JP3241005B2 - シリコンのエッチング方法 - Google Patents

シリコンのエッチング方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ性水溶液
を用いたシリコンのエッチング方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】アンモニア水、テトラメチルアンモニウ
ムハイドロオキサイド(以下、TMAHと略記する)な
どのアルカリ性水溶液を用いてシリコンをエッチングす
ると、エッチング速度がシリコンの結晶面方位によって
異なるため、シリコンを異方的にエッチングすることが
できる。この技術はシリコンマイクロマシーンニング技
術の最も基礎的な技術の一つになっている。
【0003】異方性エッチングを行う場合のマスク材と
してはシリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜が広く用
いられている。すなわち、シリコン基板にシリコン酸化
膜あるいはシリコン窒化膜を成膜し、フォトリソグラフ
ィーの技術によりこれらの保護膜を部分的にエッチング
して窓を形成する。この状態でアルカリ水溶液によりエ
ッチングを行うと、窓の部分で露出したシリコンのみが
エッチングされ、横方向に狭く縦方向に深いエッチング
溝が形成される。このシリコン異方性エッチングの技術
は半導体加速度センサなどのデバイスに応用されてい
る。
【0004】さらに、シリコン基板上に成膜した2つの
絶縁膜の間に、化学気相成長法などによりシリコン多結
晶膜を成膜し、上記絶縁膜に部分的に開けたスルーホー
ルからアルカリ性水溶液を侵入させ、シリコン多結晶膜
をくり抜くようにエッチングすると、中空の形状をした
マイクロブリッジ構造が得られる。この場合のシリコン
多結晶膜は犠牲層と呼ばれ、また犠牲層のエッチングに
よりマイクロブリッジ構造を作成する技術は表面マイク
ロマシーンニングと呼ばれている。この表面マイクロマ
シーンニングの技術は、熱型赤外線センサ、静電アクチ
ュエータなどのデバイス作成に用いられている。
【0005】異方性エッチングあるいは表面マイクロマ
シーンニングを用いてデバイスを形成するとき、多くの
場合、アルカリ性水溶液を用いたエッチング(以下、ア
ルカリエッチングという)を行う前に同一基板上に信号
読み出し用の電極パッドを形成する。電極パッドの材料
としてはシリコンプロセスへの適合性がよくかつ安価な
アルミニウムが最も頻繁に使われている。しかし、アル
ミニウム電極パッドの場合には、アルミニウムがアルカ
リ性水溶液に溶解しやすい性質があるため、電極パッド
がアルカリ性水溶液に溶解し消失してしまうという問題
がある。
【0006】この問題を回避するために、あらかじめア
ルカリ性水溶液にシリコンを溶解させておくことでアル
ミニウム電極パッドの溶解を防ぐ方法が報告されている
(U.Schnakenberg et al.,Se
nsors and Actuators A, 3
4,(1992),51−57)。同報告ではアルカリ
性水溶液にシリコンを溶解させておくことの有効性が次
のように説明されている。すなわち、アルミニウム電極
パッド表面はアルカリ性水溶液において水酸基を配位子
とした八面体アルミニウム錯体で準定常的に覆われた形
になっている。また、pH12〜13の高アルカリ性水
溶液中ではシリコン原子は水酸基あるいは酸素イオンを
配位子とした四面体シリコン錯体の形で溶解している。
この四面体シリコン錯体がアルミニウム電極パッド近傍
で、八面体アルミニウム錯体と結合し安定なアルミノシ
リケートを形成し、このアルミノシリケート堆積膜がア
ルカリ性水溶液中の水酸基のアルミニウムへの攻撃を妨
げる保護膜として作用する。
【0007】アルカリエッチングに用いるアルカリ性水
溶液としては、有害性などの環境負荷が少なく、またシ
リコンプロセスへの適合性に優れていることからアンモ
ニア水およびTMAHが広く用いられている。前述した
ようにアルミニウム電極パッドの腐食を防ぐためにはシ
リコンを予め添加しなければならないが、その必要量は
アルカリ性水溶液によって異なる。TMAHの場合には
大量のシリコンを溶解するために多大な工数を要し、ま
た通常シリコンが完全には溶解しないことから、シリコ
ン濃度に関するエッチング液の調製の再現性が悪く、ま
