JP3161146U - 布巾 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊維配列方向に起因した引っ張り強度の低下方向が存在せず、布巾をしぼった際に布巾に伸びが生じ、型くずれや破れが起き難い布巾を低コストで提供する。【解決手段】不織布をミシン縫いするとき、縫い目ラインを、不織布の1辺に対して平行で、かつ交差する2つの繊維配列の方向がなす角のうち、鈍角を2分する方向に向けたので、縫い目ライン方向の布巾の引っ張り強度が高まる。その結果、繊維配列方向に起因した布巾の引っ張り強度の低下方向が存在せず、布巾をしぼった際に布巾に伸びが生じて、型くずれや破れが起き難くなる。【選択図】図1
Description
この考案は布巾、詳しくは繊維配列の方向に起因し、引っ張り強度が小さい方向が存在する不織布からなる布巾に関する。
平面視して矩形状の不織布からなる布巾は、吸水性を高めるため、繊維長が25〜50mmの極細繊維(3デニール以下)と繊維長が64〜76mmの細い繊維(6〜15デニール)を原料としている。不織布製の布巾の製造にあたっては、例えば、乾式製法のうち、機械的にウェブを作り積層するフリース形成法によって、繊維配列の方向が長さ方向に向いた不織布シートを作製し、それを所定の長さ毎にカットしたものである。これにより、繊維配列の方向が長辺と平行な不織布からなる布巾が得られる。
しかしながら、不織布からなる布巾には、上述の製造方法を起因として、繊維配列の方向と直交する方向への引っ張り強度が低下している。そのため、例えば洗った布巾をしぼる際、布巾に引っ張り強度が低い方向への伸びが生じて型くずれしたり、布巾が破れるおそれがあった。
そこでこれを解消するため、例えば、繊維配列の方向が不織布の長さ方向に60°だけ傾斜した複数枚の薄肉な不織布を、1枚毎にその繊維配列の方向が反対向きとなるように積層させた不織布からなる布巾が開発されている。しかしながら、重ね合わされた上下2枚の薄肉な不織布間において、交差した2つの繊維配列の方向がなす角のうち、鈍角(120°)を2分する方向に対しての布巾の引っ張り強度は、前記繊維配列の方向と直交する方向の不織布の場合ほど低くはないものの、繊維配列の方向に比べて低下していた。
そこでこれを解消するため、例えば、繊維配列の方向が不織布の長さ方向に60°だけ傾斜した複数枚の薄肉な不織布を、1枚毎にその繊維配列の方向が反対向きとなるように積層させた不織布からなる布巾が開発されている。しかしながら、重ね合わされた上下2枚の薄肉な不織布間において、交差した2つの繊維配列の方向がなす角のうち、鈍角(120°)を2分する方向に対しての布巾の引っ張り強度は、前記繊維配列の方向と直交する方向の不織布の場合ほど低くはないものの、繊維配列の方向に比べて低下していた。
また、不織布からなる布巾は、このように高吸収性を有するものの、極細繊維や細い繊維を絡み合わせた構造であった。そのため、不織布製の布巾は、織布製の布巾に比べて耐久性が低く、例えばテーブルを拭く時の摩擦により、表面上での短繊維のほつれや毛羽立ちといった損傷が生じ易かった。
さらに、不織布からなる布巾の表面は、この絡んだ短繊維が露出する微細な凹凸は存在するものの、全体的には平坦であった。そのため、例えばテーブルの表面に強固に付着した汚れなどは掻き落とし難かった。
さらに、不織布からなる布巾の表面は、この絡んだ短繊維が露出する微細な凹凸は存在するものの、全体的には平坦であった。そのため、例えばテーブルの表面に強固に付着した汚れなどは掻き落とし難かった。
そこで、この考案は、繊維配列方向に起因した布巾の引っ張り強度の低下方向が存在せず、布巾をしぼった際に布巾に伸びが生じて、型くずれや破れが起き難い布巾を低コストで提供することを目的としている。
また、この考案は、耐久性が高く、使用による短繊維のほつれや毛羽たちといった損傷が発生し難い布巾を提供することを目的としている。
さらに、テーブルなどに強固に付着した汚れも容易に拭き取ることができる布巾を提供することを目的としている。
また、この考案は、耐久性が高く、使用による短繊維のほつれや毛羽たちといった損傷が発生し難い布巾を提供することを目的としている。
さらに、テーブルなどに強固に付着した汚れも容易に拭き取ることができる布巾を提供することを目的としている。
