JP3261899B2 - 車両制御装置 - Google Patents

車両制御装置

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JP3261899B2
JP3261899B2 JP30559994A JP30559994A JP3261899B2 JP 3261899 B2 JP3261899 B2 JP 3261899B2 JP 30559994 A JP30559994 A JP 30559994A JP 30559994 A JP30559994 A JP 30559994A JP 3261899 B2 JP3261899 B2 JP 3261899B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の旋回時に、目標
方向に安定した制御を行なえる車両制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、旋回中の車両において、低μ路や
急旋回、或いは、加減速等によって生じる巻き込み(オ
ーバステア)や横滑り(アンダステア)の挙動は、目標
方向への安定した走行を困難なものとしていた。このよ
うな車両挙動を保証する手段として、制動力による回転
モーメントを利用する方法(特開平2−70561号公
報)が提案されており、制動力による車両挙動制御を制
動時のみならず、加速時や定常走行時にも行おうとすれ
ば、ポンプ等の加圧装置が必要となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成において、4輪による車両挙動制御を行った場合、一
般的にはポンプでの加圧中にはブレーキペダルからの入
力を受け付けない構造となり、運転者はブレーキペダル
を踏み込んだときの感触(ペダルフィール)が得られな
いため、心理的に不安感を覚える。また、4輪制御時に
ポンプが故障すれば、ノーブレーキ状態となる可能性も
あり、フェイルセーフ上の問題がある。
【0004】従って、本発明の目的は、簡素な構成にて
制御性能を十分に確保し、フェイルセーフ性を有し、ペ
ダルフィールのある車両制御装置を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の構成は、車体を目標方向に制御する車両制
御装置であって、車体速度に相当する物理量を検出する
速度検出手段と、車両の操舵角に相当する物理量を検出
する操舵角検出手段と、車両の重心垂直軸回りの運動状
態を示す物理量を検出する回転運動検出手段と、速度検
出手段の検出信号と操舵角検出手段の検出信号とに応じ
て車両の目標回転運動量を演算する目標回転運動演算手
段と、各車輪の制動のための液圧をブレーキペダル操作
により付与される液圧よりも高くなるよう電気信号にて
独立に制御することのできる液圧調整手段と、回転運動
検出手段の検出信号が目標回転運動演算手段の演算結果
より大きいときには旋回外前輪の制動を増大するよう
御し、回転運動検出手段の検出信号が目標回転運動演算
手段の演算結果より小さいときには旋回内後輪の制動を
増大するよう制御する制御信号を液圧調整手段に出力
し、旋回内前輪及び旋回外後輪の制動はブレーキペダル
操作により付与される液圧にて制動する制御手段とを備
え、各液圧を各車輪の制動のために導く制動配管は、右
前輪と左後輪、左前輪と右後輪がそれぞれ共有すること
を特徴とする。
【0006】
【0007】
【0008】また、第二の発明の構成は、車両はFR
(Front Engine Rear Drive)車であることを特徴とす
る。
【0009】
【作用】第一の作用は、回転運動検出手段の検出信号が
目標回転運動演算手段の演算結果より大きいときには旋
回外前輪の制動が増大するよう制動を行い、回転運動検
出手段の検出信号が目標回転運動演算手段の演算結果よ
り小さいときには旋回内後輪の制動が増大するよう制動
を行い、旋回内前輪及び旋回外後輪の制御はブレーキペ
ダル操作により付与される液圧にて制動される。このと
