JP3360061B2 - 山留め架構の先行板状切ばり - Google Patents

山留め架構の先行板状切ばり

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、山留め架構の先行
板状切ばりに関するものである。
【0002】
【従来の技術】東京、大阪、名古屋などの日本の大都市
は沖積平野に発達し、しかも人工的に造成された海上へ
発展してゆくことで成長をしている。このような所の地
盤は軟弱な粘土、シルト層が50m以上も続いている
が、人間が利用する範囲はせいぜい10〜20mの浅い
所である。このように軟弱層が深くまで続く地盤で掘削
工事を行うと、かなり大掛かりな準備をしてもその周辺
地盤を沈下させたり、時には周辺の構造物なども引きず
り込むヒービング破壊など事故となる危険性が高い。
【0003】このような建設工事での現在の施工技術レ
ベルは次のような問題を含んでおり社会資本の整備が急
がれている中、解決すべき重要問題である。軟弱層が
深い場合には周辺地盤への影響を阻止することが出来な
い。鋼鉄・コンクリートなど限りある化石燃料を大量
に使用して作られるものを大量に消費する。地下水脈
となっている中間砂層なども完全に分断することで環境
への影響も免れない。
【0004】地下を持つ構造物を軟弱地盤上に建設する
場合に採用される掘削工法は、切ばりオープンカット、
逆打ち工法、地盤改良などの補助工法を併用して山留め
架構に発生する応力を低下させる工法などがある。
【0005】山留め架構は基本的には仮設構造物であ
り、できるだけ安全で、しかも費用の安い方法を採用す
ることが施主、施工者双方の要求項目である。根切り山
留め工事で最も危険性の高いものは軟弱層が深くまで続
く地盤での工事で、このような所では前記のごときヒー
ビング破壊といわれる根切り底地盤が盛り上がり、山留
め架構が崩壊する事故が発生しやすい。
【0006】従来、ヒービング防止技術としては根切り
底以深の地盤改良あるいは曲げ剛性の高い山留め壁を使
い、大掛かりな山留め架構を準備することであった。し
かし、大掛かりな山留め架構を準備することは非常に大
きな危険と費用がかかり、しかも、床付け以深の建設に
は直接関係しない地層も巨大な矢板や、地盤により地下
水脈を分断したり、環境への影響は全くないとは言えな
い。
【0007】そこで、発明者は先にPPBM(Pre‐
setting PlateBracing Meth
od of underground constru
ction)工法として、現在採用されている山留め架
構の設計法である仮想支点法の基本的コンセプトを三次
元的に拡張した新しい工法を提案した。
【0008】弾塑性法、仮想支点法など従来設計法では
山留め壁の主応力は鉛直方向のワンウェイで設計される
ことにより、軟弱層が深くまで続く場合には非常に大き
な曲げモーメントが発生し、これに対処するために曲げ
剛性の高い山留め壁が必要となる。また、根切り底の安
定問題であるヒービングに対する安全性に関する検討方
法も種々あるが、一般的には最下段切ばりを回転中心と
して、背面地盤の重量とその土塊が円弧滑りをすると仮
定して、その剪断抵抗を比較して安全性を検討する方式
が採用されている。この検討式も鉛直方向のワンウェイ
で行われている。
【0009】この原因は従来の山留め壁はシートパイ
ル、親杭横矢板、SMW、鋼管列柱等ピアノの鍵盤のよ
うに横方向には構造的な連続性がなく、切ばり支保工も
腹起しを通して水平的に支持されており、地盤層序も基
本的に水平堆積となっていることなどより、鉛直方向ワ
ンウェイで検討されていたものである。
【0010】これに対して、PPBM工法はRC連続壁
やTDR削溝機等の実用化で水平方向にも連続できる施
工機が開発されたことで水平方向を主応力とする施工法
であり、図8に示すように、山留め壁1を横矢板のよう
に最終根切り深さを僅かに超える深さまで根切り工事前
に打設し、それを支える親杭2は例えば柱位置に等間隔
に配置する。
【0011】親杭2の前面には対面する親杭2に達する
ような板状の地盤改良材を配置する。すなわち、山留め
壁(横矢板)1の掘削に先行して、あらかじめ地中に造
成しておく親杭横矢板形式とし、親杭2の前面を山留め
壁1の深さと同じ程度の深さにソイルセメントで先行板
状切ばり3を構築する。
【0012】掘削により山留め壁に発生する土圧は圧縮
剛性の大きな先行板状切ばり3に支持された親杭2に集
中することになる。このような土圧支持機構となると山
留め壁の主応力は従来工法の鉛直ワンウェイから水平方
向のワンウェイヘ変わるはずである。従って、この工法
