JP3383208B2 - スペクトル拡散通信における受信装置 - Google Patents

スペクトル拡散通信における受信装置

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JP3383208B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スペクトル拡散通
信における通信システムに関し、より詳細には、遅延多
重化方式による当該システムの受信装置における利得調
整用制御ループの動作の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、スペクトル拡散通信方式は、新し
い通信方式として、注目されている。従来のデータ通信
に用いられる変調方式は、狭帯域変調方式が一般化され
ており、この方式による通信は比較的小型の回路で実現
できるが、室内(オフィス,工場等)のように、マルチ
パスや狭帯域の有色雑音に対しては弱いという問題点を
もつ。これに対して、スペクトル拡散通信方式は、デー
タのスペクトルを拡散符号によって拡散し、広帯域で伝
送するため、これらの問題点を解消できるという点で有
利であるが、反面、データの伝送速度に対して、幅広い
帯域を必要とするため、高速のデータ伝送は困難であっ
た。
【0003】例えば、11チップの拡散符号で拡散し、
QPSK変調を用いて伝送する場合を考えると、2Mb
psのデータ伝送に対して、22MHzの帯域が必要と
なる。もし、10Mbpsのデータを送る場合には、1
10MHzの帯域が必要になることになる。一方で、無
線で伝送できる帯域は限られているのが現状であること
から、この方式による高速のデータ伝送を困難なものと
している。
【0004】そこで、限られた帯域で高速伝送を行う手
段として、拡散した信号を遅延して多重する方式(以
下、遅延多重方式と呼ぶ)が提案されており、例えば、
特開平9−55714号公報に示されているものでは、
11チップで拡散した信号を数チップずつ時間を遅延し
て多重して送信・受信するものである。この方式を用い
ることによって、限られた帯域で高速伝送ができるよう
になる。先ほどの2Mbpsのデータ伝送の例では、こ
の提案された遅延多重方式を用いた場合、同じ帯域で2
多重すると4Mbpsのデータが、5多重すると10M
bpsのデータが通信できるようになる。
【0005】この遅延多重方式の送信系を、図8に示
す。図8において、データ発生部101で発生したデー
タは、差動符号化部103によって差動符号化される。
差動符号化されたデータは、S/P変換部105によっ
て、複数のパラレル信号(複数のパラレルデータ)に変
換される。PN発生器107は、拡散符号を発生する。
乗算器111〜117は、複数のパラレル信号P1〜P
4とPN発生器107からの拡散符号とを乗算し、拡散
信号M1〜M4を発生する。
【0006】変調器119〜125は、ローカル信号発
生器109からのローカル信号を用いて、拡散信号M1
〜M4を変調して、中間周波数信号(IF信号)I1〜
I4にする。遅延素子127〜133は、中間周波数信
号I1〜I4を遅延し、遅延信号D1〜D4を発生す
る。
【0007】遅延素子127〜133のそれぞれの遅延
時間は異なっている。さらに、遅延素子127〜133
の遅延時間は、相互に、1チップ以上でチップの整数倍
の任意の時間差を有している。遅延信号D1〜D4は、
合波器135により合波される。この合波された信号
は、周波数変換部137により、周波数変換される。こ
の周波数変換された信号は電力増幅部139により増幅
され、送信アンテナ141により送信信号として出力さ
れる。この多重化による結果として、限られた帯域でも
伝送の高速化が可能となる。
【0008】また、スペクトル拡散を用いた通信システ
ムでは、通常、受信側では、A/D変換部(コンバー
タ)等を用いて、受信信号をデジタル信号に変換し、デ
ジタル処理を行う。このデジタル処理にあたって、最適
量子化間隔と呼ばれる値が存在することから、A/Dコ
ンバータへの入力信号について最適量子化間隔に対応す
る最適振幅を決め、その値に入力を調整する必要があ
る。そのため、受信した信号は、自動利得制御回路等を
用いてA/Dコンバータに入力される信号振幅を最適に
するようにコントロールしている。しかしながら、スペ
クトル拡散通信の場合、逆拡散前のC/Nが低いことか
ら、逆拡散後の相関出力を用いて利得制御をかけること
が一般に行われている。
【0009】かかる利得制御方法の具体化例を図9に示
