JP3189317U - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空調ケース等に用いられる樹脂部材の熱による熱変形を防止するとともに、暖房能力を維持しつつ加熱用熱交換器の大きさを小型化することが可能な車両用空調装置を提供する。【解決手段】車両用空調装置1は、内部に空気流路7が形成された空調ケース5と、空気流路7に空気を送風する送風機10と、空調ケース5に、空気流路7に送風された空気を冷却する冷却用熱交換器20と、冷却用熱交換器20の下流側に設けられ発熱素子によって空気を加熱する加熱用熱交換器21と、を有して構成されている。加熱用熱交換器21は、発熱素子と、放熱フィンとからなるユニットを複数個以上積層することで構成され、加熱用熱交換器21の積層方向の少なくとも一方の端に配されるユニットの発熱素子は、他のユニットの発熱素子が有するキュリー点よりも低く構成されている。【選択図】図1
Description
本考案は、電気式加熱ヒータを用いた車両用空調装置において、特に、空調ケース等に用いられる樹脂部材の熱による熱変形を防止する車両用空調装置に関する。
電気自動車やハイブリッド自動車の車両用空調装置のヒータには、発熱素子と放熱フィンとを有する電気式加熱ヒータが用いられている。電気式加熱ヒータは、エンジンの冷却水を利用したヒータよりも熱効率が高いためヒータを通過した直後の空気の温度が150度を超える場合もあり、熱可塑性樹脂の素材で形成された空調ケース等が熱によって熱変形するおそれがある。
このような樹脂素材の熱変形を防止する従来技術として、例えば、電気式加熱ヒータの空調ケースの取り付け面に非加熱部を配置することで、加熱部を取り付け空調ケース面から遠ざけるようにした電気式加熱器が知られている(特許文献1参照)。
また、加熱用熱交換器の発熱部の周囲に通風路を設けることによって、近接する樹脂部材の温度上昇を防止することが行われており、具体的には、通電により発熱する発熱部と、発熱部を保持する開口部を有するケースとから電気ヒータが構成され、前記ケースの開口部の周囲に空気通路が形成された車両用空気調和装置が知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1の電気式加熱器においては、加熱部を空調ケースから遠ざけるために設けた非加熱部材が放熱フィンと放熱フィンとの間に設けられているため、発熱素子の設置面積が減少して最大暖房能力が小さくなり、暖房能力を高めると加熱用熱交換器が大きくなる不都合がある。
また、特許文献2の車両用空気調和装置においては、空気通路が電気ヒータのケースの開口部の周囲に設けられていることにより、ケースの大きさが大きくなることに伴って加熱用熱交換器が大きくなる不都合がある。また、空気通路を通過する風は、電気ヒータの発熱部を通らずに暖房されないまま下流側に流れてしまうため、吹出し温度が低下する不都合がある。
また、熱変形のおそれがある部材に対して、熱硬化性樹脂の部材で覆うことで熱変形を防止する構成も考えられる。
具体的には、図10に示すように、加熱用熱交換器21に近接する空調ケース5の周囲にフェノール系やメラミン系の熱硬化性樹脂60を設ける構成が考えられる。
このような場合には、熱硬化性樹脂60の設置スペースを確保する必要があるため、加熱用熱交換器21を小さくしなければならず暖房能力が低下する不都合がある。
このような場合には、熱硬化性樹脂60の設置スペースを確保する必要があるため、加熱用熱交換器21を小さくしなければならず暖房能力が低下する不都合がある。
本考案は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、加熱用熱交換器の下流側に送風される空気の空調ケース壁面に近い側の風温を下げることによって、空調ケース等に用いられる樹脂部材の熱による熱変形を防止するとともに、暖房能力を維持しつつ加熱用熱交換器の大きさを小型化することが可能な車両用空調装置を提供することを主たる目的とする。