を採用すると山留め壁の深さは地盤層序には大きな影響
を受けることなく、最終根切り深さに対して必要な深さ
までで良く、発生する曲げモーメントも、親杭2の水平
間隔で、例えば6〜10mと、はっきりと定量化させる
工法である。
【0013】このような構造形式にすることで、側圧支
持機構は図9の構造概念図に示すようになる。すなわ
ち、山留め壁1(横矢板)に発生する主応力は作用する
土圧(仮想支点法の基本仮定によると、掘削により掘り
取られる受働側の地盤が保有する有効静止土圧以内とな
る)を親杭2に伝達することによって、水平方向ワンウ
ェイとなる。(実際には横矢板としては鉛直方向にもつ
ながっていることより僅かに安全側の設計となるはずで
ある)
【0014】また、山留め壁1(横矢板)からの応力は
親杭2に伝達されるが、このときの親杭2の曲げモーメ
ントは同図左下のように、あたかも硬質地盤を掘削した
ときに発生する1/2分割法的な曲げモーメント分布と
なるはずである。すなわち、上部は切ばり4、下部は先
行板状切ばり3の頂部付近の仮想支点で支持されたよう
な連続梁的な分布となるはずである。
【0015】このためPPBM工法は切ばりプレロード
工法と組み合わせることによってヒービング破壊の危険
性の高い軟弱層が深い場合の根切り工事でも、掘削に必
要な深さを僅かに超えるような山留め壁を準備すれば十
分である。このことよりPPBM工法は合理的で経済的
しかも周辺地盤へ沈下などの悪影響は最低限に押える事
の出来る工法となる。
【0016】仮想支点法によると、外力としての土圧
は、掘り取られる受働側地盤が保有する有効静止土圧以
内であることより、軟弱地盤ではk=0.7〜0.
6となり、根切り底の乱れや膨張などを考慮して、実際
の根切り底より1〜2m下に仮想の根切り底を想定し、
そこまでの土圧が作用すると仮定する。
【0017】根切り底以深の支持点としての仮想支点
は、掘削によって移動しない点と仮定していることよ
り、親杭2の前面に予め設置されている先行板状切ばり
3の頂部付近となるはずであるが、僅かに押し込まれる
とすると根切り底よりl〜2m下となる。すなわち、仮
想の根切り底とほとんど同じ位置に仮想支点が現れるこ
とになる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】このように掘削により
ヒービング等が予測されるような軟弱地盤での根切り工
事の場合には、地表より先行板状切ばり3を設置するこ
とにより山留め壁1を三次元的に取り扱い、最終床付け
を僅かに越える程度の深さとすることができる。
【0019】しかし、敷地規模が広い場合には、敷地中
央部分が弾性的に膨れ上がるような盤ぶくれ現象の発生
を逃れることはできない。ちなみに、前記PPBM工法
を採用した場合にはグリットによる立体架構の曲げ剛性
によりヒービング対策工となっているが、グリットの間
隔や、最終的に残される深さ(幅)によってはグリット
自身がヒービングに耐えられず盛り上がってくる。
【0020】また、自然含水比が液性限界を越えるよう
な軟弱な土質性状の場合には塑性流動が発生し、根切り
底地盤は盛り上がってくる。
【0021】一方、構造物の支持方式としては支持杭・
摩擦杭等の杭支持方式によるが、軟弱地盤での地盤沈下
地帯では、支持杭の場合はネガティブフリクションの問
題、摩擦杭の場合には不同沈下の問題が発生する。さら
に、基礎盤にすぐ下にゆるい砂層があるような場合には
地震時の液状化の問題が発生し、構造物が不同沈下する
などの危険性がある。
【0022】これらの現象を押さえるために、根切り底
付近を地盤改良したり、良質土に置き換えたり、振動締
め固め工法を採用して改良したり、山留め壁の曲げ剛性
を上げることで機械的に押さえている。しかし、これら
の現象を完全には押さえることが出来ず、しばしば事故
となっている。また、費用も莫大なものとなる。
【0023】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、少ない材料で、効率的に曲げ剛性を上げることがで
き、工費も低廉なもので、長期に安定して構造物を支持
できる山留め架構の先行板状切ばりを提供することにあ
る。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、山留め壁を横矢板のように最終根切り深さを
僅かに超える深さまで根切り工事前に打設し、それを支
える親杭を適宜間隔に配置し、親杭の前面には対面する
親杭に達するように配置する板状の地盤改良材による先
行板状切ばりにおいて、この先行板状切ばりは、隣接親
杭相互間での間隔で交差を行う格子体になり、かつ、対