す。図9において、受信した信号は、IF周波数変換部
150,利得制御増幅器151,周波数変換部152等
を経て、ベースバンド信号に変換され、A/Dコンバー
タ153で、デジタル信号となり、デジタル相関器(コ
リレータ)154によって、相関が取られる。コリレー
タ154からの相関出力を用いて、相関同期回路155
で、相関の取れているタイミングを検出し、そのタイミ
ングで相関の同期を取るとともに、この相関同期が取れ
ている状態での相関値(これを、相関スパイク、と呼
ぶ)を出力する。
【0010】相関スパイクは、比較器151sで設定値
と比較し、その差信号を出力する。この場合、相関スパ
イクが設定値より大きければ、コントロール回路151
cで、利得を小さくするようにコントロールし、一方、
相関スパイクが設定値より小さければ、コントロール回
路151cで、利得を大きくするように利得制御増幅器
151をコントロールする。この結果、相関スパイク値
が、常に一定になるように保たれる。相関スパイクと、
A/Dコンバータ153に入る振幅レベルは比例関係に
あるので、相関スパイクを一定にすることで、最適量子
化間隔を維持することができるようになる。
【0011】上記したフィードバック制御を行うとき、
受信機においては、実際には、雑音が、受信信号に重畳
しているので、その影響をなくすために積分回路151
fで積分を行っている。雑音は、主に熱雑音であるの
で、積分区間を長くすることによって、雑音のみの積分
値はゼロに近づき、影響をなくすことができる。しか
し、移動体通信等においては、入力レベルが頻繁に変動
することから、振幅のコントロールもこの変動速度に追
従する必要があり、積分時間が長すぎると、追従できな
くなる。このことから、積分の時定数は、この二つの条
件のトレードオフを考慮することによって決められてい
た。ここで、この積分を抵抗やコンデンサを用いること
によるアナログ処理をしている場合には、その時定数
は、抵抗値やコンデンサ容量によって決まってくる。
【0012】一方、本願発明者と同一人は、遅延多重方
式において、伝送データフォーマット構成として、多重
しない部分と多重した部分を持つ方式を提案している。
このデータフォーマットの構成の一例を図10に示す。
データをパケット化して伝送する場合、データのはじめ
の部分を1重部分とし、ある一定期間の1重区間後、多
重して伝送する多重部分が続く。
【0013】この場合、多重しない部分では、相関スパ
イクは拡散符号1周期に1回しか発生しないが、多重し
た部分は多重数分(例えば、5多重であれば、5回の相
関スパイク)だけ発生するため、同一の積分時間内に発
生する相関スパイクが1重部分と多重部分で変わり、多
重数倍となり、平均化している相関スパイク数が増える
という現象が生じ、1重および多重部分のいずれにおい
ても最適な利得制御を行うようには、なっていなかっ
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした従
来技術における問題点に鑑みてなされたもので、スペク
トル拡散通信において遅延多重方式を用い、1重と多重
部をもつデータフォーマットによる通信を行う場合に、
多重数が切り替わった場合でも、最適な利得制御を行う
ことを可能とする受信方式による受信装置を提供するこ
とをその解決すべき課題とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、拡散
符号で直接拡散したスペクトル拡散信号を、任意のチッ
プ数ずつ遅延させ多重した多重部分と1重部分とを持つ
信号フォーマットに従った送信信号を受信し処理する受
信処理手段を備え、該受信処理手段は、利得調整用制御
ループと、さらに該利得調整用制御ループ内に拡散符号
により受信信号との相関をとり求めた相関値を積分する
積分手段を有するスペクトル拡散通信における受信装置
において、前記積分手段を有する前記利得調整用制御ル
ープは、その動作が前記送信信号の多重化状態に応じて
制御されることを特徴としたものである。
【0016】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記利得調整用制御ループの動作の制御が、前記積
分手段における積分の時定数を変化させることにより行
われることを特徴としたものである。
【0017】請求項3の発明は、請求項2の発明におい
て、前記多重化状態を多重数とし、該多重数に応じて前
記積分手段における積分の時定数を変化させることを特