き、制動液圧を導く制動配管は、右前輪と左後輪、左前
輪と右後輪がそれぞれ共有する。(請求項1)第二の 作用は、車両制御装置の搭載車両はFR車であ
る。(請求項2
【0010】
【発明の効果】第一の効果は、旋回時に車両制御装置に
よって旋回外前輪又は旋回内後輪が自動的に制御される
が、常に他の車輪のブレーキペダルによる制動が可能で
あるために、万一何らかの原因によって車両制御装置に
故障が発生しても、ブレーキペダルの操作ができるた
め、車両制御装置のフェイルセーフ性が向上する。(請
求項1、請求項2) 第二の効果は、常にペダルを踏み込むことができるた
め、運転者の心理的安心感をもたらすとともに、運転者
の意志を反映した減速度が得られる。(請求項1、請求
項2) 第三の効果は、旋回外前輪と旋回内後輪との制動である
ため、前輪と後輪のそれぞれの左右一方のみの制御であ
るが、旋回外前輪への制動力は旋回逆方向へのモーメン
トを発生させると同時に、コーナリングフォースを減少
させることができ、また、旋回内後輪への制動力はコー
ナリングフォースを減少させることなく旋回方向へのモ
ーメントを発生することができるため、4輪制御に劣ら
ず、効果的な制御を行なうことができる。(請求項1
請求項2
【0011】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。図1は、本発明の概念を示した概念図である。
速度検出手段A1は、制動すべき車輪に取り付けられ、
車輪の速度を検出する車輪速センサーであり、操舵角検
出手段A2は、ステアリングホイールの回転角を検出す
る操舵角センサーである。また、回転運動検出手段A3
は、旋回時に発生する車体の重心垂直軸回りの角速度を
検出するヨーレートセンサーである。
【0012】制御手段A4は、速度検出手段A1、操舵
角検出手段A2、回転運動検出手段A3からそれぞれ出
力される車輪速データ、操舵角データ、ヨーレートデー
タを入力し、制動すべき車輪及びその制動圧を選択し、
液圧調整手段A5に制御信号を出力する。液圧調整手段
A5は、制御手段A4からの制御信号に基づいて、ホイ
ールシリンダA6に液圧を加えて、車輪の制動を行なう
ことにより、適切な車両の制御が行なわれる。
【0013】次に、本実施例の具体的な構成について、
図2に基づいて説明する。ブレーキペダル1の作動によ
って加圧されるマスターシリンダ2には、右前輪、左後
輪系統10−1と左前輪、右後輪系統10−2の2系統
の油圧経路が接続されている。ソレノイドバルブ31、
37は、A状態とB状態との切り替えをすることによ
り、ホイールシリンダ80〜83へのブレーキペダル1
による加圧とポンプ20、22による加圧との切り替え
を行なうバルブであり、ECU(Electronic Control Un
it) 4からの制御信号により作動される。このとき、ソ
レノイドバルブ31、37は、互いに作動状態が異な
り、一方が作動時のとき、必ず他方は非作動の構成とし
ている。
【0014】このソレノイドバルブ31、37の作用に
より、本実施例は、右前輪、左後輪系統10−1と左前
輪、右後輪系統10−2の2系統の油圧経路のうち、常
に一方の油圧経路は、ブレーキペダル1から加圧される
ようになっている。ホイールシリンダ80、81の加圧
とホイールシリンダ82、83の加圧の仕組みは同様で
あり、以下、ホイールシリンダ82、83の加圧につい
てのみ説明する。
【0015】まず、通常のブレーキペダル1によってホ
イールシリンダ82、83の加圧を行なう場合は、ソレ
ノイドバルブ31はA状態とし、油圧経路15と油圧経
路10−1との接続を行なう。そして、ソレノイドバル
ブ32、34をA状態(スルー状態)とし、また、ブレ
ーキ油がリザーバ60に逃げないようにするために、ソ
レノイドバルブ33、35をB状態(カット状態)とす
る。
【0016】この状態にてブレーキペダル1を作動する
と、マスターシリンダ2が加圧され、その圧力により油
圧経路10−1、15、16を経由してホイールシリン
