JP3355811B2 - 磁歪特性に優れた無方向性珪素鋼板 - Google Patents

磁歪特性に優れた無方向性珪素鋼板

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JP3355811B2 JP24853594A JP24853594A JP3355811B2 JP 3355811 B2 JP3355811 B2 JP 3355811B2 JP 24853594 A JP24853594 A JP 24853594A JP 24853594 A JP24853594 A JP 24853594A JP 3355811 B2 JP3355811 B2 JP 3355811B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、磁歪特性に優れた無
方向性珪素鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】モータやトランスの鉄心材料として広く
用いられている電磁鋼板には、通常、珪素が添加されて
いる。このように珪素が添加される理由としては、珪素
添加により電気抵抗が向上すること、磁気異方性が低下
すること、添加元素として安価であること、治金学的に
も安定した相を形成すること等が挙げられる。従来、高
珪素鋼板を製造する方法として、圧延法(例えば、特公
昭60−32705号)、浸珪法(例えば、特公平3−
80846号)等が工業技術として確立されている。ま
た、Siを約6.5wt%含有する珪素鋼板は磁歪が非
常に小さく、最大透磁率等の磁気特性も非常に優れてい
ることが知られており、低騒音(低磁歪)のトランス用
鉄心材料としての用途が注目されている。
【0003】ところで、Siが3wt%以上含まれる高
珪素鋼板の磁場中熱処理の効果については従来からよく
知られており、以下のような具体的提案もなされてい
る。GoertzはSiを3〜11wt%含む鉄合金をリング
状に鋳込み、10Oe(800A/m)の磁界中で70
0℃から冷却することにより透磁率の改善を図ってい
る。(j. Appl. Phys., 22,(7),964,(1951)) 特開昭57−79120号では、超急冷凝固法により得
られた薄鋼帯を高温で熱処理することで{100}〈O
kl〉或いは{100}〈001〉を発達させ、特定の
温度域を磁界中で熱処理することにより、磁界中焼鈍時
の冷却速度を500℃/分以上に速めても長手方向の軟
磁気特性を向上させることができる方法を提案してい
る。
【0004】特開昭62−56527号では、100〜
200エルステッドの磁界を鋼板打ち抜き後に印加し、
鋼板中の析出物の状態をコントロールすることにより磁
気特性を向上させることを提案している。特開昭62−
227079号および特開昭63−26326号におい
ては、浸珪法における磁界中冷却方法を提案している。
これらは連続ラインにおいて磁界を印加する方法および
複数回磁界を印加する方法を開示しており、これらの方
法により経済的に軟磁性材料が得られることを述べてい
る。特開平1−309922号では、方向性珪素鋼板に
金属粉を含む被膜を塗布した後、磁界中で冷却すること
により、これら金属粉の析出物を析出させ、磁気特性を
向上させる方法を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
磁場中熱処理法は磁気特性を向上させることはできるも
のの、低騒音のトランス用鉄心として必要な特性である
低磁歪の珪素鋼板は得ることができない。また、浸珪法
で製造された無方向性高珪素鋼板の場合には、Si含有
量が鋼帯内部、特に板厚方向等でバラツキを生じること
があり、このようなSi量のバラツキを生じた場合に