請求項1に記載の考案は、平面視して4つの角が等しい四角形で、かつ90°を除く交差角度で交差した2つの繊維配列の方向を有する不織布をミシン縫いした布巾において、該ミシン縫いにより前記不織布に現出した縫い目ラインは、前記不織布の1辺と直交し、かつ前記交差した2つの繊維配列の方向がなす角のうち、鈍角を2分する方向に延びた布巾である。
請求項1に記載の考案によれば、不織布をミシン縫いする際、その縫い目ラインを、不織布の1辺に対して平行で、かつ交差する2つの繊維配列の方向がなす角のうち、鈍角を2分する方向に向けたので、複数枚の薄肉な不織布間において、交差した2つの繊維配列の方向がなす角のうち、鈍角を2分する方向に対しての布巾の引っ張り強度が高まる。その結果、繊維配列方向に起因した布巾の引っ張り強度の低下方向が存在せず、布巾をしぼった際に布巾に伸びが生じて、型くずれや破れが起きるおそれが低減する。
「平面視して4つの角が等しい四角形」とは、長方形または正方形である。
ここでいう「引っ張り強度」とは、正方形または長方形の布巾を、一方の対辺または他方の対辺を離反方向へ引っ張ったときの布巾の強度をいう(例えば、JIS−L−1096−12;ラベルドストリップ法による引張強度試験)。
「90°を除く交差角度で交差した2つの繊維配列の方向」としたは、90°で交差した場合、交差した2つの繊維配列の方向がなす角に、鈍角(鋭角)が存在しないためである。交差角度が90°であれば、布巾を任意の一辺と平行な方向(1辺の長さ方向)に引っ張ったときの強度と、この一辺と直交する方向に引っ張ったときの強度との差がほとんどない。
ここでいう「引っ張り強度」とは、正方形または長方形の布巾を、一方の対辺または他方の対辺を離反方向へ引っ張ったときの布巾の強度をいう(例えば、JIS−L−1096−12;ラベルドストリップ法による引張強度試験)。
「90°を除く交差角度で交差した2つの繊維配列の方向」としたは、90°で交差した場合、交差した2つの繊維配列の方向がなす角に、鈍角(鋭角)が存在しないためである。交差角度が90°であれば、布巾を任意の一辺と平行な方向(1辺の長さ方向)に引っ張ったときの強度と、この一辺と直交する方向に引っ張ったときの強度との差がほとんどない。
不織布の素材としては、レーヨン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポバール、ポリエチレンテレフタレート、綿、麻などを採用することができる。
不織布を構成する短繊維としては、例えば、直径が3デニール以下で長さが25〜50mmの極細繊維や、直径が6〜15デニールで長さが64〜76mmの細い繊維を採用することができる。
不織布は、1枚の厚肉な不織布から形成された単層式のものでも、複数枚の薄肉な不織布を重ね合わせた積層式のものでもよい。不織布に2つの繊維配列方向を現出するには、積層式のものの方が好ましい。
不織布の製造方法としては、乾式製法の中で機械的にウェブを作り積層するフリース形成法により、繊維配列の方向が長さ方向に向いた不織布シートを所定長さ毎にカットする方法を採用することができる。
不織布を構成する短繊維としては、例えば、直径が3デニール以下で長さが25〜50mmの極細繊維や、直径が6〜15デニールで長さが64〜76mmの細い繊維を採用することができる。
不織布は、1枚の厚肉な不織布から形成された単層式のものでも、複数枚の薄肉な不織布を重ね合わせた積層式のものでもよい。不織布に2つの繊維配列方向を現出するには、積層式のものの方が好ましい。
不織布の製造方法としては、乾式製法の中で機械的にウェブを作り積層するフリース形成法により、繊維配列の方向が長さ方向に向いた不織布シートを所定長さ毎にカットする方法を採用することができる。
不織布の目付やその厚さは任意である。
不織布の表面や裏面には、例えば各種のプリント法によって、任意の模様、任意の図形、任意の絵などを印刷してもよい。また、不織布に消臭性および/または抗菌性を付与してもよい。消臭性を与える物質としては、例えば粉末活性炭などが挙げられる。さらに、抗菌性を与える物質としては、例えば酸化チタンなどを挙げることができる。これらは、あらかじめ不織布の繊維中に含めてもよいし、不織布の製造後、塗布法などで不織布の表面や裏面に付着させたり、不織布の表面や裏面から各繊維内に含浸させてもよい。
