JP3395624B2 - アルミドロス残灰の処理方法 - Google Patents

アルミドロス残灰の処理方法

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JP3395624B2 JP00952598A JP952598A JP3395624B2 JP 3395624 B2 JP3395624 B2 JP 3395624B2 JP 00952598 A JP00952598 A JP 00952598A JP 952598 A JP952598 A JP 952598A JP 3395624 B2 JP3395624 B2 JP 3395624B2
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム
(以下「アルミ」と略称する)又はアルミ合金からなる
アルミ原材料を溶解するアルミ溶解工程で不可避的に発
生するアルミドロスより金属状のアルミ又はアルミ合金
を回収した後のアルミドロス残灰を、簡単な方法で処理
して環境上又は利用上問題となる有害不純物を除去し、
産業上有用資源化するのに容易なアルミナ組成物とする
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミ又はアルミ合金からなるアルミ製
品は、その耐蝕性、軽量性、導電性、伝熱性等において
優れた特性を有し、このために車両、船舶、機械、電
気、建築、日用品、飲料用缶等の極めて多くの分野で広
範囲に利用されており、また、その形態も鋳塊品、圧延
品、押出品、鍛造品等の種々の製品として極めて多岐に
及んでいる。
【0003】そして、このようなアルミ製品の製造は、
一般的には、アルミ新地金、アルミ母合金、工場内で生
じる製品のアルミ切れ端(工場内リターン材)、二次ア
ルミ塊、二次アルミ母合金塊、回収アルミスクラップ等
のアルミ原材料を溶解して基本的な形態のスラブ、ビレ
ット、アルミ塊、アルミ合金塊等のアルミ鋳塊品を製造
し、次いで、このアルミ鋳塊品に圧延、押出、鍛造等の
加工を施して所望の形状に形成し、このうち多くは、表
面の清浄化や、表面に耐蝕性や意匠性を付与する等の目
的で、陽極酸化処理等の表面処理を施し、所望のアルミ
製品とされている。
【0004】このため、アルミ原材料からアルミ鋳塊品
を製造するにはこのアルミ原材料を溶解するアルミ溶解
工程が不可欠であり、アルミ又はアルミ合金が元来酸化
され易い金属であることから、このアルミ溶解工程で溶
湯表面が酸化される。そこで、この溶湯表面の酸化を防
止するために、通常フラックスが使用されているが、こ
の溶湯表面の酸化を完全に防止することは困難であり、
溶湯表面にアルミ酸化物を主成分とする、いわゆるアル
ミドロスが不可避的に発生する。
【0005】そして、このアルミドロスについては、通
常それが80重量%にも及ぶアルミを含んでいるので、
溶湯表面上から掻き出されて固化したアルミドロスを再
度溶解処理し、回転羽根式等のしぼり機を用いて高温及
び/又は加圧下に物理的に溶融金属アルミを絞り出して
回収し、また、必要によりこの操作を複数回繰り返して
溶融金属アルミを可及的に回収している。
【0006】このようにしてアルミドロスから溶融金属
アルミを可及的に回収した後の残滓、すなわちアルミド
ロス残灰は、主としてアルミ酸化物からなるものである
が、依然として金属アルミ(合金も含む)を含み、ま
た、水と反応してアンモニアや塩化水素を発生し、悪臭
等の公害の原因になる窒化アルミ(AlN)やフラック
ス由来の塩素含有成分を含んでいる。
【0007】このため、このアルミドロス残灰について
は、これまでに、無公害化処理したり、あるいは、アル
ミナ源として再利用することが種々検討されている。し
かしながら、このアルミドロス残灰に含まれている不純
物の窒化アルミは、通常5〜15重量%にも達し、放置
ないし保管中でも空気中の水分と反応してアンモニアを
発生し、安全性や環境上の問題を引き起こすが、中性な
いしは還元性雰囲気中では、高温でもかなり安定であ
り、例えば化学工業原料、窯業原料、金属製精錬用造滓
剤等としての有用資源化の障害となっている。
【0008】このような不純物の窒化アルミを除去する