徴としたものである。
【0018】請求項4の発明は、請求項1ないし3のい
ずれか1の発明において、前記積分手段は、デジタル動
作を行うものとし、前記利得調整用制御ループの動作の
制御が、相関値として積分の演算に用いる出力値をサン
プリングするサンプリング速度を変化させることにより
行われることを特徴としたものである。
【0019】請求項5の発明は、請求項4の発明におい
て、前記サンプリング速度を多重数に応じて変化させる
ことを特徴としたものである。
【0020】請求項6の発明は、請求項4の発明におい
て、相関値として積分の演算に用いる出力値を復調クロ
ックを用いてサンプリングすることにより前記サンプリ
ング速度を変化させることを特徴としたものである。
【0021】請求項7の発明は、請求項4ないし6のい
ずれか1の発明において、前記積分手段は、前記積分値
を得るための演算回数を多重切り換え部分から増加さ
せ、かつ、(1重部分の積分値を得るための演算回数)
×(多重数)より少ない回数とすることを特徴としたも
のである。
【0022】請求項8の発明は、請求項4ないし7のい
ずれか1の発明において、前記積分手段は、前記積分値
を得るための演算回数を多重数に比例して増加させるこ
とを特徴としたものである。
【0023】請求項9の発明は、請求項1ないし8のい
ずれか1の発明において、前記送信信号がパケット通信
による場合に、前記利得調整用制御ループの動作は、一
重部分の受信信号のみで行い、多重部分の受信信号に対
しては、該ループ動作を停止し、また、先に一重部分で
得られた制御値を保持し、保持した該制御値を多重部分
に用い、多重部分の受信信号に対する前記制御値とし
て、保持した一重部分で得られた前記制御値に対して、
多重数に応じた比例乗数を乗じた制御値を用いることを
特徴としたものである。
【0024】
【0025】
【発明の実施の形態】本発明による受信部の第1の実施
形態を図1に示す。受信した信号は、IF周波数変換部
50、利得制御増幅器51、周波数変換部52等を経
て、ベースバンド信号に変換され、A/D変換部53
で、デジタル信号となり、デジタル相関器(コリレー
タ)54によって、相関が取られる。従来例と同様に、
コリレータ54からの相関スパイクは、比較器51s′
で設定値と比較し、その差信号を出力する。
【0026】ここで、比較器51s′における比較のタ
イミングは相関同期回路55′において生成する相関ス
パイクタイミングによるが、相関同期回路55′には設
定された多重信号により発生するデータクロックがデー
タクロック発生部56から入力されている。この後、比
較器51s′の出力は、積分回路51f′にて、積分さ
れるが、この積分処理において、従来例では、積分の時
定数を、雑音の影響をなくすことと変動速度に追従する
ことの二つの条件のトレードオフを考慮することによっ
て決められた固定値にしていた。
【0027】本発明の実施形態においては、この積分回
路51f′の時定数を切り換えるようにする。そのため
に時定数切り換え信号によって、時定数を切り換える手
段を用意する。積分回路51f′の時定数はアナログ回
路であれば、抵抗やコンデンサを切り換えることで、ま
た、デジタル回路では、デジタルフィルタのタップ数や
重み付け係数を変えることで変化させることができる。
また、この時定数の切り換えは1重部,多重部の切り換
え信号にタイミングをあわせて切り換える。
【0028】こうすることにより、受信性能が上がるこ
とを以下に説明する。前述のように、積分の時定数は、
雑音の影響をなくすことと変動速度に追従することの二
つの条件のトレードオフを考慮することによって決めら
れている。雑音の影響のみを考えてみると、雑音は、主
に熱雑音であるので、平均を取る数を増やせば増やすほ
ど、雑音のみの積分値はゼロに近づき、影響をなくすこ
とができる。
【0029】従って、積分をとるサンプル数が多いほ
ど、雑音の影響が減ることになる。1重の場合には、符
号1周期に対して、相関スパイクが1回であるから1回
しかサンプルできなかったが、多重した場合には、その
相関スパイク数分多くサンプルできることになる。この
ため、積分に用いる比較器51s′出力も、各相関スパ
イクごとに行う。この結果、積分時間を多重数分の1に
しても、同一の雑音の影響とすることができる。
【0030】一方、変動速度は多重数に依存せず、通信
路のみに依存するので、多重数を変えても、同一であ
る。そのため、積分時間を多重数分の1にすると、その
分追従性能をあげることができるようになる。
