JP3260116B2 - 圧電材料およびその製造方法およびそれを用いた圧電振動子および圧電発音体 - Google Patents

圧電材料およびその製造方法およびそれを用いた圧電振動子および圧電発音体

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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Apparatuses For Generation Of Mechanical Vibrations (AREA)
  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯用電話、コン
ピュータ等の発音源に用いられる圧電材料およびその製
造方法およびそれを用いた圧電振動子および圧電発音体
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、圧電材料を用いた圧電スピーカや
レシーバは、携帯電話やコンピュータの音声出力装置と
して見直されてきている。特に携帯用として摂氏200
度以上の高温で安定に動作する圧電振動子への要望が強
くなっている。このとき問題となるのが、1)耐熱性、
2)圧電特性、3)信頼性、といったことである。その
ため、ペロブスカイト構造を有する酸化物強誘電体のセ
ラミクスに着眼した新材料の探索と添加物による改善が
多数行われている。
【0003】酸化物強誘電体のセラミクスにおいて圧電
特性を向上しようとすると、キュリー点(強誘電相と常
誘電相の転移温度)が下がってしまい、耐熱性が悪くな
ってしまう。要望される良好な特性を得るためには、耐
熱性をある程度ゆずってキュリー点を200度未満と
し、材料を使用する際に、耐熱性に注意を払う必要があ
った。この結果、材料からの取り出し電極の電気接続工
程において、特性が変化してしまうという問題があっ
た。
【0004】また、デバイス設計から要望されているキ
ュリー点が摂氏200度以上となる組成では、大きな圧
電特性が得られなくなり、圧電特性に対する要望に応え
られなくなってしまうという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、所望される良
好な特性を得るための材料探索として、第3の組成物と
なる複合ペロブスカイト型酸化物をさらに混合したり、
新たに添加物を加えることが多く研究されてきている
が、第3の組成物を混合することによってペロブスカイ
ト構造以外の誘電率の低い別の結晶構造を持つ化合物が
二次的に形成され、本来の圧電特性が得られなくなって
しまうという新たな課題が発生した。
【0006】また、デバイスは、より小型化・薄型化を
要望されており、そのために薄膜のセラミックスの要望
が高まってきている。圧電発音体として2mm以下の発
音体の要望がでているが、これに応えようとすると発音
体の設計上セラミック素子として50ミクロン以下の薄
板のセラミックが必要となってきている。
【0007】さらに、圧電発音体に用いられるセラミッ
クは、積層セラミックコンデンサやアクチュエータのよ
うな積層タイプと違い、単層で金属板に張り付けるため
機械的強度やピンホールなどによるショートが少ない緻
密なセラミックの材料設計が必要となる。
【0008】また、これまで材料を緻密に焼成するため
に焼成後のグレインサイズを制御しようとして、各種の
粒径制御剤が用いられてきた。しかし、これら粒径制御
剤も上記の第3の組成物と同様に特性に悪影響を与える
ことがわかっている。すなわち、Pbを含む圧電材料に
用いた場合、Pbと反応してペロブスカイト構造以外の
誘電率の低い別の結晶構造を持つ化合物が二次的に形成
し、本来の圧電特性が得られなくなってしまうという課
題である。
【0009】このように、近年、圧電材料を応用した製
品における圧電特性および耐熱性の向上の要望は強く、
正方晶系と菱面体晶系の相境界領域の性能を十分引き出
さなければならなくなってきている。
【0010】本発明は、圧電特性が良好な正方晶系と菱
面体晶系の相境界の組成物の材料組成の中でAサイトの
鉛の量を制御することにより、良好な圧電特性を有し、
かつ耐熱性の高い圧電材料および圧電振動子および圧電
発音体を安定に得ることを第1の目的としている。
【0011】また、本発明の第2の目的は、単層で用い
られるために高強度で緻密なセラミックが要求される圧
電発音体において、圧電材料の性能を十分に引き出しな
がらグレインサイズの制御が可能となる圧電材料の製造
方法を得ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
の手段として、材料組成中の鉛の量を減少することで本
発明は従来にない良好な圧電特性を得ることができた。
すなわち、本発明によれば、比誘電率が5000以上で