は、磁気特性や鉄損、磁歪のコントロールが困難にな
り、製品の歩留りが悪くなる。
【0006】本発明はこのような従来の問題に鑑みなさ
れたもので、従来の珪素鋼板と同じSi含有量さらには
同じ組織でありながらより優れた磁歪特性が得られ、ト
ランスにした時の騒音が小さく、またSi含有量に板厚
方向等でバラツキを生じている場合でも、優れた磁歪特
性および鉄損特性を安定して得ることができる無方向性
珪素鋼板を提供しようとするものである。ここで、無方
向性珪素鋼板とは鋼板の集合組織に特別な配向がないも
のを指す。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、珪素鋼
板、特に圧延法または浸珪法により製造される無方向性
珪素鋼板について低磁歪を得るための条件について検討
を行い、その結果、種々の条件で磁場中熱処理された無
方向性珪素鋼板の中に、特に優れた低磁歪特性を有する
ものが存在することを見い出し、かかる珪素鋼板の磁区
構造を究明し、本発明を完成させたものである。すなわ
ち、本発明の無方向性珪素鋼板の構成は以下の通りであ
る。
【0008】(1) 圧延法または圧延鋼板を素材とす
る浸珪法により製造される無方向性珪素鋼板であって、
Si:1〜10wt%、C≦0.01wt%、Mn≦
0.5wt%、P≦0.01wt%、S≦0.01wt
%、Sol.Al≦0.2wt%、N≦0.01wt
%、O≦0.02wt%、残部Fe及び不可避不純物か
らなり、消磁状態における、鋼板表面に現れる磁区のう
ち磁化の方向が圧延方向と平行かまたは圧延方向とのな
す角度が20°以内である磁区の占める面積率が15%
以上であることを特徴とする磁歪特性に優れた無方向性
珪素鋼板。 (2) 圧延法または圧延鋼板を素材とする浸珪法によ
り製造される無方向性珪素鋼板であって、Si:4〜8
wt%、C≦0.01wt%、Mn≦0.5wt%、P
≦0.01wt%、S≦0.01wt%、Sol.Al
≦0.2wt%、N≦0.01wt%、O≦0.02w
t%、残部Fe及び不可避不純物からなり、消磁状態に
おける、鋼板表面に現れる磁区のうち磁化の方向が圧延
方向と平行かまたは圧延方向とのなす角度が20°以内
である磁区の占める面積率が15%以上であることを特
徴とする磁歪特性に優れた無方向性珪素鋼板。
【0009】(3) 圧延法または圧延鋼板を素材とす
る浸珪法により製造される無方向性珪素鋼板であって、
Si+Sol.Al:1〜10wt%、C≦0.01w
t%、Mn≦0.5wt%、P≦0.01wt%、S≦
0.01wt%、N≦0.01wt%、O≦0.02w
t%、残部Fe及び不可避不純物からなり、消磁状態に
おける、鋼板表面に現れる磁区のうち磁化の方向が圧延
方向と平行かまたは圧延方向とのなす角度が20°以内
である磁区の占める面積率が15%以上であることを特
徴とする磁歪特性に優れた無方向性珪素鋼板。 (4) 圧延法または圧延鋼板を素材とする浸珪法によ
り製造される無方向性珪素鋼板であって、Si+So
l.Al:4〜8wt%、C≦0.01wt%、Mn≦
0.5wt%、P≦0.01wt%、S≦0.01wt
%、N≦0.01wt%、O≦0.02wt%、残部F
e及び不可避不純物からなり、消磁状態における、鋼板
表面に現れる磁区のうち磁化の方向が圧延方向と平行か
または圧延方向とのなす角度が20°以内である磁区の
占める面積率が15%以上であることを特徴とする磁歪
特性に優れた無方向性珪素鋼板。
【0010】
【0011】また、以上の(1)〜(4)の無方向性珪
素鋼板においてより好ましくは、鋼板表面に現われる磁
区のうち磁化の方向が圧延方向と平行かまたは圧延方向
とのなす角度が20°以内である磁区の占める面積率を
30%以上とする。