【0031】この結果、全体としての受信性能を上げる
ことができるようになる。また、前述のトレードオフの
関係から、積分時間を多重数分の1にするのではなく、
積分時間は、多重数の増加による雑音の平均化と変動速
度の新たなトレードオフ点を設定することで、さらに性
能を上げることができるようになる。また、この時定数
は、多重数分の切り換え機能を有し、多重数に比例して
短くしていくことで、1重から、2重,3重…とどの多
重数でも最適な受信特性を得ることができるようにな
る。
【0032】本発明による受信部の次の実施形態を図
2,3に従って説明する。上述の実施形態で、多重数に
より積分の時定数をコントロールし最適化する手法につ
いて説明したが、積分処理の具体化手段について、ここ
では、それをデジタルフィルタを用いて行う場合を示
す。図2において、アンテナ受信後から比較器51s′
までの受信処理手段の構成および機能は図1と同一であ
る。
【0033】この実施形態では、積分回路にデジタル積
分回路(フィルタ)51f″を用いた場合を示してい
る。デジタルフィルタ51f″等では、動作クロック
(CLK)に従い、演算を行うが、通常は、システムク
ロックあるいはマスタークロックと呼ばれるクロックを
用いて処理する。これは、これらのクロックが安定して
供給されていて、クロック同期型設計においては、同一
クロックを使うことがよいからである。
【0034】さて、デジタルフィルタで、積分の時定数
を変える方法は、積分のタップ数や重み付けを変える方
法と、サンプリング速度そのものを変える方法がある。
そこで、本実施形態においては、図3に示すように、デ
ジタル積分回路(フィルタ)51f″の動作クロックを
固定のシステムクロック等を用いずに、相関同期回路5
5′の出力を用いて生成する復調用データクロックを用
いる。図2の実施形態では、デジタルフィルタの動作ク
ロック(CLK)がシステムクロック等を用いて固定で
あったため、時定数は、外部からのタップ数や重み付け
係数を時定数切換信号により変える動作を行っていた。
【0035】しかし、動作クロックを復調クロックとす
ることで、時定数を変更することと等価の効果が得られ
る。すなわち、多重数が増えた場合には、自動的にサン
プルクロックが上がり、時定数が短くなり、多重数が減
った場合には、サンプリングクロックが下がり、時定数
が長くなる。この結果、上記実施形態と同様に、時定数
をコントロールすることになり、受信性能の向上をする
ことができるようになる。
【0036】本発明による受信部の次の実施形態を説明
する。上記実施形態においては、多重数にしたがって時
定数を短くしても、1重の場合に比べて多重時には平均
化する個数が増えるため、雑音の影響がなくなることを
示した。ここで、遅延多重方式における実際の多重した
システムの動作状態について説明する。多重したシステ
ムにおいて、多重する符号は直交しているとは限らず、
その場合、相関出力に多重信号による干渉が生じる。
【0037】この点について、例として11チップのバ
ーカー符号を用いた場合を、図4にもとづいて説明す
る。多重される符号各々の相関出力波形を表わす図4
(A)〜図4(E)に示すように、相関の取れていると
ころでは、11の値を示し、反対に相関の取れていない
ところでは、1または−1の値となる。この信号を多重
した場合、図4(A)〜図4(E)の各相関出力波形の
合成として図4(F)に示される出力波形が得られる。
本来、11の値になるはずのものが、7から15まで変
化している。
【0038】この値を用いて、利得制御をかけた場合、
7−11=−4または15−11=4が最大誤差とな
る。その結果、制御がこの相関値を基準としていること
から、最適な設定値からずれた値が制御してしまう欠点
が生じていた。この場合、平均的には、11の相関値を
とるので、平均化に用いる相関スパイクの個数を増やす
ことで、安定化することが可能となる。この場合、多重
数を増やすことで、相関出力の誤差が大きくなってくる
ので、多重数ごとに最適な積分数が決まってくる。
【0039】そこで、本発明の積分数の制御には、 雑音の影響をなくす積分数、 変動速度に追従する積分数、 拡散符号の直交からの誤差を平均する時定数の3つの
トレードオフを考慮して、積分数を決めることを特徴と
する。
【0040】上述した実施形態においては、前記およ
びの2つ条件のトレードオフにより、積分数を決めて
いたが、これをないしの3つの条件のトレードオフ
を考慮することで、直交しない多重システムにおいて
も、よい特性を得ることができるようになる。また、こ