本考案の車両用空調装置は、内部に空気流路が形成された空調ケースと、前記空気流路に空気を送風する送風機と、前記空調ケースに、前記空気流路に送風された空気を冷却する冷却用熱交換器と、前記冷却用熱交換器の下流側に設けられ発熱素子によって前記空気を加熱する加熱用熱交換器と、を有し、前記加熱用熱交換器は、発熱素子と、放熱フィンとからなるユニットを複数個以上積層することで構成され、前記加熱用熱交換器の積層方向の少なくとも一方の端部に配されるユニットの発熱素子は、他のユニットの発熱素子が有するキュリー点よりも低いことを特徴としている。
加熱用熱交換器の積層方向の少なくとも一方の端部に配されるユニットの発熱素子は、他のユニットの発熱素子が有するキュリー点よりも低いことにより、このユニットにより加温され加熱用熱交換器の下流側に送風される空気の空調ケース壁面に近い側の風温を下げることによって、空調ケース等に用いられる樹脂部材の熱による熱変形を防止することが可能となる。
また、加熱用熱交換器の構成部材を増加することなく空調ケース壁面に近い側の空気の温度を低くすることができるため、暖房能力を維持しつつ加熱用熱交換器の小型化を図ることが可能となる。すなわち、発熱素子がキュリー点に達する前は、端部に配されるユニットもその間に配される中央部のユニットも暖房能力(放熱量)を最大限に発揮することができる。特に、車室外の空気の温度が−20℃のように極端に低い場合には、発熱素子の温度がキュリー点に達しにくいので、暖房能力が制限されにくくなり、端部のユニットも中央部のユニットも最大限の暖房能力を発揮することができる。
また、発熱素子がキュリー点に達した後は、端部に配されるユニットの発熱素子のキュリー点が低いため、他のユニットよりも温度が低くなることで樹脂部材の熱変形を防ぐことができる。
また、加熱用熱交換器の構成部材を増加することなく空調ケース壁面に近い側の空気の温度を低くすることができるため、暖房能力を維持しつつ加熱用熱交換器の小型化を図ることが可能となる。すなわち、発熱素子がキュリー点に達する前は、端部に配されるユニットもその間に配される中央部のユニットも暖房能力(放熱量)を最大限に発揮することができる。特に、車室外の空気の温度が−20℃のように極端に低い場合には、発熱素子の温度がキュリー点に達しにくいので、暖房能力が制限されにくくなり、端部のユニットも中央部のユニットも最大限の暖房能力を発揮することができる。
また、発熱素子がキュリー点に達した後は、端部に配されるユニットの発熱素子のキュリー点が低いため、他のユニットよりも温度が低くなることで樹脂部材の熱変形を防ぐことができる。
さらに、冷却用熱交換器から送風された冷却風に直接晒されない前記空調ケースの壁面に前記加熱用熱交換器の一方の端部が固定され、該一方の端部に配されるユニットの発熱素子は、他のユニットの発熱素子が有するキュリー点よりも低くしてもよい。
これにより、冷却風に直接晒される側の他方の端部に配されたユニットの発熱素子のキュリー点を低くしなくてもよいので、両端部のユニットの発熱素子のキュリー点を低くする場合に比べて、加熱用熱交換器の下流に送風される空気の温度を高くすることができ、高い暖房能力を維持することができる。
これにより、冷却風に直接晒される側の他方の端部に配されたユニットの発熱素子のキュリー点を低くしなくてもよいので、両端部のユニットの発熱素子のキュリー点を低くする場合に比べて、加熱用熱交換器の下流に送風される空気の温度を高くすることができ、高い暖房能力を維持することができる。
加熱用熱交換器は、発熱素子と、放熱フィンとからなるユニットを3個以上積層することで構成され、前記加熱用熱交換器の積層方向の両端部に配されるユニットの発熱素子は、他のユニットの発熱素子が有するキュリー点よりも低いことが望ましい。
両端部に配されるユニットの発熱素子は、他のユニットの発熱素子が有するキュリー点よりも低いことによって、加熱用熱交換器の両端部が固定される空調ケースの壁面が、冷却用熱交換器から送風された冷却風に晒されない場合であっても空調ケースの熱変形を防ぐことが可能となる。
加熱用熱交換器の前記端部に配される前記ユニットの発熱素子のキュリー点は、空調ケースに使用される樹脂素材の融点より低いことが望ましい。