【0012】
【作用】珪素鋼板において任意の1つの磁区を把えた場
合、その磁区の部分は外部磁場の印加の有無に拘りな
く、磁歪の影響で変形(伸縮)している。一方、磁歪に
よる鋼板のマクロ的な変形は、鋼板内部の各磁区の磁化
の方向がランダムである場合と各磁区の磁化の方向が揃
っている場合とで違ってくる。これを図1に基づいて説
明する。図1(a)は外部磁場が印加されていない初期
状態であり、この状態ではミクロ的に見ると鋼板の各磁
区の部分は磁歪の影響で磁化の方向に変形しているが、
マクロ的に見ると上記の局所的なランダムな変形が互い
に打ち消されているため、変形していないように見え
る。図1(a)において、この初期状態の1辺の長さを
lとする。
【0013】一方、図1(b)は外部磁場が印加された
状態であり、この状態ではミクロ的に見て鋼板の各磁区
の磁化の方向は外部磁場の方向と平行となり、各磁区の
部分は磁化(//磁場)の方向に変形している。したが
って、鋼板をマクロに見ても磁歪の影響で磁化(//磁
場)の方向に変形しており、磁場印加前の長さlであっ
たものがl+dΔlに変化している。したがって、磁歪
λはλ=Δl/lで定義される。なお、このΔlはSi
≦6.5wt%のときは正の値を取り、Si>6.5w
t%のときは負の値を取る。
【0014】図1の(a)では、初期状態の各磁区の磁
化の方向(磁区構造)がランダムで、全体としては消磁
状態となっていた。もし、初期状態の磁区構造が特別な
もので消磁状態となっているとどうなるかを図2の例に
基づいて説明する。まず、図2の[I]は外部磁場が印
加されていない初期状態を示しているが、この磁区構造
では、図1の(a)の場合とは違って磁化の方向がx方
向を向いた磁区の比率が大きいため、マクロ的に見ても
磁歪の影響でx方向に伸び、y方向は磁歪の逆効果で縮
んでいる。この初期状態のマクロ的な寸法を仮にl×l
とする。
【0015】上記[1]の状態からy方向に外部磁場を
印加した場合を[F1]に示す。この[F1]の状態で
は各磁区の磁化の方向は全てy方向となるため、磁歪の
影響でy方向に伸び、x方向はポアソン比にしたがって
縮んでいる。そして、このy方向で外部磁場を印加した
場合には、上記[1]の初期状態での磁区構造が特別な
構造(磁化の方向がx方向を向いた磁区の比率が大きい
磁区構造)であるため伸びが大きくなり、したがって磁
歪は大きい。一方、上記[1]の状態からx方向に外部
磁場を印加した場合を[F2]に示す。この状態[F
2]では、上記[1]の初期状態から磁化の方向が変化
する磁区の比率が小さいため、磁歪の影響でx方向には
伸びるものの、その程度は上記〔F1〕の場合に較べて
はるかに小さく、したがって磁歪は小さい。以上の説明
から、初期状態での磁区構造と外部磁場の印加方向によ
ってマクロ的な磁歪が異ることが判る。
【0016】そこで本発明では、磁場中熱処理(磁場中
冷却)を利用することによって、初期状態の磁区構造を
図2の[I]の状態で且つx方向が圧延方向となるよう
にするものである。これを図3に基づき説明すると、ま
ず、通常の無方向性珪素鋼板の磁場中熱処理前の消磁状
態での磁区構造は同図(a)に示すようにランダムであ
るが、このような鋼板に圧延方向で磁場を印加する磁場
中熱処理を施すと、同図(b)に示すように圧延方向に
磁歪が働き、この結果、同図(c)に示すように磁場中
熱処理後の消磁状態においても、マクロ的にみて圧延方
向に磁歪が効いて変形した状態になる。これが本発明が
狙いとする無方向性珪素鋼板である。このため、同図
(d)に示すように製品として磁場を印加されても、図
2の[I]→[F2]の場合について説明したように変
形が小さく、つまり、低磁歪とすることができる。
【0017】ここで、図1〜図3では磁区を二次元的に
