JP3131376B2 - 管状体とその製造方法 - Google Patents

管状体とその製造方法

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JP3131376B2 JP08052238A JP5223896A JP3131376B2 JP 3131376 B2 JP3131376 B2 JP 3131376B2 JP 08052238 A JP08052238 A JP 08052238A JP 5223896 A JP5223896 A JP 5223896A JP 3131376 B2 JP3131376 B2 JP 3131376B2
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繁克 藤井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリプレグを芯金に巻
着して形成される軽量且つ高強度、高耐衝撃性の管状体
とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】釣竿の竿管、自転車のフレーム、ゴルフ
のシャフトを初めとする各種製品の管状体には従来から
軽量且つ高強度、高耐衝撃性、高反発力のものが要求さ
れて来た。その中で、特に鮎竿は8〜10mもの長さの
ものが普通であり、渓流中で自由に釣竿を操作するには
出来る限り軽量で高反発力があり、囮鮎を泳がせたり野
鮎をヒットして荷重が加り、竿がしなった時にその断面
が楕円に変形して弾力性が低下したり、甚だしくは割れ
や座屈を起こして途中から折損するような事のないこと
が要求されている。
【0003】また、自転車のフレームなどは、マウンテ
ンバイクや競技用自転車の普及と相俟ってそのボティを
構成する管状体には、大きな捩り力や曲げ力或いは衝撃
力に耐え且つより軽量でしかもより高強度な素材が要求
されている。ゴルフのシャフトなども同様で、競技人口
の増加と高齢化や、打球の方向性や飛距離などハイレベ
ルな競技内容を求める消費者から、高反発性と高い耐衝
撃性、軽量性などが要求されている。
【0004】そこで、次第に素材の改良が行われ、現在
では一般的にカーボン繊維やグラスハァイバー繊維など
の高強度繊維を素材とする管状体が用いられている。こ
のような管状体は、高強度繊維を1方向に引き揃え、マ
トリックス樹脂を含浸してプリプレグを形成し、このプ
リプレグの繊維方向を交差させて積層した積層プリプレ
グ材を筒状に捲着し、これを加熱・加圧して所要の強度
を有する管状体(B)に形成したものが使用されている。
【0005】しかしながら、このようなプリプレグにて
形成した管状体(B)は、成る程、高強度・高反発性を有
し且つ肉厚を薄くでき軽量化できるものの、管状体(B)
に曲げ荷重や衝撃荷重が加わった場合、管状体(B)の曲
げ応力が集中しているその部分における引張強度の限界
値まではほとんど変形することなく高い保形性や反発力
を保っているが、その限界値を越えた処で突然折損乃至
座屈を起こしてしまう。
【0006】これは次の理由によるものと考えられてい
る。図10に示すように、管状体(B)を曲げると、荷重
(W)の加わった側(P)の管表面(4)には圧縮応力が発生
し、管状体(B)の内側に行くに従って次第にその圧縮量
は小さくなり、管状体(B)の反対側(T)では内側から管表
面(4)側に行くに従って伸び量が増加して行く事にな
る。そして、その荷重(W)が圧縮側(P)において、その座
屈強度の限界に近づくと圧縮側(P)の前記圧縮応力が集
中している部分(PC)は管内方に折れ曲がろうとして最内
層(10)に局所的に強い引張力を加える。
【0007】従来例(B)では全体として最も引張弾性率
の高い高強度繊維を使用していたので、管内面部分の圧
縮応力が集中している部分(PC)の内周面では、その管内
方に向かう力に起因する引張強度の限界値までほとんど
変形しないが、その引張強度の限界を越えた処で突然断
裂し、同時にその圧縮応力集中部分(PC)の近傍が連鎖的
に断裂して管内方に折れ曲がり、座屈による破断が生じ
る。
【0008】このように全体として最も引張弾性率の高
い高強度繊維を使用して形成された従来例(B)では、そ
の管状体(B)そのものの引張強度の限界値までほとんど
変形せずに高い保形性や反発力を保っているものの、そ
の限界値を越えた処で突然座屈による折損を起こしてし
まうという欠点がある。特に、高強度繊維がカーボン繊
維の場合、引張強度に比べて圧縮強度が小さく、最も大
きな圧縮応力が加わった部分(PC)で座屈を起こして潰れ
てしまう。
【0009】そこで、逆に耐衝撃性を改善する意味でプ
リプレグ構成する高強度繊維に引張弾性率がある程度低
いものを使用した場合、耐衝撃性や折損の問題は改善さ
れるものの管状体そのものの反発力が失われ竿管として
使用する場合には操作性が悪くなるという問題があり、
高反発力を求めようとすれば必然的に管状体の肉厚を厚
くせざるを得ず、軽量性が犠牲になるという問題があっ
た。また、自転車のフレームやゴルフシャフトなどの場
合にはある程度引張弾性率の低い高強度繊維を使用した
場合には、肉厚を大きくせざるを得ず、当然この場合も
軽量性が犠牲となる。。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は係る従来例の
欠点に鑑みてなされたもので、本発明の解決課題は高強
度・耐衝撃性と、これに相反する特性である軽量性とを
共に満足し得る管状体とその製造方法の開発にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】 《請求項1》は管状体
の基本思想に関し『高強度繊維に合成樹脂を含浸したプ
リプレグを筒状に捲着して形成した管状体(A1)〜(A3)(A
7)(A8)において、管表面部分を構成する最外層(3)用プ
リプレグの高強度繊維が、前記最外層(3)用プリプレグ
に接するプリプレグ(6)の高強度繊維よりも引張弾性率