方法としては、古くからか焼法や水熱処理法が知られて
いる。そして、か焼法では、アルミドロス残灰を赤熱以
上に加熱して窒化アルミを酸化分解しているが、90重
量%以上を分解して生成物中の窒化アルミの量を1重量
%以下にするには、1300℃にも及ぶ高温が必要にな
り、エネルギーコスト等の問題がある。
【0009】また、古典的な水熱処理法では、アルミド
ロス残灰に多量の水、時には海水を加え、開放容器中で
攪拌下に加熱して AlN + 3H2 O → Al(OH)3 + NH
3 の反応を行わせているが、処理に長時間を必要とし、反
応槽の設備負担が大きくなり、しかも、なお窒化アルミ
の除去効率が十分ではなく、水熱処理過程でのアンモニ
アの発生が避けられないという問題がある。
【0010】近年、無公害アンモニア燃焼装置等のアン
モニア処理技術が発達し、このような技術を用いて発生
するアンモニアを無公害化処理することも考えられる
が、水熱反応が長時間を要するため、フード等によるア
ンモニアの捕集ではアンモニア濃度が希薄すぎて経済的
な操業が困難であり、実用化には至っていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、アルミ製品の製造工程で発生する処理の困難なアル
ミドロス残灰を、環境上の問題がなく、しかも、効率的
かつ経済的に有用資源化するための方法について鋭意検
討した結果、従来の長時間かつ非効率的で、しかも、ア
ンモニア対策の困難な水熱処理法において、分散媒とし
て所定のpH値を有するアルカリ性の水酸化ナトリウム
溶液を用いることにより、意外にも極めて短時間で窒化
アルミを分解することができ、その結果、発生するアン
モニアの回収が容易になることを見出し、本発明を完成
した。
【0012】従って、本発明の目的は、アルミドロス残
灰から資源的及び設備的に効率良く有害不純物を除去
し、産業上有用なアルミナ組成物を得ることができるア
ルミドロス残灰の処理方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミ原材料
を溶解するアルミ溶解工程で発生するアルミドロスより
金属状のアルミニウム又はアルミニウム合金を回収した
後のアルミドロス残灰を、pH11.5〜13.0の水
酸化ナトリウム溶液を分散媒として水熱処理するアルミ
ドロス残灰の処理方法である。
【0014】本発明において処理の対象となるアルミド
ロス残灰は、それがアルミやアルミ合金からなるアルミ
原材料を溶解するアルミ溶解工程で副生するものであれ
ば特に制限されるものではなく、具体的には、例えば、
アルミ新地金、アルミ母合金、工場内で生じる製品のア
ルミ切れ端(工場内リターン材)、二次アルミ塊、二次
アルミ母合金塊、自動車部品やアルミ缶等の回収アルミ
スクラップ等のアルミ原材料を溶解して基本的な形態の
スラブ、ビレット、アルミ塊、アルミ合金塊等のアルミ
鋳塊品を製造する際のアルミ溶解工程で副生するアルミ
ドロスから得られるアルミドロス残灰である。このよう
なアルミドロス残灰の組成は、概ね、金属アルミ8〜1
5重量%、酸化アルミ(Al2 3 )50〜60重量
%、窒化アルミ(AlN)5〜15重量%、鉄(Fe)
0.5〜2重量%、珪素(Si)0.5〜10重量%、
マグネシウム(Mg)0〜6重量%、アルカリ(Na+
K)1.5〜3重量%、カルシウム(Ca)0〜1重量
%、塩素(Cl)1〜6重量%、弗素(F)0.5〜2
重量%等である。
【0015】本発明においては、上記アルミドロス残灰
を水熱処理する際にその分散媒として水酸化ナトリウム
溶液を用いる。この水熱処理の際にアルミドロス残灰を
水に懸濁させて形成されるスラリーにおいて、そのアル
ミドロス残灰の濃度は、通常の回転羽根による攪拌で均
一な懸濁液が形成できる程度であるのがよく、通常50
〜250g/リットル、好ましくは100〜200g/
リットルの範囲がよい。アルミドロス残灰濃度が250
g/リットルを超えて濃くなると、水熱処理槽の底部に
沈殿物が沈降する等、均一な攪拌が難しくなり、また、
50g/リットルより薄くなると、設備効率が低下して
経済的でなくなる。
【0016】ここで分散媒として用いられる水酸化ナト
リウム溶液としては、そのpH値が11.5〜13.
