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鉛 筆

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JP3313439B2

Japan

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正行 上手
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Misawa Homes Co Ltd

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2002-08-12
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂を主原料とした軸
に芯を挿通してなる鉛筆に関する。
【0002】
【従来の技術】鉛筆は、黒鉛と粘土との混合粉末を高温
で焼いて得られた芯が、木製の軸に挿通された状態で形
成されている。このような鉛筆において軸の材料には、
通常針葉樹である米国産のレッドシダーが、柔らかくナ
イフや鉛筆削りで削るのが容易である等の理由により用
いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、近年では森
林が乱伐により減少しつつあり、このような状況から環
境破壊の問題が注目され、鉛筆の軸の材料であるレッド
シダーもその入手が困難となり、当然そのコストも高騰
している。また、レッドシダー製の軸を有してなる従来
の鉛筆にあっては、軸が天然の木からなっていることに
より、軸自体に元の木の節部分などからなる硬い部分が
残され、これによって削った際削りむらが生じてしまう
という難点がある。
【0004】このような背景から、レッドシダーに代わ
る軸の材料として、例えば樹脂性の軸が試作されてい
る。しかしながら、樹脂性の軸では、特に鉛筆削りで削
った際、摩擦熱によって軟化した削りカスが鉛筆削りの
刃の部分に付着してしまい、これが何度か続くと刃の部
分の切れ味が悪くなり、さらに続くと鉛筆が削れなくな
るといった問題があることから、実用化されていないの
が現状である。また、レッドシダーに代わるものとし
て、近時、リサイクル紙を固着して成形した鉛筆軸も提
供されている。しかしながら、紙をリサイクルして固着
し軸に成形するには、未だ技術的に多くの課題があるこ
とから、現状では従来のレッドシダーよりも多く製造コ
ストがかかってしまい、レッドシダーの代替品として定
着するには現状ではまだ難がある。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、レッドシダーに代わる代
替品として樹脂を主原料とする成形体を用い、これを軸
とすることにより鉛筆削りで削っても全く支障なく、し
かもこの軸が加工性に優れていることから安価に製造し
得る、鉛筆を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による請求項1記
載の鉛筆では、磨砕処理が施されてなるセルロース系微
粉粒が樹脂に混合され、該混合物が押出もしくは射出成
形により成形され、さらに該成形体が鉛筆の軸状に形成
されて得られた軸中に、芯が挿通されてなり、前記磨砕
処理が施されてなるセルロース系微粉粒は表面に無機顔
料を担持していることを前記課題の解決手段とした。請
求項記載の鉛筆では、磨砕処理が施され白色無機顔料
が表面に担持されたセルロース系微粉粒と樹脂とが混合
されペレット化されてなる生地材ペレットと、磨砕処理
が施され白色無機顔料が表面に担持されたセルロース系
微粉粒と樹脂と有色顔料とが混合されペレット化されて
なり、かつ前記生地材ペレットより溶融温度が高い木質
様形成材ペレットとが混合され、該ペレット混合物が押
出成形もしくは射出成形により成形され、さらに鉛筆の
軸状に形成されて得られた軸中に、芯が挿通されてなる
ことを前記課題の解決手段とした。
【0007】
【作用】請求項1記載の鉛筆によれば、その軸を形成す
る樹脂成形体中に、天然の木に極めて近い、あるいは天
然の木からなるセルロース系微粉粒が配合されているた
め、該樹脂成形体が天然の木に近い性状を有するものと
なり、よってナイフや鉛筆削りによる切削が可能とな
る。また、軸中に配合されているセルロース系微粉粒が