たシリコン残滓によるパーティクル汚染が発生してい
た。
【0008】しかしアンモニア水の場合には、シリコン
溶解必要量がTMAHの場合に比べておよそ十分の一以
下であるため、エッチング液の調製に関するこれらの問
題がない。このため、アルミニウム電極パッドの腐食を
防ぐアルカリエッチングのエッチング液としてはアンモ
ニア水を用いる方法が最も再現性に優れ、工数を節約で
きる方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、エッチング液
としてアンモニア水を用いた場合、シリコン酸化膜およ
びシリコン窒化膜に関するエッチング速度が大きいた
め、例えばマイクロブリッジ構造をシリコン基板上に形
成しようとするとき、シリコン基板上に形成されたシリ
コン酸化膜およびシリコン窒化膜もエッチングにより腐
食され、マイクロブリッジ構造に重大な損傷が発生して
しまう。
【0010】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、その目的は、シリコン酸化膜およびシ
リコン窒化膜を腐食させることなく、シリコンをエッチ
ングすることが可能なエッチング方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、表面の少なくとも一部にシリコン酸化膜お
よびシリコン窒化膜のいずか一方または両方が形成され
たシリコンから成るエッチング対象をエッチング液を用
いてエッチングする方法において、前記エッチング液と
してアルミニウムを溶解したアンモニア水を用いること
を特徴とする。
【0012】アンモニア水中にアルミニウムを溶解させ
ると、溶解したアルミニウムは水酸基を配位子とした八
面体アルミニウム錯体の形態で水和し分散する。この系
にシリコン酸化膜が露出したエッチング対象を浸漬する
と、八面体アルミニウム錯体はシリコン酸化膜表面で凝
集しアルミノシリケートを形成するために、アンモニア
水によるシリコン酸化膜の腐食は著しく低減する。そし
て上記アルミノシリケートはシリコン窒化膜の表面でも
同様に形成され、アンモニア水によるシリコン窒化膜の
腐食は著しく低減する。
【0013】また、本発明は、前記エッチング対象の表
面にアルミニウム電極配線およびアルミニウム電極パッ
ドのいずれか一方または両方が形成され、前記エッチン
グ液としてアルミニウムと共にシリコンを溶解したアン
モニア水を用い、アルミニウムを溶解したアンモニア水
と、シリコンを溶解したアンモニア水とを混合すること
により、アルミニウムおよびシリコンが溶解した前記ア
ンモニア水を生成することを特徴とする。
【0014】アルミニウムを溶解したアンモニア水で
は、水和した八面体アルミニウム錯体がシリコン酸化膜
表面に凝集しアルミノシリケートを形成するので、自然
酸化膜が表面に形成されたシリコン多結晶を溶解させる
ことができない。逆に、シリコンを溶解したアンモニア
水では、水酸基を配位子とする四面体シリコン錯体ある
いはその重合体の水和したものがアルミニウム表面に凝
集しアルミノシリケートを形成するので、アルミニウム
固体を溶解させることができない。しかし、八面体アル
ミニウム錯体が水和したアンモニア水と四面体シリコン
錯体あるいはその重合体が水和したアンモニア水を共存
させても凝集沈殿はほとんど起こらない。したがって、
アルミニウムを溶解したアンモニア水と、シリコンを溶
解したアンモニア水とを混合することにより、アルミニ
ウムおよびシリコンが溶解したアンモニア水を容易に生
成することができる。
【0015】このようにして生成したアンモニア水で
は、アルミニウム錯体とシリコン錯体が水和状態で共存
するため、エッチングの際にアルミニウム電極パッドや
アルミニウム電極配線とシリコン酸化膜あるいはシリコ
ン窒化膜との表面に同時にアルミノシリケートが形成さ
れ、保護膜として作用する。その結果、アルミニウム電
極パッドやアルミニウム電極配線とシリコン酸化膜ある
いはシリコン窒化膜との両方をアンモニア水により腐食
されることを同時に防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を実施例
にもとづき図面を参照して説明する。まず、第1の実施
例について説明する。図2は第1の実施例でエッチング
を行う試料を示す模式斜視図である。この試料12は、