ダ82が加圧され、同様に油圧経路10−1、15、2
5、26を経由してホイールシリンダ83が加圧され
る。ブレーキペダル1を復元すると、マスターシリンダ
2が減圧され、油圧経路16、15、10−1を経由し
てホイールシリンダ82内のブレーキ油が一部マスター
シリンダ2に還元され、また、油圧経路26、25、1
5、10−1を経由してホイールシリンダ83内のブレ
ーキ油が一部マスターシリンダ2内に還元される。
【0017】ホイールシリンダ82、83内のブレーキ
油が一部マスターシリンダ2内に還元されることによ
り、ホイールシリンダ82、83は減圧され、車輪のブ
レーキが解除される。また、後輪のホイールシリンダ8
3への油圧経路のなかで、油圧経路15と油圧経路25
との間にはプロポーショナルバルブ70が設けられてお
り、このプロポーショナルバルブ70はマスターシリン
ダ2の油圧が所定値を超えると、ホイールシリンダ83
のブレーキ圧力の上昇比率を小さくして、後輪のロック
を防止するためのバルブである。
【0018】次に、ソレノイドバルブ31がB状態とな
って、ホイールシリンダ82、83への油圧の増圧、保
持、減圧をそれぞれ自動的に制御する場合について説明
する。まず、ホイールシリンダ82、83への増圧の作
用について説明する。ポンプ20とソレノイドバルブ3
0は、ソレノイドバルブ31がB状態となったときに、
ホイールシリンダ82、83を加圧するためのものであ
り、このときソレノイドバルブ30はB状態(ブレーキ
油のカット状態)となり、ポンプ20の圧力を油圧経路
11に加えることが可能な状態にする。
【0019】また、ソレノイドバルブ30は、ソレノイ
ドバルブ31がA状態(ブレーキペダル1による加圧が
可能な状態)のとき、ブレーキ油のスルーが可能なA状
態となり、ブレーキ油は油圧経路12、13、14とオ
イルタンク3との間を巡回するために、ポンプ20の圧
力は油圧経路11には加わらない。リリーフバルブ50
はポンプ20による圧力が設定圧を超えたときに、リリ
ーフするための安全弁である。
【0020】ソレノイドバルブ31がB状態になると、
油圧経路11と油圧経路15とが接続し、油圧経路11
に加わった圧力が油圧経路15に伝達する。よって、ホ
イールシリンダ82、83の加圧のためには、ソレノイ
ドバルブ32、34をA状態(スルー状態)とし、ソレ
ノイドバルブ33、35をB状態(カット状態)とすれ
ばよい。この状態のとき、ポンプ20の圧力はホイール
シリンダ82、83に作用することになる。
【0021】また、ホイールシリンダ82、83に作用
した圧力を保持するためには、ソレノイドバルブ32、
34をB状態(カット状態)とすればよい。ソレノイド
バルブ32、34をB状態とすることで、油圧経路15
と油圧経路16の間、油圧経路25と油圧経路26の間
がそれぞれカットされ、ポンプ20による圧力が加わら
ないために増圧は行なわれず、ソレノイドバルブ33、
35をB状態(カット状態)としているために減圧も行
なわれず、ホイールシリンダ82、83の油圧の保持が
可能となる。
【0022】ホイールシリンダ82、83の減圧のため
には、ソレノイドバルブ32、34をB状態(カット状
態)とし、ソレノイドバルブ33、35をA状態(スル
ー状態)とすればよい。ソレノイドバルブ32、34が
B状態であるため、油圧経路15と油圧経路16の間、
油圧経路25と油圧経路26の間がそれぞれカットさ
れ、ポンプ圧が加わらないためにこれ以上の増圧は行な
われず、一方、ソレノイドバルブ33、35をA状態で
あるため、ブレーキ油は油圧経路16、17を介して、
また、油圧経路26、27を介して流れるために、ホイ
ールシリンダ82、83の減圧が可能となる。
【0023】ここで、ホイールシリンダ82、83の減
圧時には、ブレーキ油は一部リザーバ60に流れ、ま
た、一部はポンプ21によって、油圧経路18、19に
流れる。リザーバ60は、ホイールシリンダ82、83
の圧力が高圧であるために、その減圧を急激に行なわな
いようにするための、バッファーとして用いている。ポ
