JP3210660U - 化学発光検出器用反応装置及びこれを備えた化学発光検出器 - Google Patents

化学発光検出器用反応装置及びこれを備えた化学発光検出器 Download PDF

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Abstract

【課題】室温低下による感度の低下を防止することができる化学発光検出器用反応装置及びこれを備えた化学発光検出器を提供する。【解決手段】反応装置21は、加熱機構29と、ジョイント部30と、温調部38とを備える。加熱機構29は、酸化剤が混合された試料ガスを加熱する。ジョイント部30には、加熱機構29側から試料ガスが流入する試料流入路301、還元剤が流入する還元剤流入路302、並びに、酸化及び還元された後の試料ガスが流出する流出路303が形成されている。温調部38は、ジョイント部30の少なくとも一部を保温又は加熱する。【選択図】 図4

Description

本考案は、反応セル内で生じた化学発光を検出部で検出する化学発光検出器に用いられ、前記反応セルに導入される前の試料ガスを酸化及び還元させる化学発光検出器用反応装置及びこれを備えた化学発光検出器に関するものである。
クロマトグラフィー分離と組み合わせて試料中のヘテロ原子である硫黄の含有量を定量するために、高い化合物選択性を実現する化学発光を応用した検出器が利用されている。例えば、硫黄化合物の化学発光を利用した硫黄検出方法は、従来から複数存在している。古くは炎光光度計(FPD:Flame Photometric Detector)、近年では、さらに高性能化した硫黄化学発光検出器(SCD:Sulfur Chemiluminescence Detector)が知られている(例えば、下記特許文献1及び2、非特許文献1参照)。
FPDを用いた分析では、水素炎中で生成される二原子の硫黄分子の励起種S の化学発光が、FPDにより検出される。そのため、二次反応を利用している欠点として、検量線は非線形になる。一方、SCDを用いた分析では、例えば含硫黄化合物の酸化及び還元により生じる硫黄化合物と、オゾンとの反応により、二酸化硫黄の励起種SO の化学発光が生じ、その化学発光がSCDにより検出される。
以下に、SCDを用いた分析の反応例を示す。
<反応装置における反応>
含硫黄化合物+O(酸化剤)→SO+CO+HO+・・・
SO+H(還元剤)→SO+H
<反応セルにおける反応>
SO+O→SO +O
SO →SO+hν
クロマトグラフィー分離後の試料ガスは、反応装置において酸化及び還元された後、反応セルへと導かれ、反応セル内で生じたSO の化学発光がSCDにより検出される。SCDは、FPDよりも感度と直線応答に優れているため、炭素と硫黄の選択性が改善される。
図1は、SCD2を用いた分析装置の構成例を示す概略図である。この分析装置には、ガスクロマトグラフ1と、当該ガスクロマトグラフ1により分離された試料成分を検出するSCD2とが備えられている。
ガスクロマトグラフ1は、カラム11、カラムオーブン12及び試料導入部13などを備えている。カラム11は、例えばキャピラリカラムからなり、分析中はカラムオーブン12内で加熱される。試料導入部13は、内部に試料気化室を備えており、この試料気化室内で気化された試料(試料ガス)がキャリアガスとともにカラム11内に導入される。試料ガス中の試料成分(化合物)は、カラム11を通過する過程で分離され、SCD2へと導かれる。
SCD2は、反応装置21、反応セル22、オゾナイザー23、フィルタ24、検出部25、ポンプ26及びスクラバ27などを備えている。反応装置21は、カラム11から導入される試料ガスを酸化及び還元させる。例えば、試料ガス中の試料成分の一例である含硫黄化合物は、酸化剤としてのOを用いて反応装置21内で酸化されることにより、SOが生成される。そして、生成されたSOは、還元剤としてのHを用いて反応装置21内で還元されることにより、SOが生成される。このようにして生成されるSOは、オゾンとの反応により化学発光が可能な硫黄化合物である。ただし、酸化剤はOに限られるものではなく、還元剤はHに限られるものではない。
反応装置21には、反応管28、加熱機構29及びジョイント部30などが備えられている。反応管28は、例えばセラミックス製のチューブであり、カラム11を通過した試料ガスは、酸化剤と混合された上で反応管28内に流入する。反応管28は、その周囲に設けられた加熱機構29により加熱される。ジョイント部30は、例えばT字状の流路が内部に形成されたTジョイントにより構成されている。ジョイント部30は、還元剤を反応管28内に流入させるとともに、反応管28を通過した試料ガスを反応装置21から流出させる。すなわち、カラム11からの試料ガスは、反応管28内において酸化及び還元された後、ジョイント部30から反応セル22へと導かれる。
