JP3375883B2 - 黄銅製鍛造弁・栓類と弁・栓類の黄銅製鍛造部品 - Google Patents

黄銅製鍛造弁・栓類と弁・栓類の黄銅製鍛造部品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性及び熱間加
工性並びに耐応力腐食割れ性(耐SCC性)に優れた銅
基合金を材料とした黄銅製鍛造弁・栓類と弁・栓類の黄
銅製鍛造部品に関し、詳しくは腐食性水溶液存在下で、
耐脱亜鉛腐食性を必要とする材料であって、その材料が
熱間鍛造等の熱間加工性が要求される弁・栓類の分野に
適し、更に、切削加工用材として利用され、また、カシ
メ等応力付加状態で使用され、しかも、耐脱亜鉛性と共
に耐応力腐食割れ性も要求される弁・栓類の分野に広く
利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】ところで、水等の液体を適用流体とする
弁・栓類は、耐脱亜鉛腐食性や被削性を有する黄銅材が
通常使用されることが多い。耐食性を有する銅基合金素
材として、一般に、鍛造用黄銅棒(JIS C377
1)、快削黄銅棒(JIS C3604)、ネーバル黄
銅棒(JIS C4641)、高力黄銅棒(JIS C
6782)等が知られている。しかし、これらの銅基合
金は、種々の欠点があり、満足するものではないため、
従来より各種の改良銅基合金が提案されている。
【0003】特に、脱亜鉛腐食は、CuとZnのイオン
化傾向の違いから流体中にZnが溶出しやすくなり、時
間の経過とともにZnの含有量が減少することであるか
ら、弁・栓類のように適用流体が水等である場合、この
脱亜鉛腐食の現象を防ぐことが極めて重要である。特
に、弁・栓類の接液部における異種金属の組み合わせで
腐食が発生し、例えば弁等のシート部では、高速流体の
ためエロージョンが発生しやすい。又、埋設型の弁等に
あっては、外部雰囲気に湿気・塩分があるため、特に腐
食が発生しやすい。
【0004】このような状況において、特開平7−20
7387号公報等が提案され、耐脱亜鉛腐食性と熱間加
工性の優れた銅基合金の技術を提案している。同公報の
合金は、特性に優れ広い分野で実施されているが、弁・
栓類に応用した場合、その合金の実施経過とともに次の
ような課題点が発生しているため、これらの改善の開発
が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】弁・栓類を腐食液雰囲
気にて脱亜鉛腐食試験を実施したところ弁等のシート部
や作動ネジ部等において局部腐食を生ずる場合があり、
また、弁・栓類等は切削加工材としての特性を要求され
たり、また、カシメ等の応力付加状態で使用した場合、
この弁・栓類又はこれらの部品に応力腐食割れを生ずる
こともあった。
【0006】そこで、本発明は上記の課題点に鑑み、鋭
意研究の結果開発に至ったものであって、その目的とす
るところは、腐食液雰囲気中で優れた耐脱亜鉛腐食性を
有し、熱間加工性、切削性と耐応力腐食割れ性に優れた
性質を有する銅基合金を材料とした弁・栓類とその部品
並びにこれらの製造加工方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の発明を達成するた
め、請求項1における発明は、Cu58.0〜63.0%、Pb
0.5〜4.5%、P0.05〜0.25%、Sn2.11〜2.98%、Ni
0.05〜0.30%を含有し、残部がZnと不可避不純物から
なる組成(以上重量%)を有し、PとSnの組成比をP
(%)×10=(2.81〜3.98)%−Snとなるように、P及び
Snを配合して添加した銅基合金である黄銅製鍛造弁・
類とした。
【0008】請求項2における発明は、請求項1の含有
成分に、Ti0.02〜0.15%含有させた黄銅製鍛造弁・栓
類とした。
【0009】また、請求項3における発明は、押出工程
を制御して金属組織を調整し、結晶粒径を20μm以下と
することにより、機械的性質、耐食性及び熱間加工性に
優れた性質を有する銅基合金で製造加工した請求項1又
は2に記載の黄銅製鍛造弁・栓類とした。
【0010】請求項4における発明は、請求項1乃至3
の何れかにおいて、ボデー,ジスク,ステムの部品から
成るバタフライバルブである黄銅製鍛造弁・栓類と
た。
【0011】請求項5における発明は、請求項1乃至
の何れかにおいて、ボデー,ボンネット,ジスク,ステ
ムの部品から成るゲートバルブである黄銅製鍛造弁・栓
類とした。
【0012】また、請求項6における発明は、請求項1
乃至の何れかにおいて、ボデー,ボンネット,弁体,
弁座,ステムの部から成るグロ−ブバルブである黄銅
製鍛造弁・栓類とした。
【0013】請求項7における発明は、請求項1乃至
の何れかにおいて、ニードルバルブ,プラグバルブ,フ
ードバルブ,ダイヤフラムバルブ,べローズバルブ,コ
ントロールバルブ,空気弁,空気抜き弁,冷温水弁,低
温弁,減圧弁,高温弁,安全弁,定流量弁,バランサー
バルブ,放出弁,遮断弁,ファンコイル用バルブ,ガス
用バルブの何れか一つに用いた黄銅製鍛造弁・栓類と
た。
【0014】請求項8における発明は、請求項1乃至
の何れかにおいて、水栓,分岐栓,給水栓,止水栓,給
排水コック,ガス栓,排水栓,混合水栓の何れか一つに
用いた黄銅製鍛造弁・栓類とした。
【0015】請求項9における発明は、請求項1乃至
の何れかにおいて、管継手,T字継手,チーズ管,エル
ボ管,ヘッダー,給水・給湯配管システムの部品,トラ