加熱用熱交換器の前記端部に配される前記ユニットの発熱素子のキュリー点が空調ケースに使用される樹脂素材の融点より低いことによって、加熱された空調ケース壁面に近い側の空気の温度が樹脂素材の融点より低くなるため空調ケースの熱変形を防ぐことが可能となる。
前記加熱用熱交換器の前記端部に配されるユニットは、他のユニットより送風空気に対する通風抵抗が低く形成されていることが望ましく、前記加熱用熱交換器の前記端部に配されるユニットの放熱フィンは、他のユニットの放熱フィンよりフィンピッチが広く形成されたことが望ましい。これにより、加熱用熱交換器のユニットの温度が通風量の低下に伴い上昇したときでも、加熱用熱交換器の端部に配されたユニットに積極的に通風させることで当該ユニットの温度を相対的に下げて樹脂部材の熱変形を防止しつつ暖房能力を維持することができる。また、所定以上の通風量が維持されている通常時は加熱用熱交換器のユニットの中央部も端部も最大限の暖房能力を発揮することができる。
なお、通風抵抗を低く形成するための構造は、放熱フィンのフィンピッチを広げるだけでなく、制御ドアを設けて端部に配されるユニットへの通風量を増加させてもよい。
なお、通風抵抗を低く形成するための構造は、放熱フィンのフィンピッチを広げるだけでなく、制御ドアを設けて端部に配されるユニットへの通風量を増加させてもよい。
放熱フィンのフィンピッチが広く形成されたことにより、加熱用熱交換器の端部に配されるユニットの通風抵抗を減少させることができ、通風量が増加することによってこのユニットの温度を相対的に低くすることができる。すなわち、通風量が増加することで発熱素子がキュリー点に達しにくくなるため、暖房能力が制限されにくくなり、結果として高い暖房能力を維持することができる。キュリー点に達した後は、暖房能力が制限されるので、樹脂部材が熱変形するおそれがない。
以上本考案によれば、加熱用熱交換器の積層方向の少なくとも一方の端部に配されるユニットの発熱素子は、他のユニットの発熱素子が有するキュリー点よりも低いことにより、このユニットにより加温され加熱用熱交換器の下流側に送風される空気の空調ケース壁面に近い側の風温を下げることによって、空調ケース等に用いられる樹脂部材の熱による熱変形を防止することが可能となる。
また、加熱用熱交換器の構成部材を増加することなく空調ケース壁面に近い側の空気の温度を低くすることができるため、暖房能力を維持しつつ加熱用熱交換器の小型化を図ることが可能となる。すなわち、発熱素子がキュリー点に達する前は、端部のユニットもその間に配される中央部のユニットも暖房能力を最大限に発揮することができる。特に、車室外の空気の温度が−20℃のように極端に低い場合には、発熱素子の温度がキュリー点に達しにくいので、暖房能力が制限されにくくなり、端部のユニットも中央部のユニットも最大限の暖房能力を発揮することができる。
また、発熱素子がキュリー点に達した後は、端部に配されるユニットの発熱素子のキュリー点が低いため、他のユニットよりも温度が低くなることで樹脂部材の熱変形を防ぐことができる。
また、加熱用熱交換器の構成部材を増加することなく空調ケース壁面に近い側の空気の温度を低くすることができるため、暖房能力を維持しつつ加熱用熱交換器の小型化を図ることが可能となる。すなわち、発熱素子がキュリー点に達する前は、端部のユニットもその間に配される中央部のユニットも暖房能力を最大限に発揮することができる。特に、車室外の空気の温度が−20℃のように極端に低い場合には、発熱素子の温度がキュリー点に達しにくいので、暖房能力が制限されにくくなり、端部のユニットも中央部のユニットも最大限の暖房能力を発揮することができる。
また、発熱素子がキュリー点に達した後は、端部に配されるユニットの発熱素子のキュリー点が低いため、他のユニットよりも温度が低くなることで樹脂部材の熱変形を防ぐことができる。
以下、本考案の車両用空調装置について、図面を参照して説明する。
図1に示す車両用空調装置1は、インテーク部2、熱交換部3、吹出口選択部4を有して構成され、各部2,3,4を空気が通過するための空気流路7が形成されている。インテーク部2は、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で形成された空調ケース5内に空気を取り込む部分である。熱交換部3は、インテーク部2から取り込まれた空気を設定温度又は湿度に調整する部分である。吹出口選択部4は、熱交換部3により調整された空調空気を車室内に設けられた複数の吹出口から選択的に吹き出させるための部分である。