説明したが、実際の磁区は三次元的な方向を取り得る。
したがって、本来ならば三次元的磁区構造を測定しては
じめて磁区構造と磁歪との関係を明らかにすることがで
きるが、三次元的な磁区構造を測定することは不可能で
ある。そこで本発明では、二次元的磁区すなわち鋼板表
面の磁区を観察することによって、磁区構造と磁歪特性
やトランスの騒音特性等との関係を調べた。具体的に
は、下記の〜の手順により各特性の測定と磁区の観
察を行なった。
【0018】 珪素鋼板を磁場中熱処理する。 磁場中熱処理したサンプルから鉄損、トランス騒
音、磁歪の各測定用サンプルを採取し、各特性を測定す
る。 測定したサンプルから、磁場中熱処理時の磁場印加
方向(圧延方向)が分かるように磁区観察用サンプルを
採取する。 上記の磁区観察用サンプルを電解研磨し、磁区を
観察・測定する(測定例:図4の写真を撮影し、図5に
示す手法により面積率を決定する)。
【0019】以上のような測定によって、無方向性珪素
鋼板は消磁状態の鋼板表面に現れる磁区のうち磁化の方
向が圧延方向と平行かまたは圧延方向とのなす角度が2
0°以内である磁区の面積率が15%以上の時に優れた
磁歪特性が得られ、特に、その面積率が30%以上の時
により優れた特性が得られることが明らかとなった。ま
た、これらの磁区の面積率は磁場中熱処理条件によって
コントロールできることも明らかとなった。なお、磁化
の方向と圧延方向とのなす角度が20°以内の磁区につ
いて面積率を規定した理由は、上記角度が大きくなると
磁区の面積率と磁歪特性との相関関係が薄れてしまうた
めである。
【0020】通常、強磁性体の試料に現れる磁区の磁化
の方向は、以下のような要素によって決まってくる。 1)結晶磁気異方性:鉄の場合、結晶構造は体心立方格
子(bcc)である。その結晶格子は立方体であり、立
方体の一つの辺の方向(100)と磁化の方向が平行と
なるとき安定である。 2)形状磁気異方性:強磁性体の消磁状態での磁化の方
向は試料の形状に依存する。例えば、試料が針のような
形状をしている場合には、磁極は針の両端にしか現れな
い。これは、磁性体表面から漏れる磁力線をできる限り
小さくした方が、静磁エネルギー的に安定であることに
よる。その他、試料に弾性的な応力がかかっている場合
には、磁歪によって歪んだ方向に応じて磁化の方向が決
まることがある。
【0021】通常の珪素鋼板における磁化の方向は、三
次元的には結晶磁気異方性によって各々結晶の〈10
0〉方向と平行になる。ある一つの結晶粒を考えた場
合、その結晶格子の3軸のうち板厚方向とのなす角度が
小さい軸の方向に磁区が向くと、形状磁気異方性のため
に静磁エネルギーが増し、エネルギー的に不安定となる
ため、通常は板表面とのなす角度が小さい軸の方向に磁
区が向く。しかし、本発明の磁区制御された鋼板では、
上記のような法則によって磁区構造が決定されるのでは
なく、結晶格子の3軸のうち磁場中熱処理の磁場印加方
向とのなす角度が一番小さい軸の方向に向くように磁区
構造が決定されるようである。これは、磁場中熱処理に
よって何らかの異方性が付与されるためであると考えら
れ、磁場中熱処理によるエネルギーの大きさは、表面に
磁極が発生しにくいという形状磁気異方性のエネルギー
よりも強いものであることが推測できる。
【0022】次に、本発明の珪素鋼板の成分組成につい
て説明する。本発明が対象とする珪素鋼板はSiを1〜
10wt%含有する珪素鋼板であり、このような珪素鋼
板の磁区構造の制御を行うことで磁歪特性、鉄損特性が
向上する。Si量が1wt%未満では磁区構造の制御に
よる効果が十分発揮されず、一方、Siが10wt%を
超えると飽和磁束密度が著しく減少するため、電磁鋼板
としては適さない。特に、Si:4〜8wt%の場合に
