JP3276398B2 - 所定の被分析物について検定するための、アスコルビン酸塩干渉耐性組成物、試験具及び方法 - Google Patents

所定の被分析物について検定するための、アスコルビン酸塩干渉耐性組成物、試験具及び方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試験試料中の所定の被
分析物の存在又は濃度を測定するための組成物、試験具
及び方法に関する。より具体的には、本発明は、アスコ
ルビン酸塩の干渉に効果的に抵抗する指示試薬組成物を
用いることによって、酸化酵素と相互に作用し得る被分
析物、例えばグルコース又はコレステロール、又は、過
酸化活性を有する物質、例えば潜血に類する所定の被分
析物について、生物学的試料、例えば、尿、血漿又は血
清に類する液体試験試料を検定するための新規なかつ改
善された方法に関する。指示試薬組成物は、所定の被分
析物を含有する試験試料と接触すると、検出可能かつ測
定可能な応答を受ける。本発明の指示試薬組成物は、試
験試料中に存在するアスコルビン酸塩の干渉作用を本質
的に排除することによって、所定の被分析物についての
より精度及び感度の高い検定を提供する。したがって、
本発明の指示試薬組成物が達成した改善された感度によ
って、低濃度の所定の被分析物についての試験試料の検
定、例えば、潜血もしくはグルコースについての尿の検
定、又はグルコースについての血清もしくは血漿の検定
のための改善された方法がもたらされる。
【0002】
【従来の技術】ここで及び以下に用いられる限りで、
「所定の被分析物」なる表現は、(a)酸化酵素と相互
に作用して過酸化水素を生成することが可能であるか、
(b)過酸化活性を示すかのいずれかである化合物とし
て定義される。同様に、ここで及び以下に用いられる限
りで、「酸化還元媒介物」なる表現は、所定の被分析物
と相互に作用して分子状酸素を生成することが可能であ
る一つ又は複数の化合物として定義される。該分子状酸
素はその後、酸化可能な色素を酸化して検出可能な変色
をもたらす。「酸化還元媒介物」は、酸化酵素とペルオ
キシダーゼなる酵素との組合わせであること、あるい
は、問題の所定の被分析物の如何によっては、ヒドロペ
ルオキシドであることが可能である。その結果、適当な
酸化酵素及びペルオキシダーゼと相互に作用し得る被分
析物、例えばグルコースに類し、又は、過酸化活性を有
する物質、例えば潜血、すなわちヘモグロビンに類する
所定の被分析物についての検定は、酸化可能な指示色素
の色彩変化の程度及び強度が試験試料中の所定の被分析
物の濃度と相関関係にあるような色原性相互作用に基づ
く。所定の被分析物についての検定は、体液試料、例え
ば血液、尿、糞便又は胃腸内容物中の低濃度の被分析物
の検出もしくは定量に特に有用である。
【0003】例えば、グルコースは、尿中に最も一般的
に見いだされる糖である。尿中に検出可能量のグルコー
スが存在することは、糖尿として公知である。糖尿は良
性であることも病的状態であることも可能であるので、
内科医はこの二形態を識別しなければならない。
【0004】糖尿は、血中のグルコースレベルが正常で
ある場合も発生することがあるが、それは、腎臓におけ
るグルコースの再吸収が正常レベルを下回り、結果的に
尿中に多少のグルコースが溢出してしまうことが原因と
なっている。これは、大量の食事をした後に、又は情動
的ストレスと結合しても糖尿が発生するように、良性の
状態である。しかし、(真性)糖尿病は病的状態であ
り、糖尿の主要な原因である。(真性)糖尿病の兆候と
しては、血中グルコースの顕著な上昇及び尿量の増大を
含む。糖尿病患者の尿グルコース含量は、10%もの高
さとなることもあり、2〜5%の含量は一般的に見いだ
される。
【0005】各種の検定法が、グルコースについて尿を
検定するのに利用可能である。最も一般的に用いられる
検定法は、グルコース酸化酵素とグルコースとの相互作
用に基づく酵素的検定法である。グルコースに対する酵
素的グルコース酸化酵素試験は、尿に適用される限り、
グルコースに特異的である。他の糖類、例えばラクトー
ス、フルクトース、ガラクトース及びペントースは、グ
ルコース酸化酵素に対する基質ではなく、したがって、
検出されることも測定されることもない。
【0006】グルコースについての試験試料の標準検定
では、グルコース酸化酵素は、酸素の存在下で、初めに
試験試料中のグルコースをグルコン酸及び過酸化水素へ
と転換する。次いで、やはり検定に存在するペルオキシ
ダーゼが、過酸化水素とo−トリジンに類する酸化可能
な色素化合物との相互作用を触媒する。該色素化合物
は、還元された状態では本質的に無色であることを常と
するが、酸化の際は、ペルオキシダーゼに触媒された過
酸化水素との相互作用によって、例えばo−トリジンで
は青色への色変化を受ける。色変化の程度及び強度は、
グルコースの転換によって生成した過酸化水素の量に正
比例する。次いで、グルコースの転換によって生成した
過酸化水素の量が、尿試料中の本来のグルコース濃度に
相関付けられる。実際には、試験ストリップを尿試料中
に浸漬し、結果的に生じる試験ストリップの色変化を、
0.1%を下回るグルコース濃度を示す無色から2.0
%以上の尿中濃度を示す青色までの範囲の色チャートと
比較する。
【0007】ペルオキシダーゼは、各種の化合物、例え
ばフェノール類及びアミン類の過酸化物による酸化を触
媒する酵素である。加えて、ペルオキシダーゼ酵素に類
似する様式の挙動を示すことから、偽ペルオキシダーゼ
類と呼ばれる特定の化合物もある。それによれば、偽ペ
ルオキシダーゼはヒドロペルオキシドから酸素を遊離さ
せ、その酸素をある種の受容体化合物に転移する。した
がって、偽ペルオキシダーゼは、過酸化物と酸化可能な
色素化合物に類する酸化可能な化合物との相互作用を触
媒し、もしくはこれに参加するという点で、概して酵素
に類似している。また、偽ペルオキシダーゼは過酸化活
性物質とも呼ばれ、ヘモグロビン及びその誘導体がこれ
に含まれる。
【0008】したがって、ヘモグロビン、ヘモグロビン
誘導体、赤血球、ミオグロビン又はそれらの組合わせに
類する過酸化活性物質は、ヒドロペルオキシドと酸化可
能な色素との相互作用を触媒する。かかる相互作用にお
いては、過酸化活性物質はペルオキシダーゼ酵素を模倣
し、かつ酸化可能な色素とヒドロペルオキシドとの相互
作用を触媒し、もしくはこれに参加する。過酸化活性物
質によってヒドロペルオキシドから遊離した酸素は、酸
化可能な色素に転移される。結果的な相互作用は、応答
の強度及び程度が過酸化活性物質の存在又は濃度を示す
ような、検出可能な応答、例えば色変化をもたらす。
【0009】例えば、尿中の低濃度の血液は「潜血」と
呼ばれる。潜血は、過酸化活性化合物であるヘモグロビ
ンについての検定によって検出される。尿、糞便又は嘔
吐中の潜血は、通常肉眼では視認できないが、胃、腸及
び尿管の出血の診断には、潜血の検出が重要である。出
血は、例えば問題の器官の腫瘍、潰瘍又は炎症によって
生じる。現在、試験試料中の潜血の存在を測定する方法
のほとんどは、ヘモグロビン又はミオグロビンの偽ペル
オキシダーゼ活性に基づいている。
【0010】尿中の潜血の存在は、腎臓又は尿管の損傷
の兆候でもある。通常、非常に感度のよい化学的方法を
以てしても、検出可能量の潜血が尿中に存在することは
ない。尿又は糞便中の血液の存在は、癌など、各種の異
常な状態の症状である。潜血に関する陽性試験によって
示されるような尿中の血液の存在は、尿管における出血
の兆候であることが多い。遊離ヘモグロビンは、尿管部
分に影響を及ぼす腎臓疾患、感染症、新生物又は外傷に
起因して尿中に存在する。尿中の遊離ヘモグロビンは、
輸血副作用、溶血性貧血又は発作性ヘモグロビン尿症の
兆候であることもあり、あるいは、各種の中毒に起因し
もしくは重篤な火傷の後に出現することもある。
【0011】したがって、各種の所定の被分析物につい
ての血液、尿、その他の試験試料の正確かつ鋭敏な検定
が、試験室及び家庭の双方に利用可能でなければならな
い。該検定は、適正な診断を下し、かつ適正な医療措置
を実施し、監視かつ維持し得るように、所定の被分析物
の正確な検出及び測定を実現するものでなければならな
い。更に、該検定法は、血液、尿又は他の試験試料中の
所定の被分析物の簡便かつ経済的、定性的もしくは定量
的な測定を目的として、浸して読み取る方式でこれを利
用できるならば、有利であろうと思われる。
【0012】更に、血液、尿又は他の試験試料中のある
特定の所定の被分析物について検定するいかなる方法
も、競合する化学又は物理的相互作用、例えば、試験試
料中の前記の所定の被分析物以外の、アスコルビン酸塩
に類する成分との優先的相互作用の結果としてではな
く、前記の所定の被分析物との相互作用の結果として色
変化を受ける指示試薬組成物を用いることによって、正
確で、信頼するに足り、かつ再現可能である結果をもた
らすものでなければならない。その上、所定の被分析物
の検定方法が、血液、尿又は他の試験試料中の、所定の
被分析物の迅速、経済的かつ正確な測定を目的として、
乾燥相の試薬ストリップとして用いるのに適当であるな
らば、有利であろうと思われる。加えて、所定の被分析
物の検定に用いられる方法及び組成物は、多種測定用試
薬ストリップ上に存在する他の試験試薬パッドに不都合
に作用、もしくは干渉してはならない。
【0013】ある個人の体液に臨床的有意量の所定の被
分析物が含まれるか否かを判定するため、また、医療処
置の進行を監視して該処置の有効性を判定するために、
グルコース及び潜血に類する所定の被分析物についての
単純、正確かつ廉価な検出検定法が開発されている。更
に、試験試料中の所定の被分析物の検出又は測定を目的
として開発された異なるいくつかの検定方法のうち、浸
して読み取る方式の乾燥相試験ストリップに基づく方法
は特に有用であることが証明されているが、それは、乾
燥相試験ストリップ法は容易に自動化され、かつ再現可
能で正確な結果が得られるからである。
【0014】所定の被分析物の検定に用いられる試験ス
トリップの中には、所定の被分析物と相互に作用するこ
と及び検出又は測定が可能な変化、例えば色変化を受け
ることが可能である指示試薬組成物を含浸させた適当な
担体基質の小さな正方形のパッドからなる単一の試験域
を有するものがある。他の試験ストリップは多種測定用
試薬ストリップであって、ある特定の所定の被分析物の
検定のための、上記のような一試験域が含まれ、更に数
箇所の追加の試験域が同一ストリップ上に含まれてい
て、試験試料中に存在する他の臨床的に重要な成分が同
時に検定できる。いずれのタイプの比色定量試験ストリ
ップに関しても、例えば血液又は尿といった試験試料中
の所定の被分析物についての検定は、この比色定量試験
ストリップを試験試料に浸し、次いで、試験ストリップ
の試験域に結果的に生じた色を、比色定量試験ストリッ
プの容器に備えられた標準化された色チャートと比較す
ることによって、簡単に実行される。例えば、グルコー
ス及び潜血試験は、過剰量のこれらの尿成分の早期発見
が重要であることから、慣例の身体検査の際に尿試料ス
クリーニングを施せるよう多重測定用試験ストリップに
含まれるのを常とする。
【0015】試験ストリップ法は、所定の被分析物の存
在についての最も単純かつ直接的な検定法である。グル
コースの検定では、試験域には3,3’,5,5’−テ
トラメチルベンジジンに類する酸化可能な指示色素;グ
ルコース酸化酵素;及びペルオキシダーゼが組み込まれ
る。潜血の検定では、試験域には酸化可能な指示色素及
びヒドロペルオキシドが組み込まれる。いずれの検定に
おいても、試験域は、試験試料中に存在する所定の被分
析物と、グルコース酸化酵素−ペルオキシダーゼの組又
はヒドロペルオキシドとの相互作用がテトラメチルベン
ジジンを酸化するのに応じて、色変化を受ける。上記の
方法によれば、試験ストリップを試験試料に浸した直後
に試験ストリップの色を色チャートと比較することによ
って、尿試料中の所定の被分析物の濃度を視覚的に容易
に測定することが一個人にも可能である。
【0016】しかしながら、試験試料中にアスコルビン
酸またはアスコルビン酸イオンが存在する場合、これら
は所定の被分析物についての上記の酸化還元検定に重大
な干渉作用を及ぼす。アスコルビン酸の最も一般的な形
態は、典型的にはビタミンCに属する。このビタミンは
生命に必要な栄養素であって、天然に産する多くの食
品、例えば果実及び野菜中に見いだされる。ビタミンC
は合成することも可能であり、それ故、食品添加物とし
て、又は錠剤形態においても摂取可能である。ビタミン
Cの健康上の恩恵はかなり以前から公知であって、その
結果、ビタミンCは比較的普及した栄養素となってい
る。すなわち、ビタミンCは普及した食品添加物であ
り、かつビタミン剤その他の普及した成分である。
【0017】ところが、概して人体は、短期間の必要性
に応じるのに必要な程度のビタミンCのみ吸収するに過
ぎない。通常、ビタミンは体内に貯蔵されず、過剰量の
ビタミンCは、典型的には泌尿器系を通じて排出され
る。その結果、ビタミンCは、臨床的検定を受ける尿試
料中に一般的に存在する。
【0018】アスコルビン酸は、酸化された有色の形態
の指示色素を、還元された無色の形態の色素へと還元す
ることによって、臨床的検定に干渉することが可能な還
元剤である。しかし、アスコルビン酸は酸化されること
が可能である。したがって、アスコルビン酸は、それが
酸化された色素と相互に作用し得る以前に酸化されるな
らば還元剤として作用できず、それ故、所定の被分析物
の検定に干渉することが不可能となる。
【0019】文献、又は社内のスクリーニング調査のい
ずれにおいても、指示試薬組成物に特定の金属イオン錯
体を含ませることは、アスコルビン酸の干渉作用の問題
の解消に役立つことが発見されている。しかるに金属イ
オン錯体は、色素を化学的に酸化することが可能であ
り、又はペルオキシダーゼ活性を示すことが可能であっ
て、ペルオキシダーゼ酵素又は偽ペルオキシダーゼに類
似の挙動を示して、過酸化水素又はヒドロペルオキシド
と酸化可能な色素との発色反応を触媒することができ
る。したがって、金属イオン錯体はアスコルビン酸の干
渉作用を排除するものの、金属イオン錯体が偽陽性の検
定を生起させる可能性もある。
【0020】研究者らは、特定の第二鉄イオン錯体が、
アスコルビン酸塩の干渉を排除するために用いられた何
らかの金属イオン錯体に起因する偽陽性の検定結果を実
質的に軽減することを発見した。アスコルビン酸は第二
鉄イオン又は第二鉄イオン錯体によって酸化されること
から、アスコルビン酸の干渉が排除される。第二鉄イオ
ンによるアスコルビン酸の酸化を示す代表的出版物とし
ては、下記のものがある。
【0021】E. Pelizettiら:「Kinetics and Mechani
sm of the Oxidation of AscorbicAcid by Tris(1,10-p
henanthroline)iron(III) and Its Derivatives in Aqu
eous Acidic Perchlorate Media」、Inorg. Chem.、第1
5巻、2898〜2900ページ(1976年)。ここでは、1〜
3.5のpHの範囲にわたって過塩素酸水溶液中で、アス
コルビン酸とトリス(1’,10−フェナントロリン)
鉄(III )とを反応させ、酸化の速度はpHの上昇につれ
て低下する。
【0022】L.S. Vann :「A Rapid Micro Method for
Determination of Ascorbic Acidin Urine by Ferric
Reduction」、Clin. Chem. 、第11巻、979 〜985 ペー
ジ(1965年)。
【0023】M.M.T. Khan ら:「The Kinetics of the
Reaction of Iron (III) Chelatesof Aminopolycarboxy
lic Acids with Ascorbic Acid 」、J. Am. Chem. Soc.
、第90巻、3386〜3389ページ(1968年)、及びM.M.T.
Khan ら、J. Am. Chem. Soc. 、第89巻、7104ページ(1
967年)。ここでは、1.8〜3.45のpHの範囲での
第二鉄及び第二銅キレートの存在下におけるアスコルビ
ン酸酸化の動力学が考察されている。
【0024】G.S. Laurence ら:「The Detection of a
Complex Intermediate in the Oxidation of Ascorbic
Acid by Ferric Ion 」、J. Chem. Soc. Dalton Tran
s. 、1667〜1670ページ(1972年)。
【0025】W.C. Buttsら:「Centrifugal Analyzer D
etermination of Ascorbate in Serum and Urine with
Fe3+/Ferrozine」、Clin. Chem. 、第21巻、1493〜1497
ページ(1975年)。
【0026】L. Pekkarinen :「The Mechanism of the
Autoxidation of Ascorbic Acid Catalyzed by Iron S
alts in Citric Acid Solution」、Finn. Chem. Lett.
、233 〜236 ページ(1974年)。
【0027】M. Kimura ら:「Kinetics and Mechanism
of the Oxidation of L-AscorbicAcid by Tris-(oxala
to) Cobaltate(III) and Tris-(1,10-phenanthroline)I
ron(III) Complexes in Aqueous Solution 」、J. Che
m. Soc. Dalton Trans. 、423 〜427 ページ(1982
年)。
【0028】A.E. Martell:「Chelates of Ascorbic A
cid, Formation and Catalytic Properties 」、Ascorb
ic Acid Chemistry, Metabolism and Uses、第7章:P.
