JP3292704B2 - 歪み補正装置 - Google Patents

歪み補正装置

Info

Publication number
JP3292704B2
JP3292704B2 JP06495299A JP6495299A JP3292704B2 JP 3292704 B2 JP3292704 B2 JP 3292704B2 JP 06495299 A JP06495299 A JP 06495299A JP 6495299 A JP6495299 A JP 6495299A JP 3292704 B2 JP3292704 B2 JP 3292704B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
distortion
harmonic
generating circuit
amplifier
primary coil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP06495299A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000261254A (ja
Inventor
寛文 渡辺
達也 大橋
朗 北川
Original Assignee
愛知電子株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 愛知電子株式会社 filed Critical 愛知電子株式会社
Priority to JP06495299A priority Critical patent/JP3292704B2/ja
Publication of JP2000261254A publication Critical patent/JP2000261254A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3292704B2 publication Critical patent/JP3292704B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Amplifiers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波伝送路に挿
入して使用され、増幅器の入出力特性における2次の
項、3次の項から発生する2次歪みおよび3次歪みを補
正する歪み補正装置に関する。本発明は、特にCATV
の送信端および中継器に用いられ、CSO(複合2次歪
み)、CTB(複合3次歪み)を有する増幅器の歪み補
正に適用できる。
【0002】
【従来の技術】従来より、トランジスタを用いた増幅器
には入出力特性に非線形性が存在し、出力波形に歪みを
伴うことが知られている。例えば、図17(a)に示す
入力波に対して、正期間が圧縮・負期間が伸長された出
力波形(図17(b))あるいはその逆の形状を示す出
力波形がある(図17(c))。それは、トランジスタ
の入力電圧に対する出力電流の特性が図18に示すよう
に、中央電圧に対して高い領域も低い領域も共に傾斜が
緩くなる特性があるためである。尚、図18は通常用い
られている非飽和領域の非線形性を説明するために誇張
して表示されており、図17の歪み波形も誇張されて表
示されている。
【0003】一般に、増幅器の入出力特性(図18)に
おいて、バイアス電圧VB1を中心に振幅△Vの入力電
圧を与えると、バイアス電圧に対応する出力電流を基準
とする出力Iは、VI特性のバイアス点でのテイラー展
開の3次の項までを表記すれば、次式のようになる。
【数1】 I=A1 △V±A2 (△V)2 −A3 (△V)3 (1) ただし、A1 ,A2 ,A3 は正とする。
【0004】このΔVに関する2乗の項から2次歪みが
発生し、ΔVに関する3乗の項から3次歪みが発生す
る。従って、一般に任意の単一の角周波数ωの信号に注
目すれば、その出力は、上式に△V=cos ωtで表せら
れる周期関数を代入したものとなる。出力電流Iに対応
した出力電圧Vは、次式で表される。ただし、出力V
は、バイアス電圧に対応した出力電圧を基準にした電位
である。
【数2】 V=a0 +a1 cos ωt±a2 cos 2ωt−a3 cos 3ωt (2) ただし、a1 ,a2 ,a3 は正とする。この高調波のう
ち、特に2次、3次高調波はその係数が大きいため1次
の基本波に影響を及ぼす。これが波形歪みの主原因とな
り、他のチャネルに歪みが付与される原因となる。
【0005】ここで、VI特性の対象性から2次の項の
係数はバイアス点によって正・負に分けられる。図18
に示すように、バイアス点が中央点VB1より高いB2
の場合は、出力信号振幅のプラス側が圧縮・マイナス側
が伸長される。これは、増幅器により−a2 cos 2ωt
で表される高調波が生成されることを意味する。即ち、
基本波に対して逆相の高調波が生成されることを意味す
る。また、バイアス点が中央点VB1より低いB1の場
合は、出力信号振幅のプラス側が伸長・マイナス側が圧
縮される。この場合は、+a2 cos 2ωtの高調波が生
成されることを意味する。即ち、基本波に対して同相の
高調波が生成されることを意味する。
【0006】また、増幅器のVI特性の非直線性におい
て、中央電圧に関する点対称成分が存在する。これは、
3次歪みが基本波に対して常に基本波の符号と逆の係数
を有する3次高調波を生成することを意味する。従っ
て、増幅器による出力の基本波と3次高調波とは常に逆
相の関係となる。ここに、基本波と3次高調波との位相
関係において、基本波が正の最大値をとるときに、3次
高調波が正の最大値をとる場合を同相といい、逆に、基
本波が正の最大値をとるときに、3次高調波が負の最大
値をとる場合を逆相という。換言すれば、1次の項の係
数と3次の項の係数とが同符号の場合には、3次高調波
は基本波と同相関係となり、異符号の場合には、逆相関
係となる。尚、トランジスタを反転増幅器として使用す
る場合は、(2)式において、1次の項と3次の項の係
数に−1がかけられる。
【0007】上記(2)式においては、任意の単一周波
数に関して表現されているが、多数の周波数の信号を入
力信号とすれば、(1)式の2乗の項、3乗の項からそ
れぞれ2次歪み、3次歪みが発生し、狭義の意味での2
次高調波(2ω)、3次高調波(3ω)の他、2次相互
変調(ω1 ±ω2 等)、3次相互変調(2ω1 ±ω2
ω1 ±2ω2 等)、混変調(ω1,ω2 )が生じる。しか
し、これらの相互変調は2乗の項、3乗の項から一定比
率で生じる成分であるため、2次歪み、3次歪みのキャ
ンセルに関して、2次高調波(2ω)、3次高調波(3
ω)で代表させてそれらがキャンセルされれば、全ての
2次歪み成分、全ての3次歪み成分がキャンセルされる
ことになる。従って、任意の単一周波数を入力信号とし
た場合において、2次高調波(2ω)、3次高調波(3
ω)を補正するように調整すれば、2次歪み、3次歪み
は補正される。この2次歪み・3次歪みを補正し、増幅
器の歪みを補正する回路が考案されている。
【0008】その原理は、増幅器に入力する前に入力信
号に高調波歪みを与え、増幅器によってその歪みを相殺
させる、あるいは増幅器によって発生した高調波歪みを
後段の回路で発生させる高調波歪みによって相殺させる
ものである。つまり、増幅器により発生する歪み成分と
逆位相の歪み成分を発生させる回路を増幅器の前段ある
いは後段あるいは中間部に付加することによって、出力
段の歪みを取り除こうとするものである。
【0009】歪み補正装置の一例として、特開平9−1
02718号公報がある。それは、方向ダイオードと逆
方向ダイオードとを並列接続した回路を伝送路に直接挿
入したり、プシュプル回路のそれぞれに順方向ダイオー
ドを挿入し、これらの回路で基本波に対して同相の3次
高調波を発生させて、増幅器による3次歪みを補償する
ものである。また他の例として、特開平3−17980
7号公報に記載の高周波増幅器の非線形補償装置があ
る。これは、伝送路を主線路と副線路に分岐し、副線路
側に増幅器、歪み発生装置、振幅調整装置、周波数調整
装置、位相調整装置を設け、両線路を再び結合させるも
のである。これにより、主線路を伝搬する基本波に様々
な高調波を付加し、増幅器による様々な歪みを補償しよ
うとするものである。
【0010】
【発明が解決しようする課題】しかし、特開平9−10
2718号の装置では、2次歪み、3次歪みを補正する
場合に、歪み発生回路がグランドから浮いた構成となる
ため、バイアス回路等とともに装置に実装する際、高周
波広帯域回路において意図しない寄生素子 (分布容量、
分布インダクタンス)の影響を受けやすいという問題が
あった。また、特開平3−179807号公報記載の装
置では、副線路に増幅器を含む様々な回路を挿入してい
るため、各回路において反射波の発生や位相回転を生
じ、同様に広帯域に渡って歪み補正を行うことが困難で
あるという問題がある。従って、必ずしも高品質な歪み
補正ができるものではなかった。また、実装面でも省ス
ペース化とならず小型化が実現できなかった。
【0011】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、その目的は位相調整と歪み補正
を容易にすることである。また、1本の伝送線間に挿入
するだけで精度よく2次歪み、3次歪みを補正する低消
費電力で低コストな歪み補正装置を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1の歪み補正装置は、1本の伝送路間に挿
入され、該伝送路に接続された増幅器の入出力特性の非
線形歪みを補正する歪み補正装置であって、1端を伝送
路に他端をアース側に接続した1次コイルと、同じく1
端を伝送路に他端をアース側に接続した2次コイルとか
らなり、その1次コイルを入力、2次コイルを出力とし