ップ,上中下水用部品,ウォーターハンマ防止器,太陽
熱温水器,農業用機器製品の何れか一つに用いた黄銅製
鍛造弁・栓類とした。
【0016】請求項10における発明は、請求項1乃至
の何れかにおいて、工業用フィルタ,ストレーナ,濾
過器,気化器,浄水器の何れか一つに用いた黄銅製鍛造
弁・栓類とした。
【0017】請求項11における発明は、Cu58.0〜6
3.0%、Pb0.5〜4.5%、P0.05〜0.25%、Sn2.11〜
2.98%、Ni0.05〜0.30%を含有し、残部がZnと不可
避不純物からなる組成(以上重量%)を有し、PとSn
の組成比をP(%)×10=(2.81〜3.98)%−Snとなるよ
うに、P及びSnを配合して添加した銅基合金である
・栓類の黄銅製鍛造部品とした。
【0018】請求項12における発明は、請求項13の
含有成分に、Ti0.02〜0.15%含有させた弁・栓類の黄
銅製鍛造部品とした。
【0019】請求項13における発明は、押出工程を制
御して金属組織を調整し、結晶粒径を20μm以下とする
ことにより、機械的性質、耐食性及び熱間加工性に優れ
た性質を有する銅基合金で製造加工した請求項11又は
12に記載の弁・栓類の黄銅製鍛造部品とした。
【0020】請求項14における発明は、請求項11乃
至13の何れかにおいて、ボデー,ジスク,ステムの各
部品の一つである弁・栓類の黄銅製鍛造部品とした。
【0021】請求項15における発明は、請求項11乃
至13の何れかにおいて、ボデー,ボンネット,ジス
ク,ステムの各部品の一つである弁・栓類の黄銅製鍛造
部品とした。
【0022】請求項16における発明は、請求項11乃
至13の何れかにおいて、ボデー,ボンネット,弁体,
弁座,ステムの各部品の一つである弁・栓類の黄銅製鍛
造部品とした。
【0023】請求項17における発明は、請求項11乃
至13の何れかにおいて、ボールバルブ用の中空ボール
である弁・栓類の黄銅製鍛造部品とした。
【0024】請求項18における発明は、請求項11乃
至13の何れかにおいて、アクチュエータを搭載したボ
ールバルブやバタフライバルブのステムに用いた弁・栓
類の黄銅製鍛造部品とした。
【0025】請求項19における発明は、請求項11乃
至13の何れかにおいて、ニードルバルブ,プラグバル
ブ,フードバルブ,ダイヤフラムバルブ,べローズバル
ブ,コントロールバルブ,空気弁,空気抜き弁,冷温水
弁,低温弁,減圧弁,高温弁,安全弁,定流量弁,バラ
ンサーバルブ,放出弁,遮断弁,ファンコイル用バル
ブ,ガス用バルブの部品の一つに用いた弁・栓類の黄銅
製鍛造部品とした。
【0026】請求項20における発明は、請求項11乃
至13の何れかにおいて、水栓,分岐栓,給水栓,止水
栓,給排水コック,ガス栓,排水栓,混合水栓その他の
栓類の部品の一つに用いた弁・栓類の黄銅製鍛造部品と
した。
【0027】請求項21における発明は、請求項11乃
至13の何れかにおいて、管継手,T字継手,チーズ
管,エルボ管,ヘッダー,給水・給湯配管システムの部
品,トラップ,上中下水用部品,ウォーターハンマ防止
器,太陽熱温水器,農業用機器製品の部品の一つに用い
た弁・栓類の黄銅製鍛造部品とした。
【0028】請求項22における発明は、請求項11乃
至13の何れかにおいて、工業用フィルタ,ストレー
ナ,濾過器,気化器,浄水器の部品の一つに用いた弁・
栓類の黄銅製鍛造部品とした。
【0029】ここで、本発明における銅基合金の組成範
囲とその理由について説明をする。 Cu:Cu量を増加させると耐脱亜鉛腐食性は高まる
が、CuはZnよりも材料単価が高価であり、原材料コ
ストを低く抑えること、及び本発明の主用途である熱間
鍛造性も良好であることを考慮して、Cuの組成範囲を
58.0〜63.0%とした。中でも、60.0〜61.5%の範囲が好
ましい結果を得た。
【0030】Pb:Pbは鍛造製品の切削加工性を向上
させるために添加する。0.5%以下では十分な切削加工
性が得られない。また、あまりに多く添加すると、引張
り強さ、伸び、衝撃値等が低下するので、Pb組成範囲
を0.5〜4.5%とした。中でも、1.7〜2.4%の範囲が好ま
しい結果を得た。
【0031】P:Pは、耐脱亜鉛腐食性を向上させるた
めに添加した。図10に示す通り、添加量を増加する
程、耐脱亜鉛腐食性は向上する。しかし、Pが多く含ま
れると銅との化合物Cu3Pが結晶粒界へ析出してく
る。この化合物は堅くて、脆く、熱間加工時に溶融する
こと等により押出しや熱間鍛造時に熱間割れを生じやす
い。本発明合金の主用途である耐脱亜鉛腐食性も満足す
るPの組成範囲を0.05〜0.25%とした。中でも、熱間鍛
造性に悪影響を及ぼさない成分範囲として、0.07〜0.10
%の範囲が好ましい結果を得た。
【0032】Sn:Snは、耐脱亜鉛腐食性を向上させ
るために添加した。図11において、Sn(%)と腐食の
関連グラフを示す。特にPを同時に加えることにより、
より効果的である。図12にPとSnを同時に加えた時
の腐食の変化グラフを示す。Snは材料単価がZnより
も高価であり、原材料コストを考えると低く抑える方が
良い。更に、耐脱亜鉛腐食に有効な成分Cu及びPとの
相乗効果を考慮して最も良好な耐脱亜鉛腐食性を示すS
nの範囲を0.5〜3.0%とした。そして、請求項の発明
におけるPとSnの割合が、P(%)×10=(2.81〜3.98)
(%)−Sn(%)の式に従う時に耐脱亜鉛腐食性が特に優
れていることを確認した。また、Snの成分範囲は、1.