0、好ましくは11.7〜12.8、より好ましくは1
2.2〜12.5であって、生成物の有用資源化の際に
有害な物質、例えば重金属や多量の硫酸根等が含まれて
いなければ、通常の工業用水酸化ナトリウムの水溶液で
あっても、また、例えばアルミ材押出工程におけるダイ
ス洗浄廃アルカリやアルミ材表面処理におけるアルカリ
処理後の洗浄水等、アルミナを含むアルミン酸ナトリウ
ム溶液であってもよい。この分散媒として用いる水酸化
ナトリウム溶液のpH値が11.5より低いと、窒化ア
ルミの分解速度が遅くて処理槽の負担が大きくなり、コ
スト増を招き、反対に、pH値が13.0より高くなる
と、窒化アルミの分解率は向上するが分散媒中へのアル
ミナの溶解度が増加し、アルミナの損失を招くばかりで
なく、排水処理、特にその中和処理の際に不溶性の懸濁
物が発生して好ましくない。
【0017】分散媒として用いる水酸化ナトリウム溶液
のpH値が11.5〜13.0であると、分散媒中の遊
離水酸化ナトリウムの量は僅かで済むはずであるが、水
酸化ナトリウムはアルミドロス残灰中の不純物と反応し
て塩化ナトリウム、弗化ナトリウム、アルミノケイ酸ナ
トリウム等を生成して消費され、通常アルミドロス残灰
100g当たり1〜3gが消費される。従って、水酸化
ナトリウムの大略の添加量を経験的に決めている場合で
も、アルミドロス残灰の組成に変動がある場合等には、
予め簡単なテストを行い、所望のpH値に調整するため
の水酸化ナトリウムの使用量を求めておくのがよい。こ
のように分散媒として用いる水酸化ナトリウム溶液のp
H値を調整することにより、窒化アルミの分解率を大幅
に促進することができ、また、生成するアンモニアが液
相から離脱するのを容易にすることができる。
【0018】このような水酸化ナトリウム溶液を分散媒
とする水熱処理において、処理温度は通常80〜100
℃、好ましくは85〜95℃であり、そして、処理時間
は、アルミドロス残灰中の窒化アルミ含有率やその状
態、更には所望の窒化アルミ分解率や設備コスト等を勘
案して決定すればよいが、通常、バッチ式で2〜6時間
であり、また、連続式で滞留時間3〜10時間であり、
窒化アルミをその略90重量%以上まで分解することが
できる。処理温度が80℃より低いと、窒化アルミの分
解速度が遅くて処理槽の負担が大きくなり、コスト増を
招くので好ましくない。
【0019】本発明において、水熱処理の方法について
は、特に制限はなく、バッチ式であっても、また、複数
の水熱処理槽を直列に接続して行う連続式であってもよ
いが、熱エネルギーの放散やアンモニア回収操作の点で
連続式で行うのが便利である。また、加熱の方法につい
ても、電熱式や蒸気による間接加熱法、あるいは、生蒸
気吹込、高温空気吹込等の直接加熱法、更にはこれらの
方法の組み合わせ等、任意の方法を採用することができ
る。ここで、分散媒として用いる加水酸化ナトリウム溶
液のpH値は、バッチ式で実施する場合には水熱処理槽
に仕込まれるアルミドロス残灰の窒化アルミ含有率等を
考慮してそのpH調整を行い、また、連続式で実施する
場合には水熱処理槽の出口でpH値を測定してその結果
をフィードバックすることによりpH調整を行うのが好
ましい。
【0020】本発明の方法においては、その水熱処理中
に、窒化アルミの分解によりアンモニアを発生し、ま
た、金属アルミニウムの反応により水素が発生する。こ
のため、本発明方法においては、水熱処理中、水熱処理
槽の底部から空気を吹込、生成するアンモニアや水素を
この空気と同伴させ、水熱処理槽の上部から回収し、燃
焼等の通常の排ガス処理方法により処理する。
【0021】この水熱処理中の空気吹込量については、
吹き込まれた空気中に同伴されるアンモニアや水素の濃
度が乾燥気体換算でその爆発限界以内、すなわちアンモ
ニアについては16体積%以下及び水素については4体
積%以下である必要があり、好ましくはアンモニア濃度
が4〜6体積%となる範囲であるのがよく、これによっ
て水熱処理中に生成したアンモニアを効率良く回収でき
ると共に、水熱処理後の液相中に含まれるアンモニアを
容易に0.1g/リットル以下の濃度にまで低減するこ
とができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図1に示すプロセスフロー