磨砕処理されていることから、従来の木材を直接微粉状
に粉砕したものが繊維状であるのと異なってその表面に
繊毛が少なく粒状となっているため、繊維状のものが配
合分散した際その繊維状部分が絡み合って団子状、綿状
になってしまうのと異なり、個々が独立した状態で分散
され、よって微粉粒自体も樹脂に対し極めて分散性が良
くなり、したがって成形されて得られた軸についても十
分に均質のものとなる。さらに、セルロース系微粉粒が
繊維状でなく粒状をなしているため、従来の繊維状木粉
のごとく水(湿気を含む)、溶剤を吸着しあるいはこれ
を放出することに起因する伸縮が極めて少なく、よって
これを含有して形成された軸は寸法安定性に極めて優れ
たものとなる。
【0008】また、セルロース系微粉粒が無機顔料を担
持していることから、表面に顔料を担持していることに
よって該微粉粒による樹脂の吸着・吸い込みが極めて少
なくなり、よって成形体を得る際成形歪みを生ずること
がほとんどなくなる。また、セルロース系微粉粒が無機
顔料を担持していることから担持前に比べ耐熱性が向上
していることにより、単に木粉等セルロース系微粉粒を
配合させ成形する場合に比べ成形時の熱影響が少なく、
よって色や形状の変化など変質が抑制される。また、顔
料を担持したことによってセルロース系微粉粒はその表
面が覆われ、これにより微粉粒中に含まれるリグニンや
木酸が成形時に放出されることが抑制されるため、該リ
グニンや木酸の放出に起因する成形不良が防止される。
請求項記載の鉛筆によれば、生地材ペレットとこれよ
り溶融温度の高い木質様形成材ペレットとのペレット混
合物が、押出成形もしくは射出成形によって成形されて
軸が形成されるので、成形時、木質様形成材ペレットが
生地材ペレットに比べ溶融までの時間が長く、したがっ
てこれを利用し予め成形条件を設定しておくことによ
り、木質様形成材ペレット中の有色顔料が成形中の溶融
材中に規則的に、あるいは均一に流れることなく、不規
則に流れて筋状の着色部を形成する。そして、この筋状
の着色部が天然の木目に極めて近い木目模様となること
から、その軸が木質様を有したものとなる。
【0009】
【実施例】以下、本発明を詳しく説明する。本発明にお
ける請求項1記載の鉛筆は、樹脂に、磨砕処理が施され
てなるセルロース系微粉粒が混合され、得られた混合物
が押出もしくは射出成形により成形され、さらにこの成
形体が従来の鉛筆の製造方法と同様にして、鉛筆の軸状
に形成されるとともに、予め、軸中に芯が挿通されて形
成されたものである。軸を形成するための主原料となる
樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹
脂、塩化ビニル樹脂が特に好適とされるが、フェノール
樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリウレタ
ン樹脂等も用いることができる。
【0010】セルロース系微粉粒としては、木材の粗粉
砕物、バカスの粗粉砕物、稲藁の粗粉砕物等の各種植物
細胞体の原料材粗粉砕物を磨砕処理することによって得
られたものが用いられる。ここで、磨砕処理とは、粉砕
処理と研磨処理とを併せ持つ処理を言うものであり、こ
れら粉砕処理と研磨処理とを同時に行う処理であって
も、粉砕処理を行った後研磨処理を行う二工程からなる
処理であってもよい。すなわち、ここで言う磨砕処理と
は、後述するように粗粉砕物から微粉砕物にする粉砕処
理と、微粉砕された粉粒を、繊維状態のものが絡み合
い、その表面が繊毛で覆われている状態の粉粒形状か
ら、表面に繊毛が少ない状態となるように表面研磨する
研磨処理とを併せた処理を指しているのである。
【0011】原料材の粗粉砕物を得るには、そのチップ
等を機械的な衝撃破砕により粉砕して150メッシュ、
好ましくは120メッシュよりも細かい粒径の粗粉砕粉
を得る。ここで機械的な粉砕には、例えばインペラーミ
ル(IMP−250;株式会社セイシン企業製)が好適
に使用される。そして、このような原料材粉砕物の磨砕
処理としては、例えば図1に示すボールミルによって行
うのが好ましい。このボールミルは、大気解放型のミル
本体1の周壁に冷却ジャケット2を設けたもので、供給
パイプ8から冷却ジャケット2内に冷却水を供給し、排
水パイプ9から排出することで冷却水を循環させ、これ
によってミル本体1内の温度を予め設定した温度、例え
ば80℃以下となるようにするものである。