0〜2.5%が好ましい結果を得た。Pと兼ね合いで、Pが
多くなると熱間鍛造性が悪くなること、Snが過剰にな
るとγ相の析出が多くなってくること等を考慮して、特
に、P(%)×10=(2.81〜3.2)(%)−Sn(%)の場合が
好ましい。
【0033】Ni:Niは、添加することにより直接脱
亜鉛腐食性に効果がある。また、一方で鋳塊状態での組
織を微細化し、α+β組織の均一細分化が可能であり、
その後の押出、鍛造等の加工によっても均一に細かい組
織を得ることが出来、これによって更に耐脱亜鉛腐食を
防止する効果がある。そこで、Niの組成範囲を0.05〜
0.30%とした。中でも、0.05〜0.10%の範囲が好ましい
結果を得た。
【0034】Ti:Niとの相乗効果でβ相の均一細分
化の効果を助長させるため添加した。そのTi組成範囲
を0.02〜0.15%とした。
【0035】不可避不純物成分:Feなどの製造上、不
可避な不純物成分は合計で0.8%以下にすることが好ま
しい。特に、Feは0.3%以下が好ましい。なお、この
範囲は公知のJIS規格範囲で通常の一般黄銅材を製造
している限り、特別な製法をとることなく管理可能であ
る。
【0036】次に、請求項6及び請求項7における成分
範囲で、成分調整された銅基合金の製法について説明す
る。この場合、この成分調整により、原材料価格が安価
なPを用いたので、耐脱亜鉛腐食性を有する銅基合金を
低いコストで製造できる。このPは微量な添加量で耐脱
亜鉛腐食性に効果があり、同様の効果のあるSnの添加
量を減らすことが可能となった。
【0037】この製造法は、まず鋳造工程において請求
項6及び請求項7の成分範囲で、しかも、成分調整され
た銅基合金を鋳造し、鋳塊を造る。次いで、製棒工程で
その鋳塊ビレットを、例えば、加熱温度700℃にて押出
し、抽伸することにより棒材を製造する。次に、鍛造工
程ではその棒材を用いて、650〜800℃の加熱温度による
熱間鍛造をすることによって製品を成型する。更に、こ
れを450〜600℃の温度域で、1〜5時間保持後空冷の熱
処理を実施し、その合金組織の調整及び内部応力の除去
を十分に行なうことによって、耐脱亜鉛腐食性に優れた
銅基合金材を製造する。
【0038】また、他の製造方法として、請求項6及び
請求項7の成分範囲で成分調整された銅基合金の鋳塊ビ
レットを、例えば、加熱温度700℃にて熱間押出して棒
材又はコイル材を造り、加熱温度475〜600℃にて1〜5
時間保持後空冷の熱処理を実施する。次に、コイル材を
10〜25%の減面率にて、しぼり、抽伸加工をすることに
より、塑性加工を加えた後、加熱温度250〜400℃、1〜
5時間保持後空冷の焼鈍処理を行なう。これにより機械
的性質等の材質調整(引張強さ400N/mm2以上、伸び25%
以上、硬さHv100以上)がなされると共に内部応力が十
分に取り除かれる。以上の様な製造法により、耐脱亜鉛
腐食性に優れ、更に高強度で耐応力腐食割れ性に優れた
銅基合金が得られた。図13に焼鈍時の保持時間に対す
る脱亜鉛深さの変化実験グラフを示す。
【0039】更に、請求項6及び請求項7の成分範囲
で、かつ、成分調整された銅基合金鋳塊を出来るだけ低
い加熱温度で押出すことによって棒材の組織の結晶粒を
小さくすることにより熱間加工性を向上させることがで
きる。図14に押出温度と結晶粒径との関係のグラフ、
図15に結晶粒径と鍛造性との関連グラフをそれぞれ示
す。
【0040】これらの結果によると、押出工程等の加工
処理にてビレット加熱温度を680℃以下に下げて押出す
ことにより棒材のα、β等の組織の結晶粒径は均一細分
化され、このことによって熱間加工性とりわけ熱間鍛造
性に優れた合金材料を得られることが確認された。この
場合、結晶粒径は、約20μm以下で熱間鍛造性は良くな
るが、試験の結果から15μm以下が特に良好であること
が確認された。
【0041】
【実施例】本発明における銅基合金を適用した実施例並
びに比較例と共に、黄銅製鍛造弁・栓等とこれらの部品
並びにこれらの製造加工方法についての実施例を詳述す
る。各サンプルの耐脱亜鉛腐食試験及び熱間鍛造性試験
結果を図16に示す。各試験サンプルは前記した公知の
製造法により製造したものであり、まず連続鋳造法によ
って造られたφ250mmの鋳塊ビレットを熱間押出機を用
いて押出温度700℃でφ25の棒材を造る。次いで、断面
減少率12.5%の抽伸加工を行なった。
【0042】鍛造性試験:上記棒材を用いて工業用バル
ブ部品の鍛造成型性試験を行なった。鍛造温度700℃で
熱間鍛造を行ない、外観形状、表層の割れ、しわの状況
確認を行なった。確認方法として、10倍率実体顕微鏡
を用いた。なお、成型性の比較については公知のJIS
C3771(サンプルNo.1)材を用いた鍛造品の
成型状態を基準として、同等のものを○印、劣るものを
×印として示した。
【0043】脱亜鉛腐食性試験:上記の鍛造後のバルブ
部品サンプルを550℃×5.0Hr空冷の条件で熱処理を実
施し、鍛造組織の調整と内部応力除去を行なった。脱亜
鉛腐食性試験はISO式脱亜鉛試験に基づいて実施し
た。その方法は試験片表面をエメリーペーパー1000番で
仕上げ、エタノールで洗浄した後、75±3℃の1%塩化
第2銅水溶液中にその量が、サンプル表面積当り、2.5m
l/mm2以上になる様にして浸漬し、24時間保持した。浸
漬試験後のサンプルの表面よりの脱亜鉛深さを測定し
た。脱亜鉛腐食性の評価方法はその深さが75μm以下を
◎印、75〜200μmを○印、200μm以上を×印として示し
た。
【0044】上記した図16の試験結果の内容を説明す
る。サンプルNo.1は、Cuが低く、P、Snを殆ど
含んでいないため耐脱亜鉛性が劣る。No.2〜No.4
は、Pも0.09〜0.10%含んでおり、耐脱亜鉛腐食性は良
好であるが、Cuが高く鍛造性は良くない。No.5
は、Snを含有していないため耐脱亜鉛腐食性は劣る。
No.6はPを含有していないために耐脱亜鉛腐食性は
劣る。No.7〜No.12は、P及びSnを含有し、P
(%)×10+Sn(%)の式より算出すると2.81〜3.98とな
り、耐脱亜鉛腐食性は良好である。No.7〜No.10
は、鍛造性も良好であるが、No.11、No.12はP
が高いために熱間鍛造割れを生じた。No.13〜No.