磁区制御による磁歪特性、鉄損特性の向上が著しい。
【0023】また、Siの一部をAlと置換した鋼板で
も磁区構造の制御により優れた磁歪特性及び鉄損特性が
得られる。SiとAlは電磁鋼板の磁気特性に及ぼす作
用効果が類似しており、Siの一部をAlで置換した場
合、不規則性のために磁壁の滑らかな移動が妨げられる
ことにより若干の磁気特性の劣化はあるものの、磁区制
御の効果により上記珪素鋼板とほぼ同等の磁気特性が得
られる。すなわち、Si+Sol.Alが1〜10wt
%の場合に磁区制御により磁歪特性、鉄損特性が向上
し、特に、Si+Sol.Al:4〜8wt%の場合に
それら特性の向上が著しい。
【0024】また、鋼中の不純物元素は磁壁の滑らかな
移動を妨げるために磁歪特性及び鉄損特性を劣化させる
傾向があるが、本発明の磁区制御による磁歪特性等の改
善効果は、不純物元素の含有レベルに拘りなく得られ、
したがって、不純物元素の含有レベルに応じた改善され
た磁気特性が得られる。
【0025】以下、本発明鋼板好ましい成分組成につい
て説明する。Cは軟磁気特性に有害な元素であり、ま
た、Cが0.01wt%を超えると経時的に軟磁気特性
が劣化する、所謂時効劣化現象が生じる。このためCは
0.01wt%以下とする。MnはSと結合してMnS
となり、スラブ段階での熱間加工性を改善する働きがあ
る。但し、Mnが0.5wt%を超えると飽和磁束密度
の減少が大きくなるため適当ではない。このためMnは
0.5wt%以下とする。なお、Mnは無添加(0wt
%)の場合を含む。
【0026】Pは軟磁気特性を劣化させる元素であり、
その含有量はできるだけ低いほうが好ましい。経済性お
よびPが0.01wt%以下であれば実質的にその悪影
響は無視できるほど小さくなることから、Pは0.01
wt%以下とする。なお、Pは無添加(0wt%)の場
合を含む。Sは熱間圧延時の脆性を増大させる元素であ
るとともに、軟磁気特性を劣化させるため、その含有量
はできるだけ低いほうが好ましい。経済性およびSが
0.01wt%以下であれば実質的にその悪影響は無視
できることから、Sは0.01wt%以下とする。な
お、Sは無添加(0wt%)の場合を含む。
【0027】Alは脱酸により鋼を清浄化する作用を有
するとともに、電気抵抗を高め磁気特性に影響を及ぼ
す。Siを1〜10wt%添加する鋼では、Siにより
磁気特性の改善を図り、Alは鋼の脱酸作用のみを果た
せばよいことから、Sol.Alは0.2wt%以下と
する。なお、Sol.Alは無添加(0wt%)の場合
を含む。一方、Siの一部をSol.Alで置換する場
合には、上述したようにSi+Alを1〜10wt%、
好ましくは4〜8wt%とする。
【0028】Nは軟磁気特性を劣化させる元素であり、
時効による磁気特性の経時変化も引き起こすため、その
含有量はできるだけ低いほうが好ましい。経済性および
Nが0.01wt%以下であれば実質的にその悪影響は
無視できることから、Nは0.01wt%以下とする。
なお、Nは無添加(0wt%)の場合を含む。Oは軟磁
気特性を劣化させる元素であり、その含有量はできるだ
け低いほうが好ましい。経済性およびOが0.02wt
%以下であれば実質的にその悪影響は無視できることか
ら、Oは0.02wt%以下とする。なお、Oは無添加
(0wt%)の場合を含む。
【0029】以上の成分以外に、鋼中の不可避不純物と
して、Cr、Ni、Cu、Sn、Mo等が含まれる場合
があり、これらがそれぞれ0.05wt%程度を限度に
含まれても本発明の効果は損なわれない。なお、これら
の元素は無添加(0wt%)の場合を含む。本発明の無
方向性珪素鋼板は圧延法、浸珪法のいずれの方法で製造
されるものでもよい。また、本発明の鋼板は板厚が0.