36mm角のシリコン単結晶のシリコン基板13(シリ
コン結晶<100>)から成り、表面にシリコン酸化膜
またはシリコン窒化膜による保護膜14が形成されてい
る。そして、保護膜14の一部には50μm角の窓15
が形成され、この窓15を通じてシリコン基板13の一
部が露出している。
【0017】試料12として、保護膜14の種類または
形成方法が異なる3種類のものを用いた。第1の試料で
は、減圧化学気層成長法により厚さが2000Åのシリ
コン酸化膜(減圧CVD―シリコン酸化膜)による保護
膜14がシリコン基板13の表面に形成されている。第
2の試料では、プラズマ増強化学気層成長法により同じ
く厚さが2000Åのシリコン酸化膜(プラズマCVD
―シリコン酸化膜)による保護膜14が形成されてい
る。第3の試料では、プラズマ増強化学気層成長法によ
り厚さが2000Åのシリコン窒化膜(プラズマCVD
―シリコン窒化膜)による保護膜14が形成されてい
る。一方、エッチング液とするための5.7%のアンモ
ニア水を用意し、還流管付き石英槽中で70度に加熱し
た上で、0.1〜2mgの高純度アルミニウム箔を溶解
させ、アルミニウムが溶解したアンモニア水を生成し
た。そして、上記第1ないし第3の試料を2リットルの
上記アンモニア水に3時間浸漬し、その後、試料12を
アンモニア水から引き上げ、30分間純水で流水洗浄し
た上で、最後に80℃のオーブンにて乾燥させた。この
ようなエッチング工程の後、保護膜14(シリコン酸化
膜およびシリコン窒化膜)の膜厚変化量、および窓15
の箇所におけるシリコン基板13の深さ方向のエッチン
グ量を測定し、保護膜14およびシリコン基板13のエ
ッチング速度を算出した。
【0018】図1は、測定結果をもとに算出したエッチ
ング速度を示すグラフである。図中、左側の縦軸は保護
膜14(シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜)のエッ
チング速度を表し、右側の縦軸はシリコン基板13(シ
リコン結晶<100>)のエッチング速度を表してい
る。また、横軸はアンモニア水に対するアルミニウムの
添加量を表している。そして、三角マークはシリコン基
板13のエッチング速度を示し、菱形マークは減圧CV
Dにより形成したシリコン酸化膜のエッチング速度、正
方形マークはプラズマCVDにより形成したシリコン酸
化膜のエッチング、丸マークはプラズマCVDにより形
成したシリコン窒化膜のエッチングをそれぞれ示してい
る。
【0019】図1のグラフから分かるように、シリコン
基板13のエッチング速度(三角マーク;曲線16)
は、アンモニア水にアルミニウムを添加しても変化が認
められない一方、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜
のエッチング速度(菱形マーク、正方形マーク、丸マー
ク;曲線17、曲線18、曲線19)は、アンモニア水
にアルミニウムを添加することで大きく低下している。
したがって、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜が
形成されたシリコンから成るエッチング対象に対して、
本発明のエッチング方法にもとづきアルミニウムを溶解
したアンモニア水による異方性エッチングを行うこと
で、シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜を腐食させ
ることなく、シリコンのエッチング対象のみをエッチン
グすることが可能となる。
【0020】次に、第2の実施例について説明する。こ
の第2の実施例は、マイクロブリッジ構造を受光部とす
るボロメータ型赤外線センサの製造プロセスにおいて本
発明を実施したものである。ボロメータ型赤外線センサ
は赤外線の強度を電気抵抗値に変換して検出する素子で
あり、図3はこのボロメータ型赤外線センサの原理を説
明するための平面図である。マイクロブリッジ構造1は
二本の梁2だけによってシリコン基板7に機械的に接続
しておりシリコン基板7から熱的に分離している。マイ
クロブリッジ構造1が赤外線入射光を吸収すると、マイ
クロブリッジ構造1を構成するボロメータ層3の温度が
上昇し電気抵抗が変化する。この電気抵抗の変化を配線
メタル4を通じてアルミニウム電極パッド5から検出す
る。
【0021】本実施例では、このようなボロメータ型赤