小さい事、及び、これら2つのプリプレグ(3)(6)の繊
維方向が略同一でかつ管状体の周方向である』事を特徴
とする。なお、管状体(A)の各層とそれを構成するプリ
プレグとの関係を分かりやすくするために、明細書を通
じて各層と各層に対応するプリプレグとは同じ番号を用
いるものとする。
【0013】本発明の管状体(A1)〜(A3)(A7)(A8)は、そ
の硬化体において管表面部分を構成する最外層(3)の高
強度繊維が、前記最外層(3)に接する部分(6)の高強度繊
維に比べて幾分引張弾性率が低いので、その分だけ靭性
が大きく、より大きな歪みにより耐える事ができる。
今、管状体(A1)〜(A3)(A7)(A8)に曲げ荷重が加わった場
合、従来例(B)では圧縮側(P)が座屈した圧縮応力に対し
ても最外層(3)はその圧縮応力に耐えて圧縮される事が
でき管状体(A)の座屈による破断を防ぐ。そして最外層
(3)に接する部分(6)の高強度繊維は、より高い引張弾性
率を有し且つ最外層(3)に接着一体化することによって
拘束されているので、両者の相乗効果によって従来例と
同じ又はそれ以上の圧縮荷重が加わったとしても圧縮側
(P)における座屈破断を生じない。
【0014】しかもこのような作用をなす最外層(3)の
厚みはごく僅かで足り(例えば、10〜30μm)、し
かもその引張弾性率は最外層(3)に接する部分(6)の高強
度繊維のそれより僅かに小さいだけであるから、管状体
(A1)〜(A3)(A7)(A8)全体からみれば、弾性低下までは至
らず、従来品(B)と本発明品(A1)〜(A3)(A7)(A8)とが同
じ外径で同じ肉厚であれば、結果として破断強度、耐衝
撃性の点で改善がなされ、従来品と本発明品とが同じ破
断強度、耐衝撃性であれば、従来品に比べて薄肉にする
事が出来、本発明品の管状体(A1)〜(A3)(A7)(A8)の軽量
化が可能となる。またさらに、管状体(A1)〜(A3)(A7)(A
8)に曲げ荷重が加わった時、管状体(A1)〜(A3)(A7)(A8)
はその断面が楕円に変形しようとして伸長側(T)の管表
面(4)で周方向の引張応力が、圧縮側(P)の管表面(4)で
周方向の圧縮応力が作用するが、前記繊維方向が周方向
であるので、前記周方向の引張応力や圧縮応力に直接高
強度繊維が作用して対抗する事が出来、曲げ荷重が加わ
った時の管状体(A1)〜(A3)(A7)(A8)の断面形状の変形を
より小さくする事が出来る。
【0015】《請求項2》は管状体(A)のもう一つの基
本思想に関し『高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプ
レグを筒状に捲着して形成した管状体(A4)〜(A8)におい
て、管内面部分を構成する最内層(10)用プリプレグの高
強度繊維が、前記最内層(10)用プリプレグに接するプリ
プレグ(11)の高強度繊維よりも引張弾性率が小さい事、
及び、これら2つのプリプレグ(10)(11)の繊維方向が略
同一でかつ管状体の周方向である』事を特徴とする。
【0016】本発明の管状体(A4)〜(A8)は、請求項1と
同様、その硬化体において管内面部分を構成する最内層
(10)の高強度繊維が、前記最内層(10)に接する部分(11)
の高強度繊維に比べて幾分引張弾性率が低いので、その
分だけ靭性が高くより大きな歪みに耐える事ができる。
今、管状体(A4)〜(A8)に曲げ荷重が加わった場合、従来
例(B)では圧縮側(P)が座屈した圧縮応力に対して最外層
(3)も座屈しそうになって圧縮応力の集中部分(PC)を管
内方に強く押し出そうとする力が働く。処が、前述のよ
うに最内層(10)の高強度繊維の靭性が高く、より引張強
度や座屈強度が若干高く、より大きな歪みに耐える事が
出来るので、前記管内方への押し出し力、即ち引張方向
の力に耐える事が出来、従来例(B)で座屈を生じた圧縮
力に対しても座屈を免れる事が出来る。そして最内層(1
0)に接する部分(11)の高強度繊維は、より高い引張弾性
率を有し且つ最内層(10)に接着一体化することによって
拘束されているので、両者の相乗効果によって従来例と
同じ又はそれ以上の圧縮荷重が加わったとしても圧縮側
(P)における座屈破断を生じない。
【0017】そして、最外層(3)と同様最内層(10)の厚
みもごく僅かで足り(例えば、10〜30μm)、しか
もその引張弾性率は最外層(10)に接する部分(11)の高強
度繊維のそれより僅かに小さいだけであるから、管状体
(A4)〜(A8)全体からみれば、弾性低下までは至らず、従
来品(B)と本発明品(A4)〜(A8)とが同じ外径で同じ肉厚
であれば、結果として破断強度、耐衝撃性の点で改善が
なされ、従来品と本発明品とが同じ破断強度、耐衝撃性
であれば、従来品に比べて本発明品の肉厚を薄くでき軽
量化が可能となる。またさらに、請求項1と同様、管状
体(A4)〜(A8)に曲げ荷重が加わった時、管状体(A4)〜(A
8)はその断面が楕円に変形しようとして伸長側(T)の管
表面(4)で周方向の引張応力が、圧縮側(P)の管表面(4)
で周方向の圧縮応力が作用するが、前記繊維方向が周方
向であるので、前記周方向の引張応力や圧縮応力に直接
高強度繊維が作用して対抗する事が出来、曲げ荷重が加
わった時の管状体(A4)〜(A8)の断面形状の変形をより小
さくする事が出来る。
【0018】『請求項3』は請求項1、2を組み合わせ
た管状体(A)に関し『高強度繊維に合成樹脂を含浸した
プリプレグを筒状に捲着して形成した管状体(A7)(A8)に
おいて、管表面部分を構成する最外層(3)用プリプレグ
と管内面部分を構成する最内層(10)用プリプレグの高強
度繊維が、前記最外層(3)用プリプレグや最内層(10)
プリプレグに接するプリプレグ(6)(11)の高強度繊維よ
りも引張弾性率が小さい事、及び、前記最外層(3)用プ
リプレグ或いは前記最内層(10)用プリプレグの繊維方向
と、前記最外層(3)用プリプレグ或いは最内層(10)用プ
リプレグに接するプリプレグ(6)(11)の繊維方向とが略
同一でかつ管状体の周方向である』ことを特徴とする。