ミシン縫いの方法は任意である。例えば本縫い、単環縫い、二重環縫い、扁平縫いなどを採用することができる。
また、ミシン縫いの針送りピッチは任意である。例えば、1〜6mmである。
不織布に現出される縫い目ラインの本数は1本でも、2本または3本以上でもよい。さらに、縫い目ラインは、1本針ラインのもの、2本のミシン糸が近接配置された2本針ラインのもの、3本のミシン糸が近接配置された3本針ラインのもの、または4本以上の針ラインのものでもよい。
不織布の外周縁は、ほつれを防止するため、オーバーロックの縫製処理を施した方が好ましい。
不織布の表面や裏面には、例えば各種のプリント法によって、任意の模様、任意の図形、任意の絵などを印刷してもよい。また、不織布に消臭性および/または抗菌性を付与してもよい。消臭性を与える物質としては、例えば粉末活性炭などが挙げられる。さらに、抗菌性を与える物質としては、例えば酸化チタンなどを挙げることができる。これらは、あらかじめ不織布の繊維中に含めてもよいし、不織布の製造後、塗布法などで不織布の表面や裏面に付着させたり、不織布の表面や裏面から各繊維内に含浸させてもよい。
ミシン縫いの方法は任意である。例えば本縫い、単環縫い、二重環縫い、扁平縫いなどを採用することができる。
また、ミシン縫いの針送りピッチは任意である。例えば、1〜6mmである。
不織布に現出される縫い目ラインの本数は1本でも、2本または3本以上でもよい。さらに、縫い目ラインは、1本針ラインのもの、2本のミシン糸が近接配置された2本針ラインのもの、3本のミシン糸が近接配置された3本針ラインのもの、または4本以上の針ラインのものでもよい。
不織布の外周縁は、ほつれを防止するため、オーバーロックの縫製処理を施した方が好ましい。
請求項2に記載の考案は、平面視して4つの角が等しい四角形の不織布を、1辺と平行な繊維配列の方向と直交する縫い目ラインとなるようにミシン縫いした布巾である。
請求項2に記載の考案によれば、繊維配列の方向と直交する方向に縫い目ラインを向けて不織布をミシン縫いしたので、布巾の縫い目ライン方向への引っ張り強度が高まる。その結果、短繊維の繊維配列方向に起因した布巾の引っ張り強度の低下方向が存在せず、布巾をしぼった際に生じる布巾の伸びを原因とした布巾の型くずれや破れが起き難くなる。
「繊維配列の方向と直交する方向に縫い目ラインを向ける」とは、繊維配列の方向と平行な辺に対して90°配置された辺の長さ方向へ向かって直線的にミシン縫いすることをいう。
「繊維配列の方向と直交する方向に縫い目ラインを向ける」とは、繊維配列の方向と平行な辺に対して90°配置された辺の長さ方向へ向かって直線的にミシン縫いすることをいう。
請求項3に記載の考案は、前記縫い目ラインの方向へ3〜8mmのピッチで、前記不織布の全面にギャザを形成した請求項1または請求項2に記載の布巾である。
請求項3に記載の考案によれば、不織布の全面に対して、縫い目ラインの方向へ3〜8mmピッチでギャザを形成したので、布巾の耐久性が高まり、使用による短繊維のほつれや毛羽たちといった損傷が発生し難くなる。
「縫い目ラインの方向へギャザを形成する」とは、ギャザの起伏が連続する方向を縫い目ラインの方向に向けることをいう。
ギャザの形成ピッチ(ギャザピッチ)が3mm未満では、ギャザの形成不良が多くなる。また、8mmを超えれば繊維が束ね難い。
ギャザの起伏の高さ(不織布の表面の凹凸差)は、1〜3mmである。1mm未満では、外観上、ギャザの存在を視認し難い。また、3mmを超えれば、原反シートの使用量が増大し、コスト高を招く。ギャザは、不織布の全面に形成した方が好ましい。
ギャザの形成ピッチ(ギャザピッチ)が3mm未満では、ギャザの形成不良が多くなる。また、8mmを超えれば繊維が束ね難い。
ギャザの起伏の高さ(不織布の表面の凹凸差)は、1〜3mmである。1mm未満では、外観上、ギャザの存在を視認し難い。また、3mmを超えれば、原反シートの使用量が増大し、コスト高を招く。ギャザは、不織布の全面に形成した方が好ましい。
請求項4に記載の考案は、前記不織布は厚さが4〜8mmの厚肉タイプで、該不織布の表裏面の全面には、前記縫い目ラインと直交する方向へそれぞれ高さが1.5〜3.5mmの起伏が形成された請求項1または請求項2に記載の布巾である。