面する親杭間での中央部は周辺部に比較して中央部に向
かいの格子体(グリット)毎に段階的に順次深く達する
ようにし、また、補強鉄筋を植え、本設基礎盤との一体
化を図ることを要旨とするものである。
【0025】請求項1記載の本発明によれば、格子体
(グリット)の形状を敷地中央部分の周辺に比較して深
くすることで、曲げ剛性を持たせることができ、しか
も、この格子体(グリット)を本設の板状の摩擦杭のよ
うに使用することで地中応力分布を深いところに合理的
に発生させることができる。
【0026】地盤反力分布は粘性土の場合には中央部に
集中し、砂質土の場合には周囲に集中する。また、格子
体(グリット)内の粘性土中に発生する間隙水は逸散す
る流路が閉じ込められていることにより、圧密現象が発
生しにくくなっている。このため、地中応力分布は先行
板状切ばりの先端部を中心とする深い位置に作用するの
で、敷地中央部分を周辺に比較して深くすることが効果
的である。
【0027】これに加えて、先行板状切ばりをそのまま
板状の摩擦杭として利用することで、構造物支持用の材
料を特に用意することなく、長期的に安定して構造物を
支持できる。
【0028】さらに、本設基礎盤との一体化を図ること
で、先行板状切ばりをより摩擦杭のように使用すること
の効果を上げることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図1は本発明の山留め架構の
先行板状切ばりの1実施形態を示す斜視図、図2は同上
縦断側面図で、山留め架構としては、山留め壁1を横矢
板のように最終根切り深さを僅かに超える深さまで根切
り工事前に打設し、それを支える親杭2は適宜間隔、例
えば柱位置に等間隔に配置する。
【0030】親杭2の前面には対面する親杭2に達する
ような板状の地盤改良材を配置する。すなわち、山留め
壁(横矢板)1を掘削に先行して、あらかじめ地中に造
成しておく親杭横矢板形式とし、親杭2の前面にソイル
セメントで先行板状切ばり3を構築する。
【0031】この先行板状切ばり3は、削溝機として
は、RC連続壁を造成するKCC−BW機、OWS−ソ
レタンシュ機などやTDR掘削機(KOBELCO社)
やパワートレンチャー(日立建機−利根社製)などのチ
ェーンソウのような等厚で連続的に溝掘りが出来るチェ
ーンソウ型削溝機を使用し、掘削とともに削溝機先端部
より削溝内にセメントミルクを注入しながらセメントミ
ルクと土砂とを混練して、所定の深さまで削溝した後、
水平方向に移動を続けながら掘溝機を掘り進めることで
ソイルセメント壁を造成する。
【0032】このような板状の地盤改良材による先行板
状切ばり3を親杭2の前面に対面する親杭2に達するよ
うに施工する。また、先行板状切ばり3は隣接する親杭
2の相互間での間隔で交差を行う格子体(グリット)に
なり、親杭2の近傍は山留め壁(横矢板)1と同じ程度
の深さでよいが、親杭2間での中央部は周辺部に比較し
て深く達するようにした。
【0033】前記、先行板状切ばり3は対面する親杭2
間での中央部に向かい段階的に深く達するようにした。
この段階的に深くなるのは、格子体(グリット)毎に順
次深くするものとした。
【0034】一例として、全面的に地下l階を持つ大型
の配送センターのように排土重量より僅かに重い程度の
構造物で、面積は盤ぶくれやヒービングの発生が予想さ
れる広さ、例えば100m×100m程度の広さを持つ
地下1階地上2階程度の構造物を軟弱層がG.L.−5
0mと深く迄続く地盤に建設するケースをモデルとし
た。
【0035】従来工法では掘削時のヒービングを防止す
る為にG.L.−50mにある硬質層に先端を付けた大
規模山留めを準備し、G.L.−5mの床付け付近をセ
メント系攪拌工法により地盤改良するなどとしていた。
【0036】これをPPBM工法を用いることで図1に
示すような自立山留めとすることができる。
【0037】施工手順を図4に示すが、先行板状切ばり
3は先に述べたように敷地周辺は深さ10m、中央部は
18mと段々深くなるように配置する。山留め壁1は連
続壁により10mの深さで先行板状切ばり3と同じとな
る。掘削は最終深さであるG.L.−6mまでオープン
カットで行い床付け面は施工の乱れを修復するために図
6、図7のように割り栗石8を並べる。
【0038】図4に示すように掘削により、中央部分の
弾性的な膨れ上がりはある程度免れることが出来ない
が、本発明では先行板状切ばり3の立体グリッドにより
構造的に防止されている。図5に示すように、地中応力
分布は先行板状切ばり3の先端部を中心とする深い位置
に作用する。
【0039】このように、掘削時の膨れ上がりが小さい