電気機械結合係数が65%以上でキュリー温度が摂氏2
00度以上の圧電材料およびその適用品を実現すること
ができる。
【0013】また、好ましい粒径制御剤の使用とそれを
用いた圧電材料の製造方法により、容易に単層で用いる
ことが可能となる高強度で緻密なセラミックを実現する
ことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、
鉛を含むペロブスカイト型酸化物を主成分とする圧電材
料において、(Pb (1- α ) Mα)(Zr (1-y) Ti y ) (1-z) (Mg 1/3 Nb 2/3 ) z 3 (Mは、Ba、Bi、Srのうちから選択される少なく
とも1種類の元素、0≦α<0.10) なる化学式で表わされ、かつ0.20<y<0.30、
0.45<z<0.55の範囲にあるように材料を仮焼
成後、粒径制御剤としてコランバイト型酸化物であるM
gNb 2 6 をPbに対して0.005<x<0.05の
範囲にあるように添加し、再び仮焼成を行う圧電材料の
製造方法であり、良好な耐熱性および圧電特性を有し、
かつ信頼性の高い圧電材料を得ることができるという作
用を有する。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】請求項記載の発明は、請求項記載の圧
電材料の製造方法で得られるグレインサイズが5μm以
下である圧電材料であり、良好な耐熱性および圧電特性
を有し、かつ信頼性の高い圧電材料を得ることができる
という作用を有する。
【0020】請求項記載の発明は、請求項2に記載の
圧電材料を用いたことを特徴とする圧電振動子であり、
良好な耐熱性および圧電特性を有し、かつ信頼性の高い
圧電材料を得ることができるという作用を有する。
【0021】請求項記載の発明は、厚みが50ミクロ
ン以下の請求項に記載の圧電材料を用いた圧電振動子
であり、良好な耐熱性および圧電特性を有し、かつ信頼
性の高い圧電材料を得ることができるという作用を有す
る。
【0022】請求項記載の発明は、請求項または
記載の圧電振動子を用いたことを特徴とする圧電発音体
であり、良好な耐熱性および圧電特性を有し、かつ信頼
性の高い圧電材料を得ることができるという作用を有す
る。
【0023】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。図1はこの発明の一実施例における
正方晶系と菱面体晶系の相境界を有する固相反応で得ら
れる圧電材料の相を示す模式図である。
【0024】この実施例では、チタン酸鉛(化学式Pb
TiO3 を以降PTと略す)とジルコン酸鉛(化学式P
bZrO3 を以降PZと略す)とマグネシウムニオブ酸
鉛(化学式Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 を以降PMN
と略す)を固相反応によって所望の組成物を得る場合に
ついて説明する。
【0025】いわゆるPZT系はxPT−(1−x)P
Zの組成式で表され、xが0.42から0.48の範囲
に正方晶系と菱面体晶系の相境界が存在する。この相境
界において、良好な圧電特性をもつ材料であることは一
般によく知られている。
【0026】これにPMNを添加した三成分系の圧電材
料は、xPT―yPZ―(1―x―y)PMNの組成式
で表される。この材料についても詳細に研究されてお
り、3重点付近で大きな圧電特性をもつが、一方で圧電
特性の向上に伴いキュリー点が下がってしまう欠点があ
る。ここで、正方晶系と菱面体晶系では、菱面体晶系の
方が室温近傍における比誘電率の温度変化率が大きいこ
とから、一般には正方晶系を用いることが多い。正方晶
系においてキュリー点が200℃以上ある材料組成にな
ると、誘電率が高々2000程度であり、圧電特性の大
きなものを得ることができない。xPT―yPZ―(1
―x―y)PMNで示される材料で、デバイスから要求
される高い圧電特性を得ようとすると、3重点付近に材
料組成が限定されてしまうが、このとき材料のキュリー
点は150℃以下になってしまう。
【0027】この実施例では、この逐次相転移する強誘
電体で使用温度領域で安定な温度特性を示す正方晶系の
材料組成において、Aサイトの鉛の量を制御することで
良好な圧電特性を有し、かつキュリー点が200度以上
の圧電材料を実現した。
【0028】また、xPT―yPZ―(1―x―y)P
MNの組成に粒径制御剤としてニオブ酸マグネシウム
(化学式MgNb2 6 を以降MNOと略す)を用いる
ことで、Aサイトの鉛量を制御し、粒径制御剤としての
効果と良好な圧電特性の両方を同時に実現した。
【0029】この発明の効果は、以下の実施例に記述し
た材料系に限定されるものではない。また、この発明の
効果は、以下の実施例に記述した圧電振動子に限定され
るものではない。