請求項4に記載の考案によれば、布巾用の不織布として厚さ4〜8mmの厚肉タイプを使用し、これを上述した方法でミシン縫いする。これにより、不織布の表裏面の全面には、起伏の高さがそれぞれ1.5〜3.5mmで、かつ不織布の表面側の山部と裏面側の山部との位置が一致し、不織布の表面側の谷部と裏面側の谷部とが一致した連続する起伏が現出される。これにより、例えばテーブルの表面に強固に付着した汚れを容易に拭き取れるとともに、小さな塵や埃を谷部に囲い込み、捕獲することができる。なお、起伏の連続する方向は、縫い目ラインと直交する方向である。
不織布の厚さが4mm未満では、谷部が浅くなって塵や埃を囲い込んでの捕集がし難い。また、8mmを超えれば、不織布が厚くなりすぎて使用し難い。
不織布の表裏面における起伏(山部および谷部)のピッチは、5〜30mmである。5mm未満では、ミシン縫いが難しくなって大幅な作業時間が必要となり、コスト高を招く。また、30mmを超えれば、起伏の存在を認め難くなる。
不織布の表裏面における起伏(山部および谷部)のピッチは、5〜30mmである。5mm未満では、ミシン縫いが難しくなって大幅な作業時間が必要となり、コスト高を招く。また、30mmを超えれば、起伏の存在を認め難くなる。
請求項5に記載の考案は、前記不織布の表裏面のうち、少なくとも裏面に、縦糸と横糸とが互いの交差部分で結合した補強ネットまたは編布からなる補強ネットが積層された請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の布巾である。
請求項5に記載の考案によれば、不織布の表裏面のうち、少なくとも裏面に、縦糸と横糸とが互いの交差部分で結合した補強ネットを積層したので、布巾をしぼるときの耐久性が高まるとともに、テーブル上の表面を拭き取るとき、表面に強固に付着した汚れをネット糸により削り取り易い。
補強ネットが積層されるのは、不織布の表面のみ、または、表面と裏面との両方である。
補強ネットの素材としては、例えば、ポリアミド系樹脂などの合成繊維、綿などの天然繊維を採用することができる。
補強ネットの素材としては、例えば、ポリアミド系樹脂などの合成繊維、綿などの天然繊維を採用することができる。
請求項1に記載の考案によれば、不織布をミシン縫いする際、その縫い目ラインを、不織布の1辺に対して平行で、かつ交差する2つの繊維配列の方向がなす角のうち、鈍角を2分する方向に向けたので、縫い目ライン方向の布巾の引っ張り強度が高まる。その結果、繊維配列方向に起因した布巾の引っ張り強度の低下方向が存在せず、布巾をしぼった際に布巾に伸びが生じて、型くずれや破れが起きるおそれが低減する。
請求項2に記載の考案によれば、繊維配列の方向と直交する方向に縫い目ラインを向けて不織布をミシン縫いしたので、布巾の縫い目ライン方向への引っ張り強度が高まる。その結果、短繊維の繊維配列方向に起因した布巾の引っ張り強度の低下方向が存在せず、布巾をしぼった際に生じる布巾の伸びを原因とした布巾の型くずれや破れが起き難くなる。
特に、請求項3に記載の考案によれば、不織布の全面に対して、縫い目ラインの方向へ3〜8mmピッチでギャザを形成したので、布巾の耐久性が高まり、使用による短繊維のほつれや毛羽たちといった損傷が発生し難くなる。
また、請求項4に記載の考案によれば、布巾用の不織布として厚さ4〜8mmmmの厚肉タイプを使用し、これを不織布の全面にわたってミシン縫いするので、例えば、テーブルの表面に強固に付着した汚れを容易に拭き取ることができ、不織布の表裏面の全面に形成された谷部に、小さな塵や埃を囲い込んで捕獲することができる。
さらに、請求項5に記載の考案によれば、不織布の表裏面のうち、少なくとも裏面に、縦糸と横糸とが互いの交差部分で結合した補強ネットを積層したので、布巾をしぼるときの耐久性が高まるとともに、テーブル上の表面を拭き取るとき、表面に強固に付着した汚れをネット糸により削り取り易い。
以下、この考案の実施例を具体的に説明する。
図1〜図3において、10はこの考案の実施例1に係る布巾で、この布巾10は、平面視して4つの角が等しい縦長な長方形(短辺(不織布の1辺)が250mm、長辺が300mm)で、かつ繊維配列の方向L1が短辺と平行な不織布11からなるものである。