インテーク部2は、車室外の空気を吸入可能に開口する外気吸入口11、車室内の空気を吸入可能に開口する内気吸入口12、外気吸入口11と内気吸入口12とを適宜選択可能に稼動する内外気切替ドア13を有し、内外気切替ドア13によって選択導入された空気をブロワモータにより駆動される遠心多翼ファンを有する送風機10によって空気流路7に送風するように構成されている。また、インテーク部2は、車載バッテリから駆動電流が供給されるとともに、図示しない電子制御ユニット(ECU)に接続されて、送風機10と内外気切替ドア13が制御されるように構成されている。
外気と内気の導入比率の制御は、アクチュエータ14により駆動される内外気切替ドア13により調整され、このアクチュエータ14の動作はECUにより制御される。ECUは、CPU、ROM、RAM等のハードウェアと所定のプログラムソフトとの協働により、空調装置に必要な各種情報処理、構成機器への制御信号の出力等を行うものである。
外気と内気の導入比率の制御は、アクチュエータ14により駆動される内外気切替ドア13により調整され、このアクチュエータ14の動作はECUにより制御される。ECUは、CPU、ROM、RAM等のハードウェアと所定のプログラムソフトとの協働により、空調装置に必要な各種情報処理、構成機器への制御信号の出力等を行うものである。
熱交換部3は、冷却用熱交換器20、加熱用熱交換器21、エアミックスドア22を有して構成されている。
冷却用熱交換器20は、周知の冷凍サイクルにおいてコルゲートフィンを利用したもので減圧後の冷媒が流入される熱交換器であり、インテーク部2から空調ケース5内に取り込まれた空気を熱交換して冷却する。
冷却用熱交換器20は、周知の冷凍サイクルにおいてコルゲートフィンを利用したもので減圧後の冷媒が流入される熱交換器であり、インテーク部2から空調ケース5内に取り込まれた空気を熱交換して冷却する。
加熱用熱交換器21は、図2に示すように、冷却用熱交換器20を通過した空気を加熱する電気式の加熱用熱交換器であり、発熱素子40と、発熱素子40の積層方向の両側に配設される放熱フィン41と、発熱素子40の積層方向の一方の面と放熱フィン41との間に配される電極板(図示せず)とで一つのユニット43を構成し、5個のユニット43が順次積層されて構成され、一端が空調ケース5の壁面50に固定されている。
そして、ユニット43は、上方向からのアッパエンドプレート15下方向からのロアエンドプレート8と、左方向からのフロントハウジング9と、右方向からのエンドハウジング6により外周を保持され、加熱用熱交換器21の全体がユニット43の長手方向から空調ケース5に保持されている。
アッパエンドプレート15には、電気コネクタ15aが設けられ発熱素子40が外部電源と電気的に接続されている。ロアエンドプレート8には、発熱素子40の端部を差し込む溝8aが形成されている。
発熱素子40は、耐熱性を有する樹脂材料(例えば、66ナイロンやポリブタジエンテレフタレートなど)で成形した樹脂枠の中に、複数個のPTC素子(正特性サーミスタ)を嵌め込んだり、一体成形したりして構成したものである。
そして、図3に示すように、それぞれの発熱素子40に対応する5つのPTC素子40a,40b,40c,40d,40eの一端が電気コネクタ15aに接続され、他端がアースに接続されている。また、電気コネクタ15aから電力が供給されると、それぞれのPTC素子の温度が上昇し、所定の温度まで上昇すると抵抗値が急激に上昇して電流が流れにくくなり温度が一定になるように構成されている。以下、抵抗値が急激に上昇し電流が流れにくくなる温度をキュリー点という。
そして、図3に示すように、それぞれの発熱素子40に対応する5つのPTC素子40a,40b,40c,40d,40eの一端が電気コネクタ15aに接続され、他端がアースに接続されている。また、電気コネクタ15aから電力が供給されると、それぞれのPTC素子の温度が上昇し、所定の温度まで上昇すると抵抗値が急激に上昇して電流が流れにくくなり温度が一定になるように構成されている。以下、抵抗値が急激に上昇し電流が流れにくくなる温度をキュリー点という。
