JP3290102B2 - 樹脂製ロアサッシュ - Google Patents

樹脂製ロアサッシュ

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等のドアパ
ネル内に配され、このドアパネル内に収納するウィンド
ウガラスを案内するロアサッシュに関する。
【０００２】
【従来の技術】ロアサッシュは、自動車等のドアパネル
内に配され、ドアパネル内へ収納するウィンドウガラス
(以下、ガラスと略する)を案内してガラスのガタツキを
防止するもので、通常アッパーサッシュ(単にドアサッ
シュとも呼ばれる)に連続して設けられる。近年のロア
サッシュは、板金製フレームにゴム製ガラスガイド(グ
ラスラン)を取り付けたもの(例えば特開平6-297955号)
から、フレームとガラスガイドとを一体にした樹脂製ロ
アサッシュ(例えば、特開平7-9858号)へと移行し、軽量
化を図りつつ、生産性を向上させるに至っている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】ロアサッシュは、ガラ
スとの間で様々な音を発することが知られており、これ
まで開示されたロアサッシュには各種の防音対策が講じ
られている。例えば、特開平2-267023号では、ロアサッ
シュ内にガラスを収納した状態でのドアの開閉や走行中
の路面の凹凸によりガラスがガタついたり、下降するガ
ラスがガラスガイドにぶつかる際の衝突音の低減を目的
として、突出部を有する斜面と片持ちの弾性舌片とを相
対させたガラスガイドを形成している。
【０００４】ロアサッシュがガラスとの間で発生する音
のひとつに、異物が付着した状態(例えば砂等が混入し
た状態)で昇降するガラスとロアサッシュとの間で発生
する摩擦音がある。一般に、昇降するガラスに対するガ
ラスガイドの摺接部位の(1)面圧が大きく(=摺動抵抗が
大きく)なり、この摺接部位の振動部分における(2)バネ
定数や(3)質量が小さくなるほど、摩擦音は大きくなる
ことが知られている。つまり、前記記載内容とは逆のガ
ラスガイドが得られれば、摩擦音は抑制できることにな
る。
【０００５】ところが、それぞれは相反する命題であ
り、簡単には解決できない。例えば、特開平2-267023号
について見れば、ガラスに対するガラスガイドの摺接部
位はフレームから独立して変形する舌片であるから、
(1)面圧を下げやすい反面、摺接部位の振動部分はこの
舌片に限定されるから、(2)バネ定数も(3)質量も小さな
ものになり、摩擦音が大きくなることが予想される。そ
こで、特に異物が付着したガラスの昇降によりロアサッ
シュとの間で発生する摩擦音や衝突音を低減又は抑制す
ることを目的として、フレームとガラスガイドとが一体
となった樹脂製ロアサッシュについてその構造を検討す
ることとした。
【０００６】
【課題を解決するための手段】検討の結果、開発したも
のが、ドアパネル内に配され、このドアパネル内に収納
するガラスを上下方向に案内するロアサッシュであっ
て、前記ガラスの縁部を囲む内壁、外壁及び背壁からな
るフレームと、このフレームの内壁及び外壁から対面す
るガラス内外面に向かって迫り出し、かつガラスの案内
方向に断続して設ける膨出部から連続してガラス内外面
それぞれに摺接する突片を延設したガラスガイドとから
なる樹脂製ロアサッシュである。このロアサッシュにお
いては、各ガラスガイドがガラスの下降方向に向けて傾
斜する摺接縁を有し、フレームの内外壁に設ける各ガラ
スガイドを対向又は互い違いの位置関係に配置するとよ
い。
【０００７】内壁及び外壁は、ガラスガイドを構成する
膨出部の存在により一体として剛性が高められており、
(1)ガラスガイドの摺接部位である突片は面圧を抑えて
ガラス内外面に摺接することができる。また、各ガラス
ガイドの位置関係を互い違いにすると、下降するガラス
に対して各ガラスガイドの突片が交互に衝突して内壁及
び外壁が個別に捻れ変形を起こし、しかも前述のように
内壁及び外壁は高い剛性のため一体となって捻れるため
に、振動部分としての突片の(2)バネ定数及び(3)質量は
大きなものとする。このようにして、本発明はガラスと
ガラスガイドとの摩擦音を軽減するのである。
【０００８】背壁には、ガラスガイドの外周縁を包含す
る形状又は大きさの内周縁を有する開口を各ガラスガイ
ドと同位置で設けるとよい。背壁に設けた開口は、ガラ
スガイドとフレームとを樹脂により一体成形する際、ガ
ラスガイドの形成する型抜きに利用できるほか、材料を
節約することでロアサッシュとしての軽量化を図る役割
を果たす。
【０００９】また、各ガラスガイドに設けた摺接縁は、
ガラスとガラスガイドとの衝突音を軽減する。この摺接
縁は、ガラスの下降方向に向けて傾斜しているので、内
壁及び外壁の各ガラスガイドにおける突片間の中心を通
る軌道からずれてガラスが降りてきても、摺接縁に沿っ
てガラスの軌道が徐々に修正される。これにより、下降
するガラスと突片との急激な衝突がなくなり、衝突音を
小さくするのである。摺接縁は、膨出部と突片の各縁部
を連続することで形成するとよい。
【００１０】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図を参照しながら説明する。図１は本発明を適用した樹
脂製ロアサッシュの正面図、図２は同ロアサッシュの中
間部を抜粋して示した部分破断斜視図、図３はガラスガ
イド１の断面形状を表した図１中Ａ−Ａ断面図であり、
図４は下降するガラス２の軌道を修正する際の外壁３の
変形を示したロアサッシュの部分拡大正面図である。
【００１１】本例のロアサッシュは、外壁３、内壁４及
び背壁５から構成されるフレーム13だけでなく、内外壁
３,４に設ける膨出部６及び突片７からなるガラスガイ
ド１や、内壁４から延設したドアパネル取付部８や内外
壁３,４の上端に設けるドアパネル嵌込部９など、各部