ンプ21は、ホイールシリンダ82、83の減圧時にお
いてのみ作動する構成としている。
【0024】上記のソレノイドバルブ30〜35及びポ
ンプ21の作動は、すべてECU4からの制御信号に基
づいて行なわれ、ECU4は車輪速データ、操舵角デー
タ、ヨーレートデータ、圧力センサーP1〜P4からの
油圧データ等を入力し、制御信号を出力している。
【0025】ECU4で行なわれる処理手順を図3に示
すフローチャートに基づいて説明する。まず、ステップ
110にて、各種のセンサーやソレノイドバルブのチェ
ック並びにフラグ等の初期設定を行なう。ステップ12
0では、車輪速センサー、操舵角センサー、ヨーレート
センサー等からのセンサー信号を読み取り、ステップ1
30にて車輪速度、車輪加速度を演算する。ステップ1
40にて推定車体速度VS0を演算し、ステップ150
にて式1に示される計算式を用いて、目標ヨーレートY
R0を演算する。
【0026】
【数1】 YR0=(MA×VS0)÷{L×N×(1+KH×VS02 )} …(1) ここで、MAは操舵角、VS0は推定車体速度、Lはホ
イールベース、KHは車両のステア特性を示すスタビリ
ティファクタ、Nはオーバーオールステアリングギア比
を示す。
【0027】目標ヨーレートYR0を用い、ステップ1
60にてPID(比例積分微分)制御値の演算を行い、
制御量DBB及び加圧時、減圧時における保持時間HT
を算出する。その詳細処理手順を図4に示す。ステップ
161にて、ヨーレート偏差の前回値をDYR1として
記憶し、ステップ162にて、今回の目標ヨーレートY
R0と実ヨーレートYRとの差からヨーレート偏差DY
Rを算出する。ステップ163では、ヨーレート偏差の
前回値DYR1、今回のヨーレート偏差DYRを用い
て、PID演算により制御量DBBを算出し、ステップ
164にて保持時間基準値HT1を制御量DBBにて除
算し、保持時間HTを算出する。
【0028】この保持時間HTと増圧制御及び減圧制御
との関係を模式的に図7に示す。増圧制御時には所定の
増圧時間定数ATだけ増圧したのち、算出された保持時
間HTだけその圧力を保持することにより、ホイールシ
リンダ82、83への増圧を行なう。同様に、減圧制御
時には所定の減圧時間定数RTだけ減圧したのち、算出
された保持時間HTだけその圧力を保持することによ
り、ホイールシリンダ82、83への減圧を行なう。
【0029】ステップ160にて制御量DBBの算出
後、ステップ170にて制御すべき車輪の選択を行う。
その詳細処理手順を図5に示す。ステップ171にて、
制御量DBBの大きさと制御開始基準値BSとの大小比
較を行い、制御量DBBの大きさが制御開始基準値BS
以下であるときは、制御すべきでないと見なしてNOと
判定し、ステップ172に進み、全ての車輪の制御を行
なわないようにする。
【0030】制御量DBBの大きさが制御開始基準値B
Sより大きいとき、ステップ173に進み、実ヨーレー
トYRの値を見る。ステップ173にて実ヨーレートY
Rがゼロ以下のとき、ステップ174に進み、ステップ
174にて制御量DBBがゼロ以下であれば、即ち、右
旋回アンダステア時(図15(a)参照)には、ステッ
プ175に進み、右後輪の増圧制御と左前輪の減圧制御
を行なう。ステップ174にて制御量DBBが正の値の
とき、即ち、右旋回オーバステア時(図15(b)参
照)には、ステップ176に進み、右後輪の減圧制御と
左前輪の増圧制御を行なう。
【0031】ステップ173にて実ヨーレートYRがゼ
ロより大きいとき、ステップ178に進み、制御量DB
Bの値を見る。ステップ178にて制御量DBBがゼロ
以上のとき、即ち、左旋回アンダステア時(図14
(a)参照)には、ステップ179に進み、左後輪の増
圧制御と右前輪の減圧制御を行なう。ステップ178に
て制御量DBBがゼロより小さいとき、即ち、左旋回オ
ーバステア時(図14(b)参照)には、ステップ18
0に進み、左後輪の減圧制御と右前輪の増圧制御を行な
う。
【0032】ステップ170にて制御輪の選択を行なっ