ことにより構造物の建設に当たっての荷重増に対する沈
下量も少なくなり、クラックなどの無い高品質の構造物
を建設することが出来る。
【0040】また、図3に示すように本設躯体5を構築
する場合にはこの先行板状切ばり3を摩擦杭として利用
するが、ソイルセメントであることより30Kg/cm
程度の強度しか期待できない。しかし、先行板状切ば
り3の幅を1mとすると断面の合計は敷地面積のl/3
程度はあることより破壊強度でl0Kg/cm程度と
なり、安全率を5とすると20t/mの支持力を期待
できそうである。これはRC建築物を考えるとl0階建
てに相当する。すなわち目安として地下1階地上10階
程度の構造物は支持できると考えられる。
【0041】しかも、地盤反力の中心が摩擦杭の場合に
は杭長の1/3深さ地点となるが、本発明採用の場合に
はグリッド内の粘性土の圧密が発生しないことより、ほ
ぼグリッドの先端位置に近い深い位置となる。このた
め、本発明採用の基礎桁造は支持機構として優れ、絶対
沈下量も杭支持の場合より小さく架構全体としての安定
性も増すことになる。
【0042】さらに、杭支持構造物と違い水平力を受け
た場合に立体的なグリッド全体で受けることより、その
圧縮強度は小さいが、全体としての曲げ剛性は杭基礎よ
りはるかに大きくなる。
【0043】このため、本設躯体5の本設基礎盤6との
取り合いについては判断力は周囲の連続壁の山留め壁1
が負担し、先行板状切ばり3は鉛直支持力と過剰間隙水
の流路を遮断するためのみに利用されることになる。
【0044】それゆえ、図6に示すように補強鉄筋7を
植えて、また、周辺地盤を台形状にカットして、この本
設基礎盤6を施工すれば、先行板状切ばり3と本設基礎
盤6との一体化を図ることができ、摩擦杭としての利用
度を高めることができる。
【0045】
【発明の効果】以上述べたように本発明の山留め架構の
先行板状切ばりは、少ない材料で、効率的に曲げ剛性を
上げることができ、工費も低廉なもので、長期に安定し
て構造物を支持でき、掘削時の膨れ上がりが小さいこと
により構造物の建設に当たっての荷重増に対する沈下量
も少なくなり、クラックなどの無い高品質の構造物を建
設することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の山留め架構の先行板状切ばりの1実施
形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の山留め架構の先行板状切ばりの1実施
形態を示す縦断側面図である。
【図3】本発明の山留め架構の先行板状切ばりの1実施
形態を示す構造物施工後の縦断側面図である。
【図4】本発明の山留め架構の先行板状切ばりの1実施
形態を示す施工手順での説明図である。
【図5】本発明の山留め架構の先行板状切ばりの作用を
示す説明図である。
【図6】先行板状切ばりと本設基礎盤との取り合いを示
す斜視図である。
【図7】先行板状切ばりと本設基礎盤との取り合いを示
す縦断側面図である。
【図8】PPBM工法の概念を示す斜視図である。
【図9】PPBM工法の構造概念を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…山留め壁 2…親杭 3…先行板状切ばり 4…切ばり 5…本設躯体 6…本設基礎盤 7…補強鉄筋 8…割り栗石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−209982(JP,A) 特開 平9−151409(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 17/04 E02D 5/18 102 E02D 3/12 102

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 山留め壁を横矢板のように最終根切り深
    さを僅かに超える深さまで根切り工事前に打設し、それ
    を支える親杭を適宜間隔に配置し、親杭の前面には対面
    する親杭に達するように配置する板状の地盤改良材によ
    る先行板状切ばりにおいて、この先行板状切ばりは、隣
    接親杭相互間での間隔で交差を行う格子体になり、か
    つ、対面する親杭間での中央部は周辺部に比較して中央
    部に向かいの格子体(グリット)毎に段階的に順次深く
    達するようにし、また、補強鉄筋を植え、本設基礎盤と
    の一体化を図ることを特徴とする山留め架構の先行板状
    切ばり。
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