反応セル22には、オゾナイザー23からオゾンが供給される。オゾナイザー23では、酸素から無声放電によりオゾンが生成される。反応装置21から反応セル22内に導かれた試料ガスは、オゾナイザー23から供給されるオゾンと反応セル22内で混合される。そして、反応セル22内での反応により、励起された二酸化硫黄が生じ、化学発光が観察される。反応セル22内で生じた化学発光は、フィルタ24を介して、例えば光増倍管からなる検出部25により検出される。これにより、二酸化硫黄の発光量に応じた検出信号が検出部25から出力され、その検出信号に基づいて試料ガス中の硫黄含有量を定量することができる。
反応装置21から反応セル22への試料ガスの導入は、反応セル22に接続されたポンプ26の作用により行われる。すなわち、ポンプ26の吸引動作により、反応装置21から反応セル22内に試料ガスが導かれ、反応セル22内においてオゾンと反応した後の試料ガスは、ポンプ26を介して排出される。反応セル22とポンプ26との間には、スクラバ27が介装されており、反応セル22からの試料ガスは、スクラバ27によりオゾンが除去された上で排出される。
米国特許第5935519号明細書 米国特許第6130095号明細書
Journal of Catalysis vol. 24 (1972) pp. 115-120
SCDは高感度の検出器ではあるが、その反面、感度の安定性及び再現性が悪い場合がある。この原因としては、反応管28の汚染、試料ガス中の不純物、配管からの不純物、又は、カラムブリードなどが考えられるが、特に室温低下時に感度が大きく低下する場合がある。室温を上昇させれば、感度を改善することが可能であるが、室温低下により一旦低下した感度は、十分に回復しない場合がある。
本考案は、上記実情に鑑みてなされたものであり、室温低下による感度の低下を防止することができる化学発光検出器用反応装置及びこれを備えた化学発光検出器を提供することを目的とする。
(1)本考案に係る化学発光検出器用反応装置は、反応セル内で生じた化学発光を検出部で検出する化学発光検出器に用いられ、前記反応セルに導入される前の試料ガスを酸化及び還元させる化学発光検出器用反応装置であって、加熱機構と、ジョイント部と、温調部とを備える。前記加熱機構は、酸化剤が混合された試料ガスを加熱する。前記ジョイント部には、前記加熱機構側から試料ガスが流入する試料流入路、還元剤が流入する還元剤流入路、並びに、酸化及び還元された後の試料ガスが流出する流出路が形成されている。前記温調部は、前記ジョイント部の少なくとも一部を保温又は加熱する。
本願考案者らは、室温低下により一旦低下した検出器の感度が十分に回復しない原因を鋭意検討した結果、温度が低下しやすい部分(コールドポイント)がジョイント部に存在し、そのコールドポイントが原因となっていることを見出した。すなわち、コールドポイントに硫黄化合物などの試料成分が直接吸着したり、炭素(すす)、金属(酸化物)粉末又はカラムブリードがコールドポイントに付着した後で、そこに試料成分が吸着したりすることが考えられる。
本考案の構成によれば、ジョイント部の少なくとも一部が温調部により保温又は加熱されるため、室温が低下した場合であっても、ジョイント部におけるコールドポイントを減少させ、コールドポイントへの試料成分の吸着を抑制できる。したがって、室温低下による感度の低下を防止することができる。
(2)前記温調部は、ヒータを有していてもよい。
このような構成によれば、ヒータを用いてジョイント部の少なくとも一部を保温又は加熱することができる。これにより、ジョイント部におけるコールドポイントを効果的に減少させることができるため、コールドポイントへの試料成分の吸着を効果的に抑制し、室温低下による感度の低下を防止することができる。
(3)前記温調部は、断熱材を有していてもよい。
このような構成によれば、断熱材を用いてジョイント部の少なくとも一部を保温することができる。この場合、温調部は、ヒータを備えていてもよいし、ヒータを備えていなくてもよい。温調部がヒータを備えていない場合であっても、加熱機構による加熱に伴いジョイント部の温度が上昇するため、温度が上昇したジョイント部の少なくとも一部を断熱材で保温することにより、ジョイント部におけるコールドポイントを効果的に減少させることができる。したがって、コールドポイントへの試料成分の吸着を効果的に抑制し、室温低下による感度の低下を防止することができる。