たのち、ステップ190にて選択された車輪に対し制御
信号を出力し、車輪の制御を行なう。図5に示される処
理手順にて選択される各車輪とその増減圧との関係を図
6に示す。図6を見てもわかるように、常に制御なしの
車輪、即ち、ブレーキペダル1からの入力によって制動
する車輪があり、このことにより、車両制御装置100
が故障したときのフェイルセーフ性が向上し、また、常
にブレーキペダル1の感触があるため、運転者の不安も
取り除くことができる。
【0033】次に、本実施例を実際に用いた場合の結果
について説明する。図8、図9はセラミックタイル上に
水を張って、試験を行なった際のデータである。図8は
本実施例による制御無しの場合のデータであり、図9は
本実施例による制御を行なった場合のデータである。こ
の場合、車両速度を40km/h、操舵角を180°と
して、Jの字型の左旋回を行なった。図中のVFR
FL、VRR、VRLは車輪速度を、GX 、GY はそれぞれ
車両減速度を、PFR、PFL、PRR、PRLはそれぞれブレ
ーキ圧を示す。尚、本実施例で用いた車両は、エンジン
を車両の前部に搭載し、後輪を駆動するFR車である。
【0034】本実施例による制御を行なわなかった場合
は、図8に示されるデータから、ブレーキ圧PFR
FL、PRR、PRLに圧力変化は見られず、旋回の序盤は
目標ヨーレートYR0に実ヨーレートYRが追いつか
ず、目標ヨーレートYR0を実ヨーレートYRが下回る
アンダステア状態が続き、旋回の終盤になると、急旋回
の形態となるために、目標ヨーレートYR0の符号が負
になり、逆方向のヨーレートを目標とすべきなのだが、
実ヨーレートYRが正方向に増大するため、スピン状態
となることがわかる。従って、本実施例による車両制御
を行なわない場合では、図8に示されるように目標ヨー
レートYR0と実ヨーレートYRとの偏差が常に縮まら
ず、最終的にはスピンを起こし、効果的な制御が行なわ
れない。
【0035】一方、本実施例による車両制御を行なった
場合は、図9に示されるデータから、旋回直後に目標ヨ
ーレートYR0を実ヨーレートYRが下回るアンダステ
ア状態となると、左後輪のブレーキ圧PRLを高め、左後
輪の車輪速度VRLを減少させ、アンダステア状態を解消
させる働きをする(図14(a)参照)。その後、目標
ヨーレートYR0を実ヨーレートYRが上回るオーバス
テア状態となると、右前輪のブレーキ圧PFRを高め、右
前輪の車輪速度PFRを減少させて、オーバステア状態の
解消を図る(図14(b)参照)。
【0036】このとき、車両制御装置が作動する車輪
は、左後輪と右前輪の2つの車輪のみであり、右後輪と
左前輪のブレーキ圧PFL、PRRが終盤に増加している
が、これはブレーキペダル1からの入力によるものであ
る。また、右旋回を行なう場合は、右後輪と左前輪のブ
レーキ圧PFL、PRRを制御し、左後輪と右前輪のブレー
キ圧PRL、PFRはブレーキペダル1から入力される構成
となる。よって、本実施例のように、左後輪と右前輪の
ブレーキ圧PRL、PFR、または、右後輪と左前輪のブレ
ーキ圧PFL、PRRのどちらか一方を制御することによっ
て、十分に実ヨーレートYRを目標ヨーレートYR0に
追従するように制御され、図9に示されるようにスピン
を起こすことなく車両の安定した制御を行なうことがで
きる。
【0037】次に、本実施例をアスファルト路面での走
行に用いた場合の結果について説明する。図10、図1
1はアスファルト路面上で、車両速度60km/hでス
ラロームの試験を行なった際のデータである。図10は
本実施例による車両制御無しの場合のデータであり、図
11は本実施例による制御を行なった場合のデータであ
る。
【0038】図10に示されるように、本実施例による
車両制御を行なわなかった場合は、ピーク値において、
目標ヨーレートYR0を実ヨーレートYRが下回るアン
ダステア状態が顕著に現れることがわかる。一方、本実
施例による車両制御を行なった場合は、図11に示され
るように、右旋回時に目標ヨーレートYR0を実ヨーレ