不織布11は、太さが6〜15デニール、長さが64〜76mmのレーヨンとポリエステルとの混合体の短繊維を絡み合わせた厚さ3.5mmの複層式の布材である。不織布11はフリース形成法により製造されている。具体的には、まず、原料の解綿からカード法によりウェブを作製し、所定の目付となるまで複数枚のウェブを積層する工程を経て、幅300mmの反物状の不織布シートが、繊維配列の方向L1をシート長さ方向に向けて製造される。次に、この不織布シートを長さ250mm毎にカットすることで、繊維配列の方向L1を短辺と平行に向けた前記サイズの不織布11が製造される。不織布11の各辺部11aには、ほつれ防止用のオーバーロック縫いが施されている。前記フリース形成法により不織布11が製造されるため、不織布11は、繊維配列の方向L1と直交する方向(不織布11の長辺の長さ方向、不織布シートの幅方向)L2への引っ張り強度が、繊維配列の方向(不織布11の短辺の長さ方向、不織布シートの長さ方向)L1に比べて低下している。
不織布11は、太さが6〜15デニール、長さが64〜76mmのレーヨンとポリエステルとの混合体の短繊維を絡み合わせた厚さ3.5mmの複層式の布材である。不織布11はフリース形成法により製造されている。具体的には、まず、原料の解綿からカード法によりウェブを作製し、所定の目付となるまで複数枚のウェブを積層する工程を経て、幅300mmの反物状の不織布シートが、繊維配列の方向L1をシート長さ方向に向けて製造される。次に、この不織布シートを長さ250mm毎にカットすることで、繊維配列の方向L1を短辺と平行に向けた前記サイズの不織布11が製造される。不織布11の各辺部11aには、ほつれ防止用のオーバーロック縫いが施されている。前記フリース形成法により不織布11が製造されるため、不織布11は、繊維配列の方向L1と直交する方向(不織布11の長辺の長さ方向、不織布シートの幅方向)L2への引っ張り強度が、繊維配列の方向(不織布11の短辺の長さ方向、不織布シートの長さ方向)L1に比べて低下している。
また、不織布11の全面には、繊維配列の方向L1と直交する方向L2に各縫い目ラインaを向け、繊維配列の方向L1へ向かって5mmのラインピッチP1で、多数条のミシン縫いが施されている(図2)。これにより、不織布11の繊維配列の方向L1と直交する方向L2に対する引っ張り強度が、不織布11の繊維配列の方向L1の引っ張り強度と同程度まで高められる。このとき、ミシン縫いの針送りピッチP2は4mmである。その結果、不織布11(布巾)の表面全体に、起伏の高さh1が2mm程度の山部と谷部とが連続して形成される(図3)。しかも、このように不織布11に対して、5mmのラインピッチP1と4mmの針送りピッチP2とで、多数条のミシン縫いが施されているので、不織布11の積層された短繊維と短繊維とがミシン糸により束ねられ、互いにほつれ難くなっている。よって、布巾10は耐久性、特に布巾10のしぼりに対する耐久性が高められている。
このように、繊維配列の方向L1と直交する方向L2に縫い目ラインaを向け、不織布11を針送りピッチP2が4mm、ラインピッチP1が5mmでミシン縫いしたので、不織布11に対して、引っ張り強度が低い繊維配列の方向L1と直交する方向L2への引っ張り強度を高めることができる。これにより、繊維配列方向に起因した引っ張り強度の低下方向が存在しない布巾10を低コストで得られる。その結果、布巾10には、製造方法に起因した引っ張り強度の低い方向が存在せず、例えば濡れた布巾10をしぼる際などに布巾10の伸びが生じ難く、型くずれや布巾10の破れが起き難くなる。
また、図1〜図3に示すように、不織布11に対して、布巾10の裏面の起伏の方が布巾10の表面の起伏に比べて小さくなるミシン縫いを施せば、布巾10の裏面を使用し、布拭き時に疵が付き易い品物の清掃を良好に行える。
また、図1〜図3に示すように、不織布11に対して、布巾10の裏面の起伏の方が布巾10の表面の起伏に比べて小さくなるミシン縫いを施せば、布巾10の裏面を使用し、布拭き時に疵が付き易い品物の清掃を良好に行える。
次に、図4を参照して、この考案の実施例2に係る布巾10Aを説明する。