(4)前記化学発光検出器用反応装置は、前記ジョイント部内の気密性を向上させるグラファイト製のシール部材をさらに備えていてもよい。この場合、前記温調部は、前記ジョイント部における前記シール部材の周囲を加熱又は保温してもよい。
このような構成によれば、グラファイト製のシール部材を一定温度に加熱又は保温することができる。グラファイト製のシール部材は、ガスの透過性を有しているが、その透過性は温度に依存している。したがって、このようなシール部材を一定温度に加熱又は保温することで、ガスの透過性を一定に保つことができ、その結果、感度を安定させることができる。
(5)前記温調部は、前記ジョイント部における前記シール部材の周囲の温度を100〜250℃に加熱又は保温してもよい。
このような構成によれば、ジョイント部におけるコールドポイントをより効果的に減少させることができる。ジョイント部におけるシール部材の周囲の温度が250℃を超えると、グラファイト製のシール部材のガス透過性が急激に上昇し、外気が透過しやすくなるとともに、他の部材の耐熱温度を超えてしまうおそれがある。また、温調部がない場合であっても、シール部材の周囲の温度は、加熱機構による加熱に伴い90〜95℃になる場合があるが、この程度の温度では室温低下による感度の低下が生じる。したがって、ジョイント部におけるシール部材の周囲の温度を100〜250℃に加熱又は保温することにより、室温低下による感度の低下をより効果的に防止することができる。
(6)本考案に係る化学発光検出器は、前記化学発光検出器用反応装置と、前記流出路から流出する試料ガスが流入する反応セルと、前記反応セル内で生じた化学発光を検出する検出部とを備える。
本考案によれば、ジョイント部におけるコールドポイントを減少させ、コールドポイントに試料成分が吸着することを抑制できるため、室温低下による感度の低下を防止することができる。
SCDを用いた分析装置の構成例を示す概略図である。 本考案の一実施形態に係る反応装置の構成例を示す断面図である。 ジョイント部におけるコールドポイントについて説明するための断面図である。 ジョイント部の周囲の構成例を示す断面図である。 室温とSCDの感度との関係を示す図である。 室温とSCDの感度比との関係を示す図である。 室温を変化させた場合の時間とSCDの感度との関係を示す図である。 室温を変化させた場合の時間とSCDの感度比との関係を示す図である。 室温とジョイント部の温度との関係を示す図である。 室温とSCDの感度比との関係を示す図である。
1.反応装置の構成
図2は、本考案の一実施形態に係る反応装置21の構成例を示す断面図である。この反応装置21は、図1に例示されるような分析装置に用いられる。分析装置における反応装置21以外の構成は、上述した図1と同様の構成であるため、反応装置21以外の構成については詳細な説明を省略する。
反応装置21は、化学発光検出器の一例であるSCD2に用いられる。すなわち、反応装置21は、反応セル22内で生じた化学発光を検出部25で検出する化学発光検出器に用いられ、反応セル22に導入される前の試料ガスを酸化及び還元させる化学発光検出器用反応装置である。
反応装置21には、図1を用いて説明した反応管28、加熱機構29及びジョイント部30の他に、本体31、流入管32及び流出管33などが備えられている。反応管28、加熱機構29及びジョイント部30は、本体31に取り付けられている。
本体31は、一直線上に延びる細長い中空状の部材であり、その内部を同一軸線上に延びるように反応管28が取り付けられるとともに、反応管28の外周を取り囲むように円筒状のヒータからなる加熱機構29が取り付けられる。反応管28は、例えば長さが30〜40cm、内径が2〜4mmである。また、ジョイント部30は、本体31の一端部(上端部)において、反応管28の端部に連通するように取り付けられる。
本体31の他端部(下端部)、すなわちジョイント部30側とは反対側の端部には、カラム11に連通する導入路311が形成されている。カラム11を通過した試料ガスは、導入路311から本体31内に導入され、反応管28内に流入する。また、本体31の下端部には、導入路311の他に、酸化剤が流入する酸化剤流入路312が形成されている。これにより、導入路311から本体31内に導入される試料ガスは、酸化剤流入路312から流入する酸化剤が混合された上で、反応管28内に流入するようになっている。