ートYRが下回るアンダステア状態となると右後輪のブ
レーキ圧PRRを高め、右後輪の車輪速度VRRを減少させ
てアンダステア状態を解消させ(図15(a)参照)、
また、目標ヨーレートYR0を実ヨーレートYRが上回
るオーバステア状態となると、左前輪のブレーキ圧PFL
を高め、左前輪の車輪速度VFLを減少させてオーバステ
ア状態を解消させ(図15(b)参照)、目標ヨーレー
トYR0に実ヨーレートYRが追従するように制御して
いる。
【0039】左旋回時では、目標ヨーレートYR0を実
ヨーレートYRが下回るアンダステア状態となると左後
輪のブレーキ圧PRLを高め、左後輪の車輪速度VRLを減
少させてアンダステア状態を解消させ、また、目標ヨー
レートYR0を実ヨーレートYRが上回るオーバステア
状態となると、右前輪のブレーキ圧PFRを高め、右前輪
の車輪速度VFRを減少させてオーバステア状態を解消さ
せ、目標ヨーレートYR0に実ヨーレートYRが追従す
るように制御している。
【0040】図10のデータと図11のデータとの比較
から、そのピーク値における目標ヨーレートYR0と実
ヨーレートYRとの偏差に明確に違いが見られる。従っ
て、アスファルト路面上をスラローム走行する場合にお
いても、本実施例による車両制御を行なったときは、車
両制御を行なわなかったときに比べて、目標ヨーレート
YR0と実ヨーレートYRとの偏差は小さく、有効に機
能していることがわかる。
【0041】また、図11において、4つの車輪のブレ
ーキ圧PFR、PFL、PRR、PRLがフルに作動しているよ
うに受け取れるが、実際にはブレーキ圧PFR、PRL系統
とブレーキ圧PFL、PRR系統とが切り替わっているので
あり、一方が本実施例による車両制御が行なわれている
とき、他方はブレーキペダル1からの入力が可能な状態
となっていて、その切り替えタイミングが極めて短時間
に行なわれているために4つの車輪のブレーキ圧PFR
FL、PRR、PRLがフルに作動しているように見えるの
である。
【0042】さらに、本実施例をセラミックタイル上で
スラローム走行を行なった場合の結果について説明す
る。図12、図13はセラミックタイル上に水を張
り、、車両速度60km/hでスラロームの試験を行な
った際のデータである。図12は本実施例による車両制
御無しの場合のデータであり、図13は本実施例による
車両制御を行なった場合のデータである。
【0043】図12より、本実施例による車両制御を行
なわない場合には、目標ヨーレートYR0と実ヨーレー
トYRとの偏差は次第に大きくなり、最終的には発散
し、制御不能状態(スピン)に陥っていることがわか
る。一方、本実施例による車両制御を行なった場合は、
図13に示されるように、左右それぞれの旋回時に、ア
ンダステア状態、オーバステア状態のそれぞれに対応し
て適切にブレーキ圧が作用し、目標ヨーレートYR0に
実ヨーレートYRを追従させ、スピンに至らず、有効な
制御が行なわれていることがわかる。
【0044】上記実施例からわかるように、本発明は、
右前輪と左後輪系統、或いは、左前輪と右後輪系統のい
ずれか一方のブレーキ圧を制御し、他方はブレーキペダ
ル1からの入力とすることで、有効に車両制御を行なう
ことができる。また、常に、ブレーキペダル1からの制
動が可能であるため、フェイルセーフ性を向上すること
ができるとともに、常にペダルフィールがあるために運
転者の心理的安心感をもたらすことができる。本発明で
は、右前輪、左後輪系統と左前輪、右後輪系統との2つ
の油圧経路を設けているため、上方向視からの形状は図
16に示されるように、X字型の油圧経路とすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる概念を示した概念図。
【図2】本発明の構成を示すブロック図。
【図3】ECUの処理手順を示すフローチャート。
【図4】PID制御値演算の手順を示すフローチャー
ト。
【図5】制御輪選択演算の手順を示すフローチャート。
【図6】制御信号と制御輪の増減圧との関係を示す表。