【0012】ここで、ミル本体1の上部にはモータ5が
配設されており、このモータ5の底部にはミル本体1内
のボール3を攪拌するロータ4が配設されている。ロー
タ4は、モータ5の駆動によって回転し、ボール3と被
磨砕処理物とを攪拌することにより、これらを機械的に
接触させるものである。また、ミル本体1の錐形下部に
はバルブ6で開閉される取出し口7が設けられており、
磨砕処理後の被磨砕処理物を排出できるようになってい
る。
【0013】このボールミルのミル本体1内に装填され
るボール3は、外径3mm〜5mmのセラミックスボール、
特にジルコニア系やアルミナ系のセラミックスボールを
用いるのが好ましく、ステンレス、スチール等の金属製
のボールの使用は避けるのが好ましい。なぜなら、ステ
ンレス、スチール製等の金属製のボールでは、木粉等の
粉砕セルロース系粉がボールの表面に結着し、あるいは
金属製ボール相互の接触に伴う発熱によって粉砕粉に変
質をもたらすおそれがあり、また金属製ボールのかけら
等が発生し、粉砕セルロースの表面にそのかけらが担持
されて所望する微粉粒と異質のものになるおそれがある
からである。なお、この乾式ボールミルは密閉タイプで
あっても大気解放タイプであっても良いが、密閉タイプ
を採用した場合にはミル内に窒素ガス等の不活性ガスを
充填して用いるのが好ましい。
【0014】また、このボールミルでは、使用ボール3
の表面温度が90℃〜120℃の範囲となるように調整
され、ミル本体1の室内温度が80℃を超えないよう調
整されることにより、前記の原料材粉砕物の磨砕処理に
加えてその乾燥処理も同時に行われる。ここで、使用ボ
ール3の温度制御については、ミル本体1の容量と、こ
のミル本体1内に投入されるボール3の量と、ボール3
の材質、寸法ならびに投入粉砕物の投入温度、量、含有
水分量とに基づき、攪拌速度ならびにミル本体1の周面
に設けた冷却ジャケット2による冷却量等を調整するこ
とによって行われる。
【0015】なお、ボール3の表面温度は、対象材料に
よっても異なるものの、例えば木材粉の場合には100
℃〜120℃の範囲にするのが、磨砕の効率の点から好
ましい。ただし、磨砕に長時間を要する場合には暴爆の
防止の点から90℃〜100℃であることが望ましい。
また、磨砕において暴爆を生ずる危険のある場合には、
ミル本体1内の酸素濃度を15%以内とするのが好まし
く、その場合には例えばボールミル内に連続して窒素ガ
スを供給するといった方法を採用してもよい。
【0016】このようなボールミルによる磨砕処理によ
れば、ボール3の回転に伴って生ずる摩擦熱によりミル
本体1の内部温度が上昇し、一方冷却ジャケット2に循
環される冷却水よってミル本体1内の温度およびボール
3の表面温度が前記した範囲に調節されることにより、
原料材粉砕物が粉砕されると同時に強い加熱条件下にお
かれて乾燥せしめられ、これによって粒径が所望する範
囲、例えば100μm以下に揃えられ、しかも含有水分
が2.0重量%以下に調整されるのである。また、この
処理によれば、粗粉状態で投入された原料材粉砕物にボ
ール3が接触することにより、該ボール3に接触した原
料粉砕物は粉砕されて微粉砕物となるとともに、その表
面が研磨されることによって繊毛部分が非常に少ない表
面を有する微粉粒となる。
【0017】すなわち、原料材粉砕物はボール3の表面
に接触した際、機械的に圧潰されかつ磨耗されて粉砕・
研磨され、これと同時に加熱・乾燥されることから、含
有水分が効率良く取り除かれるのである。また、ボール
3から離脱した際急速に冷却されることから、加熱−冷
却の繰返しを受けることによって原料材粉砕物中の繊維
が膨縮作用を受けるとともに、急速に乾燥され、これに
よって繊維の先端部がボール3によって効率良く磨砕さ
れ、結果として周面に繊毛の少ない、独立した粒形状を
なす磨砕処理セルロース系微粉粒が得られるのである。
そして、このようにして得られたセルロース系微粉粒を
分級し、所望する範囲の粒径(例えば1〜10μm、1
0〜20μm、20〜50μm、50〜100μm)に
揃え、白色無機顔料を担持するための本発明のセルロー
ス系微粉粒とする。
【0018】また、原料粉砕物の磨砕処理としては、図
1に示すボールミルに代えて、例えば図2に示すような
粉砕機30を用いて行うこともできる。この粉砕機30
は、石うすの原理を利用したもので、2枚の砥石31、
31を所定の間隙を介して対向させ、これらの間に原料