5mm以下、平均結晶粒径が20μm以上2.0mm以
下のものが特に好ましい。板厚が0.5mmを超えると
鋼板の渦電流損失が極めて大きくなる。また、平均結晶
粒径が20μm未満ではヒステリシス損失が大きくなり
実用に適さなくなる。一方、平均結晶粒径が2.0mm
を超えると、打ち抜き性、曲げ性等の鋼板の加工性が劣
化する。
【0030】通常、珪素鋼板をトランスにした場合、磁
化の向きが圧延方向と平行になることが多いが、この場
合でもかなりの比率で磁化の方向が圧延方向と大きな角
度をもつ領域が現れる。例えば、方向性珪素鋼板の場合
には集合組織的に強い配向を有しており、結晶磁気異方
性と表面に磁極を持ちにくい強い異方性のために、磁化
の方向が圧延方向と平行な領域では磁歪及び鉄損特性が
優れているものの、上記のように磁化の方向が圧延方向
と大きな角度をもつ領域では騒音、損失が大きい。これ
に対して本発明の無方向性珪素鋼板では、その組織が基
本的にランダムであるため、磁化の方向が圧延方向と大
きな角度を持っている領域でも無方向性のために大きな
エネルギーを要することがなく、したがって磁歪、鉄損
特性は良好あり、且つ圧延方向には優れた磁歪及び鉄損
特性を持つために、特に良好なトランス特性を有するも
のである。
【0031】本発明の無方向性珪素鋼板は、先に述べた
成分組成の無方向性珪素鋼板を特定の条件で磁場中熱処
理することにより得られ、特に、この磁場中熱処理では
キューリー温度未満の温度領域(好ましくは400〜6
50℃)において鋼板の圧延方向に有効磁界40A/m
以上の交番磁界を印加し、引き続きこの磁界中で400
℃以下(好ましくは300℃以下)までを冷却すること
が好ましい。この磁場中熱処理は、珪素鋼板を再結晶焼
鈍した際の冷却時或いはコーティングやスリッティング
等のために鋼板を加熱した際の冷却時等に実施すること
ができ、また、鋼板にSiを富化するためのSi浸透拡
散処理後の冷却時に実施することもできる。また、磁場
中熱処理のための特別の工程において実施してもよい。
【0032】
【実施例】表1の化学成分を有する板厚0.3mmの無
方向性珪素鋼板を浸珪法または圧延法にて製造した。こ
れら鋼板を図6に示すような絶縁膜のコーティングライ
ンにおける焼付工程の設備を用いて磁場中熱処理するこ
とにより、磁区構造を制御された試料を作成した。この
磁場中熱処理では熱処理の冷却途中から磁場印加を開始
し、磁場印加開始温度、磁場印加終了温度、磁場の強さ
及び種類等を調整することにより磁区構造の制御を行っ
た。
【0033】磁場中熱処理後の鋼板から280mm×3
0mmの試料を切り出し、これら試料について磁区の定
量化を行うとともに、400Hz、lTで磁歪を、50
Hz、lTで鉄損をそれぞれ測定した。また、同じ試料
から図7に示すようなトランス(試料を直角突合せ法に
よりトランス形状に積層した後、6箇所を同じトルクで
ボルト締めし、片脚に巻き線を20回施した騒音試験用
トランス)を作成し、400Hz、lTで励磁したとき
のトランスの騒音値を測定した。測定は暗騒音が30d
B(Aスケール)の音響実験室において行い、トランス
より100mm離れた地点の騒音を騒音計(Aスケー
ル)で測定した。表2〜表6に各試料の磁区構造と磁気
特性及び騒音特性を示す。
【0034】なお、特定の磁区の面積率の定量化は以下
の〜の工程で行い、各試料につき直径3mmの範囲
を計5箇所撮影し、それらの平均値を磁区の定量値とし
た。 試料の表面を電解研磨する。 磁区観察用のカー効果顕微鏡による観察または試料
表面に磁性コロイド液を塗布した状態での顕微鏡による
観察によって、図4の写真のような磁区構造の写真(な
お、図に記入した立方体は各結晶粒の方位を表したもの
である。)を撮影する。 図5に示すように、上記の写真に基づき磁区の磁
化の方向を決定するとともに、特定の磁化の方向をもつ
領域を区別し、その面積率を計算する。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、優れた磁歪
特性及び鉄損特性を有し、トランスにした時の騒音が小