【0030】(実施例1)実施例1として以下に示すセ
ラミックスを作製した。作製したPZT系セラミックス
の材料組成は、次の(1)から(10)であるが、この
うち(2)〜(6)は本発明の材料組成によるものであ
る。 (1) Pb1.00(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3 0.50O3 (2) Pb0.99(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3 0.50O3 (3) Pb0.98(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3 0.50O3 (4) Pb0.97(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3 0.50O3 (5) Pb0.96(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3 0.50O3 (6) Pb0.95(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3 0.50O3 (7) Pb0.94(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3 0.50O3 (8) Pb0.93(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3 0.50O3 (9) Pb0.92(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3 0.50O3 (10)Pb0.91(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3 0.50O3
【0031】これらで表される組成になるように、Pb
O、ZrO2 、TiO2 、MgO、Nb2 5 の粉末を
秤量し、これらの粉末をボールミルで湿式混合してスラ
リーを作製した。 (工程1)得られたスラリーを脱水して電気炉中で90
0℃の温度で仮焼成した。 (工程2)得られた仮焼成粉末を1μm以下に粉砕した
後、プレス成形によって2ton/cm2 の圧力でφ1
5mm×厚さ3mmの円盤状に成形した。 (工程3)この成形体を1250℃の温度で焼成し、サ
ンプル(1)〜(10)を作製した。 こうして得られた最終整形済みの焼結体に電極を付け
る。電極材料は、焼き付け銀や導電性塗料や金属を蒸着
した。その後に分極処理を行い、電気機械結合係数Kp
(%)と誘電率ε、さらにキュリー点について測定し
た。
【0032】また、上記した作製方法により、下記のサ
ンプル(11)、(12)を作製した。まず、下記の
(A)、(B)を(工程1)および(工程2)で作製す
る。 (A) Pb0.98(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3
0.48O3 (B) Pb0.96(Zr0.26Ti0.740.50(Mg1/3 Nb2/3
0.46O3 その後、(A)、(B)にそれぞれPbに対して(Mg
1/3 Nb2/3 0.02O3、(Mg1/3 Nb2/3 0.04O3となるよ
うにMgNb2 6 を添加し、上記サンプル(3)、
(5)と同じ組成になるようにして、再度仮焼成を行
い、仮焼成粉末のサンプル(11)、(12)を作製し
た。サンプル(11)、(12)に対して上記(工程
3)を用いて円盤状の成形を行い、同様にKp、εとキ
ュリー点の測定を行った。この結果を表1に示す。
【0033】
【表1】 Kpは、圧電セラミックスの電気機械結合係数を示す。
【0034】この結果、電気機械結合係数kpが70%
で比誘電率が5000を越える圧電材料でキュリー点が
200℃以上の材料が容易に作製できることがわかる。
【0035】また、Pbに対してMgNb2 6 を添加
し、再度仮焼成を行い、仮焼成粉末を作製することによ
って、この効果がより顕著に現れる。
【0036】また、サンプル(1)、(5)、(12)
のSEM観察写真を見ると、サンプル(5)と(12)
はまったく同じ材料組成であるが、サンプル(12)で
用いた製造方法により、材料のグレイン制御を効率よく
行うことが可能となり、グレインサイズが5μm以下に
制御されていることがわかる。
【0037】本発明によるPbを減らす材料組成によ
り、耐熱性と圧電特性の向上を同時に満足することが可
能となる。また、本発明で使用する粒径制御剤および圧
電材料製造方法によりグレインサイズの制御を行うこと
が可能であり、デバイスから要求される緻密なセラミッ
クを容易に実現できる。
【0038】(実施例2)次に、以下に示すセラミック
スを作製した。作製したPZT系セラミックスの材料組