粉砕物を入れた後、一方の砥石31を高速回転させるこ
とによって粉砕処理および研磨処理を、すなわち磨砕処
理を行うものである。
【0019】ここで、砥石31は、その内面が中心部に
いくに連れて漸次上方あるいは下方に傾斜する皿型のも
のであり、これらはその中央部間が広く、周辺部間が狭
くなるよう対向配置されて用いられるものである。ま
た、これら砥石31は、図3に示すようにその中央部に
取り付け用の孔32を形成したドーナッツ板状のもの
で、その内面に多数の送り溝33…を形成したものであ
る。送り溝33は、砥石31の回転によって生じる遠心
力により、被処理物を砥石31の半径方向に無理なく案
内するためのものである。
【0020】このような粉砕機30によって原料粉砕物
の磨砕処理を行うには、2枚の砥石31、31のそれぞ
れの中央部間に原料粉砕物を投入し、その後一方の砥石
31を高速回転する。すると、原料粉砕物は2枚の砥石
31、31間で遠心力、衝撃力、剪断力等を受けて漸次
粉砕され、小径となるに連れて遠心力により送り溝33
…に沿って半径方向外周側に移動せしめられ、さらにそ
の過程で衝撃力、剪断力を受けて粉砕されるとともにそ
の周面(表面)が研磨処理され、結果として磨砕処理さ
れて周面に繊毛の少ない、独立した粒形状をなす磨砕処
理セルロース系微粉粒となるのである。
【0021】なお、このような粉砕機30によって磨砕
処理した場合には、必要に応じ、すなわち得られた微粉
粒の含水量が3重量%を越えている場合にはこれを乾燥
し、その含水量を3重量%以下に調製するのが好まし
い。なぜなら、含水量が3重量%を越えてしまうと、樹
脂に混合した後成形した際、水分の蒸発に伴って成形品
にすが発生するなど、成形不良を生じるおそれがあるか
らである。そして、このようにして得られたセルロース
系微粉粒についても、ボールミルによる場合と同様に分
級され所望する範囲の粒径に揃えられることにより、前
記樹脂への混合に供される。
【0022】このようなセルロース系微粉粒を用いて鉛
筆を作製するには、まず該セルロース系微粉粒を樹脂に
添加し、さらに必要に応じて従来公知の各種配合材を添
加し混合する。樹脂に対するセルロース系微粉粒の配合
量としては、用いられる樹脂によっても異なるものの、
樹脂とセルロース系微粉粒との合計量を100重量%と
した場合に、30〜50重量%とされる。30重量%未
満では得られた成形体に天然の木の性質を十分付与する
ことができず、これから得られた鉛筆を鉛筆削りで削る
と、樹脂のみで形成した軸からなる鉛筆ほどではないも
のの、鉛筆削りに削りカスが僅かずつ付着してしまうか
らであり、50重量%を越えると成形性が低下し、成形
不良を生じる恐れがあるからである。
【0023】次に、得られた混合物を押し出しもしくは
射出成形により、図4に示すような板状の成形体20a
を得る。成形体20aは、複数の鉛筆のそれぞれの軸の
半部を形成するためのもので、鉛筆の芯21を収容固定
するための溝22を複数形成したものである。そして、
この成形体20aの溝22…にそれぞれ芯21を嵌入
し、さらに成形体20aの芯21を入れた側の面に、図
5に示すように成形体20aと同一に形成された成形体
20bを接着する。次いで、図5中二点鎖線で示した位
置で成形体を切断し、さらに切断面に塗料を塗布すると
ともに文字や模様等の印刷を施し、図6に示すような断
面正六角形状の鉛筆23を得る。
【0024】なお、成形体20a、20bを製造するに
際しては、予め図5中2点鎖線で示した切断位置の、外
形線形状に成形してもよく、その場合には、後の切断工
程が各鉛筆間のカットのみでよく、きわめて効率的であ
る。また、磨砕処理されたセルロース系微粉粒として、
無機顔料を担持した微粉粒を用いてもよい。担持される
無機顔料としては、酸化チタン、リトポン、ホワイトカ
ーボン、炭酸カルシウム等の白色顔料や、酸化鉄等の茶
色顔料などが用いられ、また、その粒径については、前
記セルロース系微粉粒より十分に小さく調整されたもの
とされる。
【0025】該無機顔料の前記セルロース系微粉粒への
担持方法としては、例えば前記セルロース系微粉粒と白
色顔料とを混合し、得られた混合粒子を気相中に分散さ
せながら衝撃力を主体とする機械的熱的エネルギーを粒
子に付与し、セルロース系微粉粒を母粒子としてこの母
粒子の周面に顔料粒子を担持させるといった方法や、セ
ルロース系微粉粒と無機顔料との混合粒子を図1に示し