【0019】これによれば、管状体(A6)〜(A8)に曲げ荷
重が加わったとき、その圧縮側(P)において、座屈強度
のより大きい最外層(3)は従来例が破断した時の圧縮応
力に耐える事が出来、且つ最内層(10)は圧縮側(P)が管
内方に折れ曲がろうとした場合の引張力に耐えて圧縮応
力が集中的に加わっている部分(PC)の座屈を防ぐ。そし
てこの場合も請求項1、2同様、最外層(3)及び最内層
(10)の肉厚は極く僅かで足り(例えば、10〜30μ
m)、しかもその引張弾性率は最外層(3)や最内層(10)
に接する部分(6)(11)の高強度繊維のそれより僅かに小
さいだけであるから管状体(A6)〜(A8)全体からみれば、
弾性低下にまでは至らず、従来品(B)と本発明品(A6)〜
(A8)とが同じ外径で同じ肉厚であれば、結果として破断
強度、耐衝撃性の点で最も良く改善がなされ、従来品と
本発明品とが同じ破断強度、耐衝撃性であれば、従来品
に比べて本発明品の肉厚を最も薄くでき最大の軽量化が
可能となる。
【0020】またさらに、請求項1及び2と同様、管状
体(A7)(A8)に曲げ荷重が加わった時、管状体(A7)(A8)は
その断面が楕円に変形しようとして伸長側(T)の管表面
(4)で周方向の引張応力が、圧縮側(P)の管表面(4)で周
方向の圧縮応力が作用するが、前記繊維方向が周方向で
あるので、前記周方向の引張応力や圧縮応力に直接高強
度繊維が作用して対抗する事が出来、曲げ荷重が加わっ
た時の管状体(A7)(A8)の断面形状の変形をより小さくす
る事が出来る。
【0021】なお、上述した請求項1〜3において、
熱・加圧した時に最外層(3)或いは最内層(10)の高強度
繊維と、これらに接する部分(6)(11)の高強度繊維とは
同方向で重ねられるために一部で混じり合い、最外層
(3)或いは最内層(10)部分には低引張弾性率の高強度繊
維の中に高引張弾性率の高強度繊維が一部存在すること
になる。しかし全体としては最外層(3)或いは最内層(1
0)を構成する高強度繊維は、低引張弾性率の高強度繊維
の方が高引張弾性率の高強度繊維より構成比率が高くな
る。
【0022】
【0023】『請求項』の管状体(A)は『高強度繊維
に合成樹脂を含浸したプリプレグを筒状に捲着して形成
した管状体において、管表面部分を構成する最外層(3)
用プリプレグ或いは管内面部分を構成する最内層(10)
プリプレグの高強度繊維が、前記最外層(3)用プリプレ
グ或いは前記最内層(10)用プリプレグに接するプリプレ
グ(6)(11)の高強度繊維よりも引張弾性率が小さい事、
及び、前記最外層(3)用プリプレグ或いは前記最内層(1
0)用プリプレグの繊維方向と、前記最外層(3)用プリプ
レグ或いは最内層(10)用プリプレグに接するプリプレグ
(6)(11)の繊維方向とが管状体の周方向であり且つ互い
に交差している』事を特徴とする。
【0024】これによれば、最外層(3)或いは最内層(1
0)の高強度繊維とこれらに接する部分(6)(11)の高強度
繊維とがバイアスとなっているので、管状体(A1)〜(A8)
に曲げ荷重が加わった場合に、その周方向に発生する引
張応力や圧縮応力に対して伸びやすく、圧縮側で座屈を
起こしにくい。また、このようにしておくと、加圧・加
熱した場合でも最外層(3)或いは最内層(10)の高強度繊
維とこれらに接する部分(6)(11)の高強度繊維とが混じ
り合わず、明確な最外層(3)或いは最内層(10)を形成す
る事が出来る。なお、交差角度は小さいほど好ましい。
【0025】『請求項』は本発明の管状体(A)の製造
方法の第1例で『高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
プレグを筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体(A
1)〜(A3)(A7)(A8)の製造方法において、高強度繊維に合
成樹脂を含浸したプリプレグ(1)の1乃至複数枚が既に
マンドレル(図示せず)に捲着されているその外周(9)
上に、高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ(2a)
とこれを構成する高強度繊維よりも引張弾性率の小さい
高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ(3)とを、
各高強度繊維の繊維方向が略同一となるように積層して
得られた積層プリプレグ(2)を、上記プリプレグ(3)が最
外層を構成するように筒状に捲着すると共に、各高強度
繊維の繊維方向が周方向となるように捲着する』事を特
徴とする。(図1、2、3、7、8参照)
【0026】外層(2)は、最外層用プリプレグ(3)と、最
外層用プリプレグ(3)が積層されるプリプレグ(2a)とで
構成される。最外層(3)は一般的には前述のように極く
薄くて良いが、勿論これに限られず、最外層プリプレグ
(3)と被積層プリプレグ(2a)との構成比率は1:1にな
るようにしてもよい。この点は全実施例に付いて共通で
ある。
【0027】プリプレグ(1)は図1のように長手方向に
その繊維方向が引き揃えられた一層(一枚のプリプレグ
で構成されたもののみならず、複数枚のプリプレグを圧
締した結果、その境界が不明確になり一層状態になっい
るものも含む。以下同様。)のもので構成してもよい
し、図2のように繊維方向が周方向に引き揃えられた内
層(8)とその繊維方向が長手方向に引き揃えられた中間
層(7)とで構成される場合や、図3のように前記中間層
(7)が2層で形成される場合、図7、8のように内層(8)
が最内層用プリプレグ(10)と被積層プリプレグ(8a)とで
構成される場合など様々な場合が存在する。勿論、プリ
プレグ(1)の構成はこれだけに限られず、必要に応じて
引張弾性率の強弱やその繊維方向その他の要素を適宜組
み合わせて行く事はいうまでもない。
【0028】『請求項』は管状体(A)の製造方法の第