さい無方向性珪素鋼板を得ることができ、特に高珪素鋼
板においてその効果が顕著である。また、板厚方向等で
Si含有量にバラツキを生じ易い浸珪処理法により製造
された珪素鋼板でも、優れた磁歪特性、鉄損特性を安定
して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】珪素鋼板について、外部磁場が印加されていな
い状態と外部磁場が印加された状態での磁歪による変形
を示す説明図
【図2】初期状態において特別な磁区構造を有する珪素
鋼板について、外部磁場印加方向と磁歪による変形との
関係を示す説明図
【図3】本発明の無方向性珪素鋼板の磁区構造及びこれ
が得られる原理を示す説明図
【図4】磁区観察用サンプル表面の磁区の状態を示す金
属組織の顕微鏡拡大写真
【図5】図4の顕微鏡拡大写真に基づく、特定の磁区の
面積率の測定手法を示す説明図
【図6】実施例で用いた磁場中熱処理装置を示す説明図
【図7】実施例の試料により構成した騒音試験用トラン
スを示す斜視図
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 H01F 1/16 - 1/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延法または圧延鋼板を素材とする浸珪
    法により製造される無方向性珪素鋼板であって、Si:
    1〜10wt%、C≦0.01wt%、Mn≦0.5w
    t%、P≦0.01wt%、S≦0.01wt%、So
    l.Al≦0.2wt%、N≦0.01wt%、O≦
    0.02wt%、残部Fe及び不可避不純物からなり、
    消磁状態における、鋼板表面に現れる磁区のうち磁化の
    方向が圧延方向と平行かまたは圧延方向とのなす角度が
    20°以内である磁区の占める面積率が15%以上であ
    ることを特徴とする磁歪特性に優れた無方向性珪素鋼
    板。
  2. 【請求項2】 圧延法または圧延鋼板を素材とする浸珪
    法により製造される無方向性珪素鋼板であって、Si:
    4〜8wt%、C≦0.01wt%、Mn≦0.5wt
    %、P≦0.01wt%、S≦0.01wt%、So
    l.Al≦0.2wt%、N≦0.01wt%、O≦
    0.02wt%、残部Fe及び不可避不純物からなり、
    消磁状態における、鋼板表面に現れる磁区のうち磁化の
    方向が圧延方向と平行かまたは圧延方向とのなす角度が
    20°以内である磁区の占める面積率が15%以上であ
    ることを特徴とする磁歪特性に優れた無方向性珪素鋼
    板。
  3. 【請求項3】 圧延法または圧延鋼板を素材とする浸珪
    法により製造される無方向性珪素鋼板であって、Si+
    Sol.Al:1〜10wt%、C≦0.01wt%、
    Mn≦0.5wt%、P≦0.01wt%、S≦0.0
    1wt%、N≦0.01wt%、O≦0.02wt%
    残部Fe及び不可避不純物からなり、消磁状態におけ
    る、鋼板表面に現れる磁区のうち磁化の方向が圧延方向
    と平行かまたは圧延方向とのなす角度が20°以内であ
    る磁区の占める面積率が15%以上であることを特徴と
    する磁歪特性に優れた無方向性珪素鋼板。
  4. 【請求項4】 圧延法または圧延鋼板を素材とする浸珪
    法により製造される無方向性珪素鋼板であって、Si+
    Sol.Al:4〜8wt%、C≦0.01wt%、M
    n≦0.5wt%、P≦0.01wt%、S≦0.01
    wt%、N≦0.01wt%、O≦0.02wt%、残
    部Fe及び不可避不純物からなり、消磁状態における、
    鋼板表面に現れる磁区のうち磁化の方向が圧延方向と平
    行かまたは圧延方向とのなす角度が20°以内である磁
    区の占める面積率が15%以上であることを特徴とする
    磁歪特性に優れた無方向性珪素鋼板。
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