信号を電磁結合により伝送させるトランスと、そのトラ
ンスの1次コイル又は/および2次コイルとアース間に
直列に接続され、高調波歪みを付加する少なくとも1つ
の高調波歪み発生回路とを備え、1次コイルへの入力と
2次コイルの出力とで規定される入出力特性を前記増幅
器の前記入出力特性の略逆関数の定数倍としたことを特
徴とする。
【0013】図19は、この発明の構成を示したもので
ある。歪み補正装置1は1次コイル11と2次コイル1
2と、例えば1次コイル11に接続された歪み発生回路
14とから成る。この歪み補正装置1の入力をx、出力
をyとして、その入出力特性をy=f(x)とする。ま
た、歪み補正装置1の後段に接続されている増幅器2の
入力をy、出力zとして、その入出力特性をz=g
(y)とする。
【0014】歪み補正装置1と増幅器2とから成る1つ
の系の入力x、出力zとの関係は、次式で表される。
【数3】 z=g(y)=g(f(x)) (3) 上記の系で歪みが発生しないためには、この系が線形で
あれば良い。よって、次式が成立すれば、出力zは、入
力xの定数倍となり、歪みは含まれない。
【数4】 g(f(x))=γx (4) 但し、γは定数である。
【0015】これは、歪み補正装置1の入出力特性の関
数fを増幅器2の入出力特性の関数gの逆関数の定数γ
倍に設定することを意味する。尚、図19では、歪み補
正装置1を増幅器2の前段に配置しているが、増幅器2
の後段に配置しても同一の関係が成立する。このよう
に、歪み補正装置の入出力特性fを増幅器の入出力特性
gの逆関数の定数倍に設定することで増幅器で発生する
歪みを完全に補正することが可能となる。
【0016】近似的には、次のようにして、逆関数を求
めることができる。関数f、gに関して、3次の項まで
テーラ展開すれば、次式のように表現できる。
【数5】 f(x)=C1 x+C2 2 +C3 3 (5)
【数6】 g(y)=D1 y+D2 2 +D3 3 (6)
【0017】C1 ,D1 ≫C2 ,D2 ≫C3 ,D3 の元
に、zの3次式を係数に関して1次近似すれば、次式で
表現される。
【数7】 z=C1 1 x+(C2 1 +C1 22 )x2 +(C3 1 +C1 33 )x3 (5)
【0018】よって、2次歪み、3次歪みが出力zにお
いて含まれないための条件は、
【数8】 C2 1 +C1 22 =0 (8)
【数9】 C3 1 +C1 33 =0 (9) である。
【0019】
【数10】 C2 =−C1 22 /D1 (10)
【数11】 C3 =−C1 33 /D1 (11) である。この係数C2 ,C3 で歪み補正装置の入出力特
性fを決定すれば、近似的に増幅器の入出力特性gの逆
関数の定数倍γ=C1 1 とすることができる。
【0020】さらに、より近似された逆関数を求めるに
は、関数f、gを多項式近似して、z=g(f(x))
を求め、変数xの範囲において、そのzとγxとの誤差
の2乗積分が最小となるように係数を決定すれば良い。
【0021】上記のように係数を設定するのは、具体的
にはダイオードの非線形性を用いて歪みを発生させる場
合には、そのバイアス電圧を調整すればよい。ダイオー
ドのVI特性は指数関数であるので、バイアス電圧を調
整すれば、その特性の多項式近似における各係数の値を
変化させることができる。
【0022】請求項2の歪み補正装置は、1本の伝送路
間に挿入され、その伝送路を伝搬する基本波にその基本
波の高調波を付加し、伝送路に接続された増幅器の高調
波歪みを補正する歪み補正装置であって、1端を伝送路
に他端をアース側に接続した1次コイルと、同じく1端
を伝送路に他端をアース側に接続した2次コイルとから
なり、その1次コイルを入力、2次コイルを出力とし信
号を電磁結合により伝送させるトランスと、そのトラン
スの1次コイル又は/および2次コイルとアース間に
列に接続され、高調波歪みを付加する少なくとも1つの
高調波歪み発生回路とを備え、高調波歪み発生回路は、
1次コイルから入力された基本波に対し高調波を付加
し、その高調波を増幅器で生成される高調波の基本波と
なす位相関係と逆位相の関係で発生させ、増幅器による
高調波歪みと重畳させることで補正することを特徴とす
る。ここで、基本波とは、高帯域信号の任意の1つの信
号を指す。
【0023】例えば、1次コイルに高調波歪み発生回路
が接続されている場合は、基本波が入力されると、1次
コイルには接続された高調波歪み発生回路の電流電圧特
性に応じた電流が流れる。その電流電圧特性は、非線形
特性であり、一般に基本波に対して所定の位相関係を有
した高調波を発生させ、高調波歪みが付加される。所定
の位相関係とは、上記増幅器によって生成される高調波
と逆相の関係であり、それは高調波歪み発生回路が有す
る例えば、単数あるいは複数のダイオードの個数及び方
向に応じて設定される。具体的には、1次コイルを流れ
る基本波に対しての同符号あるいは異符号の2次高調
波、あるいは同符号の3次高調波である。その結果、1
次コイルの両端には、基本波に加え、所定の位相関係で
付加された高調波が発生する。1次コイルは、2次コイ
ルに電磁結合されている。よって、その高調波を伴う基
本波が2次コイルにほぼ等しく誘起され、出力される。
【0024】この高調波が付加された基本波は、例えば
トランジスタからなる増幅器に入力される。トランジス
タによる増幅器の入出力関係も一般に非線形であり、そ
の出力にはその動作点に応じて、基本波に対して同符号
あるいは異符号を有する2次高調波および基本波に対し
て逆相、すなわち異符号の3次高調波が生成される。入
力される信号の高調波と増幅器によって生成される高調
波は、上述のように位相が逆転されて設定されているの
で、互いに相殺される。この結果、増幅器による高調波
歪みが補正される。また、増幅器の出力段に接続され、
入力された信号に予め高調波が含まれている場合は、そ
の高調波と上記所定の位相関係で付加された高調波が1
次コイル側で重畳され、高調波歪みが補正される。
【0025】請求項2において、基本波とは、広帯域信
号のうちの注目した1つの周波数の信号である。単一の
周波数ωの信号に注目した場合には、非線形特性の2乗
の項から2ω、3乗の項から3ωの高調波が生成され
る。広帯域信号が非線形素子に入力すれば、2次、3次
の相互変調成分が生じる。請求項2の基本波に対する高
調波は、非線形特性の高次の項から生ずるスペクトルの
代表値の意味で使用されており、単一の周波数成分ωに
対して、それらの高調波成分が補償されるように高調波
歪み発生回路による歪み発生形態が調整されれば、高次
の項から生ずる全てのスペクトルを補償することができ
る。従って、請求項2の高調波歪み発生回路の調整は、
全域通過状態にして、請求項2のように調整されている
という意味である。あるいは、例えば、増幅器にフィル
タが存在し、通過帯域が有限であれば、その帯域内にお
ける高調波に注目して調整されているという意味であ
る。
【0026】非線形性と周波数スペクトルとの関係につ
いて説明する。広帯域信号をv(t)、その周波数スペ
クトル分布(フーリエ変換)をF(ω)とする。する
と、v(t)の2乗信号v(t)2 の周波数スペクトル
分布(フーリエ変換)W2 (ω)は、次式で得られる。
【数12】 W2 (ω)=∫F(ω−γ)F(γ)dγ (12) 同様に、v(t)3 の周波数スペクトル分布(フーリエ
変換)W3 (ω)は、次式で得られる。
【数13】 W3 (ω)=∫W2 (ω−γ)F(γ)dγ (13) となる。
【0027】即ち、2乗信号v(t)2 の周波数スペク
トル分布は、信号v(t)の周波数スペクトル分布の1
回の畳込み積分(自己相関関数)となり、v(t)3
周波数スペクトル分布は、信号v(t)の周波数スペク
トル分布の2回の畳込み積分、又は、2乗信号v(t)
2 の周波数スペクトル分布と信号v(t)の周波数スペ
クトル分布の畳込み積分(相互相関関数)で表される。
【0028】(12)式で、ω0 の単一スペクトルの場
合には、即ち、F(ω)をδ(−ω 0 )、δ(ω0 )と
すれば、W2 (ω)は、δ(−2ω0 )、δ(0)、δ
(2ω0 )の3本のスペクトルが得られる。これが、周
波数ω0 の基本波に対して、2乗の項から2ω0 の高調
波が得られる理由である。同様に、(13)式におい
て、ω0 の単一スペクトルを考えた場合には、W
3 (ω)は、δ(−3ω0 )、δ(−ω0 )、δ
(ω0 )、δ(3ω0 )の4本のスペクトルが得られ
る。これが、周波数ω0 の基本波に対して、3乗の項か
ら3ω0 の高調波と、ω0 の基本波が得られる理由であ
る。
【0029】上記の2乗信号、3乗信号のスペクトル成
分が増幅器により発生するとして、これらの2乗信号、
3乗信号のスペクトル成分が、他の非成形素子から出力
される2乗信号、3乗信号のスペクトル成分により、そ
れぞれ、消去される必要十分条件を次に考える。2乗信
号のスペクトル成分が消去される場合には、その2乗か
ら生じる全スペクトルが同時に消去される。よって、必
要十分条件は、任意のF(ω)に対して、2乗信号の全
スペクトルが同時に消去されることである。任意のF
(ω)に対して成立することは、単一周波数、即ち、F
(ω)が任意数のδ関数でも成立することを意味する。
任意のF(ω)はδ関数の集合と考えられるので、2乗
信号のスペクトル成分を消去するための必要十分条件
は、単一周波数ω0 に対して第2高調波2ω0 が消去さ
れることである。
【0030】同様に、3乗信号のスペクトル成分を消去
するための必要十分条件は、単一周波数ω0 に対して第
3高調波3ω0 が消去されることである。即ち、第2高
調波で2乗信号のスペクトル分布W2 (ω)を代表さ
せ、第3高調波で3乗信号のスペクトル分布W3 (ω)
を代表させることができる。請求項2は、このことを記
載しており、請求項2のように調整されれば、2乗信号
のスペクトル成分、3乗信号のスペクトル成分、又は、