2例で『高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを
筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体(A1)〜(A3)
(A7)(A8)の製造方法において、高強度繊維に合成樹脂を
含浸したプリプレグ(1)を筒状に捲着すると共に少なく
とも筒状の外面部分の繊維方向が周方向となるように巻
着して管本体(5)部分を形成し、この外周に、前記管本
体(5)部分の外面部分の高強度繊維よりその引張弾性率
小さい高強度繊維に合成樹脂を含浸した最外層用プリ
プレグ(3)を、その繊維方向が周方向となるように捲着
する』事を特徴とする。(図1、2、3、7、8参照)
【0029】この場合は、最外層用プリプレグ(3)を別
に用意しておき、マンドレルに捲着した管本体(5)の外
周に最外層用プリプレグ(3)を捲着する場合で、最外層
用プリプレグ(3)として、最外層(3)分の幅のプリプレグ
を用意しこれを管本体(5)の外面部分巻き付けるように
する場合と、テープ状のプリプレグを用意しこれを管本
体(5)の外面部分に巻き付けて行く場合とがある。前者
の場合は最外層(3)とこれに接する部分(6)の繊維方向は
一致させる事ができるが、後者の場合はテープを螺旋状
に巻き付けて行くために互いに交差する事になる。
【0030】『請求項』は管状体(A)の製造方法の第
3例で『高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを
筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体(A4)〜(A8)
の製造方法において、高強度繊維に合成樹脂を含浸した
プリプレグ(8a)と、該高強度繊維よりも引張弾性率の
さい高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ(10)と
、各高強度繊維の繊維方向が略同一となるように積層
て得られた積層プリプレグ(8)を、上記プリプレグ(1
0)が最内層を構成しかつ繊維方向が周方向となるように
捲着し、必要があれば、更にその上に他に用意した1乃
至複数のプリプレグ(12)を捲着する』事を特徴とする。
(図4、5、6、7、8参照)
【0031】この場合は内層(8)は、最内層プリプレグ
(10)と、最内層プリプレグ(10)が積層されるプリプレグ
(8a)とで構成される。最内層(10)も一般的には前述のよ
うに極く薄くて良いが、勿論これに限られず、最内層(1
0)と被積層プリプレグ(8a)との構成比率は1:1になる
ようにしてもよい。プリプレグ(12)は図4の場合、長手
方向にその繊維方向が引き揃えられた一層で構成されて
いるが、図5のように長手方向にその繊維方向が引き揃
えられた一層の中間層(7)と周方向にその繊維方向が引
き揃えられた一層の外層(2)とで構成される場合、図6
のように中間層(7)が2層の場合、図7、8のように外
層(2)が最外層プリプレグ(3)とこれが積層されている被
積層プリプレグ(2a)とで構成される場合などがある。勿
論、プリプレグ(12)の構成はこれだけに限られず、必要
に応じて引張弾性率の強弱やその繊維方向その他の要素
を適宜組み合わせて行く事はいうまでもない。
【0032】『請求項』は管状体(A)の製造方法の第
4例で『高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを
筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体(A4)〜(A8)
の製造方法において、高強度繊維に合成樹脂を含浸した
プリプレグ(10)をマンドレルに筒状にかつその繊維方向
が周方向となるように捲着して管本体を形成し、この外
周に、上記プリプレグ(10)の高強度繊維より引張弾性率
が大きい高強度繊維に合成樹脂を含浸した1乃至複数の
リプレグ(16)を、その繊維方向が周方向となるように
捲着する』事を特徴とする。(図4、5、6、7、8参
照)
【0033】この場合は、最内層用プリプレグ(10)を別
に用意しておき、最初にマンドレルにこれを捲着し、そ
の上にプリプレグ(16)を捲着する場合である。最内層用
プリプレグ(10)として、最内層(10)分の幅のプリプレグ
を用意しこれをマンドレルの外面部分巻き付けるように
する場合と、テープ状のプリプレグを用意しこれをマン
ドレルの外面部分に巻き付けて行く場合とがある。前者
の場合は最内層(10)とこれに接する部分(11)の繊維方向
は一致させる事ができるが、後者の場合はテープを螺旋
状に巻き付けて行くために互いに交差する事になる。
【0034】プリプレグ(16)は図4の場合、最内層用プ
リプレグ(10)と同方向のプリプレグ(8a)、長手方向に繊
維方向が引き揃えられた一層のプリプレグ(12)とで構成
されており、図5の場合は最内層用プリプレグ(10)と同
方向のプリプレグ(8a)、長手方向に繊維方向が引き揃え
られた一層の中間層(7)、繊維方向が周方向である外層
(2)とで構成されており、図6は中間層(7)が2層で構成
されている場合であり、図7、8は外層(2)が2層で構
成されている場合である。勿論、プリプレグ(16)の構成
はこれだけに限られず、必要に応じて引張弾性率の強弱
やその繊維方向その他の要素を適宜組み合わせて行く事
はいうまでもない。
【0035】『請求項』は管状体(A)の製造方法の第
5例で『高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを
筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体(A8)の製造
方法において、高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプ
レグ(2a)(8a)と、該高強度繊維よりも引張弾性率の小さ
高強度繊維に合成樹脂を含浸した最内層用のプリプレ
グ(10)又は最外層用のプリプレグ(3)とをそれぞれ、各