加熱機構29は、反応管28を外側から加熱することにより、反応管28内に流入する酸化剤が混合された試料ガスを加熱する。加熱機構29の温度は、例えば800〜1000℃である。反応管28内には、流入管32から還元剤が流入するようになっており、反応管28内で試料ガス、酸化剤及び還元剤が混合された状態で反応することにより、試料ガスが酸化及び還元される。
反応管28及び流入管32は、それぞれアルミナの焼結体により形成されている。焼結体におけるアルミナの結晶間には、焼結体の緻密性を向上するためにアルカリ金属又はアルカリ土類金属などからなる添加剤が添加されている。反応管28及び流入管32は、いずれも一直線上に延びる細長いチューブであるが、流入管32の方が反応管28よりも小径である。流入管32は、一方の端部(下端部)が反応管28内の途中まで到達するように、その一部が反応管28内に挿入されている。これにより、流入管32がインナーチューブ、反応管28がアウタチューブを構成しており、流入管32の外周面と反応管28の内周面との間には空間が形成されている。
ジョイント部30は、例えばステンレス鋼などの金属により形成された円筒状の部材であり、内部にガスの流路が形成されている。具体的には、試料流入路301、還元剤流入路302及び流出路303などがジョイント部30内に形成されている。試料流入路301は、ジョイント部30の一端部(下端部)から軸線に沿って延びている。還元剤流入路302は、ジョイント部30の他端部(上端部)から軸線に沿って延びており、ジョイント部30の中央部において試料流入路301に連通している。流出路303は、ジョイント部30の外周面から軸線に対して直交方向に延びており、ジョイント部30の中央部において試料流入路301及び還元剤流入路302に連通している。
このように、ジョイント部30内には、試料流入路301、還元剤流入路302及び流出路303により構成されるT字状の流路が形成されている。ただし、試料流入路301、還元剤流入路302及び流出路303がジョイント部30内で連通するような構成であれば、例えば試料流入路301と還元剤流入路302が互いに直交方向に延びるような流路であってもよいし、T字状に限らず、Y字状などの他の形状の流路がジョイント部30内に形成されていてもよい。
試料流入路301には、反応管28におけるカラム11側とは反対側の端部(上端部)が挿入されている。これにより、試料流入路301には、加熱機構29側から試料ガスが流入するようになっている。還元剤流入路302には、その入口に導入部材34が取り付けられており、当該導入部材34を介して還元剤流入路302内に還元剤が流入する。還元剤流入路302には、上述の流入管32の一端部(上端部)が挿入されているが、流入管32はジョイント部30よりも長いため、流入管32の他端部(下端部)は、試料流入路301を通って、ジョイント部30の外側において反応管28内に挿入されている。具体的には、流入管32の他端部(下端部)は、反応管28における加熱機構29に取り囲まれた部分にまで挿入されている。
したがって、還元剤流入路302に流入する還元剤は、流入管32を通って反応管28内に供給され、反応管28内において試料ガス及び酸化剤と混合される。反応管28内では、試料ガス、酸化剤及び還元剤が混合された状態で反応することにより、試料ガスが酸化及び還元され、酸化及び還元された後の試料ガスが、流入管32の外周面と反応管28の内周面との間の空間を通って試料流入路301に流入する。
試料流入路301は、流入管32の外周に沿って流出路303まで延びている。流出路303には、一端部が反応セル22に連通する流出管33の他端部が取り付けられている。これにより、試料流入路301内に流入する酸化及び還元された後の試料ガスは、流出路303を通って流出管33から流出する。
ジョイント部30における試料流入路301の入口、及び、還元剤流入路302の入口には、それぞれグラファイト製のシール部材35,36が設けられている。これらのシール部材35,36は、いわゆるフェルールであり、外周面に円錐台状のテーパ面を有する環状の部材により構成されている。
シール部材35は、試料流入路301の入口と反応管28の一端部(下端部)との隙間を閉塞している。一方、シール部材36は、還元剤流入路302の入口と流入管32の一端部(上端部)との隙間を閉塞している。これらのシール部材36により、ジョイント部30内の気密性が向上し、ジョイント部30内のガスが外部に漏れたり、外部の空気がジョイント部30内に流入したりすることを抑制できる。反応管28の他端部(下端部)には、一端部(上端部)と同じくシール部材37が設けられている。このシール部材37は、本体31と反応管28の他端部(下端部)との隙間を閉塞している。
2.コールドポイントの位置