その他の高次数乗信号のスペクトル成分を、全体的に消
去させることができる。このように、伝送線にトランス
を挿入し、その1次コイルに増幅器の高調波歪みに応じ
た高調波歪み発生回路を接続すれば、簡単に伝送線に接
続された増幅器の高調波歪みを補正できる。
【0031】また、2次コイルとアース間に高調波歪み
発生回路が接続されている場合も同様である。この場合
は、入力された基本波は2次コイルに誘起され、2次コ
イルには接続された高調波歪み発生回路の電流電圧特性
に応じた電流が流れる。すなわち2次コイル側で、所定
の位相関係を有する高調波が付加され出力される。
【0032】また、上記高調波歪み発生回路が、同様に
1次コイルとアース間および2次コイルとアース間にそ
れぞれ接続された場合は、それぞれの高調波歪み発生回
路によって高調波が付加され、同様の作用により増幅器
の高調波歪みが補正される。また、上記1次コイルおよ
び2次コイルに接続される高調波歪み発生回路を共通化
して、1つとしても同様の作用で同様の効果がある。こ
のように、伝送線にトランスを挿入し、その1次コイル
とアース間および2次コイルとアース間に増幅器の高調
波歪みに応じて高調波歪み発生回路を接続しても、同様
にその歪みを補正できる。
【0033】また、請求項3の歪み補正装置は請求項2
の歪み補正装置であって、高調波歪み発生回路は、基本
波に対して2次高調波を発生させる2次歪み発生回路で
あることを特徴とする。本発明の2次歪み発生回路は例
えば、ダイオード回路であり、1次コイルとアース間に
接続される。そのダイオードの方向は、アース方向ある
いはその逆方向に設定され、その一端が1次コイルに他
方端が例えばコンデンサを介してアースに接続されてい
る。ダイオードの方向がアース方向に接続されている場
合は、その非線形特性に応じて、基本波の信号電圧が+
である時に、より多くの電流が1次コイルを流れる。そ
して、その電流値に応じた電圧が2次コイルに、例えば
同相で誘起される。すなわち、基本波のプラス側の信号
振幅が伸長され、マイナス側のそれが圧縮される。これ
は、2次歪み発生回路により、入力された基本波の符号
に係わらず+符号の2次高調波が付加されることを意味
する。即ち、基本波に対して同相の2次高調波が付加さ
れる。
【0034】また、ダイオードの方向が逆であれば、そ
の伸長・圧縮方向も逆となる。その場合は、2次歪み発
生回路により、同じく1次コイルを伝搬する基本波の符
号に係わらず−符号の2次高調波が付加され、2次コイ
ル側に伝送される。即ち、基本波に対して逆相の2次高
調波が付加されて、出力される。このように、ダイオー
ドの方向によって、基本波に対して同符号あるいは異符
号の2次高調波が付加される。換言すれば、伝送線路に
接続された増幅器の歪み特性に応じてダイオードの方向
を選択し、増幅器によるそれと重畳させれば、増幅器の
2次歪みを相殺させることができる。
【0035】また、2次コイルにこの2次歪み発生回路
が接続されている場合も同様である。この場合は、入力
された基本波は2次コイルに誘起され、2次コイルには
接続された2次歪み発生回路の電流電圧特性に応じた電
流が流れる。すなわち2次コイル側で、上記同符号ある
いは異符号の2次高調波が付加され出力される。
【0036】出力された信号は、例えばトランジスタか
らなる増幅器に入力される。トランジスタは、その入出
力特性と動作点により、基本波に対して異符号あるいは
同符号の2次高調波を生成する。入力された2次高調波
はトランジスタによって生成される2次高調波と位相が
逆相になるよう設定されているので、重畳されて、相殺
せられる。これにより、増幅器による2次歪みが補正さ
れる。
【0037】また、増幅器の出力段に接続され、入力さ
れた信号に予め2次高調波が含まれている場合は、その
高調波と逆相の位相関係で付加された高調波が1次コイ
ル上あるいは2次コイル上で重畳され、高調波歪みが補
正される。また、上記同様、2次歪み発生回路が、1次
コイルと2次コイルにそれぞれ接続された場合も同様な
効果がある。又、2次歪み発生回路を共通化して相互に
逆相結合の1次コイルと2次コイルに共通に接続した場
合も同様の効果がある。このように、伝送線にトランス
を挿入し、その1次コイルまたは/および2次コイル
に、増幅器の2次波歪みに応じた2次歪み発生回路を接
続すれば、増幅器の2次歪みが補正できる。尚、1次コ
イルと2次コイルとが正相で結合している場合には、1
次コイル側と2次コイル側とで、基本波と2次高調波と
の位相関係は同一、即ち、2次高調波が一次コイル側で
基本波に対して同相、又は、逆相の関係にあれば、2次
コイル側でも同相、又は、逆相の関係にある。逆に、1
次コイルと2次コイルとが逆相で結合している場合に
は、1次コイル側と2次コイル側とで、基本波と2次高
調波との位相関係は反転する、即ち、2次高調波が一次
コイル側で基本波に対して同相、又は、逆相の関係にあ
れば、2次コイル側では逆相、又は、同相の関係とな
る。このことを考慮して、ダイオードの向きを設定する
必要がある。
【0038】また、請求項4の歪み補正装置は請求項2
に記載の歪み補正装置であって、その高調波歪み発生回
路は、基本波に対して3次高調波を発生させる3次歪み
発生回路であることを特徴とする。本発明の3次歪み発
生回路は、例えば2個のダイオードを有しており、2個
のダイオードが互いにその方向が異なるように並列に構
成され、その一端が1次コイルあるいは2次コイルに他
方端がコンデンサを介してアースに接続されている。
【0039】例えば、1次コイルに3次歪み発生回路が
接続されている場合は、基本波が入力されると、1次コ
イルには接続された3次歪み発生回路の電流電圧特性に
応じた電流が流れる。その電流電圧特性は、2個のダイ
オードが互いにその方向が異なるように並列に構成され
ているので点対称な非線形特性となり、動作点を中心に
基本波の+側あるいは−側の両側で、より多くの電流が
1次コイルを流れる。そして、その電流値に応じてより
大きい電圧で2次コイルに、例えば、同相で誘起され
る。すなわち、動作点を中心に基本波の+側および−側
の両側で信号振幅が伸長された信号が出力される。これ
は、3次歪み発生回路により、入力された基本波に対し
て、+符号の3次高調波、即ち同相の3次高調波が付加
されたことになる。
【0040】また、2次コイルにこの3次歪み発生回路
が接続されている場合も同様である。この場合は、入力
された基本波は2次コイルに誘起され、2次コイルには
接続された3次歪み発生回路の電流電圧特性に応じた電
流が流れる。すなわち2次コイル側で、上記同相の3次
高調波が付加され出力される。
【0041】この基本波と同符号を持った3次高調波
は、例えばトランジスタからなる増幅器に入力される。
トランジスタは、その入出力特性により、基本波に対し
て異符号の3次高調波を生成する。入力された3次高調
波は、トランジスタによって、新たに生成された異符号
の3次高調波と重畳され、相殺せられる。これにより、
増幅器による3次歪みが補正される。尚、3次歪みの場
合には、1次コイルと2次コイルの結合の極性には関係
なく、常に、基本波に対して同相の3次高調波が発生す
ることになる。上記においては、基本波を入力し、その
3次高調波を補正するように説明したが、この状態で、
広帯域信号を入力させても、その入出力特性の3次の項
から発生する全ての3次歪みを補正することができる。
【0042】また、増幅器の出力段に接続され、入力さ
れた信号に予め3次高調波が含まれている場合も同様で
ある。その高調波と逆相の位相関係で付加された高調波
が1次コイル上あるいは2次コイル上で重畳され、高調
波歪みが補正される。また、上記同様、3次歪み発生回
路が、1次コイルおよび2次コイルにそれぞれ別々に接
続された場合、あるいは1つの3次歪み発生回路が共通
化されて1次コイルおよび2次コイルに共通に接続され
ても、その3次歪み発生回路よって3次高調波が付加さ
れる。これにより、上記同様の作用により増幅器の3次
歪みが補正される。
【0043】このように、伝送線にトランスを挿入し、
その1次コイルまたは/および2次コイルに、増幅器の
3次歪みに応じた3次歪み発生回路を接続すれば、その
3次歪みが簡単に補正できる。
【0044】また、請求項5の歪み補正装置は、請求項
2に記載の歪み補正装置であって、その高調波歪み発生
回路は、基本波に対して2次高調波を発生させる2次歪
み発生回路と3次高調波を発生させる3次歪み発生回路
であり、その2次歪み発生回路と3次歪み発生回路は、
1次コイル又は2次コイルにそれぞれ直列あるいは並列
に接続、または1次コイルと2次コイルにそれぞれが接
続されることを特徴とする。
【0045】2次歪み発生回路および3次歪み発生回路
の作用は、上述の請求項3および請求項4に記載のそれ
と同等である。即ち、2次歪み発生回路はダイオードの
方向によって、付加される2次高調波の符号が決定さ
れ、その結果、基本波を圧縮・伸長あるいは伸長・圧縮
させる。また、3次歪み発生回路は、同相の3次高調波
を付加し、その結果、基本波を+側にも−側にも伸長さ
せる。
【0046】例えば、1次コイル側に、この2次歪み発
生回路と3次歪み発生回路が並列に接続された場合は、
1次コイルに、上記2次歪み発生回路と3次歪み発生回
路の電流電圧特性に応じた電流が流れ、それぞれの電流
変化に応じた電圧が1次コイルに発生する。1次コイル
および2次コイルは電磁結合されているので、2次コイ
ルから、基本波に対して同符号あるいは異符号の2次高
調波と同符号の3次高調波が付加された基本波が出力さ
れる。また、2次コイル側にこの2次歪み発生回路と3
次歪み発生回路が直列で接続された場合も、その作用と
効果は同等である。すなわち、1次コイルに基本波が入
力されると、2次コイルに上記2次歪み発生回路と3次
歪み発生回路の電流電圧特性に応じた電流が流れ、その
結果、2次コイルから所定の2次高調波と同符号の3次