たようなボールミルに投入し、再度磨砕処理を施すこと
によってセルロース系微粉粒周面に白色無機顔料粒子を
担持させるといった方法が採用される。
【0026】このような担持処理を施すことにより、図
7に示すように無機顔料粒子10…はセルロース系微粉
粒11の周面に喰い込み状態で担持されたものとなる。
なお、担持させる無機顔料の量としては、母粒子となる
セルロース系微粉粒の周面に重なり合って該周面を覆い
つくす量が上限とされるが、下限については軸の所望す
る色相に応じて適宜決定される。このようにして得られ
た無機顔料担持セルロース系微粉粒にあっては、表面に
顔料を担持していることによって該微粉粒による樹脂の
吸着・吸い込みが極めて少なく、よって成形歪みを生ず
ることがほとんどなくなる。
【0027】また、セルロース系微粉粒が無機顔料を担
持する前に比べ耐熱性が向上していることにより、単に
木粉等セルロース系微粉粒を配合させ成形する場合に比
べ成形時の熱影響が少なく、よって色や形状の変化など
変質が抑制される。また、顔料を担持したことによって
セルロース系微粉粒はその表面が覆われ、これにより微
粉粒中に含まれるリグニンや木酸が成形時に放出される
ことが抑制されるため、該リグニンや木酸の放出に起因
する成形不良が防止される。そして、このような無機顔
料担持セルロース系微粉粒を用いて鉛筆の軸を作製する
場合にも、前記した例と同様にして行われる。なお、こ
の担持セルロース系微粉粒の、樹脂への配合比について
は、担持前のものと同様の理由により30〜50重量%
程度が好適とされる。
【0028】また、成形体20a、20bについては、
請求項3に記載したごとく、生地材ペレットと木質様形
成材ペレットとを混合し、この混合ペレットを押出成形
もしくは射出成形することによって得てもよい。生地材
ペレットは、磨砕処理が施され白色無機顔料が表面に担
持されたセルロース系微粉粒と樹脂とが混合されペレッ
ト化されたものである。このペレットの成分とされる樹
脂としては、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂、フェノール樹脂、ABS樹脂等各種の
ものが用いられるが、中でも塩化ビニル樹脂、ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂がより好適である。
【0029】また、磨砕処理が施され白色無機顔料が表
面に担持されたセルロース系微粉粒としては、前記請求
項1の鉛筆の軸23を形成するに際して用いられたもの
と同一のものが用いられる。そして、このような白色顔
料担持セルロース系微粉粒と前記樹脂の粉末とが適宜
比、例えば重量比で、微粉粒:樹脂=30:70〜5
0:50程度の範囲となるよう混合され、ペレット化さ
れることにより生地材ペレットが得られる。ペレット化
については、例えば混合粉を多孔円形ノズルからひも状
に押し出し、これを切断するといった従来公知の手段に
よってなされる。
【0030】木質様形成材ペレットは、磨砕処理が施さ
れ白色無機顔料が表面に担持されたセルロース系微粉粒
と、樹脂と有色顔料とが混合されペレット化されたもの
であり、前記生地材ペレットに比べその溶融温度が高い
ものである。溶融温度については、具体的には生地材ペ
レットの溶融温度(℃)に比べ3%程度高い温度、例え
ば生地材ペレットが180℃であれば木質様形成材ペレ
ットは約185℃となるよう予め調製される。ここで、
木質様形成ペレットの溶融温度を生地材ペレットの溶融
温度より高くするためには、溶融温度を高めるための公
知の添加剤を加えたり、あるいは後述するように樹脂の
グレードを溶融温度が高いものに代えるといった方法が
採用される。
【0031】このペレットの成分とされる樹脂として
は、前記生地材ペレットに用いた樹脂、すなわち塩化ビ
ニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が
用いられる。なお、樹脂の選択に際しては、当然生地材
ペレットに用いた樹脂と同一種のものを用いるのが望ま
しい。また、樹脂のグレードについては、前述のごとく
最終的に得られる木質様形成材ペレットが生地材ペレッ
トよりその溶融温度が高くなるように、別のものを選択
することができる。磨砕処理が施され白色無機顔料が表
面に担持されたセルロース系微粉粒については、生地材
ペレットに用いたものと同様の処理により得られたもの
