JP3205212U - 棺 - Google Patents
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Abstract
【課題】遺体からの臭いを抑え、CO2およびダイオキシン類の排出量を削減できる棺を提供する。【解決手段】生物の遺体を収容するための棺1であって、棺の内面に、微粒子を吸着する多孔質性材料と不織布を備えた吸着シート10が貼り付けられている。【選択図】図1
Description
本考案は、人間の遺体を収容する棺に関する。
現在、環境保全への意識が高まりつつある社会にあって、環境に配慮した棺が多く提案されている。例えば、特許文献1には、開口を有する棺本体と上記開口を塞ぐ蓋とよりなる段ボール製棺が開示されている。特許文献1に記載されている段ボール製棺は、木製の棺よりも燃えやすく環境に良いとされている。
しかしながら、上述のような従来技術は以下のような問題がある。すなわち、特許文献1に記載されている棺においては遺体から放出される臭いに対する対策がされていないため、葬儀を行う際、遺体の腐敗の進行を遅らせ遺体から放出される臭いを抑えるために、棺には遺体と共に多量のドライアイスや、塩素系、アルコ−ル等を材料とした消臭剤、脱臭剤が収納される。ドライアイスはCO2排出の源となり、棺に収納されている消臭剤、脱臭剤、衣装、遺留品等および棺に使用されている接着剤等はダイオキシン類排出の源になる。
そのため、特許文献1に記載されている棺については、棺自体は燃えやすいものの、CO2およびダイオキシン類の排出量の削減については充分であるとは言えないという問題がある。
現在、葬儀においては、CO2排出量および遺体の火葬時におけるダイオキシン類の排出量の多さが問題となっている。高齢者社会を迎えた現在、2040年ごろまでには葬儀の数が1.3〜1.5倍ほどになるといわれており、葬儀におけるCO2およびダイオキシン類の排出量の削減は、次世代に影響を与えないようにする為に喫緊の課題であるが、その対応をした棺はないに等しい。
本考案は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、遺体からの臭いを抑えることでCO2およびダイオキシン類の排出量を削減できる棺を実現することにある。
上記の課題を解決するために、本考案に係る棺は、生物の遺体を収容するための棺であって、前記棺の内面に、微粒子を吸着する多孔質性材料が貼り付けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、棺の内面には微粒子を吸着する多孔質性材料が貼り付けられている。そのため、遺体から放出される臭いの微粒子が多孔質性材料に吸着されるので、遺体からの臭いを軽減することができる。その結果、遺体と共に棺に収容されるドライアイスの量を減らすことができるので、CO2排出量を削減することができる。
また、遺体と共に棺に収容されるドライアイスの量を減らすことができるので、ドライアイスによる遺体の凍結を抑えることができるため、遺体の完全燃焼までの時間を短縮することができ、ダイオキシン類の排出量を削減することができる。また、遺体と共に棺に収容される消臭剤、脱臭剤の量も減らすことができるので、さらにダイオキシン類の排出量を削減することができる。
上記の課題を解決するために、本考案に係る棺は、前記多孔質性材料は、内部に多孔質構造(蜂の巣構造)が形成された炭素セラミックスであることが好ましい。
上記構成によれば、内部に多孔質構造(蜂の巣構造)に形成された炭素セラミックスが用いられているため、より多くの臭いの微粒子を炭素セラミックスに吸着させることができる。その結果、遺体と共に棺に収容されるドライアイスの量をさらに減らすことができるので、より多くのCO2排出量を削減することができる。