高調波が付加された信号が出力される。
【0047】この2次コイルからの出力が、例えばトラ
ンジスタからなる増幅器に入力されると、増幅器で生成
される異符号の3次高調波および同符号あるいは異符号
の2次高調波と相殺される。この状態において、増幅器
による全ての2次歪み成分と全ての3次歪み成分が同時
に補正される。また、増幅器の出力段に接続され、入力
された信号に予め2次高調波・3次高調波が含まれてい
る場合も同様に、それぞれの成分は逆相で1次コイルあ
るいは2次コイル上で重畳され同時に補正される。
【0048】また、1次コイル側に2次歪み発生回路、
2次コイル側に3次歪み発生回路が接続された場合は、
1次コイル側で付加された2次高調波が2次コイルに誘
起される。2次コイル側には、3次歪み発生回路が接続
されているので、さらにその3次高調波がさらに重畳さ
れる。すなわち、2次コイルから、基本波に対して所定
の同符号あるいは異符号の2次高調波と同符号の3次高
調波が付加されて出力される。これにより、伝送路に接
続された増幅器の2次歪み・3次歪みが同時に補正され
る。
【0049】このように1次コイルあるいは、2次コイ
ルに2次歪み発生回路と3次歪み発生回路を直列あるい
は並列に接続、またはそれぞれを接続し、基本波に対し
て2次高調波および3次高調波を発生させるように設定
すれば、増幅器の広帯域信号に対して発生する全ての2
次歪み成分と全ての3次歪み成分との両者を一度に補正
することができる。従って、極めて効率的な歪み補正装
置となる。尚、上記のように2次歪み発生回路をダイオ
ード回路で構成した場合には、その入出力特性が指数関
数である関係上、3乗の係数も比較的大きく、2次高調
波を発生すると同時に3次高調波も発生する。このた
め、3次歪み発生回路においては、増幅器で発生する3
次高調波と2次歪み発生回路で発生する3次高調波の両
成分を補償するように3次歪みを発生するように設定す
る。
【0050】また、請求項6の歪み補正装置は、請求項
2乃至請求項5に記載の何れか1つの歪み補正装置であ
って、その高調波歪み発生回路は歪み量調整手段を有
し、その歪み量調整手段によって高調波歪み量が増幅器
に応じて調整されることを特徴とする。高調波歪み回路
は、例えば非線形な電流電圧特性を有するダイーオード
回路であり、そのダイオード回路に流れる電流の大きさ
によって、付加される高調波歪み量の大きさが決定され
る。周知のように、ダイオードを流れる電流は、その動
作点によって決定される。よって、動作点が決定されれ
ば、高調波歪み量の大きさが決定される。歪み量調整手
段は、例えばバイアス回路に直列に接続された可変抵抗
であり、上記動作点を決定する。これにより、高調波歪
み量すなわち歪み波形が調整される。
【0051】例えば、高調波歪み発生回路を順方向に接
続されたダイオード回路とし、歪み量調整手段によりバ
イアスを深くして動作抵抗を小さくすると、より大きい
電流が流れる。すなわち、より大きい電圧が2次コイル
に誘起され、基本波の+側がより大きく伸長された波形
となる。この量は、併用する増幅器に合わせて調整する
ことができる。すなわち、ダイオードの動作点を調整す
ることで、高調波歪み発生回路で発生する歪みの比率を
調整でき、接続された増幅器の2次歪み成分あるいは3
次歪み成分を0とすることができる。上述したように、
基本波に対して2次高調波を0とする条件で、広帯域信
号を入力した場合に入出力特性の2乗の項から生ずる全
ての2次歪み成分を0とすることができる。これは、3
次歪み発生回路においても同様である。これにより、さ
らに精度良く高調波歪みが補正できる。よって、より高
品質な伝送を可能とする歪み補正装置となる。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。なお、本発明は下記実施例
に限定されるものではない。 (第1実施例)本実施例の説明に使用する増幅器は、位
相関係の説明を簡単にするために正相増幅器とし、バイ
アスが中点よりも低い状態で入力され、その結果、出力
信号の基本波の正期間が伸長され負期間が圧縮される特
性、すなわち基本波に対して同相関係の2次高調波が付
加される増幅器であるとする(図18(c)に対応)。
本発明の歪み補正装置は、この様な歪み特性を有する増
幅器に有効である。
【0053】図1に本発明の歪み補正装置の構成ブロッ
ク図を示す。本発明の歪み補正装置は、1次コイル10
1と2次コイル102が電磁結合されたトランス10
0、その1次コイルとアース間に接続された2次歪み発
生回路200とから構成される。トランス100はフェ
ライトコアに導線を巻き付けたものであり1次側、2次
側とも数ターンである。また、2次歪み発生回路200
は、後述するようにダイオードから構成され、ダイオー
ドの非線形な電流電圧特性によって、基本波に対して、
2倍の周波数の2次高調波を付加するものである。尚、
図中Rsは信号源の内部抵抗である信号源抵抗であり、
C1,C2は直流遮断用コンデンサーである。この直流
遮断用コンデンサーC2を通過した高周波信号が、次段
に接続された増幅器に入力される。
【0054】図2に、2次歪み発生回路200を示す。
2次歪み発生回路は、主にショットキーダイオード21
0とそれに直流のバイアス電圧をかけるバイアス回路2
20および高周波信号を経由させるバイパス回路240
から構成されている。ここで、高周波信号の印加される
向きに順バイアス電圧が印加されている場合を順方向、
高周波信号の印加される向きと逆向きに順バイアス電圧
が印加されている場合を逆方向という。図2の回路図で
は、ショットキ−ダイオード210の向きは逆向きであ
る。また、図3にショットキ−ダイオード210の電流
電圧特性を示す。バイアス回路220によって、バイア
ス点がB1に設定されている。図から分かるように、そ
の電流電圧特性は非線形となる。すなわち、信号の正期
間が圧縮され、負期間が伸長された非線形な電流が流れ
る。
【0055】図1、図2を用い、信号の流れに従って説
明する。信号源から出力された基本波信号は、例えばC
ATV信号等の高周波信号である。これは、V=V0 co
s ωtで表される。この信号が、上記構成の歪み補正装
置に入力されると、1次コイル101を経て、2次歪み
発生回路200に所定の分圧比で上記信号が印可され
る。その分圧比は、1次コイル101と2次歪み発生回
路200のインピーダンス比で決定される。例えば分圧
比をrとすると2次歪み発生回路200には基本波信号
rV0 cos ωtが印可される。尚、以降、周波数ωの信
号を基本波信号、2ωのそれを2次高調波、3ωのそれ
を3次高調波と記す。
【0056】2次歪み発生回路200に印可された基本
波信号rV0 cos ωtは、直流遮断用コンデンサC1
1、ショットキ−ダイオード210およびバイパス回路
240、直流遮断用コンデンサC12に印可される。こ
の時、2次歪み発生回路200を構成するショットキ−
ダイオード210は、上記の様に動作点にバイアス点B
1が設定されている。従って、図3の(b)に示すバイ
アス電圧VB1を中心に基本波信号rkV0 cos ωtが
印可される。その結果、入力信号に対して正期間は圧縮
・負期間は伸長された非線形な電流が流れる。ここに、
上記kはバイパス回路240による分流比によって決定
される比例定数である。
【0057】この非線形な電流は、1次コイル101を
流れる。1次コイル101と2次コイル102は電磁結
合されているので、その結合係数をほぼ+1とすれば、
この正期間が圧縮・負期間が伸長された非線形な信号が
2次コイル102に誘起される。これは、ショットキー
ダイオード210の非線形電流電圧特性によって基本波
rkV0 cos ωtに対して逆相の2次高調波−α(rk
0 2cos2ωtが付加されること意味する。ここに、
αはショットキ−ダイオード210で付加される2次高
調波の係数である。(2)式で説明するならば、係数が
マイナスである2次高調波−a2cos(2ωt)が付加された
ことを意味する。
【0058】この高調波歪みを伴った信号は、続いて図
示しない増幅器に入力される。本実施例は、上述の様
に、入力信号の基本波に対して正期間が伸長され負期間
が圧縮される特性、すなわち基本波に対して+符号(同
相関係)の2次高調波が付加される増幅器を想定してい
る。従って、増幅器においては、2次コイル102から
入力された基本波V0 cosωtにより、+符号の2次歪
みβV0 2cos2ωtが生成される。ここに、βは増幅器
の入出力特性による2乗の項の係数である。また係数が
マイナスである2次高調波−α(rkV0 2 cos 2ω
tも、同時に増幅されて出力される。例えば、増幅率を
Aとすれば −αA(rkV0 2cos2ωtが出力され
る。
【0059】この新たに生成された2次歪みβV0 2cos
2ωtは、入力されて増幅された上記2次歪み−αA
(rkV0 2cos2ωtと周波数は同一で、位相が反転
している。従って、増幅器の特性(β、A)を考慮し
て、バイアス点B1(図3)やパイパス回路240の回
路定数等を調整して、ショットキーダイオード210に
より係数α、k、rを選定すれば、2次成分の係数[β
−αA(rk)2 ]を零とすることができる。すなわ
ち、増幅器の出力から2次歪みを取り除くことができ
る。
【0060】これはショットキーダイオード210の非
線形性によって圧縮・伸長された波形がトランジスタの
非線形な入出力特性によって逆に伸長・圧縮され、結果
として増幅器による高調波歪みが補正されることを意味
する。これにより入力波形に忠実な出力波形が伝送され
る。尚、伝送線に接続される増幅器が、バイアスが中点
よりも高い状態で入力され、その結果、出力信号の基本
波の正期間が圧縮され負期間が伸長される特性、すなわ
ち基本波に対して逆相関係の2次高調波が付加される正
相増幅器である場合は、図4に示す様にダイーオードの