の場合も、時定数は多重数分の切り換え機能を有し、多
重数に比例して短くしていくことで、1重から、2重,
3重…とどの多重数でも最適な受信特性を得ることがで
きるようになる。
【0041】本発明による受信部の次の実施形態を図5
に従って説明する。図5において、アンテナ受信後から
比較器51sまでの受信処理手段の構成および機能は、
図1と同様である。比較器51sの出力は、積分回路5
1fに入力された後、コントロール回路51cを通し
て、スルー/保持切換回路51hに入力される。上記実
施形態では、多重部分から制御方法を変えていた。ま
た、多重により相関値が本来の値から変化する場合に
は、それを考慮して時定数の設定値をコントロールして
いた。
【0042】しかし、実際の通信においては、データを
伝送する場合にパケット化して伝送する場合がある。パ
ケット伝送の場合、1パケットの時間は極めて短く、数
マイクロ秒から数ミリ秒である。そのため、伝播環境が
緩やかにしか変化しない環境では、1パケット中の受信
変動はほとんどない場合がある。そこで、本発明におい
ては、1パケット中において、利得制御回路は、最初の
1多重部分のみで動作し、多重部分では制御を行わない
ことを特徴とする。そのため、利得制御のコントロール
信号をスルー/保持の間で切り換えるスルー/保持切換
回路51hを有し、多重部に切り替わるタイミングの切
り換え信号によって、一重部分の動作で得た利得の制御
信号を保持モードとし、多重部分ではそれを保持してお
くものである。
【0043】上述のように、多重部分から制御方法を変
えることは、連続通信等の通信路が通信中に変化する用
途では性能の向上をはかることができるが、反面で回路
規模の増大や制御方法のアルゴリズムの複雑さにつなが
る。また、多重部分から制御方法を変えない場合には、
前記実施形態のように多重した信号が直交しないことに
よる影響から制御値の誤差となっていた。しかし、パケ
ット通信のように、1パケットの中で、通信路がほとん
ど変化しない用途では、利得制御をいつまでも行う必要
はない。
【0044】そこで、本発明においては、多重部分の影
響が出ない1重部分のみで、最適な利得制御値を求め、
それを1パケットの期間中使うことを特徴とする。この
場合、多重部分から制御値を保持するだけであるので、
回路規模も大きくならず、利得制御部分の簡易化をする
ことができるようになる。その結果、低コスト化,低消
費電力化がはかれるようになる。
【0045】また、図6は、スルー/保持切換回路を用
いる他の実施形態を示すもので、同図に示すように、ス
ルー/保持切換回路51h′をコントロール回路51c
と積分回路51fの間に挿入したものである。また、こ
の場合、積分値がデジタル値で、ここに保持する値もデ
ジタル値であるから、保持が容易となる。
【0046】本発明による受信部の次の実施形態を説明
する。前述の実施形態においては、1重部分/多重部分
の切り換え部分から制御値を保持したが、本実施形態に
おいては、この制御値として多重数に応じた比例定数を
乗じた値を制御値として用いることを特徴とする。上記
した従来技術において説明したように、最適なA/D入
力振幅が存在するにもかかわらず、多重数によって入力
振幅が変化する。上記した実施形態においては、1重部
分のみで利得制御の値を決めてしまうので、その制御値
は、1重部分での最適値となったまま保持される。これ
に対して本実施形態においては、多重数毎に1重部分の
保持値に比例定数を乗じて設定値とするスルー/設定値
切換回路を入れることを特徴とし、図7にその例が示さ
れる。図5および図6のスルー/保持値切換回路51
h,51h′の代わりにスルー/設定値切換回路51
h″があり、外部からは多重数の情報を含む切り換え信
号が入っている。多重部分の最適なA/Dコンバータ5
3入力値は、あらかじめ知ることができるので、1重部
分の利得制御値に対して、比例定数を乗ずることで、各
多重数毎に最適な設定値とすることができるようにな
る。なお、この時、可変利得増幅器51の制御電圧対増
幅率の特性により、この比例定数は変わってくる。この
ように制御することで、パケット通信で用いる上記実施
形態に対して、多重部分における特性の向上をはかるこ
とができるようになる。
【0047】
【発明の効果】請求項1に対応する効果:受信後、ベー
スバンド信号に変換し得たスペクトル拡散受信信号をA
/D変換する時の入力振幅レベルを相関値を積分する積
分手段をループ内に有する利得調整用制御ループにより