成は、 (イ) Pb0.95Sr0.05(Zr0.22Ti0.780.52(Mg1/3 Nb
2/3 0.48O3 (ロ) Pb0.93Sr0.05(Zr0.22Ti0.780.52(Mg1/3 Nb
2/3 0.48O3 (ハ) Pb0.91Sr0.05(Zr0.22Ti0.780.52(Mg1/3 Nb
2/3 0.48O3 である。
【0039】これらで表される組成になるように、実施
例1と同様に(工程1)、(工程2)、(工程3)で円
盤状の成形体を作製した。この成形体を1250℃の温
度で焼成し、サンプル(イ)〜(ハ)を作製した。こう
して得られた最終整形済みの焼結体に電極を付ける。電
極材料は、焼き付け銀や導電性塗料や金属を蒸着した。
その後に分極処理を行い、電気機械結合係数Kp(%)
と誘電率ε、さらにキュリー点について測定した。
【0040】また、本発明の作製方法により、下記の
(ニ)、(ホ)を作製した。まず、下記の(C)、
(D)を(工程1)および(工程2)で作製する。 (C) Pb0.93Sr0.05(Zr0.22Ti0.780.52(Mg1/3 Nb
2/3 0.46O3 (D) Pb0.91Sr0.05(Zr0.22Ti0.780.52(Mg1/3 Nb
2/3 0.44O3
【0041】その後、(C)、(D)にそれぞれPbに
対して(Mg1/3 Nb2/3 0.02O3、(Mg1/3 Nb2/30.04O3
となるようにMgNb2 6 を添加し、再度仮焼成を行
い、仮焼成粉末(ニ)、(ホ)を作製した。(ニ)、
(ホ)に対して(工程3)を用いて円盤状の成形を行
い、同様にKp、εとキュリー点の測定を行った。
【0042】この結果を表2に示す。
【表2】 Kpは、圧電セラミックスの電気機械結合係数を示す。
【0043】この結果から、Aサイトの鉛の量を制御す
ることで良好な圧電特性を有し、かつキュリー点が20
0度以上の圧電材料を実現した。また、Pbに対してM
gNb2 6 を添加し、再度仮焼成を行い、仮焼成粉末
を作製することによって、この効果がより顕著に現れる
ことがわかる。
【0044】また、本発明で使用する粒径制御剤および
圧電材料製造方法によりグレインサイズの制御を行うこ
とが可能であり、デバイスから要求される緻密なセラミ
ックを容易に実現できる。
【0045】(実施例3)実施例1に示したサンプル
(1)〜(12)の材料を用いて、焼成後の膜厚が10
0μmになるようにグリーンシートを作製し、円盤状に
打ち抜いた後、焼成し、銀電極を両面に形成して分極を
行った後、振動板を張り付け、バイモルフ型圧電振動子
を形成した。その後、可聴域の音圧を測定した。結果を
表3に示す。
【0046】
【表3】 *印は本発明の範囲外。 音圧は、周波数1kHzの測定結果。
【0047】表3から、本発明の材料組成を用いること
でキュリー点の変化なしに高い音圧が得られることがわ
かる。耐熱性も、実用上問題無かった。さらにサンプル
(11)、(12)については、素子の割れや分極時の
ショートに問題なく高強度なセラミックが実現されてい
る。
【0048】(実施例4)実施例3に示したサンプル
(3)、(5)、(11)、(12)の材料を用いて、
焼成後の膜厚が40μmになるようにグリーンシートを
作製し、円盤状に打ち抜いた後、焼成し、銀電極を両面
に形成して分極を行った後、振動板を張り付け、バイモ
ルフ型圧電振動子を形成した。その後、可聴域の音圧を
測定した。また、220℃、60秒の半田付けによる耐
熱性試験を行った。結果を表4に示す。
【0049】
【表4】 音圧は、周波数1kHzの測定結果。
【0050】表4および表3の比較から、50μm以下
のセラミック素子を用いることで音圧がより向上するこ
とがわかる。また40μmの薄板の圧電振動子に熱が伝
わりやすい場合でも、キュリー点が高いために実用上問
題無い耐熱性が得られている。これは、近年デバイス設
計から要求される材料の薄板化に対して本発明の材料組
成は非常に有効であることを示している。
【0051】また、40μmの薄板セラミックを作製す
る場合に、グレインサイズの小さいサンプル(11)、
(12)の素子では銀電極のしみ込みがなくなる。この
ため分極時のショート不良が、サンプル(11)、(1
2)ではまったく問題なかった。すなわち、薄板の素子
を作製するには、材料のグレイン制御が必要条件とな
る。このとき、Pbに対してMgNb2 6 を添加し、
再度仮焼成を行い、仮焼成粉末を作製する方法は非常に
有効な手段となる。
【0052】(実施例5)次に実施例5として以下に示
す(21)から(25)のセラミックスを作製し、実施
例1と同様の実験を行い、圧電特性の測定を行った。ま
た、グリーンシートを作製し、実施例3と同様に、可聴