図3は、ジョイント部30におけるコールドポイントについて説明するための断面図である。本体31に取り付けられた加熱機構29の影響により、ジョイント部30は、常温ではなく、例えば70〜80℃程度となる。しかし、ジョイント部30には、室温が低下した場合に温度が低下しやすい部分(コールドポイント)が存在している。
具体的には、図3に破線で示すように、流出管33の内面や、流出管33と流出路303との溶接部分304の近傍がコールドポイントとなりやすい他、試料流入路301、還元剤流入路302及び流出路303の合流部の凹凸部分などもコールドポイントとなりやすい。そして、そのコールドポイントに硫黄化合物などの試料成分が直接吸着したり、炭素(すす)、金属(酸化物)粉末又はカラムブリードがコールドポイントに付着した後で、そこに試料成分が吸着したりする場合がある。
また、試料流入路301、還元剤流入路302及び流出路303には不活性化処理が施されているが、不活性化処理が不十分な部分や、被覆が剥がれて下地が露出している部分などにも試料成分が付着する場合がある。さらに、流出管33よりも下流側に連通するPTFE製の配管(図示せず)や反応セル22の内面などにも試料成分が付着する場合がある。
3.温調部の構成
図4は、ジョイント部30の周囲の構成例を示す断面図である。図2では図示していないが、ジョイント部30の周囲には、図4に二点鎖線で示すような温調部38が設けられている。この温調部38は、ジョイント部30を加熱することにより、コールドポイントへの試料成分の吸着を抑制するためのものである。
温調部38は、ヒータ381及び断熱材382を備えている。ヒータ381は、例えばリボンヒータにより構成されており、ジョイント部30の周囲に巻き付けられている。断熱材382は、例えばシリカウールにより構成されており、ヒータ381の外側に設けられることにより、ジョイント部30全体を覆っている。
ジョイント部30には、例えば熱電対からなる温度センサ383が取り付けられている。ヒータ381は、この温度センサ383の外側を覆うようにしてジョイント部30に巻き付けられている。ヒータ381及び温度センサ383は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む制御部40に対して電気的に接続されている。制御部40は、温度センサ383からの入力信号に基づいてヒータ381への通電量を制御することにより、ジョイント部30を一定温度に加熱することができる。
このように、本実施形態では、ジョイント部30が温調部38により加熱されるため、室温が低下した場合であっても、ジョイント部30におけるコールドポイントを減少させ、コールドポイントへの試料成分の吸着を抑制できる。したがって、室温低下による感度の低下を防止することができる。
特に、ヒータ381を用いてジョイント部30を加熱することができるとともに、断熱材382を用いてジョイント部30を保温することができる。これにより、ジョイント部30におけるコールドポイントを効果的に減少させ、コールドポイントへの試料成分の吸着を効果的に抑制することができるため、室温低下による感度の低下を防止することができる。
また、本実施形態では、図4に示すように、温調部38がジョイント部30におけるシール部材35,36の周囲を加熱している。これにより、グラファイト製のシール部材35,36を一定温度に加熱することができる。グラファイト製のシール部材35,36は、ガスの透過性を有しているが、その透過性は温度に依存している。したがって、このようなシール部材35,36を一定温度に加熱することで、ガスの透過性を一定に保つことができ、その結果、感度を安定させることができる。
ただし、温調部38は、ジョイント部30を加熱するような構成に限らず、ジョイント部30を保温するような構成であってもよい。この場合、温調部38は、ヒータ381を備えておらず、断熱材382のみを備えた構成であってもよい。温調部38がヒータ381を備えていない場合であっても、本体31に設けられた加熱機構29による加熱に伴いジョイント部30の温度が上昇するため、温度が上昇したジョイント部30を断熱材382で保温することにより、ジョイント部30におけるコールドポイントを効果的に減少させることができる。
また、温調部38は、ジョイント部30の全体を加熱又は保温するような構成に限らず、ジョイント部30の一部分のみを加熱又は保温するような構成であってもよい。この場合、例えば図3に破線で示すようなコールドポイントの周囲を加熱又は保温するような構成であることが好ましい。
4.実施例1