ここで、フロントハウジング9及びエンドハウジング6に近接し積層方向の両端に設けられる2つのユニット43(以下、端部ユニット43a,43e)の発熱素子40に用いられるPTC素子40a,40eと、それらの間に挟まれて設けられた3つのユニット43(以下、中央ユニット43b,43c,43d)の発熱素子40に用いられるPTC素子40b,40c,40dとは、キュリー点が異なるもので構成されている。
具体的には、PTC素子40a,40eは、上述のように空調ケース5がポリプロピレンで形成されている場合には、その融点(125〜160℃)よりも低い約130℃のキュリー点を有する。一方で、PTC素子40b,40c,40dは、170℃のキュリー点を有する。
すなわち、図4に示すように、100Vの定電圧を加熱用熱交換器に印加すると、キュリー点の低いPTC素子40a,40eは、約130℃に昇温しこれらのPTC素子を有する端部ユニット43a,43eを通過した空気が約103℃に上昇する。一方、キュリー点の高いPTC素子40b,40c,40dは、約170℃に昇温し、これらのPTC素子を有する中央ユニット43b,43c,43dを通過した空気が約150℃に上昇する。なお、グラフ上の曲線に示された温度は、PTC素子のキュリー点を示したものである。
吹出口選択部4に流入する空気量は、アクチュエータ23により駆動されるエアミックスドア22により調整され、この調整により、設定された温度の空調空気が生成される。このアクチュエータ23はECUにより動作が制御される。
吹出口選択部4は、ベント連通口25、フット連通口26、デフロスト連通口27、ベントドア30、フットドア31、デフロストドア32を有して構成されている。ベント連通口25は、車室内において乗員の上半身へ向けて送風されるように設けられたベント吹出口にダクトを介して連通する開口部であり、ベントドア30によりその開閉又は開度の調整がなされる。フット連通口26は、車室内において乗員の足元に向けて送風されるように設けられたフット吹出口にダクトを介して連通する開口部であり、フットドア31によりその開閉又は開度の調整がなされる。デフロスト連通口27は、車室内においてフロントガラスに向けて送風されるように設けられたデフロスト吹出口にダクトを介して連通する開口部であり、デフロストドア32によりその開閉又は開度の調整がなされる。ベントドア30、フットドア31、デフロストドア32は、それぞれアクチュエータ35,36,37により駆動される。これらのアクチュエータ35,36,37はECUにより制御される。上記各ドア30,31,32により、空調空気は所望の吹出口から吹き出される。尚、上記した各連通口25,26,27の形成位置、各ドア30,31,32の構造等は一例であり、他にも様々な構成が採用できる。
以上で、車両用空調装置1は、端部ユニット43a,43eの発熱素子40が、中央ユニット43b,43c,43dの発熱素子40が有するキュリー点よりも低く且つポリプロピレンの融点よりも低いため、端部ユニット43a,43eを通過した空気をポリプロピレンの融点以下にすることができ空調ケース5の熱変形を防ぐことが可能になる。また、加熱用熱交換器21の構成部材を増加することなく加熱用熱交換器21を通過した空調ケース5の壁面に近い側の空気の温度を低くすることができるため、暖房能力を維持しつつ加熱用熱交換器21の小型化を図ることが可能となる。
なお、上述の構成においては、加熱用交換器21の端部ユニット43a,43eはキュリー点の低いPTC素子40a,40eを設けて構成したが、空調ケース5の壁面50が冷却用熱交換器20の下流に面し、冷却風に晒されるような場合には、十分な冷却効果が得られるため、冷却用熱交換器20の冷却風に直接晒さらされない空調ケース5の壁面51に加熱用熱交換器21の一方の端部が固定され、この一方の端部に配される端部ユニット43eの発熱素子40のみを、他のユニット43a〜43dの発熱素子40が有するキュリー点よりも低くしてもよい