15は、Cuは低いので、鍛造性は良いが、Snが低い
ので耐脱亜鉛腐食性は良くない。
【0045】以上のことから、耐脱亜鉛腐食性及び熱間
鍛造性のいずれも良好なのは、No.7〜No.10でP
(%)×10+Sn(%)=2.81〜3.98である。ただし、Sn
が高いと、組織にγ相が多く析出するおそれがあるた
め、No.10はSn(2.98%)とした。従って、No.7
〜No.10が良好でP(%)×10+Sn(%)=2.81〜3.9
8である。特に、P(%)=0.07〜0.10の場合、P(%)×1
0+Sn(%)=2.8〜3.2が好ましいことが確認された。
【0046】図20(図16のサンプルNo.1)は、
公知の鍛造用黄銅棒(JIS C3771)を用いて熱
間鍛造したサンプルをISO−6509式の脱亜鉛腐食試験
を実施した時の腐食部の写真の複写である。これによる
と約1000μm〜1400μmの深さの脱亜鉛腐食層が確認され
た。快削黄銅棒(JIS C3604)についての同様
試験結果を図13に示す。これも図12の場合と同様10
00μm〜1400μmの脱亜鉛腐食層が確認された。
【0047】図18(図16中のNo.7サンプル)と
図19(図7中のNo.8サンプル)は、本発明におけ
る鍛造用黄銅棒を用いて熱間鍛造・熱処理を実施して造
ったサンプルをISO−6509式脱亜鉛腐食性試験法に
て、腐食試験を行なった結果の写真の複写である。これ
によると腐食は殆どみられず、耐腐食性良好判定深さ75
μmを大きく下回っており、本発明合金が優れた耐脱亜
鉛腐食性の効果を発揮する銅基合金材料であることを示
した。
【0048】図22は、本発明の図16中のサンプルN
o.7(P0.10%)の銅基合金を加熱温度720℃にてバルブ
部品を鍛造したサンプルである。外観は目視及び10倍
率の実体顕微鏡を用いて表層のヒビ割れ等不具合の有無
の検査を行なった。その結果、割れ、その他欠陥も認め
ず、良好であった。
【0049】図23は、図16中の比較例No.12(P
0.18%)のサンプル材を鍛造温度720℃でバルブ部品を鍛
造したサンプルである。表層にヒビ割れを生じている。
これは、Pが高すぎたためであり、P(%)が0.18%では
熱間加工性が悪くなることを示している。
【0050】次に、本発明における合金が耐応力腐食割
れ性に優れていることを確認する試験例並びに実施例を
説明する。図26〜図28に示すように、本発明の銅基
合金材を快削材として製造する場合、通常工程は鋳造ビ
レットを熱間押出しの後、棒材の形状・サイズ等によっ
て「焼鈍→出荷」と「焼鈍→抽伸加工→出荷」の場合が
ある。更に、図28に示すように、本発明の「焼鈍→抽
伸加工→焼鈍→出荷」等がある。これら3種類の工程の
異なる製法によって造った棒材に対して応力割れ試験、
その他の試験を行った。図17にそれぞれのサンプルと
工程の種類を示す。
【0051】以下に、このサンプルの製造方法について
述べる。試験では前記図16におけるNo.7と同成分
鋳造ビレットを利用し、例えば、φ250鋳造ビレットを
熱間押出しにてサンプル(イ)であるφ16の直棒材及びφ
18.2のコイル材サンプル(ロ)(ハ)をそれぞれ造った。図
17中のサンプル(イ)は、熱間押出後のφ16の棒を用い
て、550℃×3.0Hr空冷の熱処理を実施した。サンプル
(ロ)は、図27の工程に従い、熱間押出後のコイル材で
550℃×3.0Hr空冷の熱処理実施後、抽伸加工により、
φ16の棒を造り、定寸法への加工と塑性加工を加えた。
更に、図17中のサンプル(ハ)は、図28の工程に従
い、熱間押出後のコイル材を550℃×3.0Hr空冷の熱処
理実施後、次いで、抽伸加工により、定寸法への加工と
塑性加工を行った。更に、350℃×3.0Hr空冷の熱処理
を加えた。ここで、サンプル(ロ)、(ハ)の断面減少率
は、22.7%である。そして、3種の工程で造られたサン
プルの応力腐食割れ試験及び機械的性質の測定を行なっ
た。その試験結果及びその評価を図17に示す。
【0052】応力腐食割れ試験:棒材のままの応力腐食
割れ試験はJIS H3250の時期割れ試験に従って
実施した。即ち各工程の異なる種類のサンプルの棒材を
80mm切取り、脱脂乾燥した後、14%アンモニア水を入れ
たデシケータに入れ、このアンモニア雰囲気中に常温で
2時間保持した。試験完了のサンプルを10%硫酸液にて
洗浄し、更に水洗し十分乾燥して表面の割れ確認を行っ
た。付加圧時の応力腐食割れ試験は図25の様な試験具
を作り、サンプルをセットした後、上記と同様の14%ア
ンモニア水の入ったデシケータに入れて、2時間保持し
た。この後、上記の棒材の場合と同様に洗浄してサンプ
ル表面の割れ確認を行った。割れの確認が出来たものを
×印、確認が出来なかったものを○印とした。
【0053】次に、本発明における銅基合金について、
図17で機械的性質及び応力腐食割れ試験の結果及び評
価について説明する。
【0054】サンプル(イ)は、押出し棒材のままでは応
力腐食割れは生じていないが、付加圧状態の試験では割
れを生じている。これは材料強度が低く付加圧に耐えら
れず、微小な塑性変形を生じて、その微小変形部に内部
応力が残留して割れに到ったものと推定される。
【0055】サンプル(ロ)は棒材の場合、付加圧時の試
験のいずれも割れを生じた。これは抽伸加工によって大
きな内部エネルギーが残留しているためである。硬度も
高く、靱性も少なく、付加圧時に更に内部応力が加わっ