定レベルに保つ場合に、送信信号の多重化状態に応じ、
適切な制御動作が可能となり、受信性能の向上が図られ
る。
【0048】請求項2,3に対応する効果:請求項1に
対応する効果に加えて、送信信号の多重化状態に応じ、
多重部分の積分時間、或いは、雑音の影響をなくす積分
の時定数を変化させ、時定数と変動速度に追従すること
の二つの条件のトレードオフの最適点を、新たな点に設
定することで、受信性能を上げることができる。また、
この時定数は多重数分の切り換え機能を有し、多重数に
比例して短くしていくことで、1重から、2重,3重…
とどの多重数でも最適な受信特性を得ることができる。
【0049】請求項4ないし6に対応する効果:請求項
1ないし3に対応する効果に加えて、デジタル操作をす
る積分手段を用い、積分演算に用いる相関出力値のサン
プリング速度を変化させることにより、多重化状態の変
動に対し最適制御を行うことが可能となり、このための
回路として同等の機能を奏する回路に比べて回路構成を
簡単化することができる。また、デジタルフィルタの動
作クロックを復調クロックとすることで、時定数を変更
することと等価の効果が得られ、新たな回路を要するこ
となく受信性能の向上を図ることができる。
【0050】請求項7,8に対応する効果:請求項1な
いし6に対応する効果に加えて、デジタル動作において
多重化状態により積分値を得るための演算回数を変え、
例えば、多重数に11チップのバーカー符号を用いたよ
うな直交していない拡散符号の場合には、積分演算回数
の制御を、雑音の影響をなくす積分演算回数、変動
速度に追従する積分演算回数、拡散符号の直交からの
誤差を平均する時定数の3つのトレードオフに応じて、
積分演算回数を決めることで、直交しない多重システム
においても、よい特性を得ることができる。また、この
場合も、時定数は、多重数分の切り換え機能を有し、多
重数に比例して短くしていくことで、1重から、2重,
3重…とどの多重数でも最適な受信特性を得ることがで
きる。
【0051】請求項9に対応する効果:請求項1ないし
8に対応する効果に加えて、送信信号がパケット伝送に
よる場合で、伝播環境が緩やかにしか変化しない環境で
は、多重部分の影響が出ない1重部分のみで、最適な利
得制御値を求め、それを1パケットの期間中使うこと
で、回路規模も小さく、利得調整制御回路部分を簡易化
することができ、低コスト化,低消費電力化が図れる。
また、一重部分で得た制御値に多重数に応じた比例定数
を乗じることで、各多重数毎に最適な設定値とすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による受信部の一実施形態を示す回路ブ
ロック図である。
【図2】本発明による受信部の他の実施形態を示す回路
ブロック図である。
【図3】本発明による受信部の他の実施形態を示す回路
ブロック図である。
【図4】多重した場合の相関出力波形を説明する図で、
同図中、図4(A)〜図4(E)は各符号、図4(F)
は多重化波形を示す。
【図5】本発明による受信部の他の実施形態を示す回路
ブロック図である。
【図6】本発明による受信部の他の実施形態を示す回路
ブロック図である。
【図7】本発明による受信部の他の実施形態を示す回路
ブロック図である。
【図8】遅延多重方式によるシステムを示した従来例の
送信部の回路ブロック図である。
【図9】受信部における従来例の利得調整用制御ループ
の構成を示した回路ブロック図である。
【図10】1重部分と多重部分の相関値出力をモデル化
して示す図である。
【符号の説明】
50…IF周波数変換部、51…利得制御増幅器、51
c…コントロール回路、51f…積分回路、51f′…
積分回路、51f″…デジタル積分回路(フィルタ)、
51h…スルー/保持切換回路、51h′…スルー/保
持切換回路、51h″…スルー/設定値切換回路、51
s…比較器、51s′…比較器、52…周波数変換部、
53…A/D変換部、54…コリレータ、55′…相関
同期回路、56…データクロック発生部、101…デー
タ発生部、103…差動符号化部、105…S/P変換
部、107…PN発生器、109…ローカル信号発生
器、111〜117…乗算器、119〜125…変調
器、127〜133…遅延素子、135…合波器、13
7…周波数変換部、139…電力増幅部、141…送信
アンテナ、150…IF周波数変換部、151…利得制
御増幅器、151c…コントロール回路、151f…積
分回路、151s…比較器、152…周波数変換部、1
53…A/D変換部(コンバータ)、154…デジタル