これにより、冷却風に晒される側の端部ユニット43aの発熱素子40のキュリー点を低くしなくてもよいので、両方の端部のユニット43a,43eの発熱素子40のキュリー点を低くする場合に比べて、加熱用熱交換器21の下流に送風される空気の温度を高くすることができ、高い暖房能力を維持することができる。
これにより、冷却風に晒される側の端部ユニット43aの発熱素子40のキュリー点を低くしなくてもよいので、両方の端部のユニット43a,43eの発熱素子40のキュリー点を低くする場合に比べて、加熱用熱交換器21の下流に送風される空気の温度を高くすることができ、高い暖房能力を維持することができる。
上述の実施例においては、5個のユニット43で加熱用熱交換器21を構成したが、2個のユニット43で加熱用熱交換器21を構成してもよい。以下、この車両用空調装置の構成について、前記車両用空調装置と同一の部分は同一符号を付して説明を省略する。
具体的には図5に示すように、加熱用熱交換器21は、ユニット43aとユニット43bとの2個のユニット43を有して構成されている。冷却用熱交換器20からの冷却風に晒される壁面50側に設けられたユニット43bはキュリー点が高いPTC素子40bを有して構成され、また、この冷却風の影響を受けない壁面51側に設けられたユニット43aは、キュリー点の低いPTC素子40aを有して構成されている。
このように、2個のユニット43で加熱用熱交換器21を構成することで、限られたスペースでも加熱用熱交換器21を設けることができるとともに、空調ケース5の熱変形も防ぐことが可能となる。
上述の実施例では、加熱用熱交換器21において、すべてのユニット43の通風抵抗が同一に形成された車両用空調装置を説明したが、ユニット43の発熱素子40は、通風量が下がると熱を伝達する媒体が減少するため温度が特に上昇する。そこで、例えば実施例1で示した加熱用熱交換器21において、さらに、通風量が減少した場合に空調ケース5の壁面近くに設けられた端部ユニット43a,43eの通風量が増加するように構成して熱変形を防止するようにしてもよい。
具体的には図7に示すように、加熱用熱交換器21の空調ケースに近い端部ユニット43a,43eに流入する風量を制御する制御ドア70と、それを駆動するアクチュエータ71と、が加熱用熱交換器21の上流側に設けられている。そして、全体の通風量が減少したときには、中央ユニット43b,43c,43dへの通風量を減少させるように制御ドア70を稼動させ、空調ケース5の壁面に近い側の端部ユニット43a,43eへの通風量を増加させることでより確実に風温を下げ、空調ケース5の熱変形を防止することが可能となる。
また、実施例2で示したように、2個のユニット43で加熱用熱交換器21が構成されそれぞれのユニット43を個別に稼動制御ができる場合には、稼動していないユニット43の通風量を減少させ稼動しているユニット43の通風量をさらに増加させるように構成してもよい。
具体的には、図8に示すように、ユニット43a,43bへの通風量を調整可能に形成された制御ドア72と、それを駆動するアクチュエータ73とが加熱用熱交換器21の上流側に設けられている。
具体的には、図8に示すように、ユニット43a,43bへの通風量を調整可能に形成された制御ドア72と、それを駆動するアクチュエータ73とが加熱用熱交換器21の上流側に設けられている。
そして、全体の通風量が減少したときには、2つのうちのいずれのユニット43の稼動を停止させてもよいが、例えば、ユニット43bの稼動を停止するとともに通風量を減少させるように制御ドア72を稼動させ、空調ケース5の壁面に近い側の端部ユニット43aへの通風量を増加させることで風温をより確実に下げ、空調ケース5の熱変形を防止することが可能となる。
実施例3に示した2つの構成には、制御ドア70,72を制御するリンク機構が必要になるが、端部ユニット43a,43eの通風抵抗を低く形成することで制御ドア70,72等を設けずに、端部ユニット43a,43eの通過後の空気の温度を低くすることも可能である。
具体的には、図6に示すように、端部ユニット43a,43eは、放熱フィン41のフィンピッチが中央ユニット43b,43c,43dのフィンピッチよりも広く形成されている。