また、炭素セラミックスは、ダイオキシン類の発生の元となるVOCガス等の化学物質を吸着することができる。その結果、ダイオキシン類の排出量を削減することができる。
上記の課題を解決するために、本考案に係る棺は、高温加熱状態において前記微粒子に対して高い吸着率を有していることが好ましい。
上記構成によれば、炭素セラミックスは高温加熱状態(遺体燃焼時の温度状態)において前記微粒子に対して高い吸着率を有しているので、炭素セラミックスが燃焼しても炭素セラミックスに吸着した微粒子が放出されない。そのため、遺体と共に炭素セラミックスを棺に入れることで、ダイオキシン類の元となる化学物質を炭素セラミックスに吸着させつつ、遺体を火葬することができる。
上記の課題を解決するために、本考案に係る棺は、前記多孔質性材料が、前記棺に収容された前記遺体の胴体が載置される側面に貼り付けられていることが好ましい。
上記構成によれば、棺の内面において遺体の胴体が載置される側面に多孔質性材料が貼り付けられている。これにより、臭いが多く発生する内臓の近くに多孔質性材料を配置することができるので、効率的に臭いを軽減することができる。
本考案は、遺体からの臭いを抑えることでCO2およびダイオキシン類の排出量を削減できる効果を奏する。
以下、本考案に係る棺の一実施形態について、図1および図2に基づいて、詳細に説明する。図1の(a)は本考案の実施形態に係る棺1の斜視図であり、図1の(b)は上記棺1の平面図である。図2の(a)は本考案の実施形態に係る棺1の吸着シート10であり、図2の(b)は吸着シート10に収納された多孔質性材料11の拡大図(約100倍)であり、図2の(c)は図2の(b)をさらに拡大したもの(約1000倍)である。
(棺の概略構成)
棺1は、生物の遺体を収容するための棺であって、棺1の内面に、微粒子を吸着する多孔質性材料11が貼り付けられている。
棺1は、生物の遺体を収容するための棺であって、棺1の内面に、微粒子を吸着する多孔質性材料11が貼り付けられている。
具体的には、図1の(a)および図1の(b)に示されるように、棺1は、前側板2、後側板3、左側板4、右側板5、底板6、および、吸着シート10が備えられている。
棺1は、前側板2、後側板3、左側板4、右側板5、および底板6により縦長の箱状に組み立てられて上面が開放されている。また、図示にはないが、棺1は上記開放された上面を閉鎖する長方形の、拝み窓が開閉可能に設けられている蓋体を備えていてもよい。棺1の材料は特に指定されないが、例えば、天然木材、化粧合板、または段ボール等を用いることができる。
棺1は、遺体を納め、安置できるサイズとなっている。前側板2、後側板3、左側板4、および右側板5の外側面には、周囲を囲むように装飾具20が備えられている。装飾具20は、布等の柔らかく薄い素材で筒状に構成してなり、ギャザー若しくはプリーツが施してある。装飾具20の棺1の深さ方向の長さは、棺1の深さ寸法と略同じ寸法である。装飾具20の上端は、前側板2、後側板3、左側板4、および右側板5の各板の上端を通り、各板の内側面で固定されている。
また、前側板2、後側板3、左側板4、右側板5、および底板6の内面には、ビニルシート7が貼り付けられている。ビニルシート7は、ドライアイスによる結露、および遺体からでる水分から棺1を保護する。
吸着シート10は、左側板4の内側面4a、および右側板5の内側面5aにビニルシート7を介して、2つずつ貼り付けられている。言い換えると、吸着シート10は、棺1に収容された遺体の胴体が載置される側面に貼り付けられている。吸着シート10は、図2の(a)に示すように、多孔質性材料11と不織布12とを備えている。具体的には、2枚に重ねられ周囲が固着された不織布12の内部に多孔質性材料11が収納されている。不織布12は、吸着シート10において多孔質性材料11が偏らないように、周囲以外においても格子状に固着されている。これにより、不織布12が複数個の袋を有するように区切られ、多孔質性材料11が吸着シート10全体に配置されている。多孔質性材料11について詳しく以下に説明する。