方向を逆にすればよい。すなわち、順方向に接続された
2次歪み発生回路を使用すれば、基本波の正期間が伸長
され負期間が圧縮され、上記特性の増幅器の歪みを補正
することができる。この場合のショットキ−ダイオード
210の電流電圧特性は、図3の(a)である。尚、ト
ランス100が逆相トランスの場合には、2次コイル1
02側では基本波と2次高調波との位相関係が反転する
ので、ショットキーダイオード210の向きは、上述し
た場合と、それぞれ逆向きとなる。
【0061】以上のように、任意の単一周波数ωの基本
波に対して、増幅器の出力において、2次高調波を0と
するように歪み発生回路200のバイアス電圧を調整す
れば、増幅器の入出力特性の2乗の項から生じる全ての
2次歪み成分を0とすることができ、2次歪みを補正す
ることができる。
【0062】また上記実施例では、歪み補正装置は増幅
器の入力段に接続したが、逆に増幅器の出力段に接続し
てもよい。すなわち、入力された信号に予め2次高調波
が含まれている場合は、1次コイル側で逆相の位相関係
で2次高調波が重畳され、入力された2次歪みが補正さ
れる。
【0063】また、上記実施例では歪み発生回路200
が1次コイル101に接続された場合を説明したが、こ
の歪み発生回路200は2次コイル102に接続されて
もよい。その場合は、入力された基本波は2次コイル1
02に電磁誘導され、2次コイル102には接続された
2次歪み発生回路200の電流電圧特性に応じた電流が
流れる。すなわち2次コイル側で、基本信号に加え、上
記同符号あるいは異符号の2次高調波±α(rkV0
2 cos 2ωtが付加され出力される。増幅器との作用お
よび効果は、1次コイルに設けた場合と同じである。
【0064】このように、伝送線にトランスを挿入し、
その1次コイルとアース間または2次コイルとアース間
に2次歪み発生回路を接続し、増幅器の2次高調波歪を
相殺するようバイアス電圧を調整すれば、その2次歪み
が補正される。よって、容易に増幅器の2次歪みを補正
する歪み補正装置となる。
【0065】(第2実施例)本実施例の説明に使用する
増幅器は、例えば、2次歪み成分が補正されたプッシュ
プル増幅器のように、その入出力特性が振幅の中央点に
対して、点対象の非線形性を有するものである。即ち、
入出力特性の3乗の項から生じる3次歪みを発生する増
幅器である。任意周波数の単一の基本波に関して、正期
間・負期間とも圧縮される特性、即ち、基本波に対して
逆相関係の3次高調波が付加される特性を有している。
本発明の歪み補正装置は、この様な歪み特性を有する増
幅器に有効である。
【0066】図5に、本発明の歪み補正装置の構成ブロ
ック図と上記増幅器の配置を示す。構成は第1実施例と
同等である。異なる所は、2次歪み発生回路200に代
えて、3次高調波を付加する3次歪み発生回路300を
設けたことである。尚、第1実施例と同等の機能を有す
る部位には、同じ番号が付されている。また、基本波の
入力過程、1次コイルから2次コイルへの電磁誘導過程
は第1実施例と同等であるので省略し、主に、3次歪み
発生回路300の作用と上記増幅器の補正過程を説明す
る。
【0067】図6に、3次歪み発生回路300の回路図
を示す。3次歪み発生回路300は、異なる方向に並列
に形成されたショットキーダイオード310、320と
それに直流のバイアス電圧をかけるバイアス回路330
および基本波の1部を通過させるバイパス回路340か
ら構成される。また、バイアス回路330は、交流遮断
用コイルL21(3.3μH)、調整用抵抗R21、R
22,R23から構成される。また、同じくコンデンサ
C21,C22、23は直流遮断用である。図7に、こ
の並列接続されたショットキーダイオード310、32
0の総合した電流電圧特性を示す。電流電圧特性は、双
曲線正弦関数となる。横軸はB点の交流電圧、縦軸はB
点をアース側に流れる向きを正にとった交流電流であ
る。原点はショットキーダイオード310、320のそ
れぞれに順方向にかかるバイアス電圧VB である。この
双曲線正弦関数をバイアス点VB の周りにテーラ展開す
ると、点対称性から1乗の項と3乗の項が支配的とな
り、それぞれの係数は正となる。よって、信号電流は、
正負とも伸長される波形となる。すなわち、線形な入力
電圧に対して、非線形に増加した電流が流れる。
【0068】この非線形な電流は1次コイル101を流
れ、その両端に歪み電流に応じた信号電圧を発生させ
る。すなわち、3次歪み発生器300によって基本波信
号に3次歪みが付加される。また、1次コイル101と
2次コイル102は電磁結合されている。従って、その
結合係数をほぼ1とすれば、2次コイル102上には同
様に、非線形に正期間・負期間とも伸長された電圧が誘
導される。これは、3次歪み発生回路300のショット
キ−ダイオード310、320によって、基本波rkV
0 cos ωtに対して、同符号の係数を有する+α(rk
0 3cos3ωtの高調波が付加されたことを意味す
る。この様にして、2次コイル上からは、基本波ととも
に同符号の係数を有する+α(rkV0 3cos3ωtの
高調波が出力される。
【0069】この歪みを伴った信号は、続いて図示しな
い増幅器に入力される。本実施例は、上述の様に、入力
信号の基本波に対して正期間・負期間とも圧縮される特
性、すなわち基本波に対して−符号(逆相関係)の3次
高調波が付加される増幅器を想定している。従って、2
次コイル102から基本波V0 cos ωtが増幅器に入力
されると、基本波V0 cos ωtにより、−符号の3次歪
み−βV0 3cos3ωtが生成される。ここで、βは増幅
器の入出力特性による3乗の項の係数である。また係数
が+符号の3次高調波α(rkV0 3cos3ωtも、同
時に増幅されて出力される。例えば増幅率をAとすれ
ば、Aα(rkV0 3cos3ωtが出力される。
【0070】この新たに生成された3次歪み−βV0 3c
os3ωtは、入力されて増幅された上記3次歪みAα
(rkV0 3cos3ωtと周波数は同一で、位相が反転
している。合波すれば、−[β−αA(rk)3 ]V0
3cos3ωtとなる。従って、3次成分の係数−[β−α
A(rk)3 ]が零になるように、バイアス点VB やパ
イパス回路340の回路定数等を調整すれば、増幅器の
出力から3次歪みを相殺することができる。
【0071】これはショットキーダイオード310、3
20の非線形性によって正期間・負期間とも伸長された
波形がトランジスタの入出力特性(非線形)によって逆
に圧縮され、結果として増幅器の3次歪みが補正される
ことを意味する。これにより入力波形に忠実な出力波形
が伝送される。
【0072】以上のように、任意の単一周波数ωの基本
波に対して、増幅器の出力において、3次高調波を0と
するように3次歪み発生回路300のバイアス電圧等を
調整すれば、増幅器の入出力特性の3乗の項から生じる
全ての3次歪み成分を0とすることができ、3次歪みを
補正することができる。
【0073】また、上記実施例では、増幅器の入力段に
接続したが、逆に増幅器の出力段に接続してもよい。す
なわち、入力された信号に予め−符号を有する3次高調
波が含まれている場合は、1次コイル側でその歪み成分
と逆相の位相関係で3次高調波が重畳され、入力された
3次歪みが補正される。
【0074】また、上記実施例では歪み発生回路300
が1次コイル101に接続された場合を説明したが、こ
の歪み発生回路300は、2次コイル102に接続され
てもよい。その場合は、2次コイル側で基本信号に加
え、+符号を有する3次高調波+α(rkV0 3 cos
3ωtが付加されて出力される。増幅器との作用および
効果は、1次コイルに設けた場合と同じである。
【0075】このように、伝送線にトランスを挿入し、
その1次コイルまたは2次コイルに、3次歪み発生回路
を接続し、増幅器の3次高調波歪を相殺するようバイア
ス電圧を調整すれば、その3次歪みが補正できる。よっ
て、容易に増幅器の3次歪みを補正することができる。
【0076】(第3実施例)本実施例の説明に使用する
増幅器は、バイアス点が中央値より低く設定され、出力
信号の基本波の正期間・負期間とも圧縮されるととも
に、出力信号の基本波の正期間は相対的に伸長され負期
間が圧縮される特性、すなわち基本波に対して逆相の3
次高調波と同相の2次高調波が付加される増幅器である
とする。すなわち、入力信号V0cosωtに対して、+β
1 o 2cos2ωtの2次高調波と−β2o 3cos3ωt
の3次高調波が生成される増幅器であるとする。本発明
の歪み補正装置は、この様な歪み特性を有する増幅器に
有効である。
【0077】図8に、本発明の歪み補正装置の構成ブロ
ック図と上記増幅器の配置を示す。構成は第1、第2実
施例と同等である。異なる所は、高調波歪み発生回路と
して、1次コイル101に2次歪み発生回路200(図
2)と3次歪み発生回路300(図6)が並列に接続さ
れていることである。図9に並列に接続された2次歪み
発生回路200と3次歪み発生回路300を示す。ここ
でも同様に、ダイオードの方向により2次歪み発生回路
200、3次歪み発生回路300は、それぞれ基本波に
対して逆相の2次高調波と、同相の3次高調波が付加さ
れる。尚、第1実施例、第2実施例と同等の機能を有す
る部位には、同じ番号が付されている。また、基本波の
入力過程、1次コイルから2次コイルへの電磁誘導過程
は第1実施例と同等であるので省略し、主に、2次歪み
発生回路200および3次歪み発生回路300の作用と
上記増幅器の補正過程を説明する。
【0078】信号源から入力された基本波信号は、1次
コイル101を経て、2次歪み発生回路200と3次歪
み発生回路300に印可される。信号が2次歪み発生回
路200に印加されることにより、第1実施例同様、基
本波rV0 cos ωtに対して、逆相の2次高調波−α
1(rk1 0)2 cos 2ωtが付加される。同様に、3次