このように、端部ユニット43a,43eの放熱フィン41のフィンピッチを中央ユニット43b,43c,43dのフィンピッチよりも広く形成することで、端部ユニット43a,43eの通風抵抗を減らすことができ、通風量が増加することによって端部ユニット43a,43eの温度を相対的に低くすることができる。すなわち、通風量が増加することで発熱素子40がキュリー点に達しにくくなるため、暖房能力が制限されにくくなり、結果として高い暖房能力を維持することができる。また、キュリー点に達した後は、暖房能力が制限されるので、空調ケース5の熱変形を防止することが可能となる。
このように、端部ユニット43a,43eの放熱フィン41のフィンピッチを中央ユニット43b,43c,43dのフィンピッチよりも広く形成することで、端部ユニット43a,43eの通風抵抗を減らすことができ、通風量が増加することによって端部ユニット43a,43eの温度を相対的に低くすることができる。すなわち、通風量が増加することで発熱素子40がキュリー点に達しにくくなるため、暖房能力が制限されにくくなり、結果として高い暖房能力を維持することができる。また、キュリー点に達した後は、暖房能力が制限されるので、空調ケース5の熱変形を防止することが可能となる。
上述の実施例においては、吹出口選択部4に流入する空気量及び空調空気の温度をエアミックスドア22により調整するように空調ケース5を構成したが、エアミックスドア22を設けずにこれらを調整するように空調ケース5を構成してもよい。
具体的には図9に示すように、空調ケース5の底面53から上面52にかけて空気流路7を塞ぐように加熱用熱交換器21が設けられている。そして空調空気の温度調整は、冷却用熱交換器20から送風された冷却風を加熱用熱交換器21で所望の温度に加温することによって行われる。
加熱用熱交換器21は5個のユニット43からなり、空調ケース5の上面52側及び底面53側に設けられる端部ユニット43a,43eのPTC素子40a,40eのキュリー点は、他のユニット43b,43c,43dよりも低いものが用いられている。
また、加熱用熱交換器21の温度制御は、ユニット43に印加する電圧を制御して行い、具体的には、指令電圧と直流電圧検出値との比(変調率)によってDuty比を決定することでユニット43への供給電圧を制御するPWM制御で行われる。
また、加熱用熱交換器21の温度制御は、ユニット43に印加する電圧を制御して行い、具体的には、指令電圧と直流電圧検出値との比(変調率)によってDuty比を決定することでユニット43への供給電圧を制御するPWM制御で行われる。
本実施例の空調ケース5においては、冷却用熱交換器20から送風された冷却風が上面52及び底面53に積極的に晒されるわけではないため、端部ユニット43a,43eのキュリー点が低いものが用いられることによって、空調ケースの熱変形を防ぐことが可能となる。
また、ミックスドアを用いずに空調空気を調整するように空調ケース5を構成することで、車両用空調装置1の小型化を図ると共に、部品点数の削減をすることが可能となる。
なお、本実施例においては、端部ユニット43a,43eは他のユニットよりもキュリー点が低いものとして説明したが、実施例3に示したように、通風抵抗が低減されたユニットであってもよい。
また、ミックスドアを用いずに空調空気を調整するように空調ケース5を構成することで、車両用空調装置1の小型化を図ると共に、部品点数の削減をすることが可能となる。
なお、本実施例においては、端部ユニット43a,43eは他のユニットよりもキュリー点が低いものとして説明したが、実施例3に示したように、通風抵抗が低減されたユニットであってもよい。
1 車両用空調装置
5 空調ケース
7 空気流路
10 送風機
20 冷却用熱交換器
21 加熱用熱交換器
40 発熱素子
41 放熱フィン
43 ユニット
43a,43e 端部ユニット
5 空調ケース
7 空気流路
10 送風機
20 冷却用熱交換器
21 加熱用熱交換器
40 発熱素子
41 放熱フィン
43 ユニット
43a,43e 端部ユニット
Claims (6)