チャートに基づいて、本発明の好適な実施の形態の一例
を説明する。なお、水熱処理装置としては、回転羽根攪
拌によるスラリー攪拌式水熱処理槽や、充填槽下部より
分散媒を層流循環させる塔式水熱処理槽等が適用できる
が、ここではスラリー攪拌式水熱処理槽を用いた例で説
明する。
【0023】図1に示すように、アルミドロス残灰と、
循環水酸化ナトリウム溶液と、水及び補給用水酸化ナト
リウム溶液(例えば25重量%水酸化ナトリウム水溶
液)とが所定の割合で水熱処理槽に装入され、攪拌下に
所定の温度に加熱され、アルミドロス残灰がスラリーの
状態で水熱処理される。
【0024】水熱処理槽中で形成されるアルミドロス残
灰の固体濃度は、通常の回転羽根攪拌により均一な懸濁
腋を形成できる程度であるのがよく、通常50〜250
g/リットル、好ましくは100〜200g/リットル
である。また、補給用水酸化ナトリウム溶液は、水熱処
理後に水熱処理槽から槽外に排出される分散媒のpH値
を測定し、その結果がフィードバックされて自動的にコ
ントロールされる。
【0025】このようにして水熱処理が終了した後、水
熱処理槽から抜き出されたスラリーは、例えば加圧式濾
過装置等の適当な固液分離手段で固液分離され、回収さ
れた固体(すなわち、アルミナ組成物)は洗浄水で洗浄
され、乾燥されて製品のアルミナ組成物となり、また、
濾液についてはアルミナ溶解による損失防止、及びアン
モニア回収率の向上、更には省エネルギーを達成するた
めに、アルミドロス残灰の分散媒として再び水熱処理槽
に循環させて使用される。ここで、固液分離された直後
のアルミナ組成物は、通常20〜50重量%の液相分を
同伴しているが、このアルミナ組成物を洗浄したのちの
洗浄廃液については、水熱処理分散媒中の可溶性不純物
(例えば、アルミドロス残灰由来のアルカリ塩類等)の
蓄積を防止するため、そのまま系外に排出して廃液処理
される。
【0026】なお、この固液分離に際して、予めスラリ
ーを沈降処理し、その上澄み液を水熱処理槽に循環さ
せ、濃密部については塩酸等により微酸性、例えばpH
6程度に調整した後、濾過して洗浄してもよく、このよ
うな方法を採用することにより、アルミナ組成物中の可
溶性ナトリウム化合物や可溶性カルシウム化合物等を可
及的に除去することができ、アルミナ組成物のアルミナ
含有量(アルミナ純度)をより一層高くすることができ
る。また、空気に同伴させて回収したアンモニアについ
ては、多量の水分(水蒸気)を随伴しているが、アンモ
ニア水その他のアンモニア源として有用資源化すること
もできる。
【0027】本発明によれば、従来法とは異なり、アン
モニアの99重量%以上を効率的に回収して環境上の問
題を解決しつつ、従来法に比べて極めて短時間(通常1
/20〜1/60程度)にアルミドロス残灰中に含まれ
るその有用資源化に有害な不純物を除去することができ
る。例えば、本発明においては、窒化アルミ90重量%
以上、アルカリ金属90重量%以上、並びに、塩素及び
弗素85重量%以上が除去され、無水物換算で窒化アル
ミ1重量%以下及びアルミナ75重量%以上のアルミナ
組成物が得られる。
【0028】本発明により得られた水熱処理後の生成物
は、窒化アルミやアルカリ化合物をほとんど含まないの
で、そのまま窯業用、化学工業用等の用途に有用資源化
することができるが、加熱して水分を除去し、アルミナ
として得ることもできる。加熱して水分を除去する場合
には、原則として窒化アルミの分解除去は必要ないの
で、従来の窒化アルミ分解のための赤熱以上1300℃
までの高温か焼の必要はなく、400〜500℃での焙
焼で充分である。そして、この400〜500℃での焙
焼の際には、アルカリ元素のほとんどが除去されている
ので、比較的低温の焙焼と相俟って、クリンカーの発生
や耐火炉材の侵蝕が可及的に低減し、極めて安全に操業
できるほか、水分の放出の際に残留した窒化アルミが分
解されてアルミナ純度がより向上する傾向がある。
【0029】
【実施例】以下、試験例及び実施例に基づいて、本発明
をより具体的に説明する。
【0030】試験例1 試料として金属状アルミニウム(Al)13.3重量
%、窒化アルミ(AlN)12.5重量%、アルミナ
(Al2 3 )46.0重量%、シリカ(SiO2
3.4重量%、CaO:0.9重量%、Na2 O:0.