【図7】増圧制御及び減圧制御における保持時間を示す
模式図。
【図8】セラミックタイル路面において、40km/
h、操舵角180°、Jの字型の旋回の条件で、本実施
例の車両制御を行なわない場合での試験データを示す説
明図。
【図9】セラミックタイル路面において、40km/
h、操舵角180°、Jの字型の旋回の条件で、本実施
例の車両制御を行なった場合での試験データを示す説明
図。
【図10】アスファルト路面において、60km/hで
スラロームを行なったとき、本実施例の車両制御を行な
わない場合での試験データを示す説明図。
【図11】アスファルト路面において、60km/hで
スラロームを行なったとき、本実施例の車両制御を行な
った場合での試験データを示す説明図。
【図12】セラミックタイル路面において、60km/
hでスラロームを行なったとき、本実施例の車両制御を
行なわない場合での試験データを示す説明図。
【図13】セラミックタイル路面において、60km/
hでスラロームを行なったとき、本実施例の車両制御を
行なった場合での試験データを示す説明図。
【図14】左旋回時における制御の原理を示す模式図。
【図15】右旋回時における制御の原理を示す模式図。
【図16】油圧経路の形状を示す模式図。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル 2 マスターシリンダ 3 オイルタンク 4 ECU 10〜19、25〜27、99 油圧経路 20〜23 ポンプ 30〜41 ソレノイドバルブ 50、51 リリーフバルブ 60、61 リザーバー 70、71 プロポーショナルバルブ 80〜83 ホイールシリンダ 90〜95 チェックバルブ 100 車両制御装置 P1〜P4 圧力センサー RR 右後輪 RL 左後輪 FR 右前輪 FL 左前輪
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−254406(JP,A) 特開 平5−105048(JP,A) 特開 平8−48226(JP,A) 特開 平7−137618(JP,A) 特開 平6−278586(JP,A) 特開 平6−286587(JP,A) 特開 平1−208255(JP,A) 特開 平3−143757(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体を目標方向に制御する車両制御装置で
    あって、 車体速度に相当する物理量を検出する速度検出手段と、 前記車両の操舵角に相当する物理量を検出する操舵角検
    出手段と、 前記車両の重心垂直軸回りの運動状態を示す物理量を検
    出する回転運動検出手段と、 前記速度検出手段の検出信号と前記操舵角検出手段の検
    出信号とに応じて前記車両の目標回転運動量を演算する
    目標回転運動演算手段と、 各車輪の制動のための液圧をブレーキペダル操作により
    付与される液圧よりも高くなるように電気信号にて独立
    に制御することのできる液圧調整手段と、 前記回転運動検出手段の検出信号が前記目標回転運動演
    算手段の演算結果より大きいときには旋回外前輪の制動
    を増大するよう制御し、前記回転運動検出手段の検出信
    号が前記目標回転運動演算手段の演算結果より小さいと
    きには旋回内後輪の制動を増大するよう制御する制御信
    号を前記液圧調整手段に出力し、旋回内前輪及び旋回外
    後輪の制御はブレーキペダル操作により付与される液圧
    にて制動する制御手段とを備え、 前記各液圧を前記各車輪の制動のために導く制動配管
    は、右前輪と左後輪、左前輪と右後輪がそれぞれ共有す
    ることを特徴とする車両制御装置。
  2. 【請求項2】前記車両はFR(Front Engine Rear Driv
    e)車であることを特徴とする請求項1に記載の車両制御
    装置。
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