相関器(コリレータ)、155…相関同期回路、D1〜
D4…遅延信号、I1〜I4…中間周波数信号(IF信
号)、M1〜M4…拡散信号、P1〜P4…パラレル信
号。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−298491(JP,A) 特開 平4−299608(JP,A) 特開 平7−336271(JP,A) 特開 平5−136739(JP,A) 特開 平8−307287(JP,A) 特開 平8−335926(JP,A) 特開 平7−95127(JP,A) 特開 平7−307723(JP,A) 特開 平10−93531(JP,A) 特開 平10−164014(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 1/06 H04J 13/00 - 13/06 H04B 1/69 - 1/713

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 拡散符号で直接拡散したスペクトル拡散
    信号を、任意のチップ数ずつ遅延させ多重した多重部分
    と1重部分とを持つ信号フォーマットに従った送信信号
    を受信し処理する受信処理手段を備え、 受信処理手段は、利得調整用制御ループと、さらに該
    利得調整用制御ループ内に拡散符号により受信信号との
    相関をとり求めた相関値を積分する積分手段を有するス
    ペクトル拡散通信における受信装置において、 記積分手段を有する前記利得調整用制御ループは、そ
    の動作が前記送信信号の多重化状態に応じて制御される
    ことを特徴としたスペクトル拡散通信における受信装
    置。
  2. 【請求項2】 前記利得調整用制御ループの動作の制御
    が、前記積分手段における積分の時定数を変化させるこ
    とにより行われることを特徴とする請求項1記載のスペ
    クトル拡散通信における受信装置。
  3. 【請求項3】 前記多重化状態を多重数とし、 該多重数に応じて前記積分手段における積分の時定数を
    変化させることを特徴とする請求項2記載のスペクトル
    拡散通信における受信装置。
  4. 【請求項4】 前記積分手段は、デジタル動作を行うも
    のとし、 前記利得調整用制御ループの動作の制御が、相関値とし
    て積分の演算に用いる出力値をサンプリングするサンプ
    リング速度を変化させることにより行われることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれか1記載のスペクトル
    拡散通信における受信装置。
  5. 【請求項5】 前記サンプリング速度を多重数に応じて
    変化させることを特徴とする請求項4記載のスペクトル
    拡散通信における受信装置。
  6. 【請求項6】 相関値として積分の演算に用いる出力値
    を復調クロックを用いてサンプリングすることにより前
    記サンプリング速度を変化させることを特徴とした請求
    項4記載のスペクトル拡散通信における受信装置。
  7. 【請求項7】 前記積分手段は、前記積分値を得るため
    の演算回数を多重切り換え部分から増加させ、かつ、
    (1重部分の積分値を得るための演算回数)×(多重
    数)より少ない回数とすることを特徴とした請求項4な
    いし6のいずれか1記載のスペクトル拡散通信における
    受信装置。
  8. 【請求項8】 前記積分手段は、前記積分値を得るため
    の演算回数を多重数に比例して増加させることを特徴と
    した請求項4ないし7のいずれか1記載のスペクトル拡
    散通信における受信装置。
  9. 【請求項9】 前記送信信号がパケット通信による場合
    に、 前記利得調整用制御ループの動作は、一重部分の受信信
    号のみで行い、 多重部分の受信信号に対しては、該ループ動作を停止
    し、また、先に一重部分で得られた制御値を保持し、保
    持した該制御値を多重部分に用い、多重部分の受信信号
    に対する前記制御値として、保持した一重部分で得られ
    た前記制御値に対して、多重数に応じた比例乗数を乗じ
    た制御値を用いることを特徴とした請求項1ないし8の
    いずれか1記載のスペクトル拡散通信における受信装
    置。
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