たために大きな内部応力が残留し、割れを生じたもので
ある。
【0056】次に、サンプル(ハ)は棒材試験、付加圧試
験いずれにおいても割れは生じなかった。このサンプル
は抽伸加工によって塑性加工を受け材料強度を増し、次
いで歪取り焼鈍により、内部応力を取り除くことにより
内部応力のない強度の高い材料となり、外部よりの付加
応力による破壊に対する限界値の高い材料になってい
る。従って、付加圧時の応力にも耐えることが出来て、
割れは生じなかったものである。これによりサンプル
(ハ)と同工程で処理するとき、耐脱亜鉛腐食性に優れ、
更に耐応力腐食割れ性にも優れていることが確認され
た。これらの結果を図24(a)における写真の複写にお
いて、アンモニア水14%2Hrの応力腐食割れ試験の結
果で示す。
【0057】以上のことから、請求項11における銅基
合金は押出→熱処理(475〜660℃、1.0〜5.0Hrの空
冷)→抽伸加工(減面率10〜30%)→熱処理(250〜400
℃、1.0〜3.0Hrの空冷又は炉冷)のプロセスで製造す
る時、耐脱亜鉛腐食性、及び耐応力腐食割れ性にも優れ
た銅基合金を得ることができ、以下に説明する鍛造弁・
栓やこれらの部品に適用することが可能で、その効果は
大である。
【0058】また、上記した本発明における銅基合金を
弁や栓類に適用する試験結果について説明する。表1
は、本発明の引張試験結果を示したもので、20℃〜200
℃の温度域で試験を実施し、許容応力を求めたものであ
る。
【表1】
【表2】
【0059】表2は、本発明とBC6(青銅品),C3
771(黄銅品)を対比したもので、これによると、同
一温度域において、C3771と比較すると、本発明は
26%アップの許容応力を示し、BC6と比較すると、本
発明品は156%アップの許容応力を示した。
【0060】即ち、温度−圧力レーティングにおいて、
請求項1乃至11に記載の材料で弁・弁部品を用いて成
形する際に、この弁を構成する部品の肉厚及び部品径を
BC6(青銅鋳物)に対して略1/2.6とし、C3771
(銅合金)に対して略1/1.3の材料強度の割合で成形で
きるようにした。
【0061】また、温度−圧力レーティングにおいて、
請求項1乃至11に記載の材料で弁・弁部品を用いて成
形する際に、この弁を構成する部品の肉厚及び部品径を
BC6及びC3771と略同一とした場合、BC6の略
2.6倍で、C3771の略1.3倍の材料強度の割合で許容
圧力を有する弁を製造できるようにした。
【0062】従って、本発明は、一般の青銅品及び黄銅
品と比較して同一の許容応力を充足する場合は弁・栓類
並びにこれらの部品の肉厚を著しく薄くすることが可能
となり、従来品に比してコストの低減化に寄与すること
ができる。
【0063】また、表4は、本発明における銅基合金の
機械的性質を示すもので、黄銅の約2倍、青銅の約3
倍、ステンレスと同等の強度を有するもので、弁・栓類
の圧力容器に用いると、従前の耐力を有する部品をより
薄肉で成形することが可能となり、ひいてはコストダウ
ンになる。
【表4】
【0064】表5〜表6は、本発明における銅基合金の
耐食性を示したものである。特に、本発明における耐脱
亜鉛腐食性は、一般の黄銅の約5〜10倍であり、表6に
は最大脱亜鉛腐食深さの測定結果を示す(日本伸銅協会
技術標準、JBMA、T−303)。
【表5】
【表6】
【0065】表7は、応力腐食割れ(限界応力)の試験
結果を示したもので、本発明は、一般の黄銅の約5倍以
上を示した。この試験条件は、14%NH3水溶液上の
アンモニア雰囲気中24時間で割れない限界応力を示し
た。
【表7】
【0066】表8は、流速の影響によるエロージョン・
コロージョン性について試験した結果である(止水性能
試験)。図1に示すグローブバルブ1を連結通水させて
500時間経過毎のシート部2の止水性能試験(止水に要
する最小トルク値の計測)により耐エロージョン・コロ
ージョン性を示した。この試験条件は、止水を用い,水
温60℃,平均流速40m/sec,連続通水時間200Hであ
る。これによると、本発明の弁・栓類は、一般の黄銅の
弁・栓類の2倍以上、青銅と同等の耐エロージョン・コ
ロージョン性を示した。
【表8】
【0067】表9及び表10は、本発明における銅基合
金の加工性(鍛造性)を示したもので、表7は、据え込
み率を示し、表10は引張試験を示したものである。
【表9】
【表10】
【0068】従って、本発明における銅基合金は、一般
の黄銅と同等以上の鍛造性を示し、600℃前後の低温域
で特に鍛造性に優れている。
【0069】表11及び表12は、本発明における銅基
合金の切削性、被削性などの加工性能を示したものであ
る。
【表11】
【表12】
【0070】これによると、本発明は、切削抵抗や表面
粗さ及び切屑の形状から一般の黄銅材や青銅材と同等以
上の切削性を示した。また、本発明は、一般の切削用ス
テンレスより2倍強の切削性を示した。
【0071】表13は、弁(バルブ)の作動トルクとア
クチュエータの出力トルクの関係を示したものであり、
これによるとアクチュエータの出力トルクは、流体や環
境条件により、バルブのそれよりも大きなトルクを要求
される。
【表13】
【0072】従って、図6に示すように、小型のボール
バルブ3に電動アクチュエータ4を搭載した場合、小型
化のため、ステム5の径の大きさに限界があるが、本発
明の銅基合金をこの種のステム5に応用すると、径の小
さいステム5を径の大きい出力軸4aに連結して装着す