- 内部に空気流路が形成された空調ケースと、前記空気流路に空気を送風する送風機と、前記空調ケースに、前記空気流路に送風された空気を冷却する冷却用熱交換器と、前記冷却用熱交換器の下流側に設けられ発熱素子によって前記空気を加熱する加熱用熱交換器と、を有し、
前記加熱用熱交換器は、発熱素子と、放熱フィンとからなるユニットを複数個以上積層することで構成され、
前記加熱用熱交換器の積層方向の少なくとも一方の端部に配されるユニットの発熱素子は、他のユニットの発熱素子が有するキュリー点よりも低いことを特徴とする車両用空調装置。 - 前記冷却用熱交換器から送風された冷却風に直接晒されない前記空調ケースの壁面に前記加熱用熱交換器の一方の端部が固定され、
該一方の端部に配されるユニットの発熱素子は、他のユニットの発熱素子が有するキュリー点よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記加熱用熱交換器は、発熱素子と、放熱フィンとからなるユニットを3個以上積層することで構成され、
前記加熱用熱交換器の積層方向の両端部に配されるユニットの発熱素子は、他のユニットの発熱素子が有するキュリー点よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記加熱用熱交換器の前記端部に配される前記ユニットの発熱素子のキュリー点は、前記空調ケースに使用される樹脂素材の融点よりも低いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用空調装置。
- 前記加熱用熱交換器の前記端部に配されるユニットは、他のユニットより送風空気に対する通風抵抗が低く形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用空調装置
- 前記加熱用熱交換器の前記端部に配されるユニットの放熱フィンは、他のユニットの放熱フィンよりフィンピッチが広く形成されたことを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013007276U JP3189317U (ja) | 2013-12-24 | 2013-12-24 | 車両用空調装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013007276U JP3189317U (ja) | 2013-12-24 | 2013-12-24 | 車両用空調装置 |
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JP2011090863A Continuation JP2012224112A (ja) | 2011-04-15 | 2011-04-15 | 車両用空調装置 |
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JP3189317U true JP3189317U (ja) | 2014-03-06 |
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Family Applications (1)
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JP2013007276U Expired - Fee Related JP3189317U (ja) | 2013-12-24 | 2013-12-24 | 車両用空調装置 |
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JP (1) | JP3189317U (ja) |
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2013
- 2013-12-24 JP JP2013007276U patent/JP3189317U/ja not_active Expired - Fee Related
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