(多孔質性材料)
多孔質性材料11は、微粒子を吸着させる特質性がある。具体的には、多孔質性材料11は、内部に無数の孔を有しており、遺体から放出される臭いや棺1に使用される塗料、接着剤、合板等の臭いの原因となる微粒子を吸着することができる。そのため、CO2発生源の原因とされる遺体の腐敗防止として使用されるドライアイスを削減することができるので、CO2排出量を削減できる。多孔質性材料11は、例えば、活性炭、炭素セラミックス、ゼオライト、シリカゲル等である。
多孔質性材料11は、微粒子を吸着させる特質性がある。具体的には、多孔質性材料11は、内部に無数の孔を有しており、遺体から放出される臭いや棺1に使用される塗料、接着剤、合板等の臭いの原因となる微粒子を吸着することができる。そのため、CO2発生源の原因とされる遺体の腐敗防止として使用されるドライアイスを削減することができるので、CO2排出量を削減できる。多孔質性材料11は、例えば、活性炭、炭素セラミックス、ゼオライト、シリカゲル等である。
また、多孔質性材料11は、内部に多孔質構造(蜂の巣構造)が形成された炭素セラミックスであることが好ましい。内部に多孔質構造(蜂の巣構造)が形成された炭素セラミックスを以下ではHB(Honey Box)炭素セラミックスと称する。
一般的なセラミックスとは異なり、HB炭素セラミックスは、800〜1200℃の真空炭化炉を用い、土壌成分、岩石等に含まれる有効成分である繊維質や有機物を取り出し、特殊な技術方法でそれらを焼成し炭素化することで無数の気泡や孔を持つ構造に作り上げたものである。言い換えると、HB炭素セラミックスは、岩石を粉砕し土壌成分を主原料として炭素化したものである。HB炭素セラミックスは、断面が図2の(b)および図2の(c)に示すような蜂の巣状となるような構造を有している。
HB炭素セラミックスは木炭、活性炭、ゼオライト、シリカゲル等の数倍の気泡や孔を有する。HB炭素セラミックスは高温(1000℃)処理しても固化しないため、無数の気泡や孔を持ったHB炭素セラミックスの製造が可能となる。HB炭素セラミックスは、高温処理されているため人畜無害であり、安全である。
HB炭素セラミックスは、蜂の巣状の壁の中に電子顕微鏡でも確認できないほどの無数の小さな孔を有している。上記孔は縦横につながっており、この孔に臭いの原因となる微粒子や、ダイオキシン類の発生源となるVOC(揮発性有機化合物)ガス等の化学物質が吸着される。HB炭素セラミックスの脱臭、消臭および化学物質の吸着について、詳しくは後述する実施例で説明する。
また、HB炭素セラミックスは後述するように高い脱臭効果があるため、多孔質性材料11にHB炭素セラミックスを用いた場合、葬儀に用いるドライアイスの量は、通常のドライアイスの半分の量ですむ。現在、1回の葬儀において平均約10〜20kgのドライアイスが使用されている。ドライアイス10kgでのCO2排出量は約4.9kgであり、1回の葬儀に使用するドライアイスの量を約10kg削減したとすると、年間100万件の葬儀を行った場合、約500万kg以上のCO2を削減できることになる。
(ダイオキシンの発生について)
ダイオキシン類は様々な物質が燃焼する際に発生し、350〜650℃で燃焼する時に特に多く発生する。葬儀の際、遺体と共に棺に多くのドライアイスを入れると、ドライアイスで遺体が凍結する場合がある。遺体がドライアイスで凍結していると、完全燃焼するまでに遺体が350〜650℃で燃焼される時間が長くなり、多くのダイオキシンが発生する原因の一つとなっている。