A. Seib 及びB.M. Tolbert編、Adv. in Chem. Series
(米国化学会、コロンビア特別区ワシントン)、153 〜
178 ページ(1982年)。
【0029】しかるに、上記の第二鉄イオンに基づくア
スコルビン酸の酸化は、酸化酵素とペルオキシダーゼを
対合させた反応におけるアスコルビン酸の干渉を排除し
て、所定の被分析物について検定するために用いた場
合、明確な短所を露呈する。アスコルビン酸の酸化に際
し、第二鉄イオンは第一鉄イオンへと還元される。第一
鉄イオンは良好な還元剤であって、テトラメチルベンジ
ジン(TMB)に類する酸化された指示色素を、その有
色の(酸化された)形態から無色の(還元された)形態
へと還元することが可能である。したがって、第二鉄イ
オンがアスコルビン酸による一次干渉を排除しても、次
に、第一鉄イオンが二次干渉作用を生起して、誤りによ
る低い検定結果の原因となり得る。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】したがって、低レベル
の所定の被分析物について、アスコルビン酸に起因する
一次又は二次の干渉作用なしに試験試料を検定する単
純、正確かつ信頼するに足る方法を提供することは、極
めて好都合であろうと思われる。所定の被分析物に用い
るための現在の試験ストリップには、適当な酸化酵素、
ペルオキシダーゼ酵素及びアスコルビン酸塩の一次干渉
を軽減するための金属イオン錯体を含有する指示試薬組
成物が組み込まれている。所定の被分析物について検定
するために用いられる現在の試験ストリップは安定的か
つ鋭敏ではあるが、現在の試験ストリップは感度の分野
で依然として改善を要する。したがって、試験ストリッ
プが試験試料中の所定の被分析物に対してはるかに鋭敏
となるならば、診断的検定の当技術における有意義な進
歩となるであろうと思われる。本発明の組成物、試験具
および方法を生み出すことになった研究が指向したの
は、アスコルビン酸塩に対する耐性及び感度における改
善の達成に向かってであった。
【0031】
【課題を解決するための手段】驚くべき、かつ意外なこ
とに、本発明の組成物及び方法は、臭素酸イオン、塩素
酸イオン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、並びに過
酸化物、ヒドロペルオキシド又はN−ハロゲン化合物に
類する有機酸化剤、及びそれらの組合わせよりなる群か
ら選ばれる共酸化剤を指示試薬組成物中に含有させるこ
とによって、アスコルビン酸塩の一次干渉及び、金属イ
オン又は金属イオン錯体に起因する二次干渉を排除す
る。本発明の利点を完全に発揮させるには、指示試薬組
成物中に臭素酸イオンを共酸化剤として含有させる。共
酸化剤は、金属イオンの還元された形態、例えば第一鉄
イオンを、酸化された形態、例えば第二鉄イオンへと、
該金属イオンの還元形が指示色素の酸化形との相互作用
に利用され得ないように酸化することが見いだされた。
したがって、指示試薬組成物に含まれる金属イオン又は
金属イオン錯体に起因する低下した検定感度の問題は克
服される。
【0032】上記によれば、容易に用い得る形態、例え
ば浸して読み取る方式の試験ストリップとして、より正
確な検定方法を提供することによって、試験室の担当者
が所定の被分析物について定量的な検定を実施して、信
頼するに足る検定結果を直ちに得ることが可能となる。
更に、試験ストリップによる方法は、家庭において一個
人がこれを実施して、血液又は尿に類する試験試料中の
グルコース又は潜血に類する所定の被分析物のレベルを
より精密に監視し、又は個人が受けている医療処置の成
功を監視することも可能となる。
【0033】後述にて更に充分に説明するとおり、本発
明の方法は、指示色素、酸化還元媒介物、金属イオン錯
体及び共酸化剤が含まれる本発明の指示試薬組成物を組
み込んだ適当な担体基質が含まれる試験パッドを備えた
試験ストリップを用いることによって、所定の被分析物
についての迅速、正確、かつ信頼するに足る検定を可能
にする。グルコースのように、所定の被分析物が酸化酵
素と相互に作用することが可能である場合、酸化還元媒
介物には適当な酸化酵素及びペルオキシダーゼ酵素を含
ませる。潜血のように、所定の被分析物が過酸化活性を
示す場合は、酸化還元媒介物にはヒドロペルオキシドを
含ませる。共酸化剤は、臭素酸イオン、塩素酸イオン、
過塩素酸イオン、クロム酸イオン、並びに過酸化物、ヒ
ドロペルオキシド又はN−ハロゲン化合物に類する有機
酸化剤、及びそれらの組合わせよりなる群から選ばれ
る。
【0034】本発明の以前には、指示色素;酸化還元媒
介物;金属イオン錯体;塩素酸イオン、臭素酸イオン、
過塩素酸イオン、クロム酸イオン、並びに過酸化物、ヒ
ドロペルオキシド又はN−ハロゲン化合物に類する有機
酸化剤、及びそれらの組合わせよりなる群から選ばれる
共酸化剤とを含む指示試薬組成物を含む、酸化と還元を
対合させた反応を用いて所定の被分析物について試験試
料を検定する公知の方法は皆無であった。指示色素、酸
化還元媒介物及び金属イオン錯体を含有する乾燥相試験
ストリップが以前に用いられたことはあったが、かかる
組成物を組み込んだ乾燥相試験ストリップは、金属イオ
ン錯体の金属イオンに起因する二次干渉が原因となっ
て、誤った検定結果をもたらす傾向を示した。したがっ
て、かかる誤った検定は、試験試料中の所定の被分析物
に対する試験ストリップの感度を低下させた。対照的
に、本発明の指示試薬組成物は、アスコルビン酸塩によ
る一次干渉と、驚くべきことに、かつ意外にも、金属イ
オン錯体に起因する二次干渉との双方を本質的に排除す
る。その結果、この改善された指示試薬組成物は、検定
の感度を高め、それによって、所定の被分析物について
の、酸化還元作用に基づく化学を用いた、より正確かつ
信頼するに足る検定を実現する。
【0035】従来の特許および出版物中には、上昇した
検定感度、及び低下したアスコルビン酸塩の干渉という
上記の目標を達成しようとする他のいくつかの試みが見
いだされる。例えば、グルコース検定におけるアスコル
ビン酸塩の干渉に関しては、方法は、試験試料を試験試
薬と接触させる前に試験試料からアスコルビン酸塩を濾
去することから、アスコルビン酸塩と相互に作用する酵
素を用いることまでの広がりがある。これにより、Dahl
quist のカナダ国特許第844,564号は、試験試料
を受けるための多孔性の区域を有するグルコース検定用
の試験装置を開示した。この試料受容区域は、試験試薬
は含まず、試験試料中に存在するアスコルビン酸塩を吸
収するイオン交換材料を備えている。
【0036】Danninger らの米国特許第4,168,2
05号には、アスコルビン酸酸化酵素を試験試薬配合物
に組み込み、試料中に存在するアスコルビン酸塩を、検
定に不都合に作用しない化合物であるデヒドロアスコル
ビン酸塩へと酵素的に酸化することが記載された。富士
臓器製薬株式会社の日本国特開昭58−55757号公
報は、試験試料を、例えばエチレンジアミン四酢酸又は
ジエチレントリアミン五酢酸をリガンドとする金属キレ
ートで前処理してアスコルビン酸塩を除去し、次いで、
コレステロール、グルコース又は尿酸について試験試料
を検定することを開示した。
【0037】米国特許第3,411,887号でKuは、
アスコルビン酸塩「捕捉反応系」を用いることによっ
て、酵素的に酸化する物質、例えばグルコース酸化酵素
に頼る、試薬組成物に対するアスコルビン酸塩の干渉の
排除を記載した。この「捕捉反応系」は、酸化還元指示
色素とアスコルビン酸塩との中間の酸化還元電位を有す
る重金属イオンを利用するものである。例として引用さ
れた適当な重金属化合物としては、コバルト、鉄、水銀
及びニッケルがある。コバルトを用いたアスコルビン酸
塩の錯体化及び酸化を開示する出版物としては他に、金
属コバルトの存在下での空気によるアスコルビン酸溶液
の酸化を教示するG. Bragagnolo によるAnn. Chim. App
licata. 、第31巻、350 〜368 ページ(1941年)があ
る。また、Co(NH36 Cl3 に関する同様な活性
が、T. IwasakiによってJ. Chem. Soc. Japan 、第63
巻、820 〜826 ページ(1942年)に報告されている。
【0038】Burkhardt らの米国特許第4,310,6
26号には、過酸化活性物質についての検定に、アンモ
ニウムコバルト(III )錯体を用いてアスコルビン酸塩
の干渉を軽減することが記載された。Burkhardt らは、
アンモニウムコバルト(III)錯体、例えばCo(NH3
6 Cl3 とともに有機ヒドロペルオキシド及び適当
な指示薬、例えば3,3’,5,5’−テトラメチルベ
ンジジンが含まれる組成物を開示している。
【0039】銅イオンもまた、検定からアスコルビン酸
塩の干渉を排除することに用いられている。例えばI. P
echtらは「The Copper-Poly-L-Histidine Complex: I.
TheEnvironmental Effect of the Polyelectrolyte on
the Oxidase Activity of Copper Ions」、J. Am. Che
m. Soc. 、第89巻、1587ページ(1968年)で、酸素及び
銅触媒を用いてアスコルビン酸塩を酸化できることを開
示した。N.A. Vengerovaらは「The Ascorbate-Oxidase
Activity of the Cu+2-Poly-4-VinylpyridineComplex A
lkylated with Bromoacetic Acid 」、Vysokomol. soye
d. 第A13巻、第11号、2509〜2517ページ(1971年)
(K.A. Allenにより翻訳)なる出版物で、ポリ−4−ビ
ニルピリジンのカルボキシメチル誘導体を合成する方法
を開示し、Cu(II)ポリマー錯体が銅イオンのみに関
係するアスコルビン酸塩酸化活性を増大させることを教
示した。アスコルビン酸塩のCu(II)による酸化に関
する他の参考文献としては、Z. Sunら:「Studies on F
unctional Latices: Catalytic Effects of Histamine-
Containing Polymer-latex-copper(II) Complex on the
Oxidation of Ascorbic Acid 」、Macromolecules、第
19巻、984 〜987 ページ(1986年)、及び、Y.I. Skurl
atorら:「The Mechanism of Ascorbic Acid Oxidation
by Cu(II)-Poly-4-Vinylpyridine Complexes 」、Eur.
Polymer J. 、第15巻、811 〜815 ページ(1979年)が
ある。
【0040】Magersらの米国特許第4,288,541
号は、グルコースについてのグルコース酸化酵素に基づ
く検定法にアスコルビン酸塩耐性を付与するための第二
水銀イオン錯体、例えばサルコシン酸第二水銀の使用を
開示した。上記の特許及び出版物に加え、グルコース検
定におけるアスコルビン酸塩の干渉の問題は、H. Giffo
rdら:J. Am. Med. Assoc.、第178 巻、149 〜150 ペー
ジ(1961年)、P. O'Gorman ら:Brit. Med. J. 、603
〜606 ページ(1960年)、R. Brandt ら:Clin. Chem.
Acta、第51巻、103 〜104 ページ(1974年) R. Brandt ら:Am. J. Clin. Pathol.、第68巻、592 〜
594 ページ(1977年) に考察されている。
【0041】所定の被分析物の分析的測定におけるアス
コルビン酸塩の干渉を排除する方法としては他に、例え
ば西ドイツ国特許第27 07 628号が、尿試料を
酸化剤で前処理して検定の前にアスコルビン酸塩を除去
することによる湿潤相の尿分析を示している。有用であ
るとして開示されている酸化剤は、ヨウ素酸ナトリウ
ム、過ヨウ素酸ナトリウム、塩化水素酸カルシウム、三
ヨウ化カリウム、塩化水素酸ナトリウム、クロロアミン
及びブロモスクシンイミドである。また、欧州特許公開
公報第0037056号には、アスコルビン酸などの還
元剤による干渉を避ける診断方法におけるヨウ素酸塩の
使用が記載された。
【0042】Mayambala-Mwanika らの米国特許第4,5
87,220号は、過酸化活性物質についての検定にキ
レート化された第二鉄イオンを用いてアスコルビン酸塩
の干渉を排除することを開示した。Mayambala-Mwanika
は、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン四
酢酸の第二鉄キレート(Fe−HEDTA)に類する第
二鉄キレートがアスコルビン酸塩の干渉を排除し、過酸
化活性化合物についての偽陽性の試験を生起させないこ
とを開示した。
【0043】Ismailらは米国特許第4,755,472
号で、過酸化活性物質について検定するための、1,4
−ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシド及びベ
ンゼン指示薬を、指示薬に対するヒドロペルオキシドを
約0.9〜3.0のモル比として含浸させた担体基質を
有する安定な試験パッドを開示した。アスコルビン酸塩
耐性を持たせるために、第二鉄キレートを含有させるこ
とも可能である。この試験パッドは、貯蔵の間も安定的
であり、多種測定用試験ストリップに存在する他の試験
パッド、例えばペルオキシダーゼ/ヨウ化カリウム指示
薬に基づくグルコース試験パッドに関しても偽陽性試験
に導くことはない。
【0044】従来の技術とは対照的に、かつ現在入手可
能な商業的試験パッドとも対照的に、本発明の組成物、
方法及び装置は、試験試料中の所定の被分析物(ここ
で、所定の被分析物は、酸化酵素と相互に作用すること
が可能であるか、ペルオキシダーゼ活性を示すかのいず
れかである)の検出又は濃度測定のための検定におい
て、増大された感度を示す。本発明の方法は、(a)金
属イオン錯体を含有することによってアスコルビン酸塩
による一次干渉を効果的に排除し、(b)臭素酸イオ
ン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、
並びに過酸化物、ヒドロペルオキシド又はN−ハロゲン
化合物に類する有機酸化剤、及びそれらの組合わせより
なる群から選ばれる共酸化剤を含有することによって金
属イオン錯体に起因する二次干渉を効果的に排除する指
示試薬を利用している。
【0045】例えば、臭素酸イオンは、分析化学では滴
定分析用試薬に用いられる。酸性媒体中で臭素酸イオン
は、過マンガン酸イオンとほぼ同程度に強力な酸化剤と
なる。強い還元剤の存在下では、臭素酸イオン(BrO
3 -)は臭化物イオン(Br-へと還元される。しかし、
臭素酸イオンは、下式(1)及び(2)に示されるとお
り、臭化物イオンを臭素(Br2 )へと酸化することが
できる。 BrO3 - +6H+ +6e- → Br- +3H2O (1) BrO3 - +5Br-+6H+ → 3Br2+2H2O (2) I.M. Kolthoff らはVolumetric Analysis 、第3 巻、Ti
tration Methods: Oxidation-Reduction Reactions、第
12章、Interscience Publishers 、ニューヨーク州ニュ
ーヨーク(1971年)で、反応の第1段階(1)で臭化物
イオンが形成され、次いで、この臭化物イオンがpH依存
性反応序列によって過剰量の臭素酸イオンと反応して遊
離臭素を生成させる(2)ことを教示している。式
(1)及び(2)から、反応を進行させるには酸性条件
が必要であることが明らかにされる。同様に、塩素酸イ
オン(ClO3 -)は、中性又はアルカリ性溶液中では酸
化特性を示さないが、酸性溶液中では、塩素酸(HCl
3 )が存在することから強力な酸化特性を示すことが
公知である。
【0046】還元された金属イオンの、臭素酸イオンに
よる酸化も記載されている。例えば、臭素酸イオンによ
る第一鉄イオン、すなわち鉄(II)の酸化が、J.P. Bir
k :「Mechanism of the Bromate Ion Oxidation of Aq
uoiron(II)」、Inorg. Chem.、第12巻、2468〜2472ペー
ジ(1973年); J.P. Birkら:「Mechanism of the Reduction of Brom
ate Ion by Cyano(bipyridyl)Iron(II) Complexes 」、
Inorg. Chem.、第17巻、1186〜1191ページ(1978年);
及び S.G. Kozub:「Kinetics and Mechanisms of the Broma
te Oxidations of Substitution - Inert Iron(II) Com
plexes in Acidic Aqueous Solution 」、学位論文、Xe
rox University Microfilms 、Ann Arbor (1975年)に
記載されている。
【0047】上記に特定の出版物のそれぞれにおいて、
臭素酸イオンと第一鉄イオンとの間の反応は、過塩素酸
中の非常に酸性の条件で研究されていた。更に、臭素酸
イオンは、本質的に中性である5〜7というpH範囲で
は、認め得るほどの速度でアスコルビン酸を酸化するこ
とはないことが公知である。
【0048】1989年4月13日付けで出願され、か
つ本発明の被譲渡人に共通に譲渡された米国特許願第3
37,620号には、水溶性ポリマーを含有する銅(I
I)錯体の利用によって、臨床的検定からアスコルビン
酸塩の干渉を排除することが記載されている。更に、ア
スコルビン酸塩との相互作用の後に銅(I)イオンを酸
化して銅(II)イオンへと復帰させるために共酸化剤も
含められている。この共酸化剤は、過酸化物もしくはN
−ハロゲン化合物に類する有機酸化剤、又はクロム酸
塩、第二水銀イオン、タリウム(III )イオン、セリウ
ム(IV)イオン、マンガン(III )イオン、臭素酸塩又
はヨウ素酸塩に類する無機酸化剤であることができる。
米国特許願第337,620号は、アスコルビン酸塩の
干渉を排除するための酸化剤としては、銅(II)イオン
以外のいかなる金属イオンも教示又は示唆していない。