図4に示すように、この考案の実施例2に係る布巾10Aは、縫い目ラインaの方向(繊維配列の方向L1と直交する方向L2)へ5mmのギャザピッチP3で、布巾10Aの全面に多数のギャザ12を形成したものである。すなわち、ギャザ12の長さ方向(起伏が連続する方向)を、不織布11の引っ張り強度が小さくなる繊維配列の方向L1と直交する方向L2に向け、この方向に縫い目ラインaを揃えてミシン糸により補強している。
図4に示すように、この考案の実施例2に係る布巾10Aは、縫い目ラインaの方向(繊維配列の方向L1と直交する方向L2)へ5mmのギャザピッチP3で、布巾10Aの全面に多数のギャザ12を形成したものである。すなわち、ギャザ12の長さ方向(起伏が連続する方向)を、不織布11の引っ張り強度が小さくなる繊維配列の方向L1と直交する方向L2に向け、この方向に縫い目ラインaを揃えてミシン糸により補強している。
ギャザ12の長さ方向は、不織布11の引っ張り強度が大きい方向より小さい方向の方となっている。これは、ギャザ12の形成時、不織布11を引き延ばしながらギャザ付けした方が、これを原因として布巾10のサイズが小さくなるおそれがないためである。ギャザ12の長さ方向を不織布11の引っ張り強度が大きくなる方向とすれば、ギャザ付けの分だけ、不織布11がギャザ12の長さ方向へ縮小し易い。なお、ギャザ12の起伏の高さh2は2.5mm程度、針送りピッチP2は4mmである。
このように、不織布11に対して、繊維配列の方向L1と直交する方向L2へ5mmピッチでギャザ12を形成したので、布巾10Aの耐久性が高まり、使用による短繊維のほつれや毛羽たちといった損傷が発生し難い。
その他の構成、作用および効果は、実施例1とほぼ同じであるので説明を省略する。
このように、不織布11に対して、繊維配列の方向L1と直交する方向L2へ5mmピッチでギャザ12を形成したので、布巾10Aの耐久性が高まり、使用による短繊維のほつれや毛羽たちといった損傷が発生し難い。
その他の構成、作用および効果は、実施例1とほぼ同じであるので説明を省略する。
次に、図5を参照して、この考案の実施例3に係る布巾10Bを説明する。
図5に示すように、この考案の実施例3に係る布巾10Bは、不織布11として厚さが8mmの厚肉タイプのものを採用し、これに不織布11の表裏面の起伏の高さがそれぞれ3.5mmとなるミシン縫いを、不織布11の表面の全域に施したものである。厚肉な不織布11をミシン縫いすることで、不織布11の表面側の起伏の高さFhと、裏面側の起伏の高さBhとが同調する。
図5に示すように、この考案の実施例3に係る布巾10Bは、不織布11として厚さが8mmの厚肉タイプのものを採用し、これに不織布11の表裏面の起伏の高さがそれぞれ3.5mmとなるミシン縫いを、不織布11の表面の全域に施したものである。厚肉な不織布11をミシン縫いすることで、不織布11の表面側の起伏の高さFhと、裏面側の起伏の高さBhとが同調する。
すなわち、不織布11の表面における繊維配列の方向L1において、不織布11の表面側の山部11bと裏面側の山部11bとが同一位置に存在するとともに、不織布11の表面側の谷部11cと裏面側の谷部11cとが同一位置に存在する。これにより、布巾10Bを使用して例えば机の表面にこびり付いた汚れを拭き取る際、手のひらが直に接触する不織布11の表面側の山部11bから布巾10Bに作用された押圧力が、表面側の山部11bの直下に配置され、かつ机の表面に当接された不織布11の裏面側の山部11bに直接作用する。その結果、例えば実施例1および実施例2の場合に比べて、より大きな力で机の表面の汚れを掻き取ることができる。
このように、厚肉な不織布11に対して、表裏面の起伏の高さがそれぞれ3.5mmとなるミシン縫いを施したので、例えばテーブルの表面に強固に付着した汚れを容易に拭き取ることができる。しかも、小さな塵や埃を谷部11cに囲い込み、捕獲することができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1とほぼ同じであるので説明を省略する。
このように、厚肉な不織布11に対して、表裏面の起伏の高さがそれぞれ3.5mmとなるミシン縫いを施したので、例えばテーブルの表面に強固に付着した汚れを容易に拭き取ることができる。しかも、小さな塵や埃を谷部11cに囲い込み、捕獲することができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1とほぼ同じであるので説明を省略する。