ダイオキシン類は様々な物質が燃焼する際に発生し、350〜650℃で燃焼する時に特に多く発生する。葬儀の際、遺体と共に棺に多くのドライアイスを入れると、ドライアイスで遺体が凍結する場合がある。遺体がドライアイスで凍結していると、完全燃焼するまでに遺体が350〜650℃で燃焼される時間が長くなり、多くのダイオキシンが発生する原因の一つとなっている。
棺1を用いて葬儀を行うことで遺体からの臭いを軽減できるので、遺体と共に棺1に収容されるドライアイスの量を減らすことができる。ドライアイスの量を減らすことができると、ドライアイスによる遺体の凍結を抑えることができるため、完全燃焼するまでに遺体が350〜650℃で燃焼される時間を短縮することができ、ダイオキシン類の排出量を軽減することができる。
さらに、多孔質性材料11にHB炭素セラミックスを用いた場合は、HB炭素セラミックスがダイオキシン類の元となる化学物質(例えば、VOCガス)を吸着するため、さらに、ダイオキシン類の排出量を削減することができる。また、棺1の使用される塗料、接着剤、衣装等からのダイオキシンの排出を削減することができる。
さらに、HB炭素セラミックスは、加熱しても吸着した微粒子(化学物質を含む)を放出しない。言い換えると、HB炭素セラミックスは高温加熱状態(遺体燃焼時の温度状態)において微粒子に対して高い吸着率を有する。したがって、棺1を火葬に用いる場合は、多孔質性材料11としてHB炭素セラミックスを用いることが好ましい。また、HB炭素セラミックスの高い吸着性は5〜10年後であっても同じ効果を奏する。HB炭素セラミックスが、高温加熱状態において微粒子に対して高い吸着率を有することについて、詳しくは後述する実施例2で説明する。
本考案の実施例1について図3および図4に基づいて説明すれば以下のとおりである。本実施例では、炭素セラミックスの脱臭効果の有無を検証した。具体的には、HB炭素セラミックスについてトリメチルアミンおよびメチルメルカプタンの脱臭効果をガス検知管法により試験した。
〔脱臭試験方法〕
(1)試薬および器具として、におい袋(アラム株式会社製)は大きさ35cm×50cmのものを用いた。また、トリメチルアミンは、トリメチルアミン水溶液(28%)(東京化成工業株式会社製)から発生させたガスを用いた。メチルメルカプタンは、メチルメルカプタンナトリウム溶液(15%)(小宗化学薬品株式会社製)に希硫酸を加えて発生させたガスを用いた。ガス検知管は株式会社ガステック製のものを用いた。
(2)検体(炭素セラミックス)をにおい袋に入れ、ヒートシールを施した後、空気9Lを封入し、設定したガス濃度となるように試験対象ガスを添加した。これを静置し、経過時間ごとに袋内のガス濃度をガス検知管を用いて測定した。また、検体を入れずに同様な操作をしたものを空試験とした。
(3)試験条件は、検体使用量を4g、試験対象ガスの初期ガス濃度をトリメチルアミン、メチルメルカプタン共に約70ppm、温度を室温とし、10、30、60、120および180分経過ごとにガス濃度を測定した。また、測定値が定量下限未満となった時点で試験を終了するものとした。
(1)試薬および器具として、におい袋(アラム株式会社製)は大きさ35cm×50cmのものを用いた。また、トリメチルアミンは、トリメチルアミン水溶液(28%)(東京化成工業株式会社製)から発生させたガスを用いた。メチルメルカプタンは、メチルメルカプタンナトリウム溶液(15%)(小宗化学薬品株式会社製)に希硫酸を加えて発生させたガスを用いた。ガス検知管は株式会社ガステック製のものを用いた。
(2)検体(炭素セラミックス)をにおい袋に入れ、ヒートシールを施した後、空気9Lを封入し、設定したガス濃度となるように試験対象ガスを添加した。これを静置し、経過時間ごとに袋内のガス濃度をガス検知管を用いて測定した。また、検体を入れずに同様な操作をしたものを空試験とした。
(3)試験条件は、検体使用量を4g、試験対象ガスの初期ガス濃度をトリメチルアミン、メチルメルカプタン共に約70ppm、温度を室温とし、10、30、60、120および180分経過ごとにガス濃度を測定した。また、測定値が定量下限未満となった時点で試験を終了するものとした。