【0049】後述において更に充分に立証するとおり、
臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、クロム
酸イオン、並びに過酸化物、ヒドロペルオキシド又はN
−ハロゲン化合物に類する有機酸化剤、及びそれらの組
合わせよりなる群から選ばれる共酸化剤は、本質的に中
性のpH値を有する本発明の指示試薬組成物に含まれた場
合に、アスコルビン酸塩による一次干渉を排除するため
に組成物に含められた金属イオンの還元形を酸化して、
金属イオンの酸化形へと復帰させる。かかる結果は驚く
べきことであり、かつ重要でもある。この結果は、臭素
酸イオン又はクロム酸イオンに類する共酸化剤が金属を
酸化するときのpH範囲に関して驚くべきことであり、か
つこの結果は、本来はアスコルビン酸塩による一次干渉
の排除のために組成物に含められた金属イオン自体が二
次干渉物となって、該金属イオンの還元形が指示色素の
有色の酸化形と相互に反応して、色素をその無色の還元
形へと還元することから重要である。それによれば、こ
の二次干渉に起因して、指示色素は、試験試料中の所定
の被分析物の濃度に応じた充分な変色作用を見かけ上受
けることがない。したがって、所定の被分析物について
は、誤りによる低い検定結果がもたらされる。
【0050】しかるに、本発明の組成物、方法及び試験
具は、酸化酵素と相互に作用することが可能であるか、
又はペルオキシダーゼ活性を示す所定の被分析物につい
ての正確な検定を実現する。驚くべきことに、本発明の
方法及び組成物は、試験試料中に存在するアスコルビン
酸に起因する一次干渉及び二次干渉の双方を本質的に排
除する。その結果、本発明の方法によれば、所定の被分
析物についての血液、尿その他の試験試料の乾燥相試験
ストリップによる検定において、アスコルビン酸塩の一
次干渉を排除するための金属イオン錯体と、該金属イオ
ン錯体の金属イオンの還元形に起因する二次干渉を排除
するための、臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イ
オン、クロム酸イオン、並びに過酸化物、ヒドロペルオ
キシド又はN−ハロゲン化合物に類する有機酸化剤、及
びそれらの組合わせよりなる群から選ばれる共酸化剤と
が含まれる指示試薬組成物を用いることによって、新規
な、かつ予想外の結果が達成される。
【0051】要約すると、本発明は、試験試料中の、
(a)酸化酵素と相互に作用することが可能であるか、
又は(b)ペルオキシダーゼ活性を示すかのいずれかで
ある所定の被分析物の存在又は濃度を測定する新規の改
善された組成物、試験装置及び方法を指向する。この装
置には、所定の被分析物と相互に作用して検出可能な応
答を生起させる指示試薬組成物を組み込んだ適当な担体
基質が含まれる試験パッドを備えている。家庭向け用途
には、この指示試薬組成物は、視覚的に検出可能な応答
を生起する。試験室向け用途には、指示試薬組成物は、
視覚的に、又は器具を用いて検出可能な応答を生起す
る。試験パッドの担体基質には、吸水性材料、例えば濾
紙;非吸水性材料、例えば重合させた材料で作成した層
もしくはフィルム;又はそれらの組合わせが含まれる。
指示試薬組成物は担体基質に組み込まれ、そして担体基
質は、試験試料の所定の被分析物による担体基質の浸透
性を保ちつつ、担体基質全体にわたって指示試薬組成物
を保持する。
【0052】より具体的には、本発明は、新規の改善さ
れた指示試薬組成物を用いることによって、所定の被分
析物について、血液、尿又は他の液体試験試料を検定す
る方法を指向する。所定の被分析物は、酸化酵素、例え
ばグルコース、コレステロール、尿酸、アルコールもし
くはトリグリセリドと相互に作用することが可能である
化合物;又は、過酸化活性を示す化合物、例えばヘモグ
ロビン、すなわち潜血である。(a)所定の被分析物に
応答して変色作用を受けることが可能な、酸化還元指示
薬に類する指示試薬;(b)酸化酵素及びペルオキシダ
ーゼ、又はヒドロペルオキシドのいずれかを含有する酸
化還元媒介物;(c)金属イオン錯体;及び(d)臭素
酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、クロム酸イ
オン、並びに過酸化物、ヒドロペルオキシド又はN−ハ
ロゲン化合物に類する有機酸化剤、及びそれらの組合わ
せよりなる群から選ばれる共酸化剤を含んでなる指示試
薬組成物は、アスコルビン酸による一次干渉、及び金属
イオン錯体に起因する二次干渉の双方を効果的に排除
し、その結果、所定の被分析物に対する増大された感度
を示すことが立証されている。
【0053】指示試薬組成物に含まれる金属イオン錯体
は、試験試料中に存在するアスコルビン酸塩の一次干渉
作用を、該アスコルビン酸塩を酸化することによって効
果的に排除する。この酸化還元反応において、金属イオ
ン錯体の金属イオンは還元される。次いで、該組成物に
含まれる臭素酸イオンに類する共酸化剤が金属イオンの
還元形を酸化するので、結果的に、金属イオンの還元形
は、指示染料の酸化形をその無色の還元形へと還元する
ことに利用されることが不可能となる。したがって、指
示試薬組成物が組み込まれた試験パッドと試験試料との
接触から生じる色変化は、見せかけのではなく真の色変
化であり、該色変化を試験試料中の所定の被分析物の量
と正確に相関させることが可能となる。
【0054】本発明の重要な特徴によれば、金属イオン
錯体によってアスコルビン酸イオンの干渉作用が排除さ
れことから、液体試験試料中の所定の被分析物について
の、より正確かつ信頼性に富む検定が達成され、また、
金属イオンの還元形が指示色素の有色の酸化形と相互に
作用できる以前に、共酸化剤が該金属イオンの還元形を
その酸化形へと酸化することに起因して、充分な色変化
が検出される。本発明の指示試薬組成物を臨床的試験法
に利用することによって、試験試料中の所定の被分析物
の量に応答する、指示試薬組成物の充分な色変化が検出
されることから、尿又は他の試験試料中の所定の被分析
物、例えばグルコース又はヘモグロビンについての定性
的又は定量的検定は一層正確となる。色変化、したがっ
て及び検定は、アスコルビン酸イオンに、かつ金属イオ
ン錯体中に存在する金属イオンの還元形に起因する干渉
を受けない。
【0055】したがって、本発明の重要な一面は、酸化
酵素と相互に作用することが可能であるか、又はペルオ
キシダーゼ活性を示すことが可能であるかのいずれかで
ある所定の被分析物について、血液、尿その他の試験試
料を検定する単純、正確、かつ再現可能な方法を提供す
る。この方法は、アスコルビン酸塩に起因する一次及び
二次の検定に対する干渉を排除する指示試薬組成物を利
用し、それ故、所定の被分析物に対する増大された感度
を実現する。
【0056】所定の被分析物について血液、尿又は他の
試験液体を検定するための本方法は、指示色素;(a)
酸化酵素及びペルオキシダーゼ、又は(b)ヒドロペル
オキシドのいずれかが含まれる酸化還元媒介物;金属イ
オン錯体;臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオ
ン、クロム酸イオン、並びに過酸化物、ヒドロペルオキ
シド又はN−ハロゲン化合物に類する有機酸化剤、及び
それらの組合わせよりなる群から選ばれる共酸化剤を含
んでなる指示試薬組成物を利用し、ここにおいて、アス
コルビン酸塩の一次干渉作用、及び金属イオン錯体の還
元形の二次干渉作用は本質的に排除される。
【0057】指示試薬組成物は、試験試料と接触する
と、試験試料中の所定の被分析物と相互に作用し、検出
又は測定可能な色変化を受けて、試験試料中の所定の被
分析物の存在又は濃度を明確に表す。本発明の組成物、
方法及び試験装置は、低濃度の所定の被分析物に対して
感度の高い検定を実現し、所定の被分析物についての正
確な検定結果をもたらす。
【0058】本発明の上記の並びに他の目的、利点及び
新規な特徴は、添付の図面との関連による、以下の本発
明の好適な実施態様の詳細な説明から明らかとなるもの
と思われる。
【0059】本発明の方法によれば、指示色素;酸化還
元媒介物;金属イオン錯体;臭素酸イオン、塩素酸イオ
ン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、並びに過酸化
物、ヒドロペルオキシド又はN−ハロゲン化合物に類す
る有機酸化剤、及びそれらの組合わせよりなる群から選
ばれる共酸化剤とを含んでなる指示試薬組成物を用いる
ことによって、血液、尿及びその他の試験試料中の所定
の被分析物、例えばグルコース、コレステロール、尿酸
又は潜血についての定性的又は定量的検定が遂行され
る。本発明の重要な特徴によれば、所定の被分析物は、
(a)酸化酵素と相互に作用することが可能である化合
物、例えばグルコース、コレステロール、アルコール、
尿酸又はトリグリセリド、又は(b)ペルオキシダーゼ
活性を示す化合物、例えばヘモグロビン(すなわち潜
血)及びミオグロビンのいずれかである。したがって、
指示試薬組成物の酸化還元媒介物には、それぞれ、
(a)適当な酸化酵素及びペルオキシダーゼ、又は
(b)ヒドロペルオキシドのいずれかが含まれる。
【0060】本発明の指示試薬組成物は、試験試料中に
存在するアスコルビン酸の一次干渉作用、及び指示試薬
組成物に含まれてアスコルビン酸と相互に作用する金属
イオン錯体に起因する二次干渉作用を本質的に排除す
る。したがって、指示色素は、所定の被分析物を含有す
る試験試料と接触した後に、所定の被分析物と酸化還元
媒介物との相互作用に応じて充分な色変化を受ける。
【0061】金属イオン錯体は、指示試薬組成物に含ま
れて、試験試料中に存在するアスコルビン酸を酸化し、
したがってまたアスコルビン酸塩の一次干渉を排除す
る。Mayambala-Mwanika らの米国特許第4,587,2
20号は、特定の第二鉄イオンキレートを用いてアスコ
ルビン酸塩の一次干渉を実質的に排除することを開示し
ている。しかし、それにもかかわらず、酸化酵素と相互
に作用し得る、あるいはペルオキシダーゼ活性を示し得
る所定の被分析物について検定するための現在の方法及
び装置には、依然として問題点が存在する。例えば、ア
スコルビン酸の酸化の際は、金属イオン錯体の金属イオ
ンが還元される(例えば第二鉄イオンキレートは第一鉄
イオンキレートへと還元される)。第一鉄イオンは、指
示色素の酸化形、すなわち有色形態と相互に作用して、
該色素の酸化形をその還元形、すなわち無色の形態へと
還元するのに充分に強力な還元剤である。したがって、
色変化の一部が覆されることから、誤りによる低い検定
結果が生じる。
【0062】驚くべき、かつ意外にも、指示試薬組成物
に臭素酸イオンに類する適当な共酸化剤を含ませること
によって、第一鉄イオンは、指示色素の酸化形と相互に
作用できる以前に第二鉄イオンへと酸化され、それによ
って、第一鉄イオンと酸化された指示色素との干渉的な
相互作用が予防されることが判明した。その結果、所定
の被分析物と指示色素との間の酸化還元媒介物に媒介さ
れた相互作用から生じる色変化は、より鮮明なものとな
る。それに応じて、低濃度の所定の被分析物に対する検
定の精度及び感度は増大される。
【0063】本発明の方法によって得られる、低レベル
の所定の被分析物に対する改善された精度及び増大され
た感度は、グルコース又は潜血についての尿の検定に特
に有用である。所定の被分析物についての商業的に有用
な尿検定とは、安定な指示試薬組成物を含み、鋭敏であ
り、かつ、好ましくは、アスコルビン酸による一次干
渉、及び、アスコルビン酸に又は試験試料からのアスコ
ルビン酸の排除に起因する二次干渉に耐性を有するもの
である。
【0064】さきに考察のとおり、アスコルビン酸及び
アスコルビン酸イオンは、酸化還元指示色素に基づく診
断的試験における一般的な干渉物である。グルコース及
び潜血についての尿の検定におけるアスコルビン酸の干
渉は、当業界に周知であって、排除されることが好まし
い。アスコルビン酸は指示色素の酸化を干渉し、したが
って、試験試料中のアスコルビン酸は所定の被分析物に
関して見かけ上陰性の結果を生起する。したがって、
「アスコルビン酸塩耐性」とは、尿試料に試料1デシリ
ットル(dl)あたり約200mg(ミリグラム)という多
量のアスコルビン酸が含まれる場合の指示色素の色変化
に対する無視し得る干渉として定義される。
【0065】所定の被分析物についての検定におけるア
スコルビン酸塩の干渉を排除することは、試験試料中の
低濃度の所定の被分析物の検出が、更に試験しなければ
ならない疾病又は損傷を有する状態を表示できることか
ら、臨床的に重要である。上記により、また後述におい
て更に充分考察するとおり、本発明の方法及び試験具
は、試験試料中の低濃度の所定の被分析物について正確
に検定する。本発明の方法及び試験具は、試験試料中の
所定の被分析物の濃度にのみ応答して色変化を受ける指
示試薬組成物を用い、それによって、所定の被分析物に
ついての鋭敏かつ信頼性に富む検定を実現する。驚くべ
き、かつ意外なことに、指示色素、酸化還元媒介物及び
金属イオン錯体を更に含んでなる指示試薬組成物中に適
当な共酸化剤を含ませることは、アスコルビン酸イオン
に起因する一次干渉作用、及び還元形で存在する金属イ
オンに起因する二次干渉作用を本質的に排除することに
よって、所定の被分析物についての検定の精度及び感度
を実質的に増大させることが見いだされた。
【0066】本発明の方法及び試験具はまた、血漿又は
血清、尿、糞便及び胃腸内容中の所定の被分析物の存在
又は定量的濃度を、より一般的には、他の多くの生体体
液及び生体半固形物である所定の被分析物の濃度をも判
定することにも用い得ることが明らかとなるものと思わ
れる。一般的には、いかなる水性の試験試料、又は水性
溶媒に可溶である試験試料も検定することができる。本
発明の利点を充分に発揮させるには、本発明の組成物を
乾燥相試験ストリップとして用いて、尿又は他の試験試
料中の、酸化酵素と相互に作用することが可能である
か、ペルオキシダーゼ活性を示すことが可能であるかの
いずれかである所定の被分析物の存在又は濃度を測定す
る。
【0067】本発明の組成物を用いた方法及び試験具
は、指示色素が酸化されて、試験試料中に存在する過酸
化活性物質の量に応じた色変化を受けることから、所定
の被分析物についての一層正確で、信頼するに足り、か
つ臨床的に有意義な検定を実現する。色変化の程度及び
強度は、アスコルビン酸の存在、又は還元された金属イ
オンの存在(両者とも指示色素の有色の酸化形をその無
色の還元形へと還元する)が原因となって減衰されると
いうことがない。したがって、検定の感度は増大され、
家庭又は試験室で実施して本質的に速やかな検定結果を
得ることができる、所定の被分析物についての迅速、正
確、かつ信頼するに足る検定方法が完成される。
【0068】本発明の方法は、酸化酵素と相互に作用し
過酸化水素を生成するか、、次いでペルオキシダーゼと
相互に作用して、酸素を遊離させるか、ヒドロペルオキ
シドと相互に作用して酸素を遊離させるかのいずれかを
なし得る所定の被分析物の能力を利用する。いずれの場
合も、酸素は次に指示色素を酸化する。指示色素の酸化
は指示試薬組成物の色変化をもたらし、色変化の程度及
び強度は、試験試料中の所定の被分析物の濃度に正比例
する。そのため、本発明の指示試薬組成物は、酸化還元
媒介物、すなわち(a)酸化酵素及びペルオキシダーゼ
又は(b)ヒドロペルオキシド、及び指示色素を含有す
るが、ここで、該指示色素は、該酸化還元媒介物と試験
試料中に存在する所定の被分析物との相互作用によって
形成される酸素による、その酸化形への転換の際に色変
化を受ける。
【0069】指示試薬組成物はまた、所定の被分析物に
ついての検定からアスコルビン酸塩の一次干渉を排除す
るための化合物も含有する。本発明によれば、アスコル
ビン酸塩の干渉を排除するために含まれる成分は、好ま
しくは金属イオン錯体である。しかし、後述において更
に充分に考察するとおり、水溶性の金属イオンの塩を用
いてアスコルビン酸塩の一次干渉を排除することも可能
である。金属イオンは、その酸化形、例えば第二鉄イオ
ンとして存在し、アスコルビン酸塩と相互に作用してこ
れを酸化して、アスコルビン酸の干渉を排除することが
可能である。その結果、金属イオンはその還元形、すな
わち第一鉄イオンへと還元される。ところが、第一鉄イ
オンは指示色素の有色の酸化形と相互に作用して、第二
鉄イオン、及び指示色素の無色の還元形を再び生成する
ことが可能である。したがって、色変化の一部は覆さ
れ、誤りによる低い検定結果がもたらされる。
【0070】その結果、かつ本発明の重要な特徴に従
い、指示試薬組成物には、臭素酸イオン(BrO3 -)、
塩素酸イオン(ClO3 -)、過塩素酸イオン(Cl
4 -)、クムロ酸イオン(CrO4 -2 )、並びに過酸化
物、ヒドロペルオキシド又はN−ハロゲン化合物に類す
る有機酸化剤、及びそれらの組み合わせよりなる群から
選ばれる共酸化剤をも含有させて、効果的かつ迅速に第
一鉄イオンを第二鉄イオンへと再酸化し、それによっ
て、第一鉄イオンと指示色素の酸化形との相互作用を防
止する。したがって、充分な色変化が検出かつ測定され
て、所定の被分析物についての正確かつ信頼性に富む検
定が実現される。
【0071】後述において一層充分に考察するとおり、
本発明の指示試薬組成物には、pHを約5〜約7の範囲内
とするために緩衝化合物を含有させることも可能であ
る。このpHの範囲内では、指示色素の酸化から生じる色
変化は最も鮮明かつ識別可能である。しかし、臭素酸イ
オン、塩素酸イオン又は過塩素酸イオンが、このやや酸
性ないし本質的に中性のpHで、還元された金属イオンと
相互に作用して金属イオンの酸化形を再生し、かつ、臭
化物イオンに類する無害な還元生成物を形成することは
予想外である。先行技術は、臭素酸イオン、塩素酸イオ
ン及び過塩素酸イオンは非常に酸性に富む媒体、例えば
約4を下回るpHの媒体中で酸化剤として作用することを
教示している。
【0072】下記の不均衡な反応は、所定の被分析物を
含有する試験試料を本発明の指示試薬組成物を含む試験
装置と接触させた場合に生じる相互作用を例示かつ要約
したものである。例示を目的として、所定の被分析物は
グルコース、金属イオン錯体はN−(2−ヒドロキシエ
チル)エチレンジアミン四酢酸[Fe(III )−HED
TA]なる第二鉄イオンキレート、共酸化剤は臭素酸イ
オンである。「Ind.dye 」なる用語は指示色素を、「o
x」及び「red 」なる用語は色素の酸化形及び還元形を
それぞれ指す。Fe(II)−HEDTAは、Fe(III
)−HEDTAの還元形、又は第一鉄の形態である。 グルコース+酸素(O2) → 過酸化水素(H2O2)+グルコン酸 (3) ペルオキシダーゼ H2O2+Ind.dye(red)(無色) → Ind.dye(ox) (有色)+H2O (4) アスコルビン酸+Ind.dye(ox) (有色) → デヒドロアスコルビン酸塩+Ind.dye(red)(無色) (5) Fe(III)-HEDTA +アスコルビン酸 → Fe(II)-HEDTA+デヒドロアスコルビン酸塩 (6) Fe(II)-HEDTA+Ind.dye(ox) (有色) → Fe(III)-HEDTA +Ind.dye(red)(無色) (7) 臭素酸塩(BrO3 -) +Fe(II)-HEDTA → 臭化物(Br-) +Fe(III)-HEDTA (8)
【0073】式(3)及び(4)は、グルコースについ
ての色原性検定に関する反応式を例示したもので、式
(4)で生じる変色の程度及び強度は試験試料中のグル
コースの量に比例する。式(5)は、酸化された指示色
素と相互に作用して色変化を減衰させ、かつ偽陰性の検
定結果をもたらし、もしくは検定に干渉するアスコルビ
ン酸を示す。式(6)は、アスコルビン酸を無害のデヒ
ドロアスコルビン酸塩へと酸化することによって、アス
コルビン酸塩の一次干渉を排除する第二鉄イオンキレー
ト、すなわちFe(III )−HEDTAを示す。式
(7)は、金属イオン錯体の還元形[Fe(II)−HE
DTA]が指示色素の酸化形と相互に作用して指示色素
の還元形を生成し、それ故色変化の程度及び強度を減衰
させる場合に生じるアスコルビン酸塩の二次干渉を示
す。式(8)は、金属イオン錯体の還元形[Fe(II)
−HEDTA]である第一鉄イオンと相互に作用してア
スコルビン酸塩の二次干渉を排除する臭素酸イオンを示
す。式(8)は、臭素酸イオンは無害な臭化物イオンへ
と還元され、非干渉性のFe(III )−HEDTAが再
生されることを示す。これにより、金属イオン錯体、及
び臭素酸イオンに類する適当な共酸化剤を指示試薬組成
物に含有させることによって、アスコルビン酸塩に起因
する干渉(一次干渉)、及びアスコルビン酸塩を除去す
るために加えられた金属イオン錯体に起因する干渉(二
次干渉)は本質的に排除される。
【0074】指示試薬組成物に含められた指示色素は、
該指示色素が、所定の被分析物及び酸化還元媒介物、例
えば酸化酵素−ペルオキシダーゼの組又はヒドロペルオ
キシドの存在下で、検出可能な応答、好ましくは色原性
応答を受けることが可能である点においてのみ限定され
る。したがって、指示色素は、所定の被分析物と酸化還
元媒介物との相互作用によるその還元形からその酸化形
への転換に際して色変化を受ける、酸化還元指示薬であ
ることが好ましい。指示色素は、色変化が生じる前は所
定の被分析物及び酸化還元媒介物の双方が存在できるに
充分なだけ安定でなければならない。本発明の利点を充
分に発揮させるよう、指示色素は、検出可能かつ測定可
能な多様な程度及び強度の色彩による色変化を受けるの
で、該色変化の程度及び強度は、これを試験試料中の所
定の被分析物の濃度と相関させることが可能となる。
【0075】本発明の組成物に用いるには、いくつかの
指示色素が適当であり、一般に、比較的容易に酸化され
て濃厚な色彩を示す酸化生成物を生じる。適当な部類の
指示色素としては、ベンジジン型の指示薬化合物及び複
素環アジンの指示薬化合物があるが、これらに限られる
わけではない。複素環アジン指示薬化合物の例として
は、ビス−(N−エチルキノール−2−オン)−アジン
及び(N−メチルベンズチアゾール−2−オン)−(1
−エチル−3−フェニル−5−メチルトリアゾール−2
−オン)−アジンがあるが、これらに限られるわけでは
ない。ベンジジン型の指示薬化合物としては、例えばベ
ンジジン、o−トリジン、3,3’,5,5’−テトラ
(低級アルキル)ベンジジン、o−ジアニシジン、2,
7−ジアミノフルオレン及びそれらの混合物、及び他の
適当な指示色素があるが、これらに限られるわけではな
い。「低級アルキル」なる表現は、上記に用いられる限
りでは、1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基とし
て定義され、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピル、及び各種のブチル、ペンチル及びヘキシル異性体
がこれに含まれる。本発明の利点を充分に発揮させるに
は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(T
MB)なる酸化還元指示薬を指示試薬組成物に含ませ
る。
【0076】通常、指示色素は、指示試薬組成物中に約
5〜約60mM(ミリモル濃度、すなわち指示試薬組成物
1リットルあたりの指示色素のミリモル数)、好ましく
は約20〜約40mMの濃度で存在する。指示試薬組成物
中の指示色素の量は、個々の指示色素が酸化の際に受け
る色変化の強度に応じて、約5mMより少ないことも、あ
るいは約60mMより多いことも可能であることを理解し
なければならない。一般的には、指示試薬組成物に含め
られる指示色素の量は、指示色素が、定性的な検定に対
しては検出可能な色変化を受け、定量的な検定に対して
は、試験試料中の所定の被分析物の量に比例する測定可
能な色変化を受けるという点においてのみ限定される。
【0077】本発明のもう一つの重要な特徴によれば、
指示試薬組成物は、酸化還元媒介物も含有する。所定の
被分析物が、酸化酵素との相互作用が可能である化合物
である場合は、酸化還元媒介物として、(a)所定の被
分析物と特異的に相互に作用する酸化酵素及び(b)ペ
ルオキシダーゼ酵素を含む。所定の被分析物が、ペルオ
キシダーゼ活性を示し得る化合物である場合は、酸化還
元媒介物としてヒドロペルオキシドを含む。
【0078】ペルオキシダーゼ活性を示す、ヘモグロビ
ンに類する所定の被分析物についての検定では、所定の
被分析物は、ヒドロペルオキシドが含まれる酸化還元媒
介物との相互作用が可能である。この相互作用の結果と
して、指示色素は酸化され、試験試料中の所定の被分析
物の量に比例する色変化を受ける。試験試料中に存在す
る所定の被分析物が過酸化活性を示す、すなわちペルオ
キシダーゼなる酵素に類似の挙動を示す場合は、所定の
被分析物は指示色素の酸化を触媒する。
【0079】したがって、本発明の指示試薬組成物に、
過酸化活性を示す所定の被分析物に対する酸化還元媒介
物として含まれるヒドロペルオキシドは、所定の被分析
物の不在下でも遊離酸素が放出されないよう充分に安定
でなければならない。更に、該ヒドロペルオキシドは、
貯蔵の間に、又は指示試薬組成物が乾燥相試験ストリッ
プの試験パッドの担体基質に組み込まれた後に、ヒドロ
ペルオキシドが蒸発若しくは昇華しないよう、充分に低
い蒸気圧を有していなければならない。加えて、該ヒド
ロペルオキシドは、例えば潜血についての尿の検定にお
いて、試験試料1兆部中に1部のヘモグロビンに類する
所定の被分析物を検出するに充分な感度を示さなければ
ならない。
【0080】したがって、本発明の指示試薬組成物に有
用なヒドロペルオキシドは周知の多くのヒドロペルオキ
シドの中から選ばれる。適当なヒドロペルオキシドは、
適当な指示色素の存在下で所定の被分析物と相互に作用
して、検出可能な応答、例えば色変化、又は試験試料に
よって吸収若しくは反射される光の量の変化を生じるこ
とが可能である。有機ヒドロペルオキシドが好適であ
る。適当なヒドロペルオキシドの具体的な例としては、
クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキ
シド、ジイソプロピルベンゼン ヒドロペルオキシド、
1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−ヒドロペルオキシ
ド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペル
オキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、1,4−
ジイソプロピルベンゼン モノヒドロペルオキシド、p
−t−ブチルイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシ
ド、2−(α−ヒドロペルオキシイソプロピル)−6−
イソプロピルナフタレン、テトラリンヒドロペルオキシ
ド及びそれらの組合わせがあるが、これらに限られるわ
けではない。潜血についての尿の検定では、安定的、鋭
敏かつ不揮発性であることから、1,4−ジイソプロピ
ルベンゼン ジヒドロペルオキシド(DBDH)が好適
なヒドロペルオキシドである。
【0081】指示試薬組成物に含まれるヒドロペルオキ
シドの濃度は、約5〜約100mM、好ましくは約25〜
約75mMの範囲である。指示試薬組成物に含まれる特定
のヒドロペルオキシドの具体的な量は、それぞれのヒド
ロペルオキシドの物理的化学的特性、例えば揮発性、安
定性、及び過酸化活性を示す所定の被分析物に対する感
度に応じて決められる。
【0082】酸化酵素と相互に作用することが可能であ
る、グルコース又はコレステロールに類する所定の被分
析物についての検定では、酸化還元媒介物としては、
(a)所定の被分析物と特異的に相互に作用する酸化酵
素及び(b)ペルオキシダーゼがある。この検定では、
所定の被分析物と酸化酵素が初めに相互に作用して過酸
化水素を生成し、次いで、過酸化水素とペルオキシダー
ゼ酵素が相互に作用して指示色素を酸化し、指示試薬組
成物の色変化を生起するが、ここで、色変化の程度及び
感度は、試験試料中の所定の被分析物の量と相関付けら
れる。その結果、所定の特定の被分析物についての検定
の方法は、適切な酸化酵素及びペルオキシダーゼが含ま
れる酸化還元媒介物を用いることによって、これを設計
することが可能である。
【0083】上記により、指示試薬組成物に含まれる酸
化酵素は、試験試料中の他の成分とは対照的に、問題の
所定の被分析物と選択的に相互に作用することができ
る。例えば、グルコースについての検定では、グルコー
ス酸化酵素が酸化酵素として含まれ、コレステロールに
ついての検定では、コレステロール酸化酵素が酸化酵素
として含まれる。しかし、グルコース酸化酵素及びコレ
ステロール酸化酵素に加え、特定の所定の被分析物と相
互に作用して、指示色素を酸化するための酸化能力を生
じる酸化酵素としては他にも、ウリカーゼ、アリールア
ルコール酸化酵素、L−グルコノラクトン酸化酵素、ガ
ラクトース酸化酵素、ピラノース酸化酵素、L−ソルボ
ース酸化酵素、ピリドキシン4−オキシダーゼ、アルコ
ール酸化酵素、L−2−ヒドロキシ酸酸化酵素、ピルビ
ン酸酸化酵素、シュウ酸酸化酵素、グリオキシル酸酸化
酵素、ジヒドロオロト酸酸化酵素、ラノステロール酸化
酵素、コリン酸化酵素、グリコール酸酸化酵素、グリセ
リン−3−リン酸酸化酵素、キサンチン酸化酵素、サル
コシン酸化酵素、N−メチルアミノ酸酸化酵素、N6
チルリシン酸化酵素、6−ヒドロキシ−L−ニコチン酸
化酵素、6−ヒドロキシ−D−ニコチン酸化酵素、ニト
ロエタン酸化酵素、亜硫酸酸化酵素、チオール酸化酵
素、シトクロムc酸化酵素、プソイドモナスシトクロム
酸化酵素、アスコルビン酸酸化酵素、o−アミノフェノ
ール酸化酵素及び3−ヒドロキシアントラニル酸酸化酵
素があり、かつこれらに限られるわけではない。かかる
酸化酵素は、各種の所定の被分析物、例えばトリグリセ
リド類、尿酸、グルコース、コレステロール及びガラク
トースの検定に用いることが可能である。
【0084】指示試薬組成物に含まれる酸化酵素の濃度
は、試験試料中の所定の被分析物の全量と相互に作用す
るに充分なものである。したがって、一般的には、指示
試薬組成物に含まれる酸化酵素の量は、指示試薬組成物
1ミリリットル(ml) あたり約50〜約1,000単位
の範囲であり、好ましくは約50〜約250単位の範囲
である[ここで、1単位は、問題の検定に適切であるpH
及び約30℃の温度で、毎分1.0μM (マイクロモ
ル)の基質を酸化する酸化酵素の量として定義され
る]。指示試薬組成物中の酸化酵素の量は、問題の特定
の所定の被分析物、及び特定の所定の被分析物の試験試
料中の予測される濃度によっては、1mlあたり1,00
0単位を上回り、あるいは50単位を下回ることがあり
得ることを理解しなければならない。
【0085】同様に、指示試薬組成物中のペルオキシダ
ーゼの量は、酸化酵素と所定の被分析物との相互作用で
生成される過酸化水素の全量と相互に作用するに充分な
ものである。したがって、一般的には、指示試薬組成物
に含まれるペルオキシダーゼの量は、指示試薬組成物1
mlあたり約50〜約1,000単位の範囲であり、好ま
しくは約50〜約250単位の範囲である[ここで、1
単位は、pH6.0及び20℃において20秒間に1mg
(ミリグラム)のプルプロガリンをピロガロールから形
成させる量として定義される]。ペルオキシダーゼの量
は、問題の特定の所定の被分析物、及び特定の所定の被
分析物の試験試料中の予測される濃度によっては、1ml
あたり1,000単位を上回り、あるいは50単位を下
回ることがあり得ることを理解しなければならない。
【0086】更に、指示色素及び酸化還元媒介物に加
え、指示試薬組成物は、検定にアスコルビン酸塩耐性を
付与するための金属イオン錯体も含有する。一般に、金
属イオン錯体は、金属イオンによって試験試料中に存在
するアスコルビン酸塩の酸化を促進し、それによってア
スコルビン酸塩の干渉を排除する。アスコルビン酸が酸
化されない場合、アスコルビン酸は、指示色素の有色の
酸化形と相互に作用して、酸化されたアスコルビン酸、
及び指示色素の無色の還元形を生成する。したがって、
所定の被分析物についての誤りによる低い検定結果、又
は偽陰性の検定結果をもたらす。一般に、金属イオン
は、金属イオン錯体として指示試薬組成物に含まれ、金
属イオンの可溶性を高め、かつ金属イオン固有の過酸化
活性の克服に役立てられる。しかし、金属イオンの水溶
性の塩を指示試薬組成物に含ませることも可能である。
【0087】本発明の重要な特徴によれば、錯体化され
ている場合、アスコルビン酸を速やかに酸化してアスコ
ルビン酸塩の干渉を排除することが可能である基本的に
はいかなる金属イオンであっても本発明の指示試薬組成
物に含有させることが可能である。したがって、指示試
薬組成物に含まれる金属イオン錯体に有用な金属イオン
は、第二鉄イオン、第二銅イオン、第二水銀イオン、第
二スズイオン、ニッケル(II)イオン、マンガン(III
)イオン、カドミウム(II)イオン、亜鉛(II)イオ
ン、モリブデン(V)イオン、クロム(IV)イオン、バ
ナジウム(III )イオン、セリウム(IV)イオン及びそ
れらの組合わせよりなる群から選ばれる。更に、(III
)より大なる原子価状態を有する他の金属イオンもま
た、金属イオン錯体の金属イオンとして用いることが可
能である。本発明の利点を充分に発揮させるには、金属
イオン錯体中に存在する金属イオンは第二鉄イオンであ
る。
【0088】前述のとおり、金属イオンは錯体化され
て、金属イオンの水溶性が増大され、かつ金属イオンの
固有の過酸化活性が減じられる。しかし、錯体化剤の性
格は具体的に制限されるものではなく、例えば、エチレ
ンジアミン四酢酸又はニトリロ三酢酸に類するポリカル
ボキシアルキルアミン;クエン酸、シュウ酸、酒石酸又
はグルコン酸に類するポリカルボン酸又はその塩;ソル
ビトールに類するポリヒドロキシ化合物;リグノスルホ
ン酸塩;グルコヘプトン酸塩;ビス(ジメチルグリオキ
シマト);ビスサリチルアルデヒドエチレンジイミナト
に類するサリチル酸錯体類;ジチオ酸誘導体;トリエチ
レンアミンに類するポリエチレンアミン;2,4−ペン
タンジオン誘導体;ジピリジン誘導体;トリエチレンピ
リジンアミン;システイン、グリシン又はヒスチジン含
有ポリペプチド;プロリン誘導体;1,4,8,11,
22,25−オクタチアシクロオクトサンに類するチオ
クラウンエーテル;トリフェニルホスフィン;又はそれ
らの組合わせが挙げられる。
【0089】特に、指示試薬組成物に有用な第二鉄イオ
ン錯体としては、第二鉄イオンのポリカルボキシアルキ
ルアミンキレート、例えば下記のものの第二鉄イオンキ
レート、すなわちN−(2−ヒドロキシエチル)エチレ
ンジアミン三酢酸(Fe−HEDTA)、エチレンジア
ミン四酢酸(Fe−EDTA)、シクロヘキシレンジア
ミン四酢酸(Fe−CDTA)、ニトリロ三酢酸(Fe
−NTA)、イミノ二酢酸(Fe−IMDA)、エチレ
ンジアミン二酢酸三プロピオン酸(Fe−EDDP、α
形及びβ形とも)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(F
e−HIMDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(Fe
−DTPA)、エチレンビス(オキシエチレンニトリ
ロ)四酢酸(Fe−EGTA)、N−(2−アセトアミ
ド)イミノ二酢酸(Fe−ADA)又はそれらの組合わ
せが挙げられるが、これらに限られるわけではない。第
二鉄イオンのポリカルボキシルアルキルアミンキレート
類は米国特許第4,587,220号に更に充分に記載
されている( 引用により本発明に組み込まれる) 。他の
適当な第二鉄イオン錯体としては、クエン酸第二鉄、グ
ルコン酸第二鉄、グルコヘプトン酸第二鉄、ビスサリチ
ルアルデヒドエチレンジイミナト第二鉄及びトリエチレ
ンピリジン第二鉄アミンがある。好適な第二鉄イオン錯
体はFe−HEDTA及びFe−EDTAである。本発
明の利点を充分に発揮させるには、Fe−HEDTAな
る第二鉄イオンキレートを本発明の指示試薬組成物に含
有させる。しかし、金属イオンは、錯体化されていない
形態、例えば水溶性の塩としても存在することが可能で
あることが理解されなければならない。例えば、かつ後
述において更に充分に明らかにされるとおり、硝酸第二
水銀は錯体化されていない形態の金属イオンとして用い
られている。
【0090】金属イオン錯体は、約0.5〜約50mMの
範囲、好ましくは約1〜約25mMの量で指示試薬組成物
に含まれる。この量で存在するとき、金属イオン錯体
は、約200mg/dl (ミリグラム/デシリットル)まで
のアスコルビン酸塩を含有する試験試料の検定における
アスコルビン酸塩の一次干渉を本質的に排除する。更
に、Fe(III )−HEDTAに類する適当な金属イオ
ン錯体、又は硝酸第二水銀に類する適当な金属塩は、商
業的に入手可能であり、したがって、指示試薬組成物に
直接組み込むことができることを理解しなければならな
い。これに代えて、指示試薬組成物の製造の際に、例え
ば塩化第二鉄六水和物(FeCl3 ・6H2O)に類す
る金属イオン塩、及びほぼ同モル量のN−(2−ヒドロ
キシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)に
類する錯体化剤を別個に指示試薬組成物に組み込んで、
Fe−HEDTAなる第二鉄イオンキレートを形成させ
ることによって、金属イオン錯体をその場で製造するこ
とも可能である。
【0091】指示色素、酸化還元媒介物及び金属イオン
錯体のみを含有する組成物を、所定の被分析物について
試験試料を検定する方法に用いる場合は、明確な不都合
が明白となる。前述のとおり、酸化還元媒介物は、所定
の被分析物と相互に作用して指示色素を酸化するために
該組成物に含められる。金属イオン錯体は、検定からア
スコルビン酸塩の一次干渉を排除するために該組成物に
含められる。ところが、アスコルビン酸塩の酸化によっ
てアスコルビン酸塩の干渉を排除する際に、金属イオン
は還元される。この金属イオンの還元形は、所定の被分
析物と酸化還元媒介物との相互作用から生じる指示色素
の有色の酸化形と相互に作用することが可能である。金
属イオンの還元形は、指示色素の酸化形をその無色の還
元形へと還元し、それによって、色変化の程度及び強度
を減衰させて、所定の被分析物について誤りによる低い
試験結果をもたらす。
【0092】したがって、金属イオンの還元形による酸
化された指示色素の還元は、乾燥相試験ストリップの感
度に関する重大な制約を所定の被分析物についての検定
に持ち込むことになる。しかるに、後述において更に充
分に明らかにされるとおり、指示色素と、酸化還元媒介
物と、金属イオン錯体と、臭素酸イオン、塩素酸イオ
ン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、並びに過酸化
物、ヒドロペルオキシド及びN−ハロゲン化合物に類す
る有機酸化剤、及びそれらの組合わせよりなる群から選
ばれる共酸化剤とを組み込んだ乾燥相試験ストリップ
は、所定の被分析物についての検定の際に前記のとおり
観察された、誤りによる低い試験結果を克服する。
【0093】驚くべき、かつ意外にも、指示色素、酸化
還元媒介物及び金属イオン錯体を含有する指示試薬組成
物に適当な共酸化剤を更に含ませることによって、金属
イオンの還元形は充分に酸化され、その結果、酸化され
た指示色素は金属イオンの還元形によってその無色の還
元形へと還元されないことが見いだされた。一般に、臭
素酸イオン、塩素酸イオン又は過塩素酸イオン、クロム
酸イオン、並びに過酸化物、ヒドロペルオキシド又はN
−ハロゲン化合物に類する有機酸化剤、及びそれらの組
合わせは適当な共酸化剤であって、水溶性の塩又は水溶
性の化合物として本発明の指示試薬組成物に含められ
る。
【0094】したがって、例えば臭素酸イオンは指示試
薬組成物中に、(a)水溶性媒体が所望される場合に充
分に水溶性の臭素酸塩が形成されるよう、対陽イオンと
して例えばカリウム、ナトリウム、リチウム、カルシウ
ム、マグネシウム、アンモニウム、アルキルアンモニウ
ム、ヒドロキシアルキルアンモニウム、アルキルホスホ
ニウム又はそれらの組合わせを有する臭素酸塩[ここ
で、アルキル又はヒドロキシアルキル基は1〜約6個の
炭素原子を有する]、又は(b)非水溶性媒体が所望さ
れる場合に充分に水に不溶性の臭素酸塩が形成されるよ
う、対陽イオンとして例えば第四級アルキルアンモニウ
ム、シアニン、ピリジニウム、ピコリニウム、キナルキ
ニウム、キノリニウム、第四級アルキルホスホニウム又
はそれらの組合わせを有する臭素酸塩[ここで、アルキ
ル基は6個又はそれ以上の炭素原子を有する]として含
められる。同様の塩素酸塩、過塩素酸塩及びクロム酸塩
の対陽イオンを、それらが所定の被分析物についての検
定に不都合に作用しない限り、共酸化剤としてやはり用
いることが可能である。本発明の利点を充分に発揮させ
るには、臭素酸イオンを臭素酸カリウムの形で指示試薬
組成物に含ませる。
【0095】共酸化剤はまた、過酸化物、ヒドロペルオ
キシド又はN−ハロゲン化合物に類する有機酸化剤であ
ることも可能である。過酸化物及びヒドロペルオキシド
の例としては、ジイソプロピルベンゼン ヒドロペルオ
キシド(DBDH)、ジイソプロピルベンゼン モノヒ
ドロペルオキシド、フェニルシクロヘキサン ヒドロペ
ルオキシド、p−(α−ヒドロペルオキシイソプロピ
ル)安息香酸、p−(ブロモイソプロピル)ベンゼンヒ
ドロペルオキシド及びp−(α−ヒドロキシ−α’−ヒ
ドロペルオキシイソプロピル)ベンゼンがあるが、これ
らに限られるわけではない。DBDHはが好適な過酸化
物又はヒドロペルオキシドである。有機N−ハロゲン化
合物の非限定的な例は、1−ハロベンゾトリアゾールで
あり、ここで、ハロゲン原子は好ましくは塩素原子であ
る。
【0096】一般に、共酸化剤は、指示試薬組成物中に
約5〜約100mMの濃度範囲、好ましくは約20〜約7
0mMの濃度範囲で含められる。本発明の利点を充分に発
揮させるには、共酸化剤は臭素酸イオンであって、指示
試薬組成物中に約40〜約60mMの濃度範囲で含められ
る。上記の濃度範囲内で、金属イオンの還元形をその酸
化形へと酸化するための充分量の共酸化剤が指示試薬組
成物中に存在する。
【0097】共酸化剤を含有する本発明の指示試薬組成
物は、所定の被分析物についての正確かつ鋭敏な検定を
可能にする。金属イオン錯体、例えばFe(III )−H
EDTAは、アスコルビン酸の急速な二電子酸化を行わ
せて、検定の干渉物としてのアスコルビン酸を排除す
る。アスコルビン酸の酸化は、均衡反応式(10)で示
されるが、ここで、Fe(III )−HEDTA及びFe
(II)−HEDTAはN−(2−ヒドロキシエチル)エ
チレンジアミン四酢酸(HEDTA)のそれぞれ第二鉄
及び第一鉄キレートである。 2Fe(III)-HEDTA+アスコルビン酸 → 2Fe(II)-HEDTA +2H+ +デヒドロアスコルビン酸塩 (9) 6Fe(II)-HEDTA +BrO3 - +6H+ → 6Fe(III)-HEDTA+Br- +3H2O (10) 3 アスコルビン酸+BrO3 - → 3 デヒドロアスコルビン酸塩+Br- +3H2O (11)
【0098】驚くべきことに、この後、臭素酸イオンは
約5〜約7のpHにおいて、金属イオン錯体の還元された
金属イオンをその、より低い原子価状態[Fe(II)−
HEDTA]からその、より高い原子価状態[Fe(II
I )−HEDTA]へと酸化し、それによって、還元さ
れた金属イオンと酸化された指示色素との酸化還元相互
作用を防止する。この臭素酸イオンとFe(II)−HE
DTAとの相互作用は均衡反応式(10)に示される。
【0099】式(10)の化学量論は、pH6.5で緩衝
化された既知量の第一鉄イオンを含む溶液に既知量の臭
素酸カリウムを加えることによる定性的滴定実験で測定
される。残存するFe(II)(第一鉄)イオンの検出に
はo−フェナントロリンを用いる。滴定実験の結果を表
1に示す。一般に、Fe(II)を含有する溶液では、溶
液に加えられた臭素酸カリウムの量がその当量比に達す
るまで、o−フェナントロリンの活性が保たれる。定性
的滴定のそれぞれにおいて、臭素(Br2 )は、10μ
M (マイクロモル)という少量の臭素を検出できる分析
方法を用いても検出されない。したがって、上記の条件
下での臭素−第一鉄イオン相互作用の還元生成物は、臭
素イオン(Br- )であると理論的に帰結される。した
がって、表1から、臭素酸カリウムの当量はその分子量
の6分の1であり、+5価の酸化状態(BrO3 -)から
−1価の酸化状態(Br- )への臭素の変化を示すこと
が判明する。これによれば、表1及び式(10)から、
本発明の利点を充分に発揮させるには、指示試薬組成物
に含まれる臭素酸イオンのモル量は、該組成物に含まれ
るFe(III )−HEDTAのモル量の少なくとも6分
の1である。Fe(III )−HEDTA、アスコルビン
酸及び臭素酸イオンの全体的反応は、均衡反応式(1
1)に示されている。
【0100】 表1 化学量論的KBrO3 -定量によるFe(II)−HEDTAの酸化 緩衝液:0.5Mクエン酸塩、pH6.5 Fe(II)−HEDTAの初期濃度:10mM ─────────────────────────────────── 実験 添加KBrO3 - KBrO3 -の当量モル/ o−フェナントロリン 番号 の濃度、mM Fe(II)の当量モルの比 添加の際の色 ─────────────────────────────────── 1 0 0 赤 2 0.33 0.2 赤 3 0.67 0.4 赤 4 1.0 0.6 赤 5 1.33 0.8 赤 6 1.67 1.0 非赤 7 3.33 2.0 非赤 ───────────────────────────────────
【0101】かかる結果は、所定の被分析物についての
検定は、通常、約5〜約7という本質的に中性のpH範囲
内で実行されるのに対して、臭素酸イオンは低pH媒体中
でその酸化強度を示すことから予想外である。更に、臭
素酸イオンは、指示色素を酸化しないので、偽陽性の試
験結果又は誤りによる高い試験結果をもたらさず、所定
の被分析物と酸化還元媒介物との相互作用に干渉せず、
金属イオンの還元形との充分に速やかな反応速度を示
し、酵素的相互作用に必要な中性のpH範囲で作用し、か
つ、指示試薬組成物の比色分析的応答に干渉する強い着
色の臭素分子(Br2 )とは異なる無害の臭化物イオン
(Br- )へと還元されることが見いだされた。
【0102】本発明のもう一つの重要な特徴によれば、
金属イオン錯体の濃度及び指示試薬組成物中の共酸化剤
の濃度は、アスコルビン酸酸化の速度に影響を及ぼすこ
とが見いだされている。例えば、アスコルビン酸が0.
1mM(ミリモル)、Fe(III )−HEDTAが25μ
M (マイクロモル)、及び臭素酸カリウムが可変量であ
って、6.5の緩衝pHである水溶液のアスコルビン酸酸
化の速度を、265nm(ナノメートル)での吸光度の減
少を追跡することによって測定した。
【0103】特に、図1には、アスコルビン酸が0.1
mM、Fe(III )−HEDTAが25μM 、かつ臭素酸
カリウムが0、0.5、1.5又は10mMのいずれかで
あるpH6.5の溶液について、265nmの吸光度(A
265 )の時間に対する一連のプロットを記入した。A
265 の減少は、アスコルビン酸が酸化されたことを示
す。したがって、図1は、臭素酸カリウムの不在(0mM
KBrO3 )下では、A26 5 はFe(III )−HED
TAの存在に起因して徐々にではあるが測定可能な程度
に減少することを示している。臭素酸カリウムの濃度が
0.5〜10mMの範囲にわたって増加するにつれて、A
265 の変化の率は増大する。図2は、酸化段階について
の一次速度定数(k、sec-1 )を臭素酸カリウムの濃度
に対してプロットしたものは、0.01sec-1 でy軸と
交差する直線として与えられることを示している。これ
らの条件下では、この反応についての速度定数は臭素酸
カリウムの濃度に比例することから、Fe(III )への
Fe(II)の再酸化は、このアスコルビン酸塩酸化機序
での見かけ上低速度の段階である。図3は、臭素酸カリ
ウムレベルを0.5mMに固定し、Fe(III )−HED
TAの濃度を0〜50μMの範囲にわたって増大させた
場合、アスコルビン酸酸化の速度はFe(III )−HE
DTAの濃度の関数となることを示している。これによ
れば、Fe(III )−HEDTAの濃度が増大するにつ
れて、アスコルビン酸酸化の速度も増加する。
【0104】したがって、また本発明の重要な特徴によ
れば、臭素酸イオン、塩素酸イオン又は過塩素酸イオ
ン、クロム酸イオン、及び過酸化物、ヒドロペルオキシ
ド又はN−ハロゲン化合物に類する有機酸化剤は、金属
イオン錯体中の金属イオンの酸化還元サイクルを完結さ
せるための共酸化剤として、本発明の指示試薬組成物に
含められる。第二鉄イオンキレートに類する金属イオン
錯体は、触媒的にアスコルビン酸を酸化し、次いで、共
酸化剤によって第二鉄イオンが再生される。したがっ
て、共酸化剤は、所定の被分析物についての検定の感度
を増大させる。改善された指示試薬組成物はまた、毒性
が低い、安定的である、副反応が最小限に止められる、
指示試薬組成物の成分間の相溶性に富むなどの利点をも
示す。後述において更に充分に明らかにされるとおり、
臭素酸イオン、塩素酸イオン又は過塩素酸イオン、クロ
ム酸イオン、及び過酸化物、ヒドロペルオキシド又はN
−ハロゲン化合物に類する有機酸化剤を含有する指示試
薬組成物が、所定の被分析物について試験試料が検定さ
れる、本質的に中性であるpHにおいて、金属イオン錯体
の還元された金属イオンの二次干渉作用を排除すること
は、驚くべきことであり、意外でもある。
【0105】上記の不可欠成分に加えて、指示試薬組成
物は、充分量の適当な緩衝剤を含むことも可能であっ
て、その結果、指示試薬組成物は、pHの変化の結果とし
てではなく、所定の被分析物と酸化還元媒介物との相互
作用の結果として、指示色素の色を変化させる。試験試
料は、問題の検定に対して所望されるpH範囲外のpHであ
ることが多く、そのため緩衝剤が試験試料に加えられ
る。したがって、本発明の指示試薬組成物には、各種の
公知のいかなる緩衝剤を含ませることも可能であること
が示されている。緩衝剤は、尿のpH及び尿の比重の影響
に耐えられる商業上許容可能な乾燥相試験ストリップに
おいては特に重要である。緩衝剤の機能は、指示試薬組
成物を適度のpHに保って指示試薬組成物を安定させ、か
つ検定の際に指示色素に所望の色変化を生じさせること
である。
【0106】緩衝剤は、通常、0〜約600mM、好まし
くは約50〜約400mMの範囲の濃度で本発明の指示試
薬組成物中に含められるが、特定の状況下では、緩衝剤
の濃度がこの範囲を上回り、又は下回ることも可能であ
る。本発明の利点を充分に発揮させるには、任意の緩衝
剤を約150〜約300mMの範囲の濃度で存在させる。
最適の検定結果を得るには、指示試薬組成物のpHは、一
般に、やや酸性ないし中性のpHに保つべきであることが
見いだされている。したがって、約5〜約7、好ましく
は約6〜約7のpHが、より鮮明かつ容易に識別し得る色
変化を所定の被分析物についての検定に与える。驚くべ
きことに、臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオ
ン、クロム酸イオン、及び過酸化物、ヒドロペルオキシ
ド又はN−ハロゲン化合物に類する有機酸化剤は、還元
された金属イオンをこのやや酸性ないし中性のpH範囲に
おいて効果的に酸化し、その結果、充分な色変化が検出
されて、アスコルビン酸、及び金属イオンの還元形にそ
れぞれ起因する一次及び二次干渉の存在しない最適の検
定結果をもたらすことが見いだされた。
【0107】例えば、先行技術は、所望されるアスコル
ビン酸塩耐性を実現するためにN−(2−ヒドロキシエ
チル)エチレンジアミン三酢酸の第二鉄キレート[Fe
(III )−HEDTA]に類する第二鉄イオン錯体を指
示試薬組成物に含ませた場合、指示試薬組成物は6.5
を上回るpH、例えば6.7〜7.0のpHの範囲に緩衝さ
れることを教示している。最も好ましくは、6.8〜
6.9にpHを緩衝させる。このpH範囲は、非常に差異に
富むpH値及び比重を示す尿試料を検定する場合に、感
度、安定性及びアスコルビン酸耐性の最良の均衡を実現
させる。驚くべきことに、臭素酸イオン、塩素酸イオ
ン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、又は過酸化物、
ヒドロペルオキシドもしくはN−ハロゲン化合物、又は
それらの組合わせは、この本質的に中性であるpHで、ア
スコルビン酸の酸化から生じる第二鉄イオンを第一鉄イ
オンへと充分に酸化する。
【0108】上記により、周知の緩衝剤、例えば酢酸
塩、フタル酸塩、ホウ酸塩、トリクロロ酢酸塩、スルホ
サリチル酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハ
ク酸塩、マレイン酸塩、2,2−ビス(ヒドロキシメチ
ル)−2,2’,2”−ニトリロトリエタノール、3,
3−ジメチルグルタール酸、3−N−モルホリノプロパ
ンスルホン酸(MOPS)、マロン酸、1,3−ビス
[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン
(ビス−トリス)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノ
メタン(トリス)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノ
メタン−マレイン酸(トリス−マレイン酸塩)、トリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン−マロン酸(トリス
−マロン酸塩)、3−N−(トリスヒドロキシメチル)
メチルアミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(T
APSO)、2−{[トリス(ヒドロキシメチル)メチ
ル]アミノ}エタンスルホン酸(TES)、1,4−ピ
ペラジンビス(エタンスルホン酸)(PIPES)、4
−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、N−2−ヒ
ドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン
酸(HEPES)、及びその他の当技術において周知の
適当な緩衝剤、又はそれらの組合わせを任意の緩衝剤と
して本発明の指示試薬組成物に場合により含ませること
が可能である。
【0109】本発明の指示試薬組成物は、指示色素、酸
化還元媒介物、金属イオン錯体及び、臭素酸イオン、塩
素酸イオン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、並びに
過酸化物、ヒドロペルオキシド又はN−ハロゲン化合物
に類する有機酸化剤、及びそれらの組合わせよりなる群
から選ばれる共酸化剤を含有し、液体試験試料中の所定
の被分析物の存在又は濃度を測定するための改良された
方法に用いられる。該指示試薬組成物は、液体試験試料
と接触する以前は安定的であり、次いで、試験試料中の
所定の被分析物と相互に作用して、視覚的又は器具によ
るいずれかによって識別及び測定が可能である色変化を
生起することが立証されている。更に、上記の不可欠成
分に加え、本発明の指示試薬組成物には、所定の被分析
物と酸化還元媒介物との相互作用において触媒的に放出
される酸素との接触及び相互作用に際して、指示色素が
変色するのに充分な量の、緩衝剤に類する任意の成分を
含ませることが可能である。したがって、アスコルビン
酸と、金属イオンの還元形とに起因する緩衝作用を受け
ない色変化は、試験試料中の所定の被分析物の存在又は
濃度を正確に確定させる。
【0110】不可欠成分に加え、指示試薬組成物には緩
衝剤の他にも、不可欠成分の性質及び機能を実質的に変
化させず、かつ所定の被分析物に干渉することのない任
意の成分を含ませることも可能である。例えば、指示試
薬組成物は、試験具の試験パッドの試験試料によるぬれ
を改善し、酸化された指示色素を安定化するための化合
物を場合により含有することが可能である。通常、この
化合物は、陰イオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤
である。陰イオン界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナト
リウム、スルホコハク酸ナトリウムジオクチル及びドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウムに類する長炭素鎖硫
酸塩又はスルホン酸塩が好適な界面活性剤である。非イ
オン界面活性剤、例えばオクトキシノール、非オキシノ
ール又はエトキシル化脂肪族アルコールも本発明の指示
試薬組成物に含ませることが可能である。界面活性剤
は、0〜約200mMの濃度で、好ましくは約50〜約1
50mMの濃度で指示試薬組成物に含められる。
【0111】指示試薬組成物には、試験具の変色作用の
安定性及び均一性を改善するポリマー性材料を含ませる
ことも可能である。適当なポリマー性材料としては、ポ
リビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アラビア
ゴム、ゼラチン、アルギン、カラゲニン、カゼイン、ア
ルブミン、メチルセルローズおよび類似の天然及び合成
ポリマー性材料があるが、これらに限られるわけではな
い。好適なポリマー性材料は、ポリビニルピロリドン、
例えば分子量が40,000のポリビニルピロリドン
で、ニューヨーク州ニューヨークのGAF社より商業的
に入手可能なPVP−K−30である。一般に、ポリマ
ー性材料は指示試薬組成物の全量の0〜約5%、好まし
くは約1〜約4%の量で指示試薬組成物に含められる。
【0112】更に、所定の被分析物についての色原性検
定における色変化の色の分離及び分化を改善するため
に、不活性の背景色素を指示試薬組成物に含ませること
も可能である。適当な背景色素としては、エチルオレン
ジ、すなわち4−(4−ジエチルアミノフェニルアゾ)
ベンゼンスルホン酸、オレンジG、すなわち4−(2−
ヒドロキシ−(7,9−ジスルホン酸ナトリウム)−1
−ナフチルアゾ)ベンゼン、分散オレンジ11、13又
は25、カルコミンオレンジ、メチルオレンジ、及びオ
レンジ(II)、すなわち4−(2−ヒドロキシ−1−ナ
フチルアゾ)ベンゼンスルホン酸、又はそれらの組合わ
せがあるが、これらに限られるわけではない。背景色素
は、0〜約2mMの範囲、好ましくは約0.1〜約1.2
mMの範囲の濃度で本発明の指示試薬組成物に含められ
る。
【0113】指示試薬組成物に含められる成分の担体ビ
ヒクルとしては水がある。しかし、指示試薬組成物に含
まれる特定の成分の水に対する溶解度には限度があるの
で、有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド、
1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルスルホキシ
ド、アセトニトリル、酢酸エチル及び類似の溶媒を担体
ビヒクルに含ませることが可能である。指示試薬組成物
の担体ビヒクルに水に加えて含ませるべき適当な有機溶
媒又は溶媒類の選択は、診断的検定を設計する当業者の
能力の範囲内にある。
【0114】指示試薬組成物中に存在する有機溶媒の量
は、一般に、担体ビヒクルの重量の0〜約90%、好ま
しくは約10〜約70%の範囲内である。指示試薬組成
物を含浸させた担体基質は2、3分ないし5、6分以内
にこれを乾燥させ得るので、水及び、エタノール又はア
セトニトリルに類する有機溶媒を含んでなる担体ビヒク
ルは特に好適である。
【0115】前述のとおり、指示試薬組成物は、試験試
料との接触に際して色変化を受け、所定の被分析物の存
在を明らかにする。更に、該色変化の強度及び程度は、
試験試料によって生起された色を既知の濃度の所定の被
分析物を含有する溶液によって生起された色と比較又は
相関させることによって、該試験試料中の所定の被分析
物の定量的濃度を測定することに用いられる。本発明の
重要な特徴によれば、本発明の指示試薬組成物は、試験
試料中の所定の被分析物の量を、色の測定器具、例えば
分光光度計又は比色計を用いることなく測定し、かつ正
確に判定することが可能となるに充分なだけ分離かつ分
化された色変化をもたらすことが立証されている。しか
し、要すれば、かかる色の測定器具を用いて、試験試料
と、既知の濃度の所定の被分析物を含有する溶液との間
の色の程度及び強度の差異を測定することが可能であ
る。
【0116】したがって、本発明の指示試薬組成物を用
いる所定の被分析物についての検定は、検定の精度及び
信頼性を改善し、検定に対する内科医の確信をも増大さ
せる。更に、試験室における訓練された内科医又は技師
とは対照的な未訓練の患者による、家庭で実施される所
定の被分析物についての検定の数が多いことから、尿に
類する試験試料中の、グルコースに類する所定の被分析
物についての正確で信頼性に富む定量的試験方法を提供
することは絶対に必要である。
【0117】本発明の方法によって達成された新規かつ
予想外の結果を立証するため、指示色素と、酸化還元媒
介物と、金属イオン錯体と、臭素酸イオン、塩素酸イオ
ン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、並びに過酸化
物、ヒドロペルオキシド又はN−ハロゲン化合物に類す
る有機酸化剤、及びそれらの組合わせよりなる群から選
ばれる共酸化剤とを含有する指示試薬組成物を、所定の
被分析物についての乾燥相試験ストリップ検定に用い
た。本発明の指示試薬組成物を用いた乾燥相試験ストリ
ップ検定は、当技術に周知の方法に従って実施される。
一般的には、所定の被分析物についての該検定は、全
血、血清、血漿、尿又は他の試験試料を、該指示試薬組
成物を有する被分析物検出装置(検出具)に接触させる
ことによって実施される。該被分析物検出具は、これを
試験試料中に浸すことが可能であり、又は、試験試料を
一滴ずつ該被分析物検出具に付与することが可能であ
る。結果的に生じる被分析物検出具の色の変化は所定の
被分析物の存在を証明し、かつ、そのように設計されて
いる場合は、結果的に生じる色変化を標準化された色チ
ャート表と比較して、試験試料中の所定の被分析物の濃
度の定量的測定を実現することが可能である。
【0118】典型的には、被分析物検出装置は、試薬を
含浸させた試験ストリップであって、単一パッド式試験
ストリップ(1種類の被分析物のみ検定するため)又は
多種パッド式試験ストリップ(数種類の被分析物を同時
に検定するため)のいずれかとして設計されている。い
ずれの形式の試薬含浸試験ストリップに関しても、該試
験ストリップは典型的には、疎水性プラスチックで通常
作られた担持ストリップ又は把手及び、指示試薬を組み
込んだ吸湿性又は非吸湿性の担体基質を含んでなる試験
パッド備えている。一般に、担体基質は、毛管作用に応
答して試験試料が担体基質中を移動して指示試薬組成物
と接触し、検出可能又は測定可能な色変化を生じること
を許す吸収性材料である。
【0119】担体基質は、問題の検定の実施に必要な化
学的試薬を組み込むことが可能であるいかなる物質であ
ることも、該担体基質が該化学的試薬に関して実質的に
不活性である限り可能であり、かつ多孔性であり、又
は、液体の試験試料に関して吸収性である。「担体基
質」なる表現は、水及び他の生理的流体に不溶であり、
かつ水及び他の生理的流体と接触した場合にその構造的
完全性が保たれる吸湿性又は非吸湿性の基質を意味す
る。適当な吸湿性基質としては、濾紙、海綿材料、セル
ロース、木材、織物及び不織布その他がある。非吸湿性
基質としては、ガラス繊維、ポリマーフィルム、及び形
成済み又は微孔性の膜がある。適当な担体基質としては
他に、親水性無機粉末、例えばシリカゲル、アルミナ、
ケイソウ土その他;粘土物質;布;親水性天然ポリマー
性材料、特に、セルロース性ビーズ類及び特に含繊維
紙、例えば濾紙又はクロマトグラフィー紙に類するセル
ロース性材料;合成又は改質された天然に産するポリマ
ー、例えば酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアク
リルアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、架橋結
合デキストラン、アガロース、及び他の、水に不溶のか
かる架橋結合及び非架橋結合親水性ポリマーがある。疎
水性及び非吸収性の物質は、本発明の担体基質としての
使用には不適当である。担体基質は、異なる化学的組成
物、又は化学的組成物の混合物よりなることも可能であ
る。また、基質は、硬さ及び柔らかさと組み合わされ
た、滑らかさ及び粗さに関して多様であることも可能で
ある。担体基質は、吸湿性濾紙又は非吸湿性ポリマーフ
ィルムから作られることが最も好都合である。しかし、
すべての事例において、担体基質は親水性又は吸収性の
材料を備えている。把手は、通常、疎水性材料、例えば
酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカ
ーボネート又はポリスチレンから形成される。
【0120】試験ストリップが試験試料中の所定の被分
析物を検定するように設計されている場合、担体基質
は、試験試料が浸透して、指示試薬組成物を組み込んだ
試験ストリップの試験パッドを飽和させことを可能にす
るいかなる吸湿性又は非吸湿性の材料であることも可能
である。試験試料中の所定の被分析物についての検定に
おいて本発明の利点を充分に発揮させるには、担体基質
は、セルロース性材料、例えば紙、好ましくは濾紙など
の親水性の吸湿性基質である。濾紙は、本発明の吸湿性
基質に必要とされる性質のすべてを有し、加えて、豊富
な供給、有利な経済性及び、適当な等級が多様であると
いう利点を有している。濾紙は、指示試薬組成物に含ま
れる不可欠成分及びすべての任意的成分の懸濁及び定置
のための基質材料としての使用に極めて充分であること
が見いだされている。
【0121】本発明の利点を充分に発揮させるには、適
当である担体基質に指示試薬組成物を組み込み、試験試
料中の所定の被分析物の検定のための乾燥相試験ストリ
ップとして用いる。本発明の方法は、試験試料中の所定
の被分析物の存在又は濃度についての経済的、正確かつ
信頼性に富み、家庭もしくは試験室において実施し得る
検定を提供する。更に、本発明の方法は、試験試料中の
低濃度の所定の被分析物の検出、識別及び測定を可能に
し、したがって、検定を臨床的に一層有用なものにす
る。
【0122】本発明の方法によれば、酸化酵素と相互に
作用することが可能であるグルコースに類する所定の被
分析物についての乾燥相試験ストリップによる検定を実
施するために、約50〜約1,000単位の適切な酸化
酵素、約50〜約1,000単位のペルオキシダーゼな
る酵素、約5〜約60mMの指示色素、0.5〜約50mM
の金属イオン錯体、約5〜約100mMの、臭素酸イオ
ン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、
並びに過酸化物、ヒドロペルオキシド又はN−ハロゲン
化合物に類する有機酸化剤、及びそれらの組合わせより
なる群から選ばれる共酸化剤、0〜約600mMの緩衝
剤、例えばクエン酸緩衝剤、0〜約200mMの界面活性
剤、0〜約5%のポリマー性材料、及び、背景色素又は
溶媒に類する何らかの他の所望される任意の成分を含有
する水溶液を初めに調製する。次いで、適当な有機酸又
は無機酸、例えば1規定の塩酸を用いて、この水溶液を
約5〜約7のpHに調整する。更に、吸湿性基質、例えば
濾紙を、該濾紙のシートもしくは裁断済み小片を該水溶
液に浸し、又は該水溶液をこれに吹き付けることによっ
て、該水溶液で飽和させる。
【0123】その後、この飽和濾紙をエアオーブン中で
約40〜約100℃の温度で約20分間乾燥させること
によって、水性溶媒を除去する。オーブン乾燥の後、試
薬を含浸させた濾紙を適切な大きさ、例えば約0.25
cm×約0.5cmないし約0.5cm×約1.0cmのパッド
に裁断する。
【0124】同様に、ペルオキシダーゼ活性を示す、潜
血に類する所定の被分析物についての乾燥相試験ストリ
ップによる検定を実施するには、酸化還元媒体を酸化酵
素及びペルオキシダーゼからヒドロペルオキシドに変え
る。したがって、約5〜約60mMの指示色素、0.5〜
約50mMの金属イオン錯体、約5〜約100mMのヒドロ
ペルオキシド、約5〜約100mMの共酸化剤、0〜約6
00mMの緩衝剤、例えばクエン酸ナトリウム、0〜約5
%のポリマー性材料、0〜約200mMの界面活性剤、背
景色素又は溶媒に類する何らかの他の所望される任意の
成分を含有する水溶液を初めに調製する。次いで、pHを
約5〜約7に調整した後、この水溶液を担体基質に組み
込み、担体基質を乾燥させ、最後に、上記に考察したと
おり、適当な大きさに裁断する。
【0125】いずれの場合も、乾燥かつ裁断された試薬
含浸濾紙は、次に、両面粘着テープを用いてこれを不透
明又は透明の疎水性プラスチック製把手に固着させる。
その後、得られた検査ストリップを試験試料、例えば新
鮮な、遠心分離を施していない尿試料中に、試験パッド
が該試料で飽和するのに充分な時間浸す。所定の時間、
例えば約15〜約60秒間待った後、視覚的にか器具に
よるかのいずれかによって、応答について試験ストリッ
プを試験する。試験パッドの色変化は、多少とも存在す
るならば、尿試料中の所定の被分析物の存在又は濃度の
表示である。
【0126】ここで理解すべきことは、本発明の方法及
び組成物を用いて所定の被分析物についての定量的検定
を設計するために、試薬パッドの大きさ、試薬を含有す
る溶液の強度、試験試料の量及び、例えば浸漬ではなく
ピペットの使用によって試験試料を試験ストリップに導
く方法などの間の適正な均衡を決定することは、試験具
を製造する当業者の実験手法の範囲内に充分に存すると
いうことである。
【0127】多くの場合、試験ストリップの単なる視覚
的観察によって、所望される情報は得られる。より正確
な情報が必要とされる場合は、所定の被分析物の各種の
既知濃度に対応する色斑を掲載した色チャートを、該試
験ストリップに用いた特定の指示試薬組成物に対して製
造することが可能である。試験試料と接触させた後に試
験ストリップに生じた色は、次にこれを色チャート上の
色斑と比較して、試験試料中の所定の被分析物の濃度を
判定する。より一層正確な判定が必要とされる場合は、
分光光度計又は比色計を用いて、色変化の程度を更に精
密に測定することが可能である。加えて、乾燥相試験ス
トリップによる検定は、色変化の程度をより信頼性に富
むよう、かつ正確に測定し、結果的に、試験試料中の所
定の被分析物の濃度を、特に低濃度、例えば1mg/dl を
下回る濃度において、より正確に測定するために、視覚
的手法とは対照的な分光測光手法又は比色測定手法を用
いることによって、これを定量的なものとすることが可
能である。
【0128】上記により、本発明の重要な特徴によれ
ば、本発明の指示試薬組成物を適当な担体基質に組み込
むことによって、試験試料中の所定の被分析物の存在又
は濃度の判定は、乾燥相試験ストリップを用いて達成す
ることが可能であることが示される。さきに考察のとお
り、試験試料中の所定の被分析物の検定に用いられる乾
燥相試験ストリップには、一般に、いかなる吸収性基質
を含む担体基質が含まれるが、該吸収性基質は、指示試
薬組成物による処理及びその組み込みを容易に受け入
れ、信頼性に富む検定が相対的迅速に得られるよう、血
液、尿又は他の試験試料が充分速やかに浸透することを
許し、かつ、血液、尿又は他の試験試料を、試験試料に
よる該担体基質に含まれる成分の抽出によって、又はそ
の後に続く検定が不確定、不正確かつ疑わしいものとな
るように試験試料を著しく変えることによって汚染する
ことのない基質である。
【0129】
【実施例】本発明の一実施態様に従い、下記の乾燥相試
験ストリップを作成して、グルコースについての乾燥相
検定を実施した。グルコースは、グルコース酸化酵素と
相互に作用して過酸化水素を生成することが可能であ
る。したがって、下記の実施例1の水性組成物を調製し
た。次いで、実施例1の組成物を多孔性ポリウレタンの
フィルムに類する担体基質のストリップ又はシートに、
マイヤーロッド(Meyer rod )を用いて塗布した。
【0130】実施例 指示試薬組成物 実施例1 実施例2 成分 濃度 濃度 テトラメチルベンジジン(TMB )(指示色素) 35mM 35mM クエン酸ナトリウム(緩衝剤) 250mM 250mM 塩化第二鉄(金属イオン) 5mM − N-(2- ヒドロキシエチル) エチレンジアミン 四酢酸(金属イオンに対する錯体化剤) 5mM − ペルオキシダーゼ 1000単位/ml 1000単位/ml 臭素酸カリウム 20mM − グルコース酸化酵素 1000単位/ml 1000単位/ml ドデシル硫酸ナトリウム(界面活性剤) 28mm 28mM 塩酸(1規定) pHを約6.0 に調整 pHを6.0 に調整
【0131】次いで、ポリウレタン基質上の指示試薬組
成物の層を、約45〜約60℃の範囲の温度のオーブン
で約10分間乾燥させた。更に、乾燥した指示試薬組成
物を組み込んだポリウレタン基質を約0.5cm×約0.
5cmの寸法のパッドに裁断して、本発明の指示試薬組成
物を組み込んだ担体基質が含まれる試験パッドを形成し
た。その後、両面性粘着物を用いて、試験パッドを疎水
性プラスチック製把手に固定し、本発明の乾燥相試験ス
トリップを形成した。
【0132】更に、ポリウレタン基質の製造の際に、指
示色素をポリウレタン基質に直接組み込むことが可能で
あることを理解しなければならない。指示色素は水に対
する溶解度が低いことが多く、そのため、指示色素を水
溶液に溶解させることが困難となる。しかし、指示色素
は有機溶媒には優れた溶解度を示すことが多いので、ポ
リウレタン基質の製造の際に用いられた有機溶媒に指示
色素を溶解させる。
【0133】本発明の方法を用いて達成された新規かつ
予想外の結果を立証するため、本発明の指示試薬組成物
(実施例1)を組み込んだ乾燥相試験ストリップを、実
施例1の成分を含有するが、臭素酸イオン、塩化第二鉄
及びN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン四
酢酸を除いた指示試薬組成物(実施例2)を組み込んだ
乾燥相試験ストリップと比較した。実施例2の組成物を
組み込んだ試験ストリップは、本発明の、すなわち実施
例1の指示試薬組成物によってもたらされる改善された
検定を証明するための対照例として用いた。
【0134】実施例1の組成物又は実施例2の組成物の
いずれかを組み込んだ個々の乾燥相試験ストリップを、
100mg/dl のグルコース及び0〜200mg/dl のアス
コルビン酸を含有する標準溶液の検定において比較し
た。グルコース及びアスコルビン酸を含有する標準溶液
に試験ストリップを浸し、次いで、この標準溶液との接
触のほぼ1分後に、インジアナ州Elkhart のMiles Inc.
の診断学部門のAdvancedResearch Rapid Scanner なる
反射率分光計を用いて、試験ストリップの試験パッドの
660nm(ナノメートル)における反射率を測定した。
反射率の測定は、標準化された量のグルコースを含有す
る溶液と特定の乾燥相試験ストリップとの反応性を表
す。
【0135】表2は、臭素酸イオン及び金属イオン錯体
が不在の指示試薬組成物(実施例2)を含有する乾燥相
試験ストリップ、及び本発明の組成物(実施例1)を含
有する試験ストリップの反応性を要約したものである。
全体として表2からは、実施例1の指示試薬組成物を組
み込んだ試験ストリップを用いて実施した検定は、実施
例2の組成物を組み込んだ試験ストリップを用いて実施
した検定よりも実質的に強いアスコルビン酸に対する耐
性を示している。
【0136】 表2 金属イオン錯体及び臭素酸イオンを含有する試験ストリップの 改善されたアスコルビン酸塩耐性 ─────────────────────────────────── 試験試料 グルコース濃度(mg/dl) アスコルビン酸塩濃度(mg/dl) ─────────────────────────────────── A 100 0 B 100 50 C 100 100 D 100 200 ─────────────────────────────────── 試験試料 指示試薬組成物 実施例1 実施例2 ─────────────────────────────────── A 1001) 1001) B >30 30 C >30 0 D >30 0 ─────────────────────────────────── 1) 標準試験試料中のグルコースの見かけの濃度、単
位:mg/dl 。
【0137】実施例2の指示試薬組成物を組み込んだ対
照用ストリップとの比較により、本発明の指示試薬組成
物(実施例1)を組み込んだ試験ストリップをアスコル
ビン酸塩耐性について評価した。検定のそれぞれにおい
て、0、30もしくは100mg/dl のグルコースを含有
し、又は、100mg/dl のグルコース及び0、50、1
00もしくは200mg/dl のいずれかのアスコルビン酸
を含有する標準グルコース溶液にストリップを浸した。
0、30又は100mg/dl のグルコースを含有し、アス
コルビン酸を含まない標準溶液は、グルコースに対する
標準化された応答を生じた。100mg/dl のグルコース
及び変動量のアスコルビン酸を含有する溶液にて実施し
た検定の応答を、これらの標準化された応答と比較し
た。
【0138】全体的に、表2に提示されたデータは、本
発明の組成物(実施例1)を組み込んだ試験ストリップ
は、200mg/dl のアスコルビン酸の存在下においてさ
え、30mg/dl よりも高いグルコースの見かけの濃度に
よる検出可能な色変化を示す。しかるに、金属イオン錯
体及び臭素酸イオンの不在の組成物(実施例2)を含有
する試験ストリップは、100mg/dl のアスコルビン酸
の存在下で0mg/dl いうグルコースの見かけの濃度を示
す。
【0139】特に、アスコルビン酸塩を干渉物として含
有しない試験試料(試験試料A)は、実施例1の組成物
又は実施例2の組成物によってグルコース(100mg/d
l )については正確に検定される。しかし、試験試料に
アスコルビン酸塩が含まれる場合、実施例1の組成物
は、30mg/dl よりも多量のグルコースが試験試料中に
存在することを示すに充分な応答を、存在する干渉性ア
スコルビン酸塩の量の如何に関わらず示したが、実施例
2の組成物を組み込んだ試験ストリップについては、試
験試料中に100mg/dl 又は200mg/dl のアスコルビ
ン酸が含まれている場合(試験試料C及びD)、試験ス
トリップは色変化を受けなかった。対照的に、本発明の
組成物を組み込んだ試験ストリップは、200mg/dl の
アスコルビン酸が試験試料中に存在した場合(試験試料
D)でも、30mg/dl より多量のグルコースの応答を依
然として示した。同様に、本発明の組成物は、50mg/d
l アスコルビン酸が試験試料中に存在する場合にも、改
善された検定結果をもたらした。
【0140】本発明の有用性を更に立証するために、臭
素酸イオン及びFe(III)−HEDTAは、コレステロー
ルについての検定においてもアスコルビン酸塩の干渉を
効果的に排除することが見いだされた。表3は、5例の
湿潤相でのコレステロール検定の結果を要約したもので
ある。コレステロール酸化酵素、ペルオキシダーゼ、テ
トラメチルベンジジン(TMB)色素、金属イオン錯
体、及び共酸化剤を含有する組成物の、コレステロール
についての検定におけるアスコルビン酸による干渉を軽
減又は排除する有効性を判定するために検定を実施し
た。
【0141】 表3 コレステロールについての検定における改善されたアスコルビン酸塩耐性 ────────────────────────────────── 試験 コレステロール ペルオキシ 試料 水1) 緩衝剤2) 酸化酵素3) ダーゼ4) TMB5) ────────────────────────────────── A 0.86 0.10 10 10 10 B 0.85 0.10 10 10 10 C 0.84 0.10 10 10 10 D 0.83 0.10 10 10 10 E 0.82 0.10 10 10 10 ────────────────────────────────── 試験 アスコル Fe(III)- コレステ 色 試料 ビン酸6) HEDTA7) KBrO3 8) ロール9) 形成10) ────────────────────────────────── A − − − 10 有 B 10 − − 10 無 C 10 10 − 10 無 D 10 10 10 10 無 E 10 10 20 10 有 ────────────────────────────────── 1) 単位:ミリリットル(ml)、各試料とも全量は1ml
であった。 2) 単位:ml、緩衝剤はpH6.5 、1モルの2−(N−モ
ルホリノ)エタンスルホン酸(MES)である。 3) 単位:マイクロリットル(μl )、水1mlあたりの
コレステロール酸化酵素100mg (1,330 単位/ml )につ
いて、GDS Technology, Inc.(インジアナ州Elkhart )
より入手可能。 4) 単位:μl 、水1mlあたりのペルオキシダーゼ100m
g (103 単位/mg )について。 5) 単位:μl 、1−メトキシ−2−プロパノールに溶
かした指示色素としてのテトラメチルベンジジン(TM
B)100mM 溶液について。 6) 単位:μl 、アスコルビン酸の0.56M溶液(アスコ
ルビン酸10重量%)、検査試料B〜Eはそれぞれ5.6mM
(ミリモル)のアスコルビン酸を含有。 7) 単位:μl 、Fe−HEDTAの100mM 溶液につい
て、試験試料C〜Eはそれぞれ1.0mM のFe(III )-
HEDTAを含有。 8) 単位:μl 、臭素酸カリウムの0.2 M水溶液につい
て、試験試料Dは2.0mMKBrO3 を、試験試料Eは4.0
mM のKBrO3 をそれぞれ含有。 9) 単位:μl 、333mg/dl(ミリグラム/デシリット
ル)のコレステロールを含する血清について、 10) 青色の形成について試験試料を吟味した。
【0142】表3に示した試験は、12mm(ミリメート
ル)×75mmのガラス試験管中で実施した。試験試料A
については、初め、コレステロール酸化酵素、ペルオキ
シダーゼ、TMB、及びMES緩衝液を試験管に加え
た。次いで、試験管にコレステロール含有血清を加える
ことによって、反応を開始させた。試験管内の全体積
は、試験試料A及び試験試料BないしEについては1.
00mlであった。約10〜15秒後、反応溶液は色が青
色となり、試験試料中のコレステロールの存在を示し
た。試験試料Aは対照例であって、緩衝剤としてアスコ
ルビン酸を全く含まず、したがって、指示色素は、試験
試料A中に存在するコレステロールの量に応答して充分
な色変化を受けた。
【0143】試験試料Bは、アスコルビン酸について
5.6mMの濃度とした以外は、試験試料Bには同一の検
定を施した。アスコルビン酸は、反応溶液の青色への色
変化が全く認められない程に充分に干渉した。試験試料
CはFe(III )−HEDTAについても1.0mMとし
た以外は、試験試料Cには試験試料Bと同一の検定を施
した。やはり、青色への色変化が全く認められなかっ
た。Fe(III )−HEDTAはアスコルビン酸塩の干
渉は排除したものの、Fe(III )−HEDTAとアス
コルビン酸塩との相互作用からの第一鉄イオンの生成が
二次干渉をもたらし、ここに、第一鉄イオンは酸化され
たTMBの有色の形態と相互に作用して、第二鉄イオ
ン、及び還元されたTMBの無色の形態を再生したので
ある。その結果、検定はコレステロールについては偽陰
性の検定であった。
【0144】試験試料Dは臭素酸カリウムについても2
mMとした以外は、試験試料Dには試験試料Cと同一の検
定を施した。やはり、青色への色変化は全く認められな
かった。しかし、臭素酸カリウムについて4mMである以
外は試験試料Dと同一である試験試料Eにおいては、青
色への色変化が認められた。この色変化は、変色の程度
及び強度において試験試料Aと本質的に同一であり、し
たがって、アスコルビン酸の干渉作用は、指示試薬組成
物中に金属イオン錯体及び充分量の適当な共酸化剤を含
有させることによって克服されることを示している。
【0145】本発明の指示試薬組成物に他の金属錯体及
び他の共酸化剤をも用いても、所定の被分析物について
の検定におけるアスコルビン酸の干渉作用を軽減又は排
除することが可能であることを立証するために、異なる
金属イオン錯体及び異なる共酸化剤を含有するいくつか
の乾燥相試験ストリップを調製して、グルコースの検定
に用いた。試験ストリップには、担体基質として濾紙を
用い、テトラメチルベンジジン色素(TMB)、グルコ
ース酸化酵素及びペルオキシダーゼが含まれる指示試薬
組成物を担体基質中に組み込んだ。また、指示試薬組成
物には、緩衝剤及び、共酸化剤若しくは金属イオン錯
体、又は共酸化剤と金属イオン錯体との組合わせのいず
れかを含ませた。この試験ストリップを用いて、所定の
被分析物としてグルコース、及び干渉物としてアスコル
ビン酸を含有する試料を検定した。次いで、これらの試
験ストリップを視覚的に比較して色変化の程度及び強度
を測定した。実験の結果を表4に示す。
【0146】 表4 アスコルビン酸塩の干渉を排除する金属錯体及び共酸化剤 ──────────────────────────────────── 実験 番号 緩衝剤 金属錯体 共酸化剤 ──────────────────────────────────── 1 MES4) -0- -0- 2 MES -0- -0- 3 MES Fe(III)-HEDTA5) (5mM) -0- 4 MES -0- 臭素酸塩(20mM) 5 MES Fe(III)-HEDTA (5mM) 臭素酸塩(20mM) 6 MES Fe(III)-HEDTA (5mM) 臭素酸塩(20mM) 7 MES -0- -0- 8 MES Fe(III)-HEDTA (5mM) 臭素酸塩(20mM) 9 MES HAC6) (5mM) 臭素酸塩(20mM) 10 MES CPD7) (5mM) 臭素酸塩(20mM) 11 MES Pb(Ac)4 8) (25mM) 臭素酸塩(25mM) 12 MES Hg+2 9) (25mM) 臭素酸塩(25mM) 13 MES Hg+2 (25mM) 及び Fe(III)-HEDTA (5mM) -0- 14 MES Hg+2 (25mM) -0- 15 クエン酸塩10) Fe(III)-HEDTA (5mM) 塩素酸塩(10mM) 16 クエン酸塩 Fe(III)-HEDTA (5mM) 塩素酸塩(20mM) 17 クエン酸塩 Fe(III)-HEDTA (5mM) 塩素酸塩(30mM) 18 クエン酸塩 -0- 塩素酸塩(30mM) 19 クエン酸塩 Fe(III)-HEDTA (5mM) 過塩素酸塩(10mM) 20 クエン酸塩 Fe(III)-HEDTA (5mM) 過塩素酸塩(20mM) 21 クエン酸塩 Fe(III)-HEDTA (5mM) 過塩素酸塩(30mM) 22 クエン酸塩 -0- 過塩素酸塩(30mM) 23 クエン酸塩 Fe(III)-HEDTA (5mM) ヨウ素酸塩(10mM) 24 クエン酸塩 Fe(III)-HEDTA (5mM) ヨウ素酸塩(20mM) 25 クエン酸塩 Fe(III)-HEDTA (5mM) ヨウ素酸塩(30mM) 26 クエン酸塩 -0- ヨウ素酸塩(30mM) 27 PO4 11) Gan-His-Cu12) 臭素酸塩(5mM) 28 PO4 Gan-His-Cu -0- 29 PO4 Fe(III)-HEDTA (5mM) クロム酸塩(5mM) 30 PO4 -0- クロム酸塩(5mM) 31 PO4 Fe(III)-HEDTA (5mM) DBDH13) (5mM) 32 PO4 -0- DBDH (5mM) ──────────────────────────────────── 実験 ストリップの 番号 グルコース1) アスコルビン酸2) 反応性3) ──────────────────────────────────── 1 100 100 - 2 100 50 + 3 100 100 - 4 100 100 - 5 -0- 100 - 6 100 -0- ++++ 7 100 -0- ++++ 8 100 100 ++++ 9 100 100 - 10 100 50 - 11 100 50 + 12 100 50 ++++ 13 100 50 +++ 14 100 50 +++ 15 100 100 ++ 16 100 100 ++ 17 100 100 ++ 18 100 100 - 19 100 100 ++ 20 100 100 ++ 21 100 100 ++ 22 100 100 - 23 100 100 ++++ 24 100 100 ++++ 25 100 100 ++++ 26 100 100 ++++ 27 100 100 +++ 28 100 100 - 29 100 100 ++++ 30 100 100 + 31 100 100 ++++ 32 100 100 + ──────────────────────────────────── 1) 試験試料中のグルコースの濃度、単位:mg/dl 。 2) 試験試料中のアスコルビン酸の濃度、単位:mg/dl
。 3) ++++は、試験ストリップの反応性が、アスコルビン
酸を含まぬ対照試料に浸したときに認められる反応性に
本質的に等しいことを意味し、+++ は、++++よりもやや
劣る反応性を、++は、+++ よりも劣る反応性を、+ は、
++よりも劣る反応性を、また- は、反応性が皆無である
ことをそれぞれ意味する。 4) MESは2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸
であって、200mM で存在して6.5のpHを生じる。 5) HEDTAとの第二鉄イオン錯体の溶液。 6) HACはヘキサアンミンコバルト(III )塩化物で
ある。 7) CPDはコバルト(III )2,4−ペンタンジオン
酸塩である。 8) Pb(Ac)4 は四酢酸鉛である。 9) Hg+2は硝酸第二水銀溶液である。 10) クエン酸塩はクエン酸緩衝液であって、400mMで
存在して6.5のpHを生じる。 11) PO4 はリン酸緩衝液であって、400mMで存在し
て6.5のpHを生じる。 12) Gan−His−Cuは米国特許願第337,62
0号に開示されたGANTREZ−ヒスタミン−銅錯体
である。 13) DBDHはジイソプロピルベンゼン ジヒドロペル
オキシドである。
【0147】表4は、本発明の指示試薬組成物におい
て、金属錯体としてのFe(III )−HEDTA、及び
共酸化剤しての臭素酸カリウムが特別に有用であること
を示している。実験1及び3ないし5は、金属イオン錯
体及び共酸化剤のいずれか一方又は双方が指示試薬組成
物中に存在しない場合は、100mg/dl のアスコルビン
酸塩の存在下でストリップの反応性は皆無となる(変色
が生じない)ことを示している。しかし、実験2は、試
験試料中のアスコルビン酸の濃度が50mg/dl に低下し
たときは、金属イオン錯体及び共酸化剤の不在下で、ス
トリップは僅かな反応性を示した。実験7は、対照実験
であって、アスコルビン酸、共酸化剤及び金属イオン錯
体の不在下でのグルコースに対するストリップの反応性
(最大の変色)を示した。実験7で示された変色を標準
とした。他の実験における試験ストリップの変色を実験
7の標準変色と比較した。実験6は、試験試料中にアス
コルビン酸塩が存在しないときは、金属イオン錯体及び
共酸化剤は試験ストリップの反応性に不都合に作用しな
いことを証明した。実験8は、金属イオン錯体及び共酸
化剤は、アスコルビン酸の干渉作用を効果的に克服し、
対照実験7と本質的に同一のストリップの活性をもたら
したことを示した。
【0148】実験9〜11は、コバルトイオン錯体及び
鉛イオン錯体は、本発明の指示試薬組成物において有効
な金属イオン錯体ではないことを示した。この結果は、
実験9〜11の試験ストリップの反応性を、実験8及び
2の試験ストリップの反応性と比較することによって、
最も容易に立証され、それによれば、HAC/臭素酸塩
含有試験ストリップ(実験9)は反応性に欠けるのに、
Fe(III )−HEDTA/臭素酸塩含有試験ストリッ
プ(実験8)は充分な反応性を有し、更に、CPD/臭
素酸塩含有試験ストリップ(実験10)は、金属イオン
錯体及び共酸化剤の存在しない試験ストリップ(実験
2)よりも反応性に劣る。同様に、実験11の試験スト
リップに含まれる鉛イオン錯体及び共酸化剤は、金属イ
オン錯体及び共酸化剤の存在しない実験2における試験
ストリップの反応性以上に試験ストリップの反応性を増
大させることはなかった。
【0149】実験12〜14は、第二水銀イオンは本発
明の指示試薬組成物においてアスコルビン酸塩の干渉を
排除するための有効な金属イオンであることを示した。
実験14は、第二水銀イオンは単独で、アスコルビン酸
の存在下で相対的に高い反応性の試験ストリップを実現
することを示した。第二水銀イオンとともにFe(III
)−HEDTAを試験ストリップに含ませる(実験1
3)ことは、試験ストリップの反応性を認め得る程には
増大させなかったが、共酸化剤として臭素酸イオンを第
二水銀イオンとともに試験ストリップに含ませること
は、試験ストリップの反応性を改善して、最大の色彩変
化をもたらした(実験12)。
【0150】実験15〜18は、塩素酸イオンは本発明
の指示試薬組成物において効果的な共酸化剤であること
を示した。実験3は、Fe(III )−HEDTAを共酸
化剤なしに試験ストリップに含ませることは、100mM
のアスコルビン酸の存在下で反応性が皆無である試験ス
トリップを形成することを示した。実験15〜17は、
Fe(III )−HEDTA及び塩素酸イオンを含有する
試験ストリップは、実験3の試験ストリップと比較し
て、アスコルビン酸含有試験試料に対する認め得る程に
改善された反応性を示した。実験18は、塩素酸イオン
はアスコルビン酸に対する一次酸化剤ではなく、共酸化
剤であることを更に示した。Fe(III )−HEDTA
の不在下では、実験18の試験ストリップは、100mM
のアスコルビン酸の存在下で反応性が皆無となることを
示した。したがって、Fe(III )−HEDTAはアス
コルビン酸の一次干渉を排除するために存在し、塩素酸
イオンは第一鉄イオンの二次干渉作用を軽減するために
存在する。
【0151】同様に、実験19〜22は、過塩素酸イオ
ンは本発明の指示試薬組成物において有効な共酸化剤で
あることを示した。塩素酸イオンが含まれる上記の実験
と同様に、実験19〜21は、Fe(III )−HEDT
A及び過塩素酸イオンを含有する試験ストリップは、実
験3の試験ストリップと比較して、アスコルビン酸を含
有する試験試料に対する実質的に改善された反応性を示
すことを立証した。実験22は、塩素酸イオンは共酸化
剤であって、アスコルビン酸の一次酸化剤ではないこと
を示した。過塩素酸イオンは、Fe(III )−HEDT
Aの不在下では試験ストリップの反応性を改善せず、そ
れ故、過塩素酸イオンは、金属イオン錯体中の金属イオ
ンの酸化形による二次干渉作用を軽減する。
【0152】塩素酸イオン及び過塩素酸イオンとは対照
的に、実験23〜26に示されるとおり、ヨウ素酸イオ
ンは一次酸化剤である。実験26は、ヨウ素酸イオンは
単独で、試験試料中のアスコルビン酸塩の干渉作用を排
除し、それ故、最大の反応性を有する試験ストリップを
形成する。したがって、Fe(III )−HEDTAの存
在はヨウ素酸イオンが存在する場合には不要である。
【0153】実験27及び28は、臭素酸イオンはま
た、第二銅イオン錯体を含有する指示試薬組成物におい
ても有効な共酸化剤であることを示した。試験された特
定の第二銅イオン錯体は、上記の米国特許願第337,
620号に開示された。しかし、他の第二銅イオンもま
た、臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、ク
ロム酸イオン、並びに過酸化物、ヒドロペルオキシド又
はN−ハロゲン化合物に類する有機酸化剤、及びそれら
の組合わせよりなる群から選ばれる共酸化剤とともに本
発明の指示試薬組成物に含有させることが可能であるこ
とが想定される。
【0154】実験29及び30は、クロム酸イオンもま
た、Fe(III )−HEDTAを含有する組成物におい
て有効な共酸化剤であることを示した。同様に、実験3
1及び32は、DBDHなるヒドロペルオキシドに類す
る有機酸化剤もまた、Fe(III )−HEDTAを含有
する組成物において有効な共酸化剤であることを示し
た。
【0155】
【発明の効果】結論として、また本発明の重要な特徴に
よれば、所定の被分析物についての乾燥相試験ストリッ
プにおけるアスコルビン酸の干渉という継続的かつ実質
的な問題は本質的に除去され、特に低濃度の所定の被分
析物に対する、より鋭敏な検定法が提供される。本発明
の指示試薬組成物は、金属イオン錯体を含有することに
よって、アスコルビン酸の一次干渉作用を本質的に排除
する。該指示試薬組成物はまた、臭素酸イオン、塩素酸
イオン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、並びに過酸
化物、ヒドロペルオキシド又はN−ハロゲン化合物に類
する有機酸化剤、及びそれらの組合わせよりなる群から
選ばれる共酸化剤を含有することによって、金属イオン
錯体中の金属イオンの還元形に起因する二次干渉作用を
も本質的に排除する。アスコルビン酸の一次及び二次干
渉作用の本質的な排除は、所定の被分析物についての乾
燥相試験ストリップによる検定、例えば潜血、コレステ
ロール又はグルコース、及び、酸化酵素と相互に作用す
ること、又はペルオキシダーゼ活性を示すことのいずれ
かが可能である類似の被分析物についての検定の当技術
における予想外の改善である。
【0156】上記により、また本発明の重要な特徴によ
れば、本発明の指示試薬組成物を用いることによって、
尿、血清、血漿及び他の試験試料中の所定の被分析物に
ついての、より正確かつ信頼性に富む検定を実施するこ
とが可能である。一般的には、金属イオン錯体と、臭素
酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、クロム酸イ
オン、並びに過酸化物、ヒドロペルオキシド又はN−ハ
ロゲン化合物に類する有機酸化剤、及びそれらの組合わ
せよりなる群から選ばれる共酸化剤とを含有する本発明
の指示試薬組成物は、アスコルビン酸の一次干渉作用及
び金属イオン錯体中の金属イオンの還元形の二次干渉作
用を排除する改善された能力を示し、試験試料中の所定
の被分析物の濃度に応答するより優れた色変化を受け、
所定の被分析物及び酸化還元媒介物による指示色素の酸
化に干渉せず、かつ金属イオン錯体によってもたらされ
るアスコルビン酸塩耐性に干渉しない。
【0157】その精神及び対象範囲から離れることなし
に、上記に説明された本発明の多くの修正及び変形をな
し得ることは明白であり、それ故、請求範囲によって指
定される制限のみが課されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】25μM (マイクロモル)のFe(III )−H
EDTAの存在下、pH6.5で臭素酸カリウム(KBr
3 )の濃度範囲を0mM(ミリモル)から10mMまで変
化させた場合の、265nm(ナノメートル)での減少す
るアスコルビン酸のピークによって監視した、KBrO
3 によるアスコルビン酸酸化の増大した速度を示す26
5nmの吸光度(A265 )の時間(秒)に対する一連のプ
ロットを示す。
【図2】25μM のFe(III )−HEDTAの存在下
及びpH6.5でのアスコルビン酸酸化の速度定数(k、
sec-1 )を0〜10mMの範囲にわたる臭素酸カリウムの
濃度に対して記したグラフである。
【図3】0.5mMの臭素酸カリウム及び0〜50μM の
範囲にわたるFe(III )−HEDTAによるpH6.5
でのアスコルビン酸酸化の速度を示す、A265 の時間に
対する一連のプロットを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−286099(JP,A) 特開 昭56−63262(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/00 - 1/66 G01N 31/22

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の被分析物が、酸化酵素と相互に作
    用することが可能であるか又はペルオキシダーゼ活性を
    示すことが可能である場合に、検査試料との接触に際し
    て該検査試料中の前記の所定の被分析物の存在又は濃度
    を表示するのに充分な色変化を示し得る組成物であっ
    て、 (a)指示色素、 (b)酸化還元媒介物、 (c)第二鉄イオン、第二水銀イオン、第二スズイオ
    ン、ニッケル(II)イオン、マンガン(III)イオン、
    カドミウム(II)イオン、亜鉛(II)イオン、モリブデ
    ン(V)イオン、クロム(IV)イオン、バナジウム(II
    I)イオン、セリウム(IV)イオン及びそれらの組合わ
    せよりなる群から選ばれる金属イオンを含有する金属イ
    オン錯体、 (d)臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、
    クロム酸イオン、過酸化物、ヒドロペルオキシド、N−
    ハロゲン化合物及びそれらの組合わせよりなる群から選
    ばれる共酸化剤、及び (e)適当な担体ビヒクル を含んでなることを特徴とする組成物。
  2. 【請求項2】 指示色素が、組成物1リットルあたり約
    5〜約60ミリモルの範囲の量で存在する請求項1記載
    の組成物。
  3. 【請求項3】 指示色素が3,3′,5,5′−テトラ
    メチルベンジジンである請求項1記載の組成物。
  4. 【請求項4】 金属イオン錯体が、組成物1リットルあ
    たり約0.5〜約50ミリモルの範囲の量で存在する請
    求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】 所定の被分析物が、酸化酵素と相互に作
    用することが可能であるか又はペルオキシダーゼ活性を
    示すことが可能である場合に、検査試料との接触に際し
    て該検査試料中の前記の所定の被分析物の存在又は濃度
    を表示するのに充分な色変化を示し得る組成物であっ
    て、 (a)指示色素、 (b)酸化還元媒介物、 (c)硝酸第二水銀、 (d)臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、
    クロム酸イオン、過酸化物、ヒドロペルオキシド、N−
    ハロゲン化合物及びそれらの組合わせよりなる群から選
    ばれる共酸化剤、及び (e)適当な担体ビヒクル を含んでなることを特徴とする組成物。
  6. 【請求項6】 所定の被分析物が、酸化酵素と相互に作
    用することが可能であるか又はペルオキシダーゼ活性を
    示すことが可能である場合に、検査試料中の前記の所定
    の被分析物の存在又は濃度を測定する方法であって、 (a)該検査試料を、指示色素;酸化還元媒介物;第二
    鉄イオン、第二水銀イオン、第二スズイオン、ニッケル
    (II)イオン、マンガン(III)イオン、カドミウム(I
    I)イオン、亜鉛(II)イオン、モリブデン(V)イオ
    ン、クロム(IV)イオン、バナジウム(III)イオン、
    セリウム(IV)イオン及びそれらの組合わせよりなる群
    から選ばれる金属イオンを含有する金属イオン錯体;並
    びに臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、ク
    ロム酸イオン、過酸化物、ヒドロペルオキシド、N−ハ
    ロゲン化合物及びそれらの組合わせよりなる群から選ば
    れる共酸化剤と、適当な担体ビヒクルとを含んでなる組
    成物と接触させ、 (b)該組成物の変色の強度及び程度から該検査試料中
    の前記の所定の被分析物の存在又は濃度を測定すること
    を特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 生物体液中の潜血の存在又は濃度を測定
    する方法であって、 (a)該生物体液を、指示色素;ヒドロペルオキシド;
    第二鉄イオン、第二水銀イオン、第二スズイオン、ニッ
    ケル(II)イオン、マンガン(III)イオン、カドミウ
    ム(II)イオン、亜鉛(II)イオン、モリブデン(V)
    イオン、クロム(IV)イオン、バナジウム(III)イオ
    ン、セリウム(IV)イオン及びそれらの組合わせよりな
    る群から選ばれる金属イオンを含有する金属イオン錯
    体;並びに臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオ
    ン、クロム酸イオン、N−ハロゲン化合物及びそれらの
    組合わせよりなる群から選ばれる共酸化剤と、適当な担
    体ビヒクルとを含んでなる組成物と接触させ、 (b)該組成物の変色の強度及び程度から該生物体液中
    の潜血の存在又は濃度を測定することを特徴とする方
    法。
  8. 【請求項8】 生物体液中のグルコースの存在又は濃度
    を測定する方法であって、 (a)該生物体液を、指示色素;グルコース酸化酵素;
    ペルオキシダーゼ;第二鉄イオン、第二水銀イオン、第
    二スズイオン、ニッケル(II)イオン、マンガン(II
    I)イオン、カドミウム(II)イオン、亜鉛(II)イオ
    ン、モリブデン(V)イオン、クロム(IV)イオン、バ
    ナジウム(III)イオン、セリウム(IV)イオン及びそ
    れらの組合わせよりなる群から選ばれる金属イオンを含
    有する金属イオン錯体;並びに臭素酸イオン、塩素酸イ
    オン、過塩素酸イオン、クロム酸イオン、過酸化物、ヒ
    ドロペルオキシド、N−ハロゲン化合物及びそれらの組
    合わせよりなる群から選ばれる共酸化剤と、適当な担体
    ビヒクルとを含んでなる組成物と接触させ、 (b)該組成物の変色の強度及び程度から該生物体液中
    のグルコースの存在又は濃度を測定することを特徴とす
    る方法。
  9. 【請求項9】 酸化酵素と相互に作用することが可能で
    あるか又はペルオキシダーゼ活性を示すことが可能であ
    る、所定の被分析物の液体試料中の存在又は濃度を測定
    する方法であって、 (a)該液体試料を、指示色素と、酸化還元媒介物と、
    第二鉄イオン、第二水銀イオン、第二スズイオン、ニッ
    ケル(II)イオン、マンガン(III)イオン、カドミウ
    ム(II)イオン、亜鉛(II)イオン、モリブデン(V)
    イオン、クロム(IV)イオン、バナジウム(III)イオ
    ン、セリウム(IV)イオン及びそれらの組合わせよりな
    る群から選ばれる金属イオンを含有する金属イオン錯体
    と、臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、ク
    ロム酸イオン、過酸化物、ヒドロペルオキシド、N−ハ
    ロゲン化合物及びそれらの組合わせよりなる群から選ば
    れる共酸化剤と、適当な担体ビヒクルとを含んでなる組
    成物を含有する試薬試験パッドを有する被分析物試験具
    と接触させ、及び (b)該液体試料中に存在する前記の所定の被分析物の
    含量に応答する色変化について、該被分析物試験具を調
    べることを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 酸化酵素と相互に作用することが可能
    であるか又はペルオキシダーゼ活性を示すことが可能で
    ある、所定の被分析物の液体試料中の存在又は濃度を測
    定するための被分析物の試験具であって、 担持ストリップ、 試薬試験パッド、及び (a)指示色素、 (b)酸化還元媒介物、 (c)第二鉄イオン、第二水銀イオン、第二スズイオ
    ン、ニッケル(II)イオン、マンガン(III)イオン、
    カドミウム(II)イオン、亜鉛(II)イオン、モリブデ
    ン(V)イオン、クロム(IV)イオン、バナジウム(II
    I)イオン、セリウム(IV)イオン及びそれらの組合わ
    せよりなる群から選ばれる金属イオンを含有する金属イ
    オン錯体、 (d)臭素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、
    クロム酸イオン、過酸化物、ヒドロペルオキシド、N−
    ハロゲン化合物及びそれらの組合わせよりなる群から選
    ばれる共酸化剤、及び (e)適当な担体ビヒクルを含有し、該試薬試験パッド
    中に組み込まれた組成物を具えていることを特徴とする
    試験具。
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