高強度繊維の繊維方向が略同一となるように積層して最
内層用積層プリプレグ(8)及び最外層用積層プリプレグ
(2)をそれぞれ形成し、最内層用のプリプレグ(10)が最
内層に来るように最内層用積層プリプレグ(8)をマンド
レルに筒状にかつその繊維方向が周方向となるように
して管本体を形成し、然る後、最外層用のプリプレグ
(3)が最外層になるようにかつその繊維方向が周方向と
なるように最外層用積層プリプレグ(2)を捲着する』事
を特徴とする。(図7、8参照)
【0036】この場合は、積層プリプレグ(2)(8)を直接
重ね合わせてもよいし、積層プリプレグ(2)(8)の間に中
間層(7)として別に用意したプリプレグを捲着してもよ
い。中間層(7)は3以上の層で形成してもよいし、構成
高強度繊維の引張弾性率を適宜変更してもよい。また。
図の場合その繊維方向は長手方向に引き揃えられてい
る。プリプレグの構成はこれだけに限られず、必要に応
じて引張弾性率の強弱やその繊維方向その他の要素を適
宜組み合わせて行く事はいうまでもない。
【0037】『請求項10』は管状体(A)の製造方法の
第6例で『高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ
を筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の製造方
法において、高強度繊維に合成樹脂を含浸した最内層用
プリプレグ(10)及び最外層用プリプレグ(3)をそれぞれ
用意し、上記最内層用プリプレグ(10)その繊維方向が
周方向となるようにマンドレルに筒状に捲着し、この外
面に、該最内層用プリプレグ(10)の高強度繊維よりも大
きい引張弾性率を有する高強度繊維に合成樹脂を含浸
プリプレグ(14)をその繊維方向が周方向となるように
捲着し、然る後、上記最外層用プリプレグ(3)をその繊
維方向が周方向となるように捲着する』事を特徴とす
る。(図7、8参照)
【0038】この場合は最内層(10)及び最外層(3)を独
立のプリプレグを捲着して形成するもので、最内層(10)
分及び最外層(3)分の幅のプリプレグを用意し、まず最
内層(10)用プリプレグを、マンドレルに巻き付け、次に
中間部分を構成するプリプレグ(14)を捲着し、最後に最
外層用プリプレグ(3)を捲着する場合と、テープ状のプ
リプレグを用意し、これをマンドレルに巻き付けて最内
層(10)とし、次に中間部分を構成するプリプレグ(14)を
捲着し、最後に最外層用プリプレグ(3)を捲着する場
合、最内層(10)にテープ状のプリプレグを巻き、最外層
(3)に、最外層(3)分の幅のプリプレグを巻く場合と、そ
の逆で、最外層(10)にテープ状のプリプレグを巻き、最
内層(10)に、最内層(10)分の幅のプリプレグを巻く場合
がある。
【0039】プリプレグ(14)は、一層(図示せず)で構
成されてもよいが、図7、8の場合は複数層で形成され
ており、最外層(3)及び最内層(10)とこれに接する部分
(6)(11)の高強度繊維の方向は周方向に捲着されてお
り、更にその間の中間層(7)は長手方向に繊維方向が引
き揃えられている。最外層幅又は最内層幅のプリプレグ
(3)(10)を使用する場合は最外層(3)又は最内層(10)とこ
れに接する部分(6)(11)の繊維方向は一致させる事がで
きるが、テープを使用する場合はテープを螺旋状に巻き
付けて行くために互いに交差する事になる。プリプレグ
の構成はこれだけに限られず必要に応じて引張弾性率の
強弱やその繊維方向その他の要素を適宜組み合わせて行
く事はいうまでもない。
【0040】『請求項11』は管状体(A)の製造方法の
第7例で『高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ
を筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の製造方
法において、高強度繊維合成樹脂を含浸した最内層用
プリプレグ(10)及び最外層用プリプレグ(3)をそれぞれ
用意し、上記最内層用プリプレグ(10)とその高強度繊
維よりも大きい引張弾性率を有する高強度繊維に合成
脂を含浸したプリプレグ(8a)とをこれらの繊維方向が略
同一となるように積層して最内層用の積層プリプレグ
(8)を形成し、最内層用プリプレグ(10)が最内層に来る
ように最内層用積層プリプレグ(8)をマンドレルに筒状
かつその繊維方向が周方向となるように捲着し、然る
後、必要があれば別に用意したプリプレグ(12)を更にそ
の上に捲着し、最後に、上記最外層用プリプレグ(3)を
捲着する』事を特徴とする。(図7、8参照)
【0041】この場合は内層に積層プリプレグ(8)を使
用し、最外層(3)に独立のプリプレグを使用する場合で
ある。プリプレグ(12)は、一層(図示せず)でもよい
が、図の場合は、複数層で形成されており、最外層(3)
及び最内層(10)とこれに接する部分(6)(11)の高強度繊
維の方向は周方向に捲着されており、更にその間の中間
層(7)は長手方向に繊維方向が引き揃えられている。こ
の場合、積層方向や巻着方向を調整することにより最外
層(3)又は最内層(10)とこれに接する部分(6)(11)の繊維
方向は一致させる事もできるし、互いに交差させる事も
できる。プリプレグの構成はこれだけに限られず必要に
応じて引張弾性率の強弱やその繊維方向その他の要素を
適宜組み合わせて行く事はいうまでもない。
【0042】『請求項12』は管状体の製造方法の第8
例で『高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを筒
状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の製造方法に
おいて、高強度繊維に合成樹脂を含浸した最内層用プリ
プレグ(10)及び最外層用プリプレグ(3)をそれぞれ用意
し、上記最外層用プリプレグ(3)と、その高強度繊維よ
りも大きい引張弾性率を有する高強度繊維に合成樹脂を