ることが可能となる。
【0073】特に、小口径の通常のボールバルブのステ
ムであると、上述トルクの大小からステムがねじれる問
題が生じる。しかし、本発明のステムは、機械的強度が
高く、同じ径のステム5であっても余裕があり、例え
ば、流体の粘性アップによってもアクチュエータのみを
変更して対応可能であるため、外部駆動力によって弁の
開閉を行うものにはとりわけ有効である。
【0074】次に、上記のように製造加工した黄銅製銅
基合金を弁・栓類に応用した場合を具体的に説明する。
図1は、グローブバルブ1を示したものであり、このバ
ルブは、シート部2の接触面積が小さく、高速流体によ
るエロージョンが問題となる。
【0075】しかし、この種のバルブ1の部品(ボンネ
ット1a,ステム1c,シート部2,ジスク1b,ボデ
ー1d,ハンドル1e,増締ナット1f)に本発明の材
料を用いることによって、上記の課題を一挙に解消でき
るばかりでなく、コスト的に極めて有利である。
【0076】図2は、逆止弁6を示したもので、この種
の弁は、質の悪い液体(例えば井戸水ポンプ)の逆止部
(シート部)6aに用いると、シート部6aにエロージ
ョンが生じるおそれがあるが、本発明材料を用いること
によってこれらの問題を解決できた。逆止6に応用す
る適用部品は、ボデー6b,キャップ6c,弁体6dで
ある。なお、逆止部6aがゴム製のものであっても金属
製のものであっても本発明材料を用いることができる。
【0077】図3、図7は、ボールバルブ7を示したも
のであり、このバルブ7に、本発明材料を用いる場合、
ボデー7a,キャップ7b,ステム7c,ボール7dに
応用できる。特に、ボール7dの流通路7eをエッジ形
状7fとし、中間開度での流量調整を行うものにあって
は、エロージョンが発生しやすいが、この部品を本発明
材料で製造加工すると、この問題を解消できる。
【0078】更に、図3に示すように、本発明をボール
7dを内筒と球面形状に加工した外筒より成る中空ボー
ルに用いると、機械強度が高く、薄肉化が可能である。
【0079】また、本発明材料の熱間鍛造可能な温度レ
ンジは600℃〜750℃と広く、従って、複数の段階で熱間
鍛造する場合、例えば一度、材料を鍛造温度範囲内の上
限に加熱すると、その範囲内で一連に鍛造工程を経るこ
とができ、例えば、図3に示すように、ボールバルブの
中空ボールを製造するとき、本発明の黄銅材を用いて内
筒と外筒を二重筒状に鍛造成形し、その後、外筒をプレ
ス加工で球形にするような複数の鍛造工程を経る場合で
あっても、鍛造工程の処理時間を調整することで、一連
の鍛造工程に要する時間経過で材料が自然冷却されて
も、冷却後の温度が鍛造温度範囲内であれば材料を再加
熱する必要が無く、短時間でしかも安価に製造できる。
【0080】図4は、バタフライバルブ8が示したもの
であり、本発明材料をボデー8a,ステム8b,ジスク
8cに用いると、エロージョン、コロージョンの発生を
確実に防ぐことができ、しかもコスト低減化にも役立
つ。
【0081】図5は、ゲートバルブ9を示したものであ
る。この種のバルブ9は、ネジ部の多いステム9aの部
分に脱亜鉛が発生しやすいが、本発明材料を使用する
と、脱亜鉛を低減でき、電食も防止できると共に、埋設
型のバルブ9にも有効である。その他、適用する部品
は、ボデー9b,ボンネット9c,ジスク9d,ハンド
ル9eである。
【0082】図8は、定流量弁10を示したもので、本
発明材料をこの弁10のボデー10a,流入口板10
b,軸10c,部品10dに用いることによって、エロ
ージョンが発生する事態を確実に防止できる。
【0083】図9は、ニードル弁11を示したものであ
り、この種の弁11は、シート部11aにおける流速が
速くエロージョンが大きな問題であるが、本発明材料を
用いることによって、一挙に解消できる。このニードル
弁11の部品は、その他ボデー11b,ステム11c,
ナット11d,ハンドル11eである。
【0084】なお、その他、本発明の銅基合金を材料と
して好適な部材・部品は、給湯器や温水洗浄便座等の取
付金具、給水管、接続管及び管継手、冷媒管、電気温水
器部品(ケーシング、ガスノズル、ポンプ部品、バーナ
など)、水道メータ用部品、上中下水道用部品、便器用
接続フランジ、スピンドル、ホースニップル、水栓付属
金具、給排水配水栓用品、衛生陶器金具、シャワー用ホ
ースの接続金具、ガス器具、ドアやノブ等の建材、家電
製品その他の部材・部品、トイレ用品、台所用品、浴室
品、洗面所用品、家具部品、居間用品、スプリンクラー
用部品、ドア部品、門部品、自動販売機部品、洗濯機部
品、空調機部品、ガス溶接機用部品、熱交換器用部品、
太陽熱温水器部品、金型及びその部品、ベアリング、歯
車、建設機械用部品、鉄道車両用部品、輸送機器用部
品、素材、中間品、最終製品及び組立体にも適用でき
る。
【0085】
【発明の効果】以上の通り、Pb入り黄銅本来の熱間鍛
造性を有し、優れた脱亜鉛腐食性を持ち、熱間加工用の
銅基合金であり、耐腐食性向上のために、Pを利用する
ことにより原材料コストをより安価にすることで経済性
にも富む。また適切な抽伸加工及び熱処理を加えること
により耐応力腐食割れ性にも優れた効果があり、従っ
て、本発明によって、耐脱亜鉛腐食性、耐応力腐食割れ
性及び熱間加工性に優れた効果を発揮し、経済性にも富
む銅基合金を提供することが可能となった。
【0086】また、黄銅の持つ優れた加工性は保持した