〔脱臭試験結果〕
試験結果を、図3および図4に基づき説明する。図3の(a)は本考案の実施例1の脱臭効果試験のトリメチルアミンに関する試験結果を示す表であり、図3の(b)は上記試験結果を示すグラフである。図4の(a)は本考案の実施例1の脱臭効果試験のメチルメルカプタンに関する試験結果を示す表であり、図4の(b)は上記試験結果を示すグラフである。図3の(b)および図4の(b)の縦軸はガス濃度(ppm)を示し、横軸は経過時間(min)を表している。
試験結果を、図3および図4に基づき説明する。図3の(a)は本考案の実施例1の脱臭効果試験のトリメチルアミンに関する試験結果を示す表であり、図3の(b)は上記試験結果を示すグラフである。図4の(a)は本考案の実施例1の脱臭効果試験のメチルメルカプタンに関する試験結果を示す表であり、図4の(b)は上記試験結果を示すグラフである。図3の(b)および図4の(b)の縦軸はガス濃度(ppm)を示し、横軸は経過時間(min)を表している。
トリメチルアミンの試験結果は、図3の(a)および図3の(b)に示すように、空試験では10、30、60、120および180分の全ての経過時間においてガス濃度が約70ppmだったのに対し、HB炭素セラミックスを用いた試験では、それぞれ、38ppm、14ppm、7ppm、3ppm、および2ppmであった。
また、メチルメルカプタンの試験結果は、図4の(a)および図4の(b)に示すように、空試験では10、30、および60分の全ての経過時間において、ガス濃度が約70ppmだったのに対し、HB炭素セラミックスを用いた試験では、それぞれ、28ppm、6ppm、および1ppm未満であった。
このように、本実施例において、HB炭素セラミックスを用いることでトリメチルアミン、およびメチルメルカプタンが激減する試験結果となり、脱臭効果が認められた。
本考案の実施例2について図5〜図8に基づいて説明すれば以下のとおりである。本実施例では、トルエン、およびp−ジクロロベンゼンを吸着させたHB炭素セラミックスを350℃で加熱したときに発生する、トルエン、p−ジクロロベンゼン、および塩素の定量を行った。
〔燃焼ガス試験方法〕
(1)試料の前処理として、10Lテドラーバック中に、トルエン14mg、p−ジクロロベンゼン18mg、HB炭素セラミックス1gを入れた。
(2)24時間経過後の試料0.2gを取り出し、350℃で10分間加熱し、発生したガスをテドラーバックに捕集した。このときの加熱条件は、350℃の空気を毎分0.5Lずつ10分間試料に当てることとした。その後、このガスをガスタイトシリンジにてGC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)に導入して、ガス中のトルエンおよびp−ジクロロベンゼン量を求めた。測定装置および測定カラムは、ガスクロマトグラフ−質量分析計(アジレント社製、6890/5973)およびHP−5MSの30m×0.25mm、0.25μmのものを使用した。測定コラムへのガスの注入量は1mLとした。
(3)また、24時間経過後の試料0.2gを取り出し、350℃で10分間加熱し、発生したガス中の塩素を水で捕集し、イオンクロマト法にて塩素イオン量を求めた。測定装置として、AQF−100、ICS−1500を使用した。
(1)試料の前処理として、10Lテドラーバック中に、トルエン14mg、p−ジクロロベンゼン18mg、HB炭素セラミックス1gを入れた。
(2)24時間経過後の試料0.2gを取り出し、350℃で10分間加熱し、発生したガスをテドラーバックに捕集した。このときの加熱条件は、350℃の空気を毎分0.5Lずつ10分間試料に当てることとした。その後、このガスをガスタイトシリンジにてGC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)に導入して、ガス中のトルエンおよびp−ジクロロベンゼン量を求めた。測定装置および測定カラムは、ガスクロマトグラフ−質量分析計(アジレント社製、6890/5973)およびHP−5MSの30m×0.25mm、0.25μmのものを使用した。測定コラムへのガスの注入量は1mLとした。
(3)また、24時間経過後の試料0.2gを取り出し、350℃で10分間加熱し、発生したガス中の塩素を水で捕集し、イオンクロマト法にて塩素イオン量を求めた。測定装置として、AQF−100、ICS−1500を使用した。
(HB炭素セラミックスへのトルエンおよびp−ジクロロベンゼンの吸着)
HB炭素セラミックスへのトルエンおよびp−ジクロロベンゼンの吸着について図5および図6に基づいて説明すれば以下のとおりである。具体的には、トルエンおよびp−ジクロロベンゼンのHB炭素セラミックスへの吸着をガス検知管法によるガス吸着試験結果を用いて説明する。
HB炭素セラミックスへのトルエンおよびp−ジクロロベンゼンの吸着について図5および図6に基づいて説明すれば以下のとおりである。具体的には、トルエンおよびp−ジクロロベンゼンのHB炭素セラミックスへの吸着をガス検知管法によるガス吸着試験結果を用いて説明する。
〔ガス吸着試験方法〕
(1)試薬および器具として、におい袋(有限会社ミヤコビニル加工所)は大きさ25cm×40cmのものを用いた。また、トルエンはトルエン(特級)(小宗化学薬品株式会社製)を用いた。p−ジクロロベンゼンは、p−ジクロロベンゼン(一級)(関東化学株式会社製)を用いた。ガス検知管は株式会社ガステック製のものを用いた。
(2)試験条件は、検体使用量を1g、試験対象ガスの初期ガス濃度をトルエンが約50ppm、p−ジクロロベンゼンが約100ppmとした。その他の試験方法は、実施例1の脱臭試験方法とほぼ同じである。
(1)試薬および器具として、におい袋(有限会社ミヤコビニル加工所)は大きさ25cm×40cmのものを用いた。また、トルエンはトルエン(特級)(小宗化学薬品株式会社製)を用いた。p−ジクロロベンゼンは、p−ジクロロベンゼン(一級)(関東化学株式会社製)を用いた。ガス検知管は株式会社ガステック製のものを用いた。
(2)試験条件は、検体使用量を1g、試験対象ガスの初期ガス濃度をトルエンが約50ppm、p−ジクロロベンゼンが約100ppmとした。その他の試験方法は、実施例1の脱臭試験方法とほぼ同じである。
〔ガス吸着試験結果〕
試験結果を、図5および図6に基づき説明する。図5の(a)はガス吸着試験のトルエンに関する試験結果を示す表であり、図5の(b)は上記試験結果を示すグラフである。図6の(a)はガス吸着試験のp−ジクロロベンゼンに関する試験結果を示す表であり、図6の(b)は上記試験結果を示すグラフである。図5の(b)および図6の(b)の縦軸はガス濃度(ppm)を示し、横軸は経過時間(min)を表している。
試験結果を、図5および図6に基づき説明する。図5の(a)はガス吸着試験のトルエンに関する試験結果を示す表であり、図5の(b)は上記試験結果を示すグラフである。図6の(a)はガス吸着試験のp−ジクロロベンゼンに関する試験結果を示す表であり、図6の(b)は上記試験結果を示すグラフである。図5の(b)および図6の(b)の縦軸はガス濃度(ppm)を示し、横軸は経過時間(min)を表している。
トルエンの試験結果は、図5の(a)および図5の(b)に示すように、空試験では10、30、60、および120の経過時間のそれぞれにおいて、ガス濃度が50ppm、48ppm、45ppm、および43ppmだったのに対し、HB炭素セラミックスを用いた試験では、それぞれ、23ppm、12ppm、2ppm、および1ppm未満であった。
