金属組織を示す光学顕微鏡
写真図(倍率:260倍)である。
【図5】比較例2において得られたTiAl系金属間化
合物の比較用鋳造材の断面の金属組織を示す光学顕微鏡
写真図(倍率:130倍)である。
【図6】比較例3において得られたTiAl系金属間化
合物の比較用焼結体の断面の金属組織を示す光学顕微鏡
写真図(倍率:260倍)である。
【符号の説明】
a・・・残留空孔 b・・・γ相+α2 相からなる層状組織 c・・・β相 d・・・TiB2 粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−157835(JP,A) 特開 平5−239571(JP,A) 特開 平5−78762(JP,A) 特開 平3−193842(JP,A) 特開 昭62−70531(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/04 - 1/05 C22C 1/10

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン粉末と、TiAl3 粉末と、5A
    族または6A族元素の少なくとも一種以上を含む粉末と
    からなる原料粉末を混合して混合粉末とする混合工程
    と、該混合粉末を所定形状に成形して成形体とする成形
    工程と、該成形体を無加圧で加熱してTiAl相または
    /およびTi3 Al相を主成分とする金属間化合物を合
    成焼結して焼結体とする焼結工程と、からなることを特
    徴とするTi−Al系金属間化合物焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記成形工程前に、該混合粉末を加圧す
    ると共に擦りあわせることを特徴とする請求項1記載の
    Ti−Al系金属間化合物焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 焼結工程が、β相が10体積%以上存在
    する条件下で行うことを特徴とする請求項1記載のTi
    −Al系金属間化合物焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 チタン粉末と、TiAl3 粉末と、5A
    族または6A族元素を主体とする硼化物粉末のうち少な
    くとも一種以上とを混合して混合粉末とする混合工程
    と、該混合粉末を所定形状に成形して成形体とする成形
    工程と、該成形体を無加圧で加熱し,焼結して焼結体と
    する焼結工程とからなり、TiAl相または/およびT
    3 Al相を主成分とする金属間化合物マトリックス中
    に微細なTiB2 粒子を分散させたことを特徴とするT
    i−Al系金属間化合物基複合焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記成形工程前に、該混合粉末を加圧す
    ると共に擦りあわせることを特徴とする請求項4記載の
    Ti−Al系金属間化合物基複合焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 焼結工程が、β相が10体積%以上存在
    する条件下で行うことを特徴とする請求項4記載のTi
    −Al系金属間化合物基複合焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 混合工程が、さらに硼化物粉末または/
    およびチタン硼化物粉末を混合してなることを特徴する
    請求項4記載のTi−Al系金属間化合物基複合焼結体
    の製造方法。
JP35084293A 1993-12-28 1993-12-28 Ti−Al系金属間化合物焼結体の製造方法 Expired - Fee Related JP3413921B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35084293A JP3413921B2 (ja) 1993-12-28 1993-12-28 Ti−Al系金属間化合物焼結体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35084293A JP3413921B2 (ja) 1993-12-28 1993-12-28 Ti−Al系金属間化合物焼結体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07197145A JPH07197145A (ja) 1995-08-01
JP3413921B2 true JP3413921B2 (ja) 2003-06-09

Family

ID=18413261

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35084293A Expired - Fee Related JP3413921B2 (ja) 1993-12-28 1993-12-28 Ti−Al系金属間化合物焼結体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3413921B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103572085A (zh) * 2013-11-11 2014-02-12 广州有色金属研究院 一种TiAl基合金的制备方法
CN118321546B (zh) * 2024-06-13 2024-08-13 西安稀有金属材料研究院有限公司 一种钛铝基合金及其复合材料的低成本制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07197145A (ja) 1995-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5889786B2 (ja) 銅粉、クロム粉または鉄粉を配合したチタン合金混合粉およびその製造方法ならびにチタン合金材の製造方法
US5098469A (en) Powder metal process for producing multiphase NI-AL-TI intermetallic alloys
Ivasishin et al. Cost-effective blended elemental powder metallurgy of titanium alloys for transportation application
JP5855565B2 (ja) セラミックスを含有したチタン合金混合粉、これを用いた緻密化されたチタン合金材およびその製造方法
CN112063869B (zh) 一种氢辅粉末冶金钛基复合材料的制备方法
WO2012148471A1 (en) Powder metallurgy methods for the production of fine and ultrafine grain ti, and ti alloys
US5640666A (en) Composite silicide/silicon carbide mechanical alloy
Qian et al. Pressureless sintering of titanium and titanium alloys: sintering densification and solute homogenization
JP3223538B2 (ja) 焼結チタン合金およびその製造方法
US5454999A (en) Composite silicide/silicon carbide mechanical alloy
JP3056306B2 (ja) チタン基複合材料およびその製造方法
CN117210727A (zh) 一种含有原位自生亚微米TiC(N)颗粒的铝合金粉末及其应用
JPH02197535A (ja) 金属間化合物の製法
JP3413921B2 (ja) Ti−Al系金属間化合物焼結体の製造方法
JPH05171321A (ja) 高密度粉末焼結用チタン合金
JP3793813B2 (ja) 高強度チタン合金及びその製造方法
JPH06100969A (ja) Ti−Al系金属間化合物焼結体の製造方法
German et al. Powder processing of high temperature aluminides
CN109554567B (zh) 一种Ti-Fe合金基复合材料及其制备方法
JPH02259029A (ja) アルミナイドの製造法
RU2032496C1 (ru) Способ получения алюминидов переходных металлов
MXPA04007104A (es) Productos laminados de pulvimetalurgia de metal refractario de tamano de grano estabilizado.
JPH06271901A (ja) 焼結性に優れたTi−Al系金属間化合物粉末およびその焼結体
Ivanova et al. Study of the Consolidation and Phase Formation in the γ-TiAl-Based Material Sintered with a TiH 2 Precursor
JP3225252B2 (ja) 粒子分散型焼結チタン基複合材料の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees