JP3273956B2 - 硫酸カルシウム系スケール防止剤及び防止方法 - Google Patents
硫酸カルシウム系スケール防止剤及び防止方法Info
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、硫酸カルシウム系ス
ケールの防止剤及び防止方法に関する。さらに詳しく
は、硫酸カルシウムを主とするスケールの発生による障
害を効率良く防止又は抑制しうる薬剤又は方法に関す
る。
ケールの防止剤及び防止方法に関する。さらに詳しく
は、硫酸カルシウムを主とするスケールの発生による障
害を効率良く防止又は抑制しうる薬剤又は方法に関す
る。
【０００２】
【従来の技術】従来から、製紙工程のパルプ含有工程
水、焼却炉排水、排煙脱硫の循環水、等において、使用
水中の硬度成分、ことにカルシウムと、硫酸イオンとの
反応によって生じる硫酸カルシウムを主とするスケール
が発生し、これによる水系の閉塞、熱交換効率の低下、
金属部材の腐食等の障害が問題となっている。
水、焼却炉排水、排煙脱硫の循環水、等において、使用
水中の硬度成分、ことにカルシウムと、硫酸イオンとの
反応によって生じる硫酸カルシウムを主とするスケール
が発生し、これによる水系の閉塞、熱交換効率の低下、
金属部材の腐食等の障害が問題となっている。
【０００３】そこで、かかる水系中に、硫酸カルシウム
系スケールの発生自体を抑制又は防止する薬剤を添加し
て上記障害を防除する方法が考えられる。例えば、特公
昭５４−２９３１６号公報には、硫酸カルシウム系スケ
ールを含む種々のスケールの防止に、この発明で用いる
一般式 (I)のようなホスフィン酸誘導体が有効であるこ
とが開示されている。
系スケールの発生自体を抑制又は防止する薬剤を添加し
て上記障害を防除する方法が考えられる。例えば、特公
昭５４−２９３１６号公報には、硫酸カルシウム系スケ
ールを含む種々のスケールの防止に、この発明で用いる
一般式 (I)のようなホスフィン酸誘導体が有効であるこ
とが開示されている。
【０００４】また、Ｉｎｄｕｓｔｒｉａｌ Ｃｒｙｓｔ
ａｌｌｉｚａｔｉｏｎ ８４，第６１−６６頁（Ｅｌｓ
ｅｖｉｅｒ Ｓｃｉｅｎｓｅ Ｐｕｂｌｉｓｈｅｒｓ
Ｂ．Ｖ．，Ａｍｓｔｅｒｄａｍ−１９８４）には、同じ
くホスフィン酸誘導体と、成分（Ｂ）の１−ヒドロキシ
エチリデン−１，１−ジホスホン酸について、硫酸カル
シウムスケール防止効果についての各々単独使用時の試
験結果が示されている。
ａｌｌｉｚａｔｉｏｎ ８４，第６１−６６頁（Ｅｌｓ
ｅｖｉｅｒ Ｓｃｉｅｎｓｅ Ｐｕｂｌｉｓｈｅｒｓ
Ｂ．Ｖ．，Ａｍｓｔｅｒｄａｍ−１９８４）には、同じ
くホスフィン酸誘導体と、成分（Ｂ）の１−ヒドロキシ
エチリデン−１，１−ジホスホン酸について、硫酸カル
シウムスケール防止効果についての各々単独使用時の試
験結果が示されている。
【０００５】また、米国特許第４５６３２８４号公報に
は、同じくホスフィン酸誘導体とホスホノカルボン酸類
との併用による種々のスケール防止作用についての開示
がなされている。
は、同じくホスフィン酸誘導体とホスホノカルボン酸類
との併用による種々のスケール防止作用についての開示
がなされている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般式
(I)のようなホスフィン酸誘導体単独では、前記文献等
にも示されるように硫酸カルシウム系スケールの発生防
止効果は不充分であると共に、とくにパルプ製造工程水
に添加して用いた際には、それ自体がパルプ繊維に吸着
されてその効果が激減するという問題があった。
(I)のようなホスフィン酸誘導体単独では、前記文献等
にも示されるように硫酸カルシウム系スケールの発生防
止効果は不充分であると共に、とくにパルプ製造工程水
に添加して用いた際には、それ自体がパルプ繊維に吸着
されてその効果が激減するという問題があった。
【０００７】また、１−ヒドロキシエチリデン−１，１
−ジホスホン酸についても前記文献等に示されるよう
に、やはり、硫酸カルシウム系スケールの防止効果は不
充分であった。また、米国特許第４５６３２８４号明細
書に開示されたホスフィン酸誘導体とホスホノカルボン
酸類との併用においても、硫酸カルシウム系スケールの
防止効果は未だ不充分であった。
−ジホスホン酸についても前記文献等に示されるよう
に、やはり、硫酸カルシウム系スケールの防止効果は不
充分であった。また、米国特許第４５６３２８４号明細
書に開示されたホスフィン酸誘導体とホスホノカルボン
酸類との併用においても、硫酸カルシウム系スケールの
防止効果は未だ不充分であった。
【０００８】この発明はかかる状況下なされたものであ
り、ことに、硫酸カルシウム系スケールの発生防止に著
効を有する新しい薬剤を提供しようとするものである。
り、ことに、硫酸カルシウム系スケールの発生防止に著
効を有する新しい薬剤を提供しようとするものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】かくしてこの発明によれ
ば、有効成分が、下記一般式（Ｉ）：
ば、有効成分が、下記一般式（Ｉ）：
【００１０】
【化４】
【００１１】〔式中、Ｒは水素又はアルカリ金属原子で
あり、Ｒ1 は下記式(II)又は(III):
あり、Ｒ1 は下記式(II)又は(III):
【００１２】
【化５】
【００１３】
【化６】
【００１４】（式中、Ｒ2は水素又はアルカリ金属原子
を示す）で示される基を示し、ｍとｎの和は４〜２０で
ある］で表わされるホスフィン酸誘導体［成分（Ａ）］
と、１−ヒドロキシエチリデン−１，１−ジホスホン酸
［成分（Ｂ）］との組み合わせからなり、その重量比が
９：１〜４：６であることを特徴とする硫酸カルシウム
系スケール防止剤が提供される。
を示す）で示される基を示し、ｍとｎの和は４〜２０で
ある］で表わされるホスフィン酸誘導体［成分（Ａ）］
と、１−ヒドロキシエチリデン−１，１−ジホスホン酸
［成分（Ｂ）］との組み合わせからなり、その重量比が
９：１〜４：６であることを特徴とする硫酸カルシウム
系スケール防止剤が提供される。
【００１５】さらに、この発明によれば、硫酸カルシウ
ム系スケールが発生しうる水系中に、上記の硫酸カルシ
ウム系スケール防止剤を添加することからなる硫酸カル
シウム系スケール防止方法が提供される。この発明は、
各々単独使用時にはスケール防止効果が不充分である一
般式（Ｉ）のホスフィン酸誘導体と、ＨＥＤＰとを選択
して組合せ使用した際に、各々の単独使用時からは予想
し得ない顕著な相乗的スケール防止効果が奏されるとい
う事実の発見に基づくものである。
ム系スケールが発生しうる水系中に、上記の硫酸カルシ
ウム系スケール防止剤を添加することからなる硫酸カル
シウム系スケール防止方法が提供される。この発明は、
各々単独使用時にはスケール防止効果が不充分である一
般式（Ｉ）のホスフィン酸誘導体と、ＨＥＤＰとを選択
して組合せ使用した際に、各々の単独使用時からは予想
し得ない顕著な相乗的スケール防止効果が奏されるとい
う事実の発見に基づくものである。
【００１６】この発明で用いる成分（Ａ）のホスフィン
酸誘導体は、式 (I)の定義中、基Ｒが−ＣＯＯＲ2 であ
る化合物と、基Ｒが−ＣＯＮＨＣＨ（ＣＨ3 ）2 ＣＨ2
ＳＯ 3 Ｒ2 で示される化合物に大別される。但し同一分
子中で、これらの２種の基が混在するものであってもよ
い。Ｒ1 及びＲ2 のアルカリ金属原子としてはナトリウ
ム又はカリウムが適している。
酸誘導体は、式 (I)の定義中、基Ｒが−ＣＯＯＲ2 であ
る化合物と、基Ｒが−ＣＯＮＨＣＨ（ＣＨ3 ）2 ＣＨ2
ＳＯ 3 Ｒ2 で示される化合物に大別される。但し同一分
子中で、これらの２種の基が混在するものであってもよ
い。Ｒ1 及びＲ2 のアルカリ金属原子としてはナトリウ
ム又はカリウムが適している。
【００１７】かかるホスフィン酸誘導体は、例えば、Ｂ
ＥＬＣＬＥＮＥR, ＢＥＬＳＰＥＲＳＥR 等の名称（チ
バ・ガイギ リミッテッド社）で入手可能である。この
発明において成分（Ａ）のホスフィン酸誘導体と成分
（Ｂ）のＨＥＤＰとの使用割合は、顕著な相乗的スケー
ル防止効果が奏される比率とすべきであり、通常、
（Ａ）：（Ｂ）として９：１〜４：６（重量比）とすべ
きであり、８. ５：１. ５〜４. ５：５. ５とするのが
好ましく、８：２〜６：４とするのがより好ましい。
ＥＬＣＬＥＮＥR, ＢＥＬＳＰＥＲＳＥR 等の名称（チ
バ・ガイギ リミッテッド社）で入手可能である。この
発明において成分（Ａ）のホスフィン酸誘導体と成分
（Ｂ）のＨＥＤＰとの使用割合は、顕著な相乗的スケー
ル防止効果が奏される比率とすべきであり、通常、
（Ａ）：（Ｂ）として９：１〜４：６（重量比）とすべ
きであり、８. ５：１. ５〜４. ５：５. ５とするのが
好ましく、８：２〜６：４とするのがより好ましい。
【００１８】上記成分（Ａ）と成分（Ｂ）とは、別々に
添加使用されてもよく、これらの各成分を含む一つの組
成物として添加使用されてもよい。いずれの場合も水
や、水と親水性有機溶剤との混合溶媒に溶解や希釈した
形態で用いるのが好ましい。上記成分（Ａ）及び（Ｂ）
を併用する際に添加量は、添加対象によっても異なる
が、通常、成分（Ａ）と（Ｂ）の合計量として１〜５０
ｍｇ／ｌ程度が適しており、１〜２０ｍｇ／ｌ程度が好
ましい。但し、パルプ製造工程水のごときパルプが存在
する糸や、硬度成分が著しく多く存在する苛酷な系など
においては、２〜１００ｍｇ／ｌ程度とするのが適して
いる。
添加使用されてもよく、これらの各成分を含む一つの組
成物として添加使用されてもよい。いずれの場合も水
や、水と親水性有機溶剤との混合溶媒に溶解や希釈した
形態で用いるのが好ましい。上記成分（Ａ）及び（Ｂ）
を併用する際に添加量は、添加対象によっても異なる
が、通常、成分（Ａ）と（Ｂ）の合計量として１〜５０
ｍｇ／ｌ程度が適しており、１〜２０ｍｇ／ｌ程度が好
ましい。但し、パルプ製造工程水のごときパルプが存在
する糸や、硬度成分が著しく多く存在する苛酷な系など
においては、２〜１００ｍｇ／ｌ程度とするのが適して
いる。
【００１９】なお、この発明の薬剤及び方法の実施にお
いて、この発明の効果を阻害しない限り、他の付加的成
分、例えば、他のスケール防止性成分、腐食防止性成
分、スライム防止性成分等が併用されてもさしつかえは
ない。
いて、この発明の効果を阻害しない限り、他の付加的成
分、例えば、他のスケール防止性成分、腐食防止性成
分、スライム防止性成分等が併用されてもさしつかえは
ない。
【００２０】
【実施例】この発明を以下の実施例及び比較例により説
明する。 実施例１ （試験方法）某焼却炉排水１ｌ（水質を表１に示す。）
をセパラブルフラスコに入れ、各種供試薬剤を添加し
た。マントルヒーターで試験水水温を６０℃に調整し、
２時間１００ｒｐｍで攪拌した。試験前後のカルシウム
イオン濃度を分析し、相対分散率（％）を算出した。計
算式を以下に示す。その結果を併せて表２、表３及び図
１に示す。
明する。 実施例１ （試験方法）某焼却炉排水１ｌ（水質を表１に示す。）
をセパラブルフラスコに入れ、各種供試薬剤を添加し
た。マントルヒーターで試験水水温を６０℃に調整し、
２時間１００ｒｐｍで攪拌した。試験前後のカルシウム
イオン濃度を分析し、相対分散率（％）を算出した。計
算式を以下に示す。その結果を併せて表２、表３及び図
１に示す。
【００２１】 相対分散率（％）＝〔（Ｘ−Ｙ）／（Ｚ−Ｙ）〕×１００ Ｘ：試験後カルシウムイオン濃度（ｍｇ／ｌ） Ｙ：薬剤無添加時の試験後カルシウムイオン濃度（ｍｇ
／ｌ） Ｚ：試験前カルシウムイオン濃度（ｍｇ／ｌ）
／ｌ） Ｚ：試験前カルシウムイオン濃度（ｍｇ／ｌ）
【００２２】
【表１】
【００２３】なお、以下の表３において示した各成分は
以下の通りである。 （成分Ａ１）下式：
以下の通りである。 （成分Ａ１）下式：
【００２４】
【化７】
【００２５】で表わされる化合物のカルボキシル基の一
部を基−ＣＯＮＨＣＨ（ＣＨ3 ）2 ＣＨ2 ＳＯ3 Ｎａで
置換した分子量約２０００（ｍ＋ｎ≒１６）の化合物
（ＢＥＬＣＬＥＮＥR ４００；チバ・ガイギ−リミッテ
ッド社） （成分Ａ２）下式
部を基−ＣＯＮＨＣＨ（ＣＨ3 ）2 ＣＨ2 ＳＯ3 Ｎａで
置換した分子量約２０００（ｍ＋ｎ≒１６）の化合物
（ＢＥＬＣＬＥＮＥR ４００；チバ・ガイギ−リミッテ
ッド社） （成分Ａ２）下式
【００２６】
【化８】
【００２７】で表わされるｍ＋ｎ＝１６の化合物（ＢＥ
ＬＳＰＥＲＳＥR１６４） （成分Ａ３）下式：
ＬＳＰＥＲＳＥR１６４） （成分Ａ３）下式：
【００２８】
【化９】
【００２９】で表わされるｍ＋ｎ＝４の化合物（ＢＥＬ
ＣＬＥＮＥR ５００） （成分Ｂ）ＨＥＤＰ （成分Ｃ）アミノトリメチレンホスホン酸（ＡＭＰ） （成分Ｄ）２−ホスホノブタン−１，２，４−トリカル
ボン酸（ＰＢＴＣ）
ＣＬＥＮＥR ５００） （成分Ｂ）ＨＥＤＰ （成分Ｃ）アミノトリメチレンホスホン酸（ＡＭＰ） （成分Ｄ）２−ホスホノブタン−１，２，４−トリカル
ボン酸（ＰＢＴＣ）
【００３０】
【表２】
【００３１】表中の数値は、相対分散率（％）を示す。
【００３２】
【表３】
【００３３】これらの結果から明らかなように、この発
明のホスフィン酸誘導体Ａ１、Ａ２、Ａ３とＨＥＤＰ
（Ｂ）とを組合わせることにより、硫酸カルシウム系ス
ケールについての顕著な相乗的スケール防止効果が奏さ
れていることが判る。また従来の併用薬剤（Ａ２＋Ｄ）
と比較してもその効果は著しく優れていることが判る。 実施例２ （試験方法）某焼却炉排水１ｌ（前記と同一）に１％の
パルプを追加したものをセパラブルフラスコに入れ、各
種供試薬剤を添加した。マントルヒータで試験水水温を
６０℃に調整し、２時間１００ｒｐｍで攪拌した。試験
前後のカルシウムイオン濃度を分析し、相対分散率
（％）を算出した。その結果を合わせて表４及び図２に
示す。 （試験結果）
明のホスフィン酸誘導体Ａ１、Ａ２、Ａ３とＨＥＤＰ
（Ｂ）とを組合わせることにより、硫酸カルシウム系ス
ケールについての顕著な相乗的スケール防止効果が奏さ
れていることが判る。また従来の併用薬剤（Ａ２＋Ｄ）
と比較してもその効果は著しく優れていることが判る。 実施例２ （試験方法）某焼却炉排水１ｌ（前記と同一）に１％の
パルプを追加したものをセパラブルフラスコに入れ、各
種供試薬剤を添加した。マントルヒータで試験水水温を
６０℃に調整し、２時間１００ｒｐｍで攪拌した。試験
前後のカルシウムイオン濃度を分析し、相対分散率
（％）を算出した。その結果を合わせて表４及び図２に
示す。 （試験結果）
【００３４】
【表４】
【００３５】この結果からもこの発明の組合せにおいて
は、各々の単独使用時に比して明らかに優れた硫酸カル
シウムスケールに対する相乗的スケール防止効果を発現
することが判る。
は、各々の単独使用時に比して明らかに優れた硫酸カル
シウムスケールに対する相乗的スケール防止効果を発現
することが判る。
【００３６】
【発明の効果】この発明によれば、従来取扱いが困難で
あった硫酸カルシウム系スケールによる障害の防止処理
を、選択された特定の２成分による相乗的作用に基づい
て極めて効率良く行なうことができ、薬剤の使用量の低
減化にも有用である。
あった硫酸カルシウム系スケールによる障害の防止処理
を、選択された特定の２成分による相乗的作用に基づい
て極めて効率良く行なうことができ、薬剤の使用量の低
減化にも有用である。
【図１】この発明の方法による効果を、従来例を含む比
較例と共に例示するグラフ図である。
較例と共に例示するグラフ図である。
【図２】同じく各成分の単独使用時との効果の差異を示
すグラフ図である。
すグラフ図である。
なし
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−31894（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C02F 5/14 C02F 5/12
Claims (3)
- 【請求項１】 有効成分が、下記一般式（Ｉ）： 【化１】 ［式中、Ｒは水素又はアルカリ金属原子であり、Ｒ1は
下記式（II）又は（III）： 【化２】 【化３】 （式中、Ｒ2は水素又はアルカリ金属原子を示す）で示
される基を示し、ｍとｎの和は４〜２０である］で表わ
されるホスフィン酸誘導体［成分（Ａ）］と、１−ヒド
ロキシエチリデン−１，１−ジホスホン酸［成分
（Ｂ）］との組み合わせからなり、その重量比が９：１
〜４：６であることを特徴とする硫酸カルシウム系スケ
ール防止剤。 - 【請求項２】 硫酸カルシウム系スケールが発生しうる
水系中に、請求項１に記載の硫酸カルシウム系スケール
防止剤を添加することからなる硫酸カルシウム系スケー
ル防止方法。 - 【請求項３】 水系中に、成分（Ａ）と成分（Ｂ）とが
合計量として１〜１００ｍｇ／ｌ添加される請求項２に
記載のスケール防止方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15907791A JP3273956B2 (ja) | 1991-06-28 | 1991-06-28 | 硫酸カルシウム系スケール防止剤及び防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15907791A JP3273956B2 (ja) | 1991-06-28 | 1991-06-28 | 硫酸カルシウム系スケール防止剤及び防止方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH057896A JPH057896A (ja) | 1993-01-19 |
| JP3273956B2 true JP3273956B2 (ja) | 2002-04-15 |
Family
ID=15685719
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15907791A Expired - Lifetime JP3273956B2 (ja) | 1991-06-28 | 1991-06-28 | 硫酸カルシウム系スケール防止剤及び防止方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3273956B2 (ja) |
-
1991
- 1991-06-28 JP JP15907791A patent/JP3273956B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH057896A (ja) | 1993-01-19 |
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