また、p−ジクロロベンゼンの試験結果は、図6の(a)および図6の(b)に示すように、空試験では10、30、および60分の全ての経過時間において、ガス濃度が約100ppmだったのに対し、HB炭素セラミックスを用いた試験では、それぞれ、40ppm、15ppm、および5ppm未満であった。
これらの事実から、HB炭素セラミックスは、例えば化学物質を吸着する等の何らかの機能を有しているものと推察されるので、HB炭素セラミックスは、ダイオキシン類においても吸着性を有するものと考えられる。
また、このガス吸着試験結果により、本実施例の燃焼ガス試験に用いる試料(上記〔燃焼ガス試験方法〕の(1)において処理した炭素セラミックス)においても、HB炭素セラミックスにトルエン、およびp−ジクロロベンゼンが吸着されていると考えられる。
〔燃焼ガス試験結果〕
燃焼ガス試験結果を、図7および図8に基づき説明する。図7は上記燃焼ガス試験の試験結果を示すグラフ(試料のGC/MSトータルイオンカレントクロマトグラム)である。図7の縦軸はアバンダンスを示し、横軸は経過時間を表している。
燃焼ガス試験結果を、図7および図8に基づき説明する。図7は上記燃焼ガス試験の試験結果を示すグラフ(試料のGC/MSトータルイオンカレントクロマトグラム)である。図7の縦軸はアバンダンスを示し、横軸は経過時間を表している。
GC/MSにおいては、図7に示すように、トルエン、およびp−ジクロロベンゼンが検出された。また、トルエンを用いて調製した標準ガスの面積値と、試料発生ガスのピーク面積値との比例計算により、ガス中濃度を求めた。なお、p−ジクロロベンゼンも面積値を用いて計算を行った。図8は燃焼ガス試験の試験結果を示す表であり、上記面積値から求めたトルエンおよびp−ジクロロベンゼンの燃焼ガス分析結果とイオンクロマト法により求めた塩素定量結果とが示されている。図8に示すように、トルエンおよびp−ジクロロベンゼンを吸着させたHB炭素セラミックスを加熱した際、発生するトルエン、p−ジクロロベンゼン、および塩素は、0.34mg/g、1.97mg/g、および0.17mg/gとなる。
テドラーバック10Lに充満された14mgのトルエンが、HB炭素セラミックスに吸着され、24時間放置後にはそれぞれの成分が検出限界値まで減少していたと仮定した場合、以下の計算が可能となる。すなわち、トルエンが0.34mg/gであり、試料が0.2gであることから、ほぼ350℃にて全量がガス化していると仮定すると、試料1gあたりの吸着率は、トルエン吸着率(保持率)=(14mg−(0.34mg×5))/(14mg)×100=87%、となる。同様の計算により、p−ジクロロベンゼン吸着率は約45%、塩素吸着率は約80%となる。
以上により、HB炭素セラミックスは、トルエン、およびp−ジクロロベンゼンに対し高温加熱状態において高い吸着率を有していることが認められる。当該事実から、HB炭素セラミックスは、遺体を燃焼した際に発生する化学物質(ダイオキシン類等)についても高い吸着率を有していると考えられる。
1 棺、4a 左側板の内側面、5a 右側板の内側面、11 多孔質性材料
Claims (4)
- 生物の遺体を収容するための棺であって、
前記棺の内面に、微粒子を吸着する多孔質性材料が貼り付けられていることを特徴とする棺。 - 前記多孔質性材料は、内部に蜂の巣構造が形成された炭素セラミックスであることを特徴とする請求項1に記載の棺。
- 前記炭素セラミックスは、高温加熱状態において前記微粒子に対して高い吸着率を有することを特徴とする請求項2に記載の棺。
- 前記多孔質性材料が、前記棺に収容された前記遺体の胴体が載置される側面に貼り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の棺。
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