含浸したプリプレグとをこれらの繊維方向が略同一とな
るように積層して最外層用積層プリプレグ(2)を形成
し、上記最内層用プリプレグ(10)をその繊維方向が周方
向となるように筒状に捲着し、然る後、必要があれば別
に用意したプリプレグ(15)を更にその上に捲着し、最後
この外面に、上記最外層用積層プリプレグ(2)を上記
最外層用プリプレグ(3)が最外層を構成しかつその繊維
方向が周方向となるように捲着する』事を特徴とする。
(図7、8参照)
【0043】この場合は、請求項11の逆で、最内層(1
0)として独立のプリプレグをマンドレルに捲着し、外層
に最外層用プリプレグ(3)と被積層プリプレグ(2a)との
積層プリプレグ(2)を捲着する場合である。この場合も
前述同様プリプレグ(15)は、一層(図示せず)でもよい
が、図の場合は、複数層で形成されており、最外層(3)
及び最内層(10)とこれに接する部分(6)(11)の高強度繊
維の方向は周方向に捲着されており、更にその中間層
(7)は長手方向に繊維方向が引き揃えられている。
し、上記最外層(3)又は最内層(10)とこれに接する部分
(6)(11)の繊維方向は、若干交差していてもよい。プリ
プレグの構成はこれだけに限られず必要に応じて引張弾
性率の強弱や繊維方向その他の要素を適宜組み合わせて
行く事はいうまでもない。
【0044】
【0045】
【実施例】以下、本発明を図示実施例に従って説明す
る。本発明に係る管状体(A)は、釣竿の竿管や、マウン
テンバイクや競技用自転車のフレーム、ゴルフのシャフ
トなど管状の部材に使用されるもので、軽量且つ高強
度、高耐衝撃性などが同時に要求されるものである。従
来例で述べたように、その中でも特に鮎竿は8〜10m
もの長尺のものが普通に使用されており、渓流中で自由
に操作するために軽量であることが要求される。以下、
鮎竿用の管状体(A)を中心に説明する。鮎竿は、前述の
ように渓流中で自由に操作するために軽量であることが
要求されるだけでなく、囮鮎を操作したり野鮎がヒット
して衝撃的な荷重が加わって竿が大きくしなった時にそ
の断面が楕円に変形して竿自体の弾力性が低下して操作
性が低下したり、甚だしくは座屈を起こして途中から折
損するような事のないことが要求されている。即ち、鮎
竿には相反する特性である『軽量性』と『高強度・耐衝
撃性』とが同時に要求されている。
【0046】本発明の管状体(A)に使用される『高強度
繊維』はカーボン繊維やガラス繊維である。カーボン繊
維について言えば、製造会社によって、又、製品の品種
によって機械的性質(引張強度、引張弾性率、伸び、繊
度、密度など)は相違するが、一般的に言って同品種の
カーボン繊維では、引張弾性率(単位=GPa)が高く
なると伸び(%)が低下する傾向にある。東レ(株)と東
邦レ(株)のカーボン繊維の機械的性質を表1(カーボン
ファイバの科学 第42頁第2表 山田恵彦著 内田老
鶴圃出版)に示す。
【0047】『プリプレグ』は、前記多数の高強度繊維
を同一方向に引き揃え、エポキシ樹脂やポリエステル樹
脂、フェノール樹脂などの熱硬化性合成樹脂をマトリッ
クス樹脂として含浸させてシート状にしたもので、品種
によってプリプレグシートの厚みや高強度繊維とマトリ
ックス樹脂の配合比率などが相違する。高強度繊維の配
合比率が高いほど、そして高強度繊維の引張弾性率が高
いほどプリプレグを硬化させた時の比弾性率(単位重量
に対する弾性率)は向上するが伸びは低下する。
【0048】
【表1】
【0049】断面円形の管状体(A)は一般的に次のよう
にして形成される。複数枚の引揃リプレグをその繊維
方向が同一方向又は相違するようにして円柱状乃至先細
テーパ円柱状のマンドレルに巻き付け、その上にセロ
ファンテープのような緊迫用テープのを巻き付けてこれ
を加圧し、然る後、焼成炉において加熱焼成し、次
いで緊迫用テープを剥離し、最後に焼成硬化品の表面
を仕上げ加工を行う。各プリプレグの高強度繊維の引張
弾性率、繊維密度その他の点は用途に応じて適宜のもの
が選定される。釣竿(継ぎ竿)の場合は、直径の相違す
る管状体(A)を複数種類用意し、これらを接続して単一
の長尺竿とする。ここで、工程においてプリプレグの
捲着方法として種々の方法がある。その方法は、前記第
1例〜第8例に示すとおりである。
【0050】次に、前記各方法で構成された管状体(A)
の断面形状の例を説明すると、図1は最外層(3)を有す
る外層(2)と、長手方向にその繊維方向が引き揃えられ
たプリプレグにより構成された層(1)の2層で構成され
ている場合であり、図2、3の場合は内層(8)、中間層
(7)及び最外層(3)を有する外層(2)とで構成されている
例である。図4はこれに対して最内層(10)を含む内層
(8)とその外側の外側層(7)とで構成されている例であ
り、図5、6は最内層(10)を含む内層(8)、中間層(7)及
び外層(2)とで構成されている例である。図7、8は最
外層(3)を有する外層(2)、中間層(7)及び最内層(10)を
含む内層(8)とで構成されている例である。
【0051】本実施例では、最外層(3)又は最内層(10)
のプリプレグの高強度繊維の繊維方向と、最外層(3)又
は最内層(10)のプリプレグに接する部分(6)(11)の高強
度繊維の繊維方向とが周方向に形成されており、これに
より管状体(A)を曲げた時の断面変形に対して強い抵抗
力を付与している。
【0052】《実施例》比較例として、引張弾性率(5
88GPa)、伸び0.7%の高強度繊維を使用した50
g/m2(単位面積当たりの高強度繊維の重量、以下同
じ)のプリプレグ4枚を用意し、第1枚目を周方向に、
第2、3枚目を軸方向に、第4枚目を周方向にして直径
20mmの芯金に円筒状に捲着し、緊締・加熱してマト
リックス樹脂を硬化させた後、長さ20mmに切断したテ
ストピースを用意した。これに対して本発明の実施例1
として、引張弾性率(588GPa)、伸び0.7%の高
強度繊維を使用した50g/m2のプリプレグ3枚(内層
用プリプレグ)、引張弾性率(588GPa)、伸び0.