外線センサを本発明にもとづき次のように形成した。図
4の(A)および(B)はボロメータ型赤外線センサの
製作工程を示す工程図である。なお、図中、図3と同一
の要素には同一の符号が付されている。まず、図4の
(A)に示したように、シリコン基板7の上にシリコン
酸化膜9を形成し、その上に犠牲層のシリコン多結晶膜
8を配置し、さらにその上にシリコン酸化膜を介在させ
て、表面がシリコン酸化膜で覆われた酸化バナジウムに
よるボロメータ層3を配設した。ボロメータ層3の大き
さはこの例では35μm角である。また、ボロメータ層
3に近接してシリコン酸化膜上にアルミニウム電極パッ
ド5を形成し、さらにボロメータ層3とアルミニウム電
極パッド5とを接続する配線メタル(図3の配線メタル
4に相当)を形成した。なお、図4では1つの赤外線セ
ンサのみが示されているが、実際には約50.8mm角
のシリコン基板上に多数の赤外線センサをアレイ状に形
成した。
【0022】次に、図4の(B)に示したように、ボロ
メータ層3の側部において、シリコン酸化膜9の表面か
らシリコン多結晶膜8の表面に至るスルーホール6を形
成しし、アンモニア水を用いて犠牲層のエッチングを行
った。ここでエッチングに用いたアンモニア水は図5の
フローチャートに示した手順で生成した。すなわち、ま
ず、70℃に加熱した1リットルの5.7%アンモニア
水を用意して(ステップS1)2mgの高純度アルミニ
ウム箔を溶解させ第1のアンモニア水とした(ステップ
S2)。このアルミニウム箔の溶解は20分で完了し
た。また、同時に70℃に加熱した1リットルの5.7
%アンモニア水を用意して(ステップS3)520mg
のシリコン多結晶粉末を溶解させ、第2のアンモニア水
とした(ステップS4)。このシリコン多結晶粉末の溶
解は1時間で完了した。次に、第1のアンモニア水と第
2のアンモニア水とを混合し、上記犠牲層のエッチング
に用いた第3のアンモニア水とした(ステップS5)。
【0023】犠牲層エッチングは還流管付き石英槽中で
第3のアンモニア水に上記シリコン基板7を5時間浸漬
して行った。犠牲層エッチングの後、シリコン基板7を
アンモニア水から引き上げ、純水にて1時間流水洗浄を
行い、80℃のオーブン中で乾燥させた。その結果、図
4の(B)に示したように、犠牲層であるシリコン多結
晶層8は除去されてキャビティー10が形成され、そし
てキャップティ10の上部にマイクロブリッジ構造1が
形成され、図3に示したボロメータ型赤外線センサが完
成した。
【0024】第2の実施例では、エッチング液として用
いた第3のアンモニア水に、アルミニウム錯体とシリコ
ン錯体が水和状態で共存するため、エッチングの際にア
ルミニウム電極パッド5とシリコン酸化膜9との表面に
同時にアルミノシリケートが形成され、保護膜として作
用し、アルミニウム電極パッド5とシリコン酸化膜9と
がアンモニア水により腐食されることが防止される。実
際、上述のようにして製作したボロメータ型赤外線セン
サでは、シリコン酸化膜9およびアルミニウム電極パッ
ド5の腐食は共に見られず、良好なボロメータ特性が得
られた。
【0025】なお、第3のアンモニア水を調製後、室温
で1週間放置してから、図4の(A)に示した段階のシ
リコン基板7の犠牲層エッチングを行ったところ全く同
じ結果が得られ、シリコンおよびアルミニウムを溶解さ
せたアンモニア水はこの程度の期間ではエッチング液と
して劣化しないことが分かった。一方、シリコンだけを
溶解した第2のアンモニア水を2リットル用意し、図4
の(A)の段階のシリコン基板7の犠牲層エッチングを
行ったところ、アルミニウム電極パッド5の腐食は見ら
れなかったが、シリコン酸化膜9の腐食が激しく、ボロ
メータ層3が変性し、犠牲層エッチング前には10kΩ
だったボロメータ層3の電気抵抗値が2MΩ以上に増大
してしまいボロメータ特性を得ることはできなかった。
【0026】また、アルミニウムだけを溶解した第1の
アンモニア水を2リットル用意し、図4の(A)の段階
のシリコン基板7の犠牲層エッチングを行ったところ、
シリコン酸化膜9およびボロメータ層3の腐食あるいは
変性は見られなかったが、アルミニウム電極パッド5は
腐食され消滅していた。
【0027】さらに、第1のアンモニア水へアルミニウ
ム箔を5mg以上添加して第3のアンモニア水を調製し