が用いられる。
【0032】また、有色顔料については、酸化鉄やカド
ミウムイエロー、カーボンブラックなどの無機顔料が一
種あるいは複数種所望する色相、すなわち得られる製品
の生地自体の色、および後述する木目模様の色に応じて
適宜選択され用いられる。そして、白色顔料担持セルロ
ース系微粉粒と前記樹脂の粉末と有色顔料が適宜比で混
合され、ペレット化されることにより木質様形成材ペレ
ットが得られる。混合比については、白色顔料担持微粉
粒と樹脂粉末との比は前記生地材ペレットと同様の範囲
の重量比とされ、有色顔料の配合比は全体の5〜30重
量%程度とされる。なお、ペレット化については、生地
材ペレットと同様に従来公知の手段によってなされる。
【0033】このような生地材ペレットと木質様形成ペ
レットとが混合され、該ペレット混合物が押出成形もし
くは射出成形によって成形体20a(20b)の形状に
成形されることにより、成形体20a(20b)が得ら
れる。生地材ペレットと木質様形成ペレットとの混合比
については、得られる鉛筆23の軸の色相や木質様形成
材ペレット中の有色顔料の比率に基づいて適宜決定され
るが、通常は、生地材ペレット:木質様形成材ペレット
=90:10〜99:1(重量比)とされる。
【0034】これらペレットの混合物を押出成形もしく
は射出成形するにあたっては、予め生地材ペレットの溶
融温度に合わせて成形温度を設定するとともに、成形時
間も生地材ペレットに合わせて設定する。このような条
件で成形を行うと、生地材ペレットは正常に溶融し成形
方向に均一に流れる。一方、木質様形成材ペレットは生
地材ペレットより溶融温度が高いため溶融はするもの
の、生地材ペレットに比べその溶融状態が十分でなく、
したがって流れも悪く不均一になる。
【0035】そして、このように流れが悪く不均一にな
ることから、木質様形成材ペレット中の有色顔料も当然
均一に流れず、したがって得られた成形体は図8に示す
ようにその内部および表層部にて有色顔料による着色部
24が不均一に散在する。さらに、得られた成形体20
a、20bを前述した方法と同様にして芯22を挟んで
接合し、所定形状にカットすることによって請求項2記
載の鉛筆の一実施例品が得られる。
【0036】このようにして得られた鉛筆にあっては、
その軸の表面が軸を形成する成形体20a、20b中の
有色顔料が成形方向に沿って不均一に流れることによ
り、軸表面に着色部24が筋状に現われ、これが天然の
木目模様にきわめて近い模様となる。しかも、特に軸の
表層部においては、生地材ペレットあるいは木質様形成
材ペレット中の白色顔料を担持してなるセルロース系微
粉粒が着色部24の上にくると、セルロース系微粉粒に
担持された白色顔料により着色部24の色が隠蔽される
ことから、軸の表面に見える着色部24(筋状の模様)
に不均一な濃淡が生じ、これによって着色部24は一層
天然の木目模様に近いものとなる。
【0037】(実験例)前記ボールミル法によって磨砕
処理し、粒径が30μm〜100μm、平均粒径が50
μmの木粉を得た。また、この木粉に、平均粒径5μm
の酸化チタンをボールミル法で担持処理し、無機顔料担
持木粉を得た。次に、得られた2種類の微粉粒をそれぞ
れ塩化ビニル樹脂100重量部に対し40重量部配合
し、さらに添加剤として公知のものを配合して混合し、
得られた2種類の混合粉末を用いて押出成形し、図4の
成形体20aで示す形状の成形体を2種類得た。次い
で、それぞれの成形体に芯を入れ、さらに対応する成形
体を接着した後切断処理し、2種類の鉛筆を得た。
【0038】得られた2種類の鉛筆をナイフで削ったと
ころ、いずれも、従来のレッドシダーからなる鉛筆に比
べても全く遜色のない切れ味を有しており、削っていて
特にひっかかりがなく、軸の硬さが一定であることが確
認された。また、市販の電動鉛筆削りで削ったところ、
いずれも従来の鉛筆よりむしろ早く削れることが分かっ
た。さらに、鉛筆削りによりそれぞれ連続して20回ず
つ削ったところ、特に削り上がった状態に変化がなく、
また鉛筆削り自身の切れ味にも変化がないことが確認さ
れた。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明における請求
項1記載の鉛筆は、軸を形成する樹脂成形体中に、天然
の木に極めて近い、あるいは天然の木からなるセルロー
ス系微粉粒を配合し、該樹脂成形体からなる軸が天然の