まま、耐食性・強度を大幅に向上させた結果、一般に青
銅や耐脱亜鉛黄銅を使用していた弁栓類に、比較的安価
な黄銅ベースの合金が量産効果の大きい熱間鍛造製造法
で使用可能になり、品質向上と大幅なコストダウンを可
能とした弁・栓類とこれらの部品を提供することができ
る。
【0087】また、本発明における銅基合金は、上記し
たように耐食性、熱間加工性、耐応力腐食割れ性に優れ
たものであり、強度の点についても優れているため、例
えば、バルブ、水栓及びこれらの部品に用いると、圧力
容器として所定の耐圧性能が要求される場合、従来品に
比較して肉厚を薄くすることが可能となり、また、被削
性が良いので、切削等の被削時間が短縮でき、かつ、熱
間加工性が高いので、工程時間を短縮することができる
ため、従来に比して作業性が極めて良好となる等その効
果は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明材料を用いたグローブバルブの断面図で
ある。
【図2】本発明材料を用いた逆止弁の断面図である。
【図3】本発明材料を用いたボールバルブの断面図であ
る。
【図4】本発明材料を用いたバタフライバルブの断面図
である。
【図5】本発明材料を用いたゲートバルブの断面図であ
る。
【図6】本発明材料を用いた電動アクチュータ付ボール
バルブの断面図である。
【図7】本発明材料を用いたボールバルブの断面図であ
る。
【図8】本発明材料を用いた定流量弁の断面図である。
【図9】本発明材料を用いたニードルバルブの断面図で
ある。
【図10】Pの含有量と脱亜鉛腐食速さとの関係を示す
グラフである。
【図11】Snの含有量と脱亜鉛腐食速さとの関係を示
すグラフである。
【図12】P及びSnの含有量と脱亜鉛腐食速さとの関
係を示すグラフである。
【図13】焼鈍(焼鈍温度500℃)時の保持時間に対す
る脱亜鉛深さを示すグラフである。
【図14】押出温度と結晶粒径との関係を示すグラフで
ある。
【図15】鍛造性試験結果を示す表である。
【図16】耐脱亜鉛腐食性試験及び熱間鍛造性試験の結
果を示す表である。
【図17】応力腐食割れ試験及び機械的性質の測定をし
た結果を示す表である。
【図18】本発明材(第7図中のNo.7サンプル)に
対し、ISO式脱亜鉛腐食試験を実施したサンプルのミ
クロ組織写真の複写である。
【図19】本発明材(第7図中のNo.8サンプル)に
対し、ISO式脱亜鉛腐食試験を実施したサンプルのミ
クロ組織写真の複写である。
【図20】従来の鍛造用黄銅棒材JIS C3771を
用いて鍛造したバルブ部品に際し、ISO式脱亜鉛腐食
試験を実施したサンプルのミクロ組織写真の複写であ
る。
【図21】従来の快削黄銅棒材JIS 3604を用い
て加工した部品に対し、ISO式脱亜鉛腐食試験を実施
したサンプルのミクロ組織写真の複写である。
【図22】本発明材(第7図中のNo.7サンプル)の
鍛造品(バルブ部品)の外観写真の複写である。
【図23】第7図中のNo.12サンプルの鍛造品(バ
ルブ部品)の表面にヒビ割れが生じている外観写真の複
写である。
【図24】(a)は、本発明材の押出品の応力腐食割れ
試験結果でサンプルは割れなし(押出→550℃×3.0Hr
焼鈍→抽伸→350℃×3.0Hr焼鈍)と割れあり(押出→
550℃×3.0Hr焼鈍→抽伸)の2種類のテストの品の写
真の複写であり、同図(b)はその説明図である。
【図25】不加圧力時の応力腐食割れ試験を行う試験具
を示した説明図である。
【図26】本発明合金のサンプル(イ)の製造工程を示
した説明図である。
【図27】本発明合金のサンプル(ロ)の製造工程を示
した説明図である。
【図28】本発明合金のサンプル(ハ)の製造工程を示
した説明図である。
【符号の説明】
1 グローブバルブ 2 シート部 3、7 ボールバルブ 6 逆止弁 8 バタフライバルブ 9 ゲートバルブ 10 定流量弁 11 ニードルバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−207387(JP,A) 特開 昭59−153854(JP,A) 特開 昭57−85949(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 9/00 - 9/10

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu58.0〜63.0%、Pb0.5〜4.5%、P
    0.05〜0.25%、Sn2.11〜2.98%、Ni0.05〜0.30%を
    含有し、残部がZnと不可避不純物からなる組成(以上
    重量%)を有し、PとSnの組成比をP(%)×10=(2.8
    1〜3.98)%−Snとなるように、P及びSnを配合して
    添加した銅基合金であることを特徴とする黄銅製鍛造弁
    ・栓類。
  2. 【請求項2】 請求項1の含有成分に、Ti0.02〜0.15
    %含有させた黄銅製鍛造弁・栓類。
  3. 【請求項3】 押出工程を制御して金属組織を調整し、
    結晶粒径を20μm以下とすることにより、機械的性質、
    耐食性及び熱間加工性に優れた性質を有する銅基合金で
    製造加工した請求項1又は2に記載の黄銅製鍛造弁・栓
    類。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れかにおいて、ボデ