た場合、アルミノシリケートと推測される堆積膜がキャ
ビティー10の内壁を含むシリコン酸化膜9の表面に形
成されており、赤外線吸収率が低下したり、また、マイ
クロブリッジ構造1の下面がキャップティ10の底部に
張り付くといった現象が見られ、完成したセンサは実用
に堪えるものではなかった。
【0028】そして、第2の実施例では、シリコンおよ
びアルミニウムが溶解した第3のアンモニア水を得るの
に、まず、アルミニウムおよびシリコンがそれぞれ溶解
した第1および第2のアンモニア水を生成し、その後、
第1および第2のアンモニア水を混合して第3のアルミ
ニウムを生成するので、アルミニウムおよびシリコンが
溶解したアンモニア水をきわめて容易に得ることができ
る。すなわち、アルミニウムを溶解したアンモニア水で
は、水和した八面体アルミニウム錯体がシリコン酸化膜
表面に凝集しアルミノシリケートを形成するので、自然
酸化膜が表面に形成されたシリコン多結晶を溶解させる
ことができない。逆に、シリコンを溶解したアンモニア
水では、水酸基を配位子とする四面体シリコン錯体ある
いはその重合体の水和したものがアルミニウム表面に凝
集しアルミノシリケートを形成するので、アルミニウム
固体を溶解させることができない。したがって、アルミ
ニウムが溶解しているアルミニウムにシリコンを溶解さ
せたり、あるいはシリコンが溶解しているアンモニア水
にアルミニウムを溶解させることは困難である。
【0029】しかし、八面体アルミニウム錯体が水和し
た上記第1のアンモニア水と四面体シリコン錯体あるい
はその重合体が水和した上記第2のアンモニア水を共存
させても凝集沈殿はほとんど起こらない。したがって、
アルミニウムを溶解したアンモニア水と、シリコンを溶
解したアンモニア水とを混合することにより、アルミニ
ウムおよびシリコンが溶解したアンモニア水を容易に生
成することができる。その結果、第2の実施例では、ア
ルミニウムおよびシリコンが溶解したアンモニア水によ
りエッチングを行うことにより、シリコン酸化膜9の腐
食を回避すると同時にアルミニウム電極バッド5の腐食
を回避することが可能となっている。
【0030】また、犠牲層エッチングのエッチング液と
して従来用いられてきたTMAH水溶液では、アルミニ
ウムの腐食を防ぐために添加するシリコンの必要量は、
5%のTMAHの場合、およそ25g/リットルであ
る。この量は、上記第2の実施例においてアンモニア水
に添加したシリコンの量の約10倍である。このためT
MAH水溶液の場合、シリコンの溶解に時間がかかり、
エッチング液調製に8時間程度を要していたが、上記実
施例で用いた上記第3のアンモニア水の調製は1.5時
間程度で完了することができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、表面の少
なくとも一部にシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜の
いずか一方または両方が形成されたシリコンから成るエ
ッチング対象をエッチング液を用いてエッチングする方
法において、前記エッチング液としてアルミニウムを溶
解したアンモニア水を用いることを特徴とする。
【0032】アンモニア水中にアルミニウムを溶解させ
ると、溶解したアルミニウムは水酸基を配位子とした八
面体アルミニウム錯体の形態で水和し分散する。この系
にシリコン酸化膜が露出したエッチング対象を浸漬する
と、八面体アルミニウム錯体はシリコン酸化膜表面で凝
集しアルミノシリケートを形成するために、アンモニア
水によるシリコン酸化膜の腐食は著しく低減する。そし
て上記アルミノシリケートはシリコン窒化膜の表面でも
同様に形成され、アンモニア水によるシリコン窒化膜の
腐食は著しく低減する。すなわち、本発明によりシリコ
ン酸化膜およびシリコン窒化膜を腐食させることなくシ
リコンのみをエッチングすることが可能となる。
【0033】また、本発明は、前記エッチング対象の表
面にアルミニウム電極配線およびアルミニウム電極パッ
ドのいずれか一方または両方が形成され、前記エッチン
グ液としてアルミニウムと共にシリコンを溶解したアン
モニア水を用い、アルミニウムを溶解したアンモニア水
と、シリコンを溶解したアンモニア水とを混合すること
により、アルミニウムおよびシリコンが溶解した前記ア
ンモニア水を生成することを特徴とする。