9重量%、K2 O:0.9重量%、塩素(Cl):4.
9重量%、及びF:1.6重量%を含むアルミドロス残
灰を用いた。
【0031】このアルミドロス残灰100gに水500
gを加えてスラリー状態とし、水酸化ナトリウムをスラ
リー中4g/リットルとなるように添加し、500ml
/分の速度で空気を吹き込みながら、95℃でプロペラ
攪拌しながら水熱処理し、pH値及び水熱処理時間と窒
化アルミ分解率との関係を調べた。また、比較のため、
典型的な通常法に準じて、アルミドロス残灰100gに
水300gを加えて数分間手動で攪拌し、その後40〜
50℃で放置し、3〜4時間ごとに水の交換と手動攪拌
とを行い、処理時間と窒化アルミ分解率との関係を調べ
た。結果を図2に示す。
【0032】試験例2 試料として試験例1と同じアルミドロス残灰を用いて同
様のスラリーを調製し、このスラリー中に水酸化ナトリ
ウムを添加量0g/リットル、0.5g/リットル、1
g/リットル、2g/リットル、4g/リットル、6g
/リットル、8g/リットル、10g/リットル、及び
12g/リットルの割合で添加し、500ml/分の速
度で空気を吹き込みながら95℃でプロペラ攪拌下に水
熱処理し、分散媒のpH値と、窒化アルミ分解率90重
量%となるまでに要した所要時間とを測定した。上記試
験例1の結果と合わせて、結果を図3に示す。
【0033】なお、図中のpH値は、水熱処理開始後2
時間経過した際の分散媒を抜き取り、冷却後に測定した
値であり、2時間以降低下する傾向がみられるが、その
変化量は極めて僅かである。また、この際のアンモニア
濃度は、0.05〜0.1g/リットルであるので、p
H値(アルカリ度)はほとんど遊離水酸化ナトリウムに
よるものである。更に、水酸化ナトリウムを添加しない
場合には、分散媒中に相当量のアンモニアが存在し(2
g/リットル以上)、分散媒のアルカリ度(pH値)は
水酸化アンモニウムによるものである。
【0034】図2及び図3に示す結果から明らかなよう
に、水酸化ナトリウムの添加量が多くなるに従って、す
なわちpH値が高くなるに従って、窒化アルミの分解速
度が大きくなる。ここで、水酸化ナトリウムの添加量の
割りにはpH値が上がらないのは、アルミドロス残灰中
のアルリに対して過剰の塩素や弗素等による消耗や、S
iO2 によるアルミノケイ酸ナトリウム生成による中和
作用によるものと考えられる。これら塩素や弗素、Si
2 等の量は、アルミドロス残灰の組成や存在状態によ
り変動するので、実際の操業に当たっては、pH値を目
処にコントロールすればよい。
【0035】図3に示すように、pH値が11.5より
低いと、窒化アルミの分解速度は、水酸化ナトリウムを
使用しない場合と比較して、その効果が僅かであり、p
H値が11.5以上になると、窒化アルミの分解促進効
果が顕著になり、また、13.0を超えると、水酸化ナ
トリウムの使用量の割には窒化アルミの分解促進効果が
低く、また、分散媒中にAl2 3 が濃度1g/リット
ルを超えて溶解し、洗浄水の排水処理の際に中和により
不溶性物(水酸化アルミニウム)が多量に生成し、アル
ミナ分の損失とあわせて排水処理に不都合が生じる。
【0036】pH値が11.5〜13.0、好ましくは
11.7〜12.8の範囲では、通常法の場合の1/2
0〜1/50の時間で窒化アルミの分解率が90重量%
以上に達し、装置をコンパクトに設計できるほか、アン
モニアの回収も容易になり、経済上及び環境上の問題を
一挙に解決することができる。
【0037】実施例1 アルミ合金塊製造の際に得られたアルミドロス残灰〔組
成(105℃乾燥物):金属状アルミニウム(Al)1
3.3重量%、窒化アルミ(AlN)12.5重量%、
アルミナ(Al2 3 )52.2重量%、Fe:0.9
3重量%、Mg:5.60重量%、Si:1.59重量
%、Na:0.67重量%、K:0.71重量%、C
a:0.78重量%、Cl:4.90重量%、及びF:
1.60重量%〕1850g/時、工業用25重量%水
酸化ナトリウム水溶液0.26リットル/時、及び水約
9.1リットル/時からなるスラリーを7.5リットル
/時の速度で、容量40リットル及び溶液容量30リッ
トルで、回転羽根攪拌装置を備えた外部電熱式の水熱処
理槽に連続的に装入し、この水熱処理槽の底部からは3
9Nリットル/分の速度で空気を送り込み、その上部か
らアンモニア及び水素を同伴した排気ガスを抜き出し、