7%の高強度繊維を使用した40g/m2のプリプレグ1
枚(外層用プリプレグ)、引張弾性率(343GP
a)、伸び0.9%の高強度繊維を使用した10g/m2
プリプレグ1枚(最外層用プリプレグ)を用意し、第1
枚目を周方向に、第2、3枚目を軸方向に、第4、5枚
目を周方向にして直径20mmの芯金に円筒状に捲着
し、緊締・加熱してマトリックス樹脂を硬化させた後、
長さ20mmに切断したものを用意した。本発明の実施例
2として、引張弾性率(588GPa)、伸び0.7%の
高強度繊維を使用した50g/m2のプリプレグ3枚(内
層用プリプレグ)、引張弾性率(588GPa)、伸び
0.7%の高強度繊維を使用した25g/m2のプリプレ
グ1枚(外層用プリプレグ)、引張弾性率(343GP
a)、伸び0.9%の高強度繊維を使用した10g/m2
プリプレグ1枚(最外層用プリプレグ)を用意し、第1
枚目を周方向に、第2、3枚目を軸方向に、第4、5枚
目を周方向にして直径20mmの芯金に円筒状に捲着
し、緊締・加熱してマトリックス樹脂を硬化させた後、
長さ20mmに切断したものを用意した。比較例と実施例
1とは同一形状で肉厚・重量とも相等しいのに対して、
比較例と実施例2では、実施例2の方が肉厚が薄く軽量
である。比較例と実施例1、2のテストピースを両側面
から押圧して、円形断面が楕円断面となるように変形さ
せ、亀裂が側面に生じた時の荷重を測定した処、比較例
に比べて実施例1の方が大きい荷重で亀裂が初めて入っ
た。また、実施例2はほぼ比較例と同じ荷重で亀裂が入
った。これにより、同一重量では本発明品の方が強度的
に大であり、同一強度の場合には本発明品の方が軽量す
る事ができる。
【0053】
【発明の効果】本発明に係る管状体は、最外層又は/及
び最内層の高強度繊維の引張弾性率が、これらにに接す
る部分の高強度繊維の引張弾性率より小さいので、管状
体に曲げ荷重が加わった場合、圧縮応力の集中している
部分における座屈強度が向上し、座屈強度、耐衝撃性、
高反発性、軽量化等が同時に実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る管状体に関し、管本体と最外層を
有する外層の2層構造管状体の断面図。
【図2】本発明に係る管状体に関し、管本体、中間層及
び最外層を有する外層の3層構造管状体の断面図。
【図3】本発明に係る管状体に関し、管本体、2層の中
間層及び最外層を有する外層の4層構造管状体の断面
図。
【図4】本発明に係る管状体に関し、外側層と最内層を
有する内層の2層構造管状体の断面図。
【図5】本発明に係る管状体に関し、外層、中間層、最
内層を有する内層の3層構造管状体の断面図。
【図6】本発明に係る管状体に関し、外層、2層の中間
層、最内層を有する内層の4層構造管状体の断面図。
【図7】本発明に係る管状体に関し、最外層を有する外
層、中間層、最内層を有する内層の3層構造管状体の断
面図。
【図8】本発明に係る管状体に関し、最外層を有する外
層、2層の中間層、最内層を有する内層の4層構造管状
体の断面図。
【図9】従来例の断面図。
【図10】管状体を4点曲げ試験を行ったときの縦断面
図。
【符号の説明】
(A)…管状体 (A1)〜(A8)…管状体の各実施例 (1)…管状体の内側のプリプレグ層 (2)…管状体の外層 (2a)…最外層用プリプレグの被積層プリプレグ (3)…最外層 (4)…管表面 (5)…管本体で、最外層に接する部分から内側の部分 (6)…管状体における最外層に接する部分 (7)…中間層 (8)…内層 (8a)…最内層用プリプレグの被積層プリプレグ (10)…最内層 (11)…最内層に接する部分 (12)…最内層に接する部分から外側の部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−40488(JP,A) 特開 平7−276513(JP,A) 特開 平5−336864(JP,A) 特開 平4−310728(JP,A) 特開 平7−255331(JP,A) 実開 平4−103464(JP,U) 米国特許3953637(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 67/14 B29D 23/00 - 23/22 A01K 87/00 - 87/06 A63B 53/00 - 53/16

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着して形成した管状体において、 管表面部分を構成する最外層用プリプレグの高強度繊維
    が、前記最外層用プリプレグに接するプリプレグの高強
    度繊維よりも引張弾性率が小さい事、及び、 これら2つのプリプレグの繊維方向が略同一でかつ管状
    体の周方向である 事を特徴とする管状体。
  2. 【請求項2】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着して形成した管状体において、 管内面部分を構成する最内層用プリプレグの高強度繊維
    が、前記最内層用プリプレグに接するプリプレグの高強
    度繊維よりも引張弾性率が小さい事、及び、 これら2つのプリプレグの繊維方向が略同一でかつ管状
    体の周方向である事 を特徴とする管状体。
  3. 【請求項3】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着して形成した管状体において、 管表面部分を構成する最外層用プリプレグと管内面部分
    を構成する最内層用プリプレグの高強度繊維が、前記最
    外層用プリプレグや最内層用プリプレグに接するプリプ
    レグの高強度繊維よりも引張弾性率が小さい事、及び、 前記最外層用プリプレグ或いは前記最内層用プリプレグ
    の繊維方向と、前記最外層用プリプレグ或いは最内層用
    プリプレグに接するプリプレグの繊維方向とが略同一で
    かつ管状体の周方向である事 を特徴とする管状体。
  4. 【請求項4】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着して形成した管状体において、 管表面部分を構成する最外層用プリプレグ或いは管内面
    部分を構成する最内層用プリプレグの高強度繊維、前
    記最外層用プリプレグ或いは前記最内層用プリプレグ
    接するプリプレグの高強度繊維よりも引張弾性率が小さ
    い事、及び、 前記最外層用プリプレグ或いは前記最内層用プリプレグ
    の繊維方向と、前記最外層用プリプレグ或いは前記最内
    層用プリプレグに接するプリプレグの繊維方向とが管状