図5Aは、室温とSCD2の感度との関係を示す図である。また、図5Bは、室温とSCD2の感度比との関係を示す図である。図5A及び図5Bでは、ジョイント部30の温度Tが温調部38により155℃に加熱された場合と、温調部38がなく、本体31に取り付けられた加熱機構29の影響によりジョイント部30の温度Tが70〜80℃となった場合とが示されている。なお、感度は、クロマトグラムのピーク面積を試料中の硫黄重量で除算することにより求めた。また、感度比とは、SCD2の感度の最大値に対する各感度の比を意味している。
図5A及び図5Bの結果を得たときの分析条件は、以下の通りである。
検出器:ANTEK社製化学発光検出器
酸化剤(酸素)流量:10mL/min
還元剤(水素)流量:80mL/min
反応管設定温度:800℃
試料:1ppmドデカンチオール
試料量:1μL
スプリット比:1:5
図5Aに示すように、ジョイント部30の温度Tが70〜80℃のときには、室温が25℃以下に低下すると、SCD2の感度が急激に低下する。また、室温が15℃付近のときの感度は、室温が25℃付近のときの感度の約30%まで低下している。
これに対して、ジョイント部30の温度Tが155℃のときには、室温が25℃以下に低下した場合であっても、23℃付近まではSCD2の感度が低下しなかった。また、室温が15℃付近のときの感度は、室温が25℃付近のときの感度の約50%に留まっている。
図5Bに示すように、室温が20〜25℃の範囲を見ると、ジョイント部30の温度Tが70〜80℃のときには、室温が25℃から20℃まで低下する間に、SCD2の感度が約40%に低下している。これに対して、ジョイント部30の温度Tが155℃のときには、室温が25℃から20℃まで低下しても、SCD2の感度は約80%にまでしか低下していない。
このように、温調部38を用いてジョイント部30を加熱すれば、室温低下時のSCD2の感度の低下を効果的に抑制できることが分かる。
5.実施例2
図6Aは、室温を変化させた場合の時間とSCD2の感度との関係を示す図である。また、図6Bは、室温を変化させた場合の時間とSCD2の感度比との関係を示す図である。図6Aでは、横軸が時間、縦軸が室温及び感度の二軸で示されている。
この例では、室温を約25℃から約15℃まで10℃前後低下させた後、10〜15時間後に再び室温を約25℃に戻した場合を示している。図6A及び図6Bでは、ジョイント部30の温度Tが温調部38により155℃に加熱された場合と、温調部38がなく、本体31に取り付けられた加熱機構29の影響によりジョイント部30の温度Tが70〜80℃となった場合とが示されている。なお、図6A及び図6Bの結果を得たときの分析条件は、実施例1と同様である。
図6A及び図6Bに示すように、ジョイント部30の温度Tが70〜80℃のとき(温調部なしのとき)には、室温が約25℃から約15℃まで低下すると、SCD2の感度が約40%まで低下している。これに対して、ジョイント部30の温度Tが155℃のとき(温調部ありのとき)には、室温が約25℃から約15℃まで低下した場合であっても、SCD2の感度は約60%までしか低下しなかった。
また、ジョイント部30の温度Tが70〜80℃のとき(温調部なしのとき)には、室温が約15℃から約25℃まで再度上昇した場合に、SCD2の感度が約80%までしか回復していない。これに対して、ジョイント部30の温度Tが155℃のとき(温調部ありのとき)には、室温が約15℃から約25℃まで再度上昇した場合に、SCD2の感度が100%回復している。
このように、温調部38を用いてジョイント部30を加熱すれば、室温低下時のSCD2の感度の低下を効果的に抑制することができるとともに、室温低下により一旦低下した感度を十分に回復できることが分かる。
6.実施例3
図7Aは、室温とジョイント部30の温度との関係を示す図である。また、図7Bは、室温とSCD2の感度比との関係を示す図である。図7A及び図7Bでは、温調部38がない場合と、断熱材382のみを設けて保温した場合とが示されている。なお、図7A及び図7Bの結果を得たときの分析条件は、実施例1と同様である。
図7Aに示すように、温調部38がない場合、室温が20〜25℃のときに、ジョイント部30の温度は90〜95℃であった。これに対して、断熱材382のみを設けて保温した場合には、室温が20〜25℃のときに、ジョイント部30の温度が約190℃まで上昇した。なお、実施例1及び2は恒温室で行った実験であり、ジョイント部30に対して風が強く当たっていたが、本実施例は通常の実験室で行った実験であるため、ジョイント部30の温度が実施例1及び2よりも高くなっている。