処理温度95℃で水熱処理を行った。
【0038】オーバーフロースラリー大略8.1リット
ル/時で排出されたが、その固形分濃度は260g/リ
ットルであった。このオーバーフロースラリーを加圧濾
過し、濾滓ケーキ上から濾滓容量の5倍の水で洗浄した
のち、この濾滓を回収した。得られた湿濾滓(湿アルミ
ナ組成物)の付着水分は35重量%(105℃乾燥減
量)であり、その組成(105℃乾燥物)は、金属状ア
ルミニウム(Al)0.2重量%(不純物除去率:98
重量%)、窒化アルミ(AlN)0.7重量%(不純物
除去率:92重量%)、アルミナ(Al2 3 )64.
2重量%、Fe:0.7重量%、Mg:3.9重量%、
Si:1.1重量%、Na:0.29重量%(不純物除
去率:39重量%)、K:0.12重量%(不純物除去
率:76重量%)、Ca:0.25重量%(不純物除去
率:55重量%)、Cl:0.008重量%(不純物除
去率:99.8重量%)、及びF:0.19重量%(不
純物除去率:83重量%)であった。また、濾液中のア
ンモニア濃度は0.07g/リットルであり、pHは1
2.7であり、また、回収ガス中のアンモニア濃度は乾
燥ベースで4.6〜4.7体積%であった。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、アルミ溶解工程で発生
する処理の困難なアルミドロス残灰を水熱処理するに当
たり、その処理時間を大幅に短縮できるほか、この水熱
処理の間に発生するアンモニア等の有害ガスを効率良く
回収して処理することができ、しかも、好ましくない不
純物を効率良く除去できて工業的に有用なアルミナ組成
物として回収することができ、アルミドロス残灰の有用
資源化の観点から極めて実用的価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施の一例を示すプロセス
フローチャートである。
【図2】 図2は、試験例1に係るアルミドロス残灰の
水熱処理時間と窒化アルミ分解率との関係を示すグラフ
図である。
【図3】 図3は、試験例2に係るアルミドロス残灰の
水熱処理の際の水酸化ナトリウムを添加した分散媒のp
H値と窒化アルミ分解率90重量%に達するまでの所要
時間との関係を示すグラフ図である。
フロントページの続き (72)発明者 杉山 雅春 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社 グループ技術セ ンター内 (72)発明者 渡邉 寛 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社 グループ技術セ ンター内 (72)発明者 斉藤 眞佐旺 東京都品川区東品川2丁目2番20号 日 本軽金属株式会社内 (72)発明者 南波 正敏 東京都品川区東品川2丁目2番20号 日 本軽金属株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−173930(JP,A) 特開 平7−52652(JP,A) 特開 平10−1726(JP,A) 特開 平10−8154(JP,A) 特開 平11−140555(JP,A) 特公 昭32−2014(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 3/00 - 5/00 C22B 7/00 - 7/04 C22B 21/00 - 21/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なるアルミ原材料を溶解するアルミ溶解工程で発生する
    アルミドロスより金属状のアルミニウム又はアルミニウ
    ム合金を回収した後のアルミドロス残灰を、pH11.
    5〜13.0の水酸化ナトリウム溶液を分散媒として水
    熱処理することを特徴とするアルミドロス残灰の処理方
    法。
  2. 【請求項2】 水熱処理は、80〜100℃の温度で行
    われる請求項1に記載のアルミドロス残灰の処理方法。
  3. 【請求項3】 水熱処理は、空気を吹き込み、生成する
    アンモニアを回収しながら行う請求項1又は2に記載の
    アルミドロス残灰の処理方法。
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