次に、図6を参照して、この考案の実施例4に係る布巾10Cを説明する。
図6に示すように、この考案の実施例4に係る布巾10Cは、厚さが8mmの不織布11の表面の起伏の高さFhが、実施例3のものより高い7mmで、不織布11の裏面の起伏の高さBhが、実施例3より低い1mmとなるミシン縫いを、不織布11の表面の全域に施したものである。このような起伏を現出可能なミシン縫いの方法としては、例えば単環縫いがある。
このように、厚肉な不織布11に対して、不織布11の表面の起伏の高さFhが7mmで、裏面の起伏の高さBhが1mmとなるミシン縫いを施したので、繊維配列方向に起因した引っ張り強度の低下方向が存在しない布巾10Cを低コストで製造することができるとともに、例えばテーブルの表面に強固に付着した汚れを容易に拭き取ることができ、かつ小さな塵や埃を谷部に囲い込み、捕獲することができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例3とほぼ同じであるので説明を省略する。
図6に示すように、この考案の実施例4に係る布巾10Cは、厚さが8mmの不織布11の表面の起伏の高さFhが、実施例3のものより高い7mmで、不織布11の裏面の起伏の高さBhが、実施例3より低い1mmとなるミシン縫いを、不織布11の表面の全域に施したものである。このような起伏を現出可能なミシン縫いの方法としては、例えば単環縫いがある。
このように、厚肉な不織布11に対して、不織布11の表面の起伏の高さFhが7mmで、裏面の起伏の高さBhが1mmとなるミシン縫いを施したので、繊維配列方向に起因した引っ張り強度の低下方向が存在しない布巾10Cを低コストで製造することができるとともに、例えばテーブルの表面に強固に付着した汚れを容易に拭き取ることができ、かつ小さな塵や埃を谷部に囲い込み、捕獲することができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例3とほぼ同じであるので説明を省略する。
次に、図7を参照して、この考案の実施例5に係る布巾10Dを説明する。
図7に示すように、この考案の実施例5に係る布巾10Dは、実施例1の不織布11の裏面全域に、縦糸と横糸とが互いの交差部分で結合した補強ネット13を積層させたものである。これにより、布巾をしぼる時の耐久性が高まるとともに、テーブルなどに強固に付着した汚れを削り取るように容易に除去することができる。補強ネット13に代えて、メッシュ織りした編布を採用してもよい。
図7に示すように、この考案の実施例5に係る布巾10Dは、実施例1の不織布11の裏面全域に、縦糸と横糸とが互いの交差部分で結合した補強ネット13を積層させたものである。これにより、布巾をしぼる時の耐久性が高まるとともに、テーブルなどに強固に付着した汚れを削り取るように容易に除去することができる。補強ネット13に代えて、メッシュ織りした編布を採用してもよい。
補強ネット13は、太さが332デニールのナイロン短繊維を編んだもので、具体的には縦糸と横糸とを蜂の巣形状にマイヤー織りしたものである。編み目は1インチ当たり14ゲージである。
その他の構成、作用および効果は、実施例1とほぼ同じであるので説明を省略する。
その他の構成、作用および効果は、実施例1とほぼ同じであるので説明を省略する。
次に、図8および図9を参照して、この考案の実施例6に係る布巾10Eを説明する。
図8に示すように、実施例6の布巾10Eは、交差した2つの繊維配列の方向L1a,L1bを有し、かつ繊維配列の方向L1a,L1bが不織布11の長さ方向に60°傾斜した4枚の薄肉な不織布11a〜11dを、1枚毎にその繊維配列の方向L1a,L1bが反対向きとなるように積層した不織布11を本体としている。
また、各縫い目ラインaは、不織布11の短辺と直交し、かつ交差した2つの繊維配列の方向L1a,L1bがなす角のうち、鈍角(120°)を2分する方向に延びるように、不織布11にミシン縫いされている(図9)。
図8に示すように、実施例6の布巾10Eは、交差した2つの繊維配列の方向L1a,L1bを有し、かつ繊維配列の方向L1a,L1bが不織布11の長さ方向に60°傾斜した4枚の薄肉な不織布11a〜11dを、1枚毎にその繊維配列の方向L1a,L1bが反対向きとなるように積層した不織布11を本体としている。