図7Bに示すように、室温が20〜25℃の範囲を見ると、温調部38がないときには、室温が25℃から20℃まで低下する間に、SCD2の感度が約40%に低下している。これに対して、断熱材382のみを設けて保温した場合には、室温が25℃から20℃まで低下しても、SCD2の感度は約70%にまでしか低下していない。
このように、ジョイント部30にヒータ381を設けず、断熱材382を設けただけであっても、ジョイント部30の温度を十分に上昇させることができ、室温低下時のSCD2の感度の低下を効果的に抑制できることが分かる。
温調部38は、ヒータ381を備えているか否かに関わらず、ジョイント部30におけるシール部材35,36の周囲の温度を100〜250℃、より好ましくは150〜240℃、さらに好ましくは155〜190℃に加熱又は保温することが好ましい。これにより、ジョイント部30におけるコールドポイントをより効果的に減少させることができる。
ジョイント部30におけるシール部材35,36の周囲の温度が250℃を超えると、グラファイト製のシール部材35,36のガス透過性が急激に上昇し、外気が透過しやすくなるとともに、他の部材の耐熱温度を超えてしまうおそれがある。また、温調部38がない場合であっても、シール部材35,36の周囲の温度は、加熱機構29による加熱に伴い90〜95℃になる場合があるが(図7A参照)、この程度の温度では室温低下による感度の低下が生じる。したがって、ジョイント部30におけるシール部材35,36の周囲の温度を100〜250℃に加熱又は保温することにより、室温低下による感度の低下をより効果的に防止することができる。
1 ガスクロマトグラフ
2 SCD
11 カラム
12 カラムオーブン
13 試料導入部
21 反応装置
22 反応セル
23 オゾナイザー
24 フィルタ
25 検出部
26 ポンプ
27 スクラバ
28 反応管
29 加熱機構
30 ジョイント部
31 本体
32 流入管
33 流出管
34 導入部材
35〜37 シール部材
38 温調部
40 制御部
301 試料流入路
302 還元剤流入路
303 流出路
304 溶接部分
311 導入路
312 酸化剤流入路
381 ヒータ
382 断熱材
383 温度センサ

Claims (6)

  1. 反応セル内で生じた化学発光を検出部で検出する化学発光検出器に用いられ、前記反応セルに導入される前の試料ガスを酸化及び還元させる化学発光検出器用反応装置であって、
    酸化剤が混合された試料ガスを加熱する加熱機構と、
    前記加熱機構側から試料ガスが流入する試料流入路、還元剤が流入する還元剤流入路、並びに、酸化及び還元された後の試料ガスが流出する流出路が形成されたジョイント部と、
    前記ジョイント部の少なくとも一部を保温又は加熱する温調部とを備えることを特徴とする化学発光検出器用反応装置。
  2. 前記温調部は、ヒータを有することを特徴とする請求項1に記載の化学発光検出器用反応装置。
  3. 前記温調部は、断熱材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の化学発光検出器用反応装置。
  4. 前記ジョイント部内の気密性を向上させるグラファイト製のシール部材をさらに備え、
    前記温調部は、前記ジョイント部における前記シール部材の周囲を加熱又は保温することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化学発光検出器用反応装置。
  5. 前記温調部は、前記ジョイント部における前記シール部材の周囲の温度を100〜250℃に加熱又は保温することを特徴とする請求項4に記載の化学発光検出器用反応装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の化学発光検出器用反応装置と、
    前記流出路から流出する試料ガスが流入する反応セルと、
    前記反応セル内で生じた化学発光を検出する検出部とを備えることを特徴とする化学発光検出器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113167734A (zh) * 2018-12-12 2021-07-23 株式会社岛津制作所 成分分析系统和成分检测装置
US11506643B2 (en) * 2020-05-22 2022-11-22 Rosemount Inc. Flame photometric detector

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