を樹脂により一体成形する。このとき、内外壁３,４の
上縁に倣って互い違いに対向する膨出部６及び突片７
(図２及び図３参照)を形成する型抜きを実現するため、
図１に見られるように、背壁５に設ける開口10と内外壁
３,４のガラスガイド１とを同位置にしている(図１中符
号で示す開口10にハッチング)。
【００１２】外壁３、内壁４それぞれは、図１〜図３に
見られるように、両側縁に背面方向のリブ11を形成した
背壁５上に並行して立設してあり、ガラスガイド１は、
これら内外壁３,４に互い違いの配置関係で設けた膨出
部６及び突片７とから構成される。膨出部６は、図３に
見られるように、内外壁３,４の中間部から上縁に掛け
て互い違いに対向した突出変形部位で、突片７の基部と
なり、突片７は前記膨出部６の上縁に倣って延設してい
る。このように、背壁５から内外壁３,４、そしてガラ
スガイド１へ至る断面形状は、複雑な階段形状をしてお
り、この形状が内外壁３,４の剛性を高め、従来よりも
薄い外壁３及び内壁４を実現している。
【００１３】内外壁３,４は、膨出部６が補強リブとし
て働くために剛性が高められているが、ガラスガイド１
が互い違いに形成されているため、図４に見られるよう
に、下降するガラス２に内外壁３,４の各ガラスガイド
１における突片７が交互に衝突して内外壁３,４が個別
に捻れ変形を起こし、(1)各突片７における面圧を実質
的に引き下げる。また、内外壁３,４は突片７と一体に
なって振動するので、振動部分としての突片７の(2)バ
ネ定数及び(3)質量を大きくしている。こうして、本例
のロアサッシュはガラス２とガラスガイド１との摩擦音
を軽減する。
【００１４】更に、ガラスガイド１は、背壁５と平行な
面内において、外壁３及び内壁４から膨出部６、突片７
へと連続し、かつガラス２の下降方向に傾斜した摺接縁
12(図２〜図４中太線参照、特に図２では一部の摺接縁1
2にハッチング)を形成し、下降するガラス２を各摺接縁
12に摺接させながら軌道修正することで、ガラスガイド
１とガラス２との急激な衝突を避けて、衝突音を抑制す
るようにもなっている。前記摺接縁12が有するガラス２
の軌道修正の機能は、下降するガラス２のガタツキを防
止し、ガラス２の安定した案内をも実現する。
【００１５】
【発明の効果】本発明により、一体成形の樹脂製ロアサ
ッシュの費用対効果をより高めることができる。すなわ
ち、一体成形という良好な成形性を損なわず、ガラスガ
イドの構造及び配置を改良することだけで、ガラス収納
時における摩擦音及び衝突音を低減するのである。特
に、異物が進入した状態で昇降するガラスとガラスガイ
ドとの間における摩擦音が低減されることにより、実際
のガラスの昇降に際する使用感が向上し、より高級感溢
れる製品を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を適用した樹脂製ロアサッシュの正面図
である。
【図２】同ロアサッシュの中間部を抜粋して示した部分
破断斜視図である。
【図３】ガラスガイドの断面形状を表した図１中Ａ−Ａ
断面図である。
【図４】下降するガラスの軌道を修正する際の外壁の変
形を示したロアサッシュの部分拡大正面図である。
【符号の説明】
１ ガラスガイド ２ (ウィンドウ)ガラス ３ 外壁 ４ 内壁 ５ 背壁 ６ 膨出部 ７ 突片 ８ ドアパネル取付部 ９ ドアパネル嵌込部 10 開口 11 リブ 12 摺接縁 13 フレーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 部谷 周作 東京都港区芝５丁目33番８号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 片山 智広 東京都港区芝５丁目33番８号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平９−100676（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−240279（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−297955（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B60J 5/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ドアパネル内に収納するウィンドウガラ
    スを上下方向に案内するロアサッシュであって、前記ウ
    ィンドウガラスの縁部を囲む内壁、外壁及び背壁からな
    るフレームと、フレームの内外壁に対向又は互い違いの
    位置関係に設けるガラスガイドとからなる樹脂製ロアサ
    ッシュにおいて、ガラスガイドは膨出部と突片とからな
    り、膨出部は前記フレームの内壁及び外壁から対面する
    ガラス内外面に向かって迫り出し、かつウィンドウガラ
    スの案内方向に断続して設け、突片は該膨出部から連続
    して延設してガラス内外面それぞれに摺接してなる樹脂
    製ロアサッシュ。
  2. 【請求項２】 ガラスガイドは、ウィンドウガラスの下
    降方向に向けて傾斜する摺接縁を、膨出部と突片の各縁
    部を連続することで形成してなる請求項１記載の樹脂製
    ロアサッシュ。
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FR9801362A FR2759028B1 (fr) 1997-02-06 1998-02-05 Chassis inferieur en resine synthetique pour porte de vehicule automobile
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