また、各縫い目ラインaは、不織布11の短辺と直交し、かつ交差した2つの繊維配列の方向L1a,L1bがなす角のうち、鈍角(120°)を2分する方向に延びるように、不織布11にミシン縫いされている(図9)。
このように構成したことで、4枚の薄肉な不織布11a〜11d間において、交差した2つの繊維配列の方向L1a,L1bがなす角のうち、鈍角を2分する方向に対しての布巾10Eの引っ張り強度が高まる。その結果、繊維配列方向に起因した布巾10Eの引っ張り強度の低下方向が存在せず、布巾10Eをしぼった際の布巾10Eの伸びによる型くずれや破れが起き難くなる。
なお、積層タイプの布巾10Eを補強するため、例えば、薄肉な不織布11bと薄肉な不織布11cとの間に実施例5の補強ネット15を挟み込み、これらをミシン縫いしてもよい。このように補強ネット15を挟み込んで補強する場合には、不織布11を構成する薄肉な不織布の枚数を、例えば2枚に減らしても支障はない。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
なお、積層タイプの布巾10Eを補強するため、例えば、薄肉な不織布11bと薄肉な不織布11cとの間に実施例5の補強ネット15を挟み込み、これらをミシン縫いしてもよい。このように補強ネット15を挟み込んで補強する場合には、不織布11を構成する薄肉な不織布の枚数を、例えば2枚に減らしても支障はない。
その他の構成、作用および効果は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
10,10A,10B,10C,10D、10E 布巾、
11 不織布、
12 ギャザ、
13 補強ネット、
L1 繊維配列の方向、
L1a,L1b 繊維配列の方向、
L2 繊維配列の方向と直交する方向、
a 縫い目ライン。
11 不織布、
12 ギャザ、
13 補強ネット、
L1 繊維配列の方向、
L1a,L1b 繊維配列の方向、
L2 繊維配列の方向と直交する方向、
a 縫い目ライン。
Claims (5)
- 平面視して4つの角が等しい四角形で、かつ90°を除く交差角度で交差した2つの繊維配列の方向を有する不織布をミシン縫いした布巾において、
該ミシン縫いにより前記不織布に現出した縫い目ラインは、前記不織布の1辺と直交し、かつ前記交差した2つの繊維配列の方向がなす角のうち、鈍角を2分する方向に延びた布巾。 - 平面視して4つの角が等しい四角形の不織布を、1辺と平行な繊維配列の方向と直交する縫い目ラインとなるようにミシン縫いした布巾。
- 前記縫い目ラインの方向へ3〜8mmのピッチで、前記不織布の全面にギャザを形成した請求項1または請求項2に記載の布巾。
- 前記不織布は厚さが4〜8mmの厚肉タイプで、
該不織布の表裏面の全面には、前記縫い目ラインと直交する方向へそれぞれ高さが1.5〜3.5mmの起伏が形成された請求項1または請求項2に記載の布巾。 - 前記不織布の表裏面のうち、少なくとも裏面に、縦糸と横糸とが互いの交差部分で結合した補強ネットまたは編布からなる補強ネットが積層された請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の布巾。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010003017U JP3161146U (ja) | 2010-05-10 | 2010-05-10 | 布巾 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP3161146U (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015208588A (ja) * | 2014-04-30 | 2015-11-24 | 孝衣 江口 | 洗浄布 |
-
2010
- 2010-05-10 JP JP2010003017U patent/JP3161146U/ja not_active Expired - Fee Related
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