歪み発生回路300に印加されることにより、第2実施
例同様基本波rV0 cos ωtに対して、同相の3次高調
波α2(rk2 0)3cos3ωtが付加される。ここに、k
1 、k2 は2次歪み発生回路200、3次歪み発生回路
300内におけるダイオードへの分流比によって決定さ
れる係数、α1 は2次高調波の係数、α2 は3次高調波
の係数である。
【0079】この様な2次高調波および3次高調波は基
本波とともに、電磁結合された2次コイル102に誘起
される。従って、2次コイル102から出力される信号
は、次式で表される。
【数14】 Vout =V0 cos ωt−α1(rk1 0)2 cos 2ωt +α2(rk2 0)3 cos 3ωt (14)
【0080】次ぎに、この信号は上述の増幅器に入力さ
れる。上述の増幅器は、相対的に基本波の正期間が伸長
され負期間が圧縮される特性、すなわち同相の2次高調
波を付加する特性を有している。従って、第1項の基本
波V0cosωtが入力されると、+β1 (V0 2cos2ω
tが付加される。また、同時に上記増幅器は、出力信号
の基本波の正期間・負期間とも圧縮する逆相の位相特性
>も有している。従って、第1項の基本波V0cosωtが
入力されると、基本波と逆相の−β2 0 3cos 3ωtが
付加される。従って、増幅器から出力される高調波信号
は次式で表される。
【数15】 Vout1=β1 0 2cos 2ωt−β2 0 3cos 3ωt (15)
【0081】増幅器には、(14)式によって表される
第2項、第3項の高調波成分も入力される。従って、そ
の成分も増幅されて出力される。増幅率をAとすれば、
その出力は次式になる。
【数16】 Vout2=−α1 A( rk1)2 0 2cos 2ωt +α2 A( rk2 3 0 3 cos3ωt (16)
【0082】上式(15)、(16)によれば、増幅器
で新たに生成される高調波成分と入力される高調波成分
は、周波数が同じでそれぞれの符号が異なっている。従
って、分圧比r、分流比に基づく係数k1,2 、および
ショットキ−ダイオードのバイアス電圧によって、制御
される高調波係数α1 、α2 を調整すれば、互いに相殺
させることができる。これにより、2次高調波成分およ
び3次高調波成分を同時に0にすることができ、増幅器
の2次歪み・3次歪みが同時に効率よく補正される。
【0083】尚、上述の説明においては、2次歪み発生
回路200からは3次高調波が発生しないものとして説
明したが、ダイオード等の指数関数特性で非線形歪みを
発生する場合には、2次高調波を発生させる場合には3
次高調波も付随する。よって、3次歪み発生回路300
はこの3次高調波も含む補正回路となる。具体的には2
次歪み発生回路200が任意の周波数の基本波に対して
発生する3次高調波を3次歪み発生回路300で発生す
る3次高調波で補正するように調整すれば良い。
【0084】また、上記増幅器がバイアスが中点よりも
高い状態で入力され、出力信号の基本波の正期間が圧縮
され負期間が伸長されるとともに全体的に圧縮される特
性、即ち、基本波に対して逆相関係の2次高調波と逆相
関係の3次高調波が付加される増幅器である場合は、2
次歪み発生回路200において、トランス100が正相
トランスならば、図4に示す様にダイーオードを順方向
に接続して使用すれば、同様に補正することができる。
【0085】このように、伝送線にトランスを挿入し、
その1次コイルまたは2次コイルに、2次歪み発生回路
および3次歪み発生回路を並列に接続し、増幅器の2次
・3次歪を相殺するようバイアス電圧等を調整すれば、
2次歪み・3次歪みを同時に補正できる。これにより、
伝送線に接続された増幅器の2次歪み・3次歪みを同時
に精度よくまた効率的に補正する歪み補正装置となる。
【0086】(変形例)以上、本発明を表わす1実施例
を示したが、他にさまざまな変形例が考えられる。例え
ば、第1実施例乃至第3実施例の図中、1個のダイオー
ドは複数の直列又は並列接続のダイオードで置換しても
良い。要は、複数のダイオードを同一方向に直並列に接
続して1個のダイオードに置換することができる。各抵
抗も同様である。
【0087】また、第1実施例における2次歪み発生回
路200は1例であり、他に図10(a),(b)に示
す回路も適用できる。R11、R13は歪み調整用回
路,C11,C12は直流阻止コンデンサ、L11は交
流阻止用コイルである。
【0088】また、第2実施例における3次歪み発生回
路300も1例であり、他に図10(c)に示す回路も
適用できる。同じくL21は交流阻止用コイル、C2
1,C22,C23は直流阻止コンデンサであり、歪み
量の調整は、R21,R23、VR1で調整される。
尚、調整抵抗VR1によって、ダイオード310、32
0のバイアス電流差を調整することで、2次歪み成分の
量を減少させたり、バイアス電流差を増大することで、
増幅器の2次歪みの補償も可能となる。
【0089】また、第3実施例では、2次歪み発生回路
200と3次歪み発生回路300を並列で1次コイル1
01に接続したが、2次コイル側に接続してもよい。ま
た、図11に示すように2次歪み発生回路200を1次
コイル101に3次歪み発生回路300を2次コイル1
02に別々に接続してもよい。あるいは、この逆でもよ
い。この場合は、1次コイル101側で2次高調波が付
加され、2次コイル側で3次高調波が付加される。
【0090】さらに、第3実施例では、2次歪み発生回
路と3次歪み発生回路とを並列接続したもので説明した
が、図12に示すように、2次歪み発生回路200と3
次歪み発生回路300とを直列接続しても同様に、2次
歪み、3次歪みの補正が可能である。この直列接続の回
路を図13に示す。Bias1端子に印可される電圧に
よりダイオード310,320がバイアスされ、3次高
調波が付加される。また、Bias2端子に印可される
電圧によりダイオード210がバイアスされ、同じく2
次高調波が付加される。また、この回路は、図14
(a),(b)に示す回路を用いても良い。この回路の
異なるところは、ダイオード210の方向が異なること
により、付加される2次高調波の符合が異なることであ
る。尚、歪み量の調整は、R11,R12,R21,R
22,R23で調整される。
【0091】2次歪み発生回路を接続するトランス10
0をトランジスタTrの結合トランスと兼用した例を図
20図に示す。このような回路で付加された2次歪みも
トランス100の2次コイル側に誘起され、トランジス
タTrの非線形性を補正することができる。
【0092】また、他の変形例として、図15に示すよ
うに1次コイル101と2次コイル102を接続し、そ
の中点に高調波歪み発生回路400を設けても良い。こ
の時、高調波歪み発生回路400は2次歪み発生回路2
00でもよいし、また3次歪み発生回路300でも、ま
たその両者を直列あるいは並列に接続したものでも良
い。例えば、図16に示す回路も適用できる。Bias
1で駆動される3次歪み発生回路300とBias2で
駆動される2次歪み発生回路200が並列に接続されて
いる。このような構成でも、2次コイル側からは2次高
調波と3次高調波を伴った基本波が出力され、増幅器に
対して同様な作用をする。また、第1実施例乃至第3実
施例に用いたトランスは、同相あるいは逆相のいずれで
もよい。
【0093】また、上記実施例の2次歪み発生回路20
0および3次歪み発生回路300では、CATV信号に
適用させるため、順方向電圧が小さく応答速度の速いシ
ョットキ−ダイオード210,310,320を用いた
が、PINダイオード、他のダイオードを用いてもよ
い。また、ダイオードの非線形性を利用して歪み発生回
路を構成したが、増幅器の歪みを相殺するならば、ダイ
オードによらず接合型又は電界効果型のトランジスタで
歪み発生回路を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る歪み補正装置の構成
ブロック図。
【図2】本発明の第1実施例係る高調波歪み発生回路の
回路図。
【図3】本発明の第1実施例に係る歪み補正装置の動作
を示す電流電圧特性図。
【図4】本発明の第1実施例係る高調波歪み発生回路の
回路図。
【図5】本発明の第2実施例に係る歪み補正装置の構成
ブロック図。
【図6】本発明の第2実施例係る高調波歪み発生回路の
回路図。
【図7】第2実施例による歪み発生回路の動作特性を示
した特性図。
【図8】本発明の第3実施例に係る歪み補正装置の構成
ブロック図。
【図9】本発明の第3実施例に係わる高調波歪み発生回
路の並列配置図。
【図10】本発明に係わる高調波歪み発生回路の変形
図。
【図11】本発明の第3実施例に係る歪み補正装置の変
形ブロック図。
【図12】本発明の第3実施例に係る歪み補正装置の変
形ブロック図。
【図13】本発明に係わる高調波歪み発生回路の直列配
置図。
【図14】本発明に係わる高調波歪み発生回路の変形
図。
【図15】本発明に係わる歪み補正装置の変形図。
【図16】本発明に係わる高調波歪み発生回路の変形
図。
【図17】増幅器による波形歪みの1例の説明図
【図18】増幅器の電流電圧特性図。
【図19】本発明による歪み補正方法を説明した説明
図。
【図20】本発明の変形例に係る歪み発生装置と歪みを
補償するためのトランジスタとの接続関係を示した回路
図。
【符号の説明】
100 トランス 101 1次コイル 102 2次コイル 200 2次歪み発生回路 220 バイアス回路 240 バイパス回路 300 3次歪み発生回路 330 バイアス回路 340 バイパス回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−102908(JP,A) 特開 昭54−27341(JP,A) 特開 昭52−72512(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03F 1/32