    ー,ジスク,ステムの部品から成るバタフライバルブで
    ある黄銅製鍛造弁・栓類。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3の何れかにおいて、ボデ
    ー,ボンネット,ジスク,ステムの部品から成るゲート
    バルブである黄銅製鍛造弁・栓類。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至3の何れかにおいて、ボデ
    ー,ボンネット,弁体,弁座,ステムの部品から成るグ
    ロ−ブバルブである黄銅製鍛造弁・栓類。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至3の何れかにおいて、ニー
    ドルバルブ,プラグバルブ,フードバルブ,ダイヤフラ
    ムバルブ,べローズバルブ,コントロールバルブ,空気
    弁,空気抜き弁,冷温水弁,低温弁,減圧弁,高温弁,
    安全弁,定流量弁,バランサーバルブ,放出弁,遮断
    弁,ファンコイル用バルブ,ガス用バルブの何れか一つ
    に用いた黄銅製鍛造弁・栓類。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至3の何れかにおいて、水
    栓,分岐栓,給水栓,止水栓,給排水コック,ガス栓,
    排水栓,混合水栓の何れか一つに用いた黄銅製鍛造弁・
    栓類。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至3の何れかにおいて、管継
    手,T字継手,チーズ管,エルボ管,ヘッダー,給水・
    給湯配管システムの部品,トラップ,上中下水用部品,
    ウォーターハンマ防止器,太陽熱温水器,農業用機器製
    品の何れか一つに用いた黄銅製鍛造弁・栓類。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至3の何れかにおいて、工
    業用フィルタ,ストレーナ,濾過器,気化器,浄水器の
    何れか一つに用いた黄銅製鍛造弁・栓類。
  11. 【請求項11】 Cu58.0〜63.0%、Pb0.5〜4.5%、
    P0.05〜0.25%、Sn2.11〜2.98%、Ni0.05〜0.30%
    を含有し、残部がZnと不可避不純物からなる組成(以
    上重量%)を有し、PとSnの組成比をP(%)×10=
    (2.81〜3.98)%−Snとなるように、P及びSnを配合
    して添加した銅基合金であることを特徴とする弁・栓類
    の黄銅製鍛造部品。
  12. 【請求項12】 請求項11の含有成分に、Ti0.02〜
    0.15%含有させた弁・栓類の黄銅製鍛造部品。
  13. 【請求項13】 押出工程を制御して金属組織を調整
    し、結晶粒径を20μm以下とすることにより、機械的性
    質、耐食性及び熱間加工性に優れた性質を有する銅基合
    金で製造加工した請求項11又は12に記載の弁・栓類
    の黄銅製鍛造部品。
  14. 【請求項14】 請求項11乃至13の何れかにおい
    て、ボデー,ジスク,ステムの各部品の一つである弁・
    栓類の黄銅製鍛造部品。
  15. 【請求項15】 請求項11乃至13の何れかにおい
    て、ボデー,ボンネット,ジスク,ステムの各部品の一
    つである弁・栓類の黄銅製鍛造部品。
  16. 【請求項16】 請求項11乃至13の何れかにおい
    て、ボデー,ボンネット,弁体,弁座,ステムの各部品
    の一つである弁・栓類の黄銅製鍛造部品。
  17. 【請求項17】 請求項11乃至13の何れかにおい
    て、ボールバルブ用の中空ボールである弁・栓類の黄銅
    製鍛造部品。
  18. 【請求項18】 請求項11乃至13の何れかにおい
    て、アクチュエータを搭載したボールバルブやバタフラ
    イバルブのステムに用いた弁・栓類の黄銅製鍛造部品。
  19. 【請求項19】 請求項11乃至13の何れかにおい
    て、ニードルバルブ,プラグバルブ,フードバルブ,ダ
    イヤフラムバルブ,べローズバルブ,コントロールバル
    ブ,空気弁,空気抜き弁,冷温水弁,低温弁,減圧弁,
    高温弁,安全弁,定流量弁,バランサーバルブ,放出
    弁,遮断弁,ファンコイル用バルブ,ガス用バルブの部
    品の一つに用いた弁・栓類の黄銅製鍛造部品。
  20. 【請求項20】 請求項11乃至13の何れかにおい
    て、水栓,分岐栓,給水栓,止水栓,給排水コック,ガ
    ス栓,排水栓,混合水栓その他の栓類の部品の一つに用
    いた弁・栓類の黄銅製鍛造部品。
  21. 【請求項21】 請求項11乃至13の何れかにおい
    て、管継手,T字継手,チーズ管,エルボ管,ヘッダ
    ー,給水・給湯配管システムの部品,トラップ,上中下
    水用部品,ウォーターハンマ防止器,太陽熱温水器,農
    業用機器製品の部品の一つに用いた弁・栓類の黄銅製鍛
    造部品。
  22. 【請求項22】 請求項11乃至13の何れかにおい
    て、工業用フィルタ,ストレーナ,濾過器,気化器,浄
    水器の部品の一つに用いた弁・栓類の黄銅製鍛造部品。
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