木に近い性状を有するようにしたものであるから、ナイ
フや鉛筆削りによる切削が可能となり、したがって従来
の軸の原料であるレッドシダーを用いない、すなわち原
材料の安定供給が確保される画期的なものとなる。ま
た、軸の成形が基本的に樹脂成形で行われるため、天然
の木を加工するのに比べ生産性に優れたものとなり、よ
って生産コストの低減を図ることができる。さらに、軸
中に配合されているセルロース系微粉粒が磨砕処理され
ていることから、従来の木材を直接微粉状に粉砕したも
のが繊維状であるのと異なってその表面に繊毛が少なく
粒状となっているため、繊維状のものが配合分散した際
その繊維状部分が絡み合って団子状、綿状になってしま
うのと異なり、個々が独立した状態で分散され、よって
微粉粒自体も樹脂に対し極めて分散性が良くなり、した
がって成形されて得られた軸についても十分に均質のも
のとなる。そして、これにより本発明の鉛筆では、削っ
た際軸が均質であることから削りむらがなく、したがっ
てきれいな削り上がりとなる。
【0040】また、セルロース系微粉粒が表面に無機顔
料を担持していることにより該微粉粒による樹脂の吸着
・吸い込みが極めて少なく、よって軸に成形歪みを生ず
ることがほとんどなくなる。また、セルロース系微粉粒
が無機顔料を担持する前に比べ耐熱性が向上しているこ
とにより、単に木粉等セルロース系微粉粒を配合させ成
形する場合に比べ軸成形時の熱影響が少なく、よって色
や形状の変化など変質が抑制される。また、顔料を担持
したことによってセルロース系微粉粒はその表面が覆わ
れ、これにより微粉粒中に含まれるリグニンや木酸が成
形時に放出されることが抑制されるため、該リグニンや
木酸の放出に起因する軸の成形不良が防止される。請求
項2記載の鉛筆は、その軸が生地材ペレットと木質様ペ
レットとを所望する色相に応じて適宜比で混合し、これ
を押出もしくは射出成形することによって容易に得られ
たものであり、しかも軸の表面に木質様が付与されたも
のであるから、鉛筆自体に天然の材質からくる柔らかな
感じが付与されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】解放型のボールミルの要部破断正面図。
【図2】磨砕処理に用いられる粉砕機の一例を示す概略
構成図。
【図3】図2に示した粉砕機の砥石の一例を示す平面
図。
【図4】鉛筆の製造例を説明するための斜視図。
【図5】鉛筆の製造例を説明するための斜視図。
【図6】本発明の鉛筆の一例を示す斜視図。
【図7】本発明に使用されるセルロース系微粉粒の無機
顔料を担持した状態を示す断面図。
【図8】請求項3記載の鉛筆の軸(成形体)の側断面拡
大図。
【符号の説明】
1 ミル本体 3 ボ
ール 10 無機顔料粒子 11 セ
ルロース系微粉粒 20a、20b 成形体 21 芯 23 鉛筆 30 粉
砕機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B43K 3/00 B43K 8/02 B43K 15/00 B05C 17/00 B29C 45/16 B29C 47/04 - 47/06 B29D 23/00

Claims (2)
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    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磨砕処理が施されてなるセルロース系微
    粉粒が樹脂に混合され、該混合物が押出もしくは射出成
    形により成形され、さらに該成形体が鉛筆の軸状に形成
    されて得られた軸中に、芯が挿通されてなり、前記磨砕処理が施されてなるセルロース系微粉粒は表面
    に無機顔料を担持していることを 特徴とする鉛筆。
  2. 【請求項2】 磨砕処理が施され白色無機顔料が表面に
    担持されたセルロース系微粉粒と樹脂とが混合されペレ
    ット化されてなる生地材ペレットと、磨砕処理が施され
    白色無機顔料が表面に担持されたセルロース系微粉粒と
    樹脂と有色顔料とが混合されペレット化されてなり、か
    つ前記生地材ペレットより溶融温度が高い木質様形成材
    ペレットとが混合され、該ペレット混合物が押出成形も
    しくは射出成形により成形され、さらに鉛筆の軸状に形
    成されて得られた軸中に、芯が挿通されてなることを特
    徴とする鉛筆。