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1本の伝送路間に挿入され、該伝送路に接
    続された増幅器の入出力特性の非線形歪みを補正する歪
    み補正装置であって、 1端を伝送路に他端をアース側に接続した1次コイル
    と、同じく1端を伝送路に他端をアース側に接続した2
    次コイルからなり、該1次コイルを入力、該2次コイル
    を出力とし信号を電磁結合により伝送させるトランス
    と、 該トランスの1次コイル又は/および2次コイルとアー
    ス間に直列に接続され、高調波歪みを付加する少なくと
    も1つの高調波歪み発生回路を備え、 前記1次コイルへの入力と前記2次コイルの出力とで規
    定される入出力特性を前記増幅器の前記入出力特性の略
    逆関数の定数倍としたことを特徴とする歪み補正装置。
  2. 【請求項2】1本の伝送路間に挿入され、該伝送路を伝
    搬する基本波に該基本波の高調波を付加し、該伝送路に
    接続された増幅器の高調波歪みを補正する歪み補正装置
    であって、 1端を伝送路に他端をアース側に接続した1次コイル
    と、同じく1端を伝送路に他端をアース側に接続した2
    次コイルからなり、該1次コイルを入力、該2次コイル
    を出力とし信号を電磁結合により伝送させるトランス
    と、 該トランスの1次コイル又は/および2次コイルとアー
    ス間に直列に接続され、高調波歪みを付加する少なくと
    も1つの高調波歪み発生回路とを備え、 該高調波歪み発生回路は、1次コイルから入力された信
    号に対し前記高調波を付加し、該高調波を前記増幅器で
    生成される高調波の基本波となす位相関係と逆位相の関
    係で発生させ、前記増幅器による高調波歪みと重畳させ
    て補正することを特徴とする歪み補正装置。
  3. 【請求項3】前記高調波歪み発生回路は、基本波に対し
    て2次高調波を発生させる2次歪み発生回路であること
    を特徴とする請求項2に記載の歪み補正装置。
  4. 【請求項4】前記高調波歪み発生回路は、基本波に対し
    て3次高調波を発生させる3次歪み発生回路であること
    を特徴とする請求項2に記載の歪み補正装置。
  5. 【請求項5】前記高調波歪み発生回路は、前記2次歪み
    発生回路と前記3次歪み発生回路であり、該2次歪み発
    生回路と該3次歪み発生回路は前記1次コイル又は2次
    コイルにそれぞれ直列あるいは並列に接続、または前記
    1次コイルおよび前記2次コイルにそれぞれが接続され
    ることを特徴とする請求項2に記載の歪み補正装置。
  6. 【請求項6】前記高調波歪み発生回路は歪み量調整手段
    を有し、高調波歪み量が前記増幅器に応じて調整される
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項5に記載の何れか
    1つの歪み補正装置。
JP06495299A 1999-03-11 1999-03-11 歪み補正装置 Expired - Lifetime JP3292704B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06495299A JP3292704B2 (ja) 1999-03-11 1999-03-11 歪み補正装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06495299A JP3292704B2 (ja) 1999-03-11 1999-03-11 歪み補正装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000261254A JP2000261254A (ja) 2000-09-22
JP3292704B2 true JP3292704B2 (ja) 2002-06-17