域の音圧を測定した結果を表5に示す。 (21)Pb1.00(Zr0.40Ti0.600.60(Mg3/12Zn1/12Nb2/3 0.40O 3 (22)Pb0.99(Zr0.40Ti0.600.60(Mg3/12Zn1/12Nb2/3 0.40O 3 (23)Pb0.98(Zr0.40Ti0.600.60(Mg3/12Zn1/12Nb2/3 0.40O 3 (24)Pb0.97(Zr0.40Ti0.600.60(Mg3/12Zn1/12Nb2/3 0.40O 3 (25)Pb0.96(Zr0.40Ti0.600.60(Mg3/12Zn1/12Nb2/3 0.40O 3
【0053】
【表5】 *印は本発明の範囲外。Kpは、圧電セラミックスの電
気機械結合係数を示す。音圧は、周波数1kHzの測定
結果。
【0054】この結果から、Pb(1-x) (Zr(1-y) Tiy
(1-z) (Ni3/12Zn1/12Nb2/3 z O 3 の場合においても
本発明の効果が得られることがわかる。
【0055】
【発明の効果】この発明によれば、キュリー温度が摂氏
200度以上でかつ圧電特性および信頼性の高い圧電材
料が容易に実現可能となる。また、本製造方法を用いる
ことで、この効果がより顕著になるだけでなく、セラミ
ック素子を作製する場合のグレインサイズの制御が同時
に可能となる。
【0056】この発明の効果は、実施例に記述した圧電
振動子に限定されず、アクチュエータや加速度センサー
など、圧電磁器を用いた様々なデバイスに応用できるこ
とはいうまでもない。
【0057】この材料の実現によりデバイス設計から要
望されていた耐熱性と高圧電特性、高信頼性の両立が可
能となる。またこの製造方法により、同じくデバイス側
から要求される薄板圧電素子の分極時のショート不良の
抑制が可能となり、生産性の向上を図ることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】xPT―yPZ―(1―x―y)PMNの圧電
材料の相を示す模式図
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−104568(JP,A) 特開 平9−87016(JP,A) 特開 平8−217539(JP,A) M.VILLEGAS,Perovs kite phase formati on in the PbMg1/3N b2/3O3−PbZrO3−PbTi O3 system by the c olumbite route,JOU RNAL OF MATERIALS SCIENCE,第30巻,第5号,第 1391−1396頁 A.PERAIZ BARBANC O,The grain size,d ielectric properti es and impedance s pectroscopy in a m odified ternary sy stem of Pb(,JOURNA L OF MATERIALS SCI ENCE LETTERS,第16巻,第 7号,第534−536頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/50 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛を含むペロブスカイト型酸化物を主成
    分とする圧電材料において、 (Pb(1-α)Mα)(Zr(1-y)Tiy)(1-z)(Mg1/3Nb2/3)z3 (Mは、Ba、Bi、Srのうちから選択される少なく
    とも1種類の元素、0≦α<0.10) なる化学式で表わされ、かつ0.20<y<0.30、
    0.45<z<0.55の範囲にあるように材料を仮焼
    成後、粒径制御材としてコランバイト型酸化物であるM
    gNb26をPbに対して0.005<x<0.05の
    範囲にあるように添加し、再び仮焼成を行う圧電材料の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項記載の圧電材料の製造方法で得
    られるグレインサイズが5μm以下である圧電材料。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の圧電材料を用いたこと
    を特徴とする圧電振動子。
  4. 【請求項4】 厚みが50ミクロン以下の請求項に記
    載の圧電材料を用いた圧電振動子。
  5. 【請求項5】 請求項または記載の圧電振動子を用
    いたことを特徴とする圧電発音体。
JP35277197A 1997-05-12 1997-12-22 圧電材料およびその製造方法およびそれを用いた圧電振動子および圧電発音体 Expired - Fee Related JP3260116B2 (ja)

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