【0034】八面体アルミニウム錯体が水和したアンモ
ニア水と四面体シリコン錯体あるいはその重合体が水和
したアンモニア水を共存させても凝集沈殿はほとんど起
こらない。したがって、アルミニウムを溶解したアンモ
ニア水と、シリコンを溶解したアンモニア水とを混合す
ることにより、アルミニウムおよびシリコンが溶解した
アンモニア水を容易に生成することができる。このよう
にして生成したアンモニア水では、アルミニウム錯体と
シリコン錯体が水和状態で共存するため、エッチングの
際にアルミニウム電極パッドやアルミニウム電極配線と
シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜との表面に同時
にアルミノシリケートが形成され、保護膜として作用す
る。その結果、本発明では、アルミニウム電極パッドや
アルミニウム電極配線とシリコン酸化膜あるいはシリコ
ン窒化膜との両方をアンモニア水により腐食されること
を同時に防止して、シリコンのみをエッチングすること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例でエッチングを行った試料の測定
結果をもとに算出したエッチング速度を示すグラフであ
る。
【図2】第1の実施例でエッチングを行う試料を示す模
式斜視図である。
【図3】ボロメータ型赤外線センサの原理を説明するた
めの平面図である。
【図4】(A)および(B)はボロメータ型赤外線セン
サの製作工程を示す工程図である。
【図5】エッチング液とするアンモニア水の生成手順を
示すフローチャートである。
【符号の説明】 1……マイクロブリッジ構造、2……梁、3……ボロメ
ータ層、4……配線メタル、5……アルミニウム電極パ
ッド、6……スルーホール、7……シリコン基板、8…
…シリコン多結晶膜、9……シリコン酸化膜、10……
キャビティー、12……試料、13……シリコン基板、
14……保護膜、15……窓、16……曲線、17……
曲線、18……曲線、19……曲線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/308 C09K 13/00 C23F 1/32 H01L 21/306

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面の少なくとも一部にシリコン酸化膜
    およびシリコン窒化膜のいずか一方または両方が形成さ
    れたシリコンから成るエッチング対象をエッチング液を
    用いてエッチングする方法において、 前記エッチング対象は、半導体装置を構成するシリコン
    基板であり、 該シリコン基板の表面にはアルミニウム電極配線および
    アルミニウム電極パッドのいずれか一方または両方が形
    成され、 前記エッチング液は、アルミニウムを溶解したアンモニ
    ア水と、シリコンを溶解したアンモニア水とを混合して
    生成したアンモニア水であることを特徴とするシリコン
    のエッチング方法。
  2. 【請求項2】 前記シリコン酸化膜および前記シリコン
    窒化膜は前記アンモニア水によるエッチングのマスクを
    構成していることを特徴とする請求項1記載のシリコン
    のエッチング方法。
  3. 【請求項3】 前記半導体装置は、マイクロブリッジ構
    造を有するボロメータ型赤外線センサであり、前記シリ
    コン基板上に前記シリコン酸化膜を形成し、前記シリコ
    ン酸化膜の上に犠牲層のシリコン多結晶膜を配置し、前
    記シリコン多結晶膜の上に、シリコン酸化膜を介在させ
    て、表面が前記シリコン酸化膜で覆われたボロメータ層
    を配設し、前記シリコン基板上の前記シリコン酸化膜の
    表面から前記シリコン多結晶膜の表面に至るスルーホー
    ルを形成し、前記スルーホールを通じ前記アンモニア水
    を供給して前記シリコン多結晶膜をエッチングすること
    により、前記マイクロブリッジ構造を形成することを特
    徴とする請求項記載のシリコンのエッチング方法。
  4. 【請求項4】 前記ボロメータ層は酸化バナジウムによ
    り形成することを特徴とする請求項記載のシリコンの
    エッチング方法。
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