Family

ID=13272892

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06495299A Expired - Lifetime JP3292704B2 (ja) 1999-03-11 1999-03-11 歪み補正装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3292704B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6583096B2 (ja) * 2016-03-30 2019-10-02 富士通株式会社 歪補償装置、及び歪補償方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000261254A (ja) 2000-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3221594B2 (ja) 電子信号及び光信号を直線化するひずみ補正回路
JP3688995B2 (ja) 電気および光信号の線形化のための列をなす歪み発生器
JP3080723B2 (ja) フィルタ回路及びフィルタ集積回路
US5798854A (en) In-line predistorter for linearization of electronic and optical signals
US6140858A (en) Predistortion circuit for an analog signal in a video communication network
JP3545125B2 (ja) 歪み補償回路
JP3292704B2 (ja) 歪み補正装置
AU2641895A (en) In-line predistorter for linearization of electronic and optical signals
JP3373463B2 (ja) 歪み補正装置
JP5452283B2 (ja) 歪み補償装置
JP3373462B2 (ja) 歪み補正装置
JP3373452B2 (ja) 歪み補正装置
JP3358630B2 (ja) 歪発生回路
JP3805597B2 (ja) 歪み補正装置
JP2004015390A (ja) 歪補償回路
JP3698647B2 (ja) 前置歪補償回路および電力増幅装置
JP2000244252A (ja) 歪み補償装置
JP3250579B2 (ja) 歪補正回路
JP2000209039A (ja) 歪み補正装置
JP2000252757A (ja) 歪み補正装置
KR100199963B1 (ko) 왜곡발생회로 및 이것을 사용한 광송수신기와 저왜곡증폭기
JP2002100941A (ja) 低歪み電力増幅器
JP2001358539A (ja) 歪み補償装置
JP3429161B2 (ja) プリディストーション回路
JP2002232241A (ja) プリディストーション回路

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090329

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090329

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100329

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110329

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120329

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130329

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130329

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140329

Year of fee payment: 12

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term