    体の周方向でありかつ互いに交差している 事を特徴とす
    る管状体。
  5. 【請求項5】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の
    製造方法において、 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグの1乃至複
    数枚からなる管本体の外側に、上記プリプレグとこれを
    構成する高強度繊維よりも引張弾性率の小さい高強度繊
    維に合成樹脂を含浸したプリプレグとを、各高強度繊維
    の繊維方向が略同一となるように積層して得られた積層
    プリプレグを、引張弾性率の小さい高強度繊維が最外層
    を構成しかつ繊維方向が周方向となるように捲着する事
    を特徴とする管状体の製造方法。
  6. 【請求項6】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の
    製造方法において、高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを筒状に捲
    着すると共に少なくとも筒状の外面部分の繊維方向が周
    方向となるように捲着して管本体を形成し、この外周
    に、前記管本体の外面部分の高強度繊維よりその引張弾
    性率が小さい高強度繊維に合成樹脂を含浸した最外層用
    プリプレグを、その繊維方向が周方向となるよう に捲着
    する事を特徴とする管状体の製造方法。
  7. 【請求項7】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の
    製造方法において、 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグと、該高強
    度繊維よりも引張弾性率の小さい高強度繊維に合成樹脂
    を含浸したプリプレグとを、各高強度繊維の繊維方向が
    略同一となるように積層して得られた積層プリプレグ
    を、引張弾性率の小さい高強度繊維が最内層を構成しか
    つ繊維方向が周方向となるように筒状に捲着する事を特
    徴とする管状体の製造方法。
  8. 【請求項8】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の
    製造方法において、 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグを筒状にか
    つその繊維方向が周方向となるように捲着して管本体を
    形成し、この外周に、前記管本体の高強度繊維より引張
    弾性率が大きい高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプ
    レグを、その繊維方向が周方向となるように捲着する事
    を特徴とする管状体の製造方法。
  9. 【請求項9】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の
    製造方法において、高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグと、該高強
    度繊維よりも引張弾性率の小さい高強度繊維に合成樹脂
    を含浸した最内層用のプリプレグ又は最外層用のプリプ
    レグとをそれぞれ、各高強度繊維の繊維方向が略同一と
    なるように積層して最内層用積層プリプレグ及び最外層
    用積層プリプレグをそれぞれ形成し、最内層用のプリプ
    レグが最内層に来るように最内層用積層プリプレグを筒
    状にかつその繊維方向が周方向となるように捲着して管
    本体を形成し、然る後、最外層用プリプレグが最外層を
    構成しかつその繊維方向が周方向となるように最外層用
    積層プリプレグを 捲着する事を特徴とする管状体の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の
    製造方法において、 高強度繊維に合成樹脂を含浸した最内層用プリプレグ及
    び最外層用プリプレグをそれぞれ用意し、上記最内層用
    プリプレグをその繊維方向が周方向となるように筒状に
    捲着し、この外面に、該最内層用プリプレグの高強度繊
    維よりも大きい引張弾性率を有する高強度繊維に合成樹
    脂を含浸したプリプレグをその繊維方向が周方向となる
    ように捲着し、然る後、上記最外層用プリプレグをその
    繊維方向が周方向となるように捲着する事を特徴とする
    管状体の製造方法。
  11. 【請求項11】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の
    製造方法において、高強度繊維に合成樹脂を含浸した最内層用プリプレグ及
    び最外層用プリプレグをそれぞれ用意し、上記最内層用
    プリプレグと、その高強度繊維よりも大きい引張弾性率
    を有する高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグと
    をこれらの繊維方向が略同一となるように積層して最内
    層用積層プリプレグを形成し、最内層用プリプレグが最
    内層を構成しかつその繊維方向が周方向となるように最
    内層用積層プリプレグを筒状に捲着し、然る後、上記最
    外層用プリプレグを捲着する 事を特徴とする管状体の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリ
    プレグを筒状に捲着し、然る後加圧・加熱する管状体の
    製造方法において、高強度繊維に合成樹脂を含浸した最内層用プリプレグ及
    び最外層用プリプレ グをそれぞれ用意し、上記最外層用
    プリプレグと、その高強度繊維よりも大きい引張弾性率
    を有する高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグと
    をこれらの繊維方向が略同一となるように積層して最外
    層用積層プリプレグを形成し、上記最内層用プリプレグ
    をその繊維方向が周方向となるように筒状に捲着し、然
    る後、上記最外層用積層プリプレグを前記最外層用プリ
    プレグが最外層を構成しかつ繊維方向が周方向となるよ
    うに捲着する 事